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  • 特開-配線基板およびその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077086
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】配線基板およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/38 20060101AFI20240531BHJP
   H05K 3/16 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
H05K3/38 A
H05K3/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188921
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】籠橋 進
(72)【発明者】
【氏名】酒井 純
【テーマコード(参考)】
5E343
【Fターム(参考)】
5E343AA02
5E343AA17
5E343AA36
5E343AA40
5E343BB16
5E343BB24
5E343CC32
5E343DD25
5E343DD43
5E343GG04
5E343GG20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】無機粒子と樹脂との間のシード層が導体パターンの形成過程のエッチングで除去しきれずに残存することに起因した導体パターン間でのショートを抑制する。
【解決手段】複数の無機粒子2および樹脂3を含む絶縁層4と、絶縁層の表面4a上に形成されたシード層5と、シード層上に形成された所定の導体パターンの導体層6と、を含む配線基板であって、無機粒子と前記樹脂とが、絶縁層表面に、無機粒子と樹脂とが接触する界面に隙間7を有する状態で露出し、樹脂の表面が粗化された粗面であり、シード層が、そのシード層が無機粒子と樹脂との間の隙間に形成されない状態で、前記絶縁層表面に露出した無機粒子上および樹脂上に沿って形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無機粒子および樹脂を含む絶縁層と、前記絶縁層の表面上に形成されたシード層と、前記シード層上に形成された所定の導体パターンの導体層と、を含む配線基板であって、
前記無機粒子と前記樹脂とが、前記絶縁層表面に隙間を有する状態で露出し、
前記樹脂の表面が粗化された粗面であり、
前記シード層が、そのシード層が無機粒子と樹脂との間に形成されない状態で、前記絶縁層表面に露出した無機粒子上および樹脂上に沿って形成されている。
【請求項2】
請求項1に記載の配線基板において、前記粗化された粗面の表面粗度が0.05ミクロン以上、0.2ミクロン以下である。
【請求項3】
請求項1に記載の配線基板において、前記シード層はスパッタ膜である。
【請求項4】
請求項1に記載の配線基板において、前記シード層は、スパッタ膜であって、銅合金からなる第1層と、前記第1層上に形成され、銅からなる第2層と、を含む。
【請求項5】
配線基板の製造方法であって、
複数の無機粒子および樹脂を含む絶縁層を形成することと、
前記絶縁層の表面を粗化して、前記無機粒子と前記樹脂とを、前記絶縁層表面に隙間を有する状態で露出させるとともに、前記樹脂の表面を粗面とすることと、
前記表面を粗化された絶縁層上にスパッタすることで、前記シード層を、そのシード層が無機粒子と樹脂との間に形成されない状態で、前記絶縁層表面に露出した無機粒子上および樹脂上に沿って形成することと、
前記シード層上に前記導体層を形成することと、を含む。
【請求項6】
請求項5に記載の配線基板の製造方法において、前記絶縁層の粗化が、前記樹脂の表面の粗面の表面粗度を0.05ミクロン以上、0.2ミクロン以下とすること、を含む。
【請求項7】
請求項5に記載の配線基板の製造方法において、前記シード層の形成が、前記スパッタにより、銅合金からなる第1層を形成することと、前記第1層上に銅からなる第2層を形成することと、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、無機粒子と樹脂とから形成した絶縁層と、絶縁層上に形成したシード層と、シード層上に形成した導体層と、を含む配線基板を開示している。そして、無機粒子の一部は樹脂から離れており、シード層の一部が無機粒子と樹脂との間に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-30289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術によれば、絶縁層とシード層を介しての導体層との密着強度を高くすることができる。一方、図3に示されているように、絶縁層51の表面51aに露出した無機粒子52と樹脂53との間にシード層54の一部が形成されている。そのため、無機粒子52と樹脂53との間のシード層54が導体パターンの形成過程のエッチングで除去しきれずに残存することに起因した導体パターン間でのショートが発生する懸念がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る配線基板は、複数の無機粒子および樹脂を含む絶縁層と、前記絶縁層の表面上に形成されたシード層と、前記シード層上に形成された所定の導体パターンの導体層と、を含む配線基板であって、前記無機粒子と前記樹脂とが、前記絶縁層表面に隙間を有する状態で露出し、前記樹脂の表面が粗化された粗面であり、前記シード層が、そのシード層が無機粒子と樹脂との間に形成されない状態で、前記絶縁層表面に露出した無機粒子上および樹脂上に沿って形成されている。
【0006】
本発明に係る配線基板の製造方法は、配線基板の製造方法であって、複数の無機粒子および樹脂を含む絶縁層を形成することと、前記絶縁層の表面を粗化して、前記無機粒子と前記樹脂とを、前記絶縁層表面に隙間を有する状態で露出させるとともに、前記樹脂の表面を粗面とすることと、前記表面を粗化された絶縁層上にスパッタすることで、前記シード層を、そのシード層が無機粒子と樹脂との間に形成されない状態で、前記絶縁層表面に露出した無機粒子上および樹脂上に沿って形成することと、前記シード層上に前記導体層を形成することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る配線基板の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図2】(a)~(d)は、それぞれ、本発明に係る配線基板の製造方法の一実施形態の各工程を模式的に示す断面図である。
図3】従来の配線基板の一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<本発明の配線基板について>
本発明の配線基板の一実施形態が、図面を参照して説明される。なお、図1図2に示す例において、各部材の寸法、特に高さ方向の寸法については、本発明の特徴をより良く理解できるようにするために、実際の寸法とは異なる寸法で記載している。
【0009】
図1は、本発明に係る配線基板の一実施形態を模式的に示す断面図である。図1において、配線基板1は、複数の無機粒子2および樹脂3を含む絶縁層4と、絶縁層4の表面4a上に形成されたシード層5と、シード層5上に形成された所定の導体パターンの導体層6と、を含んでいる。上述した構成の配線基板1を複数スタックして形成して、ビルドアップ基板を構成することもできる。
【0010】
本発明に係る配線基板1の特徴は、無機粒子2と樹脂3とが、絶縁層4の表面4aに隙間を有する状態で露出すること、樹脂3の表面(表面4aの一部)が粗化されて粗面とされていること、シード層5が、そのシード層5が無機粒子2と樹脂3との間に形成されないこと、および、絶縁層4の表面4aに露出した無機粒子2上および樹脂3上に沿って形成されていること、にある。なお、粗化された樹脂3の粗面の表面粗度は、0.05ミクロン以上、0.2ミクロン以下であることが好ましい。また、シード層5はスパッタ膜であることが好ましい。さらに、シード層5は、スパッタ膜であって、銅合金からなる第1層と、第1層上に形成され、銅からなる第2層と、を含むことが好ましい。
【0011】
上述した本発明に係る配線基板1によれば、シード層5が無機粒子2と樹脂3との間に形成されておらす、絶縁層4の表面4aに露出した無機粒子2上および樹脂3上に沿って形成されている。そのため、無機粒子2と樹脂3との間のシード層5が導体パターンの形成過程のエッチングで除去しきれずに残存することに起因した導体パターン間でのショートを防ぐことができる。また、絶縁層4の表面4aに露出した無機粒子3がアンカー効果を有することで、絶縁層4とシード層5との密着強度を従来と同様に維持することができる。
【0012】
<本発明の配線基板の製造方法について>
本発明の配線基板の製造方法の特徴は、絶縁層4の表面4aを粗化すること、および、表面4aを粗化された絶縁層4上をスパッタリングすることで、シード層5を、そのシード層5が無機粒子2と樹脂3との間に形成されない状態で、絶縁層4の表面4aに露出した無機粒子2上および樹脂3上に沿って形成すること、にある。以下、図2(a)~(c)を参照して、本発明の配線基板の製造方法の各工程を説明する。
【0013】
まず、図2(a)に示すように、複数の無機粒子2および樹脂3を含む絶縁層4を形成する。絶縁層4の形成には、例えば エポキシ樹脂などの樹脂中に複数の無機粒子2を含むフィルム状の樹脂3が用いられる。そのようなフィルム状の樹脂3を用いることによって、複数の無機粒子2と樹脂3とを含む絶縁層4が形成される。
【0014】
次に、図2(b)に示すように、絶縁層4の表面4aを粗化して、無機粒子2と樹脂3とを、絶縁層4の表面4aに隙間を有する状態で露出させる。絶縁層4の表面4aは、例えば、過マンガン酸カリウム溶液処理によって処理される。その際、表面4aの一部を構成する樹脂3の粗面の表面粗度が0.05ミクロン以上、0.2ミクロン以下となるよう粗化することが好ましい。
【0015】
次に、図2(c)に示すように、表面4aを粗化された絶縁層4上をスパッタリングすることで、シード層5を、そのシード層5が無機粒子2と樹脂3との間に形成されない状態で、絶縁層4の表面4a上に露出した無機粒子2上および樹脂3上に沿って形成する。ここで、シード層5をスパッタにより形成する。それにより、従来の無電解めっきによるシード層5の形成と比べて、多少絶縁層4の表面4aに露出した無機粒子2と樹脂3とが接触する界面に空間が存在したとしても、シード層5を絶縁層4の表面4a上に露出した無機粒子2上および樹脂3上に沿って形成することができる。
【0016】
次に、図2(d)に示すように、スパッタにより形成されたシード層5上に、導体層6を形成する。導体層6の形成は、従来と同様に、例えば銅による電解めっきで行うことができる。また、導体層6のパターン化は、従来と同様に、レジストおよびクイックエッチを用いて行うことができる。
【0017】
上述した配線基板の製造方法によれば、絶縁層4の表面4aを粗化後、シード層5はスパッタで形成される。シード層5を形成する粒子は絶縁層4の表面4aと垂直に衝突する。そのため、表面4aとシード層5との密着強度は高い。また、絶縁層4の表面4a上に露出した無機粒子2上および樹脂3上に沿って形成することができる。
【符号の説明】
【0018】
1 配線基板
2 無機粒子
3 樹脂
4 絶縁層
4a 表面
5 シード層
6 導体層
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-11-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無機粒子および樹脂を含む絶縁層と、前記絶縁層の表面上に形成されたシード層と、前記シード層上に形成された所定の導体パターンの導体層と、を含む配線基板であって、
前記無機粒子と前記樹脂とが、前記絶縁層表面に、無機粒子と樹脂とが接触する界面に隙間を有する状態で露出し、
前記樹脂の表面が粗化された粗面であり、
前記シード層が、そのシード層が無機粒子と樹脂との間の前記隙間に形成されない状態で、前記絶縁層表面に露出した無機粒子上および樹脂上に沿って形成されている。
【請求項2】
請求項1に記載の配線基板において、前記粗化された粗面の表面粗度が0.05ミクロン以上、0.2ミクロン以下である。
【請求項3】
請求項1に記載の配線基板において、前記シード層はスパッタ膜である。
【請求項4】
請求項1に記載の配線基板において、前記シード層は、スパッタ膜であって、銅合金からなる第1層と、前記第1層上に形成され、銅からなる第2層と、を含む。
【請求項5】
配線基板の製造方法であって、
複数の無機粒子および樹脂を含む絶縁層を形成することと、
前記絶縁層の表面を粗化して、前記無機粒子と前記樹脂とを、前記絶縁層表面に、無機粒子と樹脂とが接触する界面に隙間を有する状態で露出させるとともに、前記樹脂の表面を粗面とすることと、
前記表面を粗化された絶縁層上にスパッタすることで、前記シード層を、そのシード層が無機粒子と樹脂との間の前記隙間に形成されない状態で、前記絶縁層表面に露出した無機粒子上および樹脂上に沿って形成することと、
前記シード層上に前記導体層を形成することと、を含む。
【請求項6】
請求項5に記載の配線基板の製造方法において、前記絶縁層の粗化が、前記樹脂の表面の粗面の表面粗度を0.05ミクロン以上、0.2ミクロン以下とすること、を含む。
【請求項7】
請求項5に記載の配線基板の製造方法において、前記シード層の形成が、前記スパッタにより、銅合金からなる第1層を形成することと、前記第1層上に銅からなる第2層を形成することと、を含む。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、無機粒子と樹脂とから形成した絶縁層と、絶縁層上に形成したシード層と、シード層上に形成した導体層と、を含む配線基板を開示している。そして、無機粒子の一部は樹脂から離れており、シード層の一部が無機粒子と樹脂との間に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-30289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術によれば、絶縁層とシード層を介しての導体層との密着強度を高くすることができる。一方、図3に示されているように、絶縁層51の表面51aに露出した無機粒子52と樹脂53との間にシード層54の一部が形成されている。そのため、無機粒子52と樹脂53との間のシード層54が導体パターンの形成過程のエッチングで除去しきれずに残存することに起因した導体パターン間でのショートが発生する懸念がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る配線基板は、複数の無機粒子および樹脂を含む絶縁層と、前記絶縁層の表面上に形成されたシード層と、前記シード層上に形成された所定の導体パターンの導体層と、を含む配線基板であって、前記無機粒子と前記樹脂とが、前記絶縁層表面に、無機粒子と樹脂とが接触する界面に隙間を有する状態で露出し、前記樹脂の表面が粗化された粗面であり、前記シード層が、そのシード層が無機粒子と樹脂との間の前記隙間に形成されない状態で、前記絶縁層表面に露出した無機粒子上および樹脂上に沿って形成されている。
【0006】
本発明に係る配線基板の製造方法は、配線基板の製造方法であって、複数の無機粒子および樹脂を含む絶縁層を形成することと、前記絶縁層の表面を粗化して、前記無機粒子と前記樹脂とを、前記絶縁層表面に、無機粒子と樹脂とが接触する界面に隙間を有する状態で露出させるとともに、前記樹脂の表面を粗面とすることと、前記表面を粗化された絶縁層上にスパッタすることで、前記シード層を、そのシード層が無機粒子と樹脂との間の前記隙間に形成されない状態で、前記絶縁層表面に露出した無機粒子上および樹脂上に沿って形成することと、前記シード層上に前記導体層を形成することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る配線基板の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図2】(a)~(d)は、それぞれ、本発明に係る配線基板の製造方法の一実施形態の各工程を模式的に示す断面図である。
図3】従来の配線基板の一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<本発明の配線基板について>
本発明の配線基板の一実施形態が、図面を参照して説明される。なお、図1図2に示す例において、各部材の寸法、特に高さ方向の寸法については、本発明の特徴をより良く理解できるようにするために、実際の寸法とは異なる寸法で記載している。
【0009】
図1は、本発明に係る配線基板の一実施形態を模式的に示す断面図である。図1において、配線基板1は、複数の無機粒子2および樹脂3を含む絶縁層4と、絶縁層4の表面4a上に形成されたシード層5と、シード層5上に形成された所定の導体パターンの導体層6と、を含んでいる。上述した構成の配線基板1を複数スタックして形成して、ビルドアップ基板を構成することもできる。
【0010】
本発明に係る配線基板1の特徴は、無機粒子2と樹脂3とが、絶縁層4の表面4aに、無機粒子2と樹脂3とが接触する界面に隙間を有する状態で露出すること、シード層5が、そのシード層5が無機粒子2と樹脂3との間の隙間7に形成されないこと、樹脂3の表面(表面4aの一部)が粗化されて粗面とされていること、および、絶縁層4の表面4aに露出した無機粒子2上および樹脂3上に沿って形成されていること、にある。なお、粗化された樹脂3の粗面の表面粗度は、0.05ミクロン以上、0.2ミクロン以下であることが好ましい。また、シード層5はスパッタ膜であることが好ましい。さらに、シード層5は、スパッタ膜であって、銅合金からなる第1層と、第1層上に形成され、銅からなる第2層と、を含むことが好ましい。
【0011】
上述した本発明に係る配線基板1によれば、シード層5が無機粒子2と樹脂3との間の隙間7に形成されておら、絶縁層4の表面4aに露出した無機粒子2上および樹脂3上に沿って形成されている。そのため、無機粒子2と樹脂3との間のシード層5が導体パターンの形成過程のエッチングで除去しきれずに残存することに起因した導体パターン間でのショートを防ぐことができる。また、絶縁層4の表面4aに露出した無機粒子3がアンカー効果を有することで、絶縁層4とシード層5との密着強度を従来と同様に維持することができる。
【0012】
<本発明の配線基板の製造方法について>
本発明の配線基板の製造方法の特徴は、絶縁層4の表面4aを粗化すること、および、表面4aを粗化された絶縁層4上をスパッタリングすることで、シード層5を、そのシード層5が無機粒子2と樹脂3との間の隙間7に形成されない状態で、絶縁層4の表面4aに露出した無機粒子2上および樹脂3上に沿って形成すること、にある。以下、図2(a)~()を参照して、本発明の配線基板の製造方法の各工程を説明する。
【0013】
まず、図2(a)に示すように、複数の無機粒子2および樹脂3を含む絶縁層4を形成する。絶縁層4の形成には、例えばエポキシ樹脂などの樹脂中に複数の無機粒子2を含むフィルム状の樹脂3が用いられる。そのようなフィルム状の樹脂3を用いることによって、複数の無機粒子2と樹脂3とを含む絶縁層4が形成される。
【0014】
次に、図2(b)に示すように、絶縁層4の表面4aを粗化して、無機粒子2と樹脂3とを、絶縁層4の表面4aに、無機粒子2と樹脂3とが接触する界面に隙間を有する状態で露出させる。絶縁層4の表面4aは、例えば、過マンガン酸カリウム溶液処理によって処理される。その際、表面4aの一部を構成する樹脂3の粗面の表面粗度が0.05ミクロン以上、0.2ミクロン以下となるよう粗化することが好ましい。
【0015】
次に、図2(c)に示すように、表面4aを粗化された絶縁層4上をスパッタリングすることで、シード層5を、そのシード層5が無機粒子2と樹脂3との間の隙間7に形成されない状態で、絶縁層4の表面4a上に露出した無機粒子2上および樹脂3上に沿って形成する。ここで、シード層5をスパッタにより形成する。それにより、従来の無電解めっきによるシード層5の形成と比べて、多少絶縁層4の表面4aに露出した無機粒子2と樹脂3とが接触する界面に隙間7が存在したとしても、シード層5を絶縁層4の表面4a上に露出した無機粒子2上および樹脂3上に沿って形成することができる。
【0016】
次に、図2(d)に示すように、スパッタにより形成されたシード層5上に、導体層6を形成する。導体層6の形成は、従来と同様に、例えば銅による電解めっきで行うことができる。また、導体層6のパターン化は、従来と同様に、レジストおよびクイックエッチを用いて行うことができる。
【0017】
上述した配線基板の製造方法によれば、絶縁層4の表面4aを粗化後、シード層5はスパッタで形成される。シード層5を形成する粒子は絶縁層4の表面4aと垂直に衝突する。そのため、表面4aとシード層5との密着強度は高い。また、絶縁層4の表面4a上に露出した無機粒子2上および樹脂3上に沿って形成することができる。
【符号の説明】
【0018】
1 配線基板
2 無機粒子
3 樹脂
4 絶縁層
4a 表面
5 シード層
6 導体層
7 隙間
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
図2
図3