(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077038
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】動物用洗浄剤組成物及び動物の洗浄方法
(51)【国際特許分類】
C11D 7/14 20060101AFI20240531BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20240531BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20240531BHJP
C11D 3/08 20060101ALI20240531BHJP
C11D 3/06 20060101ALI20240531BHJP
C11D 1/88 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
C11D7/14
A61K8/25
A61Q19/10
C11D3/08
C11D3/06
C11D1/88
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188842
(22)【出願日】2022-11-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】522463451
【氏名又は名称】どうぶつ病院京都株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100173679
【弁理士】
【氏名又は名称】備後 元晴
(72)【発明者】
【氏名】園田 祐三
(72)【発明者】
【氏名】田中 久生
【テーマコード(参考)】
4C083
4H003
【Fターム(参考)】
4C083AB281
4C083AB282
4C083CC23
4C083EE01
4H003AA01
4H003AD01
4H003AD02
4H003AD04
4H003BA12
4H003BA15
4H003BA20
4H003DA20
4H003DB02
4H003EA11
4H003EA25
4H003EA31
4H003EB04
4H003EB37
4H003EB43
4H003ED02
4H003FA02
4H003FA04
4H003FA25
4H003FA27
4H003FA28
4H003FA33
4H003FA34
4H003FA37
4H003FA39
(57)【要約】
【課題】流水を必要とせず、かつ、油汚れの効果的除去を簡便に実施可能な組成物及び洗浄方法を提供する。
【解決手段】本発明の組成物は、カルシウムナトリウムホスホシリケート0.01質量部以上10.0質量部以下と、水とを含有する。カルシウムナトリウムホスホシリケートは、二酸化ケイ素、酸化カルシウム、酸化ナトリウム及び五酸化二リンを含有する生体活性ガラスと水系溶媒とを含む生体活性ガラス含有液から生体活性ガラスが除去されてなる生体活性ガラス抽出物を含む。上記の組成物を動物の洗浄対象部位に適用し、洗浄対象部位に適用された組成物を拭き取ることで、水洗工程を要することなく油汚れを効果的に除去できる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルシウムナトリウムホスホシリケート0.01質量部以上10.0質量部以下と、水とを含有する動物用洗浄剤組成物。
【請求項2】
前記カルシウムナトリウムホスホシリケートは、二酸化ケイ素、酸化カルシウム、酸化ナトリウム及び五酸化二リンを含有する生体活性ガラスと水系溶媒とを含む生体活性ガラス含有液から前記生体活性ガラスが除去されてなる生体活性ガラス抽出物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
pHが8以上13未満である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
合成界面活性剤を実質的に含有しない、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
天然由来の両性界面活性剤をさらに含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の組成物を動物の洗浄対象部位に適用する工程と、前記洗浄対象部位に適用された前記組成物を拭き取る工程とを含む、水洗工程を要しない動物の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物用洗浄剤組成物及び動物の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
動物(主としてイヌとネコ)の身体の洗浄は、飼い主の家庭内及び/又はトリミングサロンで実施されるのが一般的である。動物は、身体の大部分が被毛で覆われていることから、シャンプーによる洗浄操作だけでなく、シャンプー後の乾燥操作に時間と労力がかかり、世話する飼い主やトリミングサロンの負担が大きい。
【0003】
また、動物に対しての長時間の洗浄及び乾燥操作は、動物の身体への負担が大きく、高齢犬や心臓病等の持病のある動物においては、シャンプーによる洗浄操作は禁忌であると考えられている。その結果、獣臭、皮膚病、ふけの発生等につながる。
【0004】
イヌ及びネコの場合、ヒトと異なり全身にアポクリン腺及び脂質腺が存在するため、汗(ヒトのような水分の汗:エクリン腺)による表皮脂質の洗浄は行われないため、皮膚及び被毛の皮脂による油汚れが中心である。
【0005】
このような油汚れの洗浄方法として、ヒトと同様の合成界面活性剤を使用したシャンプーのほか、オイルクレンジング等が上市されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、オイルクレンジングであっても、流水による洗浄及び乾燥が必要であり、飼い主やトリミングサロンにかかる労力負担や、動物にかかる身体的負担の軽減には至らない。したがって、流水等を使用しない動物の洗浄剤であって、特に油汚れの効果的除去を簡便に実施可能な組成物及び洗浄方法が求められている。
【0008】
本発明の目的は、流水を必要とせず、かつ、油汚れの効果的除去を簡便に実施可能な組成物及び洗浄方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、カルシウムナトリウムホスホシリケートを用いることで、上記の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
【0010】
第1の特徴に係る発明は、カルシウムナトリウムホスホシリケート0.01質量部以上10.0質量部以下と、水とを含有する動物用洗浄剤組成物を提供する。
【0011】
第1の特徴に係る発明によると、カルシウムナトリウムホスホシリケート懸濁液のもつ乳化作用によって、動物の油汚れ、臭いをとることができる。また、耳の内部、目の周り、口の周り等の着色汚れ(油汚れ&タンパク質汚れ)を効果的に除去できる。そして、油汚れに起因する細菌の繁殖を抑えられるため、例えば、黄色ブドウ球菌による膿皮症、マラセチア(真菌)による皮膚炎等を防ぐことができる。
【0012】
また、動物の洗浄にあたっては、組成物を動物の洗浄対象部位に適用し、その後、洗浄対象部位に適用された組成物を拭き取ればよい。したがって、流水による洗浄剤の洗い流しを必要としないことから、動物にかかる身体的負担を軽減でき、高齢犬や心臓病等の持病のある動物への組成物の使用も可能である。また、飼い主やトリミングサロンにかかる労力負担も小さく、組成物を日常的に用いることができる。
【0013】
よって、第1の特徴に係る発明によると、流水を必要とせず、かつ、油汚れの効果的除去を簡便に実施可能な組成物を提供できる。
【0014】
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、前記カルシウムナトリウムホスホシリケートは、二酸化ケイ素、酸化カルシウム、酸化ナトリウム及び五酸化二リンを含有する生体活性ガラスと水系溶媒とを含む生体活性ガラス含有液から前記生体活性ガラスが除去されてなる生体活性ガラス抽出物を含む、組成物を提供する。
【0015】
第2の特徴に係る発明によると、抽出物にナトリウムイオン及びカルシウムイオンが含まれる。これらのイオンが皮膚タンパク質の酸塩基結合に作用し、タンパク質の分子間(分子内)結合を弱くする。そのため、皮膚が軟化し、保湿剤等の浸透性を向上させることができる。
【0016】
また、ナトリウムイオン及びカルシウムイオンは、角質細胞内の保湿成分(NMF:天然保湿因子)であるので、カルシウムナトリウムホスホシリケートから供給されるナトリウムイオン及びカルシウムイオンも肌本来の保湿成分として機能する。
【0017】
また、抽出物はアルカリ性を呈するため、殺菌効果を発揮する。よって、油汚れに起因する細菌の繁殖をより効果的に抑えられ、例えば、黄色ブドウ球菌による膿皮症、マラセチア(真菌)による皮膚炎等を防ぐことができる。
【0018】
第3の特徴に係る発明は、第1又は第2の特徴に係る発明であって、pHが8以上13未満である組成物を提供する。
【0019】
第3の特徴に係る発明によると、抽出物がアルカリ性を呈するため、殺菌効果を発揮する。よって、油汚れに起因する細菌の繁殖をより効果的に抑えられる。
【0020】
第4の特徴に係る発明は、第1から第3のいずれかの特徴に係る発明であって、合成界面活性剤を実質的に含有しない組成物を提供する。
【0021】
第4の特徴に係る発明によると、動物の洗浄対象部位への刺激を抑えることができる。また、特に洗浄を数多く行うことになるトリミングサロンの担当者にかかる皮膚への負担を軽減できる。
【0022】
第5の特徴に係る発明は、第1から第4のいずれかの特徴に係る発明であって、天然由来の両性界面活性剤をさらに含有する組成物を提供する。
【0023】
両性界面活性剤は、アニオン系やカチオン系の界面活性剤に比べて刺激性が低く安全性が高い。両性界面活性剤単独では十分な洗浄効果が得られないが、第5の特徴に係る発明では、両性界面活性剤とカルシウムナトリウムホスホシリケートとの組合せであることから、安全性を維持したまま高い洗浄力を得ることができる。
【0024】
第6の特徴に係る発明は、第1から第5のいずれかの特徴に係る発明の組成物を動物の洗浄対象部位に適用する工程と、前記洗浄対象部位に適用された前記組成物を拭き取る工程とを含む、水洗工程を要しない動物の洗浄方法を提供する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、流水を必要とせず、かつ、油汚れの効果的除去を簡便に実施可能な組成物及び洗浄方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための好適な形態の一例について説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0027】
<動物用洗浄剤組成物>
本実施形態に係る動物用洗浄剤組成物は、カルシウムナトリウムホスホシリケート0.01質量部以上10.0質量部以下と、水とを含有する。
【0028】
〔カルシウムナトリウムホスホシリケート〕
カルシウムナトリウムホスホシリケートは、生体活性ガラス0.01重量%~10.0重量%と水系溶媒99.99重量%~90.0重量%とを含む生体活性ガラス含有液であってもよいし、当該含有液から生体活性ガラスが除去されてなる生体活性ガラス抽出物であってもよい。
【0029】
[生体活性ガラス]
生体活性ガラスは、二酸化ケイ素及び酸化ナトリウム、酸化カルシウム、五酸化リンを含む粉末状ガラス物質である。生体活性ガラスは、水分により活性化され、高い生物学的利用能を有する構成成分のイオン(生体活性ガラスからの抽出物)が放出される。特に、ナトリウムイオンが徐放されるため、皮膚タンパク質の酸塩基結合に作用し、タンパク質の分子間(分子内)結合を弱くする。そのため、皮膚が軟化し、保湿剤等の浸透性を向上させることができる。
【0030】
加えて、ナトリウムイオン及びカルシウムイオンは、角質細胞内の保湿成分(NMF:天然保湿因子)であるので、カルシウムナトリウムホスホシリケートから供給されるナトリウムイオン及びカルシウムイオンも肌本来の保湿成分として機能する。
【0031】
また、カルシウムナトリウムホスホシリケート懸濁液のもつ乳化作用によって、動物の油汚れ、臭いをとることができる。また、耳の内部、目の周り、口の周り等の着色汚れ(油汚れ&タンパク質汚れ)を効果的に除去できる。そして、油汚れに起因する細菌の繁殖を抑えられるため、例えば、黄色ブドウ球菌による膿皮症、マラセチア(真菌)による皮膚炎等を防ぐことができる。
【0032】
また、抽出物はアルカリ性を呈するため、殺菌効果を発揮する。よって、油汚れに起因する細菌の繁殖をより効果的に抑えられ、例えば、黄色ブドウ球菌による膿皮症、マラセチア(真菌)による皮膚炎等を防ぐことができる。
【0033】
生体活性ガラスは、アルカリイオンを徐放する崩壊性を有するガラスであれば特に制限されない。生体活性ガラスとして、例えば、歯科材料で用いられるフルオロアルミノシリケートガラスや、SCHOTT社のVitryxx等が挙げられる。
【0034】
生体活性ガラスの一次平均粒子径は、特に限定されない。有効成分の抽出作業を容易にする観点から、生体活性ガラスの一次平均粒子径は、0.5μm以上であることが好ましく、1.0μm以上であることがより好ましい。
【0035】
一方で、有効成分をより多く抽出する観点から、生体活性ガラスの一次平均粒子径は、15.0μm以下であることが好ましく、10.0μm以下であることがより好ましく、8.0μm以下であることがさらに好ましく、5.0μm以下であることがよりさらに好ましい。
【0036】
[水系溶媒]
水系溶媒は、生体活性ガラスに含まれる動物用洗浄剤組成物としての有効成分を、有効成分としての機能を損なうことなく抽出でき、かつ、皮膚へのダメージを最小限に抑えられる液体であれば特に限定されるものでなく、水、水混和性溶媒、及びこれらの混合溶媒のいずれでもよい。
【0037】
水は、精製水、イオン交換水、水道水等、常温で液体の状態にあるあらゆる態様を含む。
【0038】
水混和性溶媒の例として、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、s-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール等のC1-4アルコール;アセトン等のケトン系溶媒;ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;酢酸等の有機酸溶媒等が挙げられる。しかしながら、本実施形態では、皮膚へのダメージを軽減する必要があることから、水混和性溶媒は、エタノール又はイソプロパノールであり、エタノールであることが好ましい。
【0039】
[水溶性成分]
水系溶媒には、本実施形態に記載の発明の効果を損なわないものであれば、水溶性成分を含むものであってよい。本実施形態では、組成物全体としてのpHが8以上13未満であることが好ましい。組成物のpHが8以上であることにより、油汚れに起因する細菌の繁殖を効果的に抑えられる。また、組成物のpHが13未満であることにより、アルカリによる有効成分の加水分解や、アルカリが対象物の皮膚にダメージを与えることを軽減できる。
【0040】
カルシウムナトリウムホスホシリケートは、それ自体でpH緩衝機能をもっているため、例えば、水酸化ナトリウム等のアルカリ成分とは異なり、配合量を厳密に制御することなくpHを8以上13未満に保つことができる。しかしながら、pHの安定性を高めるため、水溶性成分としてpH緩衝性の成分を含むものであってもよい。
【0041】
弱アルカリ性の緩衝溶液として、トリス緩衝液(トリス(ヒドロキシルメチル)アミノメタン)、TE緩衝液(トリス緩衝液にEDTA(エチレンジアミン四酢酸)を加えたもの)、及び塩化アンモニウム緩衝液等が挙げられる。
【0042】
その他、水溶性成分として、通常化粧料や医薬部外品等に配合される粉末類、保湿剤、増粘剤、防腐剤等の添加物が挙げられる。
【0043】
[生体活性ガラス含有液に含まれる生体活性ガラスと水系溶媒との割合]
生体活性ガラス含有液に含まれる生体活性ガラスと水系溶媒との割合は、生体活性ガラス抽出物において、動物用皮膚外用剤としての機能を有効に発揮できれば、特に限定されるものではない。
【0044】
目安ではあるが、生体活性ガラスに含まれる有効成分を効果的に抽出させるため、生体活性ガラスの含有量は、生体活性ガラス含有液100重量%に対して0.01重量%以上であることが好ましい。言い換えると、水系溶媒の含有量は、生体活性ガラス含有液100重量%に対して99.99重量%以下であることが好ましい。
【0045】
また、生体活性ガラス含有液から生体活性ガラスを除去したときに十分な量の生体活性ガラス抽出物(ろ過後液)を得るため、生体活性ガラスの含有量は、生体活性ガラス含有液100重量%に対して10.0重量%以下であることが好ましい。言い換えると、水系溶媒の含有量は、生体活性ガラス含有液100重量%に対して90.0重量%以上であることが好ましい。
【0046】
[カルシウムナトリウムホスホシリケートの含有量]
本実施形態において、カルシウムナトリウムホスホシリケートの含有量は、特に限定されるものでない。pHを8以上に保ち、皮脂除去剤としての油汚れへの乳化機能を促し、油汚れに起因する細菌の繁殖を効果的に抑える観点から、組成物に対するカルシウムナトリウムホスホシリケートの含有量は、0.01質量部以上であることが好ましく、0.5質量部以上であることが好ましく、1.0質量部以上であることがさらに好ましく、1.5質量部以上であることがよりさらに好ましく、2.0質量部以上であることが特に好ましい。
【0047】
また、組成物に対するカルシウムナトリウムホスホシリケートの含有量は、pHを13未満に抑える観点から、10.0質量部以下であることが好ましく、pHを12.5未満に抑える観点から、8.0質量部以下であることがより好ましく、pHを12未満に抑える観点から、4.0質量部以下であることがさらに好ましい。組成物のpHが13未満であることにより、アルカリによる有効成分の加水分解や、アルカリが対象物の皮膚にダメージを与えることを軽減できる。
【0048】
[カルシウムナトリウムホスホシリケートの製造方法]
カルシウムナトリウムホスホシリケートは、生体活性ガラス0.01重量%~10.0重量%と水系溶媒99.99重量%~90.0重量%とを混合して1分以上100000時間以下の間静置し、その後、生体活性ガラス含有液から生体活性ガラスを除去することによって得られる。
【0049】
生体活性ガラスと水系溶媒とを混合する方法は、特に制限されないが、例えば、超音波発振器、シェーカー、ミキサー、スターラー等の機器を用いて混合することができる。
【0050】
生体活性ガラス含有液から生体活性ガラスを除去する手法は特に限定されないが、除去の手法として、ろ過等が挙げられる。ろ過の手法は、特に限定されない。一態様として、生体活性ガラス含有液を、生体活性ガラスの平均粒子径よりも小さい細孔径のフィルターを使用して吸引濾過すること等が挙げられる。
【0051】
必須ではないが、ろ過後液のpHを確認し、必要に応じてろ過後液のpHを8以上12未満に調整してもよい。
【0052】
〔水〕
水の種類は特に限定されず、精製水、イオン交換水、水道水等、常温で液体の状態にあるあらゆる態様を含む。
【0053】
〔界面活性剤〕
必須ではないが、本実施形態に記載の組成物は、合成界面活性剤を実質的に含有しないことが好ましい。本実施形態において、「実質的に含有しない」とは、洗浄剤組成物をシャンプー等として使用する際に皮膚へのダメージを与える量をいうものとする。これにより、動物の洗浄対象部位への刺激を抑えることができる。また、特に洗浄を数多く行うことになるトリミングサロンの担当者にかかる皮膚への負担を軽減できる。
【0054】
一方で、組成物は、天然由来の両性界面活性剤を含有してもよい。両性界面活性剤は、アニオン系やカチオン系の界面活性剤に比べて刺激性が低く安全性が高い。両性界面活性剤単独では十分な洗浄効果が得られないが、本実施形態に記載の発明では、両性界面活性剤とカルシウムナトリウムホスホシリケートとの組合せであることから、安全性を維持したまま高い洗浄力を得ることができる。
【0055】
天然由来の両性界面活性剤の例として、ベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。
【0056】
〔他の成分〕
組成物は、必要に応じて、増粘剤、湿潤剤・保湿剤、皮膚コンディショニング剤、オイル、顔料、色素、塩類、キレート剤、中和剤、紫外線吸収剤、防腐剤、殺菌剤、精製水、天然水、深層海洋水、エチルアルコール等を適宜配合することができる。
【0057】
増粘剤とは、組成物の粘度を向上させて、ゲル状やクリーム状にするために用いる添加物である。増粘剤は、例えば、クラリアントジャパン社「アリストフレックスHMB」、カルボキシビニルポリマーに代表される合成ポリマー、ペクチンやキサンタンガム等に代表される天然ポリマー、微粒子シリカやベントナイト、ヘクトナイト等が挙げられる。
【0058】
湿潤剤・保湿剤とは、組成物を使用した後の皮膚を保湿する目的で用いる添加物である。湿潤剤・保湿剤は、例えば、ポリエチレングリコール600(略号:PEG600)、グリセリン、アミノ酸、ピロリドンカルボン酸、乳酸、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸等のムコ多糖葵質、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ソルビット等の多価アルコール類等が挙げられる。
【0059】
皮膚コンディショニング剤は、乾燥や損傷を受けた皮膚にエモリエント性(皮膚からの水分蒸散を抑えてうるおいを保ち、皮膚を柔らかくすること)や保湿性を与えて皮膚の物理的状態を良くするために用いる添加物である。皮膚コンディショニング剤は、例えば、ヒドロキシアルキル化シクロデキストリン、ヒロドキシプロピルセルロース、アシル化プルラン、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース、トレハロースイソステアリン酸エステル等の糖類誘導体、ヒアルロン酸、アセチル化ヒアルロン酸、コラーゲン、カルボキシメチルキトサンサクシナミド、PPG-2アルギニン、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、アミジノプロリン、ピロリドンカルボン酸類、グルコサミン類、アラニルグルタミン、グリセリル-N-(2-ヒドロキシエチル)カルバメート、グルカミン類等の保湿剤、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン等の水溶性保湿油、γ-ドコサラクトン、グルコノラクトン、エルカラクトン等のラクトン類、2-エチルヘキサン酸セチル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジグリセリル混合脂肪酸エステル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸フィトステリル、イソステアリン酸プロピレングリコール、イソデシルベンゾエート、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル、オクタン酸セチル、オレイン酸エチル、オレイン酸フィトステリル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、コハク酸ジエチルヘキシル、コハク酸ビス(ジエチレングリコールエチルエーテル)エステル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジネオペンタン酸トリプロピレングリコール、ジペンタエリスリトールとヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸等の混合脂肪酸とのエステル、ジリノール酸ジ(フィトステアリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸硬化ヒマシ油、セバシン酸ジエチル、セバチン酸ジエチル、デキストリン脂肪酸エステル、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリエチルヘキサノイン、ネオペンタン酸イソデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸硬化ヒマシ油、フィトステリルイソステアレート、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル、リンゴ酸ジイソステアリル等のエステル油、ラウロイルサルコシンイソプロピル、ラウロイルグルタミン酸(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル/イソステアリル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジイソステアリル、ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデセス-2、ラウロイルグルタミン酸ジステアレス-2、ラウロイルグルタミン酸ジヘキシルデシル、ミリストイルメチル-β-アラニン(フィトステリル/デシルテトラデシル)等のアシルアミノ酸エステル、18-メチルエイコサン酸、14-メチルペンタデカン酸、14-メチルヘキサデカン酸、15-メチルヘキサデカン酸、15-メチルヘプタデカン酸、16-メチルヘプタデカン酸、16-メチルオクタデカン酸、17-メチルオクタデカン酸、17-メチルノナデカン酸等の分岐脂肪酸、ならびにそのエステル油、ラノリン脂肪酸及びその塩等のラノリンからの抽出品、スフィンゴシン、天然セラミド又は天然型セラミド類、及びその誘導体、流動パラフィン、流動イソパラフィン、ワセリン、スクワレン、スクワラン、2,2,4,6,6-ペンタメチルヘプタン等の炭化水素油、真珠層を有する貝殻又は真珠から得られる蛋白質又はその加水分解物、シルクから得られる蛋白質又はその加水分解物、増粘剤、粘度調整剤、エタノール等の低級アルコール、ナフタレンスルホン酸等の界面活性助剤、乳化剤、乳濁剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収剤、ニコチン酸アミド、アルギニルフルコトシルグルコース、レチノイン酸トコフェリル等の酸化防止剤、粉末成分、ウレタン樹脂、疎水変性ポリエーテルウレタン、ポリウレタンゲル等のウレタン類、血行促進剤、局所刺激剤、抗男性ホルモン剤、抗脂漏剤、抗老化薬剤、エモリエント剤、角質溶解剤、グリチルレチン酸、コレステロール、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、メントール、アルコキシサリチル酸、サリチル酸、N-ベンゾイルグリシルグリシン、1-インダニリデン誘導体、アラントイン、グリコサミノグリカン、ポリグルタミン酸類、ニコチン酸類、ホスホセリン、トレハンジェリン、トコフェリルリン酸、アスコルビルエチル、アスコルビン酸-2-リン酸-6-脂肪酸、ホエイ類、グリセロホスホコリン、グルコヘプトン酸、グリセリル-1-オクタデシルウレタン等が挙げられる。
【0060】
〔有機溶媒を実質的に含有しないこと〕
皮膚へのダメージを軽減する観点から、組成物は、有機溶媒を実質的に含有しないことが好ましい。
【0061】
その観点から、組成物は、石油エーテル、n-ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼン等の炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;アセトン等のケトン類;ピリジン等の塩基性溶媒;ブタノール、プロパノール、メタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等の一価又は多価アルコール系溶媒等の有機溶媒を実質的に含有しないことが好ましい。そして、組成物は、さらにイソプロパノールを実質的に含有しないことがより好ましい。また、組成物は、さらにエタノールを実質的に含有しないことが特に好ましい。
【0062】
〔殺菌剤成分や抗生物質を実質的に含有しないこと〕
これまで、殺菌剤や抗生物質を含有するシャンプーによる殺菌及び洗浄や、殺菌剤や抗生物質を含有する皮膚外用薬(クリーム、ジェル等)の塗布等が提案されている。
【0063】
殺菌剤を含有するシャンプーの場合、シャンプーが対象動物の目鼻口に入る可能性も考えられ、動物への負担低減が求められている。また、シャンプーで対象動物を洗浄する際、飼い主の手指の皮膚を著しく傷める可能性がある。そして、皮膚外用薬の場合も同様に、動物への影響や飼い主の負担増が懸念される。
【0064】
また、近年ではヒトと同様に、犬や猫の感染症の薬剤耐性化が進んでおり、動物病院で使用できる抗生物質が効かない症状も増えており、その点において、組成物は、抗生物質を実質的に含有しないものであることが求められる。
【0065】
本実施形態に記載の発明によると、組成物は、殺菌剤成分や抗生物質を実質的に含有しなくてもよいため、以下の効果が期待される。
(1)皮膚刺激性、経口毒性等が低い安全性の高い組成物を提供できる。
(2)動物の目鼻口に入っても問題がなく、人間の手指の皮膚を傷めない。
(3)薬剤耐性菌に効果的で、耐性菌化させない。
(4)皮膚疾患の原因菌を殺菌、排除するだけでなく、皮膚の保湿機能向上を期待できる。
【0066】
〔組成物のpH〕
組成物のpHは、特に制限されない。カルシウムナトリウムホスホシリケートが徐放するナトリウムイオンによる皮脂(グリセリンと脂肪酸のエステル)や皮膚角質の軟化を促す観点から、組成物のpHは、8以上であることが好ましく、8.5以上であることがより好ましく、9以上であることがさらに好ましい。
【0067】
また、強アルカリによる皮膚へのダメージを軽減する観点から、組成物のpHは、12未満であることが好ましく、11以下であることがより好ましく、10以下であることがさらに好ましい。
【0068】
〔動物の洗浄方法〕
本実施形態に係る動物の洗浄方法は、上述した組成物を動物の洗浄対象部位に適用する工程と、洗浄対象部位に適用された組成物を拭き取る工程とを含む。本方法においては、水洗工程を要しない。
【0069】
動物の種類は特に限定されないが、体の表面の少なくとも一部が毛で覆われている動物であることが好ましい。哺乳動物は、一般に、体の表面の少なくとも一部が毛で覆われている。哺乳動物の中でも、体表に多くの被毛をもち、トリミングサロンで多く取り扱われるペット(犬や猫)のほか、頭髪をもつヒトであることが好ましく、特に犬又は猫であることが好ましい。
【0070】
本方法においては、流水による洗浄剤の洗い流しを必要としないことから、動物にかかる身体的負担を軽減でき、高齢犬や心臓病等の持病のある動物への組成物の使用も可能である。また、飼い主やトリミングサロンにかかる労力負担も小さく、組成物を日常的に用いることができる。
【実施例0071】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。
【0072】
<試験1A> 乳化機能の確認実験 その1
〔動物用洗浄剤組成物の調製〕
表1に記載の調製表にしたがって、実施例及び比較例の動物用洗浄剤組成物(皮脂除去剤)を調製した。調製は、常温大気圧下で各成分を計量し、振盪混合した後、15時間静置し、化粧品用スプレー容器に充填することによって行った。それぞれの組成物のpHは、表1に記載のとおりであった。
【表1】
※各成分の配合について、単位は質量部である。
※カルシウムナトリウムホスホシリケートは、45S5 Bioactive Glass(二酸化ケイ素45重量%、酸化カルシウム24.5重量%、酸化ナトリウム24.5重量%及び五酸化二リン6.0重量%)である。
【0073】
〔評価〕
実施例及び比較例の組成物100gに対して、5gのオリーブ油を加え、容器をゆっくりと円を描くように回転させ、内容物を混合した。約20秒間回転混合の後、静置しオリーブ油の混合状態を確認した。結果を表2に示す。
【表2】
【0074】
比較例1-1に記載したように、油性成分は水には容易に分散しないが、カルシウムナトリウムホスホシリケート及び水からなる実施例記載の組成物は、水に分散しない油性成分を水に容易に分散させる乳化作用を有することが認められた。
【0075】
<試験1B> 乳化機能の確認実験 その2
表1に従って調製した比較例及び実施例の組成物から、孔径1マイクロメートルのメンブレンフィルターを使用した吸引濾過により、カルシウムナトリウムホスホシリケートを除去して、カルシウムナトリウムホスホシリケート抽出物を得た。このカルシウムナトリウムホスホシリケート抽出物の乳化機能について確認実験を実施した。
【0076】
具体的には、実施例の組成物100gに対して、5gのオリーブ油を加え、容器をゆっくりと円を描くように回転させ、内容物を混合した。約20秒間回転混合の後、静置しオリーブ油の混合状態を確認した。結果を表3に示す。
【表3】
【0077】
表3に示したように、実施例の組成物からカルシウムナトリウムホスホシリケートを除去した抽出液に関しても、水に分散しない油性成分を水に容易に分散させる乳化作用を有することが認められた。
【0078】
<試験1C> 犬の皮脂の除去試験
〔洗浄剤〕
実施例1-1、1-4及び1-6の組成物、さらに実施例1-4の組成物からカルシウムナトリウムホスホシリケートを除去した抽出液、比較例1-1の組成物を、スプレーボトル容器に充填し、これを皮脂除去スプレーとした。
【0079】
〔実験犬の洗浄〕
特に皮脂の多い実験犬の首回り及び足指の間、下腹部の皮膚及び被毛に皮脂除去スプレーを噴射した。ここで、皮脂除去スプレーは被毛が完全に濡れた状態になるまで噴霧する。その後、実験犬の皮膚及び被毛を良くマッサージし、乾いたワイプで拭き取ることで皮脂の除去を実施した。
【0080】
施術操作はトリマーにより実施され、表4に記載の通り効果判定を実施した。結果を表5に示す。
【表4】
【0081】
【0082】
<試験2> シャンプー組成物での確認実験
〔シャンプー組成物の調製〕
表6及び表7にしたがい、常温大気圧下で各成分を計量し、振盪混合し、その後、化粧品用フォーム(泡)容器に充填することで、実施例及び比較例に係るシャンプー組成物を調製した。
【表6】
【表7】
※各成分の配合について、単位は質量部である。
※カルシウムナトリウムホスホシリケートは、45S5 Bioactive Glass(二酸化ケイ素45重量%、酸化カルシウム24.5重量%、酸化ナトリウム24.5重量%及び五酸化二リン6.0重量%)である。
※レボンHC-30Wは、両性界面活性剤(三洋化学社製、コカミドプロピルベタイン水溶液)である。
※濃グリセリンは、保湿成分(坂本薬品工業社製)である。
※ティーツリー油は、天然精油(香料、ダウンアンダー社製)である。
【0083】
〔実験犬を使用したシャンプー組成物の効果検証〕
[実験犬の洗浄]
特に皮脂の多い実験犬の首回り及び足指の間、下腹部の皮膚及び被毛をぬるま湯で濡らし、シャンプー組成物の適量を使用して泡立て、良くマッサージするように洗浄した。5分間放置後、ぬるま湯でよくすすぎ、シャンプー組成物を洗い流した後、ドライヤーで乾燥させた。
【0084】
施術操作はトリマーにより実施され、表8の通り効果判定を実施した。結果を表9に示す。
【表8】
【0085】
【0086】
<試験3> ムース(泡)状組成物での確認実験
〔ムース(泡)状組成物の調製〕
表10及び表11にしたがい、常温大気圧下で各成分を計量し、振盪混合し、その後、化粧品用フォーム(泡)容器に充填することで、実施例及び比較例に係るムース(泡)状組成物を調製した。
【表10】
【表11】
※各成分の配合について、単位は質量部である。
※カルシウムナトリウムホスホシリケートは、45S5 Bioactive Glass(二酸化ケイ素45重量%、酸化カルシウム24.5重量%、酸化ナトリウム24.5重量%及び五酸化二リン6.0重量%)である。
※レボンHC-30Wは、両性界面活性剤(三洋化学社製、コカミドプロピルベタイン水溶液)である。
※石鹸素地は、グリセリン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム及びミリスチン酸ナトリウムを含有する組成物(スティーブンソン・パーソナル・ケア社(英国)製)である。
※ティーツリー油は、天然精油(香料、ダウンアンダー社製)である。
【0087】
〔実験犬を使用したムース(泡)状組成物の効果検証〕
[実験犬の洗浄]
特に皮脂の多い実験犬の首回り及び足指の間、下腹部の皮膚及び被毛に適量のムース(泡)状組成物を揉みこみ、良くマッサージするように洗浄した。5分間放置後、ワイプで拭き取り自然乾燥した。
【0088】
施術操作はトリマーにより実施され、表12の通り効果判定を実施した。結果を表13に示す。
【表12】
【0089】
前記カルシウムナトリウムホスホシリケートは、二酸化ケイ素、酸化カルシウム、酸化ナトリウム及び五酸化二リンを含有する生体活性ガラスと水系溶媒とを含む生体活性ガラス含有液から前記生体活性ガラスが除去されてなる生体活性ガラス抽出物を含む、請求項1に記載の組成物。