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特開2024-7706光ファイバー織物の端末集束装置および端末集束方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007706
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】光ファイバー織物の端末集束装置および端末集束方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/04 20060101AFI20240112BHJP
   F21V 17/00 20060101ALI20240112BHJP
   D03D 1/00 20060101ALN20240112BHJP
   D03D 15/547 20210101ALN20240112BHJP
【FI】
G02B6/04 D
F21V17/00 402
D03D1/00 Z
D03D15/547
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108953
(22)【出願日】2022-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片桐 彰伸
(72)【発明者】
【氏名】石津 陽平
(72)【発明者】
【氏名】関 勝男
(72)【発明者】
【氏名】久 武志
【テーマコード(参考)】
2H250
3K011
4L048
【Fターム(参考)】
2H250CA03
2H250CA26
2H250CC08
2H250CC15
2H250CC28
3K011CA09
4L048AC02
4L048DA24
4L048DA25
4L048EB00
(57)【要約】
【課題】光ファイバー織物において、織物端部から延び出す複数本の光ファイバーの端末を集束させるための端末集束装置および端末集束方法を提供する。
【解決手段】光ファイバー73を構成糸の一種として製織された光ファイバー織物70の端末集束装置10であって、光ファイバー織物70のシート状の織物本体71を平坦な状態で固定する本体固定部11と、複数本の光ファイバー73の端末を織物本体71のシート面と交差する方向から挟持するとともに、本体固定部11から離れる方向に向けて移動可能とされた可動部材21と、本体固定部11と可動部材21との間に架け渡された複数本の光ファイバー73をその並び方向から挟むように対向配置され、互いに接近可能とされた一対の集束ホルダ31,51と、を備える。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバーを構成糸の一種として製織された光ファイバー織物の端末集束装置であって、
前記光ファイバー織物のシート状の織物本体を平坦な状態で固定する本体固定部と、
前記織物本体から延び出した複数本の前記光ファイバーの端末を前記織物本体のシート面と交差する方向から挟持するとともに、前記本体固定部から離れる方向に向けて移動可能とされた可動部材と、
前記本体固定部と前記可動部材との間に架け渡された前記複数本の光ファイバーを当該複数本の光ファイバーの並び方向から挟むように対向配置され、互いに接近可能とされた一対の集束ホルダと、を備える光ファイバー織物の端末集束装置。
【請求項2】
前記可動部材は、前記複数本の光ファイバーの端末を挿通して前記複数本の光ファイバーの並び状態を揃える櫛歯状の案内部を備えている請求項1に記載の光ファイバー織物の端末集束装置。
【請求項3】
前記一対の集束ホルダは、前記複数本の光ファイバーを当該複数本の光ファイバーの並び方向から挟みつつ内側に集束した状態で保持する保持部を備えている請求項1または請求項2に記載の光ファイバー織物の端末集束装置。
【請求項4】
前記一対の集束ホルダのうち互いに対向する対向面は前記光ファイバーの延び方向に対して凹凸形状とされて互いに噛み合うようになっている請求項1または請求項2に記載の光ファイバー織物の端末集束装置。
【請求項5】
前記本体固定部は前記織物本体を水平方向に配される向きに固定可能としており、前記本体固定部および前記集束ホルダの間に、前記織物本体から延び出した前記複数本の光ファイバーを下方から支持可能な支持部が設けられている請求項1または請求項2に記載の光ファイバー織物の端末集束装置。
【請求項6】
光ファイバーを構成糸の一種として製織された光ファイバー織物の端末を集束する光ファイバー織物の端末集束方法であって、
前記光ファイバー織物のシート状の織物本体を平坦な状態で固定する織物本体固定工程と、
前記織物本体から延び出した複数本の前記光ファイバーを前記織物本体のシート面と交差する方向から挟持する光ファイバー挟持工程と、
挟持された状態の前記複数本の光ファイバーを前記織物本体から離れる方向に引っ張って、前記複数本の光ファイバーを当該複数本の光ファイバーが前記織物本体から延び出す方向と交差する並び方向に整列させる整列工程と、
並んだ状態の前記複数本の光ファイバーを前記並び方向から挟んで集束する集束工程と、
集束された前記複数本の光ファイバーの端末を切り揃えるカット工程と、を順に実行する、光ファイバー織物の端末集束方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、光ファイバー織物の端末集束装置および端末集束方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、光ファイバーを構成糸として製織された織物である光ファイバー織物において、その端部から水平方向に広がった状態で延び出した複数本の光ファイバーの端末を束ねる集束治具が開示されている。この引用文献1に記載の集束治具は、光ファイバー織物を載置する載置面に互いに接近可能な一対のピンを設けるとともに、これら一対のピンを光ファイバー織物に設けた貫通孔に挿通させ、一対のピンを接近させることで、光ファイバー織物の端部を光ファイバーの延び出す方向と交差する方向へ撓ませ、複数本の光ファイバーを束状に纏める構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-133030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示された集束方法では、光ファイバー織物に一対のピンを貫通させるための貫通孔を設けるために、これら貫通孔を設けるスペースを確保するべく光ファイバー織物の面積を大きくしなければならなかった。また、光ファイバー織物に貫通孔を設けるための手間や加工費用が必要であり、更なる改善が望まれている。
【0005】
本明細書に開示される技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、光ファイバー織物において、織物端部から延び出す複数本の光ファイバーの端末を集束させるための端末集束装置および端末集束方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示される技術は、光ファイバーを構成糸の一種として製織された光ファイバー織物の端末集束装置であって、前記光ファイバー織物のシート状の織物本体を平坦な状態で固定する本体固定部と、前記織物本体から延び出した複数本の前記光ファイバーの端末を前記織物本体のシート面と交差する方向から挟持するとともに、前記本体固定部から離れる方向に向けて移動可能とされた可動部材と、前記本体固定部と前記可動部材との間に架け渡された前記複数本の光ファイバーを当該複数本の光ファイバーの並び方向から挟むように対向配置され、互いに接近可能とされた一対の集束ホルダと、を備える。
【0007】
上記構成によれば、光ファイバー織物に光ファイバーを集束させるための加工を施すことなく、光ファイバー織物の端部から延び出す複数本の光ファイバーの端末を集束させることができる。
【0008】
前記可動部材は、前記複数本の光ファイバーの端末を挿通して前記複数本の光ファイバーの並び状態を揃える櫛歯状の案内部を備えていてもよい。
【0009】
装置が案内部を備えていない場合には、複数本の光ファイバーの並び方向が不均一になる虞があるが、上記構成によれば、案内部により複数本の光ファイバーが同方向に並ぶように並び状態を整えることができる。
【0010】
前記一対の集束ホルダは、前記複数本の光ファイバーを当該複数本の光ファイバーの並び方向から挟みつつ内側に集束した状態で保持する保持部を備えていてもよい。
【0011】
前記一対の集束ホルダのうち互いに対向する対向面は前記光ファイバーの延び方向に対して凹凸形状とされて互いに噛み合うようになっていてもよい。
【0012】
上記構成によれば、集束ホルダの一対の対向面が互い違いとなって複数本の光ファイバーを挟み込むことができるから、集束ホルダの対向面が平坦面とされる構成と比較して、保持部を形成する溝の深さを深く設定することが可能となり、複数本の光ファイバーを集束する際に光ファイバーの一部が取りこぼされることを抑制することができる。
【0013】
前記本体固定部は前記織物本体を水平方向に配される向きに固定可能としており、前記本体固定部および前記集束ホルダの間に、前記織物本体から延び出した前記複数本の光ファイバーを下方から支持可能な支持部が設けられていてもよい。
【0014】
上記構成によれば、本体固定部と可動部材との間に架け渡された状態の光ファイバーの撓みが支持部により抑制されるから、複数本の光ファイバーを集束する際に光ファイバーの一部が取りこぼされることを抑制することができる。
【0015】
また、本明細書に開示される技術は、光ファイバーを構成糸の一種として製織された光ファイバー織物の端末を集束する光ファイバー織物の端末集束方法であって、前記光ファイバー織物のシート状の織物本体を平坦な状態で固定する織物本体固定工程と、前記織物本体から延び出した複数本の前記光ファイバーを前記織物本体のシート面と交差する方向から挟持する光ファイバー挟持工程と、挟持された状態の前記複数本の光ファイバーを前記織物本体から離れる方向に引っ張って、前記複数本の光ファイバーを当該複数本の光ファイバーが前記織物本体から延び出す方向と交差する並び方向に整列させる整列工程と、並んだ状態の前記複数本の光ファイバーを前記並び方向から挟んで集束する集束工程と、集束された前記複数本の光ファイバーの端末を切り揃えるカット工程と、を順に実行する。
【発明の効果】
【0016】
本明細書に開示される技術によれば、光ファイバー織物において、織物端部から延び出す複数本の光ファイバーの端末を集束させるための端末集束装置および端末集束方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態の光ファイバーの端末集束装置を示す斜視図
図2】光ファイバーの端末集束装置の一部拡大斜視図
図3】集束ホルダ(左側)の一部拡大斜視図
図4】集束ホルダ(右側)の一部拡大斜視図
図5】第1集束ホルダの正面図(離隔状態)
図6図5の一部拡大正面図
図7】第1集束ホルダの正面図(接近状態)
図8図7の一部拡大正面図
図9】光ファイバーの端末集束方法を示す図であって、織物本体固定工程を示す端末集束装置の平面図
図10】光ファイバー挟持工程を示す端末集束装置の平面図
図11】整列工程を示す端末集束装置の平面図
図12】集束工程であって第1集束ホルダを接近させた状態を示す端末集束装置の平面図
図13】集束工程であって第2集束ホルダを接近させた状態を示す端末集束装置の平面図
図14図13の一部拡大平面図
図15】カット工程を示す端末集束装置の平面図
図16】スリーブ挿通工程を示す端末集束装置の平面図(第1集束ホルダを第2集束ホルダから離した状態)
図17】スリーブ挿通工程を示す端末集束装置の平面図(第2集束ホルダおよびスリーブを第1集束ホルダに近づけた状態)
図18】集束ホルダを離隔した状態を示す端末集束装置の平面図
図19】光ファイバーの端末が集束された状態の光ファイバー織物の平面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
一実施形態を図1から図19によって説明する。各図面の一部にはX軸、Y軸、およびZ軸を示しており、各軸方向が各図面で示した方向となるように描かれている。上下方向については図1を基準とし、同図上方向を上、下方向を下とする。また、X方向を正面、Y方向を右、Y方向の反対を左として説明する。
【0019】
<端末集束装置10>
本実施形態の端末集束装置10は、構成糸として光ファイバー73を含む織物(光ファイバー織物の一例)70のシート状の織物本体71の端部(延出端部72)から延び出した複数本の光ファイバー73の端末を集束させ、金属製で細長い筒状のスリーブ75に挿通させるためのものである(図19参照)。織物70は、例えば車両(自動車)の内装材であるドアトリムを構成する部材に利用される表皮材である。織物本体71の端部から延び出して金属製のスリーブ75によって結束された複数本の光ファイバー73は、スリーブ75を光源装置に接続することにより、光が入射可能とされる。なお、図1から図8においては、便宜上、織物70が省略されている。
【0020】
端末集束装置10は、例えば図1および図11に示すように、織物70のシート状の織物本体71を固定する本体固定部11と、織物本体71から延び出した複数本の光ファイバー73の端末を織物本体71のシート面の両側(表裏、Z方向)から挟持するとともに、本体固定部11から離れる方向および接近する方向(X方向)に向けて移動可能とされた可動部材21と、本体固定部11と可動部材21との間に架け渡された複数本の光ファイバー73を当該複数本の光ファイバー73の並び方向(Y方向)から挟むように対向配置され、互いに接近、離隔可能とされた一対の集束ホルダ31,51と、を備えている。
【0021】
<本体固定部11>
本体固定部11は、織物本体71の少なくとも一部が載置可能とされ、水平方向に延在する載置面12Aを備えた本体載置台12と、本体載置台12に載置された織物本体71に重ね合わされることで織物本体71を本体載置台12との間で挟持する本体押さえ部14と、を有して構成されている。織物本体71は、複数本の光ファイバー73が延び出す延出端部72がY方向に沿って配され、光ファイバー73がX方向に延び出す向きで、本体固定部11に固定される。
【0022】
なお、本体固定部11は可動台座15上に設置されており、可動台座15に取り付けられたスライダ16により可動台座15ごとX方向に移動可能とされている。また、例えば本体載置台12を磁性体で形成し、本体押さえ部14を磁石付き錘とすることで、織物本体71を強い力で挟持することができる。
【0023】
<可動部材21>
可動部材21は、本体固定部11と並んで設けられている。可動部材21は、水平方向に延在し、織物本体71の延出端部72から延び出した複数本の光ファイバー73の端末が載置可能とされる載置面22Aを備えた光ファイバー載置台22と、光ファイバー載置台22に載置された複数本の光ファイバー73に重ね合わされることで複数本の光ファイバー73を光ファイバー載置台22との間で挟持する光ファイバー押さえ部24と、を有して構成されている。光ファイバー載置台22の載置面22Aは、上述した本体載置台12の載置面12Aと面一に配置される高さに設定されている。
【0024】
図2に示すように、光ファイバー載置台22の載置面22Aのうち、本体固定部11側に配置される端部(図11の左側の端部であって、以下、固定部側端部22Cとする)に隣接した位置には、載置面22Aから上方に向けて突出する櫛歯状の案内部23がY方向(複数本の光ファイバー73の並び方向に沿う方向)に沿って設けられている。織物本体71の延出端部72から延び出した複数本の光ファイバー73は、それぞれが案内部23の歯の間に挿通されることにより、Y方向における並び状態が揃えられる。
【0025】
また、光ファイバー載置台22のうち、本体固定部11と対向する対向面22Bには、本体固定部11に向けて突出するスリーブ保持部25が設けられている。スリーブ保持部25は、ブロック状の基端部26と、基端部26のY方向における中央部から本体固定部11に向けて突出する突出部27とを備える平面視T字形状をなしており、それらの上面に、細長い円筒形をなすスリーブ75を保持可能な断面半円弧状の保持壁28が立ち上がっている(図2参照)。保持壁28の上端面は、可動部材21の載置面22Aと面一とされている。これにより、スリーブ保持部25(保持壁28)が、本体固定部11と可動部材21との間に架け渡される複数本の光ファイバー73と干渉することが回避されるようになっている。
【0026】
可動部材21は、本体固定部11からX方向に延びる一対のレール29に沿って、本体固定部11に接近する方向および離隔する方向(X方向)に移動可能とされている。
【0027】
なお、上述した本体固定部11には、可動部材21が本体固定部11側に配置された状態(図9に示す状態)において、スリーブ保持部25の突出部27を逃がすための逃がし凹部13が、可動部材21との対向面12Bから窪んで設けられている。
【0028】
<集束ホルダ31,51>
可動部材21が本体固定部11から離れた位置に配置された状態(図11に示す状態)において、可動部材21と本体固定部11との間に並んだ状態で架け渡される複数本の光ファイバー73の両側方(Y方向における側方)には、複数本の光ファイバー73を挟むように対向配置され、互いに接近および離隔可能とされた二対の集束ホルダ31,51がX方向に並んで設けられている。
【0029】
以下、二対の集束ホルダ31,51のうち、本体固定部11に近い方に配置された集束ホルダを第1集束ホルダ31とし、可動部材21に近い方に配置された集束ホルダを第2集束ホルダ51とする。また、一対の集束ホルダ31,51を構成する各ホルダについて、第1集束ホルダ31のうち左側に配されるホルダを第1左側ホルダ32とし、右側に配されるホルダを第1右側ホルダ36とする。また、第2集束ホルダ51のうち左側に配されるホルダを第2左側ホルダ52とし、右側に配されるホルダを第2右側ホルダ56とする。このうち第1集束ホルダ31は、上述した本体固定部11が設置された可動台座15に一体に設けられており、第2集束ホルダ51に対してX方向に離れる方向に移動可能とされている。
【0030】
まず第1集束ホルダ31について詳細に説明する。第1集束ホルダ31のうち第1左側ホルダ32は、図3に示すように、第1右側ホルダ36との対向面33の一部が切欠部34により上下方向に亘って切り欠かれた平面視略E字形状とされている。また、第1右側ホルダ36は、図4に示すように、第1左側ホルダ32との対向面37の一部が切欠部38により上下方向に亘って切り欠かれた平面視略U字形状をなしている。第1左側ホルダ32および第1右側ホルダ36は、互いに接近した状態において、各対向面33,37の凹凸形状が噛み合うように、凹凸のX方向の位置および凹凸の深さ寸法が設定されている(図14参照)。
【0031】
また、第1左側ホルダ32および第1右側ホルダ36の対向面33,37のうち、相手側ホルダに向けて相対的に突出した部分(凸状部分)には、それぞれ断面略V字形状に切り欠かれたV溝35,39が形成されている(図6参照)。これらのV溝35,39は、X方向に延び、かつ、織物本体71が本体固定部11に固定され、光ファイバー73が本体固定部11と可動部材21との間に架け渡された状態において、光ファイバー73が配置される高さと同じ高さ(Z方向における同位置)に設けられている。またV溝35,39の底部は、断面半円形をなしている。
【0032】
さらに、第1左側ホルダ32および第1右側ホルダ36の立ち上がり基端部には、それぞれ、Y方向に延びる第1移動案内軸40が貫通している(図3および図4参照)。第1左側ホルダ32および第1右側ホルダ36は、これらの第1移動案内軸40に沿って互いに近接する方向および離隔する方向に移動可能とされている。
【0033】
第1左側ホルダ32および第1右側ホルダ36が互いに接近し、凹凸状の各対向面33,37が噛み合った状態においては、第1左側ホルダ32のV溝35と第1右側ホルダ36のV溝39とは相手側ホルダとの間にX方向に連続して延びる第1保持部41を形成する(図8および図14参照)。本体固定部11と可動部材21との間に架け渡された複数本の光ファイバー73は、第1左側ホルダ32および第1右側ホルダ36の接近に伴って集束されつつ、この第1保持部41内に挿通された状態で保持される。
【0034】
第2集束ホルダ51は、上述した第1集束ホルダ31と一部形状が異なるものの、第1集束ホルダ31と同様の機構を有している。具体的には、第2集束ホルダ51のうち第2左側ホルダ52は、図3に示すように、第2右側ホルダ56との対向面53が切欠部54により上下方向に亘って切り欠かれた平面視略E字形状とされている。また、第2右側ホルダ56は、図4に示すように、第2左側ホルダ52との対向面57が切欠部58により上下方向に亘って切り欠かれた平面視略U字形状をなしている。第2左側ホルダ52および第2右側ホルダ56は、互いに接近した状態において、各対向面53,57の凹凸形状が噛み合うように、凹凸のX方向の位置および凹凸の深さ寸法が設定されている(図14参照)。
【0035】
また、第2左側ホルダ52および第2右側ホルダ56の対向面53,57のうち、相手側ホルダに向けて相対的に突出した部分(凸状部分)には、それぞれ断面V字形状に切り欠かれたV溝55,59が形成されている。これらのV溝55,59は、X方向に延び、かつ、織物本体71が本体固定部11に固定され、光ファイバー73が本体固定部11と可動部材21との間に架け渡された状態において、光ファイバー73が配置される高さと同じ高さ(Z方向における同位置)に設けられている。
【0036】
さらに、第2左側ホルダ52および第2右側ホルダ56の立ち上がり基端部には、それぞれ、Y方向に延びる第2移動案内軸60が貫通している。第2左側ホルダ52および第2右側ホルダ56は、これらの第2移動案内軸60に沿って互いに近接する方向および離隔する方向に移動可能とされている。
【0037】
第2左側ホルダ52および第2右側ホルダ56が互いに接近し、凹凸状の各対向面53,57が噛み合った状態においては、第2左側ホルダ52のV溝55と第2右側ホルダ56のV溝59とは相手側ホルダとの間にX軸方向に連続して延びる第2保持部61を形成する(図14参照)。本体固定部11と可動部材21との間に架け渡された複数本の光ファイバー73は、第2左側ホルダ52および第2右側ホルダ56の接近に伴って集束されつつ、この第2保持部61内に挿通された状態で保持される。
【0038】
また、第2左側ホルダ52および第2右側ホルダ56が互いに接近し、凹凸状の各対向面53,57が噛み合った状態において、第2集束ホルダ51のうち可動部材21側の壁面には、上述したスリーブ保持部25の突出部27を受け入れ可能な受け凹部63が形成される(図14参照)。つまり、第2左側ホルダ52および第2右側ホルダ56のうち、可動部材21側に配置される壁部には、第2左側ホルダ52および第2右側ホルダ56が組み合わされた状態において受け凹部63を形成可能な切欠部64,65が設けられている(図3および図4参照)。
【0039】
さらに本実施形態において、本体固定部11と第1集束ホルダ31との間であって、第1集束ホルダ31に近接した位置には、織物本体71から延び出した複数本の光ファイバー73を下方から支持可能な糸状の支持部18が、Y方向に延びるように設けられている。支持部18は、上述した第1集束ホルダ31のV溝35,39の下方側の開口縁部よりやや高い位置に設けられている(図6参照)。
【0040】
<端末集束方法>
次に、光ファイバー73の端末集束方法について詳しく説明する。
【0041】
まず、図9に示すように、第1集束ホルダ31および第2集束ホルダ51を、X方向において隣接して配置された状態とする。また、第1集束ホルダ31および第2集束ホルダ51の各ホルダを互いに離れた位置に退避させ、可動部材21の光ファイバー載置台22を本体固定部11の本体載置台12に近接した位置に配置する。可動部材21に設けられたスリーブ保持部25は、本体固定部11に設けられた逃がし凹部13内に嵌め入れられる。
【0042】
<織物本体固定工程>
この状態において、織物本体71を、その延出端部72(光ファイバー73が延び出している端部)が本体固定部11の本体載置台12のうち可動部材側端部12Cに沿うように、本体載置台12の載置面12Aに載置する。そして、本体押さえ部14を本体載置台12の上方から織物本体71に重ね合わせ、本体載置台12との間に織物本体71を挟持することで、織物本体71を本体固定部11に平坦な状態で固定する。この状態において、本体載置台12(本体固定部11)の可動部材側端部12Cから、複数本の光ファイバー73が横並びとなった状態で延出されている。
【0043】
<光ファイバー挟持工程>
次に、本体固定部11(織物本体71)から延出されてフリーとなった状態の複数本の光ファイバー73を、可動部材21の光ファイバー載置台22の載置面22Aに載置する。複数本の光ファイバー73は、光ファイバー載置台22に設けられた案内部23の歯の間に挿通され、もって、横並び状態が整えられる。そして、光ファイバー押さえ部24を光ファイバー載置台22の上方から光ファイバー73に重ね合わせ、光ファイバー載置台22との間に光ファイバー73を挟持する(図10参照)。
【0044】
<整列工程>
次に、光ファイバー73を可動部材21に挟持した状態を保持しつつ、可動部材21をレール29に沿って本体固定部11から離れる方向に移動させる(図11参照)。可動部材21は、光ファイバー73をX方向に引っ張った状態で滑らせつつ移動する。これにより、本体固定部11と可動部材21との間に、複数本の光ファイバー73が架け渡された状態とされる。
【0045】
なおこの時、複数本の光ファイバー73は案内部23の歯の間に挿通されているから、可動部材21が移動する際に、本体固定部11の可動部材側端部12Cに対して垂直方向に引っ張られ、互いに平行に架け渡された状態とされる。つまり、光ファイバー73の延び方向が整えられる。
【0046】
このように整列した複数本の光ファイバー73は、テンションがかかった状態とされている。なお、可動部材21の下面は、ウレタン等の柔軟で滑り易い素材で構成されており、光ファイバー73は適度なテンションで本体固定部11と可動部材21との間に架け渡されるようになっている。
【0047】
<集束工程>
次に、図12に示すように、第1集束ホルダ31(第1左側ホルダ32および第1右側ホルダ36)を互いに接近する方向に移動させる。各ホルダ32,36は、図5から図8に示すように、それぞれのV溝35,39内に複数本の光ファイバー73を端から順に集束しつつ徐々に近づく。第1左側ホルダ32および第1右側ホルダ36の凹凸状の対向面33,37が互い違いに組付けられた状態において、各V溝35,39は相手側ホルダとの間にX方向に連続して延びる第1保持部41を形成し、複数本の光ファイバー73は第1保持部41内に挿通された状態で集束される(図8参照)。
【0048】
またこの時、本体固定部11と第1集束ホルダ31との間には、支持部18が設けられているから、光ファイバー73が下方に撓んでV溝35,39内(第1保持部41内)に集束され損ねる事態が抑制されている。
【0049】
本体固定部11と第1集束ホルダ31との間に架け渡された複数本の光ファイバー73は、第1集束ホルダ31から本体固定部11および可動部材21に向けて放射状に広がった状態とされる(図12参照)。
【0050】
次に、上述した第1集束ホルダ31と同様に、第2集束ホルダ51(第2左側ホルダ52および第2右側ホルダ56)を互いに接近する方向に移動させる(図13および図14参照)。第2左側ホルダ52および第2右側ホルダ56の凹凸状の対向面53,57が互い違いに組付けられた状態において、各V溝55,59は相手側ホルダとの間にX方向に連続して延びる第2保持部61を形成し、複数本の光ファイバー73は第2保持部61内に挿通された状態で集束される。
【0051】
<カット工程>
次に、可動部材21の光ファイバー押さえ部24を取り除き、第2集束ホルダ51から集束した状態で延び出している複数本の光ファイバー73を纏めて、所定の位置でカットする(図15参照)。複数本の光ファイバー73は、第2集束ホルダ51から所定寸法離れた位置で切り揃えられる。なおこの時、スリーブ保持部25は、光ファイバー73の切り揃えられた端末よりも第2集束ホルダ51から離れた位置に配されている。
【0052】
<スリーブ挿通工程>
次に、スリーブ保持部25の保持壁28にスリーブ75を設置する。また、可動台座15を移動させ、図16に示すように、本体固定部11および第1集束ホルダ31を第2集束ホルダ51からやや離れた位置(図16の左側)に配置する。この状態で、可動部材21を第2集束ホルダ51に近づく方向(図16の左側)に移動させると、スリーブ保持部25に保持されたスリーブ75が、集束した状態で切り揃えられた光ファイバー73の端末に接近し、光ファイバー73が端末からスリーブ75内に挿入される。この時、スリーブ保持部25の突出部27(スリーブ75の一端部)は、第2集束ホルダ51に設けられた受け凹部63内(図14参照)に進入する。さらに、光ファイバー73のスリーブ75内への挿入に伴って第2集束ホルダ51をスリーブ75とともに第1集束ホルダ31側に移動させる(図17参照)ことで、光ファイバー73が更にスリーブ75の奥方に進入する。
【0053】
光ファイバー73がスリーブ75の所定の位置まで挿入されるか、あるいは、スリーブ75を貫通した後、図18に示すように第2集束ホルダ51および第1集束ホルダ31を順に退避位置に退避させ(離れた位置に移動させ)、本体固定部11の本体押さえ部14を取り除くことで、織物本体71の延出端部72から延出された複数本の光ファイバー73がスリーブ75により結束された状態の光ファイバー織物70を得ることができる(図19参照)。
【0054】
<作用効果>
次に、作用効果について説明する。本実施形態は、光ファイバー73を構成糸の一種として製織された織物70の端末集束装置10であって、織物70のシート状の織物本体71を平坦な状態で固定する本体固定部11と、織物本体71から延び出した複数本の光ファイバー73の端末を織物本体71のシート面と交差する方向から挟持するとともに、本体固定部11から離れる方向に向けて移動可能とされた可動部材21と、本体固定部11と可動部材21との間に架け渡された複数本の光ファイバー73を当該複数本の光ファイバー73の並び方向から挟むように対向配置され、互いに接近可能とされた第1集束ホルダ31および第2集束ホルダ51と、を備える。
【0055】
上記構成によれば、織物70に光ファイバー73を集束させるための加工を施すことなく、織物70の端部から延び出す複数本の光ファイバー73の端末を集束させることができる。
【0056】
可動部材21は、複数本の光ファイバー73の端末を挿通して複数本の光ファイバー73の並び状態を揃える櫛歯状の案内部23を備えている。
【0057】
装置が案内部を備えていない場合には、複数本の光ファイバー73の並び方向が不均一になる虞があるが、上記構成によれば、案内部23により複数本の光ファイバー73が同方向に並ぶように並び状態を整えることができる。
【0058】
第1集束ホルダ31および第2集束ホルダ51は、複数本の光ファイバー73を当該複数本の光ファイバーの73並び方向から挟みつつ内側に集束した状態で保持する第1保持部41および第2保持部61を備えている。
【0059】
また、第1集束ホルダ31および第2集束ホルダ51のうち互いに対向する対向面33,37および53,57は光ファイバー73の延び方向(X方向)に対して凹凸形状とされて互いに噛み合うようになっている。
【0060】
上記構成によれば、第1集束ホルダ31および第2集束ホルダ51の一対の対向面33,37および53,57が互い違いとなって複数本の光ファイバー73を挟み込むことができるから、集束ホルダの対向面が平坦面とされる構成と比較して、第1保持部41および第2保持部61を形成するV溝35,39および55,59の深さを深く設定することが可能となり、複数本の光ファイバー73を集束する際に光ファイバー73の一部が取りこぼされることを抑制することができる。
【0061】
本体固定部11は織物本体71を水平方向に配される向きに固定可能としており、本体固定部11および第1集束ホルダ31の間に、織物本体71から延び出した複数本の光ファイバー73ーを下方から支持可能な支持部18が設けられている。
【0062】
上記構成によれば、本体固定部11と可動部材21との間に架け渡された状態の光ファイバー73の撓みが支持部18により抑制されるから、複数本の光ファイバー73を集束する際に光ファイバー73の一部が取りこぼされることを抑制することができる。
【0063】
また、本実施形態は、光ファイバー73を構成糸の一種として製織された織物70の端末を集束する端末集束方法であって、織物70のシート状の織物本体71を平坦な状態で固定する織物本体固定工程と、織物本体71から延び出した複数本の光ファイバー73を織物本体71のシート面と交差する方向から挟持する光ファイバー挟持工程と、挟持された状態の複数本の光ファイバー73を織物本体71から離れる方向に引っ張って、複数本の光ファイバー73を当該複数本の光ファイバー73が織物本体71から延び出す方向と交差する並び方向に整列させる整列工程と、並んだ状態の複数本の光ファイバー73を並び方向から挟んで集束する集束工程と、集束された複数本の光ファイバー73の端末を切り揃えるカット工程と、を順に実行する方法である。
【0064】
<他の実施形態>
本明細書に開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0065】
(1)上記実施形態では、2対の集束ホルダ(第1集束ホルダ31および第2集束ホルダ51)を設ける構成としたが、集束ホルダは1対としてもよい。
【0066】
(2)上記実施形態では、集束ホルダ31,51の対向面が凹凸形状をなす構成を示したが、集束ホルダの対向面が平坦面とされる形態も技術的範囲に含まれる。
【0067】
(3)可動部材21の案内部23は省略してもよい。
【0068】
(4)上記実施形態では、光ファイバー73を下方から支持する支持部18を設ける形態を示したが、光ファイバーが上方に浮くことを抑制する押さえ部を設けてもよい。また、支持部18は省略してもよい。
【0069】
(5)上記実施形態の光ファイバー織物70は、車両(自動車)の内装材であるドアトリムを構成する部材の表皮材を例示したが、それに限定されない。例えば、車室内側部のサイドトリム、天井材やインストゥルメントパネル等の他の車両用内装材の表皮材の他、建築等の他の産業においても用いることができる。
【符号の説明】
【0070】
10:端末集束装置、11:本体固定部、18:支持部、21:可動部材、23:案内部、31:第1集束ホルダ、33,37,53,57:対向面、35,39,55,59:V溝、41:第1保持部(保持部)、51:第2集束ホルダ、61:第2保持部(保持部)、70:織物(光ファイバー織物)、71:織物本体、73:光ファイバー、Y方向:並び方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
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図19