IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エスティーマイクロエレクトロニクス インターナショナル エヌ.ブイ.の特許一覧

特開2024-76993多層及び多機能パッシベーションを有するSICベースの電子デバイス、及び電子デバイスを製造する方法
<>
  • 特開-多層及び多機能パッシベーションを有するSICベースの電子デバイス、及び電子デバイスを製造する方法 図1
  • 特開-多層及び多機能パッシベーションを有するSICベースの電子デバイス、及び電子デバイスを製造する方法 図2
  • 特開-多層及び多機能パッシベーションを有するSICベースの電子デバイス、及び電子デバイスを製造する方法 図3
  • 特開-多層及び多機能パッシベーションを有するSICベースの電子デバイス、及び電子デバイスを製造する方法 図4
  • 特開-多層及び多機能パッシベーションを有するSICベースの電子デバイス、及び電子デバイスを製造する方法 図5
  • 特開-多層及び多機能パッシベーションを有するSICベースの電子デバイス、及び電子デバイスを製造する方法 図6
  • 特開-多層及び多機能パッシベーションを有するSICベースの電子デバイス、及び電子デバイスを製造する方法 図7
  • 特開-多層及び多機能パッシベーションを有するSICベースの電子デバイス、及び電子デバイスを製造する方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024076993
(43)【公開日】2024-06-06
(54)【発明の名称】多層及び多機能パッシベーションを有するSICベースの電子デバイス、及び電子デバイスを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/872 20060101AFI20240530BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20240530BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20240530BHJP
   H01L 29/47 20060101ALI20240530BHJP
【FI】
H01L29/86 301F
H01L29/86 301D
H01L29/91 F
H01L29/91 K
H01L29/86 301E
H01L29/06 301G
H01L29/06 301V
H01L29/48 D
H01L29/48 F
H01L29/48 E
H01L29/48 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023196838
(22)【出願日】2023-11-20
(31)【優先権主張番号】102022000024396
(32)【優先日】2022-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】18/505,569
(32)【優先日】2023-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】312014443
【氏名又は名称】エスティーマイクロエレクトロニクス インターナショナル エヌ.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】ベロッキ,ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】ラスクナ,シモーネ
(72)【発明者】
【氏名】プグリージ,ヴァレリア
【テーマコード(参考)】
4M104
【Fターム(参考)】
4M104AA03
4M104BB01
4M104BB02
4M104BB04
4M104BB05
4M104BB14
4M104CC01
4M104CC03
4M104EE06
4M104EE16
4M104EE18
(57)【要約】
【課題】 電子デバイスのパッシベーション層の密着性を向上させることである。
【解決手段】 電子デバイスであって、シリコンカーバイド基板を含む固体本体であって、基板上に電子デバイスの電気的端子を更に含む、固体本体と、電気的端子上の、第1の材料のパッシベーション層と、パッシベーション層及び固体本体に結合された第1の密着改善層であって、第1の材料に対する密着の予め定められた特性を有する第2の材料のものであり、パッシベーション層及び固体本体を一緒に接合するように構成されている、第1の密着改善層と、を備える、電子デバイス。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスであって、
固体本体であって前記固体本体上に前記電子デバイスの電気的端子を含む固体本体と、
前記電気的端子上の、第1の材料のパッシベーション層であって、上面と、前記固体本体に面する下面と、前記上面を前記下面に接続する側面とを有する、パッシベーション層と、
前記パッシベーション層及び前記固体本体に結合された第1の密着改善層であって、前記第1の材料に対する密着の選択された特性を有する第2の材料を含み、前記パッシベーション層及び前記固体本体を一緒に接合するように構成されている、第1の密着改善層と、を備える、電子デバイス。
【請求項2】
前記第1の密着改善層は、前記固体本体と前記パッシベーション層との間に延在しており、前記パッシベーション層に直接接触している、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記第1の密着改善層は、前記パッシベーション層の前記上面上、前記パッシベーション層の前記側面上、及び前記パッシベーション層の前記側面に対して横方向の前記固体本体上に、連続的に延在する、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項4】
第2の密着改善層を更に備え、前記第2の密着改善層は、前記パッシベーション層の前記上面上、前記パッシベーション層の前記側面上、及び前記パッシベーション層の前記側面に対して横方向の前記固体本体上に、連続的に延在する、請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記第1の密着改善層は、前記パッシベーション層の前記下面に、かつ前記パッシベーション層の前記側面に対して横方向の前記固体本体上に延在しており、
第2の密着改善層を更に備え、前記第2の密着改善層は、前記パッシベーション層の前記上面上、前記パッシベーション層の前記側面上、及び前記パッシベーション層の前記側面に対して横方向の前記第1の密着改善層上に、連続的に延在する、る、請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記パッシベーション層を通過し、前記第1の密着改善層及び前記第2の密着改善層に物理的に結合された1つ以上の結合構造体を更に備える、請求項4に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記1つ以上の結合構造体は、前記第2の密着改善層と同じ材料の柱である、請求項6に記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記パッシベーション層の前記上面は、1つ以上の窪み又は粗い部分を有する、請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項9】
前記固体本体は、シリコンカーバイドの半導体本体と、前記半導体本体の表面上の絶縁層と、を備え、前記電気的端子は、一部において前記半導体本体の前記表面上に延在しており、かつ一部において前記絶縁層上に延在しており、
前記パッシベーション層は、前記電気的端子及び前記絶縁層を完全に覆っており、前記第1の密着改善層は、前記電気的端子と前記絶縁層とに直接接触して延在しており、前記電気的端子との間の第1の界面と、前記パッシベーション層と前記絶縁層との間の第2の界面とを形成している、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項10】
アンカー素子を更に備え、前記アンカー素子は、前記パッシベーション層から前記絶縁層に向かって突出しており、かつ前記第1の密着改善層の開口部を完全に通って延在しており、第1の前記絶縁層内で終端する、請求項9に記載の電子デバイス。
【請求項11】
電子デバイスを製造するための方法であって、
固体本体内に複数のオーミックコンタクトを形成することと、
前記固体本体上に、前記複数のオーミックコンタクトに結合された前記電子デバイスの電気的端子を形成することと、
前記電気的端子上に、第1の材料のパッシベーション層を形成することであって、前記パッシベーション層は、第1の面と、前記固体本体に面する前記第1の面に対向する第2の面と、前記第1の面を前記第2の面に結合する複数の側面とを有する、パッシベーション層を形成することと、
前記パッシベーション層及び前記固体本体に直接結合された第1の密着改善層を形成することと、
を含み、
前記第1の密着改善層は、前記第1の材料に対する密着の選択された特性を有する第2の材料のものであり、前記パッシベーション層及び前記固体本体を一緒に接合するように構成されている、方法。
【請求項12】
第2の密着改善層を形成することを更に含み、前記第2の密着改善層は、前記パッシベーション層の前記第1の面上、前記パッシベーション層の前記複数の側面上、及び前記パッシベーション層の前記複数の側面に対して横方向の前記固体本体上に、連続的に延在する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記パッシベーション層の前記材料は、ポリマー材料を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記パッシベーション層を通過し、前記第1の密着改善層及び前記第2の密着改善層に物理的に結合された1つ以上の結合構造体を形成することを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記1つ以上の結合構造体を前記形成することが、前記第2の密着改善層を前記形成することと同時に実施され、CVD又はALD堆積工程を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の密着改善層は、ALD技法により形成される、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
デバイスであって、
第1の方向において第2の面に対向する第1の面を有する基板と、
前記基板の前記第1の面内の複数のオーミックコンタクトであって、前記第1の方向を横断する第2の方向に沿って互いに離隔されている、複数のオーミックコンタクトと、
前記基板の前記第1の面上の絶縁層であって、前記複数のオーミックコンタクトから前記第2の方向に沿って離隔されている、絶縁層と、
前記基板の前記第1の面上の導電層であって、第2の面に対向する第1の面を有し、前記導電層の前記第2の面は、前記複数のオーミックコンタクトに直接結合されており、前記第2の方向に沿って前記絶縁層を部分的に覆っている、導電層と、
前記導電層の前記第1の面に結合されたパッシベーション層と、
前記パッシベーション層と前記導電層の前記第1の面との間に結合された第1のカプセル化層と、を備える、デバイス。
【請求項18】
前記第1のカプセル化層は、前記導電層、前記絶縁層、及び前記基板の前記第1の面に直接結合されている、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
第2のカプセル化層を備え、前記第2のカプセル化層は、前記パッシベーション層の第1の側壁、前記パッシベーション層の第2の側壁、前記パッシベーション層の第1の面、及び前記第1のカプセル化層に直接結合されている、請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記基板の前記第1の面と同一平面上にある前記基板内のエッジ終端領域を備え、前記絶縁層が前記第1の方向に沿って前記エッジ終端領域を部分的に覆っている、請求項17に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子デバイス及び電子デバイスを製造する方法に関するものであり、特に、電子デバイスのパッシベーション層に1つ以上の密着改善層が設けられたものである。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
シリコンカーバイド(Silicon Carbide、SiC)は、半導体産業において、特にダイオード又はトランジスタなどのような電子部品の製造、特に電力応用で大きな関心を集めている。
【0003】
異なるポリタイプ(例えば、3C-SiC、4H-SiC、6H-SiC)のシリコンカーバイド基板に形成された電子デバイスは、低出力抵抗、低リーク電流、高温動作時の耐性、及び高周波動作時の耐性など、数多くの利点を有する。
【0004】
しかしながら、SiCベースの電子デバイスの開発及び製造は、(そのような電子デバイスに含まれ、例えば、電子デバイスのSiC半導体本体上に延在する)パッシベーション層の電気的及び機械的特性などの要因によって制限される。特に、電子デバイスの高い動作温度に耐え、高い絶縁耐力、例えば400kV/mmを超える絶縁耐力を有するポリマー材料(例えばポリイミド)を用いてパッシベーション層を形成することが既知である。詳細には、ポリマー材料の高い絶縁耐力は、パッシベーション層が高電界に耐えることを保証するので、電位差が大きくても破壊又は穿孔(「電気絶縁破壊」)することなく、導電性になることはない。
【0005】
しかし、ポリマー材料は熱膨張係数(coefficient of thermal expansion、CTE)が高く(例えば、ポリベンゾビスオキサゾール材料「PIX」はCTE=43e-6 1/K)、熱膨張係数が低い(CTE=3.8e-6 1/K)SiCに対してパッシベーション層の密着性の問題を引き起こす。
【0006】
特に、パッシベーション層とSiCとの間のそのような密着性の問題は、熱サイクル試験(例えば、約-50℃~約+150℃の間で実施される)中に、又は電子デバイスの使用中に、電子デバイスが高い熱膨張にさらされる(例えば、約200℃以上の動作温度差にさらされる)場合に生じ得る。パッシベーション層とSiCとの間のCTEの大きな差に起因して、このように大きな熱膨張は、パッシベーション層とSiCとの間の界面において機械的応力を発生させ、これは、SiC半導体本体に対するパッシベーション層の(少なくとも部分的な)層間剥離につながる可能性がある。
【0007】
この層間剥離が十分に拡張してしまった場合(例えば、パッシベーション層のいかなる部分も、異なる電位に設定された電子デバイスの2つのメタライゼーションの間に挟まれず、したがって、2つのメタライゼーションは空気によってのみ互いに分離されるような場合)は、放電が当該界面で発生し、同じ電子デバイスの損傷につながる可能性がある。特に、電子デバイスが逆バイアス条件で使用されるとき、耐えられる電圧差が大きい(例えば1000V以上)ため、電子デバイスを損傷するリスクが増加する。
【0008】
この問題に対する既知の解決策は、互いに異なる材料の複数の誘電体層(例えば、互いに連続する窒化シリコン、酸化シリコン及びポリアミド)を使用することを含み、SiC半導体本体との界面における機械的応力を制限するための多層パッシベーションを形成することである。
【発明の概要】
【0009】
本開示によれば、電子デバイス及び電子デバイスの製造方法が提供される。電子デバイスは、第1の材料の電気的端子上にパッシベーション層を備える。また、電子デバイスは、パッシベーション層及び固体本体に結合され、第1の材料に対する密着の選択された特性を有する第2の材料のものであり、パッシベーション層及び固体本体を一緒に接合するように構成された第1の密着改善層を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示のより良い理解のために、好ましい実施形態が、純粋に非限定的な例として、添付の図面を参照してここで説明される。
図1】既知のタイプの電子デバイスを示す断面図である。
図2】本開示の一実施形態による、電子デバイスを示す断面図である。
図3】本開示の別の実施形態による、電子デバイスを示す断面図である。
図4】本開示の別の実施形態による、電子デバイスを示す断面図である。
図5】本開示の別の実施形態による、電子デバイスを示す断面図である。
図6】本開示の別の実施形態による、電子デバイスを示す断面図である。
図7】本開示の別の実施形態による、電子デバイスを示す断面図である。
図8】本開示のそれぞれの実施形態による、それぞれの電子デバイスを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、軸X、Y、Zの直交(3軸)基準系における側断面図で、既知のタイプの電子デバイス(ここでは例示的に「ジャンクションバリアショットキー」ダイオード(Junction Barrier Schottky、JBS))1の一部を示す。
【0012】
JBSデバイス1は、表面3bに対向する表面3aを備えるN型SiCの半導体本体3を備える。半導体本体は、例えば、基板と、基板上にエピタキシャル成長され、N型であり、それぞれのドーピング濃度値を有する1つ以上の領域とを含む。JBSデバイス1はまた、半導体本体3内に複数のジャンクションバリア(junction-barrier、JB)素子9を備え、JB素子9は、上面3aに面し、各々が、半導体本体3内に注入されたP型のそれぞれの領域と、半導体本体3の上面3aのレベルでの注入領域上のオーミックコンタクトとを含む。JBSデバイス1は、上面3a上に延在し、それぞれのオーミックコンタクトを介してジャンクションバリア素子9と電気的に接触する第1のメタライゼーション8を更に備える。JBSデバイス1は、JB素子9を完全に取り囲むエッジ終端領域10(又はガードリング)、特にP型注入領域を更に備える。
【0013】
ショットキーダイオード12は、アノードメタライゼーション8と半導体本体3との間の界面に形成され、ここで半導体-金属ショットキージャンクションが形成される。JB素子9及びショットキーダイオード12を含むMPSデバイス1の領域(すなわち、ガードリング10内に含まれる領域)は、JBSデバイス1の活性領域4である。
【0014】
JBSデバイス1は、下面3b上に延在する第2のメタライゼーション6を更に備える。第1及び第2のメタライゼーション8、6は、それぞれ、JBSデバイス1の使用中にバイアス可能なアノード及びカソード電気的端子を形成する。
【0015】
電気的受動領域16は、エッジ終端領域10の外側に延在する。
【0016】
絶縁材料又は誘電体材料、特に酸化シリコン(SiO)の絶縁層18は、エッジ終端領域10の上方に部分的に延在する。
【0017】
第1のメタライゼーション8は、エッジ終端領域10の絶縁層18によって覆われていない一部分と電気的に接触しており、また絶縁層18の上方に部分的に延在している。ここでは窒化シリコン(SiN)の界面層20が、第1のメタライゼーション8及び絶縁層18の上方に延在する。更に、JBSデバイス1は、界面層20の上方に延在する、特にポリイミドのパッシベーション層22を備える。換言すれば、界面層20は、パッシベーション層22と下地層、ここでは第1のメタライゼーション8及び絶縁層18との間の界面として働く。界面層20は省略してもよい。しかしながら、本出願人は、界面層20が、下地層とパッシベーション層22との密着を改善することを検証した。
【0018】
例えばベークライトなどの樹脂の保護層24は、パッシベーション層22の上方に延在して、パッケージ(図示せず)に挿入されたときにJBSデバイス1を保護する。
【0019】
しかしながら、界面層20は、上述したように、下地層とパッシベーション層22との密着を改善するが、JBSデバイス1の使用又は熱的若しくは熱機械的試験のいくつかの臨界条件で、(試験によって発生する応力に起因して)界面層20からのパッシベーション層22の層間剥離又は部分的な分離を引き起こす可能性がある。これは、特に、高い使用温度(例えば、150℃以上)及び/又は高い熱膨張(例えば、200℃以上)による応力の条件下で発生する。この影響は、JBS1デバイスを構造的に脆弱にすることに加えて、JBS1デバイスの電気的動作に影響を及ぼす望ましくない放電の発生に寄与する要因であり得る。実際に、本出願人は、組立処理後の熱機械的又は機械的応力処理の条件によっては、厚さ全体にわたって1つ以上の局所的な亀裂を有することを検証しており、これは界面層20が、第1の金属層8において、そのような放電の発生を引き起こすからである。このような問題は、電子デバイス1が逆バイアス条件下で高熱膨張や高電圧差を受けると、より顕著になる。
【0020】
したがって、前述の問題を克服する利点を実感した。
【0021】
図2は、図1の軸X、Y、Zの同じ直交(三軸)基準系における側断面図において、本開示の一態様による電子デバイス50を示す。特に、デバイス50は、図1を参照して説明したものと同様に、JBSダイオードである。しかしながら、本開示は、このデバイスに限定されず、他のタイプの電子デバイス、特に、例えば、MOSFET、IGBT、MPS、ショットキーダイオード、PNダイオード、PiNダイオードなどのパワーデバイスへの用途も見出される。
【0022】
電子デバイス50は、図2を参照しながら以下に説明する要素を備える。
【0023】
N型又はP型SiC(以下、非限定ではあるがN型のみを参照する)の半導体本体53(例えば、基板53′及び任意選択的にその上に成長させた1つ以上のエピタキシャル層53”を含む)は、Z軸の方向に沿って後面53bに対向する前面53aを備える。半導体本体53は、図2に示す例では、電子デバイス50のドリフト層として機能するエピタキシャル層53’’をその上に成長させた基板53’を含み、いずれもN型SiC(特に4H-SiCであるが、これに限定されず、2H-SiC、3C-SiC、及び6H-SiCなどの他のポリタイプが使用されてもよい)である。例えば、基板53’は、1・1019at/cm~1・1022at/cmに含まれるN型ドーパント濃度を有し、表面53aと53bとの間でZ軸に沿って測定された、300μm~450μmに含まれ、特に約360μmに等しい厚さを有する。ドリフト層53’’は、それぞれのドーパント濃度が基板のドーパント濃度より低く、厚さが例えば5~15μmである。
【0024】
オーミックコンタクト層56(例えば、ニッケルシリサイド)は、後面53b上に延在し、メタライゼーション57、この例では、例えば、Ti/NiV/Ag又はTi/NiV/Auのカソードメタライゼーションが、オーミックコンタクト領域56上に延在する。
【0025】
1つ以上のP型ドープ領域59’が、半導体本体53内(特にドリフト層内)に延在し、上面53aに面している。各ドープ領域59’は、各ドープ領域59’がそれぞれのジャンクションバリア(JB)素子59を形成するように、それぞれのオーミックコンタクト(図示せず、既知のタイプのもの)を収容する。エッジ終端領域又はガードリング60、特に更なるP型ドープ領域は、ドリフト層内に延在し、上面53aに面し、JB素子59を(平面図において、軸X及びYによって画定されるXY平面上で)完全に囲む。エッジ終端領域60は省略されてもよい。
【0026】
絶縁層61(絶縁材料又は誘電体材料、例えば、酸化シリコン、TEOS)は、JB素子59を(XY平面上で見て)完全に取り囲むように、かつガードリング60(存在する場合)と部分的に重なるように、上面53a上に延在する。
【0027】
この例では例えばTi/AlSiCu又はNi/AlSiCuのアノードメタライゼーションであるメタライゼーション58は、絶縁層61によって外部に区切られた上面53aの一部分(すなわち、JB素子59/活性領域54の部分)上、及び部分的に絶縁層61上に延在する。
【0028】
ポリイミド(例えば、PIX)などのポリマー材料のパッシベーション層69は、アノードメタライゼーション58上及び絶縁層61上に延在する。
【0029】
パッシベーション層69は、代替的に、HfO、ZrO、TiO、Ta、TiN、ZnO、AZO、GZOの中からの材料であってもよい。
【0030】
パッシベーション層69は、上側69aと、Z軸の方向に沿って上側69aに対向する下側69bと、上側69aと下側69bとを接続する側方部分69cとによって区切られる。
【0031】
1つ以上のショットキーダイオード62が、ドープ領域59’に対して横方向に、半導体本体53とアノードメタライゼーション58との間の界面に形成される。特に、ショットキージャンクション(半導体-金属)は、アノードメタライゼーション58のそれぞれの部分と直接電気的に接触する半導体層53の部分によって形成される。
【0032】
更に、それぞれのドープ領域59’内に延在する各オーミックコンタクトは、それを収容するドープ領域59’の電気抵抗値よりも低い電気抵抗値を有する電気接続を提供する。したがって、JB素子59は、P-i-Nダイオードである。
【0033】
JB素子59及びショットキーダイオード62を含む電子デバイス50の領域(すなわち、ガードリング60によって区切られた領域)は、電子デバイス50の活性領域54である。
【0034】
活性領域54の外側にすなわち、エッジ終端領域60を越えて、半導体本体53の側面53cが存在し、例えば、上面53aに実質的に直交して延在する。側面53cは、複数の電子デバイス50が設けられたSiCウェハのダイシング又は個片化工程の後に形成される。ダイシング工程は、電子デバイス50を同じウェハの別のデバイス50から分離する機能を有する。ダイシングは、電子デバイス50が得られるSiCウェハのスクライブライン(図示せず)で行われる。このスクライブラインは、XY平面において、活性領域54、ガードリング60及び絶縁層61の間隔をあけて囲む。
【0035】
例えばベークライトなどの樹脂の保護層74は、パッシベーション層69の上方に延在して、パッケージ(図示せず)に挿入されたときに電子デバイス50を保護する。
【0036】
本開示の一態様によれば、パッシベーション層69は、パッシベーション層69の下方及びパッシベーション層69の上方に延在するカプセル化構造体82によって少なくとも一部が覆われる。カプセル化構造体は、電子デバイス50の残りの部分に対するパッシベーション層69の密着を改善する機能を有し、したがって、以下では、カプセル化構造体及びカプセル化構造体を形成する層は、それぞれ「密着改善構造体」又は「密着改善層」とも呼ばれる。
【0037】
カプセル化構造体82は、特に、アノードメタライゼーション58及び絶縁層61の上方に(特に、アノードメタライゼーション58及び絶縁層61と直接接触して)、かつパッシベーション層69の下方に(特に、パッシベーション層69と直接接触して)延在する第1の部分82a(第1のカプセル化層又は第1の密着改善層)を備える。換言すれば、第1のカプセル化層82aは、パッシベーション層69と下地層、ここではメタライゼーション58及び絶縁層61との間の界面として働く。
【0038】
一実施形態(図2)では、第1のカプセル化層82aは、パッシベーション層69の下側69bの延在部全体にわたって延在する。特に、第1のカプセル化層82aは、パッシベーション層69の下側69bに相当する延在部よりも大きい延在部を有する(すなわち、第1のカプセル化層82aは、側方部分69cを越えて延在する)。
【0039】
カプセル化構造体82は、第1のカプセル化層82aに到達して接触するまで、パッシベーション層69の上側69a上及び側方部分69c上に延在する第2の部分82b(第2のカプセル化層又は第2の密着改善層)を更に備え、第1のカプセル化層は側方部分69cを越えて突出する。このようにして、第1のカプセル化層82aと第2のカプセル化層82bとの間の接触領域70は、第1のカプセル化層82aと第2のカプセル化層82bとの間に物理的結合要素を提供し、第2のカプセル化層82bを第1のカプセル化層82aに接合するように構成されることにより、起こり得るパッシベーション層69の剥離を未然に防ぐ。
【0040】
第1のカプセル化層82aと第2のカプセル化層82bは、スクライブラインを収容するための専用の領域には延在しない。
【0041】
図3に示される更なる実施形態では(図2の要素と共通の要素は同じ参照番号で識別され、更に説明されない)、第1のカプセル化層82aは、パッシベーション層69の下側69bの延在部全体にわたって延在し、特に、パッシベーション層69の下側69bに相当する延在部に等しい延在部を有する(すなわち、第1のカプセル化層82aは側方部分69cを超えて延在しない)。第2のカプセル化層82bは、パッシベーション層69上だけでなく、図3の右側に表示される半導体本体53の上面53a上、及び図3の左側に表示されるメタライゼーション58上にも延在し、それぞれの結合領域72を形成する。結合領域72は、第2のカプセル化層82bと下地層(基板53c/メタライゼーション58の上面)との間のそれぞれの接触部分72aと、第2のカプセル化層82bと第1のカプセル化層82aとの間のそれぞれの横方向の接触部分72bとを備える。このようにして、パッシベーション層69はカプセル化されるので、起こり得るパッシベーション層69の剥離を未然に防ぐ。
【0042】
以下で説明する態様は、本開示の全ての実施形態、特に、上述した図2並びに図3の実施形態、及び以下で説明する図4図6の実施形態に適用される。
【0043】
本開示の一態様によれば、カプセル化構造体82は、中断することなく(継ぎ目なく)かつ界面なしにパッシベーション層69の周りに延在する。この場合、第1のカプセル化層82a及び第2のカプセル化層82bの両方は同じ材料である。この実施形態では、製造工程の終了時に、第1のカプセル化層82a及び第2のカプセル化層82bは単一の本体を形成する。
【0044】
本開示の更なる態様では、第1のカプセル化層82a及び第2のカプセル化層82bは、互いに異なるそれぞれの材料である。
【0045】
一般に、第1のカプセル化層82a及び第2のカプセル化層82bの材料は、パッシベーション層69の層間剥離及び/又は分離を防止するために、パッシベーション層69の材料及び下地層(ここでは層58及び61)に対する所定の密着特性を有するように構成される。第1のカプセル化層82a及び第2のカプセル化層82bは、パッシベーション層69のクラックを防止するための保護層としても機能する。
【0046】
前述の目的のための材料は、酸化アルミニウム(又はアルミナ)Al及び酸化ハフニウムHfが含まれ、とりわけ、パッシベーション層69が、ポリイミド、HfO、ZrO、TiO、Ta、TiN、ZnO、AZO、GZOの中からの材料である場合である。
【0047】
本出願人は、ALD(Atomic Layer Deposition、原子層堆積)技術による堆積が、本開示の目的に適した密着及び保護の特性を有するカプセル化層82a、82bを形成するのに有効であることを検証した。カプセル化層82a、82bは、例えば、8nm~100nm、特に10nm~50nmの厚さを有する。
【0048】
本開示の一態様では、第1のカプセル化層82a及び第2のカプセル化層82bはいずれもAlである。
【0049】
本開示の更なる態様では、第1のカプセル化層82a及び第2のカプセル化層82bはいずれもHfである。
【0050】
本開示の更なる態様では、第1のカプセル化層82aはAlであり、第2のカプセル化層82bはHfである。
【0051】
本開示の更なる態様では、第1のカプセル化層82aはHfであり、第2のカプセル化層82bはAlである。
【0052】
パッシベーション層69に使用される材料に応じて、パッシベーション層69への密着特性を有する他の材料が選択されてもよいことは明らかである。
【0053】
前述の密着特性に加えて、本出願人は、Hf及びAlが湿度バリア特性を有することを検証した。
【0054】
図4は、更なる実施形態を示す。図2及び図3に共通の要素は、同じ参照番号で示され、更に説明されない。図4図3に示したタイプの結合領域72を示しているが、図4の実施形態はこの態様に限定されないことに留意されたい。実際、図2に参照番号70で示すタイプの結合領域は、図4の実施形態にも同様に適用することができる。
【0055】
図4に示す実施形態では、第2のカプセル化層82bとパッシベーション層69との間に1つ以上のアンカー素子84が形成される。図4を参照すると、各アンカー素子84は、パッシベーション層69を貫通して形成された開口部又は窪み86を通って延在する。開口部86は、設計段階中に自由に選択された形状、例えば、円形、楕円形、一般的な多角形、又は不規則な形状を有する。
【0056】
各アンカー素子84は、開口部86の形状に従い、パッシベーション層69への第2のカプセル化層82bの接合(密着)を更に改善させるためのものである。したがって、それぞれのアンカー素子84を収容する空洞86は、アンカー素子84の形状に対して相補的な形状を有する。換言すれば、各アンカー素子84は、それを収容する空洞を完全に充填する。
【0057】
各アンカー素子84は、第2のカプセル化層82bと同じ材料であるため、第2のカプセル化層82bと一体構造であり、すなわちモノリシック構造体を形成する。各アンカー素子84は、例えば、第2のカプセル化層82bの材料を形成(堆積)する工程中に、第2のカプセル化層82bと同時に形成される。
【0058】
開口部86は、パッシベーション層69の上面の一般的な粗さ又は粒度によって置き換えられてもよい。
【0059】
前述したように、本出願人は、本開示の目的のための密着特性が、一実施形態において、第2のカプセル化層82bのALD堆積によって得られる可能性があることを検証した。しかしながら、図4の場合には、アンカー素子84の存在自体が上述の密着特性を得るのに十分であるので、他のタイプの堆積、例えばCVD堆積を使用してもよい。
【0060】
図5図2図4と共通の要素は同じ参照番号を有し、更に説明されない)は、物理アンカー88がパッシベーション層69と半導体本体53との間に形成されている、更なる実施形態を示す。図5のアンカー88は、前述した実施形態のいずれにも適用することができる。アンカー素子88は、パッシベーション層69から(特に、Z軸の方向に沿って)突出し、第1のカプセル化層82aを貫通して、絶縁層61の内部を半導体本体53の上面53aに達するまで延在する。アンカー素子88は、パッシベーション層69を絶縁層61に固定し、接合する。アンカー素子88は、パッシベーション層69と一体であり、特に、同じパッシベーション層69の延長部である。したがって、アンカー素子88は、中断することなく(継ぎ目なく)かつ界面なしにパッシベーション層69から延在し、パッシベーション層69と同じ材料である。換言すれば、アンカー素子88及びパッシベーション層69は、単一の又はモノリシックな本体を形成する。アンカー素子82は、カプセル化層82aを貫通して形成された貫通孔内に延在し、貫通孔を充填する。この貫通孔は、設計工程中に自由に選択された形状、例えば、円形、楕円形、又は多角形の形状を有し、X軸に沿った直径は、数マイクロメートルに等しく、例えば2~5μmに等しい。アンカー素子88は、活性領域54の外側、特にエッジ終端領域60の外側に形成される。換言すれば、アンカー素子88は、エッジ終端領域60と側面53cとの間に介在する。エッジ終端領域60が存在しない場合、アンカー素子88は、デバイスの電気的に受動的な領域において、活性領域54の外側、すなわち、活性領域54と側面53cとの間に形成される。アンカー素子88は、パッシベーション層69を絶縁層61に接合するようにパターニングされ、パッシベーション層69の密着を更に改善し、パッシベーション層69の層間剥離及び/又は分離を防止及び/又は回避するためのものである。特に、アンカー素子88は、パッシベーション層69と絶縁層61とを互いに結合して一体化するように、絶縁層61内に延在するハウジング又は空洞内に収容されて嵌合される。アンカー素子88を収容する空洞は、アンカー素子88の形状に対して相補的な形状を有する。換言すれば、アンカー素子88は、それを収容する空洞を完全に充填する。
【0061】
図6図2図5と共通の要素は同じ参照番号を有し、更に説明されない)は、1つ以上のアンカー素子92が、Z軸に沿って厚さ全体にわたってパッシベーション層69を横断するそれぞれの1つ以上のトレンチ94内に延在する更なる実施形態を示す。この実施形態では、アンカー素子92は、第1のカプセル化層82aを第2のカプセル化層82bに接続する。
【0062】
この実施形態では、トレンチ94は、パッシベーション層69をエッチングする工程によって形成され、次いで、アンカー素子92は、第2のカプセル化層82bを形成する工程中に、第2のカプセル化層82bを形成するために使用されるのと同じ材料でこれらのトレンチ94を充填することによって形成される。トレンチ94のZ軸に沿った延長が許容される場合、アンカー素子92及び第2のカプセル化層82bは、ALD堆積によって同時に形成される。代替的に、CVD堆積を使用して、トレンチ94を充填し、アンカー素子92を形成し、同時に第2のカプセル化層82bを形成してもよい。
【0063】
この実施形態の非限定的な態様によれば、パッシベーション層69の厚さは、パッシベーション層69の延在部全体に沿って均一でない可能性がある(典型的には均一でない)ので、そのようなトレンチ94及び相対するアンカー素子92は、パッシベーション層69の(Z軸に沿った)より薄い部分に形成されてもよい。
【0064】
図6に示されるタイプのアンカー素子は、それ自体明白な様式で、前述の実施形態のいずれかにおいて実装されてもよい。
【0065】
第1のカプセル化層82aと第2のカプセル化層82bとの間のアンカー素子92は、第1のカプセル化層82aと第2のカプセル化層82bとの間にそれぞれの物理的結合要素を提供し、第2のカプセル化層82bを第1のカプセル化層82aに接合するように構成され、パッシベーション層69をカプセル化することにより、パッシベーション層69の起こり得る剥離を未然に防ぐ。
【0066】
図7の実施形態は、図6に基づく(図6と共通の要素は同じ参照番号を有し、更に説明されない)。図7の実施形態では、図2又は図3の接続領域70又は72が省略されている。換言すれば、第2のカプセル化層は、パッシベーション層69の側壁69c上に延在しないか、又は側壁69c上に一部にのみ延在する。
【0067】
図7は、本開示の更なる態様による、電子デバイス100の更なる実施形態を示す。
【0068】
図7は、図1図6の軸X、Y、Zの同じ直交(3軸)基準系における側断面図で、電子デバイス100を示す。特に、デバイス100は、図1図6を参照して説明したものと同様に、JBSダイオードである。しかしながら、図7の実施形態は、このJBSデバイスに限定されず、他のタイプの電子デバイス、特に、例えば、MOSFET、IGBT、MPS、ショットキーダイオード、PNダイオード、PiNダイオードなどのパワーデバイスへの用途も見出される。
【0069】
電子デバイス100は、以下で説明する要素を備え、図2図6の実施形態に共通の要素は、同じ参照番号で識別される。
【0070】
N型又はP型SiC(以下、非限定ではあるがN型のみを参照する)の半導体本体53(例えば、基板53′及び任意選択的にその上に成長させた1つ以上のエピタキシャル層53”を含む)は、Z軸の方向に沿って後面53bに対向する前面53aを備える。半導体本体53は、電子デバイス100のドリフト層として機能するエピタキシャル層53’‘をその上に成長させた基板53’を含み、いずれもN型SiC(特に4H-SiCであるが、これに限定されず、2H-SiC、3C-SiC、及び6H-SiCなどの他のポリタイプが使用されてもよい)である。例えば、基板53’は、1・1019at/cm~1・1022at/cmに含まれるN型ドーパント濃度を有し、表面53aと53bとの間でZ軸に沿って測定された、300μm~450μmに含まれ、特に約360μmに等しい厚さを有する。ドリフト層53’‘は、それぞれのドーパント濃度が基板のドーパント濃度より低く、厚さが例えば5~15μmである。
【0071】
オーミックコンタクト層56(例えば、ニッケルシリサイド)は、後面53b上に延在し、メタライゼーション57、この例では、例えば、Ti/NiV/Ag又はTi/NiV/Auのカソードメタライゼーションが、オーミックコンタクト領域56上に延在する。
【0072】
1つ以上のP型ドープ領域59’が、半導体本体53内(特にドリフト層内)に延在し、上面53aに面している。各ドープ領域59’は、各ドープ領域59’がそれぞれのジャンクションバリア(JB)素子59を形成するように、それぞれのオーミックコンタクト(図示せず、既知のタイプのもの)を収容する。エッジ終端領域又はガードリング60、特に更なるP型ドープ領域は、ドリフト層内に延在し、上面53aに面し、JB素子59を(平面図において、軸X及びYによって画定されるXY平面上で)完全に囲む。エッジ終端領域60は省略されてもよい。
【0073】
絶縁層61(絶縁材料又は誘電体材料、例えば、酸化シリコン、TEOS)は、JB素子59を(XY平面上で見て)完全に取り囲むように、かつガードリング60(存在する場合)と部分的に重なるように、上面53a上に延在する。
【0074】
この例では例えばTi/AlSiCu又はNi/AlSiCuのアノードメタライゼーションであるメタライゼーション58は、絶縁層61によって外部に区切られた上面53aの一部分(すなわち、JB素子59/活性領域54の部分)上、及び部分的に絶縁層61上に延在する。
【0075】
ポリイミド(例えば、PIX)などのポリマー材料のパッシベーション層69は、アノードメタライゼーション58上及び絶縁層61上に延在する。パッシベーション層69は、上側69aと、Z軸方向に沿って上側69aに対向する下側69bと、上側69aを下側69bに接続する側方部分69cとによって区切られている。
【0076】
1つ以上のショットキーダイオード62が、ドープ領域59’に対して横方向に、半導体本体53とアノードメタライゼーション58との間の界面に形成される。特に、ショットキージャンクション(半導体-金属)は、アノードメタライゼーション58のそれぞれの部分と直接電気的に接触する半導体層53の部分によって形成される。
【0077】
更に、それぞれのドープ領域59’内に延在する各オーミックコンタクトは、それを収容するドープ領域59’の電気抵抗値よりも低い電気抵抗値を有する電気接続を提供する。したがって、JB素子59は、P-i-Nダイオードである。
【0078】
JB素子59及びショットキーダイオード62を含む電子デバイス100の領域(すなわち、ガードリング60によって区切られた領域)は、電子デバイス100の活性領域54である。
【0079】
活性領域54の外側にすなわち、エッジ終端領域60を越えて、半導体本体53の側面53cが存在し、例えば、上面53aに実質的に直交して延在する。側面53cは、複数の電子デバイス100が設けられたSiCウェハのダイシング又は個片化工程の後に形成される。ダイシング工程は、電子デバイス100を同じウェハの別のデバイス100から分離する機能を有する。ダイシングは、電子デバイス100が得られるSiCウェハのスクライブライン(図示せず)で行われる。このスクライブラインは、XY平面において、活性領域54、ガードリング60及び絶縁層61の間隔をあけて囲む。
【0080】
例えばベークライトなどの樹脂の保護層74は、パッシベーション層69の上方に延在して、パッケージ(図示せず)に挿入されたときに電子デバイス50を保護する。
【0081】
本開示の一態様によれば、界面層102は、パッシベーション層69と下にあるメタライゼーション58及び絶縁層61との間に連続的に延在する。特に、界面層102は、一方の側でアノードメタライゼーション58及び絶縁層61と直接接触し、それに対向する側でパッシベーション層69と直接接触する。
【0082】
界面層102は、少なくともパッシベーション層69の下側69bの延在部全体にわたって延在する。界面層102は、スクライブラインを収容するための専用領域には延在しない。
【0083】
本開示の一態様によれば、界面層102の材料は、パッシベーション層69の層間剥離及び/又は分離を防止するために、パッシベーション層69の材料及び層58並びに層61に対する所定の密着特性を有するように構成される。この目的のための材料は、酸化アルミニウム(又はアルミナ)Al及び酸化ハフニウムHfを含む。本出願人は、ALD(原子層堆積)技術による堆積が、本開示の目的に適した密着及び保護の特性を有するカプセル化層82a、82bを形成するのに有効であることを検証した。界面層102は、例えば、8nm~100nm、特に10nm~50nmに含まれる厚さを有する。前述の密着特性に加えて、本出願人は、Hf又はAlの界面層102が湿度バリア特性を有することを検証した。
【0084】
アンカー素子88は、図5を参照して説明したように、図7の実施形態において、それ自体明白な様式で実装されてもよく、したがって、更に説明しない。
【0085】
図8は、本開示の更なる態様による、電子デバイス110の更なる実施形態を示す。
【0086】
図8は、図1図7の軸X、Y、Zの同じ直交(3軸)基準系における側断面図で、電子デバイス110を示す。特に、デバイス110は、図1図7を参照して説明したものと同様に、JBSダイオードである。しかしながら、図8の実施形態は、このJBSデバイスに限定されず、他のタイプの電子デバイス、特に、例えば、MOSFET、IGBT、MPS、ショットキーダイオード、PNダイオード、PiNダイオードなどのパワーデバイスへの用途も見出される。
【0087】
電子デバイス110は、以下で説明する要素を備え、図2図6の実施形態に共通の要素は、同じ参照番号で識別される。
【0088】
N型又はP型SiC(以下、非限定ではあるがN型のみを参照する)の半導体本体53(例えば、基板53′及び任意選択的にその上に成長させた1つ以上のエピタキシャル層53”を含む)は、Z軸の方向に沿って後面53bに対向する前面53aを備える。半導体本体53は、電子デバイス110のドリフト層として機能するエピタキシャル層53’‘をその上に成長させた基板53’を含み、いずれもN型SiC(特に4H-SiCであるが、これに限定されず、2H-SiC、3C-SiC、及び6H-SiCなどの他のポリタイプが使用されてもよい)である。例えば、基板53’は、1・1019at/cm~1・1022at/cmに含まれるN型ドーパント濃度を有し、表面53aと53bとの間でZ軸に沿って測定された、300μm~450μmに含まれ、特に約360μmに等しい厚さを有する。ドリフト層53’’は、それぞれのドーパント濃度が基板のドーパント濃度より低く、厚さが例えば5~15μmである。
【0089】
オーミックコンタクト層56(例えば、ニッケルシリサイド)は、後面53b上に延在し、メタライゼーション57、この例では、例えば、Ti/NiV/Ag又はTi/NiV/Auのカソードメタライゼーションが、オーミックコンタクト領域56上に延在する。
【0090】
1つ以上のP型ドープ領域59’が、半導体本体53内(特にドリフト層内)に延在し、上面53aに面している。各ドープ領域59’は、各ドープ領域59’がそれぞれのジャンクションバリア(JB)素子59を形成するように、それぞれのオーミックコンタクト(図示せず、既知のタイプのもの)を収容する。エッジ終端領域又はガードリング60、特に更なるP型ドープ領域は、ドリフト層内に延在し、上面53aに面し、JB素子59を(平面図において、軸X及びYによって画定されるXY平面上で)完全に囲む。エッジ終端領域60は省略されてもよい。
【0091】
絶縁層61(絶縁材料又は誘電体材料、例えば、酸化シリコン、TEOS)は、JB素子59を(XY平面上で見て)完全に取り囲むように、かつガードリング60(存在する場合)と部分的に重なるように、上面53a上に延在する。
【0092】
この例では例えばTi/AlSiCu又はNi/AlSiCuのアノードメタライゼーションであるメタライゼーション58は、絶縁層61によって外部に区切られた上面53aの一部分(すなわち、JB素子59/活性領域54の部分)上、及び部分的に絶縁層61上に延在する。
【0093】
ポリイミド(例えば、PIX)などのポリマー材料のパッシベーション層69は、アノードメタライゼーション58上及び絶縁層61上に延在する。パッシベーション層69は、上側69aと、Z軸方向に沿って上側69aに対向する下側69bと、上側69aを下側69bに接続する側方部分69cとによって区切られている。
【0094】
ここでは窒化シリコン(SiN)である界面層63は、アノードメタライゼーション58及び絶縁層61の上方に、かつパッシベーション層69の下方に延在している。換言すれば、界面層63は、パッシベーション層69と下地層、ここではメタライゼーション58と絶縁層61との間の界面として働き、上にあるパッシベーション層69の密着を可能にする。
【0095】
1つ以上のショットキーダイオード62が、ドープ領域59’に対して横方向に、半導体本体53とアノードメタライゼーション58との間の界面に形成される。特に、ショットキージャンクション(半導体-金属)は、アノードメタライゼーション58のそれぞれの部分と直接電気的に接触する半導体層53の部分によって形成される。
【0096】
更に、それぞれのドープ領域59’内に延在する各オーミックコンタクトは、それを収容するドープ領域59’の電気抵抗値よりも低い電気抵抗値を有する電気接続を提供する。したがって、JB素子59は、P-i-Nダイオードである。
【0097】
JB素子59及びショットキーダイオード62を含む電子デバイス100の領域(すなわち、ガードリング60によって区切られた領域)は、電子デバイス110の活性領域54である。
【0098】
活性領域54の外側にすなわち、エッジ終端領域60を越えて、半導体本体53の側面53cが存在し、例えば、上面53aに実質的に直交して延在する。側面53cは、複数の電子デバイス110が設けられたSiCウェハのダイシング又は個片化工程の後に形成される。ダイシング工程は、電子デバイス110を同じウェハの別のデバイス110から分離する機能を有する。ダイシングは、電子デバイス110が得られるSiCウェハのスクライブライン(図示せず)で行われる。このスクライブラインは、XY平面において、活性領域54、ガードリング60及び絶縁層61の間隔をあけて囲む。
【0099】
例えばベークライトなどの樹脂の保護層74は、パッシベーション層69の上方に延在して、パッケージ(図示せず)に挿入されたときに電子デバイス110を保護する。
【0100】
本開示によれば、電子デバイス110は、パッシベーション層69の上側69a上及び側方部分69c上に延在している被覆層又はキャップ層112を更に備え、被覆層又はキャップ層112は、図8の右側に表示される半導体本体53の上面53aに達して接触するまで延在し、かつ図8の左側に表示されるメタライゼーション58上に延在し、それぞれの結合領域114を形成する。このようにして、結合領域114は、キャップ層112と、パッシベーション層69に対して横方向にある下地層との間にそれぞれの物理的結合要素を提供し、パッシベーション層69を所定の位置に接合又は維持することにより、パッシベーション層69の起こり得る分離又は層間剥離を未然に防ぐ。
【0101】
界面層112は、スクライブラインを収容するための専用領域には延在しない。
【0102】
キャップ層112の材料は、結合領域114におけるパッシベーション層69及び下地層(ここでは層58及び53”)への材料への所定の密着特性を有するように構成される。
【0103】
前述の目的のための材料は、酸化アルミニウム(又はアルミナ)Al及び酸化ハフニウムHfが含まれ、とりわけ、パッシベーション層69が、ポリイミド、HfO、ZrO、TiO、Ta、TiN、ZnO、AZO、GZOの中からの材料である場合である。
【0104】
本出願人は、ALD(原子層堆積)技術による堆積が、本開示の目的に適した密着及び保護の特性を有するキャップ層112を形成するのに有効であることを検証した。キャップ層112は、例えば、8nm~100nm、特に10nm~50nmに含まれる厚さを有する。
【0105】
前述の密着特性に加えて、本出願人は、Hf又はAlのキャップ層112が湿度バリア特性を有することを検証した。
【0106】
それ自体が明白な様式であり、したがって更に説明しないが、図8の実施形態では、図4を参照して説明したそれぞれの素子84及び/又は図5を参照して説明したアンカー素子88を有する窪み86を実装することが可能である。
【0107】
本開示に従って行われる本開示の特徴の検討から、本開示がもたらす利点は明らかである。
【0108】
特に、説明した1つ以上の密着改善層は、デバイスの残りの部分へのパッシベーション層69の密着を改善し、剥離現象を防止する。したがって、ポリマー材料でパッシベーション層69を形成することが可能であり、(パッシベーション層69の高い絶縁耐力に起因して)電子デバイス50、100の高い電気的性能を保証し、同時に、パッシベーション層69の起こり得る剥離(例えば、電子デバイス50、100の熱サイクル又は使用サイクルの後に起こる)に関連する構造上の問題を排除する。
【0109】
その結果、異なる電位に設定されたメタライゼーション間(例えば、EQRメタライゼーションとアノードメタライゼーション58との間)の放電の結果として電子デバイス50、100を損傷するリスクが回避される。したがって、特に高い熱膨張にさらされ、逆バイアス条件で動作するときに、電子デバイス50、100の信頼性が向上する。
【0110】
説明した製造工程は、出発材料(SiC)に起因する制限なしに、SiCウェハから出発して、それぞれの密着改善素子を含む電子デバイス50及び100をそれぞれ製造することを可能にする。
【0111】
最後に、添付の特許請求の範囲において定義される本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書において記載及び図示される本開示に対して修正及び変形が行われ得ることが明らかである。
【0112】
特に、本開示は、出発基板材料としてSiCを明示的に参照して説明してきたが、本開示は、例えばシリコン、GaNなどの他の半導体材料の基板に基づくデバイスにも適用される。
【0113】
電子デバイス(50、100、110)は、固体本体(53、58、61)であって、固体本体(53)上に電子デバイスの電気的端子(58)を含む、固体本体(53、58、61)と、電気的端子(58)上の、第1の材料のパッシベーション層(69)とを含むものとして要約され得、また、パッシベーション層(69)及び固体本体(53)に結合されており、第1の材料に対する密着の予め定められた又は選択された特性を有する第2の材料のものであり、パッシベーション層(69)及び固体本体(53)を一緒に接合するように構成された第1の密着改善層(82、102、112)を含むことを特徴とする。
【0114】
第2の材料は、Al及びHfのうちのいずれかであり得る。
【0115】
第1の密着改善層(82a、102、112)は、パッシベーション層(69)と直接接触して、固体本体(53、58、61)とパッシベーション層(69)との間に延在し得る。
【0116】
パッシベーション層(69)は、上面(69a)と、固体本体に面する下面(69b)と、上面(69a)を下面(69b)に接続する側面(69c)とを有し得、第1の密着改善層(82、102、112)は、パッシベーション層(69)の上面(69a)上、パッシベーション層(69)の側面(69c)上、及びパッシベーション層(69)の当該側面(69c)に対して横方向の固体本体(53、58、61)上に、連続的に延在し得る。
【0117】
パッシベーション層(69)は、上面(69a)と、固体本体に面する下面(69b)と、上面(69a)を下面(69b)に接続する側面(69c)とを有し得、第2の密着改善層(82b)を更に含み得、第2の密着改善層(82b)は、パッシベーション層(69)の上面(69a)上、パッシベーション層(69)の側面(69c)上、及びパッシベーション層(69)の当該側面(69c)に対して横方向の固体本体(53、58、61)上に、連続的に延在し得る。
【0118】
パッシベーション層(69)は、上面(69a)と、固体本体に面する下面(69b)と、上面(69a)を下面(69b)に接続する側面(69c)とを有し得、第1の密着改善層(82a)は、パッシベーション層(69)の下面(69b)に、かつパッシベーション層(69)の側面(69c)に対して横方向の固体本体上に延在し、第2の密着改善層(82b)を更に含み得、第2の密着改善層(82b)は、パッシベーション層(69)の上面(69a)上、パッシベーション層(69)の側面(69c)上、及びパッシベーション層(69)の側面(69c)に対して横方向の第1の密着改善層(82、102、112)上に、連続的に延在し得る。
【0119】
第1及び第2の密着改善層(82a、82b)は、Al及びHfの中から、同じ材料又は異なる材料であり得る。
【0120】
電子デバイスは、パッシベーション層(69)を通過し、第1の密着改善層(82a)及び第2の密着改善層(82b)に物理的に結合された1つ以上の結合構造体(92、94)を更に含み得る。
【0121】
パッシベーション層(69)は、上面(69a)と、固体本体に面する下面(69b)と、上面(69a)を下面(69b)に接続する側面(69c)とを有し得、第2の密着改善層(82b)を更に含み得、第2の密着改善層(82b)は、パッシベーション層(69)の上面(69a)上に、かつパッシベーション層(69)の側面(69c)上に少なくとも部分的に、連続的に延在し得、当該第2の密着改善層(82b)は、パッシベーション層(69)の当該側面(69c)に対して横方向の固体本体(53、58、61)上には存在せず、パッシベーション層(69)を通過し、第1の密着改善層(82a)及び第2の密着改善層(82b)に物理的に結合された1つ以上の結合構造体(92、94)を更に含み得る。
【0122】
1つ以上の結合構造体(92、94)は、第2の密着改善層(82b)と同じ材料の柱であり得る。
【0123】
パッシベーション層(69)の上面(69a)は、1つ以上の窪み(86)又は粗い部分を有し得る。
【0124】
固体本体は、シリコンカーバイドの半導体本体(53)と、半導体本体(53)の表面(53a)上の絶縁層(61)とを含み得、電気的端子(58)は、一部において半導体本体(53)の表面(53a)上に延在し、かつ一部において絶縁層(61)上に延在しており、当該パッシベーション層は、電気的端子(58)及び絶縁層(61)を完全に覆い、当該第1の密着改善層(82a)は、電気的端子(58)と絶縁層(61)とに直接接触して延在し、電気的端子(58)との間の第1の界面と、パッシベーション層(69)と絶縁層(61)との間の第2の界面とを形成する。
【0125】
電子デバイスは、パッシベーション層(69)から絶縁層(61)に向かって突出し、第1の密着改善層(82a)の開口部を完全に通って延在し、第1の絶縁層(61)内で終端するアンカー素子(88)を更に含み得る。
【0126】
パッシベーション層(69)の材料は、ポリマー材料を含み得る。
【0127】
群から選択される電子デバイスは、ショットキーダイオード、PiNダイオード、PNダイオード、MPSデバイス、JBSダイオード、MOSFET、IGBT、パワーデバイスを含み得る。
【0128】
電子デバイス(50、100、110)を製造するための方法であって、方法は、固体本体(53、58、61)を提供する工程であって、固体本体(53)上に電子デバイスの電気的端子(58)を含む、固体本体(53、58、61)を提供する工程と、電気的端子(58)上に第1の材料のパッシベーション層(69)を形成する工程と、を含むものして要約され得、また、第1の密着改善層(82、102、112)をパッシベーション層(69)及び固体本体(53)に結合する工程を含み、第1の密着改善層(82、102、112)は、第1の材料に対する密着の予め定められた又は選択された特性を有する第2の材料のものであり、パッシベーション層(69)及び固体本体(53)を一緒に接合するように構成されていることを特徴とする。
【0129】
第1の密着改善層(82、102、112)は、Al及びHfの中から選択された材料であり得る。
【0130】
第1の密着改善層(82a、102、112)は、パッシベーション層(69)を形成する工程の前に固体本体(53、58、61)上に形成されてもよく、当該パッシベーション層は、第1の密着改善層と直接接触して形成される。
【0131】
パッシベーション層(69)は、上面(69a)と、固体に面する下面(69b)と、上面(69a)を下面(69b)に接続する側面(69c)とを有し得、第1の密着改善層(82、102、112)は、パッシベーション層(69)の上面(69a)上、パッシベーション層(69)の側面(69c)上、及びパッシベーション層(69)の当該側面(69c)に対して横方向の固体本体(53、58、61)上に、連続的に延在し得る。
【0132】
パッシベーション層(69)は、上面(69a)と、固体本体に面する下面(69b)と、上面(69a)を下面(69b)に接続する側面(69c)とを有し得、第2の密着改善層(82b)を形成する工程を更に含み得、第2の密着改善層(82b)は、パッシベーション層(69)の上面(69a)上、パッシベーション層(69)の側面(69c)上、及びパッシベーション層(69)の当該側面(69c)に対して横方向の固体本体(53、58、61)上に、連続的に延在している。
【0133】
パッシベーション層(69)は、上面(69a)と、固体本体に面する下面(69b)と、上面(69a)を下面(69b)に接続する側面(69c)とを有し得、第1の密着改善層(82a)は、パッシベーション層(69)の側面(69c)に対して横方向の固体本体上に更に延在しており、本方法は、第2の密着改善層(82b)を形成する工程を更に含み得、第2の密着改善層(82b)は、パッシベーション層(69)の上面(69a)上、パッシベーション層(69)の側面(69c)上、及びパッシベーション層(69)の側面(69c)に対して横方向の第1の密着改善層(82、102、112)上に延在する。
【0134】
第1及び第2の密着改善層(82a、82b)は、Al及びHfの中から、同じ材料又は異なる材料であり得る。
【0135】
本方法は、パッシベーション層(69)の上面(69a)上に、1つ以上の窪み(86)又は粗い部分を形成する工程を更に含み得る。
【0136】
パッシベーション層(69)の材料は、ポリマー材料を含み得る。
【0137】
本方法は、パッシベーション層(69)を通過し、第1の密着改善層(82a)及び第2の密着改善層(82b)に物理的に結合された1つ以上の結合構造体(92、94)を形成する工程を更に含み得る。
【0138】
パッシベーション層(69)は、上面(69a)と、固体本体に面する下面(69b)と、上面(69a)を下面(69b)に接続する側面(69c)とを有し得、第2の密着改善層(82b)を形成することを更に含み得、第2の密着改善層(82b)は、パッシベーション層(69)の上面(69a)上に、かつパッシベーション層(69)の側面(69c)上に少なくとも部分的に、連続的に延在しており、当該第2の密着改善層(82b)は、パッシベーション層(69)の当該側面(69c)に対して横方向の固体本体(53、58、61)上には存在せず、パッシベーション層(69)を通過し、第1の密着改善層(82a)及び第2の密着改善層(82b)に物理的に結合された1つ以上の結合構造体(92、94)を形成する工程を更に含み得る。
【0139】
当該1つ以上の結合構造体(92、94)を形成する工程は、第2の密着改善層(82b)を形成する工程と同時に実行されてもよく、CVD又はALD堆積工程を含み得る。
【0140】
第1の密着改善層(82a)は、ALD技法によって形成され得る。
【0141】
第2の密着改善層(82b)は、ALD技法によって形成され得る。
【0142】
上記で説明した様々な実施形態を組み合わせて、更なる実施形態を提供することができる。実施形態の態様は、必要に応じて、様々な特許、出願、及び刊行物の概念を採用するように変更して、更なる実施形態を提供することができる。
【0143】
これらの変更は、上記の詳細な説明に照らして実施形態に対して行うことができる。一般に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、特許請求の範囲を本明細書及び特許請求の範囲に開示された特定の実施形態に限定するように解釈されるべきではなく、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲とともに全ての可能な実施形態を含むように解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は本開示によって限定されるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】