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特開2024-77040需要予測装置、需要予測方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077040
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】需要予測装置、需要予測方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0202 20230101AFI20240531BHJP
【FI】
G06Q30/0202
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188844
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】鷲塚 尚紀
(72)【発明者】
【氏名】赤澤 恭子
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB02
5L049BB02
(57)【要約】
【課題】商品の需要予測の精度を高めることができる需要予測装置を提供することにある。
【解決手段】本開示の需要予測装置は、対象商品の実需との乖離を示す乖離情報及び販売数量を取得する情報取得手段と、乖離情報に基づいて、販売数量を補正する、補正手段と、補正した後の販売数量を含む学習データに基づいて、需要予測モデルを生成する生成手段と、を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象商品の実需との乖離を示す乖離情報及び販売数量を取得する情報取得手段と、
前記乖離情報に基づいて、前記販売数量を補正する補正手段と、
前記補正した後の販売数量を含む学習データに基づいて、需要予測モデルを生成する生成手段と、を備える、需要予測装置。
【請求項2】
前記需要予測モデルを用いて、所定の期間における前記対象商品の販売数量を予測する予測手段と、
予測した前記販売数量を出力する出力手段と、を更に備える、請求項1に記載の需要予測装置。
【請求項3】
前記乖離情報は、前記対象商品の見切り商品又は欠品商品の数量である、請求項1又は2に記載の需要予測装置。
【請求項4】
前記見切り商品は、通常価格から所定以上の割引率で販売された商品である、請求項3に記載の需要予測装置。
【請求項5】
店舗における時間帯別客数、前記対象商品の曜日別の平均販売数量、及び、最終販売時刻に基づいて、前記欠品商品の数量を算出する欠品数算出手段を更に備える、請求項3に記載の需要予測装置。
【請求項6】
前記欠品数算出手段は、所定の時点で前記対象商品の在庫がない場合に、当該営業日の前記欠品商品の数量を算出する、請求項5に記載の需要予測装置。
【請求項7】
コンピュータが、
対象商品の実需との乖離を示す乖離情報及び販売数量を取得し、
前記乖離情報に基づいて、前記販売数量を補正し、
前記補正した後の販売数量を含む学習データに基づいて、需要予測モデルを生成する、需要予測方法。
【請求項8】
対象商品の実需との乖離を示す乖離情報及び販売数量を取得し、
前記乖離情報に基づいて、前記販売数量を補正し、
前記補正した後の販売数量を含む学習データに基づいて、需要予測モデルを生成することをコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、需要予測装置、需要予測方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
過去の商品の販売実績に基づいて予測モデルを学習し、その予測モデルに基づいて将来の需要予測を行う方法が広く知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、特売による販売数増加を考慮した商品の需要予測装置が開示されている。また、特許文献2には、店舗の商品の過去の所定期間の売上数を示す需要情報と、売上数に関連する外部情報及び陳列数に基づいて、需要予測モデルを生成して予測値を算出するモデル生成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2019/203184号
【特許文献2】国際公開第2019/159772号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、商品の需要予測に用いるモデルは、店舗で実際に販売した商品の販売数量を学習データとして用いている。しかし、実際の商品の販売数量には、商品の在庫がなくなったために販売できなかった需要等が含まれていない。このため、商品の販売数量は、商品の需要を正確に表していない。
【0006】
本開示の目的の一例は、商品の需要予測の精度を高めることができる需要予測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様における需要予測装置は、対象商品の実需との乖離を示す乖離情報及び販売数量を取得する情報取得手段と、乖離情報に基づいて、販売数量を補正する補正手段と、補正した後の販売数量を含む学習データに基づいて、需要予測モデルを生成する生成手段と、を備える。
【0008】
本開示の一態様における需要予測方法は、コンピュータが、対象商品の実需との乖離を示す乖離情報及び販売数量を取得し、乖離情報に基づいて、販売数量を補正し、補正した後の販売数量を含む学習データに基づいて、需要予測モデルを生成する。
【0009】
本開示の一態様におけるプログラムは、対象商品の実需との乖離を示す乖離情報及び販売数量を取得し、乖離情報に基づいて、販売数量を補正し、補正した後の販売数量を含む学習データに基づいて、需要予測モデルを生成することをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示による効果の一例は、商品の需要予測の精度を高めることができる需要予測装置を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第一の実施形態における需要予測装置を含む構成を示す図である。
図2図2は、第一の実施形態における需要予測装置をコンピュータ装置とその周辺装置で実現したハードウェア構成を示す図である。
図3図3は、第一の実施形態における需要予測の動作を示すフローチャートである。
図4図4は、第一の実施形態の変形例における需要予測装置を含む構成を示す図である。
図5図5は、第一の実施形態の変形例において、欠品商品の数量を算出するための画面の例である。
図6図6は、第一の実施形態の変形例おける需要予測の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
はじめに本発明の一実施形態の需要予測装置100の概要について説明する。需要予測装置100は、対象商品の実需との乖離を示す乖離情報及び販売数量を取得する情報取得手段と、乖離情報に基づいて、販売数量を補正する補正手段と、補正した後の販売数量を含む学習データに基づいて、需要予測モデルを生成する生成手段とを少なくとも備える。この構成によれば、需要予測装置100は、乖離情報に基づき補正した後の販売数量を含む学習データに基づいて、需要予測モデルを生成する。よって、生成した需要予測モデルを用いて商品の需要を予測すれば、需要予測の精度を高めることができる。
【0013】
[第一の実施形態]
本実施形態における需要予測装置100は、生鮮食料品、日配品等の食料品又は生活雑貨等の小売店で販売される商品の需要予測を行うための装置である。本実施形態の具体例として、ある店舗が予測の対象とする商品(以下、対象商品と記す。)をどの程度販売するかを示す販売数量として予測することを想定する。また、需要予測装置100は、予測した販売数量に基づいて、その店舗で必要な対象商品の数の発注も可能な発注システムとして構成されてもよい。
【0014】
本実施形態において、需要の予測対象期間としては、例えば、一日や一週間といった予め決められた所定期間、又は、発注間隔に応じた期間等が考えられる。本実施形態では、主として、特定の店舗における対象商品の一日毎の販売数量を予測する場合を想定して説明する。
【0015】
図1は、第一の実施形態における需要予測装置100を含む構成を示す図である。図1を参照すると、需要予測装置100は、POS(Point of sale)サーバ200からネットワークを通じて需要予測に必要なデータを取得する。
【0016】
POSサーバ200には、例えば、商品の販売実績情報が記憶されている。商品の販売実績情報には、販売された商品名、販売日時、販売店舗、販売数量が含まれる。また、POSサーバ200には、商品毎に、見切り商品として販売した数量が記憶されている。需要予測装置100は、例えば、日単位で販売数を予測する場合、POSサーバ200から、少なくとも、予測対象日の数日前~数十日前の対象商品の日毎の販売数量を含む学習データを取得して、需要予測モデルを生成する。
【0017】
学習データには、商品毎の過去の販売数量の実績値が用いられる。需要予測装置100は、例えば、「A社○○ヨーグルト」が対象商品の場合、例えば、同じメーカーの同一商品(すなわち、A社○○ヨーグルト)の販売数量の実績値を学習データに用いる。また、需要予測装置100は、同一商品の販売数量のデータが少ない場合は、他社のメーカーの同じ商品又は同一のカテゴリに含まれる商品の販売数量を学習データに用いても構わない。
【0018】
図1に示すように、需要予測装置100は、情報取得部101、補正部102、生成部103、予測部104及び出力部105を備える。次に、第一の実施形態における需要予測装置100の構成について詳しく説明する。
【0019】
図2は、本開示の第一の実施形態における需要予測装置を、プロセッサを含むコンピュータ装置500で実現したハードウェア構成の一例を示す図である。図2に示されるように、需要予測装置100は、CPU(Central Processing Unit)501、ROM(Read Only Memory)502、RAM(Random Access Memory)503等のメモリ、プログラム504を格納するハードディスク等の記憶装置505、ネットワーク接続用の通信I/F(Interface)508、データの入出力を行う入出力インタフェース511を含む。第一の実施形態において、POSサーバ200から受付する乖離情報及び販売数量は、ネットワーク接続用の通信I/F508を介して需要予測装置100に入力される。
【0020】
CPU501は、オペレーティングシステムを動作させて本発明の第一の実施の形態に係る需要予測装置100の全体を制御する。また、CPU501は、例えばドライブ装置507などに装着された記録媒体506からメモリにプログラムやデータを読み出す。また、CPU501は、第一の実施の形態における情報取得部101、補正部102、生成部103、予測部104、出力部105及びこの一部として機能し、プログラムに基づいて後述する図3に示すフローチャートにおける処理または命令を実行する。
【0021】
記録媒体506は、例えば光ディスク、フレキシブルディスク、磁気光ディスク、外付けハードディスク、または半導体メモリ等である。記憶装置の一部の記録媒体は、不揮発性記憶装置であり、そこにプログラムを記録する。また、プログラムは、通信網に接続されている図示しない外部コンピュータからダウンロードされてもよい。
【0022】
入力装置509は、例えば、マウスやキーボード、内蔵のキーボタンなどで実現され、入力操作に用いられる。入力装置509は、マウスやキーボード、内蔵のキーボタンに限らず、例えばタッチパネルでもよい。出力装置510は、例えばディスプレイで実現され、出力を確認するために用いられる。
【0023】
以上のように、図1に示す第一の実施形態は、図2に示されるコンピュータ・ハードウェアによって実現される。ただし、図1の需要予測装置100が備える各部の実現手段は、以上説明した構成に限定されない。また需要予測装置100は、物理的に結合した一つの装置により実現されてもよいし、物理的に分離した二つ以上の装置を有線または無線で接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。たとえば、入力装置509及び出力装置510は、コンピュータ装置500とネットワークを経由して接続されたシステムとして構成されていてもよい。また、図1に示す第一の実施形態における需要予測装置100は、クラウドコンピューティング等で構成することもできる。
【0024】
情報取得部101は、対象商品の実需との乖離を示す乖離情報及び販売数量を取得する手段である。実需とは、通常価格で販売可能であった商品の販売数量であり、在庫がない場合に、在庫があれば販売可能であっただろうとされる仮想的な販売数量も含む。通常価格とは、定価等のあらかじめ決められた値段のことで、値上げや値引きが行われていない価格である。販売数量とは、実際に売れた販売数量の実績値を指し、見切り商品の販売数量も含む。
【0025】
乖離情報とは、例えば、対象商品の見切り商品又は欠品商品の数量である。見切り商品とは、通常価格よりも値引きして販売された商品である。見切り商品は、所定以上の割引率(例えば30%割引以上)で販売された商品に限定してもよい。例えば、ユーザにより、通常価格より20%割引であれば、販売数量(実需)に含め、通常価格より50%割引であれば、見切り商品にする等、実需に含めるかどうかの割引率の閾値が設定されもよい。情報取得部101が、適切な割引率の閾値を学習することで算出してもよい。欠品商品とは、店舗の営業中に在庫があれば、販売されたとされる商品である。
【0026】
情報取得部101は、対象商品の乖離情報及び販売数量を取得する。情報取得部101は、具体的に、POSサーバ200に記憶されている販売実績情報より、対象商品の見切り商品の数量及び販売数量の実績値を取得する。また、情報取得部101は、対象商品の販売数量の実績値に基づいて、欠品商品の数量の情報を取得する。欠品商品の数量は、例えば、該営業日当日の営業時間前の理論在庫から、その時点における販売数量の実績値を差し引き、在庫が0以下になった場合の数量を指す。本実施形態において、理論在庫は、発注システムにより算出される。具体的には、発注システムは、POSサーバ210から販売数量の実績値を、各店舗を管理する本部の基幹システムから、商品の廃棄、移動情報(店舗間移動等)及び発注数の情報をそれぞれ取得し、これらの情報を用いて理論在庫を算出し、保持している。理論在庫とは、POSサーバ210及び基幹システム上に登録された上述の情報により算出された店舗にある理論値の在庫数のことを指し、基幹システムへの登録が漏れた情報は反映されない。
【0027】
補正部102は、乖離情報に基づいて、販売数量を補正する手段である。補正部102は、対象商品の販売数量の実績値から、見切り商品の数量及び欠品商品の数量を加味して販売数量を補正する。具体的には、補正部102は、対象商品の販売数量の実績値から、見切り商品の数量を差し引く。また、補正部102は、対象商品の販売数量に、欠品商品の数量を足す。補正部102は、このように補正した販売数量を生成部103に出力する。
【0028】
生成部103は、補正した後の販売数量を含む学習データに基づいて、需要予測モデルを生成する手段である。生成部103は、補正部102から補正した販売数量が入力されると、それを学習データとして、需要予測モデルを生成する。本実施形態において、生成部103は、予測モデルを店舗毎及び商品毎に生成する。
【0029】
生成部103は、過去の対象商品の補正した後の販売数量を教師データとして、機械学習により各予測モデルを生成する。生成部103が生成するモデルとしては、販売数量を目的変数とし、目的変数が説明変数を用いた予測式で表されているものであればよく、その予測式(予測モデル)の内容は任意である。説明変数としては、販売数量に影響を与える因子に対応する変数が用いられる。
【0030】
因子としては、例えば、需要予測対象日のカレンダー情報(平日/休日、曜日)、気象情報(最高気温、最低気温、天気)、又は、客数若しくは販売数量等の過去の実績の情報である。また、因子として、例えば、割引等の販売促進活動(キャンペーン)、店舗の近くで行われるイベント(近隣イベント)、店舗で行われる催し(催事)、テレビ、雑誌等のメディアでの広告、紹介記事(CM/メディア)等の需要予測対象日前後に生じる特別要因を含んでもよい。ただし、因子としては、販売数量や客数に影響のある情報であれば、これらに限られない。
【0031】
因子の情報は、ユーザからの入力を受け付けるものであってもよく、記憶装置505にあらかじめ記憶されている情報を読み出すものであってもよく、ネットワークを介してPOSサーバ200又は図示しない外部システム等の他の装置から取得するものであってもよい。また、生成部103は、他の装置から取得した客数又は販売数量を用いて、移動平均等を計算し、計算した値を説明変数として用いてもよい。生成部103は、生成した予測モデルを例えば、記憶装置505に格納する。
【0032】
予測部104は、需要予測モデルを用いて、所定の期間における対象商品の販売数量を予測する手段である。予測部104は、例えば、記憶装置505に格納されている予測モデルに、予測する日の説明変数値を代入することで予測する。
【0033】
出力部105は、予測部104による予測結果を出力する。出力部105は、例えば、ディスプレイ装置により実現される。出力部105は、対象商品の所定の期間の販売数量を出力する。出力部105は、モデルの条件分岐又はモデル式等のモデルの情報も出力してもよい。また、出力部105は、販売数量に基づき、対象商品の発注入力を行うための発注画面を出力しても構わない。
【0034】
以上のように構成された需要予測装置の動作について、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0035】
図3は、第一の実施形態における需要予測装置100の動作の概要を示すフローチャートである。尚、このフローチャートによる処理は、前述したプロセッサによるプログラム制御に基づいて、実行されてもよい。需要予測装置100は、例えば、対象商品の販売数量を予測する度に本フローチャートによる処理を繰り返す。
【0036】
図3に示すように、まず情報取得部101は、対象商品の実需との乖離を示す乖離情報及び販売数量を取得する(ステップS101)。次に、補正部102は、乖離情報に基づいて、販売数量を補正する(ステップS102)。次に、生成部103は、補正した後の販売数量を含む学習データに基づいて、需要予測モデルを生成する(ステップS103)。次に、予測部104は、需要予測モデルを用いて、所定の期間における対象商品の販売数量を予測する(ステップS104)。次に、出力部105は、予測した販売数量を出力する(ステップS105)。以上で、需要予測装置100は、動作を終了する。
【0037】
本実施形態における需要予測装置100は、補正部102が、対象商品の乖離情報に基づいて、販売数量を補正する。また、生成部103は、補正した後の販売数量を含む学習データに基づいて、需要予測モデルを生成する。これにより、実際の対象商品の需要を示した、補正後の販売数量を学習データとして用いて、需要予測モデルを生成することができる。よって、本実施形態における需要予測モデルを用いることで、商品の需要予測の精度を高めることができる。
[第一の実施形態の変形例]
次に、図を用いて第一の実施形態の変形例を説明する。以下、本実施形態の説明が不明確にならない範囲で、前述の説明と重複する内容については説明を省略する。図4は、第一の実施形態の変形例における需要予測装置110を含む構成を示す。図4に示すように、第一の実施形態の変形例における需要予測装置110では、第一の実施形態の構成に加えて、欠品数算出部111を備えている点で異なる。すなわち、第一の実施形態の変形例における需要予測装置110は、欠品数算出部111、情報取得部112、補正部113、生成部114、予測部115及び出力部116を備える。
【0038】
欠品数算出部111は、対象商品の欠品商品の数量を算出する手段である。本実施形態において、情報取得部112は、乖離情報のうち、対象商品の欠品商品の数量以外の情報を取得する。欠品数算出部111は、所定の時点で対象商品の在庫がない場合に、当該営業日の欠品処理の数を算出する。欠品数算出部111は、具体的には、営業開始前に、発注システムから対象商品の在庫数の情報を取得し、対象商品の理論在庫数が0以下である場合に欠品が生じたと判定し、欠品商品の数量を算出する。また、季節商品や販売終了商品は、在庫があっても売れないと予想される。よって、欠品数算出部111は、対象商品が季節商品や販売終了商品である場合も、欠品商品の数量を算出しなくても構わない。
【0039】
ここで、欠品数算出部111による欠品商品の数量の算出方法を説明する。欠品数算出部111は、店舗における時間帯別客数、対象商品の曜日別の平均販売数量、及び、最終販売時刻に基づいて、各営業日の欠品商品の数量を算出する。具体的に、欠品数算出部111は、POSサーバ210から、店舗における時間帯別客数、曜日別の平均販売数量、及び、欠品商品の最終販売時刻の情報を取得する。欠品数算出部111は、例えば、店舗の営業時間中における数時間毎のPOS端末でのレシート発行枚数に基づき、店舗における時間帯別客数を取得する。また、曜日別の平均販売数量とは、例えば、チラシでの宣伝又はスポット特売等の特別なイベントが行われた日を除いた日の補正後の曜日毎の販売数量の平均値である。欠品商品の最終販売時刻とは、理論在庫数が0以下になった際の時刻である。
【0040】
欠品数算出部111は、まず、時間帯別客数及び欠品商品の最終販売時刻に基づき、最終販売時刻以降の時間帯別客数構成比を算出する。次いで、欠品数算出部111は、曜日別の平均販売数量に、最終販売時刻以降の時間帯別客数構成比を乗じて、欠品商品の数量として、在庫がなくなった後の時間帯に本来販売できたはずの数を算出する。
【0041】
ここで、具体的な例を用いて欠品商品の数量の算出方法を説明する。図5は、第一の実施形態の変形例において、欠品商品の数量を算出するための画面の例である。この画面は、例えば、対象商品の需要予測を行うユーザに対して表示される画面である。図5において、欠品商品の数量を算出するのは、店舗Aにおいて2022年8月1日(土)に販売された、XX牛乳である。図5には、店舗AにおけるXX牛乳の曜日別の平均販売数量と、時間帯別客数構成比、販売数量、見切り商品の数量、欠品商品の数量及び補正した後の販売数量が示されている。ここでいう、販売数量とは、見切り商品の数量を含めた実販売数量を指す。図5に示すように、土曜日における平均販売数量は、20個である。また、XX牛乳の最終販売時刻が18:00となっている。よって、最終販売時刻以降の時間帯別客数構成比は、25%となる。この場合、欠品数算出部111は、欠品商品の数量を20個×25%=5個と算出する。欠品数算出部111は、算出した欠品商品の数量の情報を補正部113に出力する。
【0042】
情報取得部112は、POSサーバ210からXX牛乳の見切り商品の数量の情報を取得し、補正部113に出力する。補正部113は、欠品商品の数量及び見切り商品の数量に基づいて、販売数量を補正する。図5の例において、2022年8月1日(土)におけるXX牛乳の販売数量は、45本である。また、販売数量45本のうち、見切り商品の数量が、12本である。補正部113は、欠品商品の数量及び見切り商品の数量を用いて、実販売数量を補正する。すなわち、補正部113は、実販売数量45個+欠品商品の数量5個-見切り商品の数量12個=38個と販売数量を補正する。
【0043】
以上のように構成された需要予測装置110の動作について、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0044】
図6は、第一の実施形態の変形例における需要予測装置110の動作の概要を示すフローチャートである。尚、このフローチャートによる処理は、前述したプロセッサによるプログラム制御に基づいて、実行されてもよい。需要予測装置110は、例えば、対象商品の発注作業のために販売数量を予測するタイミングで本フローチャートによる処理を実行する。
【0045】
図6に示すように、まず、欠品数算出部111は、所定の時点で発注システムから取得した対象商品の在庫数が0であり(S111;YES)、対象商品が季節商品又は販売終了商品ではない場合(S112;YES)、対象商品の欠品商品の数量を算出する(ステップS113)。次いで、情報取得部112は、対象商品の販売数量及び見切り商品の数量を取得する(ステップS114)。次に、補正部102は、対象商品の欠品商品の数量及び見切り商品の数量に基づいて、販売数量を補正する(ステップS115)。
【0046】
一方、欠品数算出部111は、所定の時点で発注システムから取得した対象商品の在庫数が0でない場合(S111;NO)、又は、対象商品が季節商品又は販売終了商品である場合(S112;NO)、欠品商品の数量を算出せず、その情報を情報取得部112に出力する。次いで、情報取得部112は、対象商品の販売数量及び見切り商品の数量を取得する(ステップS116)。次に、補正部113は、見切り商品の数量に基づいて、販売数量を補正する(ステップS117)。
【0047】
ステップS118以降の処理は、第一の実施形態におけるステップS103~S105と同様である。すなわち、生成部114は、補正した後の販売数量を含む学習データに基づいて、需要予測モデルを生成する(ステップS118)。次に、予測部115は、需要予測モデルを用いて、所定の期間における対象商品の販売数量を予測する(ステップS119)。次に、出力部116は、予測した販売数量を出力する(ステップS120)。以上で、需要予測装置110は、動作を終了する。
【0048】
第一の実施形態における変形例では、欠品数算出部111が、所定の時点で対象商品の在庫がない場合に、当該営業日の欠品処理の数量を算出する。これにより、必要な場合のみ欠品商品の数量を算出するので、学習データを効率的に取得することができる。また、欠品数算出部111は、対象商品の欠品商品の数量(最終販売時刻以降の時間帯別の販売数量)を算出するのに、全商品共通の指標である店舗における時間帯別客数を用いる。これにより、欠品商品の数量を算出のための計算を簡略化することができる。
【0049】
以上、各実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しえる様々な変更をすることができる。
【0050】
例えば、複数の動作をフローチャートの形式で順番に記載してあるが、その記載の順番は複数の動作を実行する順番を限定するものではない。このため、各実施形態を実施するときには、その複数の動作の順番は内容的に支障しない範囲で変更することができる。
【符号の説明】
【0051】
100、110 需要予測装置
101、112 情報取得部
102、113 補正部
103、114 生成部
104、115 予測部
105、116 出力部
111 欠品数算出部
200、210 POSサーバ
500 コンピュータ装置
501 CPU
502 ROM
503 RAM
504 プログラム
505 記憶装置
506 記録媒体
507 ドライブ装置
508 通信インタフェース
509 入力装置
510 出力装置
511 入出力インタフェース
512 バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6