(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077116
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】剥線装置及びこれを用いた電線連続回収システム並びに電線連続回収方法
(51)【国際特許分類】
H02G 1/12 20060101AFI20240531BHJP
H02G 1/02 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
H02G1/12 068
H02G1/12 065
H02G1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188966
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000141060
【氏名又は名称】株式会社関電工
(71)【出願人】
【識別番号】591020412
【氏名又は名称】佐藤建設工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】505272618
【氏名又は名称】株式会社タワーライン・ソリューション
(71)【出願人】
【識別番号】505312730
【氏名又は名称】株式会社電力機材サービス
(71)【出願人】
【識別番号】595123678
【氏名又は名称】三立機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121658
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌義
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 仁
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 光徳
(72)【発明者】
【氏名】下山 航大
(72)【発明者】
【氏名】藤田 教昌
(72)【発明者】
【氏名】中根 亮一
(72)【発明者】
【氏名】進藤 喜浩
【テーマコード(参考)】
5G352
5G353
【Fターム(参考)】
5G352AB09
5G352AL02
5G352AL06
5G352AM06
5G353AB01
5G353AC01
5G353CA01
5G353DA02
5G353EA05
5G353EA08
5G353EA10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】より安全で作業負担の小さい剥線装置及びこれを用いた電線連続回収システム並びに電線連続回収方法を提供する。
【解決手段】電線連続回収システムSは、鋼心C及び前記鋼心の周囲に配置されるアルミ素線Aからなる電線Wを後方に送る巻取延線装置1と、電線において鋼心からアルミ素線を剥線させる剥線装置2と、鋼心を巻き取るリールワインダ3を備える。電線連続回収方法は、鋼心及び鋼心の周囲に配置されるアルミ素線からなる電線を巻き取りつつ後方に送り出すステップ、電線において鋼心からアルミ素線を剥線させるステップ及び鋼心を巻き取るステップを有する。剥線装置2は、電線を挟送する一対の挟送ローラ21と挟送ローラにより挟送される電線に対して切込を入れる回転刃22を備える。回転刃は、一対の挟送ローラの中心位置からずれた位置に配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼心及び前記鋼心の周囲に配置されるアルミ素線からなる電線を巻き取る巻取延線装置と、
前記電線において前記鋼心から前記アルミ素線を剥線させる剥線装置と、
前記鋼心を巻き取るリールワインダと、を備える電線連続回収システム。
【請求項2】
前記剥線装置は、前記巻取延線装置の巻取速度に基づき前記剥線装置の剥線速度を制御する制御装置を備える請求項1記載の電線連続回収システム。
【請求項3】
前記巻取延線装置が巻き取った前記電線の張力を検出する張力検出装置を備える請求項1記載の電線連続回収システム。
【請求項4】
前記剥線装置は、前記巻取延線装置の巻取速度及び前記張力検出装置が検出する張力に基づき前記剥線装置の剥線速度を制御する制御装置を備える請求項3記載の電線連続回収システム。
【請求項5】
鋼心及び前記鋼心の周囲に配置されるアルミ素線からなる電線を巻き取るステップ、
前記電線において電線を引っ張り込みつつ前記鋼心から前記アルミ素線を剥線させるステップ、
前記鋼心を巻き取るステップ、を有する電線連続回収方法。
【請求項6】
前記電線において前記鋼心から前記アルミ素線を剥線させるステップは、
前記巻取延線装置の巻取速度に基づき剥線速度を制御する請求項5記載の電線連続回収方法。
【請求項7】
前記電線において前記鋼心から前記アルミ素線を剥線させるステップは、
前記電線の張力を検出し、前記張力に基づき前記剥線速度を制御する請求項5記載の電線連続回収方法。
【請求項8】
電線を挟送する一対の挟送ローラと、
前記挟送ローラにより挟送される電線に対して切込を入れる回転刃と、を備える剥線装置であって、
前記回転刃は、前記一対の挟送ローラの中心位置からずれた位置に配置されている剥線装置。
【請求項9】
鋼心及び前記鋼心の周囲に配置されるアルミ素線からなる電線用である請求項8記載の剥線装置。
【請求項10】
後方に、前記鋼心から前記アルミ素線を剥離させる二次剥線機構を備える請求項9記載の剥線装置。
【請求項11】
後方に、前記鋼心から剥離されたアルミ素線を回収するアルミ素線回収機構を備える請求項9記載の剥線装置。
【請求項12】
前記回転刃は、前記一対の挟送ローラ間の離間距離を1とした場合、中心から0.3以下の範囲内にある請求項8記載の剥線装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剥線装置及びこれを用いた電線連続回収システム並びに電線連続回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
我々の生活において欠かすことのできない電気の長距離送電には架空送電が通常用いられる。架空送電とは、数百メートル程度の距離を置いて設置される多数の鉄塔と、この多数の鉄塔にがいしで絶縁されながら張られる電線等の部材によって実現される。
【0003】
この架空送電に用いられる電線は、高度100m以上にも及ぶ高さで風雨にさらされるため、安定した送電を維持するためには定期的な張り替えが必要となる。
【0004】
この電線の張り替え作業には、古い電線を巻き取って回収する作業(電線回収作業)が前提として必要となる。この電線回収作業は、様々な方法が考えられるが、例えば、(1)電線を撤去する区間のそれぞれの鉄塔において、電線を「がいし」から外し、耐張鉄塔においては前後径間の電線をワイヤで接続しワイヤを金車と呼ばれる滑車に載せ、懸垂鉄塔においては電線を金車に載せ、(2)前方(送出側)及び後方(巻取側)の終端鉄塔それぞれにおいて、地上から延ばしたワイヤを電線の終端に接続し、ワイヤあるいは電線を金車に載せ、(3)送出側に延線車を、巻取側に巻取延線車を設置し、延線車によりワイヤに張力を与えながらワイヤを送り出しつつ、巻取延線車によりワイヤ及び電線を巻き取って巻取延線車の更に後方にあるドラム又はリールワインダによって巻き取って回収する方法がある。この電線回収作業に関する技術としては、例えば下記特許文献1に記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記の電線回収作業によって回収された電線は、非常に重い。巻き取る電線の長さにも依存するが、ドラムに1~2kmの電線を巻き取る場合、その重量は3~6トン程度になる。この程度の重量となると、保管作業等を行う倉庫で扱うには重すぎるため、2トン以下程度にまで電線を小分けする作業が必要となる。
【0007】
しかしながら、この小分け作業には電線の解き線作業が発生し、非常に作業負担が大きくなるといった課題がある。また、2トン以下にまで電線を小分けしたとしても、やはりドラムから外す作業が必要となり、これは危険な作業であるためできる限り回数を抑えることが好ましい。
【0008】
一方、ドラムによって巻き取るのではなく、リールワインダでワイヤ用リールに巻き取る方法も考えられるが、1つのワイヤ用リールで巻き取ることができる量が100~200m程度と短く、リール交換が頻繁に必要となるため作業効率が悪いといった課題がある。
【0009】
そこで、本発明は上記課題に鑑み、より安全で作業負担の小さい剥線装置及びこれを用いた電線連続回収システム並びに電線連続回収方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を行っていたところ、電線において鋼心とアルミ素線を分離(剥線)しながら巻き取り回収を行うことで、作業負担が大幅に軽減されることを発見し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち、本発明の一観点に係る電線連続回収システムは、鋼心及び鋼心の周囲に配置されるアルミ素線からなる電線を巻き取る巻取延線装置と、電線において鋼心からアルミ素線を剥線させる剥線装置と、鋼心を巻き取るリールワインダと、を備えるものである。
【0012】
また、本観点においては、限定されるわけでは無いが、剥線装置は、電線を引っ張り込みつつ巻取延線装置の巻取速度に基づき剥線装置の剥線速度を制御する制御装置を備えることが好ましい。
【0013】
また、本観点においては、限定されるわけでは無いが、巻取延線装置が巻き取った電線の張力を検出する張力検出装置を備えることが好ましい。
【0014】
また、本観点においては、限定されるわけでは無いが、剥線装置は、巻取延線装置の巻取速度及び張力検出装置が検出する張力に基づき剥線装置の剥線速度を制御する制御装置を備えることが好ましい。
【0015】
また、本発明の他の一観点に係る電線連続回収方法は、鋼心及び鋼心の周囲に配置されるアルミ素線からなる電線を巻き取るステップ、電線を引っ張り込みつつ電線において鋼心からアルミ素線を剥線させるステップ、鋼心を巻き取るステップ、を有するものである。
【0016】
また、本観点においては、限定されるわけでは無いが、電線を引っ張り込みつつ電線において鋼心からアルミ素線を剥線させるステップは、巻取延線装置の巻取速度に基づき剥線速度を制御することが好ましい。
【0017】
また、本観点においては、限定されるわけでは無いが、電線において鋼心からアルミ素線を剥線させるステップは、電線の張力を検出し、張力に基づき剥線速度を制御することが好ましい。
【0018】
また、本発明の他の一観点に係る剥線装置は、電線を挟送する一対の挟送ローラと、
挟送ローラにより挟送される電線に対して切込を入れる回転刃と、を備える剥線装置であって、回転刃は、一対の挟送ローラの中心位置からずれた位置に配置されているものである。
【0019】
また、本観点においては、限定されるわけでは無いが、鋼心及び鋼心の周囲に配置されるアルミ素線からなる電線であることが好ましい。
【0020】
また、本観点においては、限定されるわけでは無いが、巻取延線車の後方(リールワインダ側)に、鋼心からアルミ素線を剥離させる二次剥線機構を備えることが好ましい。
【0021】
また、本観点においては、限定されるわけでは無いが、二次剥線機構後方(リールワインダ側)に、鋼心から剥離されたアルミ素線を回収するアルミ素線回収機構を備えることが好ましい。
【0022】
また、本観点においては、限定されるわけでは無いが、回転刃は、一対の挟送ローラ間の離間距離を1とした場合、中心から0.3以下の範囲内にあることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
以上、本発明によって、より安全で作業負担の小さい剥線装置及びこれを用いた電線連続回収システム並びに電線連続回収方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】実施形態に係る電線連続回収システムの概略を示す図である。
【
図2】実施形態に係る電線連続回収システムにおいて用いる巻取延線装置の概略を示す図である。
【
図3】実施形態に係る電線連続回収システムで回収される電線の概略を示す図である。
【
図4】実施形態に係る電線連続回収システムの剥線装置の概略を示す図である。
【
図5】実施形態に係る剥線装置が電線に対して入れる切込みのイメージを示す図である。
【
図6】実施形態に係る剥線装置の二次剥線機構の概略を示す図である。
【
図7】実施形態に係る電線連続回収システムの張力検出装置の概略を示す図である。
【
図8】巻取延線装置と剥線装置との間において生じうる電線の張力を説明するための図である。
【
図9】実施形態に係る電線連続回収システムのリールワインダの概略を示す図である。
【
図10】実施形態に係る電線連続回収方法の処理の流れを示す図である。
【
図11】実施例に係る電線連続回収システムの全景(全体)の写真図である。
【
図12】実施例に係る電線連続回収システムの張力検出装置の外観写真図である。
【
図13】実施例に係る電線連続回収システムの制御装置の外観写真図である。
【
図14】実施例に係る電線連続回収システムの二次剥線機構の外観写真図である。
【
図15】実施例に係る電線連続回収システムにより処理される電線の断面写真図である。
【
図16】実施例に係る電線連続回収システムにより回収された鋼心の写真図である。
【
図17】実施例に係る電線連続回収システムにより回収されたアルミ素線の写真図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態、実施例に記載の具体的な例示にのみ限定されるわけでは無い。
【0026】
図1は、本実施形態に係る電線連続回収システム(以下「本システム」という。)Sの概略を示す図である。本システムSは、本図で示すように、電線Wを巻き取る巻取延線装置1と、巻取延線装置1から出てきた電線Wに張力を与え、電線Wにおいて鋼心Cからアルミ素線Aを剥線させる剥線装置2と、鋼心Cを巻き取るリールワインダ3と、を備えるものである。
【0027】
本システムSによる効果については、後述の記載からも明らかであるが、電線を巻取りながらも剥線処理を行うことができるため、軽量化した線材を分離回収することができ、より安全で作業負担の小さい電線連続回収システムとなる。
【0028】
まず、本システムSでは、上記の通り、電線を巻き取る巻取延線装置1を備える。
図2に、本システムSにおいて用いる巻取延線装置1の概略について示しておく。本システムSでは、巻取延線装置1を用いることで、鉄塔に架けられた電線Wを巻取ることが可能となる。また、これより後方(リールワインダ3側)に剥離装置2を用いることで、巻取延線装置1から出てくる電線Wを、鋼心(アルミ素線が剥線された鉄心)に剥線した上で巻き取るリールワインダ3に送ることができるようになる。
【0029】
本図で示すように、巻取延線装置1は、電線Wを巻き取るためのドラム11と、ドラム11を回転可能に支持する支持構造部材12と、ドラム11を回転させる動力部材13と、を備える。すなわち支持構造部材12によって回転可能にドラム11を支持し、このドラム11に電線Wの一部を滑らないよう巻き付け、動力部材13によってドラム11を回転させつつ電線Wを巻き取ることが可能となる。
【0030】
また巻取延線装置1を用いることで、電線Wを適切な張力によって引っ張り、鉄塔から巻き取りつつ、後方(リールワインダ3側)の装置、具体的には剥線装置2に対して適切な力に軽減することが可能となる。すなわち、鉄塔と巻取延線装置1の間の電線Wに加わる張力と、巻取延線装置1と剥線装置2の間の電線Wに加わる張力を異なる状態にすることが可能となる。また特に本システムSでは、後述の張力検出装置4および制御装置を用いることでより精度よく、張力検出装置4を通過する電線の張力の調整ができるようになる。なお、巻取延線装置は、その回転するドラムを備えていることから巻取延線車とも呼ばれる。
【0031】
ところで、本システムSが回収する電線Wは、剥離させて軽量化させることができる限りにおいて限定されるわけでは無いが、鋼心C及び鋼心Cの周囲に配置されるアルミ素線Aからなるものであることが好ましい。
図3に、本システムSで回収される電線Wの概略を示す。なお図中(a)は電線Wの断面を、(b)は電線Wの構造についての斜視概略を示す図である。
【0032】
上記の通り、回収する電線Wの構造については、鋼心Cの周囲にアルミ素線Aが配置されているものであればよいが、本図で示すように、鋼心Cは、細い鋼素線が複数束ねられることにより構成されていることが好ましく、更には複数の細いアルミ素線Aそれぞれがこの鋼心Cの周囲でねじれながら覆っている、いわゆるらせん状に覆っているものであることが好ましい。これにより、電線Wの強度を確保することが可能となっている。本システムSでは、後述の記載からも明らかとなるが、鋼心Cの周囲からアルミ素線Aを効率的に剥線(剥離)することで、鋼心Cとアルミ素線Aを別々に分離回収することが可能となり、リールワインダにおけるリール交換頻度を低減させること等の作業負担を大幅に軽減させることが可能となる。より詳細な内容については以下に詳述する。
【0033】
また、本システムSでは、上記の通り、巻取延線装置1から出てくる電線Wに対し張力を与え、かつ鋼心Cからアルミ素線Aを剥線させる剥線装置2を有している。鋼心Cからアルミ素線Aを剥線(剥離)することで、鋼心のみを効率的に回収することが可能となる。すなわち、巻取延線装置1から出てくる電線Wの単位時間当たりの長さと剥線装置2に入る電線Wの単位時間当たりの長さを適切な値に調整し巻取延線装置1と剥線装置2の間の張力を適切な値に調節することが可能となる。具体的には巻取延線装置1から出てくる単位時間当たりの電線長さに対し剥線装置2に入る電線Wの単位時間当たりの長さ(剥線装置2が処理する電線Wの単位時間当たりの量)を調節することで対応可能となる。
【0034】
ここで
図4に、本システムSの剥線装置2の概略について示す。本図において(a)は剥線装置2の外観を示す図であり、(b)は挟送ローラ21及び回転刃22周囲の拡大図をそれぞれ示す。また、本システムSの剥線装置2の構造は、上記のように鋼心Cからアルミ素線Aを剥線することができる限りにおいて限定されるわけでは無いが、電線を挟送する一対の挟送ローラ21と、挟送ローラ21により挟送される電線Wに対して切込を入れる回転刃22と、挟送ローラ21及び回転刃22を回転駆動させるための動力部材23と、挟送ローラ21、回転刃22及び動力部材23を支持する支持構造部材24と、を備えていることが好ましい。
【0035】
本システムSの剥線装置2において、一対の挟送ローラ21は、電線Wをしっかりと挟み固定しつつ後方(リールワインダ3側)に送り出すための装置である。電線Wを挟み固定することで回転刃22による電線Wに対する切込みを確実なものとすることが可能となる。また、一対の挟送ローラ21は、電線Wに対して回転刃による切込みを入れるための空間を確保することができる限りにおいて限定されず、例えば本図で示すように、水平方向から挟み込むこととしてもよいが、鉛直方向から挟み込むこととしてもよい。なお、水平方向から挟み込む場合は、鉛直方向から回転刃の切り込みを入れることとなり、鉛直方向から挟み込む場合は、水平方向から回転刃の切り込みを入れることになる。さらに、一対の挟送ローラ21において、それぞれの挟送ローラ21を分割し、その間に回転刃22を設置し、挟み込みの方向と切込みの方法を同じくすることも可能である。
【0036】
また、本システムSの剥線装置2において、回転刃22は、上記記載の通り、電線W、より具体的にはアルミ素線Aに対して切込みを入れるためのものである。切込みを入れることでアルミ素線Aを切断し、鋼心Cと分離することができる。ここで切込みの方向としては、電線Wの延伸方向に対して略垂直であってもよいが、電線Wの延伸方向に対して略平行な方向であってもよく、更には、これらの方向から傾けてもよい。電線Wは、一般に、上記した通り鋼心Cの周囲を複数のアルミ素線Aがねじれながららせん状に覆っている。このような場合、電線Wの延伸方向に対して略平行な方向で切れ込みを入れたとしても、各アルミ素線Aに対して十分な切れ込みを入れること、切断することが可能となるため、安定して切断、鋼心Cから剥線することが可能となる。この場合のイメージを
図5に示しておく。
【0037】
ところで、本システムSの剥線装置2では、巻取延線装置1の巻取速度に基づき剥線装置2の剥線速度を制御する制御装置25を備えることが好ましい。本システムSでは、巻取延線装置によって鉄塔から電線Wを巻き取るだけでなく、剥線装置2によって剥線処理を行う。すなわち、それぞれに適正な処理の速度があり、必ずしも一致しない。そのため、この処理の速度を調整するための機構が必要となる。本システムSでは、巻取延線装置1の速度は電線撤去作業の状況に依存するため後方(リールワインダ3側)の剥線装置2の速度を追従させることが重要であり、また、巻取延線装置1の巻取速度を調整することより剥線装置2の方が速度調整が簡便であるため、巻取延線装置1の巻取速度に基づき剥線装置の剥線速度を制御することで、より安定的な処理速度を実現することができるといった利点がある。
【0038】
また、本実施形態において、回転刃22は、一対の挟送ローラの中心位置にあってもよいが、この中心位置からずれた位置に配置されていることも好ましい。このような構成を採用することで、アルミ素線Aが鋼心Cに噛み込んでしまうことによる剥線分離困難な状態を低減させることができるようになる。
【0039】
上記効果を発揮することができる原理について他の作用による効果も存在する可能性があるが以下のようになっていると推測できる。すなわち、まず、中心位置には鋼心Cが存在し、一対の挟送ローラ21によって電線Wが挟持されると、電線Wに対しては当然圧縮力が加わる。そして、仮に回転刃22が中心位置にある場合、回転刃22によってアルミ素線Aは切込みを入れられることになるが、同時に鋼心Cに押し当てられることとなり、鋼心Cとアルミ素線Aは強くかみ合うことになる。そして、電線Wが挟送ローラ21による把持から解放されると鋼心Cも一瞬その圧縮が解けて広がる状態となり再び元の収束した状態に戻るが、その際鋼心Cがアルミ素線Aを噛み込んでしまう状態となる。すなわち、回転刃が中心位置、より具体的には鋼心Cに重複する位置に存在するとこのように噛み込んでしまう可能性があるため、この切込みの位置を中心位置からずらすことで、このような可能性を低くすることができ、より作業効率を向上させることができるようになるといった利点がある。
【0040】
また上記の効果を得る範囲の別の観点からすると、回転刃22は、一対の挟送ローラ間の離間距離を1(ローラ間の対向する面が曲面である場合は、その対向する距離の最大値)とした場合、中心に位置してもよいが、上記の通り、ずらしておくことも好ましい。このずらす量としては、限定されるわけではないが0.3以下、好ましくは0.1以上0.3以下であることが好ましい。この理由としては、一般的に電線Wの中の鋼心Cの径は、電線Wの直径を1とすると0.2から0.5の範囲内に含まれることになる。そのため、中心からのずれ量をこの半分、具体的には0.1から0.3の範囲内にすることで、回転刃22の位置を鋼心Cとこの周囲のアルミ素線Aの境界付近とすること、回転刃22の位置を鋼心Cからずらすことが可能となり、上記のように鋼心Cがアルミ素線Aをかみこんでしまう量を少なくすることが可能となる。一方で、ずれ量が大きすぎると、アルミ素線Aのみを切断することができるが、回転刃22が入らないアルミ素線Aが残ってしまう可能性があるため、0.3以下の範囲とすることで、このおそれを少なくすることができる。なお、ここで一対の挟送ローラ間の離間距離を基準としているのは、電線Wを処理するのは剥線装置2であり、この一対の挟送ローラ間の離間距離は処理する電線Wに応じて定められるため、より客観的にずれ量を規定しやすいためである。
【0041】
また、本システムSの剥線装置2において、限定されるわけでは無いが、後方(リールワインダ3側)に、鋼心Cからアルミ素線Aを剥離させる二次剥線機構26を備えることが好ましい。上記の通り、剥線装置2を用いることで、アルミ素線Aは切込みが入っており、その切込みにより一対の挟送ローラ21から電線Wが解放された場合、アルミ素線Aは自然に剥離して落下することになる。しかしながら、上記のようにアルミ素線Aが鋼心Cに噛み込んでしまっている場合は自然に剥離しない場合がある。このような場合にそのまま後方のリールワインダ3に巻き込まれると鋼心Cに余分な素材が紛れ込んでしまうことになり、またそのリールワインダ3による巻き取りが整わなくなる等の不都合が生じる。そのため、このような場合、作業者による手作業で取り除くことが確実であるが、切断されたアルミ素線の端面は鋭く、この端面に作業者の手が触れることで切り傷を負ってしまう可能性もある。そのため、二次剥線機構26を設けることで、作業者の負担を可能な限り抑えることができる。
【0042】
図6に、本実施形態に係る二次剥線機構26の一例を示す。本図で示すように、二次剥線機構26は、少なくとも、電線Wに押し当てる又は挟み込みを行うとともに電線Wの鋼心Cの周囲に付着して残るアルミ素線Aをはぎ取る剥取部材261を備えていることが好ましい。これにより、作業者の負担を大幅に低減させることができる。具体的には、電線Wに対して押し当てられる押当部材2611を複数備えており、より好ましくは、この押当部材2611は鋼心Cの延伸方向に対して位置をずらして配置され、それぞれ上下左右のいずれかの方向から鋼心Cを押し当てる。このようにすれば鋼心Cを挟み込むとともに、四方から鋼心Cに接触させることが可能であり、鋼心Cの周囲に付着して残るアルミ素線Aに押当部材2611を接触させ、はぎ取ることが可能となる。
【0043】
また、本システムSでは、限定されるわけでは無いが、剥線装置2の後段部分、二次剥線機構26に、鋼心Cから剥離されたアルミ素線Aを回収するアルミ素線回収機構27を備えることが好ましい。アルミ素線Aは鋼心Cから分離されると重力により落下する。これは放置すると二次剥線機構26の下に分断されたアルミ素線Aが堆積し、作業に不具合が生じてしまう。そのため、アルミ素線Aを回収する機構を設けることで、剥線装置2の駆動を阻害しないようにすることが好ましい。
【0044】
アルミ素線回収機構の構造27としては、上記の機能を有する限りにおいて限定されるわけでは無いが、二次剥線機構26の下側に配置される搬送部材271と、搬送部材271が搬送したアルミ素線Aを収容する収容容器272と、を有していることが好ましい。また、搬送部材271の構造としても特に限定されるわけでは無いが、いわゆるベルトコンベアであることが好ましい。ベルトコンベアの場合、回転可能な複数の軸部材2711、複数の軸部材2711を回転可能に支持する支持部材2712、複数の軸部材2711に巻きまわされるベルト2713、ベルト2713を移動させるための動力部材2714と、を有していることが好ましい。このようにすることで、鋼心Cから落下したアルミ素線Aをベルト2713上に落下させ、動力部材2714によってベルト2713により収容容器272まで運ぶことで、作業者の負担を軽減させた状態でアルミ素線Aを収容することができる。なお収容容器27は、袋であってもよく、箱であってもよい。
【0045】
また、本システムSでは、限定されるわけでは無いが、巻取延線装置1が巻き取った電線Wの張力を検出する張力検出装置4を備えることが好ましい。張力検出装置4を設けることで、上記制御装置25の制御をより正確に行うだけでなく、この張力検出装置4は剥線装置2の前段において電線Wを投入するための投入ガイドとしての機能も発揮し、本システムSの安全性を高めることができるようになる。
【0046】
また、上記の張力検出装置4の追加に伴い、上記のように、理想的に張力検出装置1の電線Wの巻取速度及び送出速度と剥線装置2の剥線速度は同一にしておくことで、常に一定の処理を行うことができると考えられるが、実際はその速度を完全に同一にすることは容易ではなく、そのずれは小さいものであっても徐々に蓄積されて大きなずれとなる場合がある。そこで、この巻取延線装置1と剥線装置2の間の電線Wの張りをモニタリングし、調整することでより正確で安全な剥線作業を行うことができる。
【0047】
図7に、本システムSにおける張力検出装置4の概略を示す。本システムSの張力検出装置4は、上記の機能を発揮することができる限りにおいて限定されるわけでは無いが、例えば電線Wに対して負荷をかける錘部材41と、錘部材41を支える支持構造部材42と、錘部材41の位置を検出する検出部材43と、を有して構成されている。より具体的に説明すると、張力検出装置4では、巻取延線装置1と剥線装置2の間の電線Wに対し錘部材41を取り付け、この錘部材41の位置を検出部材43によって検出することで張力を検出する。さらに具体的には、錘部材41によってある程度の錘を付することで電線Wに対して張力を発生させ、この間の電線Wに弛みが生じている場合は錘部材41が下がり、弛みが少ない場合は錘部材41は上がることになる。すなわち、この錘部材41の上下動の位置を検出することでどの程度の張力であるかを検出可能となる。そして、弛みが大きい場合は剥線装置2の剥線速度を速めることが好ましく、弛みが小さい場合は剥線装置2の剥線速度が相対的に速くなっていることを意味するためその速度を緩めることで調整が可能となる。なお、錘部材41は、錘411と、この錘411を吊り上げるとともに、電線W上を滑らかに滑る滑車412とを有していることが好ましい。このようにすることで、電線Wが送られていくとしても地上面に対して固定された位置において滑車412及び錘411を上下動させることが可能となる。またそのため、錘411は、支柱構造部材42に対して上下にスライド可能となっていることが好ましい。また、検出部材43については、錘部材41の位置を検出することができる限りにおいて限定されるわけではないが、例えば、滑車と、この滑車に掛けられ、両側に吊り下げられるチェーンとを備え、チェーンの一方には上記錘411が、他方にはバランスをとるウエイトが接続され、この錘411の上下動の動きに合わせて移動するチェーンの移動量をカウントすることで、このカウント位置に応じて錘部材の位置を検出させる構成としておくことが好ましい一例である。
【0048】
なお、ここで「張力」とは、上記の記載から明らかであるが、電線Wの張力・弛み具合を示す指標であって、より具体的には、巻取延線装置1と剥線装置2の間に生じる張力による電線Wの張り又は弛みを示す。この場合のイメージを
図8に示す。巻取延線装置1と剥線装置2の張力が低い場合は、電線Wがたるんでいるということであり、このまま放置すると地面に電線Wが着く、又は延線巻取装置の巻取に不具合が、剥線装置の剥線処理に不具合が生じてしまうおそれがあるため剥線装置2の剥線速度を向上させることが好ましい。一方で、巻取延線装置1と剥線装置2の張力が高い場合は、電線Wの間に強い張力が働いており、このまま放置すると、巻取延線装置1又は剥線装置2がいずれかに引っ張られて動いてしまう等の大変危険な状態となる恐れがあるため、剥線装置2の剥線速度を遅くすることが好ましい。この調整により、より安全性の高い剥線処理が可能となる。
【0049】
また、本システムSでは、上記の通り、鋼心Cを巻き取るリールワインダ3を備えている。リールワインダは、上記のようにアルミ素線Aが剥離した鋼心Cを巻き取るための装置であり、構成としては、限定されるわけでは無いが、リール31と、このリールを回転可能な状態で支持する支持構造部材32と、リール31を回転させるための動力部材33と、を備えていることが好ましい。本システムSによると、リールワインダ3を設ける一方、このリールワインダ3に鋼心Cのみを巻き取らせることで、アルミ素線と鋼心を分離した状態で保存することができるようになるといった効果がある。また、リールワインダ3は回収している電線が巻取延線装置をスムーズに通過させることが可能で、電線回収作業を安全に行わせる効果もある。
図9に、本システムSにおけるリールワインダ3の概略を示しておく。
【0050】
(方法)
ここで本システムSを用いた電線連続回収方法について説明する。本実施形態に係る電線連続回収方法(以下「本方法」という。)は、限定されるわけでは無いが上記のシステムSによって実現される方法であって、(S1)鋼心及び鋼心の周囲に配置されるアルミ素線からなる電線を巻き取るステップ、(S2)電線において電線を引っ張り込みつつ鋼心からアルミ素線を剥線させるステップ、(S3)鋼心を巻き取るステップ、を有するものである。
【0051】
本方法は、送電線路の撤去作業や複数の鉄塔に張られた電線を張り替える作業において用いられるものであって、古い電線を巻き取って回収する作業(電線回収作業)に有用に用いられる。なお、本方法は、電線を連続的に回収することができるものであるため、「連続回収」という言葉を用いる。
【0052】
またこの電線を後方(リールワインダ3側)に送る前提としては、本明細書の上記背景技術の項で説明したように、例えば、(A)電線を撤去する区間のそれぞれの鉄塔において、電線を「がいし」から外し、耐張鉄塔においては前後径間の電線をワイヤで接続しワイヤを金車と呼ばれる滑車に載せ、懸垂鉄塔においては電線を金車に載せ、(B)前方(送出側)及び後方(リールワインダ3側)の終端鉄塔それぞれにおいて、地上から延ばしたワイヤを電線の終端に接続し、ワイヤあるいは電線を金車に載せ、(C)送出側及び後方(リールワインダ3側)にそれぞれに巻取延線装置を設置し、送出側では巻取延線装置によりワイヤを送り出しつつ、後方(リールワインダ3側)では他の巻取延線装置によりワイヤに張力を与えながらワイヤ及び電線を巻き取って巻取延線装置の更に後方にある剥線装置及びリールワインダによって剥線及び巻き取って回収する。
【0053】
そして本方法は、上記の通り、まず、(S1)鋼心及び鋼心の周囲に配置されるアルミ素線からなる電線を巻き取るステップを備える。このステップは、限定されるわけでは無いが、上記巻取延線装置1によって実現される。
【0054】
また、本方法は、(S2)電線において電線を引っ張り込みつつ鋼心からアルミ素線を剥線させるステップを有する。この剥線させるステップは、限定されるわけでは無いが、上記剥線装置2によって実現される。
【0055】
また、本ステップにおいて、限定されるわけでは無いが、巻取延線装置の巻取速度に基づき剥線速度を制御することが好ましい。この調整は、例えば上記制御装置25によって実現することが可能である。より具体的には、巻取延線装置の巻取速度が剥線装置の剥線速度よりも速い場合は、剥線装置の剥線速度を速くし、巻取延線装置の巻取速度が剥線装置の剥線速度よりも遅い場合は、剥線装置の剥線速度を遅くする等の制御を行い、同じ速度となるように制御することが好ましい。
【0056】
また、本ステップにおいては、限定されるわけでは無いが、更に、電線において鋼心からアルミ素線を剥線させるステップは、電線の張力を検出し、張力に基づき剥線速度を制御することが好ましい。上記の巻取延線装置の巻取速度と剥線装置の剥線速度のみをモニタリングする場合、それ以前に生じていた速度の差による張力がどの程度蓄積されているのかを判断することは困難である。そのため、巻取延線装置と剥線装置の間の電線Wの張力を測定することでその間に生じている不整合を十分に解消することができる。
【0057】
そして、本方法では、最後に、(S3)鋼心を巻き取るステップ、を有する。この工程は、上記のリールワインダ3によって実現することが可能である。
図10に、本電線連続回収方法の処理の流れを示す。
【0058】
以上、本実施形態によって、より作業負担の小さい剥線装置及びこれを用いた電線連続回収システム並びに電線連続回収方法を提供することができる。より具体的に説明すると、まず、本電線連続回収システムでは、巻取延線装置、剥線装置、リールワインダを一本の電線に対し連続的に配置することで、電線撤去、剥線、鋼心回収を連続的に行うことが可能である。また、剥線もアルミ素線を電線Wを切断することなく鋼心からはぎ取ることが可能であり、更にアルミ素線は短く断線させることが可能であり、アルミ素線の回収も容易である。また、本システムでは、張力検出装置4を別に設けることで、巻取延線装置と剥線装置の速度の同期を取りながらもその過程で生じる不可避的に蓄積される誤差を相殺することができるといった利点がある。すなわち、上記の組合せにより、作業者にとって、非常に作業負担が小さく、安全性の高い電線連続回収方法を提供することができる。
【実施例0059】
ここで、上記電線連続回収システムについて実際に作成し、その効果について確認を行った。以下具体的に示す。
【0060】
まず本システムとして、巻取延線装置を設置し、その後方に剥線装置、鋼心を巻き取るリールワインダを配置した。また、巻取延線装置と剥線装置の間に、張力検出装置を配置し、この張力検出装置が検出する張力に基づき剥線装置の処理量を制御する制御装置を設けた。さらに、本システムでは、二次剥線機構を設け、鋼心とアルミ素線の剥離を促進させることとした。この全景について
図11に示すとともに、張力検出装置の外観を
図12に、制御装置の外観について
図13に、さらに、二次剥線機構の外観について
図14にそれぞれ示す。
【0061】
この組み上げたシステムに対し、直径11.4mmの鋼心にアルミ素線が巻き付けられた外径34.2mmの電線(TACSR/AC610SQ:35年の古線)1650mを投入し、処理を行った。
【0062】
この結果、張力検出装置と制御装置の効果的な駆動により、巻取延線装置と剥線装置の間に過剰な張力は生じず、リール7個分の原料を、リール1個分の鋼線と、フレコンバッグ28袋分(充満率 50~60%)のアルミ線に分別回収することができた。処理される前の電線の断面を
図15に、この分別回収された鋼心を
図16に、分別回収されたアルミ素線を
図17にそれぞれ示す。なお、本システムにおいて、他のサイズの電線(直径9.6mmの鋼心にアルミ素線が巻き付けられた外径38.4mmの電線)にした場合も同様の効果を得ることができた。
【0063】
以上、本実施例により、本システムの有効性を確認することができた。なお、本システムにおいて、張力検出装置と制御装置を設けず、巻取延線装置、剥線装置及びリールワインダの構成のみで実施した場合においては、適宜手動にて電線の張力・たわみを検出し、剥線装置の処理量を調整することで上記と同様の処理を行うことができたが、調整を行わずそのまま一定の処理量で放置した場合、たとえ一時的に均衡している状態を得ることができたとしても、時間の経過とともに、剥線装置が引っ張られる、巻取延線装置から送り出される電線Wがたわみすぎて地面に接するなどの不都合が生じ、システムの稼働を一時停止しなければならなかった。すなわち、巻取延線装置、剥線装置及びリールワインダの構成では、一定の効果は得られるものの、張力検出装置と制御装置を設けることによる効果が顕著であることが確認できた。