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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077103
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】中和器
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/00 20220101AFI20240531BHJP
   F24H 9/16 20220101ALI20240531BHJP
【FI】
F24H9/00 B
F24H9/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188948
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000138521
【氏名又は名称】株式会社ユタカ技研
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(72)【発明者】
【氏名】野田 亮司
(72)【発明者】
【氏名】近藤 稔広
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 こずえ
【テーマコード(参考)】
3L036
【Fターム(参考)】
3L036AA14
(57)【要約】
【課題】ケースの内部に気体が流れ込むことを抑制できる中和器を提供すること。
【解決手段】中和器20は、ケース30の導入口22から排出口23へ向かう流路40に溜まった液体により、導入口22から導入された気体を遮ることが可能である。気体を遮断するための最低限の水位を下限水位Lとする。下限水位Lよりも下流側の下流側流路42,44には、気体の流れを遮るために流路40を塞いでいる閉塞部材50が設けられている。閉塞部材50は、液体に溶けることが可能な水溶性物質により構成されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を中和する中和剤を収納しているケースと、
前記液体を前記ケースの内部へ導入可能な導入口と、
中和された前記液体を前記ケースの外部へ排出可能な排出口と、を備え
前記導入口から前記排出口へ向かう流路に溜まった液体により、前記導入口から導入された気体を遮ることが可能な中和器において、
前記液体が前記気体を遮るための最低限の水位を下限水位とすると、
前記下限水位よりも下流側の下流側流路には、前記気体の流れを遮るために前記流路を塞いでいる閉塞部材が設けられており、
前記閉塞部材は、前記液体に溶けることが可能な水溶性物質により構成されている、中和器。
【請求項2】
前記排出口は、フィルム状の閉塞部材により、塞がれている、請求項1記載の中和器。
【請求項3】
前記排出口には、前記ケースの前記排出口から排出される前記液体が内部を通過する筒状部材が接続され、
前記筒状部材は、前記排出口と接続可能な接続側端部と、前記接続側端部と反対側の反対側端部と、を有し、
前記閉塞部材は、前記接続側端部、又は、前記反対側端部のいずれか一方に設けられている、請求項1に記載の中和器。
【請求項4】
前記排出口には、前記ケースの前記排出口から排出される前記液体が内部を通過する筒状部材が接続され、
前記閉塞部材は、前記排出口と前記筒状部材に挟まれて固定されている、請求項1に記載の中和器。
【請求項5】
前記排出口には、前記ケースの前記排出口から排出される前記液体が内部を通過する筒状部材が接続され、
前記筒状部材は、前記排出口に接続されている第1筒状部材と、前記第1筒状部材に接続されている第2筒状部材と、を備え、
前記閉塞部材は、前記第1筒状部材と前記第2筒状部材に挟まれて固定されている、請求項1に記載の中和器。
【請求項6】
前記閉塞部材は、前記ケースの前記排出口、又は、前記排出口に接続される筒状部材に対して嵌め込まれている、請求項1に記載の中和器。
【請求項7】
前記液体から異物を除去可能なフィルタを備え、
前記フィルタは、フィルム状の前記閉塞部材に包まれ、
前記閉塞部材に包まれた前記フィルタは、前記ケースの前記排出口、又は、前記排出口に接続される筒状部材に嵌め込まれている、請求項1に記載の中和器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体により気体の流れを遮ることが可能な中和器に関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼ガス(気体)と水との熱交換により温水を得る給湯器がある。給湯器に関する従来技術が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された給湯器は、熱交換の際に生成される凝縮水(液体)を中和可能な中和器を備えている。中和器は、凝縮水を中和可能な中和剤と、中和剤を収納しているケースと、を備えている。ケースは、凝縮水をケースの内部へ導入可能な導入口と、中和された液体をケースの外部へ排出可能な排出口と、を備えている。
【0004】
給湯器の使用が開始されると、給湯器の内部で燃焼ガス及び凝縮水が発生する。凝縮水は、ケースの導入口に流れ込む。ケースに流れ込んだ凝縮水は、ケースの底部に溜まる。
【0005】
燃焼ガスは、給湯器のガス排気口から排出される。ただし、一部の燃焼ガスは、ケースの導入口からケースの内部に流れ込む。ケースの底部に溜まった凝縮水がケース内の流路を塞いでいる場合、凝縮水は、燃焼ガスの流れを遮ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-130830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
凝縮水の水位が所定の水位に達せず、凝縮水が流路を塞いでいない場合、ケースの内部に流れ込んだ燃焼ガスは、ケース内部を通過し、排気口から外部へ排出されてしまう。中和器のケースは樹脂製のものも多く、高温の燃焼ガスがケースの内部に流れ込むことは好ましくない。例えば、ケースの内部に予め水を溜めておくことも考えられるが、製品の輸送時の水漏れが懸念される。
【0008】
本発明は、ケースの内部に気体が流れ込むことを抑制できる中和器の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1に、液体を中和する中和剤を収納しているケースと、
前記液体を前記ケースの内部へ導入可能な導入口と、
中和された前記液体を前記ケースの外部へ排出可能な排出口と、を備え
前記導入口から前記排出口へ向かう流路に溜まった液体により、前記導入口から導入された気体を遮ることが可能な中和器において、
前記液体が前記気体を遮るための最低限の水位を下限水位とすると、
前記下限水位よりも下流側の下流側流路には、前記気体の流れを遮るために前記流路を塞いでいる閉塞部材が設けられており、
前記閉塞部材は、前記液体に溶けることが可能な水溶性物質により構成されている、中和器が提供される。
【0010】
第2に、好ましくは、第1に記載の中和器であって、
前記排出口は、フィルム状の閉塞部材により、塞がれている。
【0011】
第3に、好ましくは、第1に記載の中和器であって、
前記排出口には、前記ケースの前記排出口から排出される前記液体が内部を通過する筒状部材が接続され、
前記筒状部材は、前記排出口と接続可能な接続側端部と、前記接続側端部と反対側の反対側端部と、を有し、
前記閉塞部材は、前記接続側端部、又は、前記反対側端部のいずれか一方に設けられている。
【0012】
第4に、好ましくは、第1に記載の中和器であって、
前記排出口には、前記ケースの前記排出口から排出される前記液体が内部を通過する筒状部材が接続され、
前記閉塞部材は、前記排出口と前記筒状部材に挟まれて固定されている。
【0013】
第5に、好ましくは、第1に記載の中和器であって、
前記排出口には、前記ケースの前記排出口から排出される前記液体が内部を通過する筒状部材が接続され、
前記筒状部材は、前記排出口に接続されている第1筒状部材と、前記第1筒状部材に接続されている第2筒状部材と、を備え、
前記閉塞部材は、前記第1筒状部材と前記第2筒状部材に挟まれて固定されている。
【0014】
第6に、好ましくは、第1に記載の中和器であって、
前記閉塞部材は、前記ケースの前記排出口、又は、前記排出口に接続される筒状部材に対して嵌め込まれている。
【0015】
第7に、好ましくは、第1に記載の中和器であって、
前記液体から異物を除去可能なフィルタを備え、
前記フィルタは、フィルム状の前記閉塞部材に包まれ、
前記閉塞部材に包まれた前記フィルタは、前記ケースの前記排出口、又は、前記排出口に接続される筒状部材に嵌め込まれている。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、ケースの内部に気体が流れ込むことを抑制できる中和器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施例1による中和器を備えた給湯器の模式図である。
図2図1に示された中和器の断面図である。
図3図1に示された中和器のケースの断面図である。
図4図4Aは、給湯器の使用開始前の中和器を説明する図である。図4Bは、液体の水位が下限水位に達する前の中和器を説明する図である。
図5図5Aは、液体の水位が下限水位を超えた後の中和器を説明する図である。図5Bは、液体が接続流路に流れ込み閉塞部材に付着した状態の中和器を説明する図である。図5Cは、液体が閉塞部材を貫通して外部に排出される状態の中和器を説明する図である。
図6図6Aは、実施例1の変形例1による中和器を説明する図である。図6Bは、実施例1の変形例2による中和器を説明する図である。図6Cは、実施例1の変形例3による中和器を説明する図である。
図7図7Aは、実施例2の中和器において、筒状部材に対して閉塞部材を配する状態を説明する図である。図7Bは、筒状部材を排出口に固定する状態を説明する図である。図7Cは、筒状部材が固定された排出口を説明する図である。
図8図8Aは、実施例3の中和器において、筒状部材に対して閉塞部材を配する状態を説明する図である。図8Bは、筒状部材を排出口に固定する状態を説明する図である。図8Cは、閉塞部材が排出口と筒状部材に固定された状態を説明する図である。
図9図9Aは、実施例4による中和器において、第2筒状部材に対して閉塞部材を配する状態を説明する図である。図9Bは、第2筒状部材を第1筒状部材に固定する状態を説明する図である。図9Cは、筒状部材を排出口に対して固定する状態を説明する図である。図9Dは、筒状部材が固定された排出口を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付図に基づいて実施例を説明する。なお、Leは左、Riは右、Upは上、Dnは下を示している。
【0019】
<実施例1>
図1には、燃焼ガスの熱により水を温めることが可能な給湯器10が示されている。給湯器10は、燃焼ガスを発生させるバーナ11と、バーナ11の直上に置かれ燃焼ガス(気体)と水との熱交換を行う熱交換器12を内部に有する本体部13と、を備えている。
【0020】
本体部13は、熱交換器12に水を導入可能な水導入部14と、温水を供給可能な給湯部15と、熱交換により燃焼ガスから生成された凝縮水(液体)が排出される凝縮水排出部16と、燃焼ガスを本体部13から排出するガス排気部17と、を有している。凝縮水排出部16には、凝縮水を中和可能な中和器20が接続されている。
【0021】
[中和器20]
図2を参照する。中和器20は、凝縮水を中和する中和剤21を収納している樹脂製のケース30を備えている。中和剤21は、例えば、多数の粒状の固形物21aからなる炭酸カルシウムである。
【0022】
ケース30には、鉛直上方を向いており凝縮水をケース30の内部へ導入可能な導入口22と、鉛直下方を向いており中和された液体をケース30の外部へ排出可能な排出口23と、が一体に形成されている。
【0023】
[流路]
図3を参照する。ケース30の内部には、導入口22から排出口23へ流体が流れることが可能な流路40が設けられている。流路40は、導入口22と連通していると共に流れ方向が鉛直下方(斜め下方でもよい)である下降流路41と、下降流路41の隣に位置し流れ方向が鉛直上方(斜め上方でもよい)である上昇流路42と、下降流路41の下流端41aと上昇流路42の上流端42aとを接続している折り返し流路43と、上昇流路42の下流端42bと排出口23とを接続する接続流路44と、を有している。
【0024】
[ケース30]
ケース30は、ケース30の外形を構成する外壁部31と、外壁部31の内部を仕切っている板状の第1仕切り部38及び第2仕切り部39と、を有している。
【0025】
[外壁部31]
外壁部31は、導入口22が形成された天板部32と、天板部32の鉛直下方に位置する底部33と、底部33の左端部と天板部32の左端部とを接続する第1側壁部34と、底部33の右端部から略鉛直上方へ延びている第2側壁部35と、第2側壁部35の上端部から右側へ延びて排出口23が形成された下壁部36と、下壁部36の右端部と天板部32の右端部とを接続している第3側壁部37と、を有している。
【0026】
[第1仕切り部38]
第1仕切り部38は、天板部32から鉛直下方へ延びて下降流路41と上昇流路42を仕切っている。第1仕切り部38の下端部38aは、底部33と離れている。
【0027】
[第2仕切り部39]
第2仕切り部39は、天板部32から鉛直下方へ延びて第2側壁部35の上端部と接続している。第2仕切り部39は、上昇流路42と接続流路44とを仕切っている。第2仕切り部39は、固形物21a(図2参照)よりも小さい複数の孔39aを有している。
【0028】
中和器20は、流路40に溜まった凝縮水により、導入口22から導入された燃焼ガス(気体)の流れを遮ることが可能である。凝縮水の水位が第1仕切り部38の下端部38aに達すると、折り返し流路43が凝縮水により満たされる。凝縮水は、下降流路41と上昇流路42とを連通不能とする。
【0029】
凝縮水の水位が第1仕切り部38の下端部38aに達することにより、凝縮水が燃焼ガスを遮るための最低限の水位を下限水位Lとする。下限水位Lは、下降流路41と折り返し流路43との境界であり、かつ、折り返し流路43と上昇流路42との境界でもある。なお、凝縮水により燃焼ガスを遮るための構造は、実施例1に示したものに限られず、周知の構造を採用できる。
【0030】
[閉塞部材50]
図2を参照する。排出口23は、閉塞部材50により塞がれている。閉塞部材50は、凝縮水に溶けることが可能な水溶性物質により構成されている。水溶性物質とは、例えば、デンプン、大豆タンパク質、グルコマンナン、コラーゲン、ゼラチン、キトサン、キチン、カゼイン、プルラン、カードラン、カラギナーン、キタンサンガム、アルギン酸、ポリフィラン、セルロース、グリセリン、ポリビニルアルコール及び、これらの混合した物質である。
【0031】
[閉塞部材50の形状と固定方法]
閉塞部材50は、厚みが非常に薄いフィルム状である。閉塞部材50の形状は、全体としてカップ状である。閉塞部材50は、排出口23の開口全体を塞いでいる薄い円板状の基部51と、基部51の周縁に設けられ排出口23の外周面に接触している筒状の筒部52と、が一体化されて構成されている。筒部52の外周面には、ゴム製の環状部材25が取り付けられている。閉塞部材50の筒部52は、環状部材25と共に、固定部材26(例えば、ホースバンド)により排出口23に対して固定されている。
【0032】
[実施例1の効果]
図4Aには、給湯器10の使用開始前の中和器20が示されている。中和器20のケース30の排出口23は、閉塞部材50により塞がれている。説明の便宜上、中和剤21は省略している。
【0033】
図4Bには、給湯器10(図1参照)の使用開始後の中和器20が示されている。給湯器10の使用が開始されると、本体部13の内部で燃焼ガス及び凝縮水が発生する。凝縮水は、凝縮水排出部16を介して、ケース30の導入口22に流れ込む。ケース30に流れ込んだ凝縮水は、下降流路41を通過してケース30の底部33に溜まる。
【0034】
凝縮水の水位が下限水位Lに達する前は、矢印が示すように、燃焼ガスは、下降流路41、折り返し流路43、上昇流路42、接続流路44は、互いに連通している。
【0035】
ただし、実施例1では、中和器20のケース30の排出口23は、閉塞部材50により塞がれている。ケース30の内部は空気で満たされているため、凝縮水排出部16からケース30へ燃焼ガスが流れ込むことを抑制できる。
【0036】
図5Aには、凝縮水の水位が下限水位Lを超えた状態の中和器20が示されている。仮に、燃焼ガスがケース30の内部へ流れ込んでも、凝縮水により遮られる。
【0037】
図5Bには、凝縮水の水位が第2仕切り部39の最も下側の孔39aに達したときの中和器20が示されている。上昇流路42の凝縮水は、第2仕切り部39の孔39aを介して、接続流路44に流れ込む。接続流路44に流れ込んだ凝縮水は、排出口23を塞いでいる閉塞部材50に付着する。
【0038】
図5Cを参照する。閉塞部材50は、水溶性物質により構成されている。凝縮水は、閉塞部材50の基部51を溶かし、排出口23からケース30の外部へ排出される。以上の構成により、閉塞部材50が凝縮水による燃焼ガスの遮断を補うことにより、給湯器10の使用時期にかかわらず、燃焼ガスのケース30の内部への流れ込みを抑制できる。
【0039】
[閉塞部材50の形状]
図2を参照する。閉塞部材50はフィルム状であり、厚みが非常に薄い。凝縮水が閉塞部材50の基部51に接触して基部51を貫通するまでの時間が短くなり、閉塞部材50は凝縮水の排出の妨げとならない。
【0040】
[閉塞部材50の排出口23への固定方法]
閉塞部材50の形状と、排出口23に対する閉塞部材50の固定方法とは上記の構成に限らず、以下に説明する変形例1~変形例3でもよい。
【0041】
[変形例1]
図6Aを参照する。実施例1の変形例1による中和器20Aは、粉状の水溶性物質を固めたタブレット状(所定の厚みを持った板状のもの)である閉塞部材50Aを備えている。閉塞部材50Aは、排出口23の内周面23aに対して嵌め込まれている。即ち、排出口23に固定される前の閉塞部材50Aの径は、排出口23の内径よりもわずかに大きく、排出口23に対して圧入されているともいえる。
【0042】
[変形例2]
図6Bを参照する。実施例1の変形例2による中和器20Bは、フィルム状の水溶性物質が丸められた状態の閉塞部材50Bを備えている。閉塞部材50Bは、丸められた状態で排出口23の内周面23aに嵌め込まれている。
【0043】
[変形例3]
図6Cを参照する。実施例1の変形例3による中和器20Cは、凝縮水から異物を除去可能なフィルタ53を備えている。フィルタ53は、排出口23の内径よりもわずかに大きく形成されており、排出口23に対して嵌め込み可能である。フィルタ53は、フィルム状の閉塞部材50Cにより包まれている。閉塞部材50Cに包まれたフィルタ53は、排出口23の内周面23aに対して嵌め込まれている。
【0044】
フィルタ53は、所定の復元力を持つことにより排気口に嵌め込み可能であり、その粗さが凝縮水の排出の妨げとならない周知のものを採用できる。閉塞部材50Cは、フィルタ53全体を包む必要はなく、少なくとも排出口23の流路断面を塞いでいれば良い。
【0045】
[閉塞部材50の固定位置]
実施例1の変形例1~3では、閉塞部材50は、ケース30排気口23に嵌め込まれており、固定が容易である。さらに、排気口23は鉛直下方を向いており、溶けた閉塞部材50はケース30の外部に排出されやすい。
【0046】
[下流側流路42,44]
図3を参照する。閉塞部材50は、流路40のなかの下限水位Lよりも下流側の下流側流路(上昇流路42、接続流路44)に設けても良い。さらに、下流側流路とは、以下に説明する排出管70,80,90も含まれる。
【0047】
<実施例2>
図7Cを参照する。実施例2による中和器20Dは、排出口23に接続され排出口23から排出される凝縮水が内部を通過する排出管70(筒状部材)と、排出管70の内部に設けられた閉塞部材50Aと、を備えている。以下、排出管70を利用した閉塞部材50Aの固定方法について説明する。
【0048】
図7Aを参照する。排出管70は、排出口23と接続可能な接続側端部71と、接続側端部71と反対側の反対側端部73と、を有している。最初に、接続側端部71の内周面72に対して閉塞部材50Aを嵌め込む。図7Bに示される閉塞部材付き排出管70Aを得られる。
【0049】
次に、接続側端部71の内周面72が排出口23の外周面23bに接触するように、閉塞部材付き排出管70Aを排出口23に差し込む。その後、固定部材26を用いて接続側端部71を排出口23に固定する。図7Cに示す中和器20Dを得られる。
【0050】
図7Bに示す通り、閉塞部材50Aは排出管70の内部に予め設けられている。中和器20のケース30の内部や排出口23に閉塞部材50Aを設ける必要はなく、中和器20Dの構成は従来と同一であり、メンテナンス性も高い。なお、閉塞部材50Aは、反対側端部73の内周面74に嵌め込んでもよい。さらに、閉塞部材50Aに代えて、閉塞部材50B(図6B参照)又は閉塞部材50C(図6C参照)を採用しても良い。
【0051】
<実施例3>
図8Cを参照する。実施例3による中和器20Eは、排出口28に接続され排出口28から排出される凝縮水が内部を通過する排出管80(筒状部材)と、排出管80の内部に設けられた閉塞部材50Aと、を備えている。以下、排出管80を利用した閉塞部材50Aの固定方法について説明する。
【0052】
図8Aを参照する。排出管80の内周面81は、雌ねじが形成されている雌ねじ82と、雌ねじ82の隣に位置し雌ねじが形成されていない一般部83と、を有している。一般部83は、互いに内径が異なる小径部85及び大径部84と、を有している。大径部84の内径は、小径部85よりも大きい。小径部85と大径部84との間には、環状の段差面86が設けられている。段差面86は、排出口28側を向いている。
【0053】
最初に、閉塞部材50Aを排出管80の段差面86に載せる(閉塞部材50Aが段差面86に支持されれば圧入でなくてもよい、以下同じ)。排出管80の軸方向を基準として、閉塞部材50Aの寸法と大径部84の寸法は略等しい。図8Bに示される閉塞部材付き排出管80Aを得られる。
【0054】
排出口28の外周面には、雌ねじ82と締結可能な雄ねじ28aが形成されている。次に、排出口28の雄ねじ28aと、排出管80の雌ねじ82とを締結する。図8Cに示されるように、排出管80は排出口28に対して接続する。閉塞部材50Aは、排出口28の環状の端面28bと、排出管80の段差面86とに挟まれて固定されている。
【0055】
図8Bに示す通り、閉塞部材50Aは排出管80の内部に予め設けられている。中和器20Eのケース30の内部や排出口28に閉塞部材50Aを設ける必要はない。中和器20Eの構成は従来と同一であり、メンテナンス性も高い。
【0056】
<実施例4>
図9Dを参照する。実施例4による中和器20Fは、排出口28に接続されており排出口28から排出される凝縮水が内部を通過する排出管90(筒状部材)と、排出管90の内部に設けられた閉塞部材50Aと、を備えている。以下、排出管90を利用した閉塞部材50Aの固定方法について説明する。
【0057】
図9Aを参照する。排出管90は、排出口28に接続可能な第1排出管91と、第1排出管91に対して接続可能な第2排出管94と、を備えている。第1排出管91は、第2排出管94よりも短い。第1排出管91は、第2排出管94と排出口28とのアダプタとも言える。
【0058】
[第1排出管91]
第1排出管91の排出口28側の端部92の内周面には、第1雌ねじ92aが形成されている。第1排出管91の反対側の端部93の外周面には、第1雄ねじ93aが形成されている。
【0059】
[第2排出管94]
第2排出管94の内周面95は、第1雄ねじ93aと締結可能な第2雌ねじ96と、第2雌ねじ96の隣に位置し雌ねじが形成されていない一般部97と、を有している。一般部97は、互いに内径が異なる小径部99及び大径部98と、を有している。大径部98の内径は、小径部99よりも大きい。小径部99と大径部98との間には、環状の段差面95aが設けられている。段差面95aは、第1排出管91側を向いている。
【0060】
最初に、閉塞部材50Aを排出管90の段差面95aに載せる。第2排出管94の長さ方向を基準として、閉塞部材50Aの寸法と大径部98の寸法は略等しい。図9Bに示される閉塞部材付き第2排出管94Aを得られる。
【0061】
次に、第1排出管91の第1雄ねじ93aと、第2排出管94の第2雌ねじ96とを締結する。図9Cに示される、閉塞部材付き排出管90Aを得られる。閉塞部材50Aは、第1排出管91の端面93bと、第2排出管90の段差面95aとに挟まれて固定されている。次に、排出口28の雄ねじ28aと、第1排出管91の第1雌ねじ92aとを締結する。図9Dに示されるように、排出管90は排出口28に対して接続する。
【0062】
上記の通り、閉塞部材50Aは排出管90の内部に予め設けられている。中和器20Fのケース30の内部や排出口28に閉塞部材50Aを設ける必要はない。中和器20Fの構成は従来と同一であり、メンテナンス性も高い。
【0063】
さらに、閉塞部材50Aは、第1排出管91と第2排出管94とに挟まれて固定されている。実施例3と異なり、排出口28に排出管90を接続する前に、閉塞部材50Aは、排出管90の内部で固定されている。排出管90を排出口28に接続する作業が容易となる。
【0064】
なお、実施例2~実施例4において、排出口28と排出管90との接続、第1排出管91と第2排出管94との接続は、ねじ込みに限らず、周知技術(例えばフランジによる接続)を採用できる。さらに、排出管70,80,90自体の構成(形状・素材)は周知の技術を適宜採用できる。
【0065】
なお、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例及びその変形例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0066】
20…中和器
21…中和剤
22…導入口
23…排出口
30…ケース
40…流路
42…上昇流路(下流側流路)
44…接続流路(下流側流路)
50…閉塞部材
53…フィルタ
70…排出管(筒状部材)
71…接続側端部
73…反対側端部
80…排出管(筒状部材)
90…排出管(筒状部材)
91…第1排出管(第1筒状部材)
94…第2排出管(第2筒状部材)
L…下限水位
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9