(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077112
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】媒体搬送装置及び記録装置
(51)【国際特許分類】
B65H 5/38 20060101AFI20240531BHJP
B65H 43/04 20060101ALI20240531BHJP
B65H 29/52 20060101ALI20240531BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20240531BHJP
B65H 85/00 20060101ALI20240531BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240531BHJP
B41J 13/10 20060101ALI20240531BHJP
B41J 13/16 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
B65H5/38
B65H43/04
B65H29/52
B65H5/06 P
B65H85/00
G03G15/00 463
B41J13/10
B41J13/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188957
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】八並 哲史
(72)【発明者】
【氏名】永田 悠太
【テーマコード(参考)】
2C059
2H072
3F048
3F049
3F100
3F101
【Fターム(参考)】
2C059DD21
2H072AA02
2H072AA32
2H072BA06
2H072BA12
2H072CA01
2H072CB03
2H072CB07
2H072EA19
3F048AA03
3F048AB01
3F048BA14
3F048BD03
3F048BD05
3F049AA04
3F049CA33
3F049DA12
3F049DB04
3F049LA03
3F049LB03
3F100AA02
3F100BA14
3F100BA27
3F100CA15
3F100CA17
3F100EA03
3F101FD02
3F101FE02
3F101FE04
3F101FE08
3F101LA03
3F101LB03
(57)【要約】
【課題】撓み形成部材21をユーザーの操作によって退避状態から進出状態に変位させる構成とすることで、ジャム処理においてユーザーの使い勝手を向上すること。
【解決手段】搬送経路9上の媒体3と当接することで媒体に撓みを形成する撓み形成部材21であって、搬送経路9に進出して搬送経路上の媒体と当接する進出状態と、搬送経路9から退避する退避状態とに変位可能である撓み形成部材21と、ユーザーからの操作を受け付け可能な操作機構部23であって、操作機構部23が操作された際に撓み形成部材21を前記退避状態から前記進出状態に変位させる操作機構部23とを備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体が搬送される搬送経路と、
前記搬送経路上の媒体と当接することで当該媒体に撓みを形成する撓み形成部材であって、前記搬送経路に進出して前記搬送経路上の媒体と当接する進出状態と、前記搬送経路から退避する退避状態とに変位可能である前記撓み形成部材と、
ユーザーからの操作を受け付け可能な操作機構部であって、前記操作機構部が操作された際に前記撓み形成部材を前記退避状態から前記進出状態に変位させる前記操作機構部と、を備える
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の媒体搬送装置において、
前記搬送経路の一部を外部に露呈させる開状態と、搬送経路を閉じる閉状態とに変位可能な扉部を備え、
前記操作機構部は、
前記ユーザーにより操作される操作部と、
前記操作部を装置外側に付勢する第1付勢部材と、を備える
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項3】
請求項1に記載の媒体搬送装置において、
前記撓み形成部材は、前記搬送経路の一部を構成する、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項4】
請求項1に記載の媒体搬送装置において、
前記撓み形成部材に対して前記進出状態から前記退避状態となる方向に付勢する第2付勢部材を備える、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項5】
請求項1に記載の媒体搬送装置において、
媒体搬送方向において前記撓み形成部材の下流に設けられ、媒体をニップして搬送する搬送ローラー対を備え、
前記搬送ローラー対は、前記扉部及び前記撓み形成部材の何れか一方の動作に連動して前記ニップの状態が解除される、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項6】
請求項2から請求項5の何れか1項に記載の媒体搬送装置において、
前記搬送経路は、第1搬送経路と、第2搬送経路と、前記第1搬送経路及び前記第2搬送経路が合流地点で合流することで形成される第3搬送経路と、
前記合流地点に設けられる切替部と、を有し、
前記切替部は、
前記扉部が前記閉状態であるときに、前記第1搬送経路を開く第1状態と、前記第2搬送経路を開く第2状態と、に変位可能であり、
前記扉部が前記開状態であるときに、前記第1搬送経路の少なくとも一部を開放する第3状態に変位し、
前記撓み形成部材は、
前記第1搬送経路に設けられ、
前記扉部が前記開状態で、且つ、前記切替部が前記第3状態に変位すると前記進出状態への変位が可能になる、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項7】
請求項6に記載の媒体搬送装置において、
前記操作機構部は、
前記撓み形成部材が前記変位を可能に接続され、前記扉部の方向に移動可能な第1接続部と、
前記切替部が前記変位を可能に接続され、前記扉部の方向に移動可能な第2接続部と、
前記ユーザーにより操作される操作部であって、前記第1接続部を前記扉部の方向に移動させる前記操作部と、を備え、
前記扉部が前記閉状態から前記開状態に変位した状態では、
前記切替部は、前記第2接続部が移動すると前記第3状態に変位し、
前記撓み形成部材は、前記退避状態を維持する、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項8】
請求項7に記載の媒体搬送装置において、
前記切替部が前記第3状態に変位した後に、
前記操作部を移動させることで、前記撓み形成部材は前記退避状態から前記進出状態に変位する、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項9】
請求項7に記載の媒体搬送装置と、
搬送される媒体に記録を行う記録部と、を備える、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項10】
請求項9に記載の記録装置において、
前記媒体を収容する媒体収容部を備え、
前記第1搬送経路は、前記媒体収容部に収容された前記媒体を前記第3搬送経路に給送する給送経路であり、
前記第2搬送経路は、前記記録部によって記録が行われた記録済み媒体を反転させて前記第3搬送経路に搬送する反転経路であり、
前記第3搬送経路は、前記記録部による記録位置を含む記録時搬送経路である、
ことを特徴とする記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体搬送装置及び記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置の一例として、特許文献1に記載のものが挙げられる。特許文献1には、搬送経路で詰まった、即ちジャムした用紙を装置の外側へ押し出す用紙押し出し部材21と、案内部材8と押し出し部材21とが連動する連動機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1においては、押し出し部材21が用紙を装置の外側に押し出すために、扉等の開閉する構造の案内部材と押し出し部材21とを連動させる連動機構が設けられている。そのため、構造が複雑化し、また扉の開閉操作の負荷が増加する問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係る媒体搬送装置は、媒体が搬送される搬送経路と、前記搬送経路上の媒体と当接することで当該媒体に撓みを形成する撓み形成部材であって、前記搬送経路に進出して前記搬送経路上の媒体と当接する進出状態と、前記搬送経路から退避する退避状態とに変位可能である前記撓み形成部材と、ユーザーからの操作を受け付け可能な操作機構部であって、前記操作機構部が操作された際に前記撓み形成部材を前記退避状態から前記進出状態に変位させる前記操作機構部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係る記録装置は、後述する第7の態様の媒体搬送装置と、搬送される媒体に記録を行う記録部と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態1に係る媒体搬送装置を備える記録装置の内部構成を表す図。
【
図3】同実施形態1の搬送経路が露呈された要部の状態を表す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明について先ず概略的に説明する。
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様に係る媒体搬送装置は、媒体が搬送される搬送経路と、前記搬送経路上の媒体と当接することで当該媒体に撓みを形成する撓み形成部材であって、前記搬送経路に進出して前記搬送経路上の媒体と当接する進出状態と、前記搬送経路から退避する退避状態とに変位可能である前記撓み形成部材と、ユーザーからの操作を受け付け可能な操作機構部であって、前記操作機構部が操作された際に前記撓み形成部材を前記退避状態から前記進出状態に変位させる前記操作機構部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、前記撓み形成部材はユーザーの操作によって前記退避状態から前記進出状態に変位させる構成であるため、ユーザーの使い勝手が向上する。ユーザーが前記撓み形成部材を変位させる量を大小で調整することで、前記媒体のジャムの状態に応じたジャム処理を容易に行うことができる。
【0010】
また、本発明の第2の態様に係る媒体搬送装置は、第1の態様において、前記搬送経路の一部を外部に露呈させる開状態と、搬送経路を閉じる閉状態とに変位可能な扉部を備え、前記操作機構部は、前記ユーザーにより操作される操作部と、前記操作部を装置外側に付勢する第1付勢部材と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、前記操作機構部は、前記ユーザーにより操作される操作部を装置外側に付勢する第1付勢部材を備えている。これにより、前記扉部を開けることで、前記操作部が外側に移動してユーザーに近づく。従って、ユーザーは前記操作部を把持しやすくなり、ユーザーの操作性を向上させることができる。
また、前記扉部を開く際に、前記第1付勢部材の付勢の方向が前記扉部を開く方向と同じであるので、前記扉部を開く際の負荷を軽減することができる。
【0012】
また、本発明の第3の態様に係る媒体搬送装置は、第1の態様又は第2の態様において、前記撓み形成部材は、前記搬送経路の一部を構成することを特徴とする。
【0013】
本態様によれば、前記撓み形成部材は、前記搬送経路の一部を構成するので、前記搬送経路を形成する部材を別に設ける構成と比較して部品点数を削減することができる。
【0014】
また、本発明の第4の態様に係る媒体搬送装置は、第1の態様から第3の態様の何れか一つの態様において、前記撓み形成部材に対して前記進出状態から前記退避状態となる方向に付勢する第2付勢部材を備えることを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、前記第2付勢部材が前記撓み形成部材に対して前記進出状態から前記退避状態となる方向に付勢する。これにより、前記進出状態において、ユーザーが前記操作部から手を離すと、前記撓み形成部材は、前記第2付勢部材の弾性力によって前記退避状態の位置に戻される。これにより、撓んだ状態の前記媒体の後方に隙間ができ、ユーザーはジャム処理がし易くなる。
【0016】
また、本発明の第5の態様に係る媒体搬送装置は、第1の態様から第4の態様の何れか一つの態様において、媒体搬送方向において前記撓み形成部材の下流に設けられ、媒体をニップして搬送する搬送ローラー対を備え、前記搬送ローラー対は、前記扉部及び前記撓み形成部材の何れか一方の動作に連動して前記ニップの状態が解除されることを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、前記撓み形成部材の下流に設けられている搬送ローラー対は、前記扉部及び前記撓み形成部材の何れか一方の動作に連動して前記ニップの状態が解除される。これにより、ジャムした媒体のニップが解除されるので、前記撓み形成部材によって当該媒体に撓みを形成しやすくなり、結果として当該媒体のジャム処理がしやすくなる。
【0018】
また、本発明の第6の態様に係る媒体搬送装置は、第2の態様から第5の態様の何れか一つの態様において、前記搬送経路は、第1搬送経路と、第2搬送経路と、前記第1搬送経路及び前記第2搬送経路が合流地点で合流することで形成される第3搬送経路と、前記合流地点に設けられる切替部と、を有し、前記切替部は、前記扉部が前記閉状態であるときに、前記第1搬送経路を開く第1状態と、前記第2搬送経路を開く第2状態と、に変位可能であり、前記扉部が前記開状態であるときに、前記第1搬送経路の少なくとも一部を開放する第3状態に変位し、前記撓み形成部材は、前記第1搬送経路に設けられ、前記扉部が前記開状態で、且つ、前記切替部が前記第3状態に変位すると前記進出状態への変位が可能になることを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、前記切替部は、前記扉部が前記閉状態から前記開状態に変わると、前記第1搬送経路の少なくとも一部を開放する第3状態に変位する。これにより、前記扉部を開けることで、前記第1搬送経路が開放され、前記第1搬送経路内で詰まって搬送不良となった媒体を容易に除去することができる。
また、前記切替部が前記第3状態となることで前記撓み形成部材の周囲のスペースが開放されるので、ユーザーのジャム処理のためのアクセス性を向上させることができる。
【0020】
また、本発明の第7の態様に係る媒体搬送装置は、第2の態様から第6の態様の何れか一つの態様において、前記操作機構部は、前記撓み形成部材が前記変位を可能に接続され、前記扉部の方向に移動可能な第1接続部と、前記切替部が前記変位を可能に接続され、前記扉部の方向に移動可能な第2接続部と、前記ユーザーにより操作される操作部であって、前記第1接続部を前記扉部の方向に移動させる前記操作部と、を備え、前記扉部が前記閉状態から前記開状態に変位した状態では、前記切替部は、前記第2接続部が移動すると前記第3状態に変位し、前記撓み形成部材は、前記退避状態を維持することを特徴とする。
【0021】
本態様によれば、前記操作機構部は、前記撓み形成部材を変位させる第1接続部と、前記切替部を変位させる第2接続部と、前記ユーザーにより操作される操作部であって、前記第1接続部を前記扉部の方向に移動させる前記操作部とを備えている。これにより、前記操作機構部は、前記切替部の前記変位から前記撓み形成部材の変位を、前記扉部の方向への移動によって行えるので、ユーザーの使い勝手がよい。
また、前記操作機構部が前記切替部の変位操作を行えるので、それぞれ別部材で設ける構成と比較して部品点数を減らすことができる。
また、前記切替部が前記第3状態に変位しても、前記撓み形成部材は前記退避状態を維持するので、前記撓み形成部材の周囲のスペースが開放された状態で、ユーザーは前記操作部を操作することが可能になり、操作性が良い。
【0022】
また、本発明の第8の態様に係る媒体搬送装置は、第7の態様において、前記切替部が前記第3状態に変位した後に、前記操作部を移動させることで、前記撓み形成部材は前記退避状態から前記進出状態に変位することを特徴とする。
【0023】
本態様によれば、前記切替部が前記第3状態に変位した後に、前記操作部を移動させることで、前記撓み形成部材は前記退避状態から前記進出状態に変位するように構成されている。これにより、ユーザーは前記撓み形成部材の周囲のスペースが開放された状態で、前記操作部を操作して前記撓み形成部材を変位させることが可能になり、ジャム処理の操作性が良い。
【0024】
また、本発明の第9の態様に係る記録装置は、第1の態様から第7の態様の何れか一つの態様に係る媒体搬送装置と、搬送される媒体に記録を行う記録部とを備えることを特徴とする。
本態様によれば、記録装置として、各態様の媒体搬送装置が得られる効果を得ることができる。
【0025】
また、本発明の第10の態様に係る記録装置は、第9の態様において、前記媒体を収容する媒体収容部を備え、前記第1搬送経路は、前記媒体収容部に収容された前記媒体を前記第3搬送経路に給送する給送経路であり、前記第2搬送経路は、前記記録部によって記録が行われた記録済み媒体を反転させて前記第3搬送経路に搬送する反転経路であり、前記第3搬送経路は、前記記録部による記録位置を含む記録時搬送経路であることを特徴とする。
本態様によれば、前記給送経路と前記反転経路と前記記録時搬送経路が合流する搬送経路を有する記録装置において、各態様の媒体搬送装置が得られる効果を得ることができる。
【0026】
[実施形態]
以下、本発明の実施形態に係る媒体搬送装置と、この媒体搬送装置を備えるインクジェットプリンター等の記録装置について、図面に基づいて具体的に説明する。
以下の説明においては、互いに直交する3つの軸を、各図に示すように、それぞれX軸、Y軸、Z軸とする。3つの軸(X,Y,Z)の矢印の示す方向が各方向の+方向であり、その逆が-方向である。Z軸方向は鉛直方向即ち重力が作用する方向に相当し、+Z方向が鉛直上方を示し、-Z方向が鉛直下方を示す。X軸方向及びY軸方向は、水平方向に相当する。+Y方向が装置の前方向を示し、-Y方向が装置の後方向を示す。+X方向が装置の右方向を示し、-X方向が装置の左方向を示す。
【0027】
[実施形態1]
<記録装置>
本実施形態の記録装置1は、一例であるがインクジェットプリンターである。
図1に示したように、この記録装置1は、用紙等の媒体3にインクを吐出して記録を行う記録部5と媒体搬送装置7と媒体収容部11とを備える。記録部5の媒体3への記録実行動作や媒体搬送装置による媒体3の搬送動作は、図示を省く制御部によって行われる。ここで、制御部は、CPU、フラッシュROM、及びRAMを備えている。CPUはフラッシュROMに格納されたプログラムに従って各種演算処理を行い、画像読取装置1全体の動作を制御する。記憶手段の一例であるフラッシュROMは読み出し及び書き込みが可能な不揮発性メモリである。記憶手段の一例であるRAMには、一時的に各種情報が格納される。
記録部5は、ここではラインヘッドであるが、媒体3の幅方向(Y軸方向)に往復移動するシリアルタイプのヘッド等でもよい。記録部5の記録実行領域8で媒体3を支持するプラテンは、ここでは無端の搬送ベルト2である。搬送ベルト2はプーリー4とプーリー6間に掛け回されて、両プーリー4,6が回転することで搬送ベルト2が回動し、これにより媒体3を搬送方向Fに搬送する。搬送ベルト2は媒体3が搬送される搬送経路9の一部を成している。
【0028】
この記録装置1は、
図1に示したように、装置外装34の一部を成す扉部17が設けられている。扉部17は、水平方向に回動して開閉する構造である。扉部17は、
図1において、-Y方向の端部の位置に回動軸を有しており、この回動軸を回動支点として回動する。
後述するように、扉部17を開くと、搬送経路9が露呈してユーザーがジャム処理を行えるように構成されている。
【0029】
この記録装置1では、用紙等の媒体3を収容するカセット式の媒体収容部11からピックローラー10でピックされた媒体3は、給送ローラー対13によって第1搬送経路91を搬送方向Fに搬送される。尚、以下では、「ローラー対」とは、特に説明しない限り図示を省くモーターによって駆動される駆動ローラーと、この駆動ローラーに接して従動回転する従動ローラーとで構成される。
また、第1搬送経路91の給送ローラー対13の下流位置には第2搬送経路92が合流されている。第1搬送経路91と第2搬送経路92の合流地点Pより記録部5側に位置する搬送経路9を、ここでは第3搬送経路93として、以下説明する。
【0030】
合流地点Pには切替部19が配置されている。切替部19は、第1搬送経路91を開く第1状態と、第2搬送経路92を開く第2状態とに変位可能に構成されている。即ち、媒体3が第1搬送経路91を搬送方向Fに搬送される場合は、その搬送を可能にする位置をとり、媒体3が第2搬送経路92を搬送方向Fに搬送される場合は、その搬送を可能にする位置をとるように構成されている。
本実施形態では、切替部19は、扉部17が閉状態であるときに、前記第1状態と第2状態とに変位可能に構成されている。
【0031】
また、合流地点Pと記録部5の間に搬送ローラー対15が配置されている。媒体3は、第3搬送経路93を搬送ローラー対15により搬送方向Fに搬送される。媒体3の表面だけへの片面記録の場合は、媒体3は、記録実行領域8で表面への記録が実行され、搬送ローラー対12,14の搬送力を受けて排出トレイ16に排出される。
両面記録の場合は、媒体3は、搬送ローラー対12の下流位置でフラップ18によってスイッチバック経路20に誘導される。スイッチベック経路20には搬送ローラー対22,24が配置されている。スイッチベック経路20に誘導された媒体3は、搬送ローラー対22,24が逆転するように制御されることで、分岐点Kにおいて図示を省いた誘導部材によって、反転経路になる第2搬送経路92に誘導される。第2搬送経路92には、搬送ローラー対26,28と、反転ローラー30及び対を成す従動ローラー32が配置されている。
【0032】
以上の説明で理解できるように、第1搬送経路91は、媒体収容部11に収容された媒体3を第3搬送経路93に給送する給送経路であり、第2搬送経路92は、記録部5によって記録が行われた記録済み媒体3を反転させて第3搬送経路93に搬送する反転経路であり、第3搬送経路93は、記録部5による記録位置を含む記録時搬送経路である。
図1において、符号36は複数の媒体収容部としてのインク収容部を示す。各インク収容部36は着脱可能に装着されている。記録部5から吐出されるインクは、各インク収容部36から図示を省くチューブを介して記録部5に供給される。また、符号38は廃液収容部を示す。符号42は検知部を示す。検知部42は、反転経路92における媒体3の有無を検知すると共に、媒体3の幅方向(Y軸方向)における端部を検知することで媒体3の幅を検知する。
記録装置1は、媒体収容部11の下方にも図示を省く他の媒体収容部を備えている。他の媒体収容部内の媒体3もピックローラーでピックされ、搬送ローラー対40によって反転ローラー30のニップ位置より上流で第2搬送経路92に合流される。
【0033】
<媒体搬送装置>
図2及び
図3に示したように、本実施形態の媒体搬送装置7は、媒体3が搬送される搬送経路9と、搬送経路9上の媒体3と当接することで媒体3に撓みを形成する撓み形成部材21と、ユーザーからの操作を受け付け可能な操作機構部23を備えている。
撓み形成部材21は、搬送経路9に進出して搬送経路9上の媒体3と当接する進出状態と、搬送経路9から退避する退避状態とに変位可能である。操作機構部23は、ユーザーからの操作を受け付けた際に撓み形成部材21を前記退避状態から前記進出状態に変位させる。
【0034】
図2は、扉部17が「閉」の状態を示している。扉部17が閉状態では、切替部19は第1搬送経路91を開く第1状態と、第2搬送経路92を開く第2状態とに変位可能である。具体的には、切替部19の下部に位置する回動軸44を回動支点として、切替部19の自由端が、搬送方向にFに搬送される媒体3に押されることで僅かに回動し、これにより前記第1状態と第2状態とに変位することができる。
図3は、扉部17が「開」の状態を示している。扉部17が開状態になると、切替部19は、回動軸44を回動支点として大きく回動し、
図3に示したように、第1搬送経路91の少なくとも一部を開放する第3状態に変位することが可能になる。尚、この切替部19を第3状態に変位させる仕組みについては後述する。
本実施形態では、撓み形成部材21は、
図2に示したように、搬送経路9の一部を構成するように第1搬送経路91に設けられている。撓み形成部材21は、扉部17が開状態になり、更に切替部19が前記第3状態に変位すると前記進出状態への変位が可能になるように構成されている。撓み形成部材21を前記進出状態に変位させる仕組みについても後述する。
【0035】
本実施形態では、
図2、
図4及び
図5に示したように、第3搬送経路93の搬送ローラー対15の搬送方向Fにおける手前位置に、回転フリーな回転体66が設けられている。この回転体66は、
図5に示したように、撓み形成部材21が変位して媒体3を撓ませる際に、引き出される媒体3が経路部品や他の構造部品に引っ掛かり、引き出し負荷が増大するのを抑制するために設けられる。尚、この回転体66は、前記引っ掛かり等の虞が無い場合は設けなくてもよい。
また、
図5において、符号64は第3搬送経路93を構成する経路部品の一つである。この経路部品64は、閉状態の扉部17の対向部位との間に第3搬送経路93を構成している。
【0036】
本実施形態では、操作機構部23は、第1接続部25と第2接続部27と操作部29を備えている。
第1接続部25は、扉部17の方向に移動可能であり、更に撓み形成部材19が前記進出状態に変位することが可能な状態で接続されている。ここで、「扉部17の方向」とは、扉部17が開状態ではなく閉状態のときに位置する扉部17の方向に、即ち+X方向を意味し、以下のおいても同様である。
第2接続部27は、扉部17の方向に、即ち+X方向に移動可能であり、更に切替部19が前記第3状態に変位することが可能な状態で接続されている。
【0037】
操作部29は、ここでは第2接続部27に一体で、上方に向かう突形状で設けられている。操作部29の形状は、前記突形状に限定されないことは勿論であり、ユーザーが把持し易い形状にずるのが望ましい。操作部29は、ユーザーによって操作されると、第1接続部25を扉部17の方向に、即ち+X方向に移動させることができるように構成されている。尚、操作部29は、第2接続部27ではなく、第1接続部25に一体に設けてもよい。
本実施形態では、第2接続部27は、扉部17が前記閉状態から前記開状態に変位すると扉部17の方向に、即ち+X方向に移動可能となる。第2接続部27が+X方向に移動すると、切替部19が前記第3状態に変位する。
【0038】
具体的には、
図6中の要部模式図(B)に示したように、第2接続部27は、弾性部材より成る第1付勢部材31よって扉部17の方向に、即ち+X方向に移動する弾性力を受けている。扉部17が閉状態では、第2接続部27は、第1付勢部材31の弾性力に抗して初期位置に押し戻されている。
図2と
図6は、第2接続部27が初期位置にある状態を示している。
図6において、矢印46は、閉状態の扉部17が第2接続部27を前記初期位置に押し戻した状態を示している。
本実施形態では、操作部29は、第2接続部27に一体に設けられているので、操作部29も第1付勢部材31の弾性力を装置外側(+X方向)に向かって受けている。
【0039】
<切替部を第3状態に変位させる仕組み>
第2接続部27は、扉部17が閉状態から開状態に変わると、矢印46の力がなくなるので、前記弾性部材の力によって扉部17の方向に、即ち+X方向に自動的に移動する。第2接続部27が移動すると切替部19が回動軸44を回動支点にして自由端が回動し、前記第3状態に変わる。
図3と
図4と
図7は、この第3状態を示している。
尚、
図3中の一部拡大斜視図(A)では、扉部19が閉状態で示されている。よって一部拡大斜視図(A)の中では、切替部19は、第1状態又は第2状態(
図1、
図2、
図6の状態)にあり、即ち第3状態(
図7)に変わる前の状態で示されている。
【0040】
一部拡大斜視図(A)に示したように、切替部19は、回動軸44の近傍に突出部48が設けられている。突出部48は第2接続部27の凹部50に嵌っている。第2接続部27が前記弾性部材の力によって扉部17の方向に、即ち+X方向に移動すると、突出部48が凹部50に嵌った状態で+X方向に移動させられる。これにより、切替部19は回動軸44を回動支点にして回動して、
図1と
図2の状態から
図3の本図の状態に変わる、即ち、第3状態に変位する。
本実施形態では、切替部19が第3状態に変位しても、撓み形成部材21は、前記退避状態を維持するように構成されている。
【0041】
<撓み形成部材21を進出状態に変位させる仕組み>
本実施形態では、撓み形成部材21は、操作機構部23の操作部29を扉部17の方向に、即ち+X方向に移動させることで前記退避状態(
図3、
図4、
図7の状態)から前記進出状態(
図5、
図8の状態)に変位する。
即ち、操作部29を+X方向に移動すると、第1接続部25が一緒に移動するように構成されている。具体的には、操作部29は、第2接続部27と一体に形成されている。更に、第2接続部27は、切替部19が第3状態(
図7)になるまで移動すると、図示を省く係合部によって第1接続部25と一体となって+X方向に移動するように構成されている。
尚、前記係合部は、第2接続部27が+X方向に移動する場合には第2接続部27と第1接続部25とを一体に移動させるが、扉部17の方向と逆方向に、即ち-X方向に移動する場合には、第2接続部27と第1接続部25は個別に移動できるように構成されている。
【0042】
図3、
図4及び
図7に示したように、撓み形成部材21は、媒体3と当接する当接部52と、当接部52の媒体3の幅方向(Y軸方向)における両端部に設けられた一対のアーム部54,54を有する構造である。当接部52は、アーム部54,54の下部に位置する軸56を回動支点として前後に回動可能、即ちY軸回りに回動可能である。そして、アーム部54の一方の上部に位置する係止部58が第1接続部25の凹部60に嵌る形で、撓み形成部材21は第1接続部25に上記したように接続されている。
第1接続部25が
図7の位置から+X方向に移動すると、アーム部54,54は、軸56を回動支点として回動し、
図5と
図8に示した前記進出状態になる。即ち、
図5に示したように、当接部52が媒体3を+X方向に押し出して、大きく撓ませた状態にする。
【0043】
本実施形態では、媒体搬送装置7は、撓み形成部材21に対して前記進出状態から前記退避状態となる方向に弾性力を付勢する第2付勢部材33を備えている。具体的には、
図6、
図7及び
図8に示したように、第2付勢部材33は、軸56とアーム部54の間に配置される弾性部材であるネジリコイルバネ33で構成されている。この第2付勢部材33は、撓み形成部材21を前記進出状態から前記退避状態となる方向に変位させるように付勢している。
ユーザーが
図7の状態から操作部29を第2付勢部材33の弾性力に抗して+X方向に移動すると撓み形成部材21は前記進出状態になる(
図5、
図8)。
図5に示したように、媒体3は撓み形成部材21の当接部52によって押されて前方(+X方向)にいるユーザーに近づくように撓む。この状態で、ユーザーが操作部29から手を離すと、撓み形成部材21は、第2付勢部材33の弾性力によって前記退避状態(
図7)の位置に戻される。これにより、撓んだ媒体3の後方に隙間ができるので、ユーザーはジャム処理がし易くなる。
【0044】
本実施形態では、
図2、
図4及び
図5に示したように、媒体搬送装置7は、媒体3の搬送方向Fにおいて撓み形成部材21の下流に設けられ、媒体3をニップして搬送する搬送ローラー対15を備えている。この搬送ローラー対15は、扉部17及び撓み形成部材21の何れか一方の動作に連動して前記ニップの状態が解除されるように構成されている。
搬送ローラー対15は、レバー62を操作することによって、ニップ状態とニップ解除状態とに切り換えることが可能に形成されている。尚、このニップ状態とニップ解除状態とに切り換えることを可能にする構造は、公知の構造が使われている。レバー62は、搬送経路9の幅方向における外側の端部に設けられ、ユーザーがジャム処理をする際に邪魔にならないように配置されている。
本実施形態では、
図3から
図5に示したように、扉部17が開くと、搬送経路9の第1搬送経路91と第2搬送経路93が露呈するように構成されている。そのため、搬送ローラー対15だけでなく、撓み形成部材21の上流に位置する搬送ローラー対13も、扉部17及び撓み形成部材21の何れか一方の動作に連動して前記ニップの状態が解除されるようにしてもよい。
【0045】
<実施形態1の動作の説明>
(1)搬送経路9に媒体3の詰り、即ちジャムが発生した場合、ユーザーは先ず扉部17を開ける。これにより、操作機構部23の第2接続部27が第1付勢部材31の弾性力によって+X方向に移動し、
図2及び
図6に示した状態から
図3、
図4及び
図7に示した状態になる。この状態では、第1搬送経路91及び第3搬送経路93が露呈されて、ユーザーがアクセス可能になっている。
(2)
図7の状態では、同
図7に示されているように、撓み形成部材21は前記退避状態を維持している。即ち、まだ変位していない。ただ、操作部29は
図6の状態よりもユーザーに近づいている。
(3)続いて、ユーザーが操作部29を操作して手前(+X方向)に引くと、第1接続部25も一緒に移動する。即ち、第1接続部25が+X方向に移動することで、撓み形成部材21は、アーム部54,54が軸56を回動支点にして回動することで当接部52が回動変位し、
図5及び
図8の状態に変位する。即ち、撓み形成部材21は、前記進出状態に変位する。
(4)
図5から理解できるように、撓み形成部材21が前記進出状態に変位すると、媒体3は手前に凸になる形で大きく撓み変形する。
図5の媒体3の状態を、
図4と比較すれば容易に理解できるように、媒体3に対するジャム処理を容易に行える状態になっている。
(5)本実施形態では、
図5の状態で、ユーザーが操作部29から手を離すと、第2付勢部材33の弾性力によって撓み形成部材21は前記進出状態から前記退避状態に戻る。撓み形成部材21が前記退避状態に戻っても、媒体3は大きく撓んだ状態のまま(
図5)であるので、媒体3の後面側に隙間ができ、ユーザーはジャム処理を一層容易に行うことができる状態になる。
【0046】
<実施形態1の効果の説明>
(1)本実施形態では、撓み形成部材21はユーザーの操作によって前記退避状態から前記進出状態に変位させる構成であるため、ユーザーの使い勝手が向上する。ユーザーが撓み形成部材21を変位させる量を大小で調整することで、媒体3のジャムの状態に応じたジャム処理を容易に行うことができる。
(2)また、本実施形態では、操作機構部23は、ユーザーにより操作される操作部29を装置外側に付勢する第1付勢部材31を備えている。これにより、扉部17を開けることで、操作部29が外側に移動してユーザーに近づく。従って、ユーザーは操作部29を把持しやすくなり、ユーザーの操作性を向上させることができる。
また、扉部17を開く際に、第1付勢部材31の付勢の方向が扉部17を開く方向と同じであるので、扉部17を開く際の負荷を軽減することができる。
(3)また、本実施形態では、撓み形成部材21は、搬送経路9の一部を構成するので、搬送経路9を形成する部材を別に設ける構成と比較して部品点数を削減することができる。
【0047】
(4)また、本実施形態では、第2付勢部材33が撓み形成部材21に対して前記進出状態から前記退避状態となる方向に付勢する。これにより、前記進出状態において、ユーザーが操作部29から手を離すと、撓み形成部材21は、第2付勢部材33の弾性力によって前記退避状態の位置に戻される。これにより、撓んだ媒体3の後方に隙間ができ、ユーザーはジャム処理がし易くなる。
(5)また、本実施形態では、撓み形成部材21の下流に設けられている搬送ローラー対15は、扉部17及び撓み形成部材21の何れか一方の動作に連動して搬送ローラー対15のニップの状態が解除される。これにより、ジャムした媒体3のニップが解除されるので、撓み形成部材21によって媒体3に撓みを形成しやすくなり、結果として媒体3のジャム処理がしやすくなる。
(6)また、本実施形態では、切替部19は、扉部17が閉状態から開状態に変わると、第1搬送経路91の少なくとも一部を開放する第3状態に変位する。これにより、扉部17を開けることで、第1搬送経路91が開放され、第1搬送経路91内で詰まって搬送不良となった媒体3を容易に除去することができる。
また、切替部19が前記第3状態となることで撓み形成部材21の周囲のスペースが開放されるので、ユーザーのジャム処理のためのアクセス性を向上させることができる。
【0048】
(7)また、本実施形態では、操作機構部23は、撓み形成部材21を変位させる第1接続部25と、切替部19を変位させる第2接続部27と、ユーザーにより操作される操作部29であって、第1接続部25を扉部19の方向に移動させる操作部29とを備えている。これにより、操作機構部23は、切替部19の前記変位から撓み形成部材21の変位までを、扉部17の方向への移動によって行えるので、ユーザーの使い勝手がよい。
また、操作機構部23が切替部19の変位操作を行うので、それぞれ別部材で設ける構成と比較して部品点数を減らすことができる。
また、切替部19が前記第3状態に変位しても、撓み形成部材21は前記退避状態を維持するので、撓み形成部材21の周囲のスペースが開放された状態で、ユーザーは操作部29を操作することが可能になり、操作性が良い。
(8)また、本実施形態では、切替部19が前記第3状態に変位した後に、操作部29を移動させることで、撓み形成部材21は前記退避状態から前記進出状態に変位するように構成されている。これにより、ユーザーは撓み形成部材21の周囲のスペースが開放された状態で、操作部29を操作して撓み形成部材21を変位させることが可能になり、ジャム処理の操作性が良い。
【0049】
[実施形態2]
次に、実施形態2に係る媒体搬送装置7について、
図9に基づいて説明する。実施形態1と同一部分については同一符号を付してその構成及び対応する効果の説明は省略する。
実施形態2の媒体搬送装置7では、実施形態1の構造に加えて、経路部品64が矢印で示したように、第3搬送経路93を構成する位置(
図9の位置)から-X方向に移動させて退避させることが可能な経路部品退避構造68で構成されている。経路部品退避構造68は、図示を省くレバーを操作することによって経路部品64を矢印の方向に移動させる図示を省く移動機構によって構成されている。
【0050】
媒体3の詰りが発生した場合、ユーザーが前記レバーを操作して経路部品64を矢印の方向に移動して退避させる。これにより、媒体3の裏側に隙間ができる。この隙間ができることで、ユーザーはジャム処理を容易に行うことができる。
尚、実施形態2では、実施形態1の構造に加えて、経路部品退避構造68を更に備えるとして説明した。その変形例として、実施形態1の撓み形成部材21や操作部29は設けずに、経路部品退避構造68だけを設ける構造にして、ジャム処理を行うようにしてもよい。
【0051】
〔他の実施形態〕
本発明に係る媒体搬送装置7及び媒体搬送装置7を備える記録装置1は、以上述べた実施形態の構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことは勿論可能である。
媒体搬送装置7を備えるものとして、上記実施形態ではインクジェットプリンターについて説明したが、このプリンター以外のものでもよい。即ち、媒体3を搬送する搬送経路9を有し、搬送経路9でジャムが発生する構造を有する他の装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1…記録装置、2…搬送ベルト、3…媒体、4…プーリー、5…記録部、
6…プーリー、7…媒体搬送装置、8…記録実行領域、9…搬送経路、
10…ピックローラー、11…媒体収容部、12…搬送ローラー対、
13…給送ローラー対、14…搬送ローラー対、15…搬送ローラー対、
16…排出トレイ、17…扉部、18…フラップ、19…切替部、
20…スイッチバック経路、21…撓み形成部材、22…搬送ローラー対、
23…操作機構部、24…搬送ローラー対、25…第1接続部、
26…搬送ローラー対、27…第2接続部、28…搬送ローラー対、29…操作部、
30…反転ローラー、31…第1付勢部材、32…従動ローラー、
33…第2付勢部材、34…装置外装、36…媒体収容部、38…廃液収容部、
40…搬送ローラー対、42…検知部、44…回動軸、46…扉部の閉状態、
48…突出部、50…凹部、52…当接部、54…アーム部、56…軸、
58…係止部、60…凹部、62…レバー、91…第1搬送経路、
92…第2搬送経路、93…第3搬送経路、
F…搬送方向、K…分岐点、P…合流地点