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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007707
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】筒部材及び回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/20 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
H02K5/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108954
(22)【出願日】2022-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000004765
【氏名又は名称】マレリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚本 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】寺澤 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】豊浦 宏
(72)【発明者】
【氏名】松平 範光
(72)【発明者】
【氏名】影林 和磨
(72)【発明者】
【氏名】平野 拓男
(72)【発明者】
【氏名】狐塚 直樹
(72)【発明者】
【氏名】杉本 司
【テーマコード(参考)】
5H605
【Fターム(参考)】
5H605AA01
5H605BB05
5H605CC01
5H605DD01
5H605DD13
(57)【要約】
【課題】冷却性能を向上させることができる筒部材及び回転電機を提供する。
【解決手段】内筒部材6は、ステータ4の外周側に設けられている内筒本体61と、内筒本体61の軸方向に配列されるように内筒本体61に形成されている複数の周方向流路621と、隣接する周方向流路621を仕切るように内筒本体61に設けられている周方向仕切壁631と、周方向流路621の流れ方向に対して傾斜するように周方向流路621の流れ方向に配列されて周方向流路621に設けられている複数の第1リブ641と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機を構成する筒部材であって、
ステータの外周側に設けられている筒本体と、
前記筒本体の軸方向に配列されるように前記筒本体に形成されている複数の第1流路と、
隣接する前記第1流路を仕切るように前記筒本体に設けられている第1仕切壁と、
前記第1流路の流れ方向に対して傾斜するように前記第1流路の流れ方向に配列されて前記第1流路に設けられている複数の第1リブと、を備える、
筒部材。
【請求項2】
請求項1に記載の筒部材であって、
前記第1リブは、前記第1仕切壁と接続されている、
筒部材。
【請求項3】
請求項2に記載の筒部材であって、
前記第1流路の流れ方向に傾斜して複数の前記第1リブとそれぞれ接続されるように前記第1流路の流れ方向に配列されて前記第1流路に設けられている複数の第2リブをさらに備え、
接続される各前記第1リブと各前記第2リブとは、略V字型のリブ対を構成する、
筒部材。
【請求項4】
請求項3に記載の筒部材であって、
前記第1リブは、隣接する一対の前記第1仕切壁の一方に接続され、
前記第2リブは、隣接する一対の前記第1仕切壁の他方に接続されている、
筒部材。
【請求項5】
請求項4に記載の筒部材であって、
略V字型の前記リブ対は、屈曲部が前記第1流路の流れの下流側に位置するように設けられている、
筒部材。
【請求項6】
請求項3に記載の筒部材であって、
略V字型の前記リブ対は、前記第1流路の幅方向に複数配列されている、
筒部材。
【請求項7】
請求項3に記載の筒部材であって、
各前記第1リブと各前記第2リブとが接続される各接続箇所と接続されるとともに前記筒本体の周方向に延在するように前記第1流路に設けられている筋状リブをさらに備える、
筒部材。
【請求項8】
請求項2に記載の筒部材であって、
前記第1リブは、前記第1仕切壁と接続されている接続領域が前記第1仕切壁に近接するほど高くなるように設けられている、
筒部材。
【請求項9】
回転電機を構成する筒部材であって、
ステータの外周側に設けられている筒本体と、
前記筒本体の周方向に延在するとともに前記筒本体の軸方向に配列されるように前記筒本体に形成されている複数の第1流路と、
隣接する前記第1流路の端部をそれぞれ連通させるように前記筒本体に形成されている複数の第2流路と、
前記周方向に延在するとともに前記第2流路の流れ方向に対して傾斜するように前記第2流路に設けられている筋状リブと、を備える、
筒部材。
【請求項10】
請求項9に記載の筒部材であって、
隣接する前記第1流路を仕切るように前記筒本体に設けられている第1仕切壁と、
隣接する前記第2流路を仕切るとともに前記第1仕切壁と連続するように前記筒本体に設けられている第2仕切壁と、をさらに備え、
前記筋状リブは、前記第2仕切壁と接続されている、
筒部材。
【請求項11】
請求項9に記載の筒部材であって、
前記筋状リブは、前記軸方向において前記ステータの端部と重なる箇所に位置するとともに前記周方向に延在するように前記第1流路及び前記第2流路の両方に設けられている、
筒部材。
【請求項12】
回転電機であって、
請求項1から11のいずれか1項に記載の筒部材と、
前記筒部材の内周側に設けられているステータと、
前記ステータの内周側に設けられているロータと、を備える、
回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒部材及び回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、回転電機を構成する筒部材の外周面に形成され冷却水が流れる流路と、流路における冷却水の流れ方向に沿って流路に設けられているリブと、を備える回転電機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国実用新案公告第208862674号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の筒部材では、リブは、流路の流れ方向に沿って流路に設けられているため、流路を流れる冷却水を撹拌することができない。よって、回転電機の冷却性能を十分に向上させることができない。
【0005】
本発明は、この問題点に着目してなされたものであり、冷却性能を向上させることができる筒部材及び回転電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様によれば、回転電機を構成する筒部材であって、ステータの外周側に設けられている筒本体と、前記筒本体の軸方向に配列されるように前記筒本体に形成されている複数の第1流路と、隣接する前記第1流路を仕切るように前記筒本体に設けられている第1仕切壁と、前記第1流路の流れ方向に対して傾斜するように前記第1流路の流れ方向に配列されて前記第1流路に設けられている複数の第1リブと、を備える筒部材が提供される。
【0007】
本発明の他の態様によれば、回転電機を構成する筒部材であって、ステータの外周側に設けられている筒本体と、前記筒本体の周方向に延在するとともに前記筒本体の軸方向に配列されるように前記筒本体に形成されている複数の第1流路と、隣接する前記第1流路の端部をそれぞれ連通させるように前記筒本体に形成されている複数の第2流路と、前記周方向に延在するとともに前記第2流路の流れ方向に対して傾斜するように前記第2流路に設けられている筋状リブと、を備える筒部材が提供される。
【発明の効果】
【0008】
この態様によれば、回転電機の冷却性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態に係る回転電機の要部を示す断面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る筒部材を示す概略側面図である。
図3図3は、図2における部分Aを拡大して表示する拡大図である。
図4図4は、図3のIV-IV線に沿う断面図である。
図5A図5Aは、第1実施形態として、略V字型のリブ対の屈曲部が流れの下流側に位置する場合に流れの状態変化を説明する流路の平面図である。
図5B図5Bは、第1実施形態として、略V字型のリブ対の屈曲部が流れの下流側に位置する場合に流れの状態変化を説明する流路の横断面図である。
図6A図6Aは、第1実施形態の変形例として、略V字型のリブ対の屈曲部が流れの上流側に位置する場合に流れの状態変化を説明する流路の平面図である。
図6B図6Bは、第1実施形態の変形例として、略V字型のリブ対の屈曲部が流れの上流側に位置する場合に流れの状態変化を説明する流路の横断面図である。
図7図7は、図2における部分Bを拡大して表示する拡大図である。
図8図8は、第2実施形態に係る筒部材を示す側面図である。
図9図9は、第2実施形態の変形例に係る筒部材の一部を示す側面図である。
図10A図10Aは、図9における部分Cを拡大して表示する拡大図である。
図10B図10Bは、図10AのXB-XB線に沿う断面図である。
図11図11は、第3実施形態に係る筒部材を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態について説明する。本明細書においては、全体を通じて、同一の要素には同一の符号を付する。
【0011】
(第1実施形態)
[回転電機の構成]
まず、図1を参照しながら第1実施形態に係る回転電機1について説明する。
【0012】
図1は、第1実施形態に係る回転電機1の要部を示す断面図である。
【0013】
図1に示すように、第1実施形態に係る回転電機1(例えば、モータ)は、車両の駆動輪(図示しない)の駆動に用いられているが、これに限定されるものではなく、例えば、電気製品の駆動に用いられてもよい。回転電機1は、その軸方向(以下、単に軸方向ともいう)に沿って延在するように設けられているシャフト2と、シャフト2の外周側に設けられている筒状(具体的には、円筒状)のロータ3と、ロータ3の外周側に設けられている筒状(具体的には、円筒状)のステータ4と、シャフト2、ロータ3及びステータ4を収容するためのケース5と、を備える。
【0014】
ケース5は、ロータ3の外周側に設けられている筒部材としての内筒部材6と、内筒部材6の外周側に設けられている外筒部材7と、を有する。内筒部材6と外筒部材7とは、例えば、ボルト締めによって連結されている。
【0015】
内筒部材6と外筒部材7とが連結された状態において、内筒部材6と外筒部材7との間に形成された螺旋状のキャビティ8は、ロータ3及びステータ4を冷却するためのウォータジャケットとしての冷却回路である。
【0016】
内筒部材6は、ステータ4を収容するための金属部材である。また、内筒部材6は、回転電機1の径方向(以下、単に径方向ともいう)においてステータ4と外筒部材7との間に位置している。内筒部材6の端部としての左端は、ステータ4の端部としての左端から突出している。なお、内筒部材6の詳細については後述する。
【0017】
外筒部材7は、金属部材である。外筒部材7は、内筒部材6を収容するための円筒状の外筒本体71と、外筒本体71の一端としての左端に設けられている円環状の蓋部72と、を有する。蓋部72の内周側には、シャフト21を回転自在に支持するベアリング9が設けられている。言い換えれば、シャフト21は、ベアリング9を介して外筒部材7の蓋部72に支持されている。
【0018】
[内筒部材の構成]
次に、図1から図7を参照しながら第1実施形態に係る内筒部材6について詳細に説明する。
【0019】
図2は、第1実施形態に係る内筒部材6を示す概略側面図である。図3は、図2における部分Aを拡大して表示する拡大図である。図4は、図3のIV-IV線に沿う断面図である。図5Aは、本実施形態として、後述するV字型のリブ対644の屈曲部が後述する周方向流路621の流れの下流側に位置する場合に流れの状態変化を説明する流路の平面図である。図5Bは、本実施形態として、V字型のリブ対644の屈曲部が周方向流路621の流れの下流側に位置する場合に流れの状態変化を説明する流路の横断面図である。図6Aは、第1実施形態の比較例として、V字型のリブ対644の屈曲部が周方向流路621の流れの上流側に位置する場合に流れの状態変化を説明する流路の平面図である。図6Bは、第1実施形態の比較例として、V字型のリブ対644の屈曲部が周方向流路621の流れの上流側に位置する場合に流れの状態変化を説明する流路の横断面図である。なお、図5Aから図6Bにおいて、後述する筋状リブ643を省略している。図7は、図2における部分Bを拡大して表示する拡大図である。
【0020】
図2に示すように、内筒部材6は、内周面がステータ4の外周面と当接するようにステータ4の外周側に設けられている筒本体としての円筒状の内筒本体61と、内筒本体61の外周面に形成されている螺旋状の流路62と、流路62が形成されるように内筒本体61の外周面に設けられている仕切壁63と、流路62に位置するように内筒本体61の外周面に設けられているリブ64と、を備える。なお、内筒本体61、仕切壁63及びリブ64は、一体形成されるものである。
【0021】
図1及び図2に示すように、内筒部材6と外筒部材7とが連結された状態において、仕切壁63は、先端が外筒本体71の内周面と当接するように設けられている。そして、この状態において、螺旋状のキャビティ8は、内筒本体61の外周面、外筒本体71の内周面及び仕切壁63によって取り囲まれて形成されている。これにより、冷却液としての冷却水は、螺旋状の流路62の流れ方向に沿って上流側から下流側へ流れることができる。
【0022】
流路62は、螺旋状のキャビティ8から構成されている。流路62は、内筒本体61の周方向(すなわち、回転電機1の周方向/以下、単に周方向ともいう)に延在するとともに内筒本体61の軸方向(すなわち、回転電機1の軸方向)に配列されるように内筒本体61の外周面に形成されている複数の第1流路としての周方向流路621と、隣接する周方向流路621の端部をそれぞれ連通させるように内筒本体61の外周面に形成されている複数の第2流路としての連通流路622と、を有する。
【0023】
また、流路62は、交互に連通する複数の周方向流路621及び複数の連通流路622から構成されている。
【0024】
本実施形態では、各連通流路622は、周方向に対して傾斜するように形成されている。
【0025】
仕切壁63は、周方向に延在するとともに軸方向に配列されるように内筒本体61の外周面に形成されている複数の第1仕切壁としての周方向仕切壁631と、隣接する周方向仕切壁631の端部とそれぞれ連続するように内筒本体61の外周面に形成されている複数の第2仕切壁としての連通仕切壁632と、を有する。
【0026】
各周方向仕切壁631は、隣接する周方向流路621を仕切るとともに、各連通仕切壁632は、隣接する連通流路を仕切る。なお、各周方向仕切壁631の高さと各連通仕切壁632の高さとは、一致している。
【0027】
本実施形態では、連通仕切壁632は、周方向に対して傾斜するように形成されている。
【0028】
リブ64は、冷却性能を向上させるためのリブである。リブ64は、高さが仕切壁63の高さよりも低く形成されている。また、リブ64は、周方向流路621の流れ方向に配列されて周方向流路621に設けられている複数の第1リブ641と、複数の第1リブ641とそれぞれ接続されるように周方向流路621の流れ方向に配列されて周方向流路621に設けられている複数の第2リブ642と、周方向に延在するように周方向流路621及び連通流路622の両方に設けられている複数の筋状リブ643と、を有する。
【0029】
第1リブ641と第2リブ642とは、周方向流路621の冷却性能を向上させるためのリブである。
【0030】
本実施形態では、各第1リブ641は、周方向流路621の流れ方向に対して傾斜するように形成されている。
【0031】
本実施形態では、各第2リブ642は、周方向流路621の流れ方向に対して傾斜するように形成されている。
【0032】
各第1リブ641は、一端が隣接する一対の周方向仕切壁631の一方に接続されている。これにより、ステータ4と内筒部材6との熱膨張の相違による内筒本体61における第1リブ641の一端(すなわち、周方向流路621の流れ方向に対して鋭角となるように設けられているリブの端部)への応力集中を、周方向流路621の流れ方向に延在する一方の周方向仕切壁631によって緩和させることができる。
【0033】
また、図1及び図2に示すように、各第1リブ641は、一対の周方向仕切壁631の一方と接続される接続領域としての一端側が一方の周方向仕切壁631に近接するにつれ高くなるとともに一端側領域以外の領域の高さが一定となるように設けられている。すなわち、各第1リブ641は、一端側の頂部と外筒本体71との間の距離が一方の周方向仕切壁631に近接するにつれ小さくなるとともに一端側以外の領域における頂部と外筒本体71との間の距離が一定となるように設けられている。これにより、各第1リブ641の一端側の応力集中を緩和させつつ一方の周方向仕切壁631近傍の縦渦(図5A及び図5B参照)の発生を促進することができる。なお、各第1リブ641の一端側は、周方向流路621の流れ方向視にて円弧状に形成されることが好ましい。
【0034】
同様に、各第2リブ642は、一端が隣接する一対の周方向仕切壁631の他方に接続されている。これにより、ステータ4と内筒部材6との熱膨張の相違による内筒本体61における第2リブ642の一端(すなわち、周方向流路621の流れ方向に対して鋭角となるように設けられているリブの端部)への応力集中を、周方向流路621の流れ方向に延在する他方の周方向仕切壁631によって緩和させることができる。
【0035】
また、図1及び図2に示すように、各第2リブ642は、一対の周方向仕切壁631の他方と接続される接続領域としての一端側が他方の周方向仕切壁631に近接するにつれ高くなるとともに一端側領域以外の領域の高さが一定となるように設けられている。すなわち、各第2リブ642は、一端側の頂部と外筒本体71との間の距離が他方の周方向仕切壁631に近接するにつれ小さくなるとともに一端側以外の領域における頂部と外筒本体71との間の距離が一定となるように設けられている。これにより、各第2リブ642の一端側の応力集中を緩和させつつ他方の周方向仕切壁631近傍の縦渦(図5A及び図5B参照)の発生を促進することができる。なお、各第2リブ642の一端側は、周方向流路621の流れ方向視にて円弧状に形成されることが好ましい。
【0036】
そして、各第1リブ641と各第2リブ642とは、他端同士が接続されている。このため、第1リブ641と第2リブ642とは、略V字型のリブ対644を構成する。すなわち、第1リブ641と第2リブ642とからなる略V字型のリブ対644は、屈曲部としての先端が周方向流路621の流れの下流側に位置するように設けられている。これにより、冷却水が各リブ対644を乗り越えて周方向流路621の流れ方向に沿って流れる際に、略V字型のリブ対644の下流側において縦渦(図5A及び図5B参照)を発生させることができるため、周方向流路621の冷却性能を向上させることができるという優れた効果が得られる。
【0037】
また、図3及び図4に示すように、各第1リブ641(具体的には、一端側以外の領域)は、第2リブ642の他端と接続される先端の頂部が平坦に形成されるとともに先端以外の頂部が一方の周方向仕切壁631に近接するにつれ小さくなるように横断面視にて円弧に形成されている。また、各第1リブ641と内筒本体61の外周面とが接続される接続箇所は、横断面視にて頂部の円弧よりも大きな円弧に形成されている。これにより、第1リブ641と内筒本体61の外周面とが接続される接続箇所への応力集中をより緩和させるとともに死水域を円弧により小さくすることで縦渦(図5A及び図5B参照)の発生を促進することができる。
【0038】
また、同様に、各第2リブ642(具体的には、一端側以外の領域)は、第1リブ641の他端と接続される先端の頂部が平坦に形成されるとともに先端以外の頂部が他方の周方向仕切壁631に近接するにつれ小さくなるように横断面視にて円弧に形成されている。また、各第2リブ642と内筒本体61の外周面とが接続される接続箇所は、横断面視にて頂部の円弧よりも大きくな円弧に形成されている。これにより、第2リブ642と内筒本体61の外周面とが接続される接続箇所への応力集中をより緩和させるとともに死水域を円弧により小さくすることで縦渦(図5A及び図5B参照)の発生を促進することができる。
【0039】
次に、図5A及び図6Bを参照しながら上記優れた効果の詳細について説明する。
【0040】
図5A及び図5Bに示すように、略V字型のリブ対644の先端が周方向流路621の流れの下流側に位置する場合に、第1リブ641を乗り越えて流速が速められた第1水流W1と、第2リブ642を乗り越えたて流速が速められた第2水流W2とは、略V字型のリブ対644の下流側において相互に離間する(すなわち、筋状リブ643から離間する)ように流れる。
【0041】
そして、第1水流W1は、一方の周方向仕切壁631にぶつかることにより、第1水流W1よりも内筒本体61に近接する第1還流R1が第1水流W1から方向転換して形成される。同様に、第2水流W2は、一方の周方向仕切壁631と対向する他方の周方向仕切壁631にぶつかることにより、第2水流W2よりも内筒本体61に近接する第2還流R2が第2水流W2から方向転換して形成される。
【0042】
そして、第1還流R1と第2還流R2とは、略V字型のリブ対644の下流側において相互に近接する(すなわち、筋状リブ643に近接する)ように流れ、ぶつかり合うことにより、さらに方向転換される。これにより、第1水流W1及び第1還流R1から構成される横断面視にて反時計回りの第1渦巻T1及び第2水流W2及び第2還流R2から構成される横断面視にて時計回りの第2渦巻T2を発生させることができる。
【0043】
ここでは、第1リブ641を乗り越えて流速が高められた第1水流W1と第2リブ642を乗り越えて流速が高められた第2水流W2とがぶつかり合うことを回避することができるため、第1渦巻T1及び第2渦巻T2の流速をより高くすることができる。この結果、熱交換が促進されて周方向流路621の冷却性能をより向上させることができるという優れた効果が得られる。
【0044】
一方、図6A及び図6Bに示すように、第1実施形態の変形例として、略V字型のリブ対644の先端が周方向流路621の流れの上流側に位置する場合に、第1リブ641を乗り越えて流速が速められた第1水流W1と、第2リブ642を乗り越えたて流速が速められた第2水流W2とは、略V字型のリブ対644の下流側において相互に近接する(すなわち、筋状リブ643から近接する)ように流れる。
【0045】
そして、第1水流W1と第2水流W2とは、リブ対644の先端付近(具体的には、リブ対644の先端の下流側)においてぶつかり合うことにより、第1水流W1よりも内筒本体61に近接する第1還流R1が第1水流W1から方向転換して形成されるとともに、第2水流W2よりも内筒本体61に近接する第2還流R2が第2水流W2から方向転換して形成される。
【0046】
そして、第1還流R1と第2還流R2とは、略V字型のリブ対644の下流側において相互に離間する(すなわち、筋状リブ643から離間する)ように流れる。第1還流R1は、一方の周方向仕切壁631にぶつかることにより、さらに方向転換される。同様に、第2還流R2は、一方の周方向仕切壁631と対向する他方の周方向仕切壁631にぶつかることにより、さらに方向転換される。これにより、第1水流W1及び第1還流R1から構成される横断面視にて時計回りの第1渦巻T1及び第2水流W2及び第2還流R2から構成される横断面視にて反時計回りの第2渦巻T2を発生させることができる。
【0047】
ここでは、第1リブ641を乗り越えて第1水流W1による第1還流R1の流速が高められるとともに第2リブ642を乗り越えて第2水流W2による第2還流R2の流速が高められることにより、熱交換が促進されて周方向流路621の冷却性能を向上させることができる。
【0048】
内筒部材6の説明に戻ると、筋状リブ643は、連通流路622の冷却性能の向上及びステータ4と内筒部材6との熱膨張の相違による内筒本体61への応力集中緩和の両立を図るためのリブである。各筋状リブ643は、周方向流路621に設けられている周方向流路領域643aと、周方向流路領域643aの両端と連通するように連通流路622に設けられている一対の連通流路領域643bと、を有する。
【0049】
周方向流路領域643aは、周方向流路621の幅方向(すなわち、軸方向)の中央に位置するとともに周方向に配列されている複数の略V字型のリブ対644の先端を通過するように設けられている。これにより、ステータ4と内筒部材6との熱膨張の相違による内筒本体61におけるリブ対644の先端(すなわち、周方向流路621の流れ方向に対して鋭角となるように設けられているリブの端部)への応力集中を、周方向流路621の流れ方向に延在する周方向流路領域643aによって緩和させることができる。
【0050】
また、ステータ4と内筒部材6との熱膨張の相違による内筒本体61におけるリブ対644の先端への応力集中をより緩和させる観点から、リブ対644の先端の幅を第1リブ641の幅及び第2リブ642の幅よりも大きくすることが好ましい。
【0051】
第1リブ641と第2リブ642とは、周方向流路領域643aに対して鏡面対称となるように設けられている。すなわち、第1リブ641の寸法と第2リブ642の寸法とは、一致するとともに、周方向流路領域643aは、第1リブ641と第2リブ642とからなる角を二等分割している。
【0052】
本実施形態では、第1リブ641と第2リブ642とは、周方向流路領域643aに対して鏡面対称となるように設けられているが、これに限定されるものではなく、例えば、周方向流路領域643aに対して鏡面対称とならないように設けられてもよい。
【0053】
図7に示すように、連通流路領域643bは、一端が連通仕切壁632と接続されるとともに他端が周方向流路領域643aの端部と連通するように連通流路622を横切って設けられている。すなわち、連通流路領域643bは、連通流路622の流れ方向に対して傾斜している。これにより、冷却水が各連通流路領域643bを乗り越えて連通流路622の流れ方向に沿って流れる際に、縦渦(具体的には、横断面視にて反時計回りの渦巻)を発生させることができるため、連通流路622の冷却性能を向上させることができる。この結果、周方向流路621のみならず、流路62全体の冷却性能を効率よく向上させることができる。
【0054】
また、上述のように、連通流路領域643bは、一端が連通仕切壁632と接続されている。これにより、ステータ4と内筒部材6との熱膨張の相違による内筒本体61における連通流路領域643bの一端(すなわち、連通流路622の流れ方向に対して鋭角となるように設けられているリブの端部)への応力集中を、連通流路622の流れ方向に延在する連通仕切壁632によって緩和させることができる。
【0055】
また、連通流路622には、略V字型のリブ対644が設けられていないため、リブ対644の設置による応力集中が発生しない。よって、このような応力集中を緩和させるための筋状リブを別途設ける必要がなく、内筒部材6の簡易化を図ることができる。
【0056】
本実施形態では、連通流路領域643bは、連通流路622の流れ方向に対して傾斜するように形成されている。
【0057】
軸方向において隣接する二つの連通流路領域643bは、それぞれ連通流路622の上流側及び当該連通流路622の下流側に位置するように設けられている。これにより、連通流路622の全域に亘って冷却性能をより向上させることができる。
【0058】
本実施形態では、複数の筋状リブ643の高さは、複数の第1リブ641の高さ(具体的には、第1リブ641の一端側以外の領域の高さ)及び複数の第2リブ642の高さ(具体的には、第2リブ642の一端側以外の領域の高さ)とはほぼ一致するように形成されている。これにより、第1リブ641、第2リブ642及び筋状リブ643が接続される接続箇所の応力集中をより緩和しつつ縦渦の発生を促進することができる。
【0059】
また、図1及び図2に示すように、筋状リブ643は、軸方向においてステータ4の端部と重なる箇所に位置するとともに周方向に周回するように周方向流路621及び連通流路622の両方に設けられている。これにより、内筒本体61の肉厚を局所的に増大させることで、ステータ4と内筒部材6との熱膨張の相違による内筒本体61(具体的には、軸方向においてステータ4の端部と重なる箇所)への応力集中を緩和させることができる。
【0060】
この場合に、筋状リブ643は、必ずしも周方向流路621の幅方向の中央に位置するとは限らない。なお、当該筋状リブ643が設けられている周方向流路621及び連通流路622には、略V字型のリブ対644が設けられていない。これにより、リブ対644の設置による応力集中の発生を抑制することができる。
【0061】
本実施形態では、筋状リブ643は、周方向流路領域643a及び連通流路領域643bの両方を有して構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、周方向流路領域643a及び連通流路領域643bのうちのいずれか一方のみから構成されてもよい。
【0062】
本実施形態では、各連通流路領域643bは、周方向に配列されている複数の略V字型のリブ対644の先端を通過する一本筋から構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、少なくとも略V字型のリブ対644の先端から流れ方向に延在する短筋リブを複数周方向に断続的に配列させるように構成されてもよい。
【0063】
本実施形態では、回転電機1を構成する筒部材は、内筒部材6から構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、外筒部材7から構成されてもよい。この場合に、流路、仕切壁及びリブは、外筒本体71の内周面に設けられている。
【0064】
また、流路及び仕切壁は、外筒本体71の内周面に設けられ、リブは、内筒本体61の外周面に設けられてもよい。この場合に、同じような流路抵抗で冷却水と接触面積を稼ぐことが可能であるため、同様に冷却性能を向上させることができる。
【0065】
[作用効果]
次に、本実施形態による作用効果について説明する。
【0066】
本実施形態に係る内筒部材6は、回転電機1を構成するものであって、ステータ4の外周側に設けられている内筒本体61と、内筒本体61の軸方向に配列されるように内筒本体61に形成されている複数の周方向流路621と、隣接する周方向流路621を仕切るように内筒本体61に設けられている周方向仕切壁631と、周方向流路621の流れ方向に対して傾斜するように周方向流路621の流れ方向に配列されて周方向流路621に設けられている複数の第1リブ641と、を備える。
【0067】
この構成によれば、第1リブ641の下流側において第1渦巻T1を、第1リブ641を乗り越えて流速が速められた冷却水(具体的には、第1水流W1)によって発生させることができるため、周方向流路621の冷却性能を向上させることができる。この結果、回転電機1の冷却性能を向上させることができる。
【0068】
また、本実施形態では、第1リブ641は、周方向仕切壁631と接続されている。
【0069】
この構成によれば、ステータ4と内筒部材6との熱膨張の相違による内筒本体61における第1リブ641の一端への応力集中を、周方向流路621の流れ方向に延在する一方の周方向仕切壁631によって緩和させることができる。
【0070】
また、本実施形態では、内筒部材6は、周方向流路621の流れ方向に傾斜して複数の第1リブ641とそれぞれ接続されるように周方向流路621の流れ方向に配列されて周方向流路621に設けられている複数の第2リブ642をさらに備え、接続される各第1リブ641と各第2リブ642とは、略V字型のリブ対644を構成する。
【0071】
この構成によれば、第1リブ641の下流側において反時計回りの第1渦巻T1を、第1リブ641を乗り越えて流速が高められた冷却水(具体的には、第1水流W1)によって発生させるとともに、第2リブ642の下流側において時計回りの第2渦巻T2を、第2リブ642を乗り越えて流速が高められた冷却水(具体的には、第2水流W2)によって発生させることができる。
【0072】
また、本実施形態では、第1リブ641は、隣接する一対の周方向仕切壁631の一方に接続され、第2リブ642は、隣接する一対の周方向仕切壁631の他方に接続されている。
【0073】
この構成によれば、ステータ4と内筒部材6との熱膨張の相違による内筒本体61における第2リブ642の一端への応力集中を、周方向流路621の流れ方向に延在する他方の周方向仕切壁631によって緩和させることができる。
【0074】
本実施形態では、略V字型のリブ対644は、先端が周方向流路621の流れの下流側に位置するように設けられている。
【0075】
また、略V字型のリブ対644は、先端が周方向流路621の流れの下流側に位置するように設けられているため、第1リブ641を乗り越えて流速が高められた第1水流W1と第2リブ642を乗り越えたて流速が高められた第2水流W2とがぶつかり合うことを回避することができるため、第1渦巻T1及び第2渦巻T2の流速を高くすることができる。この結果、周方向流路621の冷却性能をより向上させることができ、回転電機1の冷却性能を向上させることができる。
【0076】
また、本実施形態では、内筒部材6は、各第1リブ641と各第2リブ642とが接続される各接続箇所としての各リブ対644の先端と接続されるとともに内筒本体61の周方向に延在するように周方向流路621に設けられている筋状リブ643をさらに備える。
【0077】
この構成によれば、ステータ4と内筒部材6との熱膨張の相違による内筒本体61におけるリブ対644の先端への応力集中を、周方向流路621の流れ方向に延在する筋状リブ643によって緩和させることができる。
【0078】
また、本実施形態では、第1リブ641は、周方向流路621と接続されている接続領域としての一端側が周方向流路621に近接するほど高くなるように設けられている。
【0079】
この構成によれば、第1リブ641の一端側の応力集中を緩和させつつ一方の周方向仕切壁631近傍の縦渦の発生を促進することができる。
【0080】
また、本実施形態に係る内筒部材6は、回転電機1を構成するものであって、ステータ4の外周側に設けられている内筒本体61と、内筒本体61の周方向に延在するとともに内筒本体61の軸方向に配列されるように内筒本体61に形成されている複数の周方向流路621と、隣接する周方向流路621の端部をそれぞれ連通させるように内筒本体61に形成されている複数の連通流路622と、周方向に延在するとともに連通流路622の流れ方向に対して傾斜するように連通流路622に設けられている筋状リブ643と、を備える。
【0081】
この構成によれば、筋状リブ643の下流側において縦渦を、筋状リブ643を乗り越えて流速が高められた冷却水によって発生させることができるため、連通流路622の冷却性能を向上させることができる。この結果、回転電機1の冷却性能を向上させることができる。
【0082】
また、本実施形態では、内筒部材6は、隣接する周方向流路621を仕切るように内筒本体61に設けられている周方向仕切壁631と、隣接する連通流路622を仕切るとともに周方向仕切壁631と連続するように内筒本体611に設けられている連通仕切壁632と、をさらに備え、筋状リブ643は、連通仕切壁632と接続されている。
【0083】
この構成によれば、ステータ4と内筒部材6との熱膨張の相違による内筒本体61における筋状リブ643の一端への応力集中を、連通流路622の流れ方向に延在する連通仕切壁632によって緩和させることができる。
【0084】
また、本実施形態では、筋状リブ643は、軸方向においてステータ4の端部と重なる箇所に位置するとともに周方向に延在するように周方向流路621及び連通流路622の両方に設けられている。
【0085】
この構成によれば、内筒本体61の肉厚を局所的に増大させることで、ステータ4と内筒部材6との熱膨張の相違による内筒本体61(具体的には、軸方向においてステータ4の端部と重なる箇所)への応力集中を緩和させることができる。
【0086】
また、本実施形態に係る回転電機1は、内筒部材6と、内筒部材6の内周側に設けられているステータ4と、ステータ4の内周側に設けられているロータ3と、を備える。
【0087】
(第2実施形態)
次に、図8を参照しながら第2実施形態に係る内筒部材6について説明する。なお、本実施形態では、上述した第1実施形態と一致する点については省略し、主に上述した第1実施形態と相違する点について説明する。
【0088】
図8は、第2実施形態に係る内筒部材6を示す側面図である。
【0089】
図8に示すように、内筒部材6は、上述した第1実施形態と一致する内筒本体61と、上述した第1実施形態と一致する流路62と、上述した第1実施形態と一致する仕切壁63と、上述した第1実施形態と相違するリブ64と、を備える。
【0090】
リブ64は、周方向流路621の幅方向(すなわち、軸方向)に配列されている複数(ここでは、三つ)の略V字型のリブ対644Aから構成されている。一方、リブ64は、上述した第1実施形態のような筋状リブ643(図1及び図2参照)を備えていない。
【0091】
複数の略V字型のリブ対644Aは、これらの基端が相互に接続されている。これにより、これらのリブ対644Aの下流側においてより多く(ここでは、六つ)の縦渦を発生させることができるため、上述した第1実施形態に比べ、周方向流路621の冷却性能をより向上させることができる。この結果、回転電機1(図1参照)の冷却性能を向上させることができる。
【0092】
(第2実施形態の変形例)
次に、図9から図10Bを参照しながら第2実施形態の変形例に係る内筒部材6について説明する。なお、本変形例では、上述した第1,2実施形態と一致する点については省略し、主に上述した第1,2実施形態と相違する点について説明する。
【0093】
図9は、第2実施形態の変形例に係る内筒部材6の一部を示す側面図である。図10Aは、図9における部分Cを拡大して表示する拡大図である。図10Bは、図10AのXB-XB線に沿う断面図である。
【0094】
図9に示すように、リブ64は、周方向流路621の幅方向(すなわち、軸方向)に配列されている複数(ここでは、三つ)の略V字型のリブ対644Aと、周方向に延在するとともにリブ対644Aの端部(具体的には、先端及び基端)と接続されるように設けられている短筋リブ643Aとから構成されている。
【0095】
図10A及び図10Bに示すように、短筋リブ643Aは、高さが変化する(具体的には、リブ対644Aの端部に近づくに従って高くなる)ように設けられている。これにより、ステータ4と内筒部材6との熱膨張の相違による内筒本体61におけるリブ対644Aの先端への応力集中を、周方向流路621の流れ方向に延在する短筋リブ643Aによって効率よく緩和させることができる。
【0096】
(第3実施形態)
次に、図11を参照しながら第3実施形態に係る内筒部材6について説明する。なお、本実施形態では、上述した第1,2実施形態と一致する点については省略し、主に上述した第1,2実施形態と相違する点について説明する。
【0097】
図11は、第3実施形態に係る内筒部材6を示す側面図である。
【0098】
図11に示すように、内筒部材6は、上述した第1,2実施形態と一致する内筒本体61と、上述した第1,2実施形態と一致する流路62と、上述した第1,2実施形態と一致する仕切壁63と、上述した第1,2実施形態と相違するリブ64と、を備える。
【0099】
リブ64は、周方向に対して傾斜するように周方向に配列されて周方向流路621に設けられている複数の第1リブ641Aから構成されている。一方、リブ64は、上述した第1実施形態のような筋状リブ643(図1及び図2参照)及び上述した第1実施形態のようなリブ対644(図2参照)を備えていない。
【0100】
内筒部材6は、第1リブ641Aを備えることにより、第1リブ641Aの下流側において縦渦を発生させることができるため、周方向流路621の冷却性能を向上させることができる。この結果、回転電機1(図1参照)の冷却性能を向上させることができる。
【0101】
各第1リブ641Aは、一端及び他端がそれぞれ一対の周方向仕切壁631の一方及び一対の周方向仕切壁631の他方と接続されている。これにより、ステータ4と内筒部材6との熱膨張の相違による内筒本体61における第1リブ641Aの両端への応力集中を、周方向流路621の流れ方向に延在する一対の周方向仕切壁631によって緩和させることができる。
【0102】
また、リブ64は、第1リブ641Aと共にリブ対644を構成する第2リブ642(図2参照)を備えていないため、内筒部材6の簡易化を図ることができる。
【0103】
以上、各実施形態について説明したが、上述した各実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上述した実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0104】
1 回転電機
3 ロータ
4 ステータ
6 内筒部材(筒部材)
61 内筒本体(筒本体)
621 周方向流路(第1流路)
622 連通流路(第2流路)
631 周方向仕切壁(第1仕切壁)
632 連通仕切壁(第2仕切壁)
641 第1リブ
642 第2リブ
643 筋状リブ
644 リブ対
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11