(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077019
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 47/08 20060101AFI20240531BHJP
【FI】
B65D47/08 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188801
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000175397
【氏名又は名称】三笠産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮野 優美子
(72)【発明者】
【氏名】秀島 智
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AB01
3E084BA03
3E084CA01
3E084CB02
3E084DA01
3E084DB13
3E084FA02
3E084FC01
3E084GA06
3E084GA08
3E084GB06
3E084HB02
3E084HD01
3E084HD03
3E084HD04
3E084LA03
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】キャップの打栓時に上蓋が座屈することを防止できるキャップを提供する。
【解決手段】座屈防止構造は、キャップ本体4の天面に設けた本体嵌合部10と、上蓋7に設けた上蓋嵌合部9とが嵌合してなり、本体嵌合部10は、上面に荷重受け平面101を有し、荷重受け平面101に本体側凸部102を有し、上蓋嵌合部9は、荷重受け平面101に対向する座屈防止リブ91を有し、座屈防止リブ91は荷重受け平面101に当接する加圧平面92を有し、加圧平面92に本体側凸部102と嵌り合う上蓋側凹部93を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に装着するキャップ本体と、キャップ本体に装着する上蓋を有し、キャップ本体と上蓋の間に座屈防止構造を備え、
座屈防止構造は、キャップ本体の天面に設けたキャップ軸心回りに環状をなす本体嵌合部と、上蓋の開口縁内面に設けたキャップ軸心回りに環状をなす上蓋嵌合部とが嵌合してなり、
本体嵌合部は、キャップ軸心方向の上面にキャップ径方向に広がる荷重受け平面を有し、荷重受け平面にキャップ軸心方向に隆起しキャップ軸心回りに環状をなす本体側凸部を有し、
上蓋嵌合部は、キャップ軸心方向で本体嵌合部の荷重受け平面に対向する座屈防止リブを有し、
座屈防止リブは、キャップ径方向に広がり荷重受け平面に当接する加圧平面を有し、加圧平面にキャップ軸心方向に窪みキャップ軸心回りに環状をなして本体側凸部と嵌り合う上蓋側凹部を有することを特徴とするキャップ。
【請求項2】
本体嵌合部は、本体側凸部を荷重受け平面のキャップ径方向の外側縁に有することを特徴とする請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
本体嵌合部は、キャップ径方向の外側面にキャップ径方向内側に窪む嵌合凹部を有し、
上蓋嵌合部は、キャップ径方向の内側面にキャップ径方向内側に突出する嵌合凸部を有し、
嵌合凹部と嵌合凸部とが嵌り合うとともに、座屈防止リブと嵌合凸部との間に本体側凸部を含んで本体嵌合部を挟み込むことを特徴する請求項2に記載のキャップ。
【請求項4】
キャップ本体と上蓋がヒンジを介して一体をなし、
座屈防止リブは、ヒンジ側とキャップ径方向でヒンジと対向するヒンジ対向側とにおいて、加圧平面が狭くなる面間欠部を有することを特徴とする請求項1に記載のキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の口部に装着するキャップに関し、打栓時の座屈を防止する技術に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載のものは、上蓋がヒンジを介してキャップ本体に取着されており、上蓋はキャップ本体の蓋係合部と係合する係合筒を有し、打栓のときに係合筒が外側に広がって変形し、ヒンジキャップが座屈することを防止するために、係合筒の内側に座屈防止のためのリブ部が断続的に複数設けられている。
【0003】
リブ部は下端部にテーパー部を有し、テーパー部が蓋係合部の上面の弧状面に近接あるいは軽く当接して係合筒の広がりを防止する。
【0004】
また、特許文献2に記載のものは、キャップ本体の上方に蓋部が開閉可能に接続し、キャップ本体の嵌着リングの上面に、蓋部の嵌着凹部の天面に当接する圧力受けリングを連続的又は断続的に設けたものであり、圧力受けリングにより蓋部の周壁の下面とキャップ本体の周壁の上面との間に間隙を設けるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-4065
【特許文献2】特許第4132460号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のキャップ本体と上蓋を有するキャップは、容器の口部に打栓する際に、上蓋に加える打栓の加圧力を、上蓋の加圧面に当接するキャップ本体の荷重受け面で受け止めており、上蓋の加圧面に続く上蓋の周壁がキャップ径方向に広がって座屈することがある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するものであり、キャップの打栓時に上蓋が座屈することを防止できるキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係るキャップは、容器の口部に装着するキャップ本体と、キャップ本体に装着する上蓋を有し、キャップ本体と上蓋の間に座屈防止構造を備え、座屈防止構造は、キャップ本体の天面に設けたキャップ軸心回りに環状をなす本体嵌合部と、上蓋の開口縁内面に設けたキャップ軸心回りに環状をなす上蓋嵌合部とが嵌合してなり、本体嵌合部は、キャップ軸心方向の上面にキャップ径方向に広がる荷重受け平面を有し、荷重受け平面にキャップ軸心方向に隆起しキャップ軸心回りに環状をなす本体側凸部を有し、上蓋嵌合部は、キャップ軸心方向で本体嵌合部の荷重受け平面に対向する座屈防止リブを有し、座屈防止リブは、キャップ径方向に広がり荷重受け平面に当接する加圧平面を有し、加圧平面にキャップ軸心方向に窪みキャップ軸心回りに環状をなして本体側凸部と嵌り合う上蓋側凹部を有することを特徴とする。
【0009】
本発明に係るキャップにおいて、本体嵌合部は、本体側凸部を荷重受け平面のキャップ径方向の外側縁に有することを特徴とする。
【0010】
本発明に係るキャップにおいて、本体嵌合部は、キャップ径方向の外側面にキャップ径方向内側に窪む嵌合凹部を有し、上蓋嵌合部は、キャップ径方向の内側面にキャップ径方向内側に突出する嵌合凸部を有し、嵌合凹部と嵌合凸部とが嵌り合うとともに、座屈防止リブと嵌合凸部との間に本体側凸部を含んで本体嵌合部を挟み込むことを特徴する。
【0011】
本発明に係るキャップにおいて、キャップ本体と上蓋がヒンジを介して一体をなし、座屈防止リブは、ヒンジ側とキャップ径方向でヒンジと対向するヒンジ対向側とにおいて、加圧平面が狭くなる面間欠部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上記の構成により、本体嵌合部が荷重受け平面に本体側凸部を有し、上蓋嵌合部が荷重受け平面に対向する座屈防止リブの加圧平面に本体側凸部と嵌り合う上蓋側凹部を有する。
【0013】
よって、打栓時に上蓋に加える打栓の加圧力を、上蓋の加圧平面に当接するキャップ本体の荷重受け平面で受け止めるとともに、本体側凸部と上蓋側凹部が嵌り合うことで、座屈防止リブの加圧平面がキャップ径方向にずれて本体嵌合部の荷重受け平面から逸脱することがなく、座屈防止リブと一体をなす上蓋の周壁がキャップ径方向に広がって座屈することを防止できる。
【0014】
本体嵌合部の本体側凸部が荷重受け平面の外側縁にあり、本体嵌合部の嵌合凹部と上蓋嵌合部の嵌合凸部が嵌り合う状態において、座屈防止リブと嵌合凸部との間に本体側凸部を含んで本体嵌合部を挟み込むことができる。
【0015】
このため、本体嵌合部と上蓋嵌合部の嵌合構造は、キャップ径方向において多重シール構造、すなわち本体側凸部と上蓋側凹部とが当接し、本体嵌合部の嵌合凹部と上蓋嵌合部の嵌合凸部とが当接し、本体嵌合部のキャップ径方向の外側面と上蓋嵌合部のキャップ径方向の内側面とが当接する多重シール構造を実現でき、打栓後に行うシャワー工程においてシャワー水の侵入を防止できる。
【0016】
座屈防止リブは、ヒンジ側とキャップ径方向でヒンジと対向するヒンジ対向側とにおいて、加圧平面が狭くなる面間欠部を有することで、アンダーカット構造が軽減され、成型時の型抜けが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の形態に係るヒンジキャップを示す閉栓状態の断面図
【
図2】同実施の形態に係るヒンジキャップを示す開栓状態の断面図
【
図3】同実施の形態に係るヒンジキャップを示す開栓状態の上面図
【
図4】同実施の形態に係るヒンジキャップを示す閉栓状態のヒンジ側の側面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るキャップの実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1~
図5に示すように、キャップ1は容器2の口部3に装着するキャップ本体4と、ヒンジ5およびバンド6を介してキャップ本体4と一体をなし、ヒンジ廻りに開閉動する上蓋7を有している。
【0019】
上蓋7は、外側面に容器2の径方向でヒンジ5に対応する位置に指掛かりをなす鍔部8を有し、開口縁内面にキャップ軸心回りに環状をなす上蓋嵌合部9を有している。キャップ本体4は、天面にキャップ軸心回りに環状をなす本体嵌合部10を有している。 この上蓋嵌合部9と本体嵌合部10とが嵌合してキャップ本体4と上蓋7の間に座屈防止構造を構成している。
【0020】
本体嵌合部10は、キャップ軸心方向の上面にキャップ径方向に広がる荷重受け平面101を有し、荷重受け平面101に本体側凸部102を有しており、本体側凸部102はキャップ軸心方向に隆起しキャップ軸心回りに環状をなす。本体側凸部102は荷重受け平面101のキャップ径方向の外側縁に設けている。さらに、本体嵌合部10は、キャップ径方向の外側面にキャップ径方向内側に窪む嵌合凹部103を有している。
【0021】
上蓋嵌合部9は、キャップ軸心方向で本体嵌合部10の荷重受け平面101に対向する座屈防止リブ91を有している。座屈防止リブ91は、キャップ径方向に広がり荷重受け平面101に当接する加圧平面92を有し、加圧平面92に上蓋側凹部93を有しており、上蓋側凹部93は、キャップ軸心方向に窪みキャップ軸心回りに環状をなして本体側凸部102と嵌り合う。
【0022】
さらに、上蓋嵌合部9は、キャップ径方向の内側面にキャップ径方向内側に突出する嵌合凸部94を有し、嵌合凹部103と嵌合凸部94とが嵌り合うとともに、座屈防止リブ91と嵌合凸部94との間に本体側凸部102を含んで本体嵌合部10を挟み込む。座屈防止リブ91は、ヒンジ側とキャップ径方向でヒンジ5と対向するヒンジ対向側、つまり鍔部8の側とにおいて、加圧平面92が狭くなる面間欠部95を有する。
【0023】
また、キャップ本体は、容器2の口部3を容器2の軸心周りに囲む本体部12と、口部3を覆う中栓13と、中栓開口14を囲む注出筒15を有している。
【0024】
ここでは、未開封のキャップ1を示しているので、中栓開口14は開口予定部16によって塞がれている。開口予定部16は中栓弱化部17を介して中栓開口14の開口縁に接続しており、プルリング18を有している。
【0025】
中栓13は、容器2の口部3に挿入する中栓インナーシール部19を有し、中栓インナーシール部19と本体部12の間に口部3を挿入する嵌合溝20を形成している。
【0026】
上蓋7は、内側天面に注出筒15に対向する上蓋インナー21を有しており、上蓋インナー21は、上蓋7の軸心周りに環状をなしてインナー先端縁が注出筒9の内面に液密に当接してシール領域を形成している。
【0027】
本体部12は、容器2の径方向内側に突出するキャップ内側凸部22を有し、キャップ内側凸部22が容器2の口部外周に形成した容器外側凹部23に嵌合する。また、本体部12は、本体弱化部24を有しており、本体弱化部24は、
図4に示すように、ヒンジ5の近傍位置に形成している。
【0028】
以下、上記構成の作用を説明する。
図1に示すように、上蓋7を折り畳んだ状態において、上蓋7の上蓋嵌合部9がキャップ本体4の本体嵌合部10に嵌合して座屈防止構造をなす。この状態で、本体嵌合部10の荷重受け平面101の本体側凸部102が、座屈防止リブ91の加圧平面92の上蓋側凹部93に嵌り合う。また、嵌合凸部94が嵌合凹部103に嵌合し、上蓋インナー21のインナー先端縁と注出筒15の内面とが液密に当接してシール領域を形成する。
【0029】
上蓋7を折り畳んだ状態のキャップ1を容器2の口部3に打栓する。打栓時に上蓋7に加える打栓の加圧力は、上蓋7の加圧平面92に当接するキャップ本体4の荷重受け平面101が受け止めるとともに、本体側凸部102と上蓋側凹部93が嵌り合うことで、座屈防止リブ91の加圧平面92がキャップ径方向にずれて本体嵌合部10の荷重受け平面101から逸脱することがなく、座屈防止リブ91と一体をなす上蓋7の周壁がキャップ径方向に広がって座屈することを防止できる。
【0030】
本体嵌合部10の本体側凸部102が荷重受け平面101の外側縁にあり、本体嵌合部10の嵌合凹部103と上蓋嵌合部9の嵌合凸部94が嵌り合う状態において、座屈防止リブ91と嵌合凸部94との間に本体側凸部102を含んで本体嵌合部10を挟み込むことができる。
【0031】
このため、本体嵌合部10と上蓋嵌合部9の嵌合構造は、キャップ径方向において多重シール構造を実現する。すなわち、本体側凸部102と上蓋側凹部93とが当接し、本体嵌合部10の嵌合凹部103と上蓋嵌合部9の嵌合凸部94とが当接し、本体嵌合部10のキャップ径方向の外側面と上蓋嵌合部9のキャップ径方向の内側面とが当接する多重シール構造を実現でき、打栓後に行うシャワー工程においてシャワー水の侵入を防止できる。
【0032】
座屈防止リブ91は、ヒンジ側とヒンジ対向側とにおいて、加圧平面92が狭くなる面間欠部95を有することで、アンダーカット構造が軽減され、成型時の型抜けが容易となる。
【符号の説明】
【0033】
1 キャップ
2 容器
3 口部
4 キャップ本体
5 ヒンジ
6 バンド
7 上蓋
8 鍔部
9 上蓋嵌合部
10 本体嵌合部
12 本体部
13 中栓
14 中栓開口
15 注出筒
16 開口予定部
17 中栓弱化部
18 プルリング
19 中栓インナーシール部
20 嵌合溝
21 上蓋インナー
22 キャップ内側凸部
23 容器外側凹部
24 本体弱化部
91 座屈防止リブ
92 加圧平面
93 上蓋側凹部
94 嵌合凸部
95 面間欠部
101 荷重受け平面
102 本体側凸部
103 嵌合凹部