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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077045
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】目地カバー装置
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/68 20060101AFI20240531BHJP
【FI】
E04B1/68 100A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188849
(22)【出願日】2022-11-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000110365
【氏名又は名称】ドーエイ外装有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】後藤 英夫
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DA01
2E001FA54
2E001FA71
2E001PA03
2E001PA08
(57)【要約】
【課題】目地部を塞ぐことができ、かつ、地震時には躯体等が破損することなく揺れ動きを吸収することができる目地カバー装置を提供すること。
【解決手段】一方の躯体と、免震装置の免震力が作用する他方の躯体との間の目地部を塞ぐ目地カバー装置であって、目地カバー装置は、目地カバー取付装置と、目地部を塞ぐ目地カバーとで構成され、目地カバー取付装置は、一方の躯体或いは該躯体側に設けられ、目地カバーを支持する支持部材と、少なくとも支持部材の上端部が初期位置から他方の躯体側へ位置変位しないように制御する接続部材と、支持部材に設けられた目地カバー取付部とからなり、支持部材は、下端部が一方の躯体或いは該躯体側に滑動部材を介して上下方向に移動する可動の支持バーと、支持バーを他方の躯体側へ付勢する付勢手段とを備え、地震時、目地部が狭くなった際に、目地カバーが前記一方の躯体の上部を摺動して揺れ動きを吸収する目地カバー装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の躯体と、免震装置の免震力が作用する他方の躯体との間の目地部を塞ぐ目地カバー装置であって、
前記目地カバー装置は、前記一方の躯体に設けられた目地カバー取付装置と、前記目地カバー取付装置に設けられ、前記目地部を塞ぐ目地カバーとで構成され、
前記目地カバー取付装置は、前記一方の躯体或いは該躯体側に設けられ、前記目地カバーを支持する支持部材と、少なくとも前記支持部材の上端部が初期位置から前記他方の躯体側へ位置変位しないように制御する接続部材と、前記支持部材に設けられた目地カバー取付部とからなり、
前記支持部材は、下端部が前記一方の躯体或いは該躯体側に滑動部材を介して上下方向に移動する可動の支持バーと、前記支持バーを他方の躯体側へ付勢する付勢手段とを備え、地震時、前記目地部が狭くなった際に、前記目地カバーが前記一方の躯体の上部を摺動して揺れ動きを吸収する目地カバー装置。
【請求項2】
前記目地カバーは、通常時において、その上面が前記一方の躯体の上面と略平坦になるように設けられ、前記目地部が狭くなった際に、前記目地カバーがせり上がるとともに、前記一方の躯体の上部を摺動して揺れ動きを吸収することを特徴とする請求項1に記載の目地カバー装置。
【請求項3】
少なくとも前記目地カバーの一方の躯体側の端部又は前記一方の躯体の目地部側のいずれか一方に、前記目地カバーが前記一方の躯体の上部に乗り上げることができる傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の目地カバー装置。
【請求項4】
前記目地カバーは、通常時において、その下面が前記一方の躯体の上面と略平坦になるように設けられ、前記目地部が狭くなった際に、前記一方の躯体の上部を略水平状態に摺動して揺れ動きを吸収することを特徴とする請求項1に記載の目地カバー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震時に免震装置の免震力が作用する一方の躯体と、この躯体の壁部と他方の躯体の間の壁部の間の目地部を塞ぐ目地カバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地震時に免震装置の免震力が作用する一方の躯体と他方の躯体の間の目地部に設けられる目地装置の一例として、「一方と他方の躯体間の目地部を塞ぐ目地カバー装置において、前記目地部間に設けられた目地カバー支持部材と、該目地カバー支持部材の上方に設けられ、かつ、目地カバー支持部材に支持される目地カバーとで構成され、前記目地カバーは、一方の目地カバー本体と、他方の目地カバー本体と、前記一方の目地カバー本体と前記他方の目地カバー本体とを連結する連結部材とからなり、地震によって目地部が狭くなった場合には、前記目地カバーが前記連結部材を支点に折れ曲がって揺れ動きを吸収するとともに、地震後、揺れ動きが終了すると通常状態に復帰する目地カバー装置」等が知られている(特許文献1)。
【0003】
このような目地装置は、一方の躯体と他方の躯体の壁面の間に十分なスペースを有し、目地カバー本体が折れ曲がることができるスペースがある場合には地震による揺れ動きを吸収するとともに目地部を塞ぐことができるものの、特許文献1の実施形態とは異なり、十分な目地部のスペース(目地カバーの損傷を防止するのに十分な隙間)を確保することができない現場では、地震時、一方の躯体と他方の躯体間の目地部が狭くなった際には、目地カバーが折れ曲がり、或いは他方の躯体が損傷するという問題点があった。
【0004】
付言すると、他方の躯体の壁面が一方の躯体側へ突出しているとしても、一方の躯体と他方の躯体間の目地部を塞がなければ、セキュリティ上問題がある、通常時にはゴミ等が隙間から侵入する、目地部が隙間から免震ピット内が視認できることで美観が悪くなる等の問題があり、目地部を合理的な構造で塞ぐ必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-157485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、主たる課題は、地震時、目地カバー、躯体等が破損することなく揺れ動きを吸収することができる目地カバー装置を提供することを目的としている。
【0007】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の目地カバー装置は、一方の躯体と、免震装置の免震力が作用する他方の躯体との間の目地部を塞ぐ目地カバー装置であって、前記目地カバー装置は、前記一方の躯体に設けられた目地カバー取付装置と、前記目地カバー取付装置に設けられ、前記目地部を塞ぐ目地カバーとで構成され、前記目地カバー取付装置は、前記一方の躯体或いは該躯体側に設けられ、前記目地カバーを支持する支持部材と、少なくとも前記支持部材の上端部が初期位置から前記他方の躯体側へ位置変位しないように制御する接続部材と、前記支持部材に設けられた目地カバー取付部とからなり、前記支持部材は、下端部が前記一方の躯体或いは該躯体側に滑動部材を介して上下方向に移動する可動の支持バーと、前記支持バーを他方の躯体側へ付勢する付勢手段とを備え、地震時、前記目地部が狭くなった際に、前記目地カバーが前記一方の躯体の上部を摺動して揺れ動きを吸収することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の目地カバー装置の前記目地カバーは、通常時において、その上面が前記一方の躯体の上面と略平坦になるように設けられ、前記目地部が狭くなった際に、前記目地カバーがせり上がるとともに、前記一方の躯体の上部を摺動して揺れ動きを吸収することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の目地カバー装置は、少なくとも前記目地カバーの一方の躯体側の端部又は前記一方の躯体の目地部側のいずれか一方に、前記目地カバーが前記一方の躯体の上部に乗り上げることができる傾斜面が形成されていることを特徴とする。
さらに、請求項4に記載の目地カバー装置は、通常時において、その下面が前記一方の躯体の上面と略平坦になるように設けられ、前記目地部が狭くなった際に、前記一方の躯体の上部を略水平状態に摺動して揺れ動きを吸収することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1及び請求項4に記載の各発明においては、合理的な構造の目地カバー取付装置によって目地カバーを略水平に取り付けることができるとともに、地震時には、その揺れ動きを吸収することができる。付言すると、地震時、他方の躯体4が、目地部2が狭くなる方向に揺れた場合に目地カバーが支持部材7に支持された状態で一方の躯体3の上部を摺動するので、目地カバー6や他方の躯体4の損傷を防ぐことができる。
(2)付勢手段や接続部材等により地震による揺れ動きが終了した場合には、可動カバー部を自動的に原点(初期位置の姿勢)に復帰させることができるので、確実に目地部を塞ぐことができる。
(3)請求項2に記載の発明においても前記(1)~(2)と同様に作用効果を得ることができるとともに、目地カバーの上面が前記一方の躯体の上面と略平坦になるように設けられているため、一方の躯体の上面と隙間なくフラットに目地カバーが連続するため、美観を向上させることができる。
(4)請求項3に記載の発明においても前記(1)~(3)と同様に作用効果を得ることができるとともに、よりスムーズに目地カバーを一方の躯体の上部に乗り上げさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1乃至図5は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
図6乃至図8は本発明の第2の実施形態を示す説明図である。
図1】第1の実施形態の目地カバー装置の縦断面図。
図2】一方の躯体、他方の躯体及び目地部の説明図。
図3】目地カバー取付装置及び目地カバーの説明図。
図4】地震で目地部がさらに狭くなった状態の動作説明図。
図5】地震で目地部が広くなった状態の動作説明図。
図6】第2の実施形態の目地カバー装置の縦断面図。
図7】地震で目地部が狭くなった状態の動作説明図。
図8】地震で目地部が広くなった状態の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
図1乃至図5に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は一方の躯体3と免震装置19の免震力が働く他方の躯体4の間の目地部(隙間)2を塞ぐ目地カバー装置である。
【0014】
実施形態の目地カバー装置(1、1A)は、一方の躯体3に設けられた目地カバー取付装置5と、該目地カバー取付装置に設けられ、躯体間(3、4)の目地部(隙間)2を塞ぐ目地カバー6とで構成されている。
【0015】
目地カバー取付装置5は、一方の躯体3或いは該躯体側に設けられていると共に、目地カバー6を支持する支持部材7と、少なくとも支持部材の上端部が初期位置から他方の躯体4側へ位置変位しないように制御する接続部材8と、支持部材に設けられた目地カバー取付部9とを有する。
【0016】
そして、支持部材7は、その下端部が一方の躯体3或いは該躯体側に滑動部材15を介して上下方向に移動する可動の支持バー10と、支持バー10を他方の躯体4側へ付勢する付勢手段12とを備え、地震時、目地部2が狭くなった際に、前記目地カバー6が一方の躯体3の上部を摺動して揺れ動きを吸収する。
【0017】
そこで、図面を参照にして、具体的に説明をする。この目地カバー装置1は、図1に示すように、一方の躯体3に設けられた目地カバー取付装置5と、前記目地カバー取付装置5に設けられ(例えば一体的に取り付けられ)、前記目地部2を塞ぐ目地カバー6とで構成されている。
【0018】
図2に示すように、一方の躯体3は、地面Gに固定され、地震時には地面Gと同調して揺れ動く構造物で、本実施形態においては、壁面状の構造をしている。他方の躯体は、地面Gに免震装置19を介して設けられた免震構造物で、一方の躯体3と目地部2を介して設けられている。
【0019】
前記目地カバー取付装置5は、一方の躯体3に、その下端部が、リンク機構によって回動可能に取り付けられた支持部材7と、前記支持部材7の上端部が所定距離(通常状態における初期位置)よりも他方の躯体4側へ移動しないように制御する接続部材8と、前記支持部材7の上端部に設けられた目地カバー取付部9とで構成されている。
【0020】
支持部材7は、下端部が一方の躯体3に上下方向に摺動可能となるように滑動部材15を介して取り付けられた支持バー10と、一方の躯体3に一端部が取り付けられ、他端部が前記支持バー10に取り付けられ、その上端部が前記支持バーの上端部と常時略水平となるように設けられたリンク部材11と、前記支持バー10を他方の躯体4側へ付勢する付勢手段12と、前記支持バー10に設けられた目地カバー取付部9で構成されている。
しかして、支持バー10は、一方の躯体3の目地部側壁面に上下方向に延在するように設けられたガイドレール14に、その下端部がローラー等の滑動部材15を介して取り付けられている。したがって、実施形態では、滑動部材15は支持バー10に回転可能に設けられている。
【0021】
具体的には滑動部材15は、一方の躯体3に対して上下方向(ガイドレール14の長手方向)にスライド移動可能に設けられており、通常時(図1等の状態)において目地カバー6の上面6aが一方の躯体3の上面3bと略平坦となるように、コイルスプリング等の位置決め手段16を設けている。これにより、支持バー10の下端部は一方の躯体3の壁面に対して上下方向に摺動可能で、かつ、ガイドレール14に係合する滑動部材15の軸を支点に回転可能に設けられている。なお、この支持バー10は前後方向に所定間隔を有して複数個設けられている。
【0022】
この位置決め手段16は、本実施形態においてはコイルスプリング16aと接続部材8及び付勢手段12とで位置決め手段16を構成しており、コイルスプリング16aによって支持バー10の一端部を上方へ付勢するとともに、接続部材8や付勢手段12によって適宜支持バー10の他端部側の移動を制限するとともに他方の躯体4へ付勢することにより、通常時においては目地カバー6を略水平に支持することができる。
【0023】
そこで、第1の実施形態(本実施形態ともいう)では、地震時、目地部2が狭くなった場合には、コイルスプリング16aや付勢手段12等の付勢力に抗して目地カバー6が一方の躯体3の上部にせり上がり、揺れ動きを吸収する。なお、位置決め手段16として支持バー10の一端部が所定の部位よりも上方へ移動しないように制限するストッパー等を設けてもよい。
【0024】
この支持バー10の上端部には目地カバー6を取り付ける目地カバー取付部9が設けられている。この目地カバー取付部9は、前後方向に延在するバー状の部材で、回動軸17を介して支持バー10の上端部に設けられており、支持バー10に対して回転可能となっている。
【0025】
また、目地カバー6はこの目地カバー取付部9に上下に摺動可能に設けられている。具体的には、目地カバー取付部9に形成された取付孔9aに目地カバーの他端部側の底部に設けられた係止杭13が挿入されて取り付けられる。これにより、地震によって目地部2が狭くなった場合でも、目地カバー6が略水平状態を保ったまま揺れ動きを吸収することができる。
【0026】
この支持バー10の上端部側は接続部材8によって一方の躯体3と接続されており、支持部材7の上端部が一定以上一方の躯体3から離間しないようになっている。本実施形態においては、接続部材8として、ワイヤー8が用いられているが、後述するパンタグラフ式のリンク部材11を接続部材8として用いてもよい。
【0027】
支持バー10の上端部側(支持バー10の中央部によりも上方)には、リンク部材11が接続されており、本実施形態においてはこのリンク部材11の上端部及び前記ガイドレール14の上端部でも目地カバー6の底部を支持している。これにより目地カバー6の上面は通常時において略水平かつ、一方の躯体3の上面と略平坦になるように設けられる。
【0028】
なお、リンク部材11は、伸縮してもその上端部の位置が上下方向に変位しないように設けることが望ましい。このリンク部材11一端部側も必要に応じて前記ガイドレール14又は一方の躯体3の壁面に、固定的(上下方向に変位しない)又は上下方向に摺動可能に取り付けられている。なおかつ、リンク部材11の一端部が所定の部位よりも上方へ移動しないようにストッパー等を設けてもよい。また、リンク部材11は必要に応じて設ければよく、リンク部材11を有しない支持部材7としてもよい。
【0029】
前記付勢手段12は、本実施形態においては、前記リンク部材11と、このリンク部材11に上下方向に設けられた引きバネ12aで構成されており、リンク部材11の上下の枢支部を接近する方向に付勢することで、リンク部材11が左右方向に広がる方向に付勢し、支持バー10が他方の躯体側へ付勢される。
【0030】
本実施形態では、リンク部材11に上下方向に設けられた引きバネ12aを付勢手段12として用いたが、リンク部材11を用いずに、他方の躯体4の壁面と支持バー10を引きバネで接続する、支持バー10に滑車を介しておもり等を取り付けて付勢する、滑動部材15が軸支されている部位に、支持バー10が他方の躯体側へ回動するようなバネ部材等を設ける等、公知の様々な付勢手段12を用いることができる。
【0031】
目地カバー6は板状の部材で、他端部側(他方の躯体側の端部)が前記目地カバー取付部9に上下方向に摺動可能に取り付けられており、本実施形態においては、リンク部材11やガイドレール14に底部が支持されている。
【0032】
また、目地カバー6の一端部(一方の躯体側の端部)には、一方の躯体3の上面に乗り上げるための傾斜面18が形成されており、地震によって目地部が狭くなった場合には、この傾斜面18により一方の躯体3の上部に乗り上げて揺れ動きを吸収する。なお、本実施形態では目地カバー6及び一方の躯体3の両方に傾斜面18を形成しているが、傾斜面18は一方の躯体又は目地カバー6の一端部のいずれか一方にのみ設けてもよく、よりスムーズに目地カバー6をせり上げるためには、本実施形態のように目地カバー6及び一方の躯体3の両方に傾斜面18を形成し、召合せのように傾斜面18同士を略当接させた状態で設けるとよい。
【0033】
ところで、目地カバー6の一端部は一方の躯体3の目地部側壁面3aに略当接するように設けられており、他端部は他方の躯体4の目地部側壁面4aに略当接するように設けられている。なお、通常状態において他端部が他方の躯体4の目地部側壁面4aと所定距離離間した状態となるように設けてもよい。
【0034】
地震で躯体3、4が左右方向に揺れ動き目地部2が少し狭くなると、他方の躯体4の目地部側壁面4aが目地カバー6の他端部側を押圧し、付勢手段12や位置決め手段16のコイルスプリング16aの付勢力に抗して目地カバーが傾斜面18により上方へせり上がる。
【0035】
更に目地部2が狭くなると、図4に示すように、目地カバー6が一方の躯体3の上部(床面)を左右方向にスライドして地震による揺れ動きを吸収する。
地震による揺れ動きが終了すると、付勢手段12や位置決め手段16のコイルスプリング16aの付勢力により、支持バー10の上端部が他方の躯体側へ付勢され、目地カバー6が自動的に通常状態の位置に復帰する。
【0036】
地震で躯体3、4が左右方向に揺れ動き目地部2が広くなると、図5に示すように、一方の躯体3と他方の躯体4が離間し地震による揺れ動きを吸収する。この時、目地カバー6は接続部材8等により、略水平状態を保ったまま一方の躯体3と同調して揺れ動きを吸収する。
【0037】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図6乃至図8に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
図6乃至図8に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、目地カバー6の一端部が通常状態において一方の躯体3の上部に支持されるように目地カバー6を設けた点で、このような目地カバー装置1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0038】
付言すると、本実施形態では、前記目地カバー6は、通常時において、その下面が前記一方の躯体3の上面3bと略平坦になるように(目地カバー6の底部の一端部側が一方の躯体3の上面3bに支持された状態で)設けられ、前記目地部2が狭くなった際に、前記一方の躯体3の上部を略水平状態に左右方向に摺動して揺れ動きを吸収するものである。
なお、目地カバーの一端部をせり上げる手段として傾斜面を形成する構成について説明したが、例えば目地カバーの他端部側に、他方の躯体により押圧されることで、目地カバーの一端部側を上方へ回転させるような押圧片を形成する等、目地カバーの一端部側をせり上げるための公知の技術を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は目地カバー装置を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0040】
1、1A:目地カバー装置、 2:目地部、
3:一方の躯体、 4:他方の躯体、
5:目地カバー取付装置、 6:目地カバー、
7:支持部材、 8:接続部材、
9:目地カバー取付部、 10:支持バー、
11:リンク部材、 12:付勢手段、
13:係止杭、 14:ガイドレール、
15:滑動部材、 16:位置決め手段、
17:回動軸、 18:傾斜面、
19:免震装置、 G:地面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8