IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジェーシーシーエンジニアリング株式会社の特許一覧

特開2024-77062電解コンデンサの組立方法および電解コンデンサの組立装置
<>
  • 特開-電解コンデンサの組立方法および電解コンデンサの組立装置 図1
  • 特開-電解コンデンサの組立方法および電解コンデンサの組立装置 図2
  • 特開-電解コンデンサの組立方法および電解コンデンサの組立装置 図3
  • 特開-電解コンデンサの組立方法および電解コンデンサの組立装置 図4
  • 特開-電解コンデンサの組立方法および電解コンデンサの組立装置 図5
  • 特開-電解コンデンサの組立方法および電解コンデンサの組立装置 図6
  • 特開-電解コンデンサの組立方法および電解コンデンサの組立装置 図7
  • 特開-電解コンデンサの組立方法および電解コンデンサの組立装置 図8
  • 特開-電解コンデンサの組立方法および電解コンデンサの組立装置 図9
  • 特開-電解コンデンサの組立方法および電解コンデンサの組立装置 図10
  • 特開-電解コンデンサの組立方法および電解コンデンサの組立装置 図11
  • 特開-電解コンデンサの組立方法および電解コンデンサの組立装置 図12
  • 特開-電解コンデンサの組立方法および電解コンデンサの組立装置 図13
  • 特開-電解コンデンサの組立方法および電解コンデンサの組立装置 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077062
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】電解コンデンサの組立方法および電解コンデンサの組立装置
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/00 20060101AFI20240531BHJP
   H01G 13/00 20130101ALI20240531BHJP
   G01L 5/00 20060101ALN20240531BHJP
【FI】
H01G9/00 290L
H01G13/00 371Z
G01L5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188875
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000107240
【氏名又は名称】ジェーシーシーエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】児玉 洋一
(72)【発明者】
【氏名】吉野 一毅
(72)【発明者】
【氏名】田中 浩司
【テーマコード(参考)】
2F051
5E082
【Fターム(参考)】
2F051AA21
2F051AB09
5E082AB09
5E082LL21
5E082MM13
5E082MM40
(57)【要約】
【課題】封口ゴムを素子のリード端子に取り付ける電解コンデンサの組立動作における組立不良を、外観検査によらず検出できる組立方法を提案すること。
【解決手段】電解コンデンサの組立方法では、封口ゴム10を上方X2に移動不能な状態で支持する(ステップST1)。次に、素子7を各リード端子6の小径部17が貫通孔20を下方X1から上方X2に貫通し、大径部16が封口ゴム10の下方X1に位置する第1位置P1に配置する(ステップST2)。しかる後に、封口ゴム10の側から素子7を介して昇降機構51にかかる負荷を監視しながら、昇降機構51により各リード端子6の大径部16が貫通孔20を貫通した第2位置P2まで素子7を上昇させる(ステップST3)。負荷の最大値が予め定めた所定の範囲から外れた場合に、組立不良が発生したと判定する(ステップST4)。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の金属箔を巻き回した巻回部と、各金属箔にそれぞれ接続され前記巻回部から一方向に突出して直線状に延びる2本のリード端子と、を備える素子と、2本の前記リード端子を貫通させた状態で前記素子に取り付けられた封口ゴムと、を有し、各リード端子は、前記巻回部の内側で前記金属箔に接続される接続部と、前記巻回部から突出する突出部分と、を備え、前記突出部分は、前記巻回部の側から先端側に向かって丸棒状の大径部と、前記大径部よりも外径が小さい小径部と、をこの順に備え、前記封口ゴムは、2本の前記リード端子の離間距離と対応する間隔を開けて設けられた2つの貫通孔を備え、前記大径部は、各貫通孔を貫通し、各貫通孔は、前記大径部が貫通する前の内径が当該大径部の外径よりも小さい電解コンデンサの組立方法において、
前記封口ゴムを上方に移動不能な状態で支持し、
前記素子を、2本の前記リード端子が前記上方に延びる姿勢として、各リード端子の前記小径部が前記貫通孔を下方から前記上方に貫通し、前記大径部が前記封口ゴムの下方に位置する第1位置に配置し、
昇降機構により前記素子を保持するとともに、前記封口ゴムの側から前記素子を介して前記昇降機構にかかる負荷を監視しながら、前記昇降機構により各リード端子の前記大径部が前記貫通孔を貫通した第2位置まで前記素子を上昇させ、
前記負荷の最大値が予め定めた所定の範囲から外れた場合には、組立不良が発生したと判定することを特徴とする電解コンデンサの組立方法。
【請求項2】
2枚の金属箔を巻き回した巻回部と、各金属箔にそれぞれ接続され前記巻回部から一方向に突出して直線状に延びる2本のリード端子と、を備える素子と、2本の前記リード端子を貫通させた状態で前記素子に取り付けられた封口ゴムと、を有し、各リード端子は、前記巻回部の内側で前記金属箔に接続される接続部と、前記巻回部から突出する突出部分と、を備え、前記突出部分は、前記巻回部の側から先端側に向かって丸棒状の大径部と、前記大径部よりも外径が小さい小径部と、をこの順に備え、前記封口ゴムは、2本の前記リード端子の離間距離と対応する間隔を開けて設けられた2つの貫通孔を備え、前記大径部は、各貫通孔を貫通し、各貫通孔は、前記大径部が貫通する前の内径が当該大径部の外径よりも小さい電解コンデンサの組立装置において、
前記封口ゴムを径方向外側から支持する支持孔を備える支持部、および前記封口ゴムが前記支持孔から上方に抜けることを阻止する押え部を有する封口ゴム支持部と、
前記素子を、2本の前記リード端子が上方に延びる姿勢で保持し、各リード端子の前記小径部が前記封口ゴムを下方から前記上方に貫通し、前記大径部が前記封口ゴムの前記下方に位置する第1位置から、各リード端子の前記大径部が前記貫通孔を貫通した第2位置まで上昇させる昇降機構と、
前記昇降機構が、前記素子を前記第1位置から前記第2位置まで上昇させる間、前記封口ゴムの側から前記素子を介して前記昇降機構にかかる負荷を検出する負荷検出器と、
前記負荷検出器からの出力に基づいて前記負荷の最大値を取得し、前記負荷の最大値が予め定めた所定の範囲から外れた場合には、組立不良が発生したと判定する判定部と、
を有することを特徴とする電解コンデンサの組立装置。
【請求項3】
モニタと、
前記昇降機構が前記素子を前記第1位置から前記第2位置に移動させる間に、前記負荷検出器からの出力の変化を時系列に沿って表したグラフを前記モニタに表示する表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、次に、前記昇降機構が前記素子を前記第1位置から前記第2位置に移動させたときに、前記グラフに重ねて、前記負荷検出器からの出力の変化を時系列に沿って表した新たなグラフを前記モニタに表示することを特徴とする請求項2に記載の電解コンデンサの組立装置。
【請求項4】
前記昇降機構は、前記封口ゴムの上方で、前記第1位置にある前記素子の各リード端子を保持することを特徴とする請求項2に記載の電解コンデンサの組立装置。
【請求項5】
前記昇降機構は、上下移動する昇降アームと、前記昇降アームに片持ちに接続された歪みゲージと、前記歪みゲージにおける前記昇降アームとは反対側の端部分に接続されたチャック部と、を有し、
前記リード端子は、前記チャック部に保持され、
前記歪みゲージは、前記負荷検出器であることを特徴とする請求項4に記載の電解コンデンサの組立装置。
【請求項6】
前記昇降機構は、前記封口ゴムの下方で、前記第1位置にある前記素子を前記下方から保持することを特徴とする請求項2に記載の電解コンデンサの組立装置。
【請求項7】
前記昇降機構は、上下移動する昇降テーブルと、前記昇降テーブルの前記上方で前記素子を前記下方から保持する保持部と、前記保持部と前記昇降テーブルとの間に介在する圧力センサと、を備え、
前記圧力センサは、前記負荷検出器であり、前記保持部に前記上方からかかる負荷を検出することを特徴とする請求項6に記載の電解コンデンサの組立装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電解コンデンサは、有底筒状のケースと、ケースに挿入された素子と、ケースを塞ぐための封口ゴムと、を備える。素子は、陽極箔および陰極箔がセパレータを介して巻回された巻回部と、巻回部から一方向に突出する2本のリード端子と、を備える。一方のリード端子は、その基端部分が巻回部の内側で陽極箔に接続される。他方のリード端子は、その基端部分が巻回部の内側で陰極箔に接続される。各リード端子は、巻回部から突出する突出部分を備える。突出部分は、ケースの側から先端側に向かって丸棒状の大径部と、大径部よりも外径が小さい小径部と、をこの順に備える。
【0002】
封口ゴムは、2本のリード端子の離間距離と対応する間隔を開けて設けられた2つの貫通孔を備える。封口ゴムは、2本のリード端子を各貫通孔に貫通させた状態で素子に取り付けられる。封口ゴムが各リード端子を貫通した状態では、各リード端子の大径部が各貫通孔を貫通する。すなわち、封口ゴムが素子に取り付けられた状態を各リード端子の延設方向と直交する方向から見た場合には、大径部は、封口ゴムと重なり、小径部は、封口ゴムの巻回部とは反対側に位置する。
【0003】
ここで、封口ゴムが取り付けられた素子は、ケースに挿入される。ケースは、有底筒状である。封口ゴムが取り付けられた素子がケースに挿入された状態では、巻回部および封口ゴムは、ケースの内側に位置し、封口ゴムがケースの開口を塞ぐ。このような電解コンデンサは、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-9525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
素子に封口ゴムを取り付ける電解コンデンサの組立動作では、稀に、リード端子の一本が欠損している素子が供給されることがある。また、このような組立動作では、封口ゴムの2つの貫通孔のうちの一つの貫通孔に素子の2本のリード端子が一緒に挿入されてしまうことがある。さらに、組立動作では、封口ゴムの2つの貫通孔の間隔と素子の2本のリード端子の間の間隔とが合致せずに、リード端子が封口ゴムの貫通孔とは異なる部位を突き抜けてしまう場合がある。
【0006】
これらの組立不良は、組立動作の終了後に組立物の外観を撮影し、取得した撮像データを画像処理して解析する外観検査により検出される。しかし、撮像データに基づいて組立不良を検出する方法では、組立不良の発生を完全に検出することが難しい。従って、組立不良の検出には、撮像データに基づく外観検査と、検査員の目視による外観検査と、が併用されている。
【0007】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、素子に封口ゴムを取り付ける組立動作における組立不良を、外観検査によらず検出できる電解コンデンサの組立方法を提案することにある。また、素子に封口ゴムを取り付ける組立動作における組立不良を、外観検査によらず検出できる電解コンデンサの組立装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、2枚の金属箔を巻き回した巻回部と、各金属箔
にそれぞれ接続され前記巻回部から一方向に突出して直線状に延びる2本のリード端子と、を備える素子と、2本の前記リード端子を貫通させた状態で前記素子に取り付けられた封口ゴムと、を有し、各リード端子は、前記巻回部の内側で前記金属箔に接続される接続部と、前記巻回部から突出する突出部分と、を備え、前記突出部分は、前記巻回部の側から先端側に向かって丸棒状の大径部と、前記大径部よりも外径が小さい小径部と、をこの順に備え、前記封口ゴムは、2本の前記リード端子の離間距離と対応する間隔を開けて設けられた2つの貫通孔を備え、前記大径部は、各貫通孔を貫通し、各貫通孔は、前記大径部が貫通する前の内径が当該大径部の外径よりも小さい電解コンデンサの組立方法において、
前記封口ゴムを上方に移動不能な状態で支持し、前記素子を、2本の前記リード端子が前記上方に延びる姿勢として、各リード端子の前記小径部が前記貫通孔を下方から前記上方に貫通し、前記大径部が前記封口ゴムの下方に位置する第1位置に配置し、昇降機構により前記素子を保持するとともに、前記封口ゴムの側から前記素子を介して前記昇降機構にかかる負荷を監視しながら、前記昇降機構により各リード端子の前記大径部が前記貫通孔を貫通した第2位置まで前記素子を上昇させ、前記負荷の最大値が予め定めた所定の範囲から外れた場合には、組立不良が発生したと判定することを特徴とする。
【0009】
また、上記の課題を解決するために、本発明は、2枚の金属箔を巻き回した巻回部と、各金属箔にそれぞれ接続され前記巻回部から一方向に突出して直線状に延びる2本のリード端子と、を備える素子と、2本の前記リード端子を貫通させた状態で前記素子に取り付けられた封口ゴムと、を有し、各リード端子は、前記巻回部の内側で前記金属箔に接続される接続部と、前記巻回部から突出する突出部分と、を備え、前記突出部分は、前記巻回部の側から先端側に向かって丸棒状の大径部と、前記大径部よりも外径が小さい小径部と、をこの順に備え、前記封口ゴムは、2本の前記リード端子の離間距離と対応する間隔を開けて設けられた2つの貫通孔を備え、前記大径部は、各貫通孔を貫通し、各貫通孔は、前記大径部が貫通する前の内径が当該大径部の外径よりも小さい電解コンデンサの組立装置において、前記封口ゴムを径方向外側から支持する支持孔を備える支持部、および前記封口ゴムが前記支持孔から上方に抜けることを阻止する押え部を有する封口ゴム支持部と、前記素子を、2本の前記リード端子が上方に延びる姿勢で保持し、各リード端子の前記小径部が前記封口ゴムを下方から前記上方に貫通し、前記大径部が前記封口ゴムの前記下方に位置する第1位置から、各リード端子の前記大径部が前記貫通孔を貫通した第2位置まで上昇させる昇降機構と、前記昇降機構が、前記素子を前記第1位置から前記第2位置まで上昇させる間、前記封口ゴムの側から前記素子を介して前記昇降機構にかかる負荷を検出する負荷検出器と、前記負荷検出器からの出力に基づいて前記負荷の最大値を取得し、前記負荷の最大値が予め定めた所定の範囲から外れた場合には、組立不良が発生したと判定する判定部と、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明では、昇降機構により素子を保持して上昇させることにより、素子のリード端子を封口ゴムの貫通孔に貫通させる。また、各リード端子の大径部が封口ゴムの貫通孔に挿入されてから封口ゴムを貫通した状態となるまでの間、すなわち、素子が第1位置から第2位置に到達するまでの間、封口ゴムの側から素子を介して昇降機構にかかる負荷を監視する。そして、この間の負荷の最大値が予め定めた所定の範囲から外れた場合には、組立不良が発生したと判定する。すなわち、封口ゴムを素子のリード端子に取り付ける組立動作では、封口ゴムの貫通孔の内径が大径部の外径よりも小さいので、各リード端子の大径部が封口ゴムの貫通孔に挿入されてから貫通した状態となるまでの間に、素子を保持する昇降機構には、封口ゴムの側から負荷がかかる。ここで、組立工程において組立動作を繰り返し行う際に、組立不良が発生していない場合には、負荷の最大値はほとんど変動しない。しかし、例えば、リード端子の一本が欠損している素子に対して封口ゴムを素子のリード端子に取り付ける組立動作が行われた場合には、封口ゴムの側から素子を介して昇降機構にかかる負荷の最大値は、組立不良が発生していない場合と比較して、小さくなる。
また、封口ゴムの2つの貫通孔のうちの一つの貫通孔に2本のリード端子が一緒に挿入されてしまった場合には、組立不良が発生していない場合と比較して、負荷の最大値が大きくなる。さらに、封口ゴムの2つの貫通孔の間隔と素子の2本のリード端子の間の間隔とが合致せずに、リード端子が封口ゴムの貫通孔とは異なる部位を突き抜けてしまった場合にも、組立不良が発生していない場合と比較して、負荷の最大値が大きくなる。従って、封口ゴムの側から素子を介して昇降機構にかかる負荷の最大値に基づいて、組立不良を検出できる。
【0011】
本発明において、モニタと、前記昇降機構が前記素子を前記第1位置から前記第2位置に移動させる間に、前記負荷検出器からの出力の変化を時系列に沿って表したグラフを前記モニタに表示する表示制御部と、を備え、前記表示制御部は、次に、前記昇降機構が前記素子を前記第1位置から前記第2位置に移動させたときに、前記グラフに重ねて、前記負荷検出器からの出力の変化を時系列に沿って表した新たなグラフを前記モニタに表示するものとすることができる。このようにすれば、モニタに写し出されるグラフを監視することにより、作業者が負荷の最大値の変動を確認できる。従って、作業者は、組立物の外観検査を行うことなく、組立不良が発生したことを知得できる。
【0012】
本発明において、前記昇降機構は、前記封口ゴムの上方で、前記第1位置にある前記素子の各リード端子を保持するものとすることができる。
【0013】
この場合において、前記昇降機構は、上下移動する昇降アームと、前記昇降アームに片持ちに接続された歪みゲージと、前記歪みゲージにおける前記昇降アームとは反対側の端部分に接続されたチャック部と、を有し、前記リード端子は、前記チャック部に保持され、前記歪みゲージは、前記負荷検出器であるものとすることができる。このようにすれば、昇降機構により素子を第1位置から第2位置まで上昇させる間に、封口ゴムの側から素子を介して昇降機構にかかる負荷を検出することが容易である。
【0014】
本発明の電解コンデンサの組立装置において、前記昇降機構は、前記封口ゴムの下方で、前記第1位置にある前記素子を前記下方から保持するものとすることができる。
【0015】
この場合において、前記昇降機構は、上下移動する昇降テーブルと、前記昇降テーブルの前記上方で前記素子を前記下方から保持する保持部と、前記保持部と前記昇降テーブルとの間に介在する圧力センサと、を備え、前記圧力センサは、前記負荷検出器であり、前記保持部に前記上方からかかる負荷を検出するものとすることができる。このようにすれば、昇降機構により素子を第1位置から第2位置まで上昇させるとともに、素子が第1位置から第2位置に到達するまでの間に、封口ゴムの側から素子を介して昇降機構にかかる負荷を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例1の電解コンデンサの組立装置の説明図である。
図2】組立動作により組立られる組立物の説明図である。
図3】実施例1の組立装置の動作の説明図である。説明図である。
図4】電解コンデンサの組立方法のフローチャートである。
図5】モニタに表示される負荷の変化のグラフである。
図6】組立不良がない複数回の組立動作における負荷の最大値を示すグラフである。
図7】複数回の組立動作において、組立不良が発生した場合の負荷の最大値のグラフである。
図8】組立不良が発生した場合の組立物の説明図である。
図9】組立に別の不具合が発生した場合の組立物の説明図である。
図10】組立不良が発生した場合の素子の状態の説明図である。
図11】別の組立不良が発生した場合の素子の状態の説明図である。
図12】さらに別の組立不良が発生した場合の素子の状態の説明図である。
図13】実施例2の電解コンデンサの組立装置の説明図である。
図14】実施例2の組立装置の動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明を適用した電解コンデンサの組立装置を説明する。
【0018】
(実施例1)
図1は、実施例1の電解コンデンサの組立装置の説明図である。図2は、組立装置により組立られる組立物の説明図である。図3は、組立装置の動作の説明図である。図3(a)は、素子が第1位置にある場合を示し、図3(b)は、素子が第2位置にある場合を示す。図1に示す電解コンデンサの組立装置2Aは、素子7に、封口ゴム10を取り付ける組立動作を行う。
【0019】
(素子)
図2に示すように、素子7は、2枚の金属箔11(陽極箔および陰極箔)がセパレータを介して巻回された巻回部12と、巻回部12から一方向に突出して直線状に延びる2本のリード端子6と、を備える。図1に示すように、巻回部12の外周面には、巻回部12の巻き回しが緩むことを防止するテープ5が巻き付けられている。なお、巻回部12に接着剤を塗布することにより、巻回部12の巻き回しの緩みを防止している素子もある。
【0020】
一方のリード端子6の基端部分は、カシメにより、箔11(陽極箔)に接続される。他方のリード端子6の基端部分は、カシメにより箔11(陰極箔)に接続される。図2に示すように、各リード端子6の基端部分と各箔11を接続するカシメ部13(接続部)は、巻回部12の内側に位置する。各リード端子6の先端側は、巻回部12から外に露出する。すなわち、各リード端子6は、巻回部12から一方向に突出する突出部分15を備える。突出部分15は、巻回部12の側から先端側に向かって、丸棒状の大径部16と、大径部16よりも外径が小さい小径部17と、をこの順に備える。
【0021】
(封口ゴム)
封口ゴム10は、弾性を有する素材からなる。本例では、封口ゴム10は、ブチルゴムからなる。封口ゴム10は、円盤形状である。封口ゴム10は、素子7の2本のリード端子6の離間距離と対応する間隔を開けて設けられた2つの貫通孔20を備える。2つの貫通孔20は、封口ゴム10の厚み方向に貫通する。図2に示すように、組立動作により組立られた組立物1において、素子7の2本のリード端子6は、封口ゴム10を貫通した状態となる。
【0022】
なお、組立動作により組立られた組立物1は、その後、金属製のケースに挿入される。ケースは、有底筒状である。組立物1がケースに挿入された状態では、素子7の巻回部12はケース内に収容され、封口ゴムがケースの開口を塞ぐ。各リード端子6の突出部分15は、ケースから外側に突出する。
【0023】
(組立装置)
図1に示すように、組立装置2Aは、封口ゴム支持部25を有する。封口ゴム支持部25は、封口ゴム10を径方向外側から支持する支持孔26aを備える支持部26と、支持部26に上方X2から取り付けられた押え部27と、を備える。押え部27は、支持部26に支持された封口ゴム10が支持孔26aから上方X2に抜けることを阻止する。また、組立装置2Aは、素子7を昇降させる供給機構28および昇降機構29を備える。供給機構28および昇降機構29は、2本のリード端子6が上方X2に延びる姿勢で素子を保
持する。供給機構28は、支持部26に保持された封口ゴム10の下方X1で素子7を上方X2に移動させる。昇降機構29は、支持部26に保持された封口ゴム10の上方X2で素子7を上方X2に移動させる。
【0024】
供給機構28は、素子7の2本のリード端子6を側方(リード端子6の延設方向と直交する方向)から保持する供給機構側チャック部31を備える。供給機構28は、支持部26から下方X1に離間する供給位置P0(図1参照)において、素子7の供給を受ける。また、供給機構28は、供給機構側チャック部31により2本のリード端子6の小径部17をチャックして、素子7を上方X2に移動させる。これにより、供給機構28は、素子7を、供給位置P0から、供給位置P0の上方X2の第1位置P1に移動させる。図3(a)に示すように、第1位置P1では、素子7は、各リード端子6の小径部17が封口ゴム10を下方X1から上方X2に貫通し、大径部16が封口ゴム10の下方X1に位置する。
【0025】
昇降機構29は、上下移動する昇降アーム41と、昇降アーム41に片持ちに接続された歪みゲージ42と、歪みゲージ42における昇降アーム41とは反対側の端部分に接続された昇降機構側チャック部43(チャック部)と、を有する。昇降機構29は、第1位置P1に配置された素子7の小径部17を、昇降機構側チャック部43により、封口ゴム10の上方X2でチャックする。また、昇降機構29は、素子7を、第1位置P1から、第1位置P1の上方X2の第2位置P2に移動させる。図3(b)に示すように、第2位置P2では、素子7は、各リード端子6の大径部16が封口ゴム10の貫通孔20を貫通する。これにより、封口ゴム10は素子7に取り付けられた状態となる。図2に示すように、封口ゴム10が素子7に取り付けられた状態を各リード端子6の側方(延設方向と直交する方向)から見た場合には、大径部16は、封口ゴム10と重なり、小径部17は、封口ゴム10の上方X2(巻回部12とは反対側)に位置する。
【0026】
次に、組立装置2Aの制御系は、図1に示すように、CPU、メモリを備える制御部45を中心に構成される。制御部45には、供給機構28および昇降機構29が接続されている。また、制御部45の入力側には、負荷検出器46が接続されている。制御部45の出力側には、モニタ47が接続されている。
【0027】
制御部45は、供給機構28および昇降機構29を駆動制御する駆動制御部48を備える。駆動制御部48は、不図示の駆動源を駆動制御して供給機構28の供給機構側チャック部31を昇降させる。また、駆動制御部48は、不図示の駆動源を駆動制御して、昇降機構29の昇降アーム41を昇降させる。
【0028】
さらに、制御部45は、組立不良が発生したか否かを判定する判定部49を備える。判定部49は、昇降機構29が素子7を第1位置P1から第2位置P2に移動させる間、負荷検出器46からの出力を監視するととともに、負荷検出器46からの出力に基づいて負荷の最大値を取得し、負荷の最大値が予め定めた所定の範囲から外れた場合には、組立不良が発生したと判定する。また、判定部49は、組立不良が発生したと判定すると、モニタ47などを介して、組立不良が発生したことを報知する。ここで、負荷検出器46は、昇降機構29の歪みゲージ42である。
【0029】
また、制御部45は、昇降機構29が素子7を第1位置P1から第2位置P2に移動させる間に、負荷検出器46からの出力の変化を時系列に沿って表したグラフをモニタ47に表示する表示制御部50を備える。表示制御部50は、次に、昇降機構29が素子7を第1位置P1から第2位置P2に移動させたときに、既に表示したグラフに重ねて、負荷検出器46からの出力の変化を時系列に沿って表した新たなグラフをモニタ47に表示する。言い換えれば、表示制御部50は、電解コンデンサの組立動作において、素子7に封
口ゴム10を取り付ける組立動作が繰り返し行われる際に、前回の組立動作における負荷の変化のグラフに、新たな組立動作における負荷の変化のグラフを重ねてモニタ47に表示する。
【0030】
(組立動作)
図4は、電解コンデンサの組立方法のフローチャートである。図5は、モニタに表示される負荷の変動の例である。図6は、組立不良のない複数回の組立動作における負荷の最大値を示すグラフである。
【0031】
図4に示すように、組立動作では、まず、封口ゴム10を支持部26の支持孔26aに保持する。これにより、封口ゴム10は、押え部27により上方X2に移動不能な状態で封口ゴム支持部26に支持される(ステップST1)。
【0032】
その後、図1に示すように、素子7は、2本のリード端子6が上方X2に延びる姿勢で、供給位置P0に供給される。素子7が供給されると、供給機構28は、供給機構側チャック部31により素子7のリード端子6を保持する。そして、供給機構28は、供給機構側チャック部31を上昇させて、素子7を、供給位置P0から第1位置P1に移動させる。第1位置P1において、素子7は、各リード端子6の小径部17が貫通孔20を下方X1から上方X2に貫通し、大径部16が封口ゴム10の下方X1に位置する(ステップST2)。
【0033】
次に、昇降機構29は、封口ゴム10の上方X2に位置する昇降機構側チャック部43で、第1位置P1にある素子7のリード端子6の小径部17をチャックする。ここで、昇降機構29が素子7のリード端子6をチャックすると、供給機構28の供給機構側チャック部31は、リード端子6のチャックを解除して、素子7と干渉しない位置に退避する。
【0034】
また、昇降機構29は、図3(b)に示すように、昇降アーム41を上昇させることにより、昇降機構側チャック部43にチャックされた素子7を、第1位置P1から第2位置P2に移動させる。さらに、制御部45は、昇降機構29が素子7を第1位置P1から第2位置P2に移動させる間、封口ゴム10の側から素子7を介して昇降機構29にかかる負荷を監視する(ステップST3)。すなわち、制御部45は、昇降機構29が素子7を第1位置P1から第2位置P2に移動させる間、歪みゲージ42からの出力を監視する。
【0035】
ここで、昇降機構29が素子7を第1位置P1から第2位置P2に移動させる間には、素子7のリード端子6の大径部16が、その外径よりも内径が小さい貫通孔20に挿入されて上方X2に移動する。これにより封口ゴム10は弾性変形するので、封口ゴム10の形状復帰力が素子7の上昇を阻害する抗力となる。従って、歪みゲージ42は、この抗力を、昇降機構29が封口ゴム10の側から受ける負荷として、検出する。
【0036】
また、歪みゲージ42からの出力は、制御部45を介して、モニタ47に表示される。図5に示すように、モニタ47には、前回の組立動作における負荷の変化のグラフG0に、新たな組立動作における負荷の変化のグラフG1が重ねて表示される。
【0037】
その後、素子7が第2位置P2に達すると、図4に示すように、制御部45は、歪みゲージ42からの出力に基づいて負荷の最大値を取得する。(ステップST4)また、制御部45は、負荷の最大値が予め定めた所定の範囲にあるか否かを確認する(ステップST5)。ここで、制御部45は、負荷の最大値が予め定めた所定の範囲にある場合には、組立が正常に行われたものと判定する(ステップST6)。また、負荷の最大値が予め定めた所定の範囲から外れた場合には、組立不良が発生したと判定する(ステップST7)。ステップST7では、制御部45は、組立不良が発生した旨を、例えば、モニタ47に表
示する。
【0038】
ここで、負荷の最大値の範囲は、予め、素子7に対して封口ゴム10を取り付ける組立動作を複数回行い、その最大値の出力の平均を取得することにより、設定される。本例では、図6に示すように、組立動作において組立不良が発生していない場合の30回分の組立動作の負荷の最大値のデータから、平均を取得する。また、平均より1%大きな閾値S1と、平均より2%小さい閾値S2との間を、組立不良が発生していない場合の負荷の最大値の範囲とする。そして、負荷の最大値として閾値S1を超える値が検出された場合には、組立不良が発生したものと判断する。また、負荷の最大値として、閾値S2を下回る値が検出された場合には、組立不良が発生したものと判断する。ここで、負荷の最大値の平均を取得するための組立動作の回数は30回に限られるものではない。また、閾値S1および閾値S2が平均から乖離する割合は、組立対象となる素子7の径寸法などにより変化するものであり、上記の値は、一例である。
【0039】
図7は、組立工程において行われる複数回の組立動作において、組立不良が発生した場合の負荷の最大値のグラフである。図7のD1では、組立不良が発生することにより、負荷の最大値として、閾値S2を下回る値が検出されている。図7のD2では、組立不良が発生することにより、負荷の最大値として閾値S1を超える値が検出されている。
【0040】
(作用効果)
本例によれば、組立装置2Aは、封口ゴム10の側から素子7を介して昇降機構29にかかる負荷を監視しながら、昇降機構29により、素子7を、第1位置P1から第2位置P2に移動させる。すなわち、組立装置2Aは、歪みゲージ42からの出力を監視しながら、昇降機構29により、素子7を、各リード端子6の小径部17が貫通孔20を下方X1から上方X2に貫通し、大径部16が封口ゴム10の下方X1に位置する第1位置P1から、各リード端子6の大径部16が貫通孔20を貫通した第2位置P2まで上昇させる。そして、組立装置2Aは、素子7が第1位置P1から第2位置P2に移動する間に、封口ゴム10の側から素子7を介して昇降機構29にかかる負荷の最大値が予め定めた所定の範囲から外れた場合には、組立不良が発生したと判定する。
【0041】
ここで、各リード端子6の大径部16を封口ゴム10の貫通孔20を貫通させる際には、貫通孔20の内径が大径部16の外径よりも小さいので、素子7を保持する昇降機構29に、封口ゴム10の側から負荷がかかる。図6に示すように、この負荷の最大値は、組立不良が発生していない状態では、ほとんど変動しない。しかし、以下に示す状態となると、負荷の最大値が、組立不良が発生していない場合の負荷の最大値と比較して、変動した値となる。
【0042】
図8図9は、組立不良が発生した場合の組立物1の説明図である。図8(a)~図8(e)、図9(a)~図9(c)において、左側は、組立物1を封口ゴム10の側から見た場合の拡大平面図である。右側は、組立物1の側面図である。図10は、組立不良によりリード端子6に負荷がかかった場合の、素子7の状態の説明図である。図11は、別の組立不良が発生した場合の素子7の状態の説明図である。図12は、さらに別の組立不良が発生した場合の素子7の状態の説明図である。
【0043】
例えば、図8(a)に示すように、リード端子6の一本が欠損している素子7に対して組立動作が行われた場合には、封口ゴム10を貫通するリード線6の大径部16が一つになるので、負荷の最大値は、小さくなる。また、図8(b)に示すように、封口ゴム10の2つの貫通孔20のうちの一つの貫通孔20に2本のリード端子6が挿入されてしまった場合には、封口ゴム10の抗力が大きくなるので、負荷の最大値が大きくなる。さらに、図8(c)に示すように、封口ゴム10の2つの貫通孔20の間隔と素子7の2本のリ
ード端子6の間の間隔とは合致せずに、リード端子6が封口ゴム10の貫通孔20とは異なる部位を突き抜けてしまった場合にも、組立不良が発生していない場合と比較して、負荷の最大値が大きくなる。
【0044】
さらに、図8(d)に示すように、昇降機構29が素子7を第1位置P1から第2位置P2に移動させる間に、昇降機構側チャック部43によるリード端子6のチャックが滑ってしまった場合には、封口ゴム10の貫通孔20に対してリード端子6が傾斜した状態で素子7が引き上げられるので、負荷の最大値が大きくなる。また、昇降機構29が素子7を第2位置P2に到達させたときに、素子7が第2位置P2よりも上方X2に移動して封口ゴム10が素子7の巻回部12を変形させた場合には、負荷の最大値が大きくなる。従って、封口ゴム10の側から素子7を介して昇降機構29にかかる負荷の最大値に基づいて、図8に示す全ての組立不良を検出できる。
【0045】
また、本例では、組立動作により巻回部12の箔11に亀裂14や皺が発生したものを組立不良として検出できる。例えば、図9(a)に示すように、封口ゴム10に設けられた2つの貫通孔20の間隔が、素子7の2本のリード端子6の間隔に適合したものではなく、リード端子6の間隔が2つの貫通孔20の間隔よりも狭い場合には、リード端子6の大径部16が貫通孔20に侵入する際に大きな抗力が発生するので、負荷の最大値が大きくなる。また、図9(b)に示すように、封口ゴム10に設けられた2つの貫通孔20の間隔が、素子7の2本のリード線の間隔に適合したものではなく、リード端子6の間隔が2つの貫通孔20の間隔よりも広い場合にも、リード端子6の大径部16が貫通孔20に侵入する際に大きな抗力が発生するので、負荷の最大値が大きくなる。さらに、昇降機構側チャック部43がリード端子6をチャックする際などに位置ずれが発生し、封口ゴム10と素子7との中心がズレた場合にも、リード端子6の大径部16が貫通孔20に侵入する際に大きな抗力が発生するので、負荷の最大値が大きくなる。従って、これらの場合にも、組立不良が発生しているものとして検出できる。
【0046】
ここで、図10(a)に示すように、図9に示す組立不良では、封口ゴム10の弾性復帰力により、リード端子6には、当該リード端子6を傾斜させる負荷がかかる。これにより、箔11には、傾斜するリード端子6から、箔11におけるカシメ部13を斜め方向に付勢するストレスがかかる。このようなストレスは、図10(b)に示すように、箔11のカシメ部13の近傍に、亀裂14や、皺、を発生させる。本例によれば、このように外観検査で確認することが困難な組立不良を発見できる。
【0047】
さらに、本例では、組立動作により巻回部12の箔11に皺や歪みが発生したものを、組立不良として検出できる。図11(a)に示す組立不良は、昇降機構29により素子7が第2位置P2に配置されたときに、一方のリード端子6の大径部16が封口ゴム10を貫通した所定の位置まで引き上げられておらず、一方のリード端子6の大径部16と他方のリード端子6の大径部16との位置が一致していない場合である。このような組立不良は、例えば、封口ゴム10の一方の貫通孔20が規定の内径よりも狭い場合などに発生する。或いは、昇降機構側チャック部43において、一方のリード端子6のチャック位置が一方のリード端子6のチャック位置に対して上下方向Xでズレた場合などに発生する。このような組立不良が発生した組立物1は、組立が正常に行われた組立物1と比較して外観にはほとんど差異がない。しかし、箔11には、一方のリード端子6から、箔11におけるカシメ部13を下方X1に付勢するストレスがかかる。このようなストレスは、図11(b)に示すように、箔11に、皺や歪みを発生させる。ここで、このような組立不良では、封口ゴム10の側から素子7を介して昇降機構29にかかる負荷の最大値が、大きくなる。従って、箔11に皺や歪みが発生したものを、組立不良として検出できる。
【0048】
図12(a)に示す組立不良は、昇降機構29により素子7が第2位置P2に配置され
たときに、一方のリード端子6の大径部16が封口ゴム10を貫通した所定の位置よりも上方X2まで引き上げられており、一方のリード端子6の大径部16と他方のリード端子6の大径部16との位置が一致していない場合である。このような組立不良は、例えば、封口ゴム10の一方の貫通孔20が規定の内径よりも広い場合などに発生する。或いは、昇降機構側チャック部43において、一方のリード端子6のチャック位置が一方のリード端子6のチャック位置に対して上下方向Xでズレた場合などに発生する。このような組立不良が発生した組立物1は、組立が正常に行われた組立物1と比較して外観にはほとんど差異がない。しかし、箔11には、一方のリード端子6から、箔11におけるカシメ部13を上方X2に引き上げるストレスがかかっている。このようなストレスは、図12(b)に示すように、箔11に、皺や歪みを発生させる。ここで、このような組立不良では、封口ゴム10の側から素子7を介して昇降機構29にかかる負荷の最大値が、小さくなる。従って、箔11に皺や歪みが発生したものを、組立不良として検出できる。
【0049】
また、本例の組立装置2Aは、モニタ47と、昇降機構29が素子7を第1位置P1から第2位置P2に移動させる間に、負荷検出器46からの出力の変化を時系列に沿って表したグラフをモニタ47に表示する表示制御部50と、を備える。表示制御部50は、次に、昇降機構29が素子7を第1位置P1から第2位置P2に移動させたときに、グラフに重ねて、負荷検出器46からの出力の変化を時系列に沿って表した新たなグラフをモニタ47に表示する。すなわち、表示制御部50は、電解コンデンサの組立動作において、素子7に封口ゴム10を取り付ける組立動作が繰り返し行われる際に、前回の組立動作における負荷の変化のグラフに重ねてモニタ47に表示する。従って、作業者がグラフを監視することにより、負荷の最大値の変動を確認できる。よって、作業者は、組立不良が発生したことを知得することが容易である。
【0050】
また、組立装置2Aの昇降機構29は、上下移動する昇降アーム41と、昇降アーム41に片持ちに接続された歪みゲージ42と、歪みゲージ42における昇降アーム41とは反対側の端部分に接続された昇降機構側チャック部43と、を有する。リード端子6は、昇降機構側チャック部43に保持される。歪みゲージ42は、負荷検出器46である。従って、昇降機構29により素子7を第1位置P1から第2位置P2まで上昇させる間に、封口ゴム10の側から素子7を介して昇降機構29にかかる負荷を検出することが容易である。
【0051】
(実施例2)
図13は、実施例2の電解コンデンサの組立装置の説明図である。なお、本例の組立装置2Bは、実施例1の組立装置2Aと対応する構成を備えるので、対応する構成には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0052】
本例の組立装置2Bは、封口ゴム支持部26を備える。封口ゴム支持部26は、封口ゴム10を径方向外側から支持する支持孔26aを備える支持部26、および封口ゴム10が支持孔26aから上方X2に抜けることを阻止する押え部27を有する。また、本例の組立装置2Bは、素子7を、上下方向Xに移動させる昇降機構51を備える。昇降機構51は、素子7を供給位置P0から第1位置P1に移動させる実施例1の供給機構28の機能と、素子7を第1位置P1から第2位置P2に移動させる実施例1の昇降機構29の機能とを兼ね備える。昇降機構51は、支持部26に支持された封口ゴム10の下方X1に位置する。
【0053】
昇降機構51は、上下移動する昇降テーブル52と、昇降テーブル52の上方X2で素子7を下方X1から保持する保持部53と、保持部53と昇降テーブル52との間に介在する圧力センサ54と、を備える。保持部53は、2本のリード端子6が上方X2に延びる姿勢で素子7を保持する。圧力センサ54は、保持部53に上方X2からかかる負荷を
検出する。
【0054】
図13に示すように、昇降機構51は、支持部26から下方X1に離間する供給位置P0において、素子7の供給を受ける。素子7は、2本のリード端子6が上方X2に延びる姿勢で供給されて、保持部53に保持される。素子7の供給を受けると、昇降機構51は、昇降テーブル52を上昇させることにより、供給位置P0に供給された素子7を、図14(a)に示す第1位置P1に移動させる。第1位置P1では、素子7は、各リード端子6の小径部17が封口ゴム10を下方X1から上方X2に貫通し、大径部16が封口ゴム10の下方X1に位置する。また、昇降機構51は、昇降テーブル52を上昇させることにより、第1位置P1に配置された素子7を、図14(b)に示す第2位置P2に移動させる。第2位置P2では、素子7は、各リード端子6の大径部16が貫通孔20を貫通した状態となる。
【0055】
図13に示すように、組立装置2Bの制御系は、CPU、メモリを備える制御部45を中心に構成される。制御部45には昇降機構51が接続されている。また、制御部45の入力側には、負荷検出器46が接続される。制御部45の出力側には、モニタ47が接続される。ここで、負荷検出器46は、圧力センサ54である。すなわち、圧力センサ54は、昇降機構51が素子7を第1位置P1から第2位置P2に移動させる間、封口ゴム10の側から素子7を介して昇降機構51にかかる負荷を出力する。
【0056】
制御部45は、昇降機構51を駆動制御する駆動制御部48を備える。駆動制御部48は不図示の駆動源を駆動制御して、昇降機構51の昇降テーブル52を昇降させる。また、制御部45は、昇降機構51が素子7を第1位置P1から第2位置P2に移動させる間、負荷検出器46からの出力を監視するととともに、負荷検出器46からの出力に基づいて負荷の最大値を取得し、負荷の最大値が予め定めた所定の範囲から外れた場合には、組立不良が発生したと判定する判定部49を備える。判定部49は、組立不良が発生したと判定すると、モニタ47などを介して、組立不良が発生したことを報知する。
【0057】
また、制御部45は、昇降機構51が素子7を第1位置P1から第2位置P2に移動させる間に、負荷検出器46からの出力の変化を時系列に沿って表したグラフをモニタ47に表示する表示制御部50を備える。ここで、表示制御部50は、次に、昇降機構51が素子7を第1位置P1から第2位置P2に移動させたときに、既に表示したグラフに重ねて、負荷検出器46からの出力の変化を時系列に沿って表した新たなグラフをモニタ47に表示する。
【0058】
実施例2の組立装置2Bの組立動作は、図4に示す実施例1の組立装置2Aの組立動作と同一である。
【0059】
本例においても、組立装置2Bは、封口ゴム10の側から素子7を介して昇降機構51にかかる負荷を監視しながら、昇降機構51により素子7を第1位置P1から第2位置P2に到達させる。そして、組立装置2Bは、その間の負荷の最大値が予め定めた所定の範囲から外れた場合には、組立不良が発生したと判定する。これにより、本例の組立装置2Bは、実施例1の組立装置2Bと同様の作用効果を得ることができる。
【0060】
なお、組立装置2A、2Bでは、表示制御部50が、既に表示したグラフに重ねて新たなグラフをモニタ47に表示しているが、表示制御部50は、先に表示したグラフを消去した後に、新たなグラフのみをモニタ47に表示してもよい。
【符号の説明】
【0061】
1…組立物、2A・2B…組立装置、5…テープ、6…リード端子、7…素子、10…封
口ゴム、11…陽極箔、15…突出部分、16…大径部、17…小径部、20…貫通孔、25…封口ゴム支持部、26…支持部、26a…支持孔、27…押え部、28…供給機構、29…昇降機構、31…供給機構側チャック部、41…昇降アーム、42…歪みゲージ(負荷検出器)、43…昇降機構側チャック部(チャック部)、45…制御部、46…負荷検出器、47…モニタ、48…駆動制御部、49…判定部、50…表示制御部、30…昇降テーブル、31…保持部、33…圧力センサ、51…昇降機構、52…昇降テーブル、53…保持部、54…圧力センサ(負荷検出器)、P0…供給位置、P1…第1位置、P2…第2位置、X1…下方、X2…上方
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14