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特開2024-77097ウォーキングポール用消音具および消音具付きウォーキングポール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077097
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】ウォーキングポール用消音具および消音具付きウォーキングポール
(51)【国際特許分類】
   A45B 9/00 20060101AFI20240531BHJP
【FI】
A45B9/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188940
(22)【出願日】2022-11-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ウェブサイト掲載日 :令和4年10月1日 販売開始日 :令和4年10月1日 ウェブサイトアドレス :https://store.hatachi.jp/products/wh1121 販売場所 :羽立工業株式会社(静岡県湖西市新所3番地) 公開者名 :羽立工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】593171570
【氏名又は名称】羽立工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136674
【弁理士】
【氏名又は名称】居藤 洋之
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 周作
(57)【要約】
【課題】異音やビビリの発生を抑制して使用感をよくすることができる、ウォーキングポール用消音具および消音具付きウォーキングポールを提供する。
【解決手段】消音具付きウォーキングポール10は、中空の上側ポール16と、上側ポールの内側に下方から挿し込まれる中空の下側ポール18と、上側ポール16と下側ポール18とを連結する連結部20と、ウォーキングポール用消音具26とを備える。ウォーキングポール用消音具26は、本体部28と、振動を減衰させる機能を有する弾性体で構成された防振パーツ30とを備える。本体部28は、下側ポール18の上端部18aの内側に嵌め合わされて取り付けられる取付部32と、上側ポール16の内面16aに接触可能なように取付部32と一体に形成された筒状の防振パーツ篏合部34とを有する。防振パーツ30は、本体部28を構成する防振パーツ篏合部34の内側に嵌め合わされる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空の上側ポールと、前記上側ポールの内側に下方から挿し込まれる中空の下側ポールと、前記上側ポールと前記下側ポールとを連結する連結部とを有するウォーキングポールに組み込まれる、ウォーキングポール用消音具であって、
前記下側ポールの上端部の内側に嵌め合わされて取り付けられる取付部と前記上側ポールの内面に接触可能なように前記取付部と一体に形成された筒状の防振パーツ篏合部とを有する本体部と、
振動を減衰させる機能を有する弾性体で構成され、前記防振パーツ篏合部の内側に嵌め合わされる防振パーツとを備える、ウォーキングポール用消音具。
【請求項2】
前記防振パーツは、前記本体部に対して固定される、請求項1に記載のウォーキングポール用消音具。
【請求項3】
前記取付部は、円筒状に形成され、
前記防振パーツは、前記取付部の内側に嵌め合わされて固定手段で固定される固定部を有する、請求項2に記載のウォーキングポール用消音具。
【請求項4】
前記上側ポールは、円筒状に形成され、
前記防振パーツ篏合部の外面は、前記上側ポールの内面に接触可能な円筒面に形成される、請求項3に記載のウォーキングポール用消音具。
【請求項5】
前記防振パーツ篏合部の周壁部は、径方向へ変形可能に構成され、
前記防振パーツ篏合部の内側に前記防振パーツが嵌め込まれた状態において、前記周壁部が前記防振パーツに押されて径方向の外側へ膨らむ、請求項4に記載のウォーキングポール用消音具。
【請求項6】
前記防振パーツ篏合部および前記防振パーツは、前記防振パーツ篏合部に対する前記防振パーツの軸方向からの挿し込み量が大きくなるほど、前記周壁部の膨らみ量が大きくなるように構成される、請求項5に記載のウォーキングポール用消音具。
【請求項7】
前記防振パーツ篏合部の周壁部には、長さ方向へ延びるスリットが形成される、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のウォーキングポール用消音具。
【請求項8】
中空の上側ポールと、
前記上側ポールの内側に下方から挿し込まれる中空の下側ポールと、
前記上側ポールと前記下側ポールとを連結する連結部と、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のウォーキングポール用消音具とを備える、消音具付きウォーキングポール。
【請求項9】
前記下側ポールは、前記上側ポールに対して長さ方向へ移動可能に構成され、
前記連結部は、前記上側ポールと前記下側ポールとを互いに固定する固定状態と、前記固定状態を解除する固定解除状態とを切り替え可能に構成される、請求項8に記載の消音具付きウォーキングポール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上側ポールと下側ポールとを連結することによって構成されたウォーキングポールに組み込まれるウォーキングポール用消音具および当該消音具を備える消音具付きウォーキングポールに関する。
【背景技術】
【0002】
ウォーキングポールを用いるウォーキング(ノルディックウォーキング)は、身体に負担をかけることなく、高い運動効果が得られることから、一般の大人の健常者に限らず、子供、老人、身障者などの間でも幅広く受け入れられている。ウォーキングポールの適切な長さは、使用者の身長や好みなどによって変わるため、連続する1本の棒材でウォーキングポールを構成する場合には、長さが異なる多くのウォーキングポールが必要になる。
【0003】
このような事情から、今日では、長さ調整可能に構成されたウォーキングポールが広く普及しており、その一例が下記特許文献1に開示されている。特許文献1のウォーキングポールは、上ポール材と、下ポール材と、伸縮ロック部とを備えている。下ポール材は、上ポール材に対して下方から挿し込まれており、上ポール材と下ポール材とは、上ポール材の下端部に設けられた伸縮ロック部で連結されている。
【0004】
特許文献1のウォーキングポールにおいて、伸縮ロック部のロックが解除されると、使用者は、上ポール材に対する下ポール材の挿し込み長さを変えることによって、ウォーキングポールの長さを調整できる。一方、伸縮ロック部がロックされると、上ポール材と下ポール材とが互いに固定され、ウォーキングポールの全体長さが保持されるので、使用者は、調整された適切な長さでウォーキングポールを使用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-081691号公報
【0006】
しかしながら、特許文献1のウォーキングポールでは、使用時に下ポール材の上端部が自由端となるため、地表面等から下ポール材に作用する外力によって、下ポール材の上端部が上ポール材の内面に接触または衝突され、異音やビビリ(不快な振動)が発生するおそれがあった。つまり、特許文献1に記載されたウォーキングポールでは、使用時に異音やビビリが発生し易く、使用感がよくないという問題があった。
【発明の概要】
【0007】
本発明は上記問題に対処するためになされたものであり、その目的は、異音やビビリの発生を抑制して使用感をよくすることができる、ウォーキングポール用消音具および消音具付きウォーキングポールを提供することにある。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係るウォーキングポール用消音具の特徴は、中空の上側ポールと、前記上側ポールの内側に下方から挿し込まれる中空の下側ポールと、前記上側ポールと前記下側ポールとを連結する連結部とを有するウォーキングポールに組み込まれる、ウォーキングポール用消音具であって、前記下側ポールの上端部の内側に嵌め合わされて取り付けられる取付部と前記上側ポールの内面に接触可能なように前記取付部と一体に形成された筒状の防振パーツ篏合部とを有する本体部と、振動を減衰させる機能を有する弾性体で構成され、前記防振パーツ篏合部の内側に嵌め合わされる防振パーツとを備えることにある。
【0009】
この構成では、本体部の取付部が下側ポールに取り付けられた状態において、本体部の防振パーツ篏合部は、下側ポールの上端部から上方へ突出される。ウォーキングポールの使用時には、地表面等から下側ポールに作用する外力によって、防振パーツ篏合部が上側ポールの内面に接触または衝突され、防振パーツ篏合部が振動する。しかし、この振動は、防振パーツ篏合部の内側に嵌め合わされた防振パーツによって直ちに減衰されるので、異音やビビリは生じ難く、消音具付きウォーキングポールの使用者は、快適な使用感を得ることができる。
【0010】
本発明に係るウォーキングポール用消音具の他の特徴は、前記防振パーツは、前記本体部に対して固定されることにある。
【0011】
この構成では、本体部に対する防振パーツの位置が変わることを防止できるので、防振パーツの振動を減衰させる効果を安定させることができる。
【0012】
本発明に係るウォーキングポール用消音具の他の特徴は、前記取付部は、円筒状に形成され、前記防振パーツは、前記取付部の内側に嵌め合わされて固定手段で固定される固定部を有することにある。
【0013】
この構成では、防振パーツの固定部が取付部に嵌め合わされて固定手段で固定されるので、防振パーツ篏合部の内側に嵌め合わされる部分(防振パーツ本体)に固定手段を設ける必要がなく、防振パーツの振動を減衰させる効果が固定手段で損なわれることを防止できる。
【0014】
本発明に係るウォーキングポール用消音具の他の特徴は、前記上側ポールは、円筒状に形成され、前記防振パーツ篏合部の外面は、前記上側ポールの内面に接触可能な円筒面に形成されることにある。
【0015】
この構成では、防振パーツ篏合部の円筒面を上側ポールの内面に接触させることができるので、接触面積を広く確保でき、振動を減衰させる効果を高めることができる。
【0016】
本発明に係るウォーキングポール用消音具の他の特徴は、前記防振パーツ篏合部の周壁部は、径方向へ変形可能に構成され、前記防振パーツ篏合部の内側に前記防振パーツが嵌め込まれた状態において、前記周壁部が前記防振パーツに押されて径方向の外側へ膨らむことにある。
【0017】
この構成では、防振パーツ篏合部の周壁部が防振パーツに押されて径方向の外側へ膨らむので、上側ポールの内面に防振パーツ篏合部の外面を確実に接触させることが可能であり、異音やビビリを効果的に抑制できる。
【0018】
本発明に係るウォーキングポール用消音具の他の特徴は、前記防振パーツ篏合部および前記防振パーツは、前記防振パーツ篏合部に対する前記防振パーツの軸方向からの挿し込み量が大きくなるほど、前記周壁部の膨らみ量が大きくなるように構成されることにある。
【0019】
この構成では、防振パーツ篏合部に対する防振パーツの挿し込み量を変えることによって、周壁部の膨らみ量を調整でき、上側ポールの内面に対する防振パーツ篏合部の外面の接触圧力を調整できる。これにより、振動を減衰させる効果を調整できる。
【0020】
本発明に係るウォーキングポール用消音具の他の特徴は、前記防振パーツ篏合部の周壁部には、長さ方向へ延びるスリットが形成されることにある。
【0021】
この構成では、長さ方向へ延びるスリットによって周壁部が径方向の外側へ膨らみ易いので、防振パーツを防振パーツ篏合部の内側に嵌め込み易い。また、上側ポールの内面に防振パーツ篏合部の外面を確実に接触させることが可能であり、異音やビビリの発生を効果的に抑制できる。
【0022】
上記目的を達成するため、本発明に係る消音具付きウォーキングポールの特徴は、中空の上側ポールと、前記上側ポールの内側に下方から挿し込まれる中空の下側ポールと、前記上側ポールと前記下側ポールとを連結する連結部と、上記ウォーキングポール用消音具とを備えることにある。
【0023】
この構成によれば、上記ウォーキングポール用消音具で得られる効果をそのまま得ることができる。
【0024】
本発明に係る消音具付きウォーキングポールの他の特徴は、前記下側ポールは、前記上側ポールに対して長さ方向へ移動可能に構成され、前記連結部は、前記上側ポールと前記下側ポールとを互いに固定する固定状態と、前記固定状態を解除する固定解除状態とを切り替え可能に構成されることにある。
【0025】
この構成では、下側ポールを上側ポールに対して長さ方向へ移動させることによって、ウォーキングポールの全体長さを調整できる。連結部は、固定状態と固定解除状態とを切り替え可能に構成されるが、消音具は、下側ポールの上端部に設けられるので、連結部の設計の妨げになり難い。したがって、連結部の設計の自由を確保でき、様々な種類の連結部を適宜選択して用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】第1実施形態に係る消音具付きウォーキングポールの構成を示す正面から見た立体図である。
図2】第1実施形態に係る消音具付きウォーキングポールの主要部の構成を示す部分断面図である。
図3】第1実施形態に係る消音具付きウォーキングポールの主要部の構成を示す分解図である。
図4】第1実施形態に係るウォーキングポール用消音具の構成を示す斜視図である。
図5】ウォーキングポール用消音具の本体部を示す図であり、(A)は平面図、(B)は縦断面図、(C)は底面図である。
図6】ウォーキングポール用消音具の防振パーツを示す図であり、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は底面図である。
図7】(A)は、第2実施形態に係るウォーキングポール用消音具の構成を示す分解図、(B)は、第3実施形態に係るウォーキングポール用消音具の構成を示す分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係るウォーキングポール用消音具および消音具付きウォーキングポールの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0028】
(第1実施形態の構成)
図1は、第1実施形態に係る消音具付きウォーキングポール10の構成を示す正面から見た立体図である。図2は、消音具付きウォーキングポール10の主要部の構成を示す部分断面図である。図3は、消音具付きウォーキングポール10の主要部の構成を示す分解図である。
【0029】
図1に示すように、消音具付きウォーキングポール10は、ウォーキングの際に使用者の一方の手(左手)で操作される第1ウォーキングポール12と、ウォーキングの際に使用者の他方の手(右手)で操作される第2ウォーキングポール14とを備えている。第1ウォーキングポール12と第2ウォーキングポール14とを左右方向に並べたとき、消音具付きウォーキングポール10の全体は、左右対象に構成されている。
【0030】
なお、消音具付きウォーキングポール10の使用態様は、ウォーキングの目的などに応じて多様であり、第1ウォーキングポール12および第2ウォーキングポール14の一方だけが使用されてもよい。つまり、消音具付きウォーキングポール10は、第1ウォーキングポール12および第2ウォーキングポール14の一方だけで構成されてもよい。
【0031】
以下では、第1ウォーキングポール12の構成について説明する。第2ウォーキングポール14の構成については、第1ウォーキングポール12の構成とほぼ同じであるため、第1ウォーキングポール12と同一の部分または対応する部分に同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0032】
図1に示すように、第1ウォーキングポール12は、中空の上側ポール16と、上側ポール16の内側に下方から挿し込まれる中空の下側ポール18と、上側ポール16と下側ポール18とを連結する連結部20と、上側ポール16の上端部に取り付けられたグリップ22と、下側ポール18の下端部に取り付けられたラバーチップ24とを備えている。また、図2に示すように、第1ウォーキングポール12は、下側ポール18の上端部18aに取り付けられたウォーキングポール用消音具26を備えている。
【0033】
図3に示す上側ポール16は、円筒状に形成されており、上側ポール16の内面16aは、横断面形状が円形となるように形成されている。上側ポール16の少なくとも下側ポール18が挿し込まれる領域Q1の内径D2は、長さ方向の全長にわたって一定に定められている。
【0034】
図3に示す下側ポール18は、円筒状に形成されており、下側ポール18の外面18bは、横断面形状が円形となるように形成されている。下側ポール18の少なくとも上側ポール16に挿し込まれる領域Q2の外径E1は、領域Q1の内径D2よりも小さいサイズで、長さ方向の全長にわたって一定に定められている。
【0035】
つまり、下側ポール18は、上側ポール16に対して一定の隙間幅を保持しながら、長さ方向へ移動可能に構成されている。したがって、上側ポール16の内側に挿し込まれた下側ポール18を上側ポール16に対して長さ方向へ移動させることによって、消音具付きウォーキングポール10の全体長さを円滑に調整できる。
【0036】
上側ポール16の外径D1および内径D2は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、外径D1が16mmに定められており、内径D2が14.4mmに定められている。下側ポール18の外径E1および内径E2は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、外径E1が14mmに定められており、内径E2が12mmに定められている。
【0037】
図2に示す連結部20は、上側ポール16と下側ポール18とを互いに固定する「固定状態」と、「固定状態」を解除する「固定解除状態」とを切り替え可能に構成されている。本実施形態の連結部20は、上側ポール16の下端部16bに取り付けられた連結部本体20aと、連結部本体20aに設けられた締付け機構20bとを有している。使用者は、締付け機構20bを手で操作することによって、「固定状態」と「固定解除状態」とを切り替えることができる。
【0038】
なお、連結部20の構成は、本実施形態に限定されるものではなく、既に存在する様々な種類の連結部から任意に選択して用いられてもよい。例えば、上側ポール16の下端部16bから離れた部分に設けられる連結部(図示省略)が用いられてもよいし、長さ調整機能を有しない連結部(図示省略)が用いられてもよい。
【0039】
図4は、第1実施形態に係るウォーキングポール用消音具26の構成を示す斜視図である。図5は、ウォーキングポール用消音具26の本体部28を示す図であり、(A)は平面図、(B)は縦断面図、(C)は底面図である。図6は、ウォーキングポール用消音具26の防振パーツ30を示す図であり、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は底面図である。
【0040】
図4に示すように、ウォーキングポール用消音具26は、本体部28と、防振パーツ30とを備えている。本体部28は、硬くて耐摩耗性に優れたPP(ポリプロピレン)で一体的に構成されている。防振パーツ30は、振動を減衰させる機能を有する弾性体であるTPR(熱可塑性エラストマー)で一体的に構成されている。なお、本体部28および防振パーツ30の材料は、本実施形態に限定されるものではなく、上記の性質を有する他の材料が用いられてもよい。
【0041】
図4に示すように、本体部28は、下側ポール18の上端部18a(図2)の内側に嵌め合わされて取り付けられる取付部32と、上側ポール16の内面16a(図2)に接触可能なように取付部32と一体に形成された筒状の防振パーツ篏合部34とを有している。
【0042】
図5(B),(C)に示すように、取付部32は、下側ポール18の上端部18a(図2)の内側に嵌め合わされる円筒状に形成されている。取付部32の外径G1および内径G2は、取付部32の上端部を除いて一定に定められており、取付部32の内径G2は、取付部32の上端部において拡径されている。これによって、取付部32の上端部の内側には、防振パーツ30(図2)を受けるための受け面36が構成されている。
【0043】
取付部32の外径G1、内径G2および長さは、特に限定されるものではないが、本実施形態では、外径G1が11.8mmに定められており、内径G2が5.2mmに定められており、取付部32の長さが16mmに定められている。
【0044】
図5(A),(B)に示すように、防振パーツ篏合部34は、上側ポール16(図2)の内側に収容可能な円筒状に形成されている。防振パーツ篏合部34の周壁部38には、長さ方向へ延びる複数(本実施形態では4本)のスリット40が、周方向に一定の角度間隔(本実施形態では90度)を隔てて形成されている。つまり、周壁部38は、複数のスリット40で周方向に分割されている。したがって、周壁部38は、径方向へ変形され易い。
【0045】
図4に示すように、防振パーツ篏合部34の外面34aは、上側ポール16の内面16a(図2)に接触可能な円筒面に形成されている。防振パーツ篏合部34の内面34b(図5(B))は、取付部32の上端部の内面と段差なく繋げられている。防振パーツ篏合部34の上端部の内周縁には、テーパ面34cが形成されている。
【0046】
防振パーツ篏合部34の外径F1、内径F2および長さは、特に限定されるものではないが、本実施形態では、外径F1が14.1mmに定められており、内径F2が8.4mmに定められており、防振パーツ篏合部34の長さが15mmに定められている。また、スリット40の長さおよび幅は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、スリット40の長さが13mmに定められており、スリット40の幅が1mmに定められている。
【0047】
図4に示すように、防振パーツ30は、振動を減衰させる機能を有する弾性体(TPR)で構成された防振パーツ本体42および固定部44を有している。図6(A),(B)に示すように、防振パーツ本体42は、防振パーツ篏合部34(図4)の内側に嵌め合わされる円柱状に形成されている。図6(B),(C)に示すように、固定部44は、取付部32(図4)の内側に嵌め合わされる円柱状に形成されている。
【0048】
図6(B)に示すように、防振パーツ本体42の外径H1は、固定部44の外径H2よりも大きく定められており、これによって、防振パーツ本体42と固定部44との間には、受け面36(図5(B))に押し当てられる当接面46が構成されている。
【0049】
本実施形態では、本体部28(図4)対する防振パーツ30の相対的な位置が変動しないように、防振パーツ30は、本体部28に対して「固定手段」で固定されている。つまり、防振パーツ30の固定部44は、本体部28の円筒状の取付部32に嵌め合わされるとともに、「固定手段」としての接着剤および加締め構造を用いて取付部32に固定されている。
【0050】
防振パーツ本体42の外径H1および固定部44の外径H2は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、外径H1が8.2mmに定められており、外径H2が5.2mmに定められている。また、防振パーツ本体42および固定部44の長さは、特に限定されるものではないが、本実施形態では、防振パーツ本体42の長さが17.4mmに定められており、固定部44の長さが8mmに定められている。
【0051】
図3に示すように、本実施形態では、防振パーツ篏合部34の外径F1(14.1mm)が、上側ポール16の内径D2(14.4mm)よりも小さく定められている。また、図6(B)に示す防振パーツ本体42の外径H1(8.2mm)が、図5(B)に示す防振パーツ篏合部34の内径F2(8.4mm)よりも小さく定められている。
【0052】
したがって、図4に示す防振パーツ篏合部34の外面34aが防振パーツ30で上側ポール16の内面16a(図2)に押し付けられることはないが、防振パーツ篏合部34の外面34aと上側ポール16の内面16aとの隙間幅が狭いため、消音具付きウォーキングポール10の使用時には、これらの面が互いに接触される。つまり、防振パーツ篏合部34は、上側ポール16の内面16aに接触可能なように構成されている。
【0053】
(実施形態に係る消音具付きウォーキングポールの作動)
図2に示すように、消音具付きウォーキングポール10にウォーキングポール用消音具26が組み込まれた状態において、本体部28の防振パーツ篏合部34は、下側ポール18の上端部18aから上方へ突出される。したがって、消音具付きウォーキングポール10の使用時には、地表面等から下側ポール18に作用する外力によって、防振パーツ篏合部34が上側ポール16の内面に接触または衝突される。このとき、防振パーツ篏合部34が振動するが、この振動は、防振パーツ篏合部34の内側に嵌め合わされた防振パーツ30によって直ちに減衰されるので、異音やビビリは生じ難く、使用者は、快適な使用感を得ることができる。
【0054】
(実施形態に係る消音具付きウォーキングポールの効果)
本実施形態によれば、上記構成により以下の各効果を奏することができる。すなわち、上記の通り、ウォーキングポール用消音具26によって異音やビビリの発生を抑制でき、消音具付きウォーキングポール10の使用者は、快適な使用感を得ることができる。
【0055】
図4に示す防振パーツ30は、本体部28に対して固定されるので、本体部28に対する防振パーツ30の位置が変わることを防止でき、防振パーツ30の振動を減衰させる効果を安定させることができる。
【0056】
図3に示すように、防振パーツ30の固定部44が取付部32に嵌め合わされて固定手段(接着剤および加締め構造)で固定されるので、防振パーツ篏合部34の内側に嵌め合わされる防振パーツ本体42に固定手段を設ける必要がない。したがって、防振パーツ30の振動を減衰させる効果が固定手段で損なわれることを防止できる。
【0057】
図4に示す防振パーツ篏合部34の外面(円筒面)34aを上側ポール16の内面16a(図2)に接触させることができるので、接触面積を広く確保でき、振動を減衰させる効果を高めることができる。
【0058】
図4に示す本体部28の周壁部38には、長さ方向へ延びるスリット40が形成されているので、周壁部38が径方向の外側へ膨らみ易く、ウォーキングポール用消音具26を組み立てる際には、防振パーツ30を防振パーツ篏合部34の内側に嵌め込み易い。
【0059】
図2に示す連結部20は、「固定状態」と「固定解除状態」とを切り替え可能に構成されるが、ウォーキングポール用消音具26は、下側ポール18の上端部18aに設けられるので、連結部20の設計の妨げになり難い。したがって、連結部20の設計の自由を確保でき、様々な種類の連結部を適宜選択して用いることができる。
【0060】
(変形例)
なお、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されず、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。すなわち、上記実施形態では、防振パーツ篏合部34の周壁部38に4本のスリット40が形成されているが、スリット40の数は、4本に限定されるものではなく、1~3本または5本以上が形成されてもよい。つまり、スリット40は、少なくとも1本が形成されていればよい。
【0061】
図4に示す本体部28の周壁部38を変形容易にするための構成としては、周壁部38にスリット40が形成された構成に代えて、周壁部38に複数の貫通孔(図示省略)が形成された構成や、周壁部38に薄肉部(図示省略)が形成された構成が用いられてもよい。
【0062】
上記実施形態では、図4に示すウォーキングポール用消音具26の防振パーツ30が、本体部28に対して接着剤および加締め構造で固定されているが、防振パーツ30を固定する固定手段は、これらに限定されるものではなく、防振パーツ30の移動を阻止できる他の構成に変更されてもよい。例えば、当該固定手段として、接着剤および加締め構造の一方だけが用いられてもよいし、ボルト・ナットや篏合構造が用いられてもよい。
【0063】
上記実施形態では、図4に示す防振パーツ30の固定部44が取付部32に嵌め合わされて固定手段(接着剤および加締め構造)で固定されているが、防振パーツ30の防振パーツ本体42が防振パーツ篏合部34に嵌め合わされて固定手段(接着剤および加締め構造)で固定されてもよい。この場合、防振パーツ30の固定部44は省略されてもよい。また、固定部44が省略される場合には、本体部28の取付部32は中実の円柱状に形成されてもよい。
【0064】
上記実施形態では、図4に示す防振パーツ篏合部34の外面34aが、上側ポール16の内面16a(図2)に接触可能な円筒面に形成されているが、防振パーツ篏合部34の外面34aの形状は、円筒面に限定されるものではなく、上側ポール16の内面16a(図2)に接触可能な他の形状に変更されてもよい。例えば、突起を有する形状が用いられてもよいし、穴や溝を有する形状が用いられてもよい。
【0065】
上記実施形態では、図6(B)に示す防振パーツ30の外径H1(8.2mm)が、図5(B)に示す防振パーツ篏合部34の内径F2(8.4mm)よりも小さく定められているが、外径H1は、内径F2よりも大きく定められてもよい。つまり、図4に示すウォーキングポール用消音具26は、防振パーツ篏合部34の内側に防振パーツ30が嵌め合わされた状態において、周壁部38が防振パーツ30に押されて径方向の外側へ膨らむように構成されてもよい。
【0066】
この構成では、防振パーツ篏合部34の内側に防振パーツ30が嵌め合わされた状態において、周壁部38が防振パーツ30に押されて径方向の外側へ膨らむが、組立時には、防振パーツ30を圧縮することによって、本体部28を上側ポール16の内側に挿し込むことができる。また、防振パーツ30の復元力によって、防振パーツ篏合部34の外面34aを上側ポール16の内面16aに確実に接触させることができる。なお、外径H1は、内径F2と同じ大きさで定められてもよい。
【0067】
上記実施形態では、図3に示す防振パーツ篏合部34の外径F1(14.1mm)が、図3に示す上側ポール16の内径D2(14.4mm)よりも小さく定められているが、外径F1は、内径D2よりも大きく定められてもよい。
【0068】
この構成では、組立時に、防振パーツ篏合部34の周壁部38を径方向の内側へ変形させることによって、本体部28を上側ポール16の内側に配置することができる。また、周壁部38の復元力によって、防振パーツ篏合部34の外面34aを上側ポール16の内面16aに確実に接触させることができる。なお、外径F1は、内径D2と同じ大きさで定められてもよい。
【0069】
図7(A)は、第2実施形態に係るウォーキングポール用消音具50の構成を示す分解図であり、図7(B)は、第3実施形態に係るウォーキングポール用消音具52の構成を示す分解図である。
【0070】
図7(A),(B)に示すように、防振パーツ篏合部34および防振パーツ30は、防振パーツ篏合部34に対する防振パーツ30の軸方向からの挿し込み量が大きくなるほど、周壁部38の膨らみ量が大きくなるように構成されてもよい。この構成では、防振パーツ篏合部34に対する防振パーツ30の挿し込み量を変えることによって、周壁部38の膨らみ量を調整でき、上側ポール16の内面16a(図2)に対する周壁部38の接触圧力を調整できる。これにより、振動を減衰させる効果を細かく調整できる。
【0071】
図7(A)に示す第2実施形態に係るウォーキングポール用消音具50では、防振パーツ篏合部34は、奥側へ向かうにつれて内径が徐々に小さくなるように構成されており、防振パーツ30は、挿し込み時に防振パーツ篏合部34の内面(円錐面)34bを径方向の外側へ押すように構成されている。
【0072】
図7(B)に示す第3実施形態に係るウォーキングポール用消音具52では、防振パーツ30は、先端に向かうにつれて外径が徐々に小さくなるように構成されており、防振パーツ篏合部34は、防振パーツ30の挿し込み時に防振パーツ30の外面(円錐面)42aで径方向の外側へ押されるように構成されている。
【符号の説明】
【0073】
10…消音具付きウォーキングポール、12…第1ウォーキングポール、14…第2ウォーキングポール、16…上側ポール、16a…内面、16b…下端部、18…下側ポール、18a…上端部、18b…外面、20…連結部、26,50,52…ウォーキングポール用消音具、28…本体部、30…防振パーツ、32…取付部、34…防振パーツ篏合部、34a…外面、34b…内面、34c…テーパ面、36…受け面、38…周壁部、40…スリット、42a…外面、42…パーツ本体、44…固定部、46…当接面。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7