(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077108
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】液体噴射装置
(51)【国際特許分類】
B05B 1/12 20060101AFI20240531BHJP
【FI】
B05B1/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188953
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 毅
(72)【発明者】
【氏名】勝田 治
(72)【発明者】
【氏名】長谷 要
【テーマコード(参考)】
4F033
【Fターム(参考)】
4F033AA04
4F033BA03
4F033CA12
4F033CA14
4F033DA01
4F033EA01
4F033EA02
4F033NA01
(57)【要約】
【課題】液体を連続流で噴射するとともに該連続流を液滴化させて液滴状で対象物に衝突させることが可能な液体噴射装置において簡単な構造で噴射特性を切り替える。
【解決手段】ノズル26から液体3を連続流3aとして噴射し、連続流3aから形成された液滴3bを対象物に衝突させる液体噴射装置1であって、内部に液体3が流通する流路23が形成された把持部21と、ノズル26を有し、把持部21に設けられる噴射部25と、を備え、ノズル26または流路23の少なくとも一方が複数形成され、噴射部25は、把持部21に対し回動可能であり、ノズル26は、噴射部25の回動軸Aからずれた位置に形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルから液体を連続流として噴射し、前記連続流から形成された液滴を対象物に衝突させる液体噴射装置であって、
内部に前記液体が流通する流路が形成された把持部と、
前記ノズルを有し、前記把持部に設けられる噴射部と、
を備え、
前記ノズルまたは前記流路の少なくとも一方が複数形成され、
前記噴射部は、前記把持部に対し回動可能であり、
前記ノズルは、前記噴射部の回動軸からずれた位置に形成されていることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体噴射装置において、
前記噴射部を前記把持部に押圧する押圧部を備えることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液体噴射装置において、
前記押圧部は、前記回動軸の延長線上に設けられることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の液体噴射装置において、
前記噴射部の回動を規制する回動規制部を備えることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項5】
請求項4に記載の液体噴射装置において、
前記流路を複数備え、
前記回動規制部は、前記ノズルと嵌合していない流路の端部と係合することで、前記噴射部の回動を規制することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項6】
請求項4に記載の液体噴射装置において、
前記流路を複数備え、
前記ノズルと嵌合している流路を判定する流路判定部を備えることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか1項に記載の液体噴射装置において、
前記ノズルを複数備え、
複数の前記ノズルは、各々の内径が異なることを特徴とする液体噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、対象物に対して液体を噴射させる様々な液体噴射装置が使用されている。このような液体噴射装置のうち、連続状態で噴射された液体が液滴となる液滴化された状態で該液滴を対象物に衝突させる液体噴射装置がある。液体を連続流でなく、液滴化した状態で対象に衝突させることにより、衝撃圧が作用するため、同一流量であっても連続流より極めて大きな洗浄、剥離、破砕効果を発生することができる。液体をノズルから空中に噴射した場合、ノズルからは連続流が噴射されるが、やがて、表面張力により液滴に分裂する。このときの液滴径、液滴速度および単位時間当たりに生成される液滴周波数は、ノズルと流量で一意に決まる。この、液滴径、液滴速度、液滴周波数は洗浄、剥離、破砕特性に大きな影響を与える。従って対象物の種類や作業内容などによってノズルを変更して液滴の特性を変えることが求められる。例えば、特許文献1には、高圧に加圧した液体に気体を混入させてノズルから該液体を噴射することで、液滴化された状態で該液滴を対象物に衝突させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-257997号公報
【特許文献2】特開2016-168531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、連続状態で噴射された液体が液滴となる液滴化された状態で該液滴を対象物に衝突させる液体噴射装置は様々な用途で使用される。このため、用途によって噴射特性を切り替えることが望まれている。しかしながら、特許文献1に記載されるような、連続状態で噴射された液体が液滴となる液滴化された状態で該液滴を対象物に衝突させる従来の液体噴射装置においては、噴射特性を切り替えることが困難であった。一方、特許文献2には、噴射される液体の噴射状態を噴流状態とスプレー状態とで切り替え可能な液体噴射装置が開示されているが、構造が複雑であり、簡単な構造で噴射特性を切り替える構成とはなっていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の液体噴射装置は、ノズルから液体を連続流として噴射し、前記連続流から形成された液滴を対象物に衝突させる液体噴射装置であって、内部に前記液体が流通する流路が形成された把持部と、前記ノズルを有し、前記把持部に設けられる噴射部と、を備え、前記ノズルまたは前記流路の少なくとも一方が複数形成され、前記噴射部は、前記把持部に対し回動可能であり、前記ノズルは、前記噴射部の回動軸からずれた位置に形成されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】実施例1の液体噴射装置の噴射部周辺を表す断面図であって、第1ノズルと流路とを接続した状態を表す図。
【
図3】実施例1の液体噴射装置の噴射部を表す平面図であって、第1ノズルと流路とを接続した状態を表す図。
【
図4】実施例1の液体噴射装置の噴射部を表す平面図であって、第2ノズルと流路とを接続した状態を表す図。
【
図6】実施例2の液体噴射装置の噴射部周辺を表す断面図であって、第1ノズルと流路とを接続した状態を表す図。
【
図7】実施例2の液体噴射装置の噴射部を表す平面図であって、第1ノズルと流路とを接続した状態を表す図。
【
図8】実施例2の液体噴射装置の噴射部を表す平面図であって、第2ノズルと流路とを接続した状態を表す図。
【
図9】実施例3の液体噴射装置の噴射部周辺を表す断面図であって、第1ノズルと第1流路とを接続した状態を表す図。
【
図10】実施例3の液体噴射装置の噴射部を表す平面図であって、第1ノズルと第1流路とを接続した状態を表す図。
【
図11】実施例3の液体噴射装置の噴射部を表す平面図であって、第1ノズルと第2流路とを接続した状態を表す図。
【
図12】実施例3の液体噴射装置の噴射部を表す平面図であって、第2ノズルと第1流路とを接続した状態を表す図。
【
図13】実施例3の液体噴射装置の噴射部を表す平面図であって、第2ノズルと第2流路とを接続した状態を表す図。
【
図14】実施例5の液体噴射装置の噴射部周辺を表す断面図であって、ノズルと第1流路とを接続した状態を表す図。
【
図15】実施例6の液体噴射装置の噴射部周辺を表す断面図であって、ノズルと第1流路とを接続した状態を表す図。
【
図16】実施例7の液体噴射装置の噴射部周辺を表す断面図であって、ノズルと第1流路とを接続した状態を表す図。
【
図17】実施例7の液体噴射装置の噴射部周辺を表す平面図であって、ノズルと第1流路とを接続した状態を表す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
最初に、本発明について概略的に説明する。
上記課題を解決するための本発明の第1の態様の液体噴射装置は、ノズルから液体を連続流として噴射し、前記連続流から形成された液滴を対象物に衝突させる液体噴射装置であって、内部に前記液体が流通する流路が形成された把持部と、前記ノズルを有し、前記把持部に設けられる噴射部と、を備え、前記ノズルまたは前記流路の少なくとも一方が複数形成され、前記噴射部は、前記把持部に対し回動可能であり、前記ノズルは、前記噴射部の回動軸からずれた位置に形成されていることを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、噴射部は把持部に対し回動可能であり、ノズルは噴射部の回動軸からずれた位置に形成されている。このような構成とすることで、ノズルと流路との接続を簡単に切り替えることができる。したがって、液体を連続流で噴射するとともに該連続流を液滴化させて液滴状で対象物に衝突させることが可能な液体噴射装置において簡単な構造で噴射特性を切り替えることができる。
【0009】
本発明の第2の態様の液体噴射装置は、前記第1の態様において、前記噴射部を前記把持部に押圧する押圧部を備えることを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、噴射部を把持部に押圧する押圧部を備える。このため、流路の密閉性が向上して噴射部と把持部との間から液漏れすることなどを抑制することができる。
【0011】
本発明の第3の態様の液体噴射装置は、前記第2の態様において、前記押圧部は、前記回動軸の延長線上に設けられることを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、押圧部は回動軸の延長線上に設けられる。このような構成とすることで、押圧部を簡単な構成とすることができる。
【0013】
本発明の第4の態様の液体噴射装置は、前記第1から第3のいずれか1つの態様において、前記噴射部の回動を規制する回動規制部を備えることを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、噴射部の回動を規制する回動規制部を備える。このため、噴射部が把持部に対して所望の位置からずれてしまうことなどを抑制することができるとともに、噴射部を把持部に対して所望の位置に正確に位置決めすることができる。
【0015】
本発明の第5の態様の液体噴射装置は、前記第4の態様において、前記流路を複数備え、前記回動規制部は、前記ノズルと嵌合していない流路の端部と係合することで、前記噴射部の回動を規制することを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、回動規制部は、ノズルと嵌合していない流路の端部と係合することで、噴射部の回動を規制する。このため、複雑な機構を設けることなく、噴射部を把持部に対して所望の位置に正確に位置決めすることができる。
【0017】
本発明の第6の態様の液体噴射装置は、前記第4の態様において、前記流路を複数備え、前記ノズルと嵌合している流路を判定する流路判定部を備えることを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、ノズルと嵌合している流路を判定する流路判定部を備える。このため、ユーザーが使用する流路を間違うことを抑制することができる。
【0019】
本発明の第7の態様の液体噴射装置は、前記第1から第3のいずれか1つの態様において、前記ノズルを複数備え、複数の前記ノズルは、各々の内径が異なることを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、複数のノズルは各々の内径が異なる。このため、内径の異なるノズルを用いて、用途に応じて所望のノズルから液体を噴射させることができる。
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る実施形態を説明する。最初に、
図1を参照して本発明の一実施例に係る液体噴射装置1の概要について説明する。ここで、本実施例の液体噴射装置1は、例えば歯科治療用等で用いることができる。
【0022】
図1に示す液体噴射装置1は、液体3を噴射するヘッド部2と、噴射する液体3を送る送液ポンプ6と、噴射する液体3を貯留するタンク8と、タンク8と送液ポンプ6とをつなぐ液体吸引チューブ7と、送液ポンプ6とヘッド部2とをつなぐ送液チューブ9と、を備えている。また、ヘッド部2への駆動信号線51と送液ポンプ6への制御信号線52とを有する制御装置5を備えている。なお、ヘッド部2の内部には、送液ポンプ6の送液圧力を検出可能な圧力検出センサー10が設けられている。圧力検出センサー10の検出結果を利用することで、追加の負荷装置なしで、ノズル26を複数備えていた場合などの使用ノズルや、複数種類の液体3を使用可能な構成における使用液体などの判別が可能になる。
【0023】
ユーザーは、このような構成の液体噴射装置1を用い、把持部21を把持し、ヘッド部2から液体3を噴射させ、所望の対象物に液体3を衝突させることにより、各種作業を行う。各種作業とは、例えば、歯科治療が挙げられるが、歯科治療以外でも、対象物に関して、洗浄、バリ取り、剥離、はつり、切除、切開、破砕等することが挙げられる。本実施例の液体噴射装置1は、ヘッド部2に設けられたノズル26から噴射方向bに連続状態で噴射された液体3の連続流3aが液滴3bとなる液滴化された状態で該液滴3bを対象物に衝突させる液体噴射装置である。
【0024】
次に、液体噴射装置1の要部であるヘッド部2について
図2を参照して詳細に説明する。ヘッド部2は、
図2で表されるように、把持部21とノズルブロック25から構成され、把持部21の突起25aにノズルブロック25が回動自在に設置され、留め具31で抜けを防止している。なお、ノズル26はノズルブロック25に設けられ、ノズルブロック25は噴射部としての役割を兼ねている。把持部21の導入流路23は、ノズルブロック25の回動軸Aからオフセットされ、ノズル26としての第1ノズル26A及び第2ノズル26Bのノズル内流路も、導入流路23の回動軸Aに対するオフセット位置と同じ位置でオフセットされている。
【0025】
図1に示す制御装置5からの制御信号線52を介して送液ポンプ6にポンプ駆動信号が送られることにより送液ポンプ6は、液体3をタンク8から液体吸引チューブ7を通じて吸引し送液チューブ9に高圧で送液し、ヘッド部2に送り、ヘッド部2の把持部21のオフセットされた導入流路23を経て、導入流路23と合致した位置にある第1ノズル26Aから、液体3が連続流3aで噴射され、その後、表面張力で連続流3aが液滴3bに液滴化して対象物に衝突する。
【0026】
ここで、ノズル26から噴射された液体3は、
図2で表されるように、連続流3aとして噴射され、やがて液体3自体の持つ表面張力によって分断されて、液滴3bとして飛翔するが、この時、単位時間あたりに生成される液滴3bの数を自己液滴化周波数と呼ぶ。自己液滴化周波数は、液体3の流量とノズル26の内径(ノズル径)によって概ね決まってくる。
【0027】
そこで、ノズルブロック25を
図2及び
図3で表される状態から
図4で表される状態に回動軸Aを基準に180度回動させることで、容易にノズル径の異なる第2ノズル26Bから、液体3を噴射させることができる。この液体3の液滴3bの噴射速度、液滴径、液滴周波数は洗浄、剥離、破砕特性に大きな影響を与えるため、その1要素であるノズル径を変えることにより所望の特性を得ることができる。また、ノズル26の変更により送液ポンプ6による送液圧力が変化するため、その送液圧力を圧力検出センサー10で検出することで、制御装置5は使用中のノズル26の種類が分かるため、適切な流量制御を行うことができる。
【0028】
ここで一旦まとめると、上記のように、本実施例の液体噴射装置1は、ノズル26から液体3を連続流3aとして噴射し、連続流3aから形成された液滴3bを対象物に衝突させる液体噴射装置である。そして、本実施例の液体噴射装置1は、内部に液体3が流通する流路である導入流路23が形成された把持部21と、ノズル26を有し把持部21の一端に設けられる噴射部としての役割を兼ねるノズルブロック25を備えている。ここで、本実施例の液体噴射装置1においては、ノズル26が第1ノズル26A及び第2ノズル26Bと複数形成され、ノズルブロック25は把持部21に対し回動可能である。そして、
図2で表されるように、ノズル26はノズルブロック25の回動軸Aからずれた位置に形成されている。このような構成とすることで、ノズル26と導入流路23との接続を簡単に切り替えることができる。したがって、液体3を連続流3aで噴射するとともに該連続流3aを液滴化させて液滴3b状で対象物に衝突させることが可能な液体噴射装置1において簡単な構造で噴射特性を切り替えることができる。
【0029】
また、上記のように、本実施例の液体噴射装置1は留め具31を備えている。ここで、留め具31はノズルブロック25を把持部21に押圧する押圧部としての役割を兼ねていてもよい。留め具31が押圧部としての役割を兼ねることで、導入流路23の密閉性が向上してノズルブロック25と把持部21との間から液漏れすることなどが抑制される。また、押圧部としての留め具31により、ノズルブロック25が把持部21に対して外れることも抑制される。
【0030】
また、上記のように、本実施例の液体噴射装置1は、ノズル26を第1ノズル26A及び第2ノズル26Bと複数備えているが、これらのノズル26は、各々の内径が異なっている。具体的には、
図2から
図4で表されるように、第1ノズル26Aの内径よりも第2ノズル26Bの内径の方が大きい。このため、本実施例の液体噴射装置1は、内径の異なるノズル26を用いて、用途に応じて所望のノズル26から液体3を噴射させることができる。
図3と
図4とを比較すると明らかなように、第1ノズル26Aを使用した場合よりも第2ノズル26Bを使用した場合の方が大きな液滴3bを噴射することが可能になる。
【0031】
[実施例2]
以下に、実施例2の液体噴射装置1について
図5から
図8を参照して説明する。
図5は実施例1の液体噴射装置1における
図1に対応する図である。
図6は実施例1の液体噴射装置1における
図2に対応する図である。
図7及び
図8は実施例1の液体噴射装置1における
図3及び
図4に対応する図である。本実施例の液体噴射装置1は、以下で説明する構成以外については、実施例1の液体噴射装置1と同様である。このため、本実施例の液体噴射装置1は、下記の説明箇所以外については実施例1の液体噴射装置1と同様の特徴を有している。そこで、
図5から
図8では上記実施例1と共通する構成部材は同じ符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0032】
上記のように、実施例1の液体噴射装置1においては、複数のノズル26と1つの導入流路23とを有していた。一方、本実施例の液体噴射装置1は、1つのノズル26と複数の導入流路23とを有する。詳細には、本実施例の液体噴射装置1は、タンク8として第1タンク8Aと第2タンク8Bとを有し、第1タンク8Aに第1液体3Aが入れられ、第2タンク8Bに第2液体3Bが入れられている。第1タンク8Aに液体吸引チューブ7Aが挿入されるとともに第2タンク8Bに液体吸引チューブ7Bが挿入され、送液ポンプ6により吸引されることで、第1液体3Aは送液チューブ9Aを介してヘッド部2に送られ、第2液体3Bは送液チューブ9Bを介してヘッド部2に送られる。なお、送液ポンプ6内には第1液体3A及び第2液体3Bの夫々に独立した送液機構が設けられている。
【0033】
図6などで表されるように、ノズルブロック25にはノズル26は一種のみ設けられている一方、把持部21にはノズルブロック25の回動中心からオフセットされた第1導入流路23A及び第2導入流路23Bが設けられている。したがって、
図6及び
図7で表されるように、第1導入流路23Aがノズル26内の流路と繋がっている場合、ノズル26からは、第1液体3Aが噴射される。一方、
図6及び
図7で表される状態からノズルブロック25を回動させて
図8で表される状態、すなわち、第2導入流路23Bがノズル26内の流路と繋がっている状態にすることで、ノズル26からは第2液体3Bが噴射される。例えば、洗浄作業に本実施例の液体噴射装置1を用いる場合、当初、例えば第1液体3Aとしての洗剤を含む水溶液で洗浄し、次に、第2液体3Bとしての水で洗浄するという用途には至便となる。
【0034】
このように、ノズル26または導入流路23の少なくとも一方が複数形成され、噴射部(ノズルブロック25)が把持部21に対し回動可能であり、ノズル26が噴射部の回動軸Aからずれた位置に形成されていれば、液体3を連続流3aで噴射するとともに該連続流3aを液滴化させて液滴3b状で対象物に衝突させることが可能な液体噴射装置1において簡単な構造で噴射特性を切り替えることができる。
【0035】
[実施例3]
以下に、実施例3の液体噴射装置1について
図9から
図13を参照して説明する。
図9は実施例1の液体噴射装置1における
図2に対応する図である。また、
図10から
図13は実施例1の液体噴射装置1における
図3及び
図4に対応する図である。本実施例の液体噴射装置1は、以下で説明する構成以外については、実施例1及び実施例2の液体噴射装置1と同様である。このため、本実施例の液体噴射装置1は、下記の説明箇所以外については実施例1及び実施例2の液体噴射装置1と同様の特徴を有している。そこで、
図9から
図13では上記実施例1及び実施例2と共通する構成部材は同じ符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0036】
上記のように、実施例1及び実施例2の液体噴射装置1においては、ノズル26及び導入流路23の一方が1つで他方が複数であった。一方、
図9から
図13で表されるように、本実施例の液体噴射装置1は、ノズル26及び導入流路23の両方を複数(2つ)有している。詳細には、本実施例の液体噴射装置1は、実施例1の液体噴射装置1と実施例2の液体噴射装置1との技術要素を複合させた構成と言え、使用するノズル26と使用する液体3との双方を変更できるようにしたものである。
【0037】
図9から
図13で表されるように把持部21の第1導入流路23A及び第2導入流路23Bはノズルブロック25の回動軸Aに対しオフセットされ、かつ、
図10から
図13で表されるように回動軸Aの位置に対応する留め具31を基準として第1導入流路23A及び第2導入流路23Bはノズルブロック25の把持部21に対する回動方向において90度ずれた位置に配置されている。また、
図10から
図13で表されるように、第1ノズル26A及び第2ノズル26Bは、導入流路23と同様にオフセットされ、こちらは留め具31を基準としてノズルブロック25の把持部21に対する回動方向において180度ずれた位置に配置されている。
【0038】
このような構成において、
図10の位置関係では第1ノズル26Aから第1液体3Aが噴射され、
図11の位置関係では第1ノズル26Aから第2液体3Bが噴射され、
図12の位置関係では第2ノズル26Bから第1液体3Aが噴射され、
図13の位置関係では第2ノズル26Bから第2液体3Bが噴射される。本実施例の液体噴射装置1は、このような構成となっていることで、噴射する液体3、並びに、ノズル26の双方の変更が容易となり、様々な洗浄、剥離、破砕用途に用いることが可能となっている。
【0039】
[実施例4]
以下に、実施例4の液体噴射装置1について、実施例3の液体噴射装置1の説明の際に使用した
図10及び
図13を参照して説明する。本実施例の液体噴射装置1は、以下で説明する構成以外については、実施例3の液体噴射装置1と全く同様である。このため、本実施例の液体噴射装置1は、下記の説明箇所以外については実施例1から実施例4の液体噴射装置1と同様の特徴を有している。
【0040】
実施例3の液体噴射装置1は、
図10から
図13で表される状態において、ノズルブロック25は、把持部21に対して時計回りにも反時計回りにも自由に回動できる構成であった。一方、本実施例の液体噴射装置1においては、回動規制部としての不図示のストッパーが設けられており、
図10で表される状態においては反時計回りにしかノズルブロック25が把持部21に対して回動できず、
図13で表される状態においては時計回りにしかノズルブロック25が把持部21に対して回動できない。その結果、第1ノズル26Aからは第1液体3Aのみが噴射され、第2ノズル26Bからは第2液体3Bのみが噴射される。これは液体3同士のコンタミ、すなわち、第1液体3Aと第2液体3Bとが混ざることを防止する場合に有効である。このように、噴射部(ノズルブロック25)の把持部21に対する回動規制部を設けていてもよい。
【0041】
[実施例5]
以下に、実施例5の液体噴射装置1について
図14を参照して説明する。
図14は実施例1の液体噴射装置1における
図2に対応する図である。本実施例の液体噴射装置1は、以下で説明する構成以外については、実施例2の液体噴射装置1と同様である。このため、本実施例の液体噴射装置1は、下記の説明箇所以外については実施例1から実施例4の液体噴射装置1と同様の特徴を有している。そこで、
図14では上記実施例1から実施例4と共通する構成部材は同じ符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0042】
本実施例の液体噴射装置1においては、把持部21の導入流路23とノズルブロック25のノズル26内の流路とが特に好適に密着し漏れが無い状態になるとともに、ノズルブロック25で遮断される導入流路23は特に好適に漏れがない状態で封止される構成である。具体的には、留め具31よりも押圧力が強い押圧部としてのロックナット32及びノズルブロック加圧ばね33を有している。
【0043】
図14で表されるように、把持部21とノズルブロック25の密着面は、円錐台形状であり、ロックナット32により縮められたノズルブロック加圧ばね33により押圧され、把持部21とノズルブロック25双方の密着が保たれている。その結果、例えば
図14における第1導入流路23Aのように使用する流路と、例えば
図14における第2導入流路23Bのように使用しない流路の双方において、漏れがない状態で保たれる。なお、本実施例では、把持部21とノズルブロック25との密着面が円錐台状の密着面であるが円盤状の密着面であっても同様に効果がある。
【0044】
上記のように、本実施例の液体噴射装置1は押圧部としてのロックナット32及びノズルブロック加圧ばね33を備えている。このため、導入流路23の密閉性が向上してノズルブロック25と把持部21との間から液漏れすることなどが効果的に抑制される。また、押圧部としてのロックナット32及びノズルブロック加圧ばね33により、ノズルブロック25が把持部21に対して外れることも抑制される。
【0045】
また、
図14で表されるように、ロックナット32及びノズルブロック加圧ばね33は、回動軸Aの延長線上に設けられている。このような構成とすることで、本実施例のロックナット32及びノズルブロック加圧ばね33のように、例えば円盤状や円錐台形状などの噴射部を回動軸の中心付近において押圧される構成などとすることができ、また、押圧部の構造をばねやゴムリングなどを用いて簡単な構成とすることができる。
【0046】
[実施例6]
以下に、実施例6の液体噴射装置1について
図15を参照して説明する。
図15は実施例1の液体噴射装置1における
図2に対応する図である。本実施例の液体噴射装置1は、以下で説明する構成以外については、実施例2の液体噴射装置1と同様である。このため、本実施例の液体噴射装置1は、下記の説明箇所以外については実施例1から実施例5の液体噴射装置1と同様の特徴を有している。そこで、
図15では上記実施例1から実施例5と共通する構成部材は同じ符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0047】
本実施例の液体噴射装置1も、実施例5の液体噴射装置1と同様、把持部21の導入流路23とノズルブロック25のノズル26内の流路とが特に好適に密着し漏れが無い状態になるとともに、ノズルブロック25で遮断される導入流路23は特に好適に漏れがない状態で封止される構成である。具体的には、本実施例の液体噴射装置1は、把持部21にネジ穴27を形成し、押圧部としての加圧ネジ34とノズルブロック加圧ゴムリング35とで押圧している。さらに、ノズル26に接続しない第2導入流路23Bには流路閉鎖ばね36とボール弁37によって、さらに封止を強めている。なお、この構造では、ボール弁37が使用しない導入流路23に係合したとき軽固定されることが特徴となる。この軽固定により、適切な位置でのクリック感が生じるため、精度よく回動位置で止めることができる。なお、「軽固定」とは、ユーザーが意図しない程度の力が加わってもノズルブロック25が把持部21に対して回動せず、ユーザーがノズルブロック25を把持部21に対して回動させようとした場合には回動する程度の固定力で固定することを言う。
【0048】
すなわち、本実施例の液体噴射装置1は、噴射部としてのノズルブロック25の把持部21に対する回動を規制する回動規制部としての流路閉鎖ばね36及びボール弁37を備えている。このため、ノズルブロック25が把持部21に対して所望の位置からずれてしまうことなどを抑制することができるとともに、ノズルブロック25を把持部21に対して所望の位置に正確に位置決めすることができる。
【0049】
なお、
図15で表されるように、本実施例の液体噴射装置1は、第1導入流路23A及び第2導入流路23Bと導入流路23を複数備えているが、回動規制部を構成するボール弁37は、ノズル26と嵌合していない方の導入流路23の端部と係合することで、ノズルブロック25の把持部21に対する回動を規制する。このような構成とすることで、複雑な機構を設けることなく、ノズルブロック25を把持部21に対して所望の位置に正確に位置決めすることができる。
【0050】
[実施例7]
以下に、実施例7の液体噴射装置1について
図16及び
図17を参照して説明する。
図16は実施例1の液体噴射装置1における
図2に対応する図である。
図17は実施例1の液体噴射装置1における
図3及び
図4に対応する図である。本実施例の液体噴射装置1は、以下で説明する構成以外については、実施例2の液体噴射装置1と同様である。このため、本実施例の液体噴射装置1は、下記の説明箇所以外については実施例1から実施例6の液体噴射装置1と同様の特徴を有している。そこで、
図15では上記実施例1から実施例6と共通する構成部材は同じ符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0051】
本実施例の液体噴射装置1も、実施例5及び実施例6の液体噴射装置1と同様、把持部21の導入流路23とノズルブロック25のノズル26内の流路とが特に好適に密着し漏れが無い状態になるとともに、ノズルブロック25で遮断される導入流路23は特に好適に漏れがない状態で封止される構成である。具体的に説明すると、本実施例の液体噴射装置1においては、把持部21とノズルブロック25の回動面は円筒形状である。本実施例の液体噴射装置1はEリング38を有し、Eリング38で回動自在に固定されたノズルブロック25内部には、実施例6の液体噴射装置1と同様に流路閉鎖ばね36とボール弁37が、使用しない導入流路23(
図16においては第2導入流路23B)を閉鎖するために組み込まれている。この構造では、適切な位置で軽固定されると同時に、流路閉鎖ばね36がボール弁37を押圧することで第2導入流路23Bが閉鎖され、さらに、その反力によりノズルブロック25が
図16中の上側に押圧されるために、第1導入流路23Aと、ノズルブロック25側のノズル26内の流路と、の密着性が向上している。
【0052】
さらに、
図17で表されるように、導入流路指示マーク44としての導入流路指示マーク44Aまたは導入流路指示マーク44Bをノズル位置指示マーク43と近接する位置に合わせることにより、適切な液体3をユーザーは間違えずに噴射できる。なお、ノズル26を複数有する構成の場合には、ノズル位置指示マーク43を小及び大などと記載することなどでノズル特性を示す形態とすれば、ユーザーが間違えてノズルブロック25を把持部21に対して配置することを抑制することができる。
【0053】
さらに、
図16で表されるように、本実施例の液体噴射装置1は指示部品41とセンサー42とを有している。そして、指示部品41とセンサー42とにより、制御装置5がノズルブロック25の把持部21に対する配置を認識できるようになっている。センサー42から、図示しない配線により、ノズル26と導入流路23の組み合わせを示す信号が、
図5で表されるようなノズルブロック位置信号線53を介し、制御装置5に送られることにより、必要なポンプの送液機構のみを適切な送液量で動作させることができ、正確で無駄のない動作が可能になっている。
【0054】
上記について、別の表現をすると、本実施例の液体噴射装置1は、第1導入流路23A及び第2導入流路23Bと導入流路23を複数備え、ノズル26と嵌合している導入流路23を判定する流路判定部としての指示部品41及びセンサー42を備えている。このため、本実施例の液体噴射装置1は、ユーザーが使用する導入流路23を間違うことを抑制することができる。また、例えば、流路判定部の判定結果を利用して、ノズル26と液体3の組み合わせに適切な圧力で液体3を送る構成としてもよい。このような構成とすることで、ノズル26に接続されていない液体3の送液ポンプ6を停止し、無駄な電力消費を防ぐことができる。
【0055】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0056】
1…液体噴射装置、2…ヘッド部、3…液体、3A…第1液体、3B…第2液体、3a…連続流、3b…液滴、5…制御装置、6…送液ポンプ、7…液体吸引チューブ、7A…液体吸引チューブ、7B…液体吸引チューブ、8…タンク、8A…第1タンク、8B…第2タンク、9…送液チューブ、9A…送液チューブ、9B…送液チューブ、20…下ケース、21…把持部、23…導入流路、23A…第1導入流路、23B…第2導入流路、24…流入流路開口部、25…ノズルブロック(噴射部)、25a…突起、26…ノズル、26A…第1ノズル、26B…第2ノズル、31…留め具(押圧部)、32…ロックナット(押圧部)、33…ノズルブロック加圧ばね(押圧部)、34…加圧ネジ(押圧部)、35…ノズルブロック加圧ゴムリング(押圧部)、36…流路閉鎖ばね(回動規制部)、37…ボール弁(回動規制部)、38…Eリング、41…指示部品(流路判定部)、42…センサー(流路判定部)、43…ノズル位置指示マーク、44…導入流路指示マーク、44A…導入流路指示マーク、44B…導入流路指示マーク、51…駆動信号線、52…制御信号線、53…ノズルブロック位置信号線、A…回動軸