(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007712
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】織布、及び乗物用内装材
(51)【国際特許分類】
D03D 15/547 20210101AFI20240112BHJP
D03D 1/00 20060101ALI20240112BHJP
G02B 6/00 20060101ALI20240112BHJP
G02B 6/04 20060101ALI20240112BHJP
B60Q 3/217 20170101ALI20240112BHJP
B60Q 3/54 20170101ALI20240112BHJP
B60Q 3/64 20170101ALI20240112BHJP
B60R 13/02 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
D03D15/547
D03D1/00 Z
G02B6/00 331
G02B6/00 326
G02B6/04 A
B60Q3/217
B60Q3/54
B60Q3/64
B60R13/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108970
(22)【出願日】2022-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤森 健太
(72)【発明者】
【氏名】石津 陽平
【テーマコード(参考)】
2H038
2H250
3D023
3K040
4L048
【Fターム(参考)】
2H038AA57
2H038BA44
2H250AH37
2H250CA03
2H250CA26
2H250CD13
3D023BA01
3D023BB08
3D023BC01
3D023BD03
3D023BE25
3K040AA02
3K040CA06
3K040EB01
3K040GA04
3K040GB08
3K040GC01
3K040GC02
3K040GC03
3K040GC04
4L048AB06
4L048AC02
4L048CA00
4L048DA24
4L048DA25
4L048EB00
(57)【要約】
【課題】効率的に発光できる織布、及び乗物用内装材を提供する。
【解決手段】織布4は、複数の第1糸10が前後方向Xに延び、複数の第2糸20が前後方向Xと交わる上下方向Yに延びるように、これら複数の第1糸10と複数の第2糸20とが織られた布状をなしており、第1糸10は、光を前後方向Xに導光するコア11と、コア11の表面11Aを覆うクラッド12と、を備え、クラッド12は、当該クラッド12の表面12Aから窪み、コア11により導光される光を第1糸10の外部に出射する出射部13を備え、複数の第1糸10は、当該織布4の車室内側の面4A側に出射部13が複数表れた形で織られていること。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
織布であって、
複数の第1糸が第1方向に延び、複数の第2糸が前記第1方向と交わる第2方向に延びるように、これら複数の第1糸と複数の第2糸とが織られた布状をなしており、
前記第1糸は、
光を前記第1方向に導光するコアと、
前記コアの表面を覆うクラッドと、を備え、
前記クラッドは、当該クラッドの表面から窪み、前記コアにより導光される光を前記第1糸の外部に出射する出射部を備え、
前記複数の第1糸は、当該織布の一方の面側に前記出射部が複数表れた形で織られている、織布。
【請求項2】
前記第1糸は、複数の前記出射部が前記クラッドの表面において前記第2方向に並んで構成されている、請求項1に記載の織布。
【請求項3】
前記第1糸は、複数の前記出射部が前記クラッドの表面において前記第1方向に並んで構成されており、
前記複数の出射部のうち、隣り合う2つの前記出射部は、前記コアにより導光される光を生ずる光源から遠ざかる位置に配されたものほど、その間の距離が小さくなる、請求項1または請求項2に記載の織布。
【請求項4】
前記出射部は、前記クラッドの表面から前記コアの表面に至るまで窪んでいる、請求項1または請求項2に記載の織布。
【請求項5】
前記出射部は、レーザー照射によりなる窪みとされる、請求項1または請求項2に記載の織布。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の織布が取り付けられたトリム部を備え、
前記複数の第1糸は、前記トリム部における乗物室内側の面側に前記出射部が複数表れた形で織られている、乗物用内装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、織布、及び乗物用内装材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光ファイバーを含んだ織布(光ファイバー織物)として、特許文献1に記載の技術が知られている。具体的に、特許文献1には、芯(コア)と鞘(クラッド)の二層構造から成る光ファイバーを含むよこ糸と、普通糸と、が共に織られた織布が開示されている。この光ファイバーの一端部にLED光源の光を入光させると、織布の一方の面(表面)及び他方の面(裏面)が発光した状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の構成において、例えば他方の面側を構造体に取り付ける等、一方の面側を意匠面とする場合には、他方の面側における発光が必ずしも必要ではなく、その発光が無駄になる可能性がある。仮に、他方の面側から発光をさせず(又は発光を抑制し)、一方の面側から効率的に発光することができれば、一方の面側における輝度を高めることができる。これにより、光ファイバーが導光可能な距離を伸長させ、織布の意匠性を向上させ易くすること、また、光源の出力を抑えることができ、省エネルギー化、発熱の抑制、コスト削減等を実現することが可能となる。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成された技術であって、効率的に発光できる織布、及び乗物用内装材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、織布であって、複数の第1糸が第1方向に延び、複数の第2糸が前記第1方向と交わる第2方向に延びるように、これら複数の第1糸と複数の第2糸とが織られた布状をなしており、前記第1糸は、光を前記第1方向に導光するコアと、前記コアの表面を覆うクラッドと、を備え、前記クラッドは、当該クラッドの表面から窪み、前記コアにより導光される光を前記第1糸の外部に出射する出射部を備え、前記複数の第1糸は、当該織布の一方の面側に前記出射部が複数表れた形で織られている、織布である。
【0007】
このような構成によると、複数の第1糸が、織布の一方の面側に出射部が複数表れた形で、複数の第2糸に織られているので、一方の面側において光を出射(発光)し、他方の面側において光を出射させない(又は、一方の面側よりも他方の面側の輝度を低下させた)織布とすることができる。これにより、一方の面側において効率的に発光可能な織布を提供することができる。
【0008】
上記構成において、前記第1糸は、複数の前記出射部が前記クラッドの表面において前記第2方向に並んで構成されていてもよい。
【0009】
出射部は、クラッドの表面における第2方向(クラッドの円周方向)上に設けられた位置によっては、例えば一方の面に対し(垂直な方向ではなく)斜めに光が出射する等により、部分的に輝度が低下する発光不備が生じる可能性がある。しかしながら、上記のような織布によると、クラッドの表面における第2方向に複数の出射部が並ぶことで、上記発光不備が生ずることを抑制し、より効率的に発光することができる。
【0010】
上記構成において、前記第1糸は、複数の前記出射部が前記クラッドの表面において前記第1方向に並んで構成されており、前記複数の出射部のうち、隣り合う2つの前記出射部は、前記コアにより導光される光を生ずる光源から遠ざかる位置に配されたものほど、その間の距離が小さくなることとしてもよい。
【0011】
このような織布によると、光源から遠ざかるほど、複数の出射部が詰まって配されることとなるので、光源から遠ざかるほど輝度が低下することを防ぐことができる。また、例えば、織布の一方の面全体において、均一な輝度で発光させることが可能となる。
【0012】
上記構成において、前記出射部は、前記クラッドの表面から前記コアの表面に至るまで窪んでいてもよい。
【0013】
このような織布によると、コアにより導光される光がクラッドから出射しやすくなり、輝度を向上させることができる。
【0014】
上記構成において、前記出射部は、レーザー照射によりなる窪みとされていてもよい。
【0015】
布状の織布を構成する第1糸の表面(クラッドの表面)は、比較的小さい。しかしながら、上記のような織布によると、このような比較的小さい第1糸の表面に設けられた出射部であっても、精度よく光を出射可能なものとすることができる。
【0016】
また、本開示は、上記織布が取り付けられたトリム部を備え、前記複数の第1糸は、前記トリム部における乗物室内側の面側に前記出射部が複数表れた形で織られている、乗物用内装材である。
【0017】
このような構成によると、乗物室内側において効率的に発光し、意匠性を向上可能な乗物用内装材を提供することができる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、効率的に発光できる織布、及び乗物用内装材の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態1に係るドアトリムを車室内側から見た図
【
図4】織布の一部の断面図(
図3のIV-IV線断面)
【
図5】レーザー照射によって出射部を形成する態様を示した図
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
本開示の実施形態1を
図1から
図5によって説明する。本実施形態では、自動車(乗物)のドアに取り付けられるドアトリム(乗物用内装材)100、及び織布4について説明する。尚、矢印X方向を前後方向(第1方向)とし、矢印Y方向を上下方向(第1方向に交わる方向である第2方向)とし、矢印Z方向を車室内外方向とする。
図1から
図3では、紙面手前側を車室内側とし、紙面奥側を車室外側とする。
図4及び
図5では、上方を車室内側とし、下方を車室外側とする。
【0021】
図1に示すように、ドアトリム100は、ポリプロピレン等の樹脂からなり、板状のトリム部1と、トリム部1に対し接着剤等を用いて貼り付けられることで取り付けられた織布4と、を備える。トリム部1は、ロアボード1A、ミドルボード1B、及びアッパーボード1C等の複数の板部材に分割されており、これらが互いに組付けられることで、全体として一つの板状体を構成している。尚、トリム部1は、複数の板部材に分割されていなくてもよく、その構成は特に限定されない。
【0022】
織布4は、一方の面(車室内側の面)4Aとは反対側の他方の面(車室外側の面)4B(
図4参照)が、トリム部1のアッパーボード1Cの車室内側面に対し接着剤等を用いて貼り付けられている。
図2及び
図3に示すように、織布4は、複数の第1糸10が前後方向(第1方向)Xに延び、複数の第2糸20が上下方向(第1方向と交わる第2方向)Yに延びるように、これら複数の第1糸10と複数の第2糸20とが互いに織られた布状をなしている。織布4の織り方は、特に限定されず、例えば、平織り、斜文織り、繻子織り等を採用することができる。
【0023】
図2に示すように、織布4は、光源(LED)3と共に発光装置2を構成している。複数の第1糸10は、一方の端部10Aが束ねられて光源3に近接している。発光装置2は、光源3により生じた光を複数の第1糸10の一方の端部10Aから入光させ、織布4の一方の面4Aから車室内側に出射することにより、一方の面4Aが発光する構成とされている。織布4は、トリム部1を発光によって加飾し、意匠性を向上させるものであって、例えば、加飾部材や表皮材等として用いられる。光源3は、例えば、トリム部1の車室外側面に取り付けられる。尚、
図2(及び
図6)では、後述する出射部13の位置を模式的に記載しており、実際には、
図3に示すように、出射部13は第1糸10の表面12Aに形成されている。
【0024】
図4に示すように、第1糸10は、光源3から生ずる光を前後方向Xに導光するコア11と、コア11の表面(コア11の周囲の面)11Aを覆うクラッド12と、を備える光ファイバーとされる。コア11の材料としては、光を導光することができるものであれば、特に限定されないが、例えばアクリル樹脂を採用することができる。クラッド12の材料としては、コア11よりも屈折率が低いものであれば、特に限定されないが、例えばフッ素含有樹脂を採用することができる。第2糸20の材料としては、特に限定されないが、例えばポリエチレンテレフタラート(PET)樹脂を採用することができる。第1糸10及び第2糸20は、単一の糸であってもよく、複数の糸が撚られて1本の糸をなしていてもよい。
【0025】
コア11の径方向における断面の直径は、特に限定されないが、例えば、50μm以上としてもよく、100μm以上としてもよく、150μm以上としてもよく、500μm以下としてもよく、300μm以下としてもよく、250μm以下としてもよく、200μmとしてもよい。クラッド12の厚み(コア11の表面11Aからの高さ)は、特に限定されないが、例えば、1μm以上としてもよく、3μm以上としてもよく、5μm以上としてもよく、40μm以下としてもよく、35μm以下としてもよく、25μm以下としてもよい。このような構成によれば、導光される光を好適に出射可能な出射部13を有する第1糸10とすることができる。
【0026】
図3及び
図4に示すように、クラッド12は、クラッド12の車室内側の面である表面12Aからコア11の表面11Aに至るまで窪み(クラッド12の厚み方向に孔状に貫通形成され)、コア11により導光される光を第1糸10の外部に出射する複数の出射部13を備える。複数の第1糸10は、織布4の一方の面4A側(
図2参照)であって、トリム部1の車室内側の面(アッパーボード1Cの車室内側の面1C1)側に出射部13が複数表れた形で織られている。本実実施形態では、出射部13は、クラッド12の車室外側の面である裏面12Bには形成されていない。尚、出射部13は、クラッド12の裏面12Bに形成されていてもよいが、その場合、出射部13は、クラッド12の表面12Aよりも裏面12Bの方が少ない数で形成されていることとする。出射部13の直径(孔径)は、特に限定されないが、5μm以上としてもよく、10μm以上としてもよく、15μm以上としてもよく、40μm以下としてもよく、30μm以下としてもよく、25μm以下としてもよく、20μmとしてもよい。
【0027】
図2から
図4に示すように、第1糸10は、複数の出射部13がクラッド12の表面12Aにおいて前後方向X、及び上下方向Yに沿って並んで構成されている。
図2に示すように、複数の出射部13のうち、隣り合う2つの出射部は、光源3から遠ざかる位置に配されたものほど、その間の距離が小さくなる。具体的には、複数の出射部13のうち、上下に延びる直線E,F,Gに沿って並んだものをそれぞれ第1群13E,第2群13F,第3群13Gとした場合に、第2群13Fと第3群13Gとの間の距離L2は、第1群13Eと第2群13Fとの間の距離L1よりも小さい(直線Fと直線Gとの間の距離L2は、直線Eと直線Fとの間の距離L1よりも小さい)。尚、第2群13Fは、第1群13Eよりも光源3から遠い位置に配された複数の出射部13の列である。第3群13Gは、第2群13Fよりも光源3から遠い位置に配された複数の出射部13の列である。
【0028】
図3に示すように、一本の第1糸10の表面12Aには、上下方向Yに沿って並んだ複数の出射部13であって、第1出射部13A、第2出射部13B、及び第3出射部13Cが設けられている。第2出射部13Bは、第1出射部13Aと第3出射部13Cとの間に設けられている。一本の第1糸10の表面12Aにおいて上下方向Yに並んだ任意の3つの出射部13A,13B,13C(これらを13Mとして示す)は、その隣(
図3では下方)に位置する第1糸10の3つの出射部13A,13B,13C(これらを13Nとして示す)と上下方向Yに沿って並んでおり、同一直線上(例えば、
図2における直線E,F,G等の直線上)に位置している。
【0029】
図5に示すように、織布4は、布体5を作製する第1工程と、布体5の一方の面に対しレーザーを照射して織布4を作製する第2工程と、を経ることで製造される。第1工程では、第1糸10と第2糸20とを織機を用いて布状に織り、布体5を作製する。第2工程では、レーザー装置30を用いて布体5の一方の面(織布4において車室内側の面)にレーザーを照射し、複数の出射部13を形成することで、織布4を製造する。出射部13は、レーザー装置30のレーザー照射によりなる窪みとされる。
【0030】
レーザー装置30は、レーザーを生ずるレーザー生成部31と、反射部33及びレンズ34を有するスキャナー部32と、を備える。スキャナー部32は、レーザー生成部31から生じたレーザーを反射部33によって任意の方向に反射させてレンズ34から外部に出射させることで、布体5の任意の位置にレーザーを照射する。クラッド12の表面12Aにレーザーが照射されると、当該照射された部分が溶融、蒸発等することにより、出射部13が形成される。レーザー装置30から布体5に照射されるレーザーは、例えば、波長が342nm、パルス幅が200fsとすることができる。このような構成によると、クラッド12に複数の出射部13を好適に形成させることができる。また、コア11や第2糸20がレーザー照射によって損傷することを抑制することができる。
【0031】
続いて、本実施形態の効果について説明する。本実施形態では、織布4であって、複数の第1糸10が前後方向Xに延び、複数の第2糸20が前後方向Xと交わる上下方向Yに延びるように、これら複数の第1糸10と複数の第2糸20とが織られた布状をなしており、第1糸10は、光を前後方向Xに導光するコア11と、コア11の表面11Aを覆うクラッド12と、を備え、クラッド12は、当該クラッド12の表面12Aから窪み、コア11により導光される光を第1糸10の外部に出射する出射部13を備え、複数の第1糸10は、当該織布4の車室内側の面4A側に出射部13が複数表れた形で織られている、織布4を示した。
【0032】
このような構成によると、複数の第1糸10が、織布4の車室内側の面4A側に出射部13が複数表れた形で、複数の第2糸20に織られているので、車室内側の面4A側において光を出射(発光)し、他方の面4B側において光を出射させない(又は、車室内側の面4A側よりも他方の面4B側の輝度を低下させた)織布4とすることができる。これにより、車室内側の面4A側において効率的に発光可能な織布4を提供することができる。
【0033】
第1糸10は、複数の出射部13がクラッド12の表面12Aにおいて上下方向Yに並んで構成されている。
【0034】
出射部13は、クラッド12の表面12Aにおける上下方向Y(クラッド12の円周方向)上に設けられた位置によっては、例えば車室内側の面12Aに対し(垂直な方向ではなく)斜めに光が出射する等により、部分的に輝度が低下する発光不備が生じる可能性がある。しかしながら、上記のような織布4によると、クラッド12の表面12Aにおける上下方向Yに複数の出射部13が並ぶことで、上記発光不備が生ずることを抑制し、より効率的に発光することができる。
【0035】
第1糸10は、複数の出射部13がクラッド12の表面12Aにおいて前後方向Xに並んで構成されており、複数の出射部13のうち、隣り合う2つの出射部13は、コア11により導光される光を生ずる光源3から遠ざかる位置に配されたものほど、その間の距離が小さくなる。
【0036】
このような織布4によると、光源3から遠ざかるほど、複数の出射部13が詰まって配されることとなるので、光源3から遠ざかるほど輝度が低下することを防ぐことができる。また、例えば、織布4の車室内側の面4A全体において、均一な輝度で発光させることが可能となる。
【0037】
出射部13は、クラッド12の表面12Aからコア11の表面11Aに至るまで窪んでいる。
【0038】
このような織布4によると、コア11により導光される光がクラッド12から出射しやすくなり、輝度を向上させることができる。
【0039】
出射部13は、レーザー照射によりなる窪みとされる。
【0040】
布状の織布4を構成する第1糸10の表面(クラッド12の表面12A)は、比較的小さい。しかしながら、上記のような織布4によると、このような比較的小さい第1糸10の表面12Aに設けられた出射部13であっても、精度よく光を出射可能なものとすることができる。
【0041】
また、本実施形態では、上記織布4が取り付けられたトリム部1を備え、複数の第1糸10は、トリム部1における車室内側の面1C1側に出射部13が複数表れた形で織られている、ドアトリム100を示した。
【0042】
このような構成によると、車室内側において効率的に発光し、意匠性を向上可能なドアトリム100を提供することができる。
【0043】
<実施形態2>
次に、本開示の実施形態2を
図6によって説明する。尚、本実施形態では、上記実施形態と同じ部位には、同一の符号を用い、構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0044】
織布104は、複数の第1糸110が前後方向(第1方向)Xに延び、複数の第2糸20が上下方向(第1方向と交わる第2方向)Yに延びるように、これら複数の第1糸110と複数の第2糸20とが互いに織られた布状をなしている。第1糸110は、コアとコアを覆うクラッドとからなる光ファイバーとされる。第1糸110は、クラッドの表面から窪み、コアを導光される光が出射する複数の出射部113を備える。織布104は、光源3と共に発光装置102を構成している。
【0045】
織布104には、複数の出射部113を備えた第1部113Aと、複数の出射部113を備え、第1部113Aよりも光源3から遠ざかる位置に配された第2部113Bと、に区分される。第1部113Aでは、複数の出射部113が前後方向及び上下方向において等間隔となるように並んでいる。第1部113Aにおいて、任意の列の出射部113(上下方向に並んだ出射部113)は、その前後側に位置する列の出射部113に対しその位置が互い違いになる(上下方向にズレる)ように配されている。第2部113Bでは、上記実施形態1と同様に、複数の出射部113のうち、隣り合う2つの出射部は、光源3から遠ざかる位置に配されたものほど、その間の距離が小さくなる。
【0046】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されず、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0047】
(1)上記実施形態以外にも、第1糸の構成は適宜変更可能である。例えば、コアは、第1コアと、第1コアの表面を覆う第2コアと、の2層からなるものであってもよい。また、第1糸は、線状の複数のコアを備えていてもよい。さらに、第1糸は、光ファイバーと光ファイバー以外の糸とが撚られてなるものであってもよい。
【0048】
(2)織布は、第1糸及び第2糸以外にも、その他の糸と共に織られて布状をなしていてもよい。例えば、織布は、複数の第1糸及び第3糸が第1方向に延び、複数の第2糸及び第4糸が第2方向に延びるように、これら複数の第1糸と複数の第2糸と複数の第3糸と複数の第4糸とが互いに織られた布状をなしていてもよい。織布は、第1糸(光ファイバー)の裏面(乗物室外側の面)に、第3糸や第4糸等のその他の糸が配されるように織られていてもよい。
【0049】
(3)上記実施形態では、一つの第1糸の表面において、上下方向に沿って形成される出射部は3つ(第1出射部、第2出射部、及び第3出射部)としたが、これに限定されない。例えば、一つの第1糸の表面において、上下方向に沿って形成される出射部は、2つでもよく、4つでもよく、5つ以上であってもよい。尚、一つの第1糸の表面において、上下方向に沿って形成される出射部が多いほど、光が斜めに出射されることによる発光不備を抑制し、より効率的に発光することができる。
【0050】
(4)上記実施形態では、乗物用内装材としてドアトリムを例示したが、これに限定されない。乗物用内装材としては、例えば、クォータートリム、サイドトリム、インストルメントパネル、天井材、ピラーガーニッシュ等、その他の内装材であってもよい。
【0051】
(5)上記実施形態で例示した織布、及び乗物用内装材は、車両用に限定されず、種々の乗物において提供されてもよい。例えば、地上の乗物としての列車や遊戯用車両、飛行用乗物としての飛行機やヘリコプター、海上や海中用乗物としての船舶や潜水艇などの乗物についても上記織布、及び乗物用内装材を適用することができる。
【0052】
(6)上記実施形態で例示した織布は、乗物用内装材以外にも、建物、住宅、施設、ビル等の側壁用布、家具等の装飾用布として適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1…トリム部、3…光源、4,104…織布、10,110…第1糸、11…コア、12…クラッド、13,113…出射部、20…第2糸、100…ドアトリム(乗物用内装材)、X…前後方向(第1方向)、Y…上下方向(第2方向)