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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077048
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20240531BHJP
   B60K 35/23 20240101ALI20240531BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
G02B27/01
B60K35/00 A
H04N5/64 501D
H04N5/64 521Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188855
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治
(72)【発明者】
【氏名】船見 大輝
【テーマコード(参考)】
2H199
3D344
【Fターム(参考)】
2H199DA03
2H199DA13
2H199DA15
2H199DA33
2H199DA43
3D344AA09
3D344AB01
3D344AC25
(57)【要約】
【課題】ミラーユニットの振動を抑制することができるヘッドアップディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】ヘッドアップディスプレイ装置は、表示光を放射する表示部と、レバー部38を有し、表示光を反射し、回転軸を中心に回転可能に支持されるミラーユニットと、レバー部38を挟持した状態でZ方向に移動可能であるスライダユニットと、を備える。スライダユニットは、Z方向のレバー部38の両側に、互いに対向するように位置する壁部44A、44Bと、レバー部38と壁部44Bの間で、レバー部38を壁部44A側に押し付けるような弾性力を発揮する弾性部材50と、を備える。弾性部材50は、壁部44Bに固定される支持点P2と、上記の弾性力を発揮する際、レバー部38を押圧する作用点P3と、上記の弾性力を発揮する際、支持点P2と異なる位置で、壁部44Bに接触可能である支持点P1と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示光を放射する表示部と、
レバー部を有し、前記表示光を反射し、回転軸を中心に回転可能に支持されるミラーユニットと、
前記レバー部を挟持した状態で前記回転軸に交わるスライド方向に移動可能であるスライダユニットと、を備え、
前記スライダユニットは、
前記スライド方向の前記レバー部の両側に、互いに対向するように位置する第1及び第2対向部と、
前記レバー部と前記第1対向部の間で、前記レバー部を前記第2対向部側に押し付けるような弾性力を発揮する弾性部材と、を備え、
前記弾性部材は、
前記第1対向部と前記レバー部の何れか一方である装着部に固定される第1支持箇所と、
前記弾性力を発揮する際、前記第1対向部と前記レバー部の何れか他方を押す作用箇所と、
前記弾性力を発揮する際、前記第1支持箇所と異なる位置で、前記装着部に接触可能である第2支持箇所と、を備える、
ヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項2】
前記弾性部材は、前記ミラーユニットの回転に応じて、前記第2支持箇所にて前記装着部に対して摺動する接触部を備える、
請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項3】
前記弾性部材は、前記第2支持箇所にて前記装着部に固定されている、
請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項4】
前記ミラーユニットは、前記表示光をアイボックスへ到達させる表示ポジションと前記表示光を前記アイボックスと異なる方向へ到達させる非表示ポジションの間で前記回転軸を中心に回転可能であり、
前記弾性部材の先端部は、前記表示ポジションから前記非表示ポジションに移行する際に、前記装着部から離れた状態から前記第2支持箇所にて前記装着部に接触した状態となる、
請求項1又は2に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヘッドアップディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のヘッドアップディスプレイ装置のミラー駆動装置は、軸線を中心に回転可能に設けられた凹面鏡と、凹面鏡とともに移動するレバーと、レバーを挟み込み、凹面鏡を回転させるように直線移動する挟込部と、を備える。挟込部は、スライダと、スライダに一点で固定される板ばねからなる弾性部と、を備える。弾性部は、レバーを曲面部に向けて押す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-102522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の構成では、弾性部は一点のみでスライダに支持(いわゆる片持ち支持)されているため、弾性部の弾性力が足りず、凹面鏡の振動を抑制できないおそれがある。
【0005】
本開示は、上記実状を鑑みてなされたものであり、ミラーユニットの振動を抑制することができるヘッドアップディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係るヘッドアップディスプレイ装置は、表示光を放射する表示部と、レバー部を有し、前記表示光を反射し、回転軸を中心に回転可能に支持されるミラーユニットと、前記レバー部を挟持した状態で前記回転軸に交わるスライド方向に移動可能であるスライダユニットと、を備え、前記スライダユニットは、前記スライド方向の前記レバー部の両側に、互いに対向するように位置する第1及び第2対向部と、前記レバー部と前記第1対向部の間で、前記レバー部を前記第2対向部側に押し付けるような弾性力を発揮する弾性部材と、を備え、前記弾性部材は、前記第1対向部と前記レバー部の何れか一方である装着部に固定される第1支持箇所と、前記弾性力を発揮する際、前記第1対向部と前記レバー部の何れか他方を押す作用箇所と、前記弾性力を発揮する際、前記第1支持箇所と異なる位置で、前記装着部に接触可能である第2支持箇所と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ミラーユニットの振動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の第1実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置が搭載された車両の模式図である。
図2】本開示の第1実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置の概略図である。
図3】本開示の第1実施形態に係るミラー駆動ユニットとレバー部の側面図である。
図4】本開示の第1実施形態に係るモータスライダ、弾性部材及びレバー部等の側面図である。
図5】本開示の第1実施形態に係るモータスライダ及び弾性部材等の斜視図である。
図6】本開示の第1実施形態に係るレバーカバーの斜視図である。
図7】本開示の第2実施形態に係るモータスライダ、弾性部材及びレバー部等の側面図である。
図8】本開示の第3及び第6実施形態に係るモータスライダ、弾性部材及びレバー部等の側面図である。
図9】本開示の第4実施形態に係るモータスライダ、弾性部材及びレバー部等の側面図である。
図10】本開示の第5実施形態に係るモータスライダ、弾性部材及びレバー部等の斜視図である。
図11】本開示の第5実施形態に係るモータスライダ、弾性部材及びレバー部等の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
本開示の第1実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置100は、車両200のダッシュボード内に設置される。ヘッドアップディスプレイ装置100は、車両200の被投射部材の一例であるフロントガラス201に向けて像を表す表示光Lを出射する。表示光Lはフロントガラス201で反射して視認者1(主に車両200の運転者)に到達する。これにより、虚像Vが視認者1により視認可能に表示される。
【0010】
図2に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置100は、表示部10と、折り返しミラー部材20と、ミラーユニット30と、レバーカバー39と、ミラー駆動ユニット40と、筐体60と、を備える。
【0011】
筐体60は、非透光性の樹脂又は金属で形成されるとともに、中空の略直方体をなす。筐体60には、フロントガラス201(図1参照)に対向する位置に開口部61が形成されている。筐体60は、開口部61を塞ぐ湾曲板状の窓部62を備える。窓部62は、表示光Lが透過するアクリル等の透光性の樹脂からなる。筐体60内には、ヘッドアップディスプレイ装置100の各構成が収納されている。
【0012】
表示部10は、像を表す表示光Lを出射する。表示部10は、例えば、何れも図示しない光源及び液晶表示パネルを備える。
なお、表示部10は、これに限らず、MEMS(Micro Electro Mechanical System)、DMD(Digital Micro mirror Device)又は有機EL(Electro-Luminescence)パネルを備える構成であってもよい。
【0013】
折り返しミラー部材20は、例えば、平面鏡からなり、表示部10からの表示光Lをミラーユニット30に向けて反射する。
なお、折り返しミラー部材20は、凹面鏡から構成されてもよい。
【0014】
ミラーユニット30は、折り返しミラー部材20で反射した表示光Lをフロントガラス201に向けて拡大させつつ反射させる。ミラーユニット30は、車幅方向に沿う回転軸Axを中心に回転可能に筐体60内で支持されている。
【0015】
ミラーユニット30は、表示光Lを反射させる凹面鏡であるミラー部31と、ミラー部31を保持するミラーホルダ35と、を備える。
ミラー部31は、ミラー部31の表側(ミラーホルダ35とは反対側)に形成され、光を反射させる反射面31aを備える。
ミラーホルダ35は、樹脂により形成され、ミラー部31の裏面に沿う形状をなす。
【0016】
図3に示すように、ミラーホルダ35は、ミラー駆動ユニット40から外力が加えられるレバー部38を備える。レバー部38は、ミラーホルダ35の下端側に位置し、下方向に延びる略板状をなす。レバー部38は、回転軸Axに沿う方向においてミラーホルダ35の中央に位置する。
【0017】
レバーカバー39は、レバー部38を覆うように、回転軸Axに沿う方向から見てU字状をなす。レバーカバー39は、例えば、ステンレス鋼などの金属からなる板材を折り曲げることで形成される。
図4及び図6に示すように、レバーカバー39は、レバーカバー39の後述する弾性部材50に対向する面に凸状に形成される凸部39aを備える。凸部39aの上面(弾性部材50側の面)は、弾性部材50が摺動する面である。
【0018】
図3に示すように、ミラー駆動ユニット40は、レバー部38に外力を加えることにより、ミラーユニット30を回転させる。図2に示すように、ミラーユニット30は、回転軸Axを中心に、表示ポジションA1とホームポジションA2(非表示ポジション)の間で回転可能である。表示ポジションA1にある図2の実線で示すミラーユニット30は、表示光Lを視認者1(アイボックス)に導くように反射する。ホームポジションA2にある図2の一点鎖線で示すミラーユニット30は、表示光Lをアイボックスとは異なる方向に導くように反射する。表示ポジションA1は、ホームポジションA2よりも反射面31aが上方を向くミラーユニット30のポジションである。
【0019】
図3に示すように、ミラー駆動ユニット40は、モータ42と、変換機構43と、位置検出部48と、を備える。
以下では、回転軸Axに沿う方向がX方向と規定され、車両の高さ方向がY方向と規定され、モータスライダ44の移動方向(車両前後方向)がZ方向と規定される。
【0020】
変換機構43は、スライダユニット49と、スライドガイド45と、ねじ軸43aと、支持部材47と、を備える。スライダユニット49は、モータスライダ44と、モータスライダ44に支持される弾性部材50と、を備える。
【0021】
支持部材47は、スライドガイド45とねじ軸43aそれぞれをZ方向の両端から支持する。
【0022】
スライドガイド45は、Z方向に沿って延びる円柱状をなす。
ねじ軸43aは、Z方向に沿って延び、外周にねじが切られている。ねじ軸43aは、スライドガイド45の下方で、スライドガイド45と平行をなすように位置する。
モータ42は、支持部材47の外側に固定されている。モータ42は、制御部(図示しない)の制御のもとで駆動すると、ねじ軸43aを回転させる。
【0023】
モータスライダ44は、壁部44A、44Bと、接触凸部44Pと、基礎部44Cと、を備える。
基礎部44Cは、直方体で形成され、基礎部44Cの上面には壁部44A、44Bが設けられる。基礎部44Cは、スライドガイド45が挿通される貫通孔と、ねじ軸43aがねじ込まれるねじ孔と、を有する。
基礎部44Cの貫通孔にスライドガイド45が挿通されることにより、モータスライダ44がスライドガイド45に沿って円滑に移動可能となる。
また、基礎部44Cのねじ孔にねじ軸43aが挿入された状態で、モータ42によりねじ軸43aが回転すると、モータスライダ44がねじ軸43a上をZ方向に移動する。
なお、ねじ孔は、図示されるように基礎部44Cに内蔵されるナットで構成されてもよいし、基礎部44C自体に形成されるように構成されてもよい。
【0024】
壁部44A、44Bは、基礎部44Cの上面から上方向に延び、互いにZ方向に対向するように位置する。2つの壁部44A、44Bの間には、厚み方向がZ方向に沿う向きでレバー部38が挿入された状態にある。壁部44Aは、壁部44Bよりも、位置検出部48に近い方(車両前方)に位置する。
【0025】
図5に示すように、壁部44Bは、弾性部材50の後述する固定部51を保持する保持部44Eを備える。保持部44Eは、装着された固定部51をその厚さ方向両側から挟持することにより、弾性部材50を保持する。壁部44Bは、壁部44Bの背面に凸部44Tを備える。凸部44Tには、固定部51の貫通孔51hが嵌まる。
【0026】
接触凸部44Pは、壁部44Aの壁部44Bに対向する面に位置する。接触凸部44Pは、壁部44B側に頂点が位置する半球状に形成されている。接触凸部44Pには、弾性部材50の弾性力によりレバー部38がレバーカバー39を介して押し付けられる。
【0027】
図4に示すように、弾性部材50は、壁部44Bに複数箇所で支持され、ミラーユニット30が表示ポジションA1にあるとき、レバーカバー39を介してレバー部38を接触凸部44Pに向けて押す。弾性部材50は、折り曲げられた金属(例えば、ステンレス)製の板バネである。
【0028】
弾性部材50は、固定部51と、湾曲部52と、延出部53と、接触部54と、を備える。固定部51、湾曲部52、延出部53及び接触部54は、一体で形成されている。
固定部51は、Y方向に延びる板状をなし、壁部44Bの保持部44E(図5参照)に保持される。固定部51は、壁部44Bの上面から上側に延びる。
【0029】
湾曲部52は、固定部51の上端部(壁部44Bの上面から遠い端部)に位置し、固定部51の上端部から接触凸部44P側へU字状又はC字状に湾曲して形成されている。
【0030】
延出部53は、湾曲部52の固定部51とは反対側の端部に位置し、Y方向に対して傾斜して延びる。延出部53は、湾曲部52から離れるにつれて、接触凸部44Pに近づくように傾斜する。延出部53の長さは、固定部51のうち壁部44Bの上面から突出している部位の長さよりも長い。
【0031】
接触部54は、延出部53の下端部に位置し、延出部53に対して壁部44Bの対向面44F(接触凸部44Pに対向する面)に向けて折り曲げられて形成されている。接触部54の先端は、対向面44Fに接触可能である。接触部54は、延出部53に対して鈍角をなしている。接触部54の長さは、延出部53の長さ、又は固定部51のうち壁部44Bの上面から突出している部位の長さよりも短い。
接触部54は、ミラーユニット30がホームポジションA2にあるときには、図4の一点鎖線で示すように、対向面44Fに対して隙間Skを持って離れる。一方、接触部54は、ミラーユニット30が表示ポジションA1にあるときには、図4の実線で示すように、対向面44Fに接触する。弾性部材50の作用については後述する。
【0032】
ミラーユニット30が表示ポジションA1にあるときには、弾性部材50は、2つの支持点P1,P2により壁部44Bに支持された状態で、作用点P3にてレバー部38を弾性的に押す。
支持点P1は、固定部51が壁部44Bの保持部44Eにより支持される位置にある。
支持点P2は、接触部54の先端と対向面44Fが接触する位置にある。
作用点P3は、接触部54と延出部53の間の角部に位置する。
【0033】
図3に示すように、位置検出部48は、モータスライダ44がホームポジションA2(図2参照)に対応する位置Z1に到達したことを検出し、検出信号を図示しない制御部に出力する。位置検出部48は、プッシュスイッチである。
なお、位置検出部48は、プッシュスイッチに限らず、近接検出センサであってもよい。
【0034】
次に、弾性部材50の作用について説明する。
モータスライダ44がホームポジションA2に対応する位置Z1にあるとき、図4の一点鎖線で示すように、弾性部材50は接触部54と対向面44Fの間に隙間Skが空いた状態となる。この状態から、モータ42の駆動により、モータスライダ44がZ方向における位置検出部48から離れる側(表示ポジションA1側)へ移動する。このとき、接触凸部44Pがレバーカバー39を介してレバー部38を押すことにより、ミラーユニット30が回転軸Axを中心に表示ポジションA1側へ回転する。この際、図4の矢印Arで示すように、レバー部38の下部が壁部44Bに近づくようにレバー部38が傾く。これにより、弾性部材50は、レバー部38に押されて、作用点P3が対向面44Fに近づくように、かつ固定部51と延出部53がなす角度が小さくなるように弾性変形する。そして、接触部54が対向面44Fに支持点P2にて接触する。この接触部54が接触するタイミングは、ミラーユニット30がホームポジションA2から表示ポジションA1に向けて回転しているときであり、表示ポジションA1に到達する前のタイミングである。これにより、ミラーユニット30が表示ポジションA1に到達したときに、弾性部材50は、2つの支持点P1,P2により壁部44Bに支持された状態となる。これにより、弾性部材50がレバー部38、ひいては、ミラーユニット30をより確実に保持することができる。従って、ミラーユニット30の振動を抑制すること、ひいては、虚像Vのブレを抑制することができる。
【0035】
(効果)
以上、説明した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)ヘッドアップディスプレイ装置100は、表示光Lを放射する表示部10と、レバー部38を有し、表示光Lを反射し、回転軸Axを中心に回転可能に支持されるミラーユニット30と、レバー部38を挟持した状態で回転軸Axに交わるスライド方向(Z方向)に移動可能であるスライダユニット49と、を備える。スライダユニット49は、Z方向のレバー部38の両側に、互いに対向するように位置する壁部44A、44Bと、レバー部38と第1対向部の一例である壁部44Bの間で、レバー部38を第2対向部の一例である壁部44Aに向けて押し付けるような弾性力を発揮する弾性部材50と、を備える。弾性部材50は、装着部の一例である壁部44Bに固定される第1支持箇所の一例である支持点P2と、上記の弾性力を発揮する際、レバー部38を押圧する作用箇所の一例である作用点P3と、上記の弾性力を発揮する際、支持点P2と異なる位置で、壁部44Bに接触可能である第2支持箇所の一例である支持点P1と、を備える。
この構成によれば、弾性部材50は、2つの支持点P1,P2により壁部44Bに支持された状態で、弾性部材50の弾性力によりレバー部38を2つの壁部44A、44Bの間で保持可能である。これにより、弾性部材50の弾性力により、レバー部38、ひいては、ミラーユニット30をより確実に保持することができ、ミラーユニット30の振動を抑制することができる。これに伴い、虚像Vのブレを抑制することができる。また、弾性部材50の弾性力を安定的に高めることができる。
特に、虚像Vのサイズを大きくするためには、ミラーユニット30のサイズを大きくする必要があるが、このようにサイズが大きいミラーユニット30であっても振動が抑制される。
【0036】
(2)ミラーユニット30は、表示光Lをアイボックス(虚像が視認される領域)へ到達させる表示ポジションA1と表示光Lをアイボックスと異なる方向へ到達させる非表示ポジションの一例であるホームポジションA2の間で回転軸Axを中心に回転可能である。弾性部材50の先端部の一例である接触部54は、表示ポジションA1からホームポジションA2に移行する際に、壁部44Bから離れた状態から支持点P1にて壁部44Bに接触した状態となる。
この構成によれば、ホームポジションA2付近では、弾性部材50の接触部54が壁部44Bから離れた状態となり、スライダユニット49の移動が妨げられない。このため、ホームポジションA2付近では、スライダユニット49の移動がスムーズとなる。また、スライダユニット49を移動させる際に、動力源(モータ42)にかかる負荷を減らすことができる。
【0037】
(第2実施形態)
本開示に係るヘッドアップディスプレイ装置の第2実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、弾性部材の接触部の形状が第1実施形態と異なる。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0038】
図7に示すように、弾性部材250の接触部254は、基礎部44Cに向けてC字状に膨らむように湾曲した形状で形成されている。接触部254の先端部は、湾曲部52側を向き、この先端部の外面に支持点P1が位置する。ミラーユニット30が表示ポジションA1にあるとき、接触部254は、レバー部38と壁部44Bの対向面44Fの間で弾性変形し、弾性力(復元力)によりレバー部38及びレバーカバー39を接触凸部44Pに向けて押す。接触部254は弾性変形が容易となるため、適度な力でレバー部38が保持される。
なお、本実施形態では、レバーカバー39は、凸部39a(図6参照)を有していない。
【0039】
(効果)
以上、説明した第2実施形態によれば、以下の効果を奏する。
弾性部材250の接触部254は湾曲して形成されている。
この構成によれば、接触部254と壁部44Bの接触により、壁部44Bが削れることが抑制される。
【0040】
(第3実施形態)
本開示に係るヘッドアップディスプレイ装置の第3実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、モータスライダに、弾性部材の接触部の移動規制部(メカリミット)を設ける点が第1実施形態と異なる。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0041】
図8に示すように、壁部44Bは、ミラーユニット30が表示ポジションA1にあるときに弾性部材50の接触部54が接触する移動規制部44Gを備える。移動規制部44Gは、Z方向に厚さを持った板状をなす。移動規制部44Gは、壁部44Bのレバー部38に対向する面の下部に位置する。移動規制部44Gの厚さにより、支持点P1のZ方向の位置、ひいては、弾性部材50がレバー部38に加える弾性力の大きさが決まる。移動規制部44Gの厚さが厚くなるほど、支持点P1が接触凸部44Pに近づき、弾性部材50がレバー部38に加える弾性力が大きくなる。このように、移動規制部44Gの厚さにより、弾性部材50の弾性力を簡単に調整することができる。
なお、本実施形態では、レバーカバー39は、凸部39a(図6参照)を有していない。
【0042】
(第4実施形態)
本開示に係るヘッドアップディスプレイ装置の第4実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、弾性部材の接触部の形状が第1実施形態と異なる。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0043】
図9に示すように、弾性部材450の接触部454は、作用点P3から先端部(下端部)に向かうにつれて対向面44Fに対する角度が徐々に小さくなるように湾曲している。接触部454の先端部は、対向面44Fに沿って面接触している。接触部454は、ミラーユニット30の回転に伴うレバー部38の傾きにより、壁部44Bの対向面44Fとの接触領域Paと作用点P3がY方向に移動する。
図9の実線で示す弾性部材450は、ミラーユニット30が表示ポジションA1にあるときの状態であり、図9の一点鎖線で示す弾性部材450は、ミラーユニット30がホームポジションA2にあるときの状態である。
【0044】
ミラーユニット30がホームポジションA2から表示ポジションA1に移行するとき、接触部454が圧縮されることで、作用点P3が下方向と対向面44Fに近づく方向に移動しつつ、接触領域Paは下方向に移動する。このように、弾性部材450が圧縮される際に、接触部454が対向面44Fに対して摺動することにより、弾性部材450の過度な圧縮を抑制することができ、弾性部材450からレバーカバー39を介してレバー部38に過度に弾性力が加わることが抑制される。また、ミラーユニット30のポジションに関わらず、接触部454が常に対向面44Fに接触した状態が維持される。このため、弾性部材450は安定的な弾性力を発揮することができる。
なお、本実施形態においては、接触領域Paは、平面状に形成されていたが、線状又は点状に形成されてもよい。
【0045】
(効果)
以上、説明した第4実施形態によれば、以下の効果を奏する。
弾性部材450は、ミラーユニット30の回転に応じて、第2支持箇所の一例である接触領域Paにて壁部44Bに対して摺動するように形成されている。
この構成によれば、弾性部材450の弾性力が向上しつつも、弾性部材450の接触部454が壁部44Bに過度に強い力で当たることが抑制される。これにより、接触部454が壁部44Bに食い込んだり、接触部454が壁部44Bを削ったりといったことを抑制できる。
【0046】
(第5実施形態)
本開示に係るヘッドアップディスプレイ装置の第5実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、弾性部材がレバーカバーと一体形成されている点が第1実施形態と異なる。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図10及び図11に示すように、弾性部材550は、レバーカバー部535と、弾性部555と、を備える。弾性部材550は、金属により一体形成され、本実施形態では、装着部の一例であるレバー部38に装着される。
レバーカバー部535は、レバー部38の両面(壁部44A,44Bに対向する2つの面)を覆う板部501,502と、レバー部38の先端側に位置し、各板部501,502を連結する湾曲部503と、を備える。
【0047】
図10に示すように、板部501は、壁部44Bに対向する。板部501の中央には、切り欠き部504が形成されている。
弾性部555は、板バネとして形成され、板部501の切り欠き部504に位置する。
弾性部555は、第1延出部551と、第2延出部552と、接触部553と、を備える。
第1延出部551は、切り欠き部504の上側縁部から下側に向かうにつれてレバー部38から離れるように傾斜する。
第2延出部552は、第1延出部551の下端に連結され、下側に向かうにつれてレバー部38に近づくように傾斜する。第2延出部552の長さは、第1延出部551の長さよりも短い。
接触部553は、第2延出部552の下端に連結され、レバー部38に向けて湾曲した形状をなす。
【0048】
支持点P1は、接触部553とレバー部38の接触点に位置する。支持点P2は、第1延出部551の基端部(第2延出部552と反対側の端部)に位置する。作用点P3は、第1延出部551と第2延出部552の連結部と壁部44Bの内面(レバー部38に対向する面)との接触点に位置する。
【0049】
弾性部555の作用について説明する。
ミラーユニット30がホームポジションA2から表示ポジションA1に向けて回転しているときに、接触部553がレバー部38から離れた状態から支持点P1にてレバー部38に接触する。これにより、弾性部555は、2つの支持点P1,P2に支持された状態で、作用点P3にて壁部44Bを押す。このとき、レバー部38は、弾性部555を介して壁部44Bからの反力を受けて、接触凸部44Pに押し付けられる。これにより、弾性部555がレバー部38、ひいては、ミラーユニット30をより確実に保持することができ、ミラーユニット30の振動を抑制し、虚像Vのブレを抑制することができる。
本実施形態において、接触部553は、支持点P1にてレバー部38に常に接触していてもよい。この場合、上記第4実施形態と同様に、弾性部555の弾性変形に伴い、支持点P1がY方向に移動してもよい。接触部553は、上述した接触部54又は接触部454と同様の形状であってもよい。
【0050】
(効果)
以上、説明した第5実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)弾性部材550は、装着部の一例であるレバー部38に固定される第1支持箇所の一例である支持点P2と、上記の弾性力を発揮する際、壁部44Bを押圧する作用箇所の一例である作用点P3と、上記の弾性力を発揮する際、支持点P2と異なる位置で、レバー部38に接触する第2支持箇所の一例である支持点P1と、を備える。
この構成によれば、弾性部材550は、2つの支持点P1,P2によりレバー部38に支持された状態で、弾性部材550の弾性力によりレバー部38を2つの壁部44A、44Bの間で保持可能である。これにより、弾性部材550の弾性力により、レバー部38、ひいては、ミラーユニット30をより確実に保持することができ、ミラーユニット30の振動を抑制することができる。これに伴い、虚像Vのブレを抑制することができる。また、弾性部材50の弾性力を安定的に高めることができる。
【0051】
(第6実施形態)
本開示に係るヘッドアップディスプレイ装置の第6実施形態について、図面を参照して説明する。以下、第3実施形態との相違点を中心に説明する。
図8に示すように、弾性部材50は、2つの支持点P1,P2にて壁部44Bに固定されている。詳しくは、弾性部材50の固定部51と接触部54は、それぞれ壁部44Bに埋め込まれていることにより壁部44Bに固定されている。固定部51は、壁部44Bの上面に埋没されており、接触部54は、移動規制部44Gの前面(レバー部38に対向する面)に埋没されている。これにより、2つの支持点P1,P2が固定点となり、弾性部材50は、作用点P3にて、より大きい力でレバー部38を押すことが可能となる。例えば、弾性部材50は壁部44Bにインサート成形されている。
【0052】
(効果)
以上、説明した第6実施形態によれば、以下の効果を奏する。
弾性部材50は、支持点P1にて壁部44Bに固定されている。
この構成によれば、弾性部材50の弾性力を容易に高めることができる。
【0053】
なお、本開示は以上実施形態及び図面によって限定されるものではない。本開示の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形の一例を説明する。
【0054】
(変形例)
上記各実施形態において、各弾性部材50,250,450,550の向きは適宜変更可能であり、例えば、Y方向に逆さまの向きで形成されていてもよい。
【0055】
接触部54,254は、ミラーユニット30のポジションに関わらず、壁部44Bに接触した状態であってもよい。このとき、接触部54,254は壁部44Bに固定されていてもよい。
【0056】
上記各実施形態では、ヘッドアップディスプレイ装置100は車両200に搭載されていたが、車両200以外の飛行機、船等の乗り物に搭載されていてもよい。また、被投射部材はフロントガラスに限らず、専用のコンバイナであってもよい。
【0057】
上記各実施形態においては、折り返しミラー部材20とミラーユニット30により、表示部10からの表示光Lをフロントガラス201へ導く光学リレーが構成されていたが、光学リレーのうち折り返しミラー部材20が省略されてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 視認者
10 表示部
20 折り返しミラー部材
30 ミラーユニット
31 ミラー部
31a 反射面
35 ミラーホルダ
38 レバー部
39 レバーカバー
39a,44T 凸部
40 ミラー駆動ユニット
42 モータ
43 変換機構
43a ねじ軸
44 モータスライダ
44A,44B 壁部
44C 基礎部
44E 保持部
44F 対向面
44G 移動規制部
44P 接触凸部
45 スライドガイド
47 支持部材
48 位置検出部
49 スライダユニット
50,250,450,550 弾性部材
51 固定部
51h 貫通孔
52,503 湾曲部
53 延出部
54,254,454,553 接触部
60 筐体
61 開口部
62 窓部
100 ヘッドアップディスプレイ装置
200 車両
201 フロントガラス
501,502 板部
504 切り欠き部
535 レバーカバー部
551 第1延出部
552 第2延出部
555 弾性部
A1 表示ポジション
A2 ホームポジション
L 表示光
P1,P2 支持点
P3 作用点
Pa 接触領域
V 虚像
Z1 位置
Ax 回転軸
Sk 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11