IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロレアルの特許一覧

特開2024-770チオピリジノン化合物の安定化及びチオピリジノン化合物を含む組成物
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000770
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】チオピリジノン化合物の安定化及びチオピリジノン化合物を含む組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20231226BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
A61K8/49
A61Q19/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022099661
(22)【出願日】2022-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 淳
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】エン・ロウ
(72)【発明者】
【氏名】ノエミ・ブロンベルジェ
(72)【発明者】
【氏名】ロマン・タション
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AC122
4C083AC582
4C083AC851
4C083AC852
4C083BB44
4C083CC02
4C083DD23
4C083EE01
4C083EE16
(57)【要約】
【課題】特に組成物が高温下で比較的長時間維持されるとき、チオピリジノン化合物の経時的な安定性が増強されたチオピリジノン化合物を含む組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、(1)少なくとも1種のチオピリジノン化合物、(2)少なくとも1種のpH調節剤、及び(3)水を含む組成物であって、組成物のpHが4.5から6.5である組成物に関する。本発明は、特に組成物が高温下で比較的長時間維持されるときでも、(1)チオピリジノン化合物の経時的な安定性が増強された、(1)チオピリジノン化合物を含む組成物を提供することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)以下の式(I)の化合物、以下の式(I')の互変異性体、これらの塩、これらの水和物等の溶媒和物、これらの光学異性体、これらのラセミ体、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の化合物:
【化1】
(式中、
R1は、
a)水素原子、並びに
b)飽和直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10アルキル基であり、同一であっても異なっていてもよく、
i)-O-R3及び
ii)-S-R3
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている、飽和直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10アルキル基
から選択される基を示し、
R2は、
a)水素原子と、
b)飽和直鎖状C1~C12又は分枝状C3~C12又は環状C3~C8炭化水素基であり、同一であっても異なっていてもよく、
i)-O-R3
ii)-S-R3
iii)-C(O)-O-R3、並びに
iv)1つ以上のヒドロキシル及び/若しくは1つ以上のC1~C8アルコキシ基で任意選択により置換されている、C5~C12アリール基
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている、飽和直鎖状C1~C12又は分枝状C3~C12又は環状C3~C8炭化水素基と、
c)1つ以上のヒドロキシル及び/又は1つ以上のC1~C8アルコキシ基で任意選択により置換されている、C5~C12アリール基と
から選択される基を示し、
R3は、
a)水素原子、及び
b)飽和直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10アルキル基
から選択される基を示す)、
(2)少なくとも1種のpH調節剤、並びに
(3)水
を含み、
pHが、4.5から6.5、好ましくは5から6である、組成物、好ましくは化粧用組成物。
【請求項2】
式(I)及び(I')のR1が、水素原子を表すか、
又は
式(I)及び(I')のR1が、直鎖状(C1~C10)アルキル基若しくは分枝状(C3~C10)アルキル基、特に直鎖状(C1~C6)アルキル基若しくは分枝状(C3~C6)アルキル基、例えばメチル、エチル、n-ペンチル、n-ノニル、イソブチル、より好ましくはエチルを表し、特にR1の前記アルキル基が置換されていない、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
式(I)及び(I')のR2が、水素原子を表すか、
又は
式(I)及び(I')のR2が、直鎖状(C1~C10)アルキル基若しくは分枝状(C3~C10)アルキル基、特に直鎖状(C1~C6)アルキル基若しくは分枝状(C3~C6)アルキル基、例えばメチル、エチル、n-ペンチル、n-ノニル、イソブチル、より好ましくはメチル若しくはエチル基を表し、R2の前記アルキル基が置換されていない、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
式(I)及び(I')のR2が、直鎖状(C1~C10)アルキル基又は分枝状(C3~C10)アルキル基、特に直鎖状(C1~C6)アルキル基又は分枝状(C3~C6)アルキル基、例えばメチル、エチル、n-ペンチル、n-ノニル、イソブチル、より好ましくはメチル又はエチルを表し、前記アルキル基が、上記のi)、ii)、iii)及びiv)から選択される1つ以上の基で置換されており、好ましくは前記アルキル基が、i)、ii)及びiii)から選択される1つ又は2つの基で置換されており、より好ましくはi)及びiii)から選択される1つ又は2つの基で置換されており、より良好にはカルボキシとしての1つの基iii)で置換されている、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
式(I)及び(I')のR2が、(C3~C8)シクロアルキル基、好ましくは(C5~C7)シクロアルキル基、例えばシクロヘキシルを表すか、
又は
式(I)及び(I')のR2が、1つ以上のヒドロキシル及び/若しくは1つ以上のC1~C8アルコキシ基で任意選択により置換されているC5~C12アリール基、好ましくは特に置換されていないフェニル基を表す、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項6】
式(I)及び(I')のR3が、水素原子を表すか、
又は
式(I)及び(I')のR3が、飽和直鎖状C1~C10若しくは分枝状C3~C10アルキル基、特に直鎖状(C1~C6)アルキル基若しくは分枝状(C3~C6)アルキル基、好ましくは(C1~C4)アルキル基、例えばメチル基を表す、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
式(I)及び(I')のR1が、
a)水素原子、並びに
b)飽和直鎖状C1~C6又は分枝状C3~C6アルキル基であり、同一であっても異なっていてもよく、
i)-O-R3及び
ii)-S-R3
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている、好ましくは1つ以上の基i)で任意選択により置換されている、飽和直鎖状C1~C6又は分枝状C3~C6アルキル基
から選択される基を表し、
式(I)及び(I')のR2が、
a)水素原子と、
b)飽和直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10又は環状C3~C8、例えばC5~C6炭化水素基であり、同一であっても異なっていてもよく、
i)-O-R3
ii)-S-R3
iii)-C(O)-O-R3、並びに
iv)1つ以上のヒドロキシル及び/若しくは1つ以上のC1~C4アルコキシ基、例えばメトキシで任意選択により置換されているフェニル基、
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている、好ましくはi)及びiii)から選択される1つ以上の基、好ましくはiii)カルボキシ等で置換されている、飽和直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10又は環状C3~C8、例えばC5~C6炭化水素基と
から選択される基を表し、
式(I)及び(I')のR3が、
a)水素原子、及び
b)飽和直鎖状C1~C6又はC3~C6アルキル基
から選択される基を表し、
優先的には、式(I)の化合物及び互変異性体(I')、これらの塩、これらの水和物等の溶媒和物、これらの光学異性体、これらのラセミ体、及びこれらの混合物において、以下の意味を有する:
式(I)及び(I')のR1が、
a)水素原子、及び
b)飽和直鎖状C1~C4又は分枝状C3~C4アルキル基であり、同一であっても異なっていてもよく、i)-OR3から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている、より好ましくは置換されていない、飽和直鎖状C1~C4又は分枝状C3~C4アルキル基
から選択される基を表し、
式(I)及び(I')のR2が、
a)水素原子と、
b)飽和直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10又は環状C3~C8、例えばC5~C6炭化水素基であり、同一であっても異なっていてもよく、
i)-O-R3
iii)-C(O)-O-R3、並びに
iv)1つ以上のヒドロキシル及び/若しくは1つ以上のC1~C4アルコキシ基で任意選択により置換されているC5~C12アリール基
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている、飽和直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10又は環状C3~C8、例えばC5~C6炭化水素基と
から選択される基を表し、
式(I)及び(I')のR3が、
a)水素原子、
b)飽和直鎖状C1~C4又は分枝状C3~C4アルキル基、例えばメチル又はエチル
から選択される基を表す、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
(1)化合物が、以下の化合物1から24、これらの互変異性体、これらの塩、これらの水和物等の溶媒和物、これらの光学異性体、これらのラセミ体、及びこれらの混合物から、特に化合物1、2、4、6、7、9、11、12、14、15、16、17、18、19、20、又は21から、より特定すると化合物1、9、16、18、19、20、又は21から、好ましくは化合物18、19、20、又は21から選択される、より好ましくは化合物20である、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【表1A】
【表1B】
【表1C】
【表1D】
【請求項9】
前記組成物中の(1)化合物の量が、前記組成物の総質量に対して、0.01質量%~10質量%、好ましくは0.05質量%~5質量%、より好ましくは0.1質量%~3質量%である、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
(2)pH調節剤が、酸性化剤、塩基性化剤、及びこれらの混合物から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物中の(2)pH調節剤の量が、前記組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%である、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物中の(3)水の量が、前記組成物の総質量に対して、20質量%~99質量%、好ましくは30質量%~95質量%、より好ましくは40質量%~90質量%である、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
ケラチン物質、好ましくは皮膚を白色化するためのものである、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
ケラチン物質、好ましくは皮膚のための美容方法、好ましくは白色化方法であって、
請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物を前記ケラチン物質に塗布する工程
を含む、方法。
【請求項15】
(1)以下の式(I)の化合物、以下の式(I')の互変異性体、これらの塩、これらの水和物等の溶媒和物、これらの光学異性体、これらのラセミ体、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の化合物:
【化2】
(式中、
R1は、
a)水素原子、並びに
b)飽和直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10炭化水素基であり、同一であっても異なっていてもよく、
i)-O-R3及び
ii)-S-R3
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている、飽和直鎖状C1~C12又は分枝状C3~C12炭化水素基
から選択される基を示し、
R2は、
a)水素原子と、
b)飽和直鎖状C1~C12又は分枝状C3~C12又は環状C3~C8炭化水素基であり、同一であっても異なっていてもよく、
i)-O-R3
ii)-S-R3、
iii)-C(O)-O-R3、並びに
iv)1つ以上のヒドロキシル及び/若しくは1つ以上のC1~C8アルコキシ基で任意選択により置換されているC5~C12アリール基
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている、飽和直鎖状C1~C12又は分枝状C3~C12又は環状C3~C8炭化水素基と、
c)1つ以上のヒドロキシル及び/又は1つ以上のC1~C8アルコキシ基で任意選択により置換されているC5~C12アリール基と
から選択される基を示し、
R3は、
a)水素原子、及び
b)飽和直鎖状C1~C10又はC3~C10アルキル基
から選択される基を示す)
を含む組成物中での(2)少なくとも1種のpH調節剤の使用であって、
組成物のpHを4.5から6.5に制御して(1)化合物を安定化するための、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チオピリジノン化合物を含む組成物中のチオピリジノン化合物の安定化に関する。
【背景技術】
【0002】
人生のさまざまな時期に、一部の人々は、自分たちの皮膚、より詳細には顔及び手の外観に、より黒い染み及び/又はより有色の染みが見られ、皮膚に不均質さを与える。これらの染みは、特に、皮膚の表面に位置するケラチノサイト中の高濃度メラニンに起因する。
【0003】
色素沈着の染みを処置する目的のためには、効能が良く無害の局所的に脱色する物質の使用が最も特定的に望まれている。
【0004】
例えば、アルブチン、ナイアシンアミド及びコウジ酸は、皮膚の脱色剤として公知である。
【0005】
他方で、WO2017/102349は、新規の脱色剤又は白色化剤、すなわちチオピリジノン化合物を開示している。チオピリジノン化合物は、メラニンの生成を低減することによって強力な脱色又は白色化効果を示すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2017/102349
【特許文献2】EP-A-3390363
【特許文献3】WO2017/102349
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、チオピリジノン化合物は、特にチオピリジノン化合物を含む組成物が高温下で比較的長時間維持されるとき、組成物中で経時的に不安定化する傾向があることが発見されている。
【0008】
したがって、本発明の目的は、特に組成物が高温下で比較的長時間維持されるとき、チオピリジノン化合物の経時的な安定性が増強されたチオピリジノン化合物を含む組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的は、
(1)以下の式(I)の化合物、以下の式(I')の互変異性体、これらの塩、これらの水和物等の溶媒和物、これらの光学異性体、これらのラセミ体、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の化合物:
【0010】
【化1】
【0011】
(式中、
R1は、
a)水素原子、並びに
b)飽和直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10アルキル基であり、同一であっても異なっていてもよく、
i)-O-R3及び
ii)-S-R3
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている、飽和直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10アルキル基
から選択される基を示し、
R2は、
a)水素原子と、
b)飽和直鎖状C1~C12又は分枝状C3~C12又は環状C3~C8炭化水素基であり、同一であっても異なっていてもよく、
i)-O-R3
ii)-S-R3
iii)-C(O)-O-R3、並びに
iv)1つ以上のヒドロキシル及び/若しくは1つ以上のC1~C8アルコキシ基で任意選択により置換されているC5~C12アリール基
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている、飽和直鎖状C1~C12又は分枝状C3~C12又は環状C3~C8炭化水素基と、
c)1つ以上のヒドロキシル及び/又は1つ以上のC1~C8アルコキシ基で任意選択により置換されているC5~C12アリール基と
を含み、
R3は、
a)水素原子、及び
b)飽和直鎖状C1~C10又はC3~C10アルキル基
から選択される基を示す)、
(2)少なくとも1種のpH調節剤、
(3)水
を含む組成物であって、
pHが4.5から6.5、好ましくは5から6である、組成物によって達成することができる。
【0012】
好ましくは、
式(I)及び(I')のR1は、水素原子を表すか、
又は
式(I)及び(I')のR1は、直鎖状(C1~C10)アルキル基又は分枝状(C3~C10)アルキル基、特に直鎖状(C1~C6)アルキル基又は分枝状(C3~C6)アルキル基、例えばメチル、エチル、n-ペンチル、n-ノニル、イソブチル、より好ましくはエチルを表すことがあり、特にR1の前記アルキル基は置換されていない。
【0013】
好ましくは、
式(I)及び(I')のR2は、水素原子を表すか、
又は
式(I)及び(I')のR2は、直鎖状(C1~C10)アルキル基又は分枝状(C3~C10)アルキル基、特に直鎖状(C1~C6)アルキル基又は分枝状(C3~C6)アルキル基、例えばメチル、エチル、n-ペンチル、n-ノニル、イソブチル、より好ましくはメチル又はエチル基を表すことがあり、R2の前記アルキル基は置換されていない。
【0014】
好ましくは、
式(I)及び(I')のR2は、直鎖状(C1~C10)アルキル基又は分枝状(C3~C10)アルキル基、特に直鎖状(C1~C6)アルキル基又は分枝状(C3~C6)アルキル基、例えばメチル、エチル、n-ペンチル、n-ノニル、イソブチル、より好ましくはメチル又はエチルを表すことがあり、前記アルキル基は、上記のi)、ii)、iii)及びiv)から選択される1つ以上の基で置換されており、好ましくは、前記アルキル基は、i)、ii)及びiii)から選択される1つ又は2つの基で置換されており、より好ましくはi)及びiii)から選択される1つ又は2つの基で置換されており、より良好にはカルボキシとしての1つの基iii)で置換されている。
【0015】
好ましくは、
式(I)及び(I')のR2は、(C3~C8)シクロアルキル基、好ましくは(C5~C7)シクロアルキル基、例えばシクロヘキシルを表すか、
又は
式(I)及び(I')のR2は、1つ以上のヒドロキシル及び/又は1つ以上のC1~C8アルコキシ基で任意選択により置換されているC5~C12アリール基、好ましくは特に置換されていないフェニル基を表すことがある。
【0016】
好ましくは、
式(I)及び(I')のR3は、水素原子を表すか、
又は
式(I)及び(I')のR3は、飽和直鎖状C1~C10若しくは分枝状C3~C10アルキル基、特に直鎖状(C1~C6)アルキル基若しくは分枝状(C3~C6)アルキル基、好ましくは(C1~C4)アルキル基、例えばメチル基を表すことがある。
【0017】
より好ましくは、
式(I)及び(I')のR1は、
a)水素原子、並びに
b)飽和直鎖状C1~C6又は分枝状C3~C6アルキル基であり、同一であっても異なっていてもよく、
i)-O-R3及び
ii) -S-R3
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている、好ましくは1つ以上の基i)で任意選択により置換されている、飽和直鎖状C1~C6又は分枝状C3~C6アルキル基
から選択される基を表し、
式(I)及び(I')のR2は、
a)水素原子と、
b)飽和直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10又は環状C3~C8炭化水素基であり、同一であっても異なっていてもよく、
i)-O-R3
ii)-S-R3
iii)-C(O)-O-R3、並びに
iv)1つ以上のヒドロキシル及び/若しくは1つ以上のC1~C4アルコキシ基、例えばメトキシで任意選択により置換されているフェニル基、
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている、好ましくはi)及びiii)から選択される1つ以上の基、好ましくはiii)カルボキシ等で置換されている、飽和直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10又は環状C3~C8炭化水素基と
から選択される基を表し、
式(I)及び(I')のR3は、
a)水素原子、及び
b)飽和直鎖状C1~C6又はC3~C6アルキル基
から選択される基を表し、
優先的には、式(I)の化合物及び互変異性体(I')、これらの塩、これらの水和物等の溶媒和物、これらの光学異性体、これらのラセミ体、及びこれらの混合物は、以下の意味を有する:
式(I)及び(I')のR1は、
a)水素原子、及び
b)飽和直鎖状C1~C4又は分枝状C3~C4アルキル基であり、同一であっても異なっていてもよく、i)-OR3から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている、より好ましくは置換されていない、飽和直鎖状C1~C4又は分枝状C3~C4アルキル基
から選択される基を表し、
式(I)及び(I')のR2は、
a)水素原子と、
b)飽和直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10又は環状C3~C8、例えばC5~C6炭化水素基であり、同一であっても異なっていてもよく、
i)-O-R3
iii)-C(O)-O-R3、並びに
iv)1つ以上のヒドロキシル及び/若しくは1つ以上のC1~C4アルコキシ基で任意選択により置換されているC5~C12アリール基
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている、飽和直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10又は環状C3~C8、例えばC5~C6炭化水素基と
から選択される基を表し、
式(I)及び(I')のR3は、
a)水素原子、
b)飽和直鎖状C1~C4又は分枝状C3~C4アルキル基、例えばメチル又はエチル
から選択される基を表す。
【0018】
(1)化合物は、以下の化合物1から24、これらの互変異性体、これらの塩、これらの水和物等の溶媒和物、これらの光学異性体、これらのラセミ体、及びこれらの混合物、特に化合物1、2、4、6、7、9、11、12、14、15、16、17、18、19、20、又は21、より特定すると1、9、16、18、19、20、又は21、好ましくは18、19、20、又は21、より好ましくは20から選択することができる。
【0019】
【表1A】
【0020】
【表1B】
【0021】
【表1C】
【0022】
【表1D】
【0023】
本発明による組成物中の(1)化合物の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~10質量%、好ましくは0.05質量%~5質量%、より好ましくは0.1質量%~3質量%であってもよい。
【0024】
(2)pH調節剤は、酸性化剤、塩基性化剤、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0025】
本発明による組成物中の(2)pH調節剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%であってもよい。
【0026】
本発明による組成物中の(3)水の量は、組成物の総質量に対して、20質量%~99質量%、好ましくは30質量%~95質量%、より好ましくは40質量%~90質量%であってもよい。
【0027】
本発明による組成物は、ケラチン物質、好ましくは皮膚の白色化のためであってもよい。
【0028】
本発明はまた、ケラチン物質、好ましくは皮膚のための、美容方法、好ましくは白色化方法であって、
本発明による組成物をケラチン物質に塗布する工程
を含む、方法にも関する。
【0029】
本発明の別の態様は、(1)以下の式(I)の化合物、以下の式(I')の互変異性体、これらの塩、これらの水和物等の溶媒和物、これらの光学異性体、これらのラセミ体、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の化合物:
【0030】
【化2】
【0031】
(式中、
R1は、
a)水素原子、並びに
b)飽和直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10アルキル基であり、同一であっても異なっていてもよく、
i)-O-R3及び
ii)-S-R3
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている、飽和直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10アルキル基
から選択される基を示し、
R2は、
a)水素原子と、
b)飽和直鎖状C1~C12又は分枝状C3~C12又は環状C3~C8炭化水素基であり、同一であっても異なっていてもよく、
i)-O-R3
ii)-S-R3
iii)-C(O)-O-R3、並びに
iv)1つ以上のヒドロキシル及び/若しくは1つ以上のC1~C8アルコキシ基で任意選択により置換されているC5~C12アリール基
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている、飽和直鎖状C1~C12又は分枝状C3~C12又は環状C3~C8炭化水素基と、
c)1つ以上のヒドロキシル及び/又は1つ以上のC1~C8アルコキシ基で任意選択により置換されているC5~C12アリール基と
から選択される基を示し、
R3は、
a)水素原子、及び
b)飽和直鎖状C1~C10又はC3~C10アルキル基
から選択される基を示す)
を含む組成物中での(2)少なくとも1種のpH調節剤の使用であって、
組成物のpHを4.5から6.5に制御して(1)化合物を安定化するための、使用である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
鋭意検討の結果、本発明者らは、特に組成物が高温下で比較的長時間維持されるときでも、チオピリジノン化合物、又はチオピリジノン化合物の経時的な安定性が増強されたチオピリジノン化合物を含む組成物を提供することが可能であることを発見した。
【0033】
そのため、本発明による組成物は、
(1)以下の式(I)の化合物、以下の式(I')の互変異性体、これらの塩、これらの水和物等の溶媒和物、これらの光学異性体、これらのラセミ体、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の化合物(以下、「チオピリジノン化合物」と呼ぶ):
【0034】
【化3】
【0035】
(式中、
R1は、
a)水素原子、並びに
b)飽和直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10アルキル基であり、同一であっても異なっていてもよく、
i)-O-R3及び
ii)-S-R3
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている、飽和直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10アルキル基
から選択される基を示し、
R2は、
a)水素原子と、
b)飽和直鎖状C1~C12又は分枝状C3~C12又は環状C3~C8炭化水素基であり、同一であっても異なっていてもよく、
i)-O-R3
ii)-S-R3
iii)-C(O)-O-R3、並びに
iv)1つ以上のヒドロキシル及び/若しくは1つ以上のC1~C8アルコキシ基で任意選択により置換されているC5~C12アリール基
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている、飽和直鎖状C1~C12又は分枝状C3~C12又は環状C3~C8炭化水素基と、
c)1つ以上のヒドロキシル及び/又は1つ以上のC1~C8アルコキシ基で任意選択により置換されているC5~C12アリール基と
から選択される基を示し、
R3は、
a)水素原子、及び
b)飽和直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10アルキル基
から選択される基を示す)、
(2)少なくとも1種のpH調節剤、
(3)水
を含み、
組成物のpHは、4.5から6.5、好ましくは5から6である。
【0036】
本発明による組成物は、その中に含まれる(1)チオピリジノン化合物の増強された安定性を示すことができる。
【0037】
換言すると、本発明による組成物は、その中の(1)チオピリジノン化合物の安定性を増強させることができる。(1)チオピリジノン化合物の「安定性」という用語は、特定の期間の間の、本発明による組成物中の(1)チオピリジノン化合物の量における変化によって決定することができる。増強された「安定性」とは、(1)チオピリジノン化合物の量における経時的な変化が更に限定されることを意味する。
【0038】
本発明による組成物は、組成物が55℃等の高温下で比較的長期間、例えば2週間維持されるときでも、その中の(1)チオピリジノン化合物の増強された安定性を示すことができる。
【0039】
したがって、本発明による組成物は、高温条件下で長期間にわたり、保存することができる。
【0040】
加えて、(1)チオピリジノン化合物の増強された安定性は、脱色剤又は白色化剤として機能することができる(1)チオピリジノン化合物の改善された又は増強されたバイオアベイラビリティをもたらすことができる。したがって、本発明による組成物は、増強された又は改善された脱色又は白色化効果をもたらすことができる。
【0041】
以下に、本発明による組成物、使用等を詳細に説明する。
【0042】
[組成物]
本発明による組成物は、
(1)少なくとも1種のチオピリジノン化合物、
(2)少なくとも1種のpH調節剤、及び
(3)水
を含み、
本組成物のpHは4.5から6.5である。
【0043】
(1)チオピリジノン化合物、(2)pH調節剤、及び(3)水、並びに本発明による組成物の他の特徴を、以下に説明する。
【0044】
(チオピリジノン化合物)
本発明による組成物は、(1)少なくとも1種のチオピリジノン化合物を含む。2種以上の(1)チオピリジノン化合物を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプの(1)チオピリジノン化合物、又は異なるタイプの(1)チオピリジノン化合物の組合せを使用することができる。
【0045】
(1)チオピリジノン化合物は、以下の式(I)の化合物、以下の式(I')の互変異性体、これらの塩、これらの水和物等の溶媒和物、これらの光学異性体、これらのラセミ体、及びこれらの混合物から選択される:
【0046】
【化4】
【0047】
(式中、
R1は、
a)水素原子、並びに
b)飽和直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10アルキル基であり、同一であっても異なっていてもよく、
i)-O-R3及び
ii)-S-R3
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている、飽和直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10アルキル基
から選択される基を示し、
R2は、
a)水素原子と、
b)飽和直鎖状C1~C12又は分枝状C3~C12又は環状C3~C8炭化水素基であり、同一であっても異なっていてもよく、
i)-O-R3
ii)-S-R3、
iii)-C(O)-O-R3、並びに
iv)1つ以上のヒドロキシル及び/若しくは1つ以上のC1~C8アルコキシ基で任意選択により置換されているC5~C12アリール基
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている、飽和直鎖状C1~C12又は分枝状C3~C12又は環状C3~C8炭化水素基と、
c)1つ以上のヒドロキシル及び/又は1つ以上のC1~C8アルコキシ基で任意選択により置換されているC5~C12アリール基と
から選択される基を示し、
R3は、
a)水素原子、及び
b)飽和直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10アルキル基
から選択される基を示す)。
【0048】
本発明の目的では、別段指定されない限り、以下の通りである:
- 「飽和直鎖状C1~C12又は分枝状C3~C12」炭化水素基は、飽和直鎖状C1~C12又はC3~C12炭化水素系基、好ましくは直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10炭化水素系基、より好ましくは直鎖状C1~C6又は分枝状C3~C6炭化水素系基に相当する「直鎖状(C1~C12)アルキル又は分枝状(C3~C12)アルキル基」と同等である。優先的には、直鎖状又は分枝状の基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル及びtert-ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル及びデシルから選択することができる。より優先的には、飽和直鎖状又は分枝状アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル及びtert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル及びオクチル、例えばメチル、エチル、n-ペンチル、n-ノニル、イソブチルから選択することができる。
- 飽和「環状C3~C8」炭化水素基は、3~8個の炭素原子を含有する単環式又は二環式シクロアルキル基であり、特にシクロヘキシル基等のC5~C7中の単環式シクロアルキル基である。
- 「アルコキシ基」は、アルキル基が直鎖状又は分枝状C1~C16、優先的にはC1~C8炭化水素系基であるアルキル-オキシ基である。
- アルコキシ基が任意選択により置換されているとき、これはアルキル基が上記の通りに任意選択により置換されていることを示唆する。
- 「アリール」基は、5~12個の炭素原子、好ましくは6~10個の炭素原子を含み、少なくとも1つの環が芳香族である縮合又は非縮合単環式又は二環式炭素系基を表し、優先的には、アリール基は、フェニル、ビフェニル、ナフチル、より好ましくはフェニル基である。
- 用語「少なくとも1つ(種)の」は、用語「1つ(種)以上の」と同義である。
- 濃度範囲に関する用語「両端を含む」とは、該範囲の上下限が所定の範囲内に含まれることを意味する。
【0049】
下記の式(I)、(I')、(II)、又は(II')の化合物の塩には、前記化合物の従来型の非毒性塩、例えば有機若しくは無機酸から又は有機若しくは無機塩基から形成されるものが含まれる。
【0050】
式(I)、(I')、(II)、又は(II')の化合物の塩として、
式(I)又は(II)の化合物を、
- 例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム、水酸化リチウム、及び炭酸ナトリウム、炭酸カリウム若しくは炭酸カルシウム又は炭酸水素塩等の無機塩基、
或いは
- 第一級、第二級、又は第三級アルキルアミン、例えばトリエチルアミン又はブチルアミン等の有機塩基
に添加することによって得られる塩を挙げることができる。この第一級、第二級又は第三級アルキルアミンは、1個以上の窒素原子及び/又は酸素原子を含んでもよく、したがって、例えば、1つ以上のアルコール官能基を含んでもよい。特に、2-アミノ-2-メチルプロパノール、エタノールアミン、トリエタノールアミン、2-ジメチルアミノプロパノール、2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール及び3-(ジメチルアミノ)プロピルアミンを挙げることができる。
【0051】
また、アミノ酸、例としてはリジン、アルギニン、グアニジン、グルタミン酸及びアスパラギン酸の塩も挙げることができる。有利には、式(I)又は(II)の化合物(それがカルボキシ基を含むとき)の塩は、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩から、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩又はマグネシウム塩、及びアンモニウム塩から選択することができる。
【0052】
「有機又は無機酸塩」は、より特定すると、i)塩酸HCl、ii)臭化水素酸HBr、iii)硫酸H2SO4、iv)アルキルスルホン酸: Alk-S(O)2OH、例えばメタンスルホン酸及びエタンスルホン酸、v)アリールスルホン酸: Ar-S(O)2OH、例えばベンゼンスルホン酸及びトルエンスルホン酸、vi)クエン酸、vii)コハク酸、viii)酒石酸、ix)乳酸、x)アルコキシスルフィン酸: Alk-O-S(O)OH、例えばメトキシスルフィン酸及びエトキシスルフィン酸、xi)アリールオキシスルフィン酸、例えばトルエンオキシスルフィン酸及びフェノキシスルフィン酸、xii)リン酸H3PO4、xiii)酢酸CH3C(O)OH、xiv)トリフルオロメタンスルホン酸CF3SO3H、並びにxv)テトラフルオロホウ酸HBF4から誘導される塩から選択される塩から選択される。
【0053】
本明細書に記載される化合物の許容される溶媒和物は、溶媒が存在する結果として前記化合物の調製中に形成されるもの等の従来型の溶媒和物を含む。例として、水の存在、又は直鎖状若しくは分枝状アルコール、例えばエタノール若しくはイソプロパノールの存在に起因する、溶媒和物を挙げることができる。
【0054】
光学異性体は、特に、エナンチオマー及びジアステレオ異性体である。
【0055】
化合物(I')は、以下のスキームによる互変異性平衡が存在するとき、化合物(I)の互変異性体の形態である:
【0056】
【化5】
【0057】
本発明の一実施形態によれば、R1は水素原子を表す。
【0058】
本発明の別の実施形態によれば、R1は、直鎖状(C1~C10)アルキル基又は分枝状(C3~C10)アルキル基、特に直鎖状(C1~C6)アルキル基又は分枝状(C3~C6)アルキル基、例えばメチル、エチル、n-ペンチル、n-ノニル、イソブチル、より好ましくはエチルを表す。特に、R1の前記アルキル基は置換されていない。
【0059】
本発明の一実施形態によれば、R2は水素原子を表す。
【0060】
本発明の別の実施形態によれば、R2は、直鎖状(C1~C10)アルキル基又は分枝状(C3~C10)アルキル基、特に直鎖状(C1~C6)アルキル基又は分枝状(C3~C6)アルキル基、例えばメチル、エチル、n-ペンチル、n-ノニル、イソブチル、より好ましくはメチル又はエチル基を表し、R2の前記アルキル基は置換されていない。
【0061】
本発明の別の実施形態によれば、R2は、直鎖状(C1~C10)アルキル基又は分枝状(C3~C10)アルキル基、特に直鎖状(C1~C6)アルキル基又は分枝状(C3~C6)アルキル基、例えばメチル、エチル、n-ペンチル、n-ノニル、イソブチル、より好ましくはメチル又はエチルを表し、前記アルキル基は、上記のi)、ii)、iii)及びiv)から選択される1つ以上の基によって置換されている。好ましくは、前記アルキル基は、i)、ii)及びiii)から選択される1つ又は2つの基で、より好ましくはi)及びiii)から選択される1つ又は2つの基で、より良好にはカルボキシとしての1つの基iii)で置換されている。
【0062】
基R2の別の変形形態は、前記アルキル基が1つの基iv)で置換されている、特に1つのフェニル基で置換されているものである。
【0063】
本発明の別の実施形態によれば、R2は、(C3~C8)シクロアルキル基、好ましくは(C5~C7)シクロアルキル基、例えばシクロヘキシルを表す。
【0064】
本発明の別の実施形態によれば、R2は、1つ以上のヒドロキシル及び/又は1つ以上のC1~C8アルコキシ基で任意選択により置換されているC5~C12アリール基、好ましくは特に置換されていないフェニル基を表す。
【0065】
一実施形態によれば、R3は水素原子を表す。
【0066】
別の実施形態によれば、R3は、飽和直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10アルキル基、特に直鎖状(C1~C6)アルキル基又は分枝状(C3~C6)アルキル基、好ましくは(C1~C4)アルキル基、例えばメチル基を表す。
【0067】
好ましくは、単独又は混合物としての、式(I)の化合物及び互変異性体(I')又はこれらの塩、これらの光学異性体、ラセミ体、及び/又はこれらの水和物等の溶媒和物は、
以下の意味を有する:
R1は、
a)水素原子、並びに
b)飽和直鎖状C1~C6又は分枝状C3~C6アルキル基であり、同一であっても異なっていてもよく、
i)-O-R3及び
ii)-S-R3
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている、飽和直鎖状C1~C6又は分枝状C3~C6アルキル基
から選択される基を示し、
R2は、
a)水素原子、
b)飽和直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10又は環状C3~C8炭化水素基であり、同一であっても異なっていてもよく、
i)-O-R3
ii)-S-R3、
iii)-C(O)-O-R3、並びに
iv)1つ以上のヒドロキシル及び/若しくは1つ以上のC1~C4アルコキシ基、例えばメトキシで任意選択により置換されているフェニル基
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている、好ましくはi)及びiii)から選択される1つ以上の基で置換されている、好ましくはiii)カルボキシ等で置換されている、飽和直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10又は環状C3~C8炭化水素基
から選択される基を示し、
R3は、
a)水素原子、及び
b)飽和直鎖状C1~C6又はC3~C6アルキル基
から選択される基を示す。
【0068】
優先的には、単独又は混合物としての、式(I)の化合物及び互変異性体(I')又はこれらの塩、これらの光学異性体、ラセミ体、及び/又はこれらの水和物等の溶媒和物は、
以下の意味を有する:
R1は、
a)水素原子、及び
b)飽和直鎖状C1~C4又は分枝状C3~C4アルキル基であり、同一であっても異なっていてもよく、i)-OR3から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている、より好ましくは置換されていない、飽和直鎖状C1~C4又は分枝状C3~C4アルキル基
から選択される基を示し、
R2は、
a)水素原子、並びに
b)飽和直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10又は環状C3~C8、例えばC5~C6炭化水素基であり、同一であっても異なっていてもよく、
i)-O-R3
iii)-C(O)-O-R3
iv)1つ以上のヒドロキシル及び/若しくは1つ以上のC1~C4アルコキシ基で任意選択により置換されているC5~C12アリール基
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている、飽和直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10又は環状C3~C8、例えばC5~C6炭化水素基
から選択される基を示し、
R3は、
a)水素原子、及び
b)飽和直鎖状C1~C4又は分枝状C3~C4アルキル基、例えばメチル又はエチル
から選択される基を示す。
【0069】
優先的には、単独又は混合物としての、式(I)の化合物及び互変異性体(I')又はこれらの塩、これらの光学異性体、ラセミ体、及び/又はこれらの水和物等の溶媒和物は、
以下の意味を有する:
R1は水素原子であり、
R2は、
a)水素原子、及び
b)飽和直鎖状C1~C5又は分枝状C3~C5又は環状C3~C8、例えばC5~C6炭化水素基であり、同一であっても異なっていてもよく、v)-C(O)-O-R3から選択される1つ以上の基で置換されている、好ましくは1つの基iii)-C(O)-O-R3で置換されている、飽和直鎖状C1~C5又は分枝状C3~C5又は環状C3~C8、例えばC5~C6炭化水素基から選択される基を示し、R2は、更により好ましくは、1つの基iii)-C(O)-O-R3で置換されている飽和直鎖状C1~C4又は分枝状C3~C4炭化水素基であり、
R3は、
a)水素原子、及び
b)飽和直鎖状C1~C4又は分枝状C3~C4アルキル基、例えばメチル又はエチル
から選択される基を示す。
【0070】
別の好ましい実施形態によれば、式(I)の化合物及び互変異性体(I')は、単独の又は混合物としての、以下の式(II)の化合物及び以下の式(II')のその互変異性体、これらの塩、これらの溶媒和物及びこれらの光学異性体、並びにこれらのラセミ体の中から選択される。
【0071】
【化6】
【0072】
式(II)及び(II')中、R1及びR3は、式(I)及び(I')の化合物中のR1及びR3と同じ意味を有し、Xは、アルキレン基-(CH2)n-を示し、nは両端を含めた1~10の範囲、好ましくは1~6の範囲、より好ましくは1~4の範囲、例えば1の整数であり、好ましくは、R3は水素原子を表す。
【0073】
式(I)の化合物のうち、単独の又は混合物としての、以下の化合物及びこれらの互変異性体又はこれらの塩、これらの光学異性体、ラセミ体、及び/又はこれらの水和物等の溶媒和物が使用されることが好ましい:
【0074】
【表2A】
【0075】
【表2B】
【0076】
【表2C】
【0077】
【表2D】
【0078】
これらの化合物のうち、以下の化合物が、更に特定的に好ましい:
【0079】
【表3A】
【0080】
【表3B】
【0081】
【表3C】
【0082】
より好ましくは、これらの化合物のうち、以下の化合物が、より特定的に好ましい:
【0083】
【表4A】
【0084】
【表4B】
【0085】
更により好ましくは、これらの化合物のうち、以下の化合物が、より特定的に好ましい:
【0086】
【表5】
【0087】
最も好ましい実施形態において、本発明による化合物は、以下である:
【0088】
【表6】
【0089】
上記の全ての化合物は、当業者に公知の化学的方法によって、市販の試薬から得ることができる。
【0090】
(1)チオピリジノン化合物は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるEP-A-3390363又はWO2017/102349に記載の方法に従って調製することができる。
【0091】
(1)チオピリジノン化合物は、化粧料又は皮膚科用製品中の活性成分又は活性化合物であってもよい。本明細書で使用される「活性」成分又は化合物という用語は、抗酸化効果、白色化効果、UV遮蔽効果及び抗菌効果等の、化粧用又は皮膚科用の活性特性を有する成分又は化合物を意味する。本発明で使用される(1)チオピリジノン化合物は、脱色剤、漂白剤又は白色化剤として機能することができ、したがって、本発明による組成物は、白色化製品として、又はケラチン物質を白色化するための化粧用組成物として使用することができる。
【0092】
(1)チオピリジノン化合物は、特に色素沈着又は老化性色素斑(senescence spot)を除去するために及び/又は日焼け防止剤として、皮膚、体毛、睫毛又は毛髪、更には唇及び/又は爪、好ましくは皮膚を脱色、漂白又は白色化するための作用剤として使用することができる。
【0093】
本発明による組成物中の(1)チオピリジノン化合物の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってもよい。
【0094】
その一方で、本発明による組成物中の(1)チオピリジノン化合物の量は、組成物の総質量に対して、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下であってもよい。
【0095】
本発明による組成物中の(1)チオピリジノン化合物の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~10質量%、好ましくは0.05質量%~5質量%、より好ましくは0.1質量%~3質量%の範囲であってもよい。
【0096】
(pH調節剤)
本発明の組成物は、(2)少なくとも1種のpH調節剤(pHアジャスター)を含む。2種以上のpH調節剤を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一タイプのpH調節剤、又は異なるタイプのpH調節剤の組合せを使用してもよい。
【0097】
(2)pH調節剤は、(1)チオピリジノン化合物とは異なる。
【0098】
(2)pH調整剤として、少なくとも1種の酸性化剤及び/又は少なくとも1種の塩基性化剤(アルカリ剤)を使用してもよい。
【0099】
酸性化剤は、一価であっても二価の酸等の多価でもよい。
【0100】
酸性化剤は、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の鉱(無機)酸又はカルボン酸、例としては酒石酸、クエン酸、及び乳酸、並びにスルホン酸等の有機酸であることができる。
【0101】
塩基性化剤は、一価であっても二価の塩基等の多価でもよい。
【0102】
塩基性化剤は、ミネラル(無機)若しくは有機又は混成物であり得る。
【0103】
無機塩基性化剤は、アンモニア、アルカリ金属炭酸塩又は重炭酸塩、例えば炭酸ナトリウム又は炭酸カリウム及び重炭酸ナトリウム又は重炭酸カリウム、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム、並びにこれらの混合物から選択することができる。
【0104】
有機塩基性化剤は、25℃において12未満、好ましくは10未満、更により有利には6未満のpKbを有する有機アミンから選択することができる。それは、最も高い塩基度の機能に相当するpKbであることに留意すべきである。加えて、有機アミンは、10個を超える炭素原子を含む任意のアルキル又はアルケニル脂肪鎖を含まない。
【0105】
有機塩基性化剤は、例えば、アルカノールアミン、オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化エチレンジアミン、アミノ酸、並びに次式(III)のアミン化合物から選択することができる:
【0106】
【化7】
【0107】
(式中、
Wは、1つ以上のヒドロキシル基又はC1~C6アルキル基で任意選択により置換されており、且つO及びN等の1つ以上のヘテロ原子で任意選択により中断されているC1~C6二価アルキレン基を表し、
Rx、Ry、Rz、及びRtは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はC1~C6アルキル、C1~C6ヒドロキシアルキル、若しくはC1~C6アミノアルキル基を表す)。
【0108】
列挙できる式(III)のアミン化合物の例には、1,3-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノ-2-プロパノール、スペルミン及びスペルミジンが含まれる。
【0109】
用語「アルカノールアミン」は、第一級、第二級又は第三級アミン官能基と、1つ以上のヒドロキシル基を有する1つ以上の直鎖状又は分枝状のC1~C8アルキル基とを含む有機アミンを意味する。
【0110】
1つから3つの同一である又は異なるC1~C4ヒドロキシアルキル基を含む、モノアルカノールアミン、ジアルカノールアミン又はトリアルカノールアミン等のアルカノールアミンが本発明に適しうる。この種の化合物の中では、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-ジメチルアミノエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、3-ジメチルアミノ-1,2-プロパンジオール及びトリス(ヒドロキシメチルアミノ)メタンを挙げることができる。
【0111】
使用されうるアミノ酸は、それらのL体、D体、又はラセミ体にある、天然起源又は合成起源のものであり、且つより特定するとカルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸又はリン酸の各官能基から選択される少なくとも1つの酸官能基を含む。アミノ酸は、中性型でもイオン型でもよい。
【0112】
本発明において使用されうるアミノ酸として特に挙げることができるのは、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、アルギニン、オルニチン、シトルリン、アスパラギン、カルニチン、システイン、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、リジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、N-フェニルアラニン、プロリン、セリン、タウリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンである。
【0113】
アミノ酸は、任意選択により環又はウレイド官能基中に含まれる追加のアミン官能基を含む塩基性アミノ酸であることが好ましい場合がある。
【0114】
こうした塩基性アミノ酸は、好ましくは以下の式(IV)に相当するものから選択することができる:
【0115】
【化8】
【0116】
(式中、
Rは、
【0117】
【化9】
【0118】
-(CH2)3-NH2
-(CH2)2-NH2
-(CH2)2-NH-CO-NH2、及び
【0119】
【化10】
【0120】
から選択される基を表す)。
【0121】
式(IV)に対応する化合物には、ヒスチジン、リジン、アルギニン、オルニチン及びシトルリンが挙げられる。
【0122】
有機塩基性化剤は、複素環型の有機アミンから選択することができる。アミノ酸において既に言及したヒスチジンに加えて、特に、ピリジン、ピペリジン、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール及びベンズイミダゾールを挙げることができる。
【0123】
有機塩基性化剤は、アミノ酸ジペプチドから選択することもできる。本発明で使用できるアミノ酸ジペプチドとして、特にカルノシン、アンセリン及びバレニンを挙げることができる。
【0124】
有機塩基性化剤は、グアニジン官能基を含む化合物から選択することもできる。本発明で使用できるこのタイプのアミンとして、アミノ酸として既に言及したアルギニンに加えて、特に、クレアチン、クレアチニン、1,1-ジメチルグアニジン、1,1-ジエチルグアニジン、グリコシアミン、メトホルミン、アグマチン、N-アミジノアラニン、3-グアニジノプロピオン酸、4-グアニジノ酪酸及び2-([アミノ(イミノ)メチル]アミノ)エタン-1-スルホン酸を挙げることができる。
【0125】
本発明の好ましい実施形態において、有機塩基性化剤は、アミノ酸、好ましくは塩基性アミノ酸、より好ましくはアルギニン、リジン、ヒスチジン又はこれらの混合物から選択することができる。更により優先的には、有機塩基性化剤はアルギニンであってもよい。
【0126】
挙げることができるハイブリッド化合物には、炭酸又は塩酸等の酸と前述のアミンとの塩が含まれる。特に、グアニジン炭酸塩又はモノエタノールアミン塩酸塩を使用することができる。
【0127】
(2)pH調節剤は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上の量で存在していてもよい。
【0128】
(2)pH調節剤は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下の量で存在していてもよい。
【0129】
(2)pH調節剤は、組成物の総質量に対して、0.01質量%から15質量%、好ましくは0.05質量%から10質量%、より好ましくは0.1質量%から5質量%の範囲の量で存在してもよい。
【0130】
本発明による組成物は、4.5以上、より好ましくは5以上のpHを有することが好ましい。
【0131】
本発明による組成物は、6.5以下、より好ましくは6以下のpHを有することが好ましい。
【0132】
本発明による組成物は、4.5~6.5、より好ましくは5~6のpHを有することが好ましい。
【0133】
組成物のpHは、本発明による組成物の水性相のpHを意味する。pHは、JIS Z 8802(2011)に従って測定することができる。
【0134】
本発明による組成物のpHを安定化するために、少なくとも1種のバッファー又は緩衝剤も(2)pH調節剤として、酸性化剤及び/又は塩基性化剤と組み合わせて使用することが好ましい場合がある。
【0135】
バッファーとして、一般的に知られるバッファーの何れを使用してもよい。例えば、酸又は塩基の塩、好ましくは弱酸又は弱塩基の塩を使用してもよい。例えば、酸性化剤としてクエン酸又は乳酸を使用する場合、バッファーとしてクエン酸ナトリウム又は乳酸ナトリウムを使用してもよい。
【0136】
(水)
本発明による組成物は、(3)水を含む。
【0137】
本発明による組成物中の(3)水の量は、組成物の総質量に対して、20質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上であってもよい。
【0138】
その一方で、本発明による組成物中の(3)水の量は、組成物の総質量に対して、99質量%以下、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下であってもよい。
【0139】
本発明による組成物中の(3)水の量は、組成物の総質量に対して、20質量%~99質量%、好ましくは30質量%~95質量%、より好ましくは40質量%~90質量%であってもよい。
【0140】
(任意選択の添加剤)
本発明による組成物はまた、例えば、溶媒、抗酸化剤、キレート剤、成分(1)以外の美容活性剤、例えば油、防腐剤、及びこれらの混合物から選択される、化粧品分野で通常使用される何れかの任意選択の添加剤も含みうる。
【0141】
本発明による組成物中に存在しうる上記の任意選択の添加剤の性質及び量を、所望の美容特性が該添加剤により影響を受けないよう調節することは、当業者にとって常法である。
【0142】
溶媒としては、1種又は数種の化粧品として許容される有機溶媒を挙げることができ、これらは、アルコール、特に一価アルコール、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール及びフェニルエチルアルコール;ジオール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、及びブチレングリコール;他のポリオール、例えばグリセロール、糖及び糖アルコール;並びにエーテル、例えばエチレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテル、並びにブチレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテルであってもよい。
【0143】
有機溶媒は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~30質量%、好ましくは0.1質量%~20質量%、より好ましくは1質量%~10質量%の濃度で存在しうる。
【0144】
[調製]
本発明による組成物は、上記の必須成分と任意選択の成分とを従来の方法で混合して調製することができる。
【0145】
例えば、本発明による組成物は、
(1)少なくとも1種のチオピリジノン化合物、
(2)少なくとも1種のpH調節剤、及び
(3)水
を混合する工程を含む方法によって調製することができる。
【0146】
任意選択の成分のいずれかを更に混合することが可能である。
【0147】
混合は、室温(例えば20~25℃、好ましくは25℃)、好ましくは30℃以上の温度、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上等の任意の温度で実施することができる。pH調節剤等の上記の任意選択の成分のいずれかと更に混合することが好ましい。
【0148】
本発明による組成物の形態は、特に限定されず、W/Oエマルション、O/Wエマルション、ゲル、溶液等のさまざまな形態を取ってよい。本発明による組成物が、エマルション、好ましくはO/Wエマルション、より好ましくはO/Wゲルエマルションの形態であることが好ましい。
【0149】
[美容方法]
本発明による組成物は、化粧用又は皮膚科用組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくはケラチン物質のための化粧用組成物として使用することができる。ケラチン物質としては、皮膚、頭皮、毛髪、唇等の粘膜、及び爪を挙げることができる。
【0150】
本発明による組成物は、皮膚等のケラチン物質のための脱色、漂白又は白色化製品として使用することができる。特に、本発明による組成物は、白色化製品として使用することができる。
【0151】
本発明による組成物は、好ましくは、皮膚、頭皮、及び/又は唇等のケラチン物質、好ましくは皮膚への適用を目的としうる。
【0152】
したがって、本発明による組成物は、ケラチン物質、好ましくは皮膚のための美容方法に使用することができる。一実施形態では、本発明は、ケラチン物質、好ましくは皮膚のための、美容方法、好ましくは白色化方法であって、本発明による組成物をケラチン物質へ適用する工程を含む方法に関する。
【0153】
本発明による組成物は、ローション、乳液、クリーム、ジェル、ペースト、セラム、泡状物質又はスプレーの形態の局所用の化粧用組成物として使用することができる。
【0154】
[使用]
本発明はまた、(1)以下の式(I)の化合物、以下の式(I')の互変異性体、これらの塩、これらの水和物等の溶媒和物、これらの光学異性体、これらのラセミ体、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の化合物:
【0155】
【化11】
【0156】
(式中、
R1は、
a)水素原子、並びに
b)飽和直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10アルキル基であり、同一であっても異なっていてもよく、
i)-O-R3及び
ii)-S-R3
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている、飽和直鎖状C1~C10又は分枝状C3~C10アルキル基
から選択される基を示し、
R2は、
a)水素原子と、
b)飽和直鎖状C1~C12又は分枝状C3~C12又は環状C3~C8炭化水素基であり、同一であっても異なっていてもよく、
i)-O-R3
ii)-S-R3、
iii)-C(O)-O-R3、並びに
iv)1つ以上のヒドロキシル及び/若しくは1つ以上のC1~C8アルコキシ基で任意選択により置換されているC5~C12アリール基
から選択される1つ以上の基で任意選択により置換されている、飽和直鎖状C1~C12又は分枝状C3~C12又は環状C3~C8炭化水素基と、
c)1つ以上のヒドロキシル及び/又は1つ以上のC1~C8アルコキシ基で任意選択により置換されているC5~C12アリール基と
から選択される基を示し、
R3は、
a)水素原子、及び
b)飽和直鎖状C1~C10又はC3~C10アルキル基
から選択される基を示す)
を含む組成物中での(2)少なくとも1種のpH調節剤の使用であって、
組成物のpHを4.5から6.5に制御して(1)化合物を安定化するための、使用にも関する。
【0157】
用語「安定化させる」とは、安定性を増強することと同じ意味を有する。
【0158】
本発明による使用は、(1)チオピリジノン化合物を含む組成物中の(1)チオピリジノン化合物の安定性を増強させることができる。
【0159】
したがって、本発明による使用は、(1)チオピリジノン化合物を含む組成物を、特に高温条件下でも、長時間の間、貯蔵することを可能にできる。
【0160】
本発明による組成物のための(1)チオピリジノン化合物及び(2)pH調節剤に関する上記説明はまた、本発明による使用において用いられるものにも該当しうる。
【0161】
本発明による使用における組成物は、本発明による組成物に関して上で説明された任意選択の成分のいずれかを含むことができる。
【実施例0162】
本発明は、実施例によって、より詳細に記載することになる。しかしながら、これらの実施例が本発明の範囲を限定するものとは解釈すべきでない。
【0163】
(実施例1~3及び比較例1)
[調製]
実施例1~3及び比較例1による組成物のそれぞれを、表1に示す成分を混合して調製した。成分の量についての数値は全て、活性材料としての「質量%」に基づく。
【0164】
【表7】
【0165】
N-[(2-チオキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)カルボニル]グリシン(2-メルカプトニコチノイルグリシン): 化合物20
[評価]
(pH)
実施例1~3及び比較例1による組成物のそれぞれの25℃でのpHを、以下のように測定した。
【0166】
機器:
1.pHメーター; Laqua F-71(Horiba社)
2.pH電極; 9615S-10D(Horiba社)
3.pH標準溶液(Horiba社)
4.pHプローブ内部液(Horiba社)
【0167】
手順:
1.pHメーターの内部液供給口を開け、内部液を電極の周囲に供給した。
2.pH9、7及び4で標準溶液を使用してキャリブレーションを行った。
3.電極を脱イオン水で洗浄した。
4.電極(ガラス電極)の1つの保護カバーを取り除き、電極を、実施例1~3及び比較例1の各組成物中に浸漬した。
5.pH値が安定化された後にpHを記録した。
【0168】
結果を、表1の「pH」の行に示す。
【0169】
(チオピリジノン化合物の残留率)
実施例1~3及び比較例1による各組成物中のチオピリジノン化合物の量は、以下のタイミングHPLC-UVアッセイによって測定した。
【0170】
タイミング(1) 組成物を調製した直後(T0)
タイミング(2) 調製してから2週間後(組成物は、密封された遮光容器中に55℃で維持された)
【0171】
HPLC-UVアッセイの詳細は以下の通りである。
【0172】
装置/試薬
【0173】
【表8】
【0174】
HPLC条件
【0175】
【表9】
【0176】
チオピリジノン化合物の残留率を、以下の式によって決定した:
チオピリジノン化合物の残留率(%)=
タイミング(2)でのチオピリジノン化合物の量/タイミング(1)でのチオピリジノン化合物の量
結果を、表1の「チオピリジノン化合物の残留率(%)」の行に示す。
【0177】
また、チオピリジノン化合物の残留率を、以下の判定基準に従って分類した。
非常に良好: 90%以上
良好: 50%以上且つ90%未満
不良:50%未満
結果を、表1の「安定性」の行に示す。
【0178】
(結果)
チオピリジノン化合物及び組成物のpHを4.5~6.5に制御するためのpH調節剤を含んでいた実施例1~3による各組成物は、6.5超のpHを有していた比較例1による組成物と比較して、高温条件下でも、より安定性であり、したがってほとんどのチオピリジノン化合物が残留した。
【外国語明細書】