(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077021
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】縦型ブラインド
(51)【国際特許分類】
E06B 9/36 20060101AFI20240531BHJP
【FI】
E06B9/36 F
E06B9/36 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188807
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167818
【弁理士】
【氏名又は名称】蓑和田 登
(72)【発明者】
【氏名】江波戸 武信
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 潤一
(57)【要約】 (修正有)
【課題】遮蔽材と透過材とを交互に垂直方向に吊下支持する縦型ブラインドを提供する。
【解決手段】縦型ブラインド1は、水平方向で取り付けられるハンガーレール2と、ハンガーレール2に移動可能に支持される複数のランナー3と、ランナー3に対して回転可能に取り付けられるスクリーンハンガー9と、スクリーンハンガー9に装着される遮蔽材4と、遮蔽材4の間に配置されると共にスクリーンハンガー9に装着される透過材5と、を備える。透過材5は、遮蔽材4が引き出され且つそのチルト角が90度のとき、上面視で
U字形状を有するよう配置されると共に、当該U字形状の湾曲部の湾曲開始点が、遮蔽材4の室内端より室外側に位置される。この構成により、縦型ブラインド1は、専用のスラット生地を用意する必要性がなく、且つ装置の小型化をも図ることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向で取り付けられるハンガーレールと、
前記ハンガーレールに移動可能に支持される複数のランナーと、
前記ランナーに対して回転可能に取り付けられるスクリーンハンガーと、
前記スクリーンハンガーに装着される遮蔽材と、
前記遮蔽材の間に配置されると共に、前記スクリーンハンガーに装着される透過材と、
を備え、
前記透過材は、前記遮蔽材が引き出され且つそのチルト角が90度のとき、上面視でU
字形状を有するよう配置されると共に、当該U字形状の湾曲部の湾曲開始点が、前記遮蔽
材の室内端より室外側に位置される、ことを特徴とする縦型ブラインド。
【請求項2】
前記スクリーンハンガーは、
前記遮蔽材が装着される平板形状の第一装着材と、
前記第一装着材の一端側において水平方向に回動可能に連結されて前記透過材が装着さ
れる平板形状の第二装着材及び第三装着材と、
前記第二装着材及び前記第三装着材に形成されて前記第一装着材に対して前記第二装着
材及び前記第三装着材を係止した状態とする係止爪と、を備え、
前記第二装着材及び前記第三装着材の幅寸法は、前記第一装着材の幅寸法より短くなる
、ことを特徴とする請求項1記載の縦型ブラインド。
【請求項3】
前記第一装着材には、前記ランナーの吊下軸のフックを引っ掛けるための開口部が形成
され、当該開口部は、上面視において、当該第一装着材の幅方向の前記室内端側寄りに形
成される、ことを特徴とする請求項2記載の縦型ブラインド。
【請求項4】
上面視において、隣り合う前記透過材の向きを180度互い違いに配置する、ことを特
徴とする請求項1記載縦型ブラインド。
【請求項5】
前記スクリーンハンガーは、
前記遮蔽材が装着される平板形状の第四装着材と、
前記第四装着材の長手方向の一端側において水平方向に回動可能に連結されて前記透過
材が装着される平板形状の第五装着材と、
前記第四装着材の長手方向の他端側において水平方向に回動可能に連結されて前記透過
材が装着される平板形状の第六装着材と、
前記第五装着材及び前記第六装着材に形成されて前記第四装着材に対して前記第五装着
材及び前記第六装着材を係止した状態とする係止爪と、を備え、
前記第五装着材及び前記第六装着材の幅寸法は、前記第四装着材の幅寸法より短くなる
、ことを特徴とする請求項4記載の縦型ブラインド。
【請求項6】
縦型ブラインドのハンガーレールに設けられているランナーと、遮蔽材と、当該遮蔽材
の間に配置される透過材とを備える縦型ブラインドに取り付けられるスクリーンハンガー
であって、
前記遮蔽材が装着される平板形状の第一装着材と、
前記第一装着材の一端側において水平方向に回動可能に連結されて前記透過材が装着さ
れる平板形状の第二装着材及び第三装着材と、
前記第二装着材及び前記第三装着材に形成されて前記第一装着材に対して前記第二装着
材及び前記第三装着材を係止した状態とする係止爪と、を備え、
前記第二装着材及び前記第三装着材の幅寸法は、前記第一装着材の幅寸法より短くなる
、ことを特徴とするスクリーンハンガー。
【請求項7】
縦型ブラインドのハンガーレールに設けられているランナーと、遮蔽材と、当該遮蔽材
の間に配置される透過材とを備える縦型ブラインドに取り付けられるスクリーンハンガー
であって、
前記遮蔽材が装着される平板形状の第四装着材と、
前記第四装着材の長手方向の一端側において水平方向に回動可能に連結されて前記透過
材が装着される平板形状の第五装着材と、
前記第四装着材の長手方向の他端側において水平方向に回動可能に連結されて前記透過
材が装着される平板形状の第六装着材と、
前記第五装着材及び前記第六装着材に形成されて前記第四装着材に対して前記第五装着
材及び前記第六装着材を係止した状態とする係止爪と、を備え、
前記第五装着材及び前記第六装着材の幅寸法は、前記第四装着材の幅寸法より短くなる
、ことを特徴とするスクリーンハンガー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮蔽性を備えたドレープ生地及び半透過性を備えたレース生地を交互に垂直
方向に吊下支持した縦型ブラインドに関する。
【背景技術】
【0002】
縦型ブラインドは、ハンガーレール内を移動可能に支持された多数のランナーからそれ
ぞれスラットが角度調節可能に吊下支持されている。一般的な縦型ブラインドは、スラッ
トをハンガーレールに沿って引き出し、かつスラットの角度を手動又は電動で調節するこ
とで室内への採光量が調整される。
【0003】
縦型ブラインドのスラットには、遮光性を備えたドレープ生地や半透過性を備えたレー
ス生地が使用される。そして、ドレープ生地とレース生地とを交互に吊下支持した縦型ブ
ラインドとして、例えば、
図11に示すように、不透過性生地からなる二つの遮蔽部10
1と、遮蔽部101と長さ方向に沿って重ねられた形で付着する透過部102と、を含む
単位遮光生地103が開示されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、多数のカーテンブラインドが連結具で互いに連結されてカーテンブラインドを個
別に分離交換でき、投光状態と暗幕状態を容易に制御することができ、簡単に「U」字状
になるようにするブラインド型カーテンも開示されている(特許文献2参照)。さらに、
クリッピングプレートの間にウインドウシェードの隣接するドレープ生地を保持するウイ
ンドウシェードのための締結システムも開示されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第7014916号
【特許文献2】特許第6837973号
【特許文献3】特許第6891349号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の縦型ブラインドは、
図11(a)に示すようなドレープ(遮蔽部
101)+レース(透過部102)+ドレープ(遮蔽部101)の1枚の生地(単位遮光
生地103)を作成し、これを
図11(c)に示すU字型に取り付けた構造を有する。こ
の結果、ドレープ+レース+ドレープから成る専用のスラット生地(単位遮光生地103
)を製作する必要性があり、また、隣接するドレープ同士を連結するための専用の連結具
104も必要となり、余計な製造過程や製造コストを要するという問題がある。
【0007】
また、従来のスラット生地では、
図12(a)に示すように、ドレープ生地とレース生
地が一体化しているため、通常の縦型ブラインドと比べ、レース生地の分だけ奥行寸法が
大きくなり、その結果、装置が大型化するという問題がある。例えば
図12(a)に示す
全閉時にドレープ幅を100mm、奥行寸法145mmとした場合、
図12(b)に示す全開時
には、レース生地の膨らみがあるため奥行寸法は168.35mmにもなる。このため、
図12
(c)に示すようなカーテンボックス105内にラインドレープを取り付ける際には、カ
ーテンボック105の最小幅として168.5mm以上必要となる。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、遮蔽材と透過材とを交互に垂直方向
に吊下支持する縦型ブラインドにおいて、専用のスラット生地を用意する必要性がなく、
且つ装置の小型化をも図ることができる縦型ブラインドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、水平方向で取り付けられるハンガーレールと、前
記ハンガーレールに移動可能に支持される複数のランナーと、前記ランナーに対して回転
可能に取り付けられるスクリーンハンガーと、前記スクリーンハンガーに装着される遮蔽
材と、前記遮蔽材の間に配置されると共に、前記スクリーンハンガーに装着される透過材
と、を備え、前記透過材は、前記遮蔽材が引き出され且つそのチルト角が90度のとき、
上面視でU字形状を有するよう配置されると共に、当該U字形状の湾曲部の湾曲開始点が
、前記遮蔽材の室内端より室外側に位置されることを特徴とする。
【0010】
この縦型ブラインドにおいて、前記スクリーンハンガーは、前記遮蔽材が装着される平
板形状の第一装着材と、前記第一装着材の一端側において水平方向に回動可能に連結され
て前記透過材が装着される平板形状の第二装着材及び第三装着材と、前記第二装着材及び
前記第三装着材に形成されて前記第一装着材に対して前記第二装着材及び前記第三装着材
を係止した状態とする係止爪と、を備え、前記第二装着材及び前記第三装着材の幅寸法は
、前記第一装着材の幅寸法より短くなることが好ましい。
【0011】
この縦型ブラインドにおいて、前記第一装着材には、前記ランナーの吊下軸のフックを
引っ掛けるための開口部が形成され、当該開口部は、上面視において、当該第一装着材の
幅方向の前記室内端側寄りに形成されることが好ましい。
【0012】
この縦型ブラインドにおいて、上面視において、隣り合う前記透過材の向きを180度
互い違いに配置することが好ましい。
【0013】
この縦型ブラインドにおいて、前記スクリーンハンガーは、前記遮蔽材が装着される平
板形状の第四装着材と、前記第四装着材の長手方向の一端側において水平方向に回動可能
に連結されて前記透過材が装着される平板形状の第五装着材と、前記第四装着材の長手方
向の他端側において水平方向に回動可能に連結されて前記透過材が装着される平板形状の
第六装着材と、前記第五装着材及び前記第六装着材に形成されて前記第四装着材に対して
前記第五装着材及び前記第六装着材を係止した状態とする係止爪と、を備え、前記第五装
着材及び前記第六装着材の幅寸法は、前記第四装着材の幅寸法より短くなることが好まし
い。
【0014】
上記目的を達成するために本発明は、縦型ブラインドのハンガーレールに設けられてい
るランナーと、遮蔽材と、当該遮蔽材の間に配置される透過材とを備える縦型ブラインド
に取り付けられるスクリーンハンガーであって、前記遮蔽材が装着される平板形状の第一
装着材と、前記第一装着材の一端側において水平方向に回動可能に連結されて前記透過材
が装着される平板形状の第二装着材及び第三装着材と、前記第二装着材及び前記第三装着
材に形成されて前記第一装着材に対して前記第二装着材及び前記第三装着材を係止した状
態とする係止爪と、を備え、前記第二装着材及び前記第三装着材の幅寸法は、前記第一装
着材の幅寸法より短くなることを特徴とする。
【0015】
上記目的を達成するために本発明は、縦型ブラインドのハンガーレールに設けられてい
るランナーと、遮蔽材と、当該遮蔽材の間に配置される透過材とを備える縦型ブラインド
に取り付けられるスクリーンハンガーであって、前記遮蔽材が装着される平板形状の第四
装着材と、前記第四装着材の長手方向の一端側において水平方向に回動可能に連結されて
前記透過材が装着される平板形状の第五装着材と、前記第四装着材の長手方向の他端側に
おいて水平方向に回動可能に連結されて前記透過材が装着される平板形状の第六装着材と
、前記第五装着材及び前記第六装着材に形成されて前記第四装着材に対して前記第五装着
材及び前記第六装着材を係止した状態とする係止爪と、を備え、前記第五装着材及び前記
第六装着材の幅寸法は、前記第四装着材の幅寸法より短くなることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る縦型ブラインドは、水平方向で取り付けられるハンガーレールと、ハンガ
ーレールに移動可能に支持される複数のランナーと、ランナーに対して回転可能に取り付
けられるスクリーンハンガーと、スクリーンハンガーに装着される遮蔽材と、遮蔽材の間
に配置されると共にスクリーンハンガーに装着される透過材と、を備える。透過材は、遮
蔽材が引き出され且つそのチルト角が90度のとき、上面視でU字形状を有するよう配置
されると共に、当該U字形状の湾曲部の湾曲開始点が、遮蔽材の室内端より室外側に位置
される。この構成により、本発明に係る縦型ブラインドにおいて、専用のスラット生地を
用意する必要性がなく、且つ装置の小型化をも図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】(a)本発明の実施の形態1に係る縦型ブラインドの一部透過平面図、(b)同上縦型ブラインドの左側面図、(c)同上縦型ブラインドの一部透過正面図、(d)同上縦型ブラインドの一部透過右側面図である。
【
図2】(a)同上縦型ブラインドを構成する遮蔽材及び透過材の全閉時における配置を示す平面図、(c)同上遮蔽材及び透過材の全開時における配置を示す平面図である。
【
図3】同上遮蔽材及び透過材の配置を示す拡大平面図である。
【
図4】(a)同上縦型ブラインドを構成するスクリーンハンガーを開いた状態の上面からの斜視図、(b)同上スクリーンハンガーを開いた状態の異なる角度での上面からの斜視図、(c)同上スクリーンハンガーを閉じた状態の上面からの斜視図、(d)同上スクリーンハンガーを閉じた状態の底面からの斜視図である。
【
図5】同上スクリーンハンガーへの同上遮蔽材及び透過材の装着状態を説明する図である。
【
図6】同上スクリーンハンガーへの同上遮蔽材及び透過材の装着状態を説明する図である。
【
図7】同上スクリーンハンガーへの同上遮蔽材及び透過材の装着状態を説明する図である。
【
図8】従来のスクリーンハンガーを用いた同上遮蔽材及び透過材の装着状態を説明する図である。
【
図9】(a)本発明の実施の形態2に係る縦型ブラインドを構成する遮蔽材及び透過材の全閉時における配置を示す平面図、(c)同上遮蔽材及び透過材の全開時における配置を示す平面図である。
【
図10】(a)同上縦型ブラインドを構成するスクリーンハンガーを開いた状態の上面からの斜視図、(b)同上スクリーンハンガーを開いた状態の異なる角度での上面からの斜視図、(c)同上スクリーンハンガーを閉じた状態の上面からの斜視図、(d)同上スクリーンハンガーを閉じた状態の底面からの斜視図である。
【
図11】(a)従来の縦型ブラインドに備わるスラットの平面図、(b)同上スラットの斜視図、(c)同上スラットの連結時の説明図である。
【
図12】(a)従来の縦型ブラインドを構成する遮蔽材及び透過材の全閉時における配置を示す平面図、(c)同上遮蔽材及び透過材の全開時における配置を示す平面図、(c)カーテンボックスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の各実施の形態に係る縦型ブラインドについて図面を参照しながら説明す
る。
【0019】
(実施の形態1)
最初に、本実施の形態1に係る縦型ブラインドの構造に関して
図1乃至
図3を参照しな
がら説明する。本実施の形態1に係る縦型ブラインド1においては、
図1に示すように、
壁面に取り付けられたブラケットBなどを用いて水平方向で固定されたハンガーレール(
レール状筐体)2が設置される。
【0020】
ハンガーレール2内には、
図1に示すように、レール長手方向に沿って水平移動可能に
支持される複数のランナー3が収容されており、このランナー3の下端側に遮蔽材(ドレ
ープ生地)4及び透過材(レース生地)5が垂直方向で吊り下げられる。遮蔽材4は
図1
(d)に示すように側面視で矩形状を有する。
【0021】
各ランナー3には、3条のスプラインが刻設されたチルトシャフト6が回転可能に挿通
される挿通孔が形成され、そのチルトシャフト6の両端はハンガーレール2の両端に取着
される操作部7及びエンドキャップ8に回転可能に水平方向で支持されている。
【0022】
各ランナー3には遮蔽材4及び透過材5を吊下支持する吊下軸31が回転可能に支持さ
れ、その吊下軸31の下端部にフック(図示せず)が設けられている。遮蔽材4及び透過
材5は、このフックにスクリーンハンガー9を介して取り付けられる。
【0023】
ハンガーレール2の一端には操作ポール10が吊下支持され、その操作ポール10を手
動回転させると、操作部7内に配設されるギヤ機構(図示しない)を介してチルトシャフ
ト6が回転される。そして、チルトシャフト6の回転にともなって各ランナー3の吊下軸
31が回転され、この回転と共に吊下支持された遮蔽材4が回動されるようになっている
。
【0024】
ハンガーレール2の一端側の操作部7から垂下されている操作コード8は、ハンガーレ
ール2内を周回可能に配設され、ランナー3のうち例えば最もエンドキャップ8側の先頭
ランナー3に取着されている。また、各ランナー3はスペーサー(図示せず)で連結され
、各ランナー3のピッチ間距離が設定されている。
【0025】
従って、操作コード8を操作して先頭ランナー3を移動させれば、その先頭ランナー3
に追随して後続のランナー3が順次引き出され、あるいは後続のランナー3が先頭ランナ
ー3により順次押し戻される。このような動作により、各ランナー3に吊下支持された遮
蔽材4がハンガーレール2の長手方向に沿って引き出され、あるいはハンガーレール2の
他端側に畳み込まれる。なお、このようなランナー3の水平移動制御及び遮蔽材4のチル
ト動作(回転動作)は内蔵モータを用いる機械制御、ランナー3や遮蔽材4の動作を遠隔
制御するリモコンを備えた縦型ブラインドによっても実現できる。
【0026】
本実施の形態1において、遮蔽材4は例えば遮光性を備えたドレープ生地で構成され、
透過材5は例えば光を一部透過する半透過性を備えたレース生地で構成される。このレー
ス生地は、畳み込んだ際のふくらみが少なく、且つチルト操作もスムーズとなるローマン
シェードなど非常に柔らかい生地が望ましい。
【0027】
次に、縦型ブラインド1のスクリーンハンガー9に装着される遮蔽材4及び透過材5の
配置を、
図2及び
図3を参照しながら説明する。なお、本実施の形態1に係る縦型ブライ
ンド1は、
図2に示すように、スラットを垂直方向に吊下支持する一般的な縦型ブライン
ドの構造をベースとし、遮蔽材4と遮蔽材4との間に透過材5を上面視でU字形状に付け
る構造を有する。ここで、例えば、遮蔽材4の幅は100mm、隣接するランナー3同士
のピッチ間距離は約90mmの場合を示している。
【0028】
図2(a)は、ランナー3が右端まで完全に引き出されて且つ遮蔽材4のチルト角が9
0度となる全閉状態、
図2(b)はランナー3が左端まで畳み込まれて且つ遮蔽材4のチ
ルト角が90度となる全開状態を示している。なお、遮蔽材4の閉状態とは、外から取り
入れる採光量が最小となるチルト角の状態であって、遮蔽材4のチルト角が0度(機械接
触を勘案するとより正確には約3度)又は180度(機械接触を勘案するとより正確には
約177度)である状態である。遮蔽材4の開状態とは、外から取り入れる採光量が最大
となるチルト角の状態であって、
図2に示すような遮蔽材4のチルト角が90度である状
態を指す。
【0029】
そして、本実施の形態1に係る縦型ブラインド1において、透過材5は、
図3に示すよ
うに、遮蔽材4が引き出され且つそのチルト角が90度のとき、上面視でU字形状を有す
るよう配置されると共に、当該U字形状の湾曲部5Aの湾曲開始点5Bが、遮蔽材4の室
内端4Aより室外側に位置されている。なお、本実施の形態1の説明において湾曲開始点
5Bとは、上面視における透過材5の湾曲部5Aと、直線伸長部5Cとの交点を意味して
いる。この構成により、
図2(b)に示すように、全開時の奥行幅は118.35mm、
たたみ代寸法は79.44mmとなり、カーテン生地(すなわち遮蔽材4及び透過材5)を
畳み込んだ時の奥行寸法を小さくすることができる。この結果、天井面などに既に設置さ
れているカーテンボックス(例えば130mm)内にカーテン生地を確実に収容すること
ができる。
【0030】
また、縦型ブラインド1の意匠性を向上させるために、透過材5の膨らみの頂点となる
湾曲頂点5Dと遮蔽材4の室内端4Aとが一直線状に配置されることが好ましい。
【0031】
次に、縦型ブラインド1に用いるスクリーンハンガー9の構造、及び縦型ブラインド1
を構成する遮蔽材4及び透過材5をスクリーンハンガー9に取り付ける方法に関して
図4
乃至
図8を参照しながら説明する。
図4に示すように、スクリーンハンガー9は、遮蔽材
4が装着される平板形状の第一装着材91と、第一装着材91の一端側において水平方向
に回動可能に連結されて透過材5が装着される平板形状の第二装着材92及び第三装着材
93と、第二装着材92及び第三装着材93に形成されて第一装着材91に対して第二装
着材92及び第三装着材93を係止した状態とする係止爪92a,93aと、を備える。
第一装着材91には、ランナー3の吊下軸31のフックを引っ掛けるための開口部91a
が形成されている。
【0032】
また、
図4に示すように、第二装着材92及び第三装着材93の幅寸法は、第一装着材
91の幅寸法より短い。例えば、実施の形態1において第一装着材91の幅寸法はおおよ
そ100mm、第二装着材92及び第三装着材93の幅寸法はおおよそ50mmである。
このスクリーンハンガー9を用いることで、遮蔽材4と透過材5とを交互に垂直方向に吊
下支持できる。
【0033】
図5に示すように、各遮蔽材4の上部には、被装着部41が設けられている。被装着部
41は、スクリーンハンガー9の第一装着材91に装着される部位であり、例えば遮蔽材
4を構成する生地が、その上辺で袋縫いされた部分に相当する。なお、
図6に示すように
、スクリーンハンガー9の第一装着材91の開口部91aに相当する被装着部41の箇所
に、切欠き42を設けても良い。この構成によって、遮蔽材4の装着後、ランナー3の吊
下軸31の下端部に設けられたフックに対して直接、切欠き42を通して、スクリーンハ
ンガー9の開口部91aを取り付けることができる。
【0034】
また同様に、各透過材5の上部には、被装着部51が設けられている。被装着部51は
、スクリーンハンガー9の第二装着材92及び第三装着材93に装着される部位であり、
例えば透過材5を構成する生地が、その上辺で袋縫いされた部分に相当する。
【0035】
ここで、より詳細にスクリーンハンガー9の構造を説明する。
図4に示すように、第一
装着材91と第二装着材92及び第三装着材93とは連結部94を介して連結している。
第一装着材91には、ランナー3の吊下軸31のフックを引っ掛けるための開口部91a
が形成されている。第二装着材92及び第三装着材93には第一装着材91の上辺に引っ
掛け可能な係止爪92a,93aが形成されている。なお、本実施の形態1において開口
部91aは、生地が傾かないようにバランスをとる意味でも、上面視において、第一装着
材91の幅方向の室内端4A側寄りに形成されることが好ましい。
【0036】
連結部94は、第一装着材91の長手方向の一端(奥側)と、第二装着材92及び第三
装着材93の長手方向の一端(奥側)とを連結する。スクリーンハンガー9は、第一装着
材91、第二装着材92と、第三装着材93と、連結部94と、が樹脂で成形されている
。なお、スクリーンハンガー9を構成する素材は、樹脂に限定されるものではなく、例え
ば、金属や紙でもよい。
【0037】
図4に示すように、第二装着材92及び第三装着材93は、水平方向に回動可能に構成
される。つまり、連結部94は鉛直方向に平行な軸として機能するので、第二装着材92
及び第三装着材93は、連結部94を軸として水平方向に開閉可能である。
【0038】
係止爪92a,93aは、第二装着材92及び第三装着材93を閉じた状態とする。な
お、係止爪を第一装着材91に設けても良い。係止爪92a,93aは、第二装着材92
及び第三装着材93の上端部であって第二装着材92の長手方向の他端側(室内側)に設
けられている。なお、係止爪92a,93aが装着材92,93に設けられているので、
係止爪92a,93aが第一装着材91及び装着材92,93をロックする前の状態にお
いて、係止爪92a,93aが、第一装着材91に装着された遮蔽材4と干渉する。これ
により、第一装着材91に装着された遮蔽材4が、第一装着材91から抜け落ちることを
防止できる。
【0039】
なお、遮蔽材4及び透過材5のスクリーンハンガー9への装着方法は種々あり、例えば
図7に示すように、透過材5の上辺の両端側のみに形成された袋縫い箇所である被装着部
52,53を設けて、この2か所の被装着部52,53をスクリーンハンガー9の第二装
着材92及び第三装着材93に挿通させても良い。
【0040】
(変形例)
本実施の形態1の変形例について説明する。本変形例は、
図8に示すスクリーンハンガ
ー12として、出願人が有する特開2021-94265号の
図4に示す従来品のスクリーンハンガ
ーの構造を用いる。この場合、透過材5の被装着部51の箇所に、スリットSを設けて、
このスリットSに第二装着材92又は第三装着材93の先端側を挿通することで、透過材
5をスクリーンハンガー12より吊り下げることができる。
【0041】
以上の説明のように、本実施の形態1に係る縦型ブラインド1は、水平方向で取り付け
られるハンガーレール2と、ハンガーレール2に移動可能に支持される複数のランナー3
と、ランナー3に対して回転可能に取り付けられるスクリーンハンガー9と、スクリーン
ハンガー9に装着される遮蔽材4と、遮蔽材4の間に配置されると共にスクリーンハンガ
ー9に装着される透過材5と、を備え、透過材5は、遮蔽材4が引き出され且つそのチル
ト角が90度のとき、上面視でU字形状を有するよう配置されると共に、当該U字形状の
湾曲部5Aの湾曲開始点5Bが、遮蔽材4の室内端4Aより室外側に位置される。この構
成により、遮蔽材4と透過材5とを交互に垂直方向に吊下支持する縦型ブラインド1にお
いて、専用のスラット生地を用意する必要性がなく、且つ装置の小型化をも図ることがで
きる。
【0042】
すなわち、本実施の形態1に係る縦型ブラインド1では遮蔽材4(ドレープ部)は通常
幅の100mmスラット、透過材5(レース部)は例えばローマンシェードなどの通常の
レース生地から製作でき、専用のドレープ+レース+ドレープの生地を作る必要性がない
。この結果、現在ストックされているドレープ生地やレース生地を有効利用することでき
る。
【0043】
また、縦型ブラインド1ではスラットを畳み込んだ時の奥行寸法を従来品と比較して非
常に短くすることができ、天井面などに既に設置されているカーテンボックス内に遮蔽材
4及び透過材5を確実に収容することが可能となる。この結果、遮蔽材4及び透過材5が
交互に吊下支持される縦型ブラインド1における装置の小型化及び意匠性を向上させるこ
とができる。
【0044】
また、上述したスクリーンハンガー9の構成により、遮蔽材4と透過材5とを交互に垂
直方向に吊下支持することができると共に、ドレープ生地同士を連結するための専用の連
結具を準備する必要性がなくなる。
【0045】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る縦型ブラインドの構造に関して
図9を参照しながら説明する
。なお、本実施の形態2において上記実施の形態1に係る縦型ブラインド1と同様な構成
に関しては同じ名称・符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0046】
本実施の形態2に係る縦型ブラインド1では、
図9(a)に示すように、上面視におい
て、隣り合う透過材5の向きを180度互い違いに配置する。すなわち、透過材5の湾曲
部5Aが、室内側と室外側とに交互に配置される。この結果、遮蔽材4の幅100mm、
隣接するランナー3同士のピッチ間距離約90mmの場合、
図9(b)に示すように、全
開時の幅寸法136.70mm、畳み代寸法55.89mmとなり、全開時のたたみ代寸
法を実施の形態1と比較してより小さくでき、装置の小型化及び意匠性を向上させること
ができる。
【0047】
次に、本実施の形態2に係る縦型ブラインド1に用いるスクリーンハンガー13の構造
に関して
図10を参照しながら説明する。スクリーンハンガー13は、遮蔽材4が装着さ
れる平板形状の第四装着材131と、第四装着材131の長手方向の一端側において水平
方向に回動可能に連結されて透過材5が装着される平板形状の第五装着材132と、第四
装着材131の長手方向の他端側において水平方向に回動可能に連結されて透過材5が装
着される平板形状の第六装着材133と、第五装着材132及び第六装着材133に形成
されて第四装着材131に対して第五装着材132及び第六装着材133を係止した状態
とする係止爪132a,133aと、を備える。係止爪132a,133aは、例えば装
着材132,133の回動側ではない先端側上縁に形成される。第四装着材131と第五
装着材132及び第六装着材133とは回動角度が180度以上となるよう連結部134
を介して連結している。第四装着材131には、ランナー3の吊下軸31のフックを引っ
掛けるための開口部131aが形成されている。
【0048】
また、
図10に示すように、第五装着材132及び第六装着材133の幅寸法は、第四
装着材131の幅寸法より短い。例えば、第四装着材131の幅寸法はおおよそ100m
m、第五装着材132及び第六装着材133の幅寸法はおおよそ50mmである。このス
クリーンハンガー13を用いることで、遮蔽材4と透過材5とを交互に垂直方向に吊下支
持でき、且つ上面視において隣り合う透過材5の向きを180度互い違いに配置できる。
【0049】
なお、本発明は、上記実施の形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種
々の変形が可能である。例えば、透過材5の湾曲部5Aは円弧形状に限定されるものでは
なく、楕円形状、多角形状などでも良い。また、上記実施の形態における幅やチルト角度
はあくまで一例であり、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 縦型ブラインド
2 ハンガーレール
3 ランナー
4 遮蔽材
4A 遮蔽材の室内端
41 被装着部
42 切欠き
5 透過材
5A 湾曲部
5B 湾曲開始点
5C 直線伸長部
5D 湾曲頂点
51,52,53 被装着部
9,13 スクリーンハンガー
91 第一装着材
91a 開口部
92 第二装着材
92a,93a,132a,133a 係止爪
93 第三装着材
93a 係止爪
94,134 連結部
131 第四装着材
132 第五装着材
133 第六装着材
S スリット