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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077136
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】携帯用加工機用作業台
(51)【国際特許分類】
   B25H 1/02 20060101AFI20240531BHJP
   B23D 47/02 20060101ALI20240531BHJP
   B23D 47/04 20060101ALI20240531BHJP
   B23Q 9/00 20060101ALI20240531BHJP
   B27B 5/18 20060101ALI20240531BHJP
   B27B 27/08 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
B25H1/02
B23D47/02
B23D47/04 C
B23Q9/00 Z
B27B5/18
B27B27/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189002
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 佳弘
【テーマコード(参考)】
3C012
3C040
【Fターム(参考)】
3C012BB03
3C040AA01
3C040BB00
(57)【要約】
【課題】長尺定規を昇降可能に支持する携帯用加工機用の作業台であって、長尺定規を昇降させる作業性の良好な作業台が必要とされている。
【解決手段】携帯用加工機用の長尺定規7が取付けられる携帯用加工機用の作業台1は、被加工材Wが載置されるテーブル10を有する。作業台1は、テーブル10の前部または後部に移動可能に設けられる可動アーム23を有する。作業台1は、可動アーム23に支持されて可動アーム23の移動によりテーブル10に対して上下動し、かつ長尺定規7の前部または後部が取付けられる定規支持部20を有する。作業台1は、定規支持部20と一体に設けられかつ作業者に把持されるハンドル28を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯用加工機用長尺定規が取付けられる携帯用加工機用作業台であって、
被加工材が載置されるテーブルと、
前記テーブルの前部または後部に移動可能に設けられる可動アームと、
前記可動アームに支持されて前記可動アームの移動により前記テーブルに対して上下動し、かつ前記長尺定規の前部または後部が取付けられる定規支持部と、
前記定規支持部と一体に設けられかつ作業者に把持されるハンドルを有する携帯用加工機用作業台。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯用加工機用作業台であって、
前記可動アームは、前記テーブルに回転可能に連結される下連結部と前記定規支持部に回転可能に連結される上連結部を有する携帯用加工機用作業台。
【請求項3】
請求項2に記載の携帯用加工機用作業台であって、
前記可動アームとして前記テーブルの前部に移動可能に設けられる前アームと、
前記可動アームとして前記テーブルの後部に移動可能に設けられる後アームと、
前記定規支持部として前記前アームに支持される前定規支持部と、
前記定規支持部として前記後アームに支持される後定規支持部を有し、
前記前アームと前記後アームは、それぞれの前記下連結部を中心として前後方向にかつ同じ方向に回転する携帯用加工機用作業台。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の携帯用加工機用作業台であって、
前記ハンドルは、前記可動アームの上部と同じ高さに設けられる携帯用加工機用作業台。
【請求項5】
請求項2または3に記載の携帯用加工機用作業台であって、
前記ハンドルは、前記上連結部と同じ高さに設けられる携帯用加工機用作業台。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載の携帯用加工機用作業台であって、
前記定規支持部は、前記ハンドルが前記テーブルから離れる方向に引っ張られることで上動し、前記ハンドルが前記テーブルに向けて押されることで下動する携帯用加工機用作業台。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つに記載の携帯用加工機用作業台であって、
前記可動アームは、前記定規支持部の左部を支持する左アーム片と、前記定規支持部の右部を支持する右アーム片を含み、
前記定規支持部は、前記長尺定規の左右幅内に収まるように前記長尺定規と連結され、
前記ハンドルは、前記定規支持部から水平方向に延出する携帯用加工機用作業台。
【請求項8】
請求項7に記載の携帯用加工機用作業台であって、
前記左アーム片は、前記定規支持部の左部に回転可能に連結される左上連結部を有し、
前記右アーム片は、前記定規支持部の右部に回転可能に連結される右上連結部を有し、
前記ハンドルは、前記定規支持部の前記左部から水平方向に突出する左突出部と、前記定規支持部の前記右部から水平方向に突出する右突出部と、前記左突出部の先端と前記右突出部の先端の間を連結するグリップを有する携帯用加工機用作業台。
【請求項9】
請求項2,3,5のいずれか1つに記載の携帯用加工機用作業台であって、
前記可動アームが前記下連結部を中心に回転して、前記定規支持部が下方位置から上死点を通過する構成であり、
前記定規支持部が前記上死点を越えた位置において前記可動アームの回転を規制して前記定規支持部を前記下方位置よりも高い待機位置で保持するストッパが設けられる携帯用加工機用作業台。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1つに記載の携帯用加工機用作業台であって、
前記テーブルの上方にて起立して前記被加工材の端面が当接されるフェンスと、
前記フェンスを支持しかつ前記テーブルに水平方向に移動可能に装着されるフェンス移動機構を有する携帯用加工機用作業台。
【請求項11】
請求項10に記載の携帯用加工機用作業台であって、
前記フェンス移動機構は、前記テーブルに移動可能に装着される移動台と、前記移動台に対して水平方向に回転可能でかつ前記フェンスを支持する回転台を有する携帯用加工機用作業台。
【請求項12】
請求項10または11に記載の携帯用加工機用作業台であって、
前記フェンス移動機構は、前記フェンスの後方に設けられかつ前記テーブルに移動可能に装着される移動台と、
前記移動台から前記フェンスの前方に延出しかつ前記被加工材を解除可能に上方から押圧するバイスを有する携帯用加工機用作業台。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1つに記載の携帯用加工機用作業台であって、
前記テーブルに水平方向に移動可能に装着され、前記テーブルから離間することで前記テーブルの載置面を補助する延長テーブルを有する携帯用加工機用作業台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば木材等の被加工材を例えば携帯用マルノコ等の携帯用加工機で切削加工する際に用いられる携帯用加工機用作業台に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば携帯用マルノコと称される携帯用加工機は、略矩形板状のベースと、ベースの上方に支持される加工機本体を有する。加工機本体には、ベースの下面の下方へ突出可能な略円板形の刃具が回転可能に支持される。作業者は、ベースの下面を被加工材に当接させかつ刃具を回転させた状態で携帯用加工機を刃具の側面に沿った切断進行方向へ移動させる。これによりベースの下面から下方へ突出した刃具は、切断進行方向に沿って被加工材を切断する。
【0003】
長尺定規を用いて携帯用加工機の移動を直線状に案内し、被加工材を真っ直ぐに切断する場合がある。長尺定規の上面には、長尺定規の長手方向に直線状に延出しかつ上方に向けて凸形状のレールが設けられる。携帯用加工機のベースの下面には、前後方向に直線状に延出しかつ上方に向けて凹形状のレール係合部が設けられる。長尺定規を被加工材の上面に載せ、ベースのレール係合部を長尺定規のレールに係合させる。これにより携帯用加工機は、レールの延出方向に沿って直線状に案内される。
【0004】
従来、特許文献1に記載されるように、長尺定規を昇降可能に支持する作業台が提供されている。作業台のテーブルには被加工材が載置される。長尺定規は、下動することで被加工材の上面に当接する。長尺定規が被加工材の上面に当接する状態で、上述のように携帯用加工機を長尺定規で案内できる。長尺定規は、上動することで被加工材の上面から離間する。長尺定規を被加工材から離間させることで、被加工材の移動や他の被加工材との交換を行うことができる。
【0005】
特許文献1に記載の長尺定規は、以下のような定規移動機構によって上下動する。定規移動機構は、作業台の前端と後端で作業台に対して回転可能に支持されるシャフトを有する。各シャフトの中央部分には、作業台に回転可能に連結される回転軸が設けられる。各シャフトの一端には、長尺定規の前端または後端と連結される定規連結部が設けられる。各シャフトの他端には、作業者が把持可能なハンドルが設けられる。作業者がハンドルを把持して上下動させることで、シャフトが回転軸回りに回転する。定規支持部は、梃子の原理によってハンドルが上動する際に下動し、ハンドルが下動する際に上動する。
【0006】
特許文献1に記載される従来の作業台には様々な課題があった。例えば長尺定規が自重で下がる場合がある。長尺定規が下動すると、梃子の原理によってハンドルが自動的に上動する。そのため作業者は、ハンドルの上動に対して注意して作業する必要があった。また、長尺定規を下動させるためにハンドルを上動させ、長尺定規を上動させるためにハンドルを下動させる。そのためハンドル操作が長尺定規の上下動に対して直感的でなく、作業性に改善の余地があった。さらに特許文献1に記載の作業台は、シャフトが回転可能なスペースを必要とする。そのため、例えば作業台の脚部を収納し、テーブルのみの状態で床や他の台に載置して使う、といった使用方法が困難である。したがって作業台の利便性に改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5818189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって長尺定規を昇降可能に支持する携帯用加工機用の作業台であって、長尺定規を昇降させる作業性の良好な作業台が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の1つの特徴は、携帯用加工機用長尺定規が取付けられる携帯用加工機用作業台に関する。作業台は、被加工材が載置されるテーブルを有する。作業台は、テーブルの前部または後部に移動可能に設けられる可動アームを有する。作業台は、可動アームに支持されて可動アームの移動によりテーブルに対して上下動し、かつ長尺定規の前部または後部が取付けられる定規支持部を有する。作業台は、定規支持部と一体に設けられかつ作業者に把持されるハンドルを有する。
【0010】
したがって長尺定規と定規支持部は、上下に同じ方向に移動する。さらに定規支持部とハンドルが一体に設けられるため、定規支持部とハンドルも上下に同じ方向に移動する。そのためハンドルと長尺定規の上下動の方向が一致する。これによりハンドルを直感的に操作し易い。また、長尺定規が自重で下動する際、長尺定規とハンドルが一体的に下動する。そのためハンドルは不用意に上動することがない。かくして長尺定規を昇降させる作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施例に係る携帯用加工機用の作業台の斜視図であって、定規支持部が待機位置へ移動した状態を示す斜視図である。
図2】定規支持部が下方位置へ移動した状態を示す作業台の斜視図である。
図3】定規支持部が待機位置へ移動した状態を示す作業台の右側面図である。
図4】定規支持部が下方位置へ移動した状態を示す作業台の右側面図である。
図5】定規支持部が待機位置へ移動した状態を示す作業台の上面図である。
図6】定規支持部が下方位置へ移動した状態を示す作業台の上面図である。
図7】定規支持部が待機位置へ移動した状態を示す作業台の前面図である。
図8】待機位置へ移動した前定規支持部の斜視図である。
図9】下方位置へ移動した前定規支持部の斜視図である。
図10】待機位置へ移動した後定規支持部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の他の特徴によると可動アームは、テーブルに回転可能に連結される下連結部と定規支持部に回転可能に連結される上連結部を有する。したがって可動アームの回転を利用して、ハンドルを略水平に移動させる力を、定規支持部および長尺定規を昇降させる力に変換できる。そのため小さな操作力で定規支持部および長尺定規をスムーズに昇降させることができる。
【0013】
本開示の他の特徴によると携帯用加工機用作業台は、可動アームとしてテーブルの前部に移動可能に設けられる前アームを有する。作業台は、可動アームとしてテーブルの後部に移動可能に設けられる後アームを有する。作業台は、定規支持部として前アームに支持される前定規支持部を有する。作業台は、定規支持部として後アームに支持される後定規支持部を有する。前アームと後アームは、それぞれの下連結部を中心として前後方向にかつ同じ方向に回転する。したがって前アームに支持される前定規支持部と、後アームに支持される後定規支持部は、略同じ動きで移動する。そのため前定規支持部と後定規支持部に支持される長尺定規は、前後方向に略水平に延出した姿勢を維持して昇降できる。これにより長尺定規を被加工材の上面に安定的に載せることができる。
【0014】
本開示の他の特徴によるとハンドルは、可動アームの上部と同じ高さに設けられる。したがってハンドルと可動アームの上部は、略同じ動きで移動する。そのためハンドルを移動させる操作を違和感なく可動アームの移動に変換できる。これにより可動アームに移動可能に支持される定規支持部および長尺定規をスムーズに上下動させることができる。
【0015】
本開示の他の特徴によるとハンドルは、上連結部と同じ高さに設けられる。したがってハンドルと上連結部は、略同じ動きで移動する。上連結部が移動することで、可動アームは下連結部を中心に回転する。そのためハンドルを移動させる操作を違和感なく可動アームの回転に変換できる。これにより上連結部で可動アームと連結される定規支持部をスムーズに上下動させることができる。
【0016】
本開示の他の特徴によると定規支持部は、ハンドルがテーブルから離れる方向に引っ張られることで上動し、ハンドルがテーブルに向けて押されることで下動する。したがって長尺定規を上動させる際、長尺定規にはテーブルから離れる方向に引っ張る操作力が作用する。そのため長尺定規が撓むことを抑制しながら長尺定規を移動させることができる。長尺定規を下動させる際には、長尺定規の自重を利用してハンドルをテーブルに向けて軽く押すことで定規支持部および長尺定規が移動する。そのため小さな操作力で長尺定規を下動させることができる。
【0017】
本開示の他の特徴によると可動アームは、定規支持部の左部を支持する左アーム片と、定規支持部の右部を支持する右アーム片を含む。定規支持部は、長尺定規の左右幅内に収まるように長尺定規と連結される。ハンドルは、定規支持部から水平方向に延出する。したがって可動アームと定規支持部を左右方向にコンパクトに設けることができる。さらにハンドルを水平方向に延出させることで、長尺定規の上面に携帯用加工機を載置して加工作業をする際にハンドルが邪魔になることを抑制できる。しかも左アーム片と定規支持部と右アーム片でアーチ状の構造を形成することにより、長尺定規を安定した姿勢で支持することができる。
【0018】
本開示の他の特徴によると左アーム片は、定規支持部の左部に回転可能に連結される左上連結部を有する。右アーム片は、定規支持部の右部に回転可能に連結される右上連結部を有する。ハンドルは、定規支持部の左部から水平方向に突出する左突出部を有する。ハンドルは、定規支持部の右部から水平方向に突出する右突出部を有する。ハンドルは、左突出部の先端と右突出部の先端の間を連結するグリップを有する。したがってグリップを水平方向に移動させる操作力を、左突出部を介して左上連結部に伝達でき、かつ右突出部を介して右上連結部に伝達できる。そのためグリップを移動させる操作力を効率良く左アーム片と右アーム片の回転に変換できる。これにより小さい力で定規支持部および長尺定規を昇降させることができる。
【0019】
本開示の他の特徴によると可動アームが下連結部を中心に回転して、定規支持部が下方位置から上死点を通過する構成である。作業台には、定規支持部が上死点を越えた位置において可動アームの回転を規制して定規支持部を下方位置よりも高い待機位置で保持するストッパが設けられる。したがって定規支持部と長尺定規を上動させる際には、上死点を通過するまで持ち上げることで、定規支持部と長尺定規を待機位置まで自重を利用して移動させることができる。そのため小さい操作力で定規支持部と長尺定規を上動させることができる。定規支持部と長尺定規を下動させる際には、待機位置から上死点を通過させるまでは、定規支持部と長尺定規が自重で勝手に下方位置へ移動してしまうことがない。そのため定規支持部と長尺定規が不用意に下動することを抑制できる。
【0020】
本開示の他の特徴によると携帯用加工機用作業台は、テーブルの上方にて起立して被加工材の端面が当接されるフェンスを有する。作業台は、フェンスを支持しかつテーブルに水平方向に移動可能に装着されるフェンス移動機構を有する。したがってフェンスを所定の位置に移動させることで、被加工材をテーブル上で好適な位置で位置決めできる。さらに位置決めされた被加工材の上面に長尺定規をスムーズに載置できる。そのため被加工材を加工する作業性を向上させることができる。
【0021】
本開示の他の特徴によるとフェンス移動機構は、テーブルに移動可能に装着される移動台と、移動台に対して水平方向に回転可能でかつフェンスを支持する回転台を有する。したがってフェンスを移動させる位置とフェンスの姿勢の自由度が高くなる。そのため被加工材をテーブル上で好適な位置と姿勢で容易に位置決めすることができる。
【0022】
本開示の他の特徴によるとフェンス移動機構は、フェンスの後方に設けられかつテーブルに移動可能に装着される移動台を有する。フェンス移動機構は、移動台からフェンスの前方に延出しかつ被加工材を解除可能に上方から押圧するバイスを有する。したがって移動台は、フェンスの後方においてフェンスを安定的に支持することができる。バイスは、テーブル上において安定している移動台に支持される。そのため被加工材をバイスで上方から押圧することで、テーブル上における被加工材の安定性を高めることができる。
【0023】
本開示の他の特徴によると携帯用加工機用作業台は、テーブルに水平方向に移動可能に装着され、テーブルから離間することでテーブルの載置面を補助する延長テーブルを有する。したがってテーブルの載置面よりも長いあるいは広い被加工材を安定的にテーブルに載置することができる。
【0024】
本開示の一つの実施例を図1~10に基づいて説明する。本実施例の携帯用加工機用の作業台1は、いわゆるプランジマルノコと称される携帯用加工機2で被加工材Wを切断加工する際に用いられる。図1に示すように作業台1は、矩形平板状で水平方向に延出するテーブル10と、テーブル10を下方から支持する複数の脚部11を有する。テーブル10には、携帯加工機用の長尺定規7がテーブル10の上方で上下に移動可能に取付けられる。
【0025】
図2に示すように携帯用加工機2は、略矩形の板状のベース3と、ベース3の上方に支持される加工機本体4を有する。加工機本体4には、回転可能に支持された略円板状の刃具5と、使用者が把持するハンドル部4aが設けられる。刃具5は、チップソー(tipped saw blade)と称される丸鋸刃である。ベース3の下面には、ベース3を長尺定規7の上面(載置面)7aに載せた時に後述するレール7bと係合するレール係合部3aが設けられる。レール係合部3aは、刃具5の側面の延出方向(前後方向)に延出する。
【0026】
図2に示すように加工機本体4は、ベース3に対して上下に揺動可能に設けられる。加工機本体4を下方へ揺動させた時、刃具5がベース3の下面よりも下方へ突出する。被加工材W(図3参照)をテーブル10の上面10aに載置しかつベース3を被加工材Wの上面に載せた状態で、刃具5を回転させながらベース3の下方へ突出させる。これにより回転する刃具5が被加工材Wに切り込まれる。さらにハンドル部4aを把持して携帯用加工機2を切断進行方向前方へ移動させる。これにより被加工材Wは、携帯用加工機2を移動させる切断方向に切断される。以下の説明において、使用者が位置する手前側を前方とし、使用者から見て奥側を後方とする。上下左右方向については、手前側に位置する使用者から見た視点で規定する。
【0027】
図1,2に示すように長尺定規7は、前後方向を長手方向としてテーブル10に取付けられる。長尺定規7の上面7aには、前後方向に直線状に延出しかつ上方に向けて凸形状のレール7bと、前後方向に延出する摺動部7cが設けられる。摺動部7cは、ベース3の下面と小さい摩擦力で摺動する。そのため携帯用加工機2を長尺定規7の長手方向にスムーズに移動させることができる。長尺定規7の下面7d(図3参照)は、テーブル10の上面10aに載置された被加工材Wの上面と当接する。長尺定規7の右端縁の刃具側端面7eは、レール7bと平行に延出する。そのため刃具5は、刃具側端面7eの延出方向に沿って被加工材Wを切断する。
【0028】
図1,2に示すように脚部11は、作業台1の左部に2つ、右部に2つ、計4つ設けられる。各脚部11は、それぞれ直線状に延出する柱状に形成される。4つの脚部は、それぞれテーブル10の4つの角部から下方へ延出する。左部の2つの脚部11と右部の2つの脚部11は、それぞれX字状に交差して係合する。左部の2つの脚部11と右部の2つの脚部11は、左右方向に直線状に延出する脚部連結部12で連結される。脚部連結部12は、各脚部11の中央部分を連結する中央部連結部12aと、各脚部11の下部を連結する下部連結部12b,12cを含む。中央部連結部12aは、左部の2つの脚部11が交差する箇所と、右部の2つの脚部11が交差する箇所とを左右方向に連結する。下部連結部12bは、作業台1の前部において左部の脚部11の下部と、右部の脚部11の下部とを左右方向に連結する。下部連結部12cは、作業台1の後部において左部の脚部11の下部と、右部の脚部11の下部とを左右方向に連結する。
【0029】
図1,5に示すようにテーブル10の左右端には、テーブル10の前端から後端まで前後方向に直線状に延出する凹形状の前後スライドレール17が設けられる。テーブル10の左端に左レール17aが設けられ、テーブル10の右端に右レール17bが設けられる。テーブル10の前後端には、テーブル10の左端から右端まで左右方向に直線状に延出する凹形状の左右スライドレール18が設けられる。テーブル10の前端に前レール18aが設けられ、テーブル10の後端に後レール18bが設けられる。左レール17a、右レール17b、前レール18a、および後レール18bには、後述するフェンス移動機構30の移動台33が取外し可能に装着される。装着された移動台33は、各レールの延出方向にスライド可能である。テーブル10の前部10bには、前レール18aよりも下方において水平方向にループ形状に延出するテーブルハンドル13が設けられる。
【0030】
図1,3,4に示すようにテーブル10には、長尺定規7を支持する定規支持部20と、定規支持部20を長尺定規7と一体で移動可能に支持する可動アーム23が設けられる。定規支持部20は、テーブル10の前部10bに設けられて長尺定規7の前部を支持する前定規支持部21と、テーブル10の後部10cに設けられて長尺定規7の後部を支持する後定規支持部22を含む。可動アーム23は、テーブル10の前部10bに設けられて前定規支持部21を移動可能に支持する前アーム24と、テーブル10の後部10cに設けられて後定規支持部22を移動可能に支持する後アーム25を含む。
【0031】
図3,4に示すようにテーブル10の前部10bには、前方へ向けて略水平に延出する略矩形板状の前アーム支持部15が設けられる。前アーム支持部15は、前レール18aよりも下方かつ前方に設けられる。前アーム支持部15は、前アーム24を上下方向に回転可能に支持する。テーブル10の後部10cには、後方へ向けて略水平に延出する略矩形板状の後アーム支持部16が設けられる。後アーム支持部16は、後レール18bよりも下方かつ後方に設けられる。後アーム支持部16は、後アーム25を回転可能に支持する。
【0032】
図8,9に示すように前アーム支持部15は、略水平に前方へ延出する平板状の前方延出部15dと、前方延出部15dの前端で上方に向けて延出するストッパ15aを有する。ストッパ15aの上端面は、前方に向けて上方へ傾斜する平面状の傾斜面15bとして設けられる。ストッパ15aは、左右方向の中央に下方に向けて凹形状の凹部15cを有する。凹部15cが設けられることで、後述するハンドル28が下方位置に位置する場合でも、作業者はハンドル28のグリップ28aを把持することができる(図2参照)。
【0033】
図1,3,4に示すように前アーム支持部15には、左右方向に延出する前下連結ピン26aが取付けられる。前下連結ピン26aは、前方延出部15dの上方かつストッパ15aの後方に位置する。後アーム支持部16の上面側には、左右方向に延出する後下連結ピン26bが取付けられる。前下連結ピン26aと後下連結ピン26bは、本開示において可動アーム23を前後方向に回転可能に支持する下連結ピン26に相当する。
【0034】
図1,3,4に示すように前定規支持部21には、左右方向に延出する前上連結ピン27aが取付けられる。前定規支持部21は、前上連結ピン27aよりも前方へ延出する前方突出部21aと、前上連結ピン27aよりも後方へ延出する後方突出部21bを有する。後定規支持部22には、左右方向に延出する後上連結ピン27bが取付けられる。後定規支持部22は、後上連結ピン27bよりも前方へ延出する前方突出部22aと、後上連結ピン27bよりも後方へ延出する後方突出部22bを有する。前上連結ピン27aと後上連結ピン27bは、本開示において可動アーム23と定規支持部20を相互に回転可能に連結する上連結ピン27に相当する。
【0035】
図8,9に示すように前定規支持部21は、水平方向に延出する略矩形の平板状に形成される。前定規支持部21の前方突出部21aと後方突出部21bは、互いの上面が略面一になるように設けられる。後方突出部21bの上面には、定規取付部21cが適度なガタツキを持って連結されている。定規取付部21cは、長尺定規7(図1参照)とねじ締結可能になっている。具体的には、矩形状の定規取付部21cは、後方突出部21bの下から遊挿されたねじと連結している。後方突出部21bは、長尺定規7のレール7bの裏側の溝に挿入された後、ねじを締付けることで長尺定規7に固定される。
【0036】
図3,5,8,9に示すように前方突出部21aは、前方に向けて略水平方向に延出するハンドル28を有する。ハンドル28は、前定規支持部21の左端から前方へ延出する左突出部28bと、前定規支持部21の右端から前方へ延出する右突出部28cと、左突出部28bの前端と右突出部28cの前端を左右方向に連結してループ形状を形成するグリップ28aを有する。作業者は、グリップ28aを把持して前定規支持部21を略水平方向に押すまたは引くことで、前定規支持部21と長尺定規7を一体で上下に移動させることができる。ハンドル28は、前定規支持部21に取付けられた長尺定規7よりも下方に位置し、かつ長尺定規7の左右幅内に設けられる。ハンドル28は、前定規支持部21を下方位置まで移動させた時、前方延出部15dの直上の領域内に収められる。
【0037】
図8,9に示すように前アーム24は、前定規支持部21の左方に位置する左アーム片24aと、前定規支持部21の右方に位置する右アーム片24bで構成される。左アーム片24aと右アーム片24bは、同じ長さに設けられて相互に平行に延出する。左アーム片24aの下部には、前下連結ピン26aの左端に回転可能に連結される左下連結部24dが設けられる。左アーム片24aの上部には、前上連結ピン27aの左端に回転可能に連結される左上連結部24gが設けられる。右アーム片24bの下部には、前下連結ピン26aの右端に回転可能に連結される右下連結部24eが設けられる。左アーム片24aの上部には、前上連結ピン27aの右部に回転可能に連結される右上連結部24hが設けられる。左下連結部24dと右下連結部24eは、本開示において可動アーム23がテーブル10に回転可能に連結される下連結部24cに相当する。左上連結部24gと右上連結部24hは、本開示において可動アーム23が前定規支持部21に回転可能に連結される上連結部24fに相当する。
【0038】
図7に示すように左アーム片24aと右アーム片24bと前定規支持部21は、前方から見て長尺定規7を支持するアーチ形状を形成する。左アーム片24aと右アーム片24bと前定規支持部21は、左右方向において前定規支持部21に取付けられた長尺定規7の左右幅内に位置する。
【0039】
図10に示すように後定規支持部22は、前定規支持部21(図8参照)と同形状の略矩形平板状に形成される。後定規支持部22の前方突出部22aと後方突出部22bは、互いの上面が略面一になるように設けられる。後方突出部22bの上面には、定規取付部22cが適度なガタツキを持って連結されている。定規取付部22cは、長尺定規7(図1参照)とねじ締結可能になっている。具体的には、矩形状の定規取付部22cは、後方突出部22bの下から遊挿されたねじと連結している。後方突出部22bは、長尺定規7のレール7bの裏側の溝に挿入された後、ねじを締付けることで長尺定規7に固定される。
【0040】
図10に示すように後アーム25は、後定規支持部22の左方に位置する左アーム片25aと、後定規支持部22の右方に位置する右アーム片25bで構成される。左アーム片25aと右アーム片25bは、同じ長さに設けられて相互に平行に延出する。左アーム片25aと右アーム片25bの下部には、後下連結ピン26bの両端にそれぞれ回転可能に連結される下連結部25cが設けられる。左アーム片25aと右アーム片25bの上部には、後上連結ピン27bの両端にそれぞれ回転可能に連結される上連結部25dが設けられる。
【0041】
図3,4に示すようにハンドル28をテーブル10から遠ざかるように前方へ略水平に引っ張ると、前アーム24と後アーム25は下連結ピン26を中心にして両方とも前方へ回転する。前定規支持部21と後定規支持部22と長尺定規7は、先ず下方位置から上死点P2まで引き上げられる。上死点P2を越えた前定規支持部21と後定規支持部22と長尺定規7は、さらにハンドル28を前方へ引っ張ることによってあるいは自重によって、上死点P2よりも下方かつ途中位置P3よりも上方の待機位置P1まで移動する。途中位置P3は、下方位置P4と上死点P2の途中において、下方位置P4よりも上方かつ待機位置P1および上死点P2よりも下方に位置する。待機位置P1に移動した状態では、前アーム24の側面がテーブル10に設けられたストッパ15aの傾斜面15bに当接する。そのため前アーム24の回転が抑制され、前定規支持部21と後定規支持部22と長尺定規7が待機位置P1よりも下方へ移動することが抑制される。また、前定規支持部21と後定規支持部22と長尺定規7は、自重によって待機位置P1から上死点P2へと勝手に上方へ移動しない。なお、図では便宜上、長尺定規7についてのみ待機位置P1と上死点P2と途中位置P3と下方位置P4を示している。
【0042】
図3,4に示すようにハンドル28をテーブル10に近づくように後方へ略水平に押すと、前アーム24と後アーム25は下連結ピン26を中心にして両方とも後方へ回転する。前定規支持部21と後定規支持部22と長尺定規7は、先ず待機位置P1から上死点P2まで引き上げられる。上死点P2を越えた前定規支持部21と後定規支持部22と長尺定規7は、さらにハンドル28を後方へ押すことによってあるいは自重によって、途中位置P3、あるいはさらに下方の下方位置P4まで移動する。なお、図4等では長尺定規7が最下端の下方位置P4まで移動した状態を示しているが、実際の使用時には長尺定規7の下面7dがテーブル10上の被加工材Wの上面に当接する。そのため、前定規支持部21と後定規支持部22と長尺定規7の下動が途中位置P3で停止される。途中位置P3に位置する前定規支持部21と後定規支持部22と長尺定規7は、自重によって途中位置P3の上方へと勝手に移動しない。
【0043】
図5,6に示すようにテーブル10の上方には、上下に起立して被加工材Wの端面と当接するフェンス31が設けられる。テーブル10には、フェンス31をテーブル10の上面10aに沿って水平方向に移動可能に支持するフェンス移動機構30が取付けられる。フェンス31は、略矩形の平板状に形成される。フェンス31は、上下に延出する平面状のフェンス面31aと、フェンス面31aの後方において水平方向に延出する凹形状のレール31bを有する。フェンス面31aには、被加工材Wの端面が当接される。フェンス移動機構30は、フェンス31を上下方向に延出する回転軸Jの軸回りに回転可能に支持する回転台32と、フェンスを水平方向にスライド可能に支持する移動台33を有する。
【0044】
図1,5,6に示すように回転台32は、水平方向に延出する平板状の水平部32cと、水平部32cから上方へ起立する平板状の起立部32aを有する。水平部32cは、上面視で略半円形状に形成される。起立部32aは、略半円形状の水平部32cの弦に相当する箇所から上方へ延出する。起立部32aは、水平部32cと反対側の面に水平方向に延出する凸形状のレール係合部32bを有する。レール係合部32bは、フェンス31のレール31bと係合する。これによりフェンス31は、起立部32aに対してレール係合部32bの延出方向にスライド可能である。起立部32aには、スライド位置調整ねじ32fが設けられる。スライド位置調整ねじ32fを緩めることで、フェンス31は起立部32aに対してスライド可能である。スライド位置調整ねじ32fを締めることで、フェンス31は起立部32aに対して任意のスライド位置で固定される。
【0045】
図5,6に示すように水平部32cには、水平部32cを上下方向に貫通しかつ回転軸Jを中心に円弧状に延出する弧状孔32dが設けられる。弧状孔32dには、傾斜角度調整ノブ32eが挿通される。傾斜角度調整ノブ32eの下部は、回転台32の下方に設けられた移動台33にねじ結合される。傾斜角度調整ノブ32eを緩めることで、回転台32およびフェンス31は、移動台33に対して回転軸Jの軸回りに回転可能である。傾斜角度調整ノブ32eを締めることで、回転台32およびフェンス31は、移動台33に対して任意の傾斜角度で固定される。
【0046】
図3~6に示すように移動台33は、回転台32の水平部32cの下方に設けられ。傾斜角度調整ノブ32eと後述する軸部34aによって水平部32cに連結される。移動台33は、スライド位置調整ノブ33aと、下方に向けて凸形状のレール係合部33bが設けられる。レール係合部33bは、左レール17a、右レール17b、前レール18a、後レール18bのいずれか1つに取付けて各レールの延出方向へスライド可能である。レール係合部33bは、各レール17a,17b,18a,18bから取外して別のレールに付け替えることができる。移動台33は、スライド位置調整ノブ33aを緩めた状態で、係合した各レール17a,17b,18a,18bの延出方向にスライド可能である。スライド位置調整ノブ33aを締めることで、移動台33と回転台32とフェンス31は、任意のスライド位置で固定される。
【0047】
図1,3,5,6に示すようにフェンス移動機構30は、テーブル10の上面10aに載置された被加工材Wを上方から押圧するバイス34を有する。バイス34は、上下に起立する円柱状の軸部34aによって回転台32の水平部32cおよび移動台33に支持される。軸部34aは、回転軸Jと同軸上に位置する。軸部34aの上部には、フェンス31の前方に向けて延出するアーム35が設けられる。アーム35は、フェンス31の上方を越えて、フェンス面31aより前方でバイス34の押圧部34bを支持する。アーム35は、軸部34aと一体に設けられる第1アーム35aと、第1アーム35aの先端に連結される円柱状の中間柱部35bと、中間柱部35bの下端と一体に設けられる第2アーム35dを有する。
【0048】
図1,3に示すように第1アーム35aは、軸部34aと一体で回転軸Jを中心に回転可能である。第1アーム35aには、第2アーム35dの高さと向きを調整可能な第2アーム調整ねじ35cが設けられる。第2アーム35dは、第2アーム調整ねじ35cを緩めることで中間柱部35bと一体で高さを変更可能であり、かつ中間柱部35bの軸回りに水平方向に向きを変更可能である。第2アーム35dは、第2アーム調整ねじ35cを締めることで任意の高さおよび任意の向きで固定される。
【0049】
図1,3に示すように第2アーム35dの先端には、バイス34の押圧部34bが支持される。押圧部34bは、第2アーム35dの下方において水平方向に円盤状に延出する。第2アーム35dの上方には、押圧部34bと一体に設けられた押圧ノブ34cが設けられる。押圧ノブ34cを締めることで、押圧部34bはテーブル10の上面10aに載置された被加工材Wを下方へ押圧する。これにより被加工材Wをテーブル10の上面10aに固定できる。押圧ノブ34cを緩めることで、押圧部34bが生じる被加工材Wへの押圧力は解除される。これにより被加工材Wをテーブル10に対して移動させることができる。
【0050】
図1,3,5に示すようにテーブル10の左部には、テーブル10から離間した位置で起立可能な延長テーブル40が設けられる。延長テーブル40は、テーブルの前後長さと略同じ長さで前後方向に延出する略矩形柱状に形成される。延長テーブル40は、2つの円柱状のテーブル支持部41に支持されて、テーブル10に対して右方へ接近または左方へ離間可能である。延長テーブル40の上面(載置面)40aは、テーブル10の上面10aと同じ高さに位置する。これにより上面10aと上面40aが協働して、例えば左右方向に長い被加工材Wを安定的に支持できる。上面40aの中央には、前後方向に直線状に延出する凹形状のレール40bが設けられる。
【0051】
図1,3に示すように延長テーブル40の前部と後部には、脚部42がそれぞれ1つずつ設けられる。脚部42の下部は、脚部42の上部に対する突出長さを変更可能な延長部42aとして設けられる。脚部42には、延長部42aを任意の位置で固定可能な高さ調整ねじ42bが設けられる。延長部42aの突出長さを変更して高さ調整ねじ42bで固定することで、脚部42の長さを調整できる。脚部42は、前後方向に回転させて折り畳むことができる。2つの脚部42を折り畳み、延長テーブル40をテーブル10の左部に接近させる。これにより延長テーブル40をテーブル10の左部に格納できる。
【0052】
図3,5に示すようにテーブル10の後部には、テーブル10から離間した位置で起立可能な延長テーブル43が設けられる。延長テーブル43は、テーブルの左右長さと略同じ長さで左右方向に延出する略矩形柱状に形成される。延長テーブル43は、2つの円柱状のテーブル支持部44に支持されて、テーブル10に対して前方へ接近または後方へ離間可能である。延長テーブル43の上面(載置面)43aは、テーブル10の上面10aと同じ高さに位置する。これにより上面10aと上面43aが協働して、例えば前後方向に長い被加工材Wを安定的に支持できる。上面43aの中央には、左右方向に直線状に延出する凹形状のレール43bが設けられる。
【0053】
図3に示すように延長テーブル43の左部と右部には、脚部45がそれぞれ1つずつ設けられる。脚部45の下部は、脚部45の上部に対する突出長さを変更可能な延長部45aとして設けられる。脚部45には、延長部45aを任意の位置で固定可能な高さ調整ねじ45bが設けられる。延長部45aの突出長さを変更して高さ調整ねじ45bで固定することで、脚部45の長さを調整できる。脚部45は、左右方向に回転させて折り畳むことができる。2つの脚部45を折り畳み、延長テーブル43をテーブル10の後部10cに接近させる。これにより延長テーブル43をテーブル10の後部10cに格納できる。
【0054】
上述するように携帯用加工機用の長尺定規7が取付けられる携帯用加工機用の作業台1は、図3,4に示すように被加工材Wが載置されるテーブル10を有する。作業台1は、テーブル10の前部または後部に移動可能に設けられる可動アーム23を有する。作業台1は、可動アーム23に支持されて可動アーム23の移動によりテーブル10に対して上下動し、かつ長尺定規7の前部または後部が取付けられる定規支持部20を有する。作業台1は、定規支持部20と一体に設けられかつ作業者に把持されるハンドル28を有する。
【0055】
したがって長尺定規7と定規支持部20は、上下に同じ方向に移動する。さらに定規支持部20とハンドル28が一体に設けられるため、定規支持部20とハンドル28も上下に同じ方向に移動する。そのためハンドル28と長尺定規7の上下動の方向が一致する。これによりハンドル28を直感的に操作し易い。また、長尺定規7が自重で下動する際、長尺定規7とハンドル28が一体的に下動する。そのためハンドル28は不用意に上動することがない。かくして長尺定規7を昇降させる作業性を向上させることができる。
【0056】
図3,4に示すように可動アーム23は、テーブル10に回転可能に連結される下連結部24c,25cと定規支持部20に回転可能に連結される上連結部24f,25dを有する。したがって可動アーム23の回転を利用して、ハンドル28を略水平に移動させる力を、定規支持部20および長尺定規7を昇降させる力に変換できる。そのため小さな操作力で定規支持部20および長尺定規7をスムーズに昇降させることができる。
【0057】
図3,4に示すように作業台1は、可動アーム23としてテーブル10の前部10bに移動可能に設けられる前アーム24を有する。作業台1は、可動アーム23としてテーブル10の後部10cに移動可能に設けられる後アーム25を有する。作業台1は、定規支持部20として前アーム24に支持される前定規支持部21を有する。作業台1は、定規支持部20として後アーム25に支持される後定規支持部22を有する。前アーム24と後アーム25は、それぞれの下連結部24c,25cを中心として前後方向にかつ同じ方向に回転する。したがって前アーム24に支持される前定規支持部21と、後アーム25に支持される後定規支持部22は、略同じ動きで移動する。そのため前定規支持部21と後定規支持部22とに支持される長尺定規7は、前後方向に略水平に延出した姿勢を維持して昇降できる。これにより長尺定規7を被加工材Wの上面に安定的に載せることができる。
【0058】
図3,4に示すようにハンドル28は、可動アーム23の上部と同じ高さに設けられる。したがってハンドル28と可動アーム23の上部は、略同じ動きで移動する。そのためハンドル28を移動させる操作を違和感なく可動アーム23の移動に変換できる。これにより可動アーム23に移動可能に支持される定規支持部20および長尺定規7をスムーズに上下動させることができる。
【0059】
図3,4に示すようにハンドル28は、上連結部24f,25dと同じ高さに設けられる。したがってハンドル28と上連結部24f,25dは、略同じ動きで移動する。上連結部24f,25dが移動することで、可動アーム23は下連結部24c,25cを中心に回転する。そのためハンドル28を移動させる操作を違和感なく可動アーム23の回転に変換できる。これにより上連結部24f,25dで可動アーム23と連結される定規支持部20をスムーズに上下動させることができる。
【0060】
図3,4に示すように定規支持部20は、ハンドル28がテーブル10から離れる方向に引っ張られることで上動し、ハンドル28がテーブル10に向けて押されることで下動する。したがって長尺定規7を上動させる際、長尺定規7にはテーブル10から離れる方向に引っ張る操作力が作用する。そのため長尺定規7が撓むことを抑制しながら長尺定規7を移動させることができる。長尺定規7を下動させる際には、長尺定規7の自重を利用してハンドル28をテーブル10に向けて軽く押すことで定規支持部20および長尺定規7が移動する。そのため小さな操作力で長尺定規7を下動させることができる。
【0061】
図5,8,9に示すように可動アーム23は、定規支持部20の左部を支持する左アーム片24aと、定規支持部20の右部を支持する右アーム片24bを含む。定規支持部20は、長尺定規7の左右幅内に収まるように長尺定規7と連結される。ハンドル28は、定規支持部20から水平方向に延出する。したがって可動アーム23と定規支持部20を左右方向にコンパクトに設けることができる。さらにハンドル28を水平方向に延出させることで、長尺定規7の上面に携帯用加工機2を載置して加工作業をする際にハンドル28が邪魔になることを抑制できる。しかも左アーム片24aと定規支持部20と右アーム片24bでアーチ状の構造を形成することにより、長尺定規7を安定した姿勢で支持することができる。
【0062】
図8,9に示すように左アーム片24aは、定規支持部20の左部に回転可能に連結される左上連結部24gを有する。右アーム片24bは、定規支持部20の右部に回転可能に連結される右上連結部24hを有する。ハンドル28は、定規支持部20の左部から水平方向に突出する左突出部28bを有する。ハンドル28は、定規支持部20の右部から水平方向に突出する右突出部28cを有する。ハンドル28は、左突出部28bの先端と右突出部28cの先端の間を連結するグリップ28aを有する。したがってグリップ28aを水平方向に移動させる操作力を、左突出部28bを介して左上連結部24gに伝達でき、かつ右突出部28cを介して右上連結部24hに伝達できる。そのためグリップ28aを移動させる操作力を効率良く左アーム片24aと右アーム片24bの回転に変換できる。これにより小さい力で定規支持部20および長尺定規7を昇降させることができる(図3,4参照)。
【0063】
図3,4に示すように可動アーム23が下連結部24cを中心に回転して、定規支持部20が途中位置P3から上死点P2を通過する構成である。作業台1には、定規支持部20が上死点P2を越えた位置において可動アーム23の回転を規制して定規支持部20を途中位置P3よりも高い待機位置P1で保持するストッパ15aが設けられる。したがって定規支持部20と長尺定規7を上動させる際には、上死点P2を通過するまで持ち上げることで、定規支持部20と長尺定規7を待機位置P1まで自重を利用して移動させることができる。そのため小さい操作力で定規支持部20と長尺定規7を上動させることができる。定規支持部20と長尺定規7を下動させる際には、待機位置P1から上死点P2を通過させるまでは、定規支持部20と長尺定規7が自重で勝手に下方位置へ移動してしまうことがない。そのため定規支持部20と長尺定規7が不用意に下動することを抑制できる。
【0064】
図1,3,5,6に示すように作業台1は、テーブル10の上方にて起立して被加工材Wの端面が当接されるフェンス31を有する。作業台1は、フェンス31を支持しかつテーブル10に水平方向に移動可能に装着されるフェンス移動機構30を有する。したがってフェンス31を所定の位置に移動させることで、被加工材Wをテーブル10上で好適な位置で位置決めできる。さらに位置決めされた被加工材Wの上面に長尺定規7をスムーズに載置できる。そのため被加工材Wを加工する作業性を向上させることができる。
【0065】
図1,3,5,6に示すようにフェンス移動機構30は、テーブル10に移動可能に装着される移動台33と、移動台33に対して水平方向に回転可能でかつフェンス31を支持する回転台32を有する。したがってフェンス31を移動させる位置とフェンス31の姿勢の自由度が高くなる。そのため被加工材Wをテーブル10上で好適な位置と姿勢で容易に位置決めすることができる。
【0066】
図1,5,6に示すようにフェンス移動機構30は、フェンス31の後方に設けられかつテーブル10に移動可能に装着される移動台33を有する。フェンス移動機構30は、移動台33からフェンス31の前方に延出しかつ被加工材Wを解除可能に上方から押圧するバイス34を有する。したがって移動台33は、フェンス31の後方においてフェンス31を安定的に支持することができる。バイス34は、テーブル10上において安定している移動台33に支持される。そのため被加工材Wをバイス34で上方から押圧することで、テーブル10上における被加工材Wの安定性を高めることができる。
【0067】
図5,6に示すように作業台1は、テーブル10に水平方向に移動可能に装着され、テーブル10から離間することでテーブル10の載置面を補助する延長テーブル40,43を有する。したがってテーブル10の載置面である上面10aよりも長いあるいは広い被加工材Wを安定的にテーブル10に載置することができる。
【0068】
以上説明した本実施例には様々な変更を加えることができる。携帯用加工機2として携帯用切断機の一種であるプランジマルノコを例示したが、例えば通常の携帯マルノコや、ジグソー等の他の携帯用切断機、ルータ等の携帯用切削機等の他の携帯用加工機を長尺定規7と共に使用する際に適用しても良い。平板状の上面10aを有するテーブル10を例示した。これに代えて、例えば枠組だけで構成されて平板上の上面を有さないテーブル10であっても良い。脚部11を有する作業台1を例示した。これに代えて、脚部を有さずテーブル10を他の台や床等に載置する構成としても良い。
【0069】
テーブル10の前部10bと後部10cの両方に可動アーム23を設ける構成を例示したが、テーブル10の前部10bまたは後部10cの一方のみに可動アーム23を設ける構成としても良い。前定規支持部21にのみハンドル28を設ける構成を例示した。これに代えて、前定規支持部21と後定規支持部22の両方または後定規支持部22のみにハンドルを設ける構成としても良い。
【0070】
作業台1に1組のフェンス31とフェンス移動機構30を取付ける構成を例示した。これに代えて、2組以上のフェンス31とフェンス移動機構30を取付けても良い。テーブル10の前後左右端に設けられ、フェンス移動機構30の移動台33をスライド可能に保持する左レール17a、右レール17b、前レール18a、後レール18bを例示した。レールの位置はこれに限らず、例えばテーブル10の上面に前後方向または左右方向に直線状に延出する切欠きを設け、切欠きにレールを配設する構成としても良い。
【0071】
テーブル10の左部に設けられる延長テーブル40と、テーブル10の後部に設けられる延長テーブル43を例示した。これに代えて、例えばテーブル10の右部に延長テーブルを設けても良い。あるいはテーブル10の右部の延長テーブルと左部の延長テーブル40と後部の延長テーブル43のいずれか1つまたは複数個を有する構成としても良い。延長テーブル40,43の水平方向の延出長さは、テーブル10の前後長さまたは左右長さと同等に限らず、テーブル10の前後長さまたは左右長さよりも長くあるいは短くても良い。
【符号の説明】
【0072】
1…(携帯用加工機用)作業台
2…携帯用加工機
3…ベース、3a…レール係合部
4…加工機本体、4a…ハンドル部
5…刃具
7…(携帯用加工機用)長尺定規、7a…上面、7b…レール、7c…摺動部
7d…下面、7e…刃具側端面
10…テーブル、10a…上面(載置面)、10b…前部、10c…後部
11…脚部
12…脚部連結部、12a…中央部連結部、12b,12c…下部連結部
13…テーブルハンドル
15…前アーム支持部、15a…ストッパ、15b…傾斜面、15c…凹部
15d…前方延出部
16…後アーム支持部
17…前後スライドレール、17a…左レール、17b…右レール
18…左右スライドレール、18a…前レール、18b…後レール
20…定規支持部
21…前定規支持部、21a…前方突出部、21b…後方突出部、21c…定規取付部
22…後定規支持部、22a…前方突出部、22b…後方突出部、22c…定規取付部
23…可動アーム
24…前アーム、24a…左アーム片、24b…右アーム片
24c…下連結部、24d…左下連結部、24e…右下連結部
24f…上連結部、24g…左上連結部、24h…右上連結部
25…後アーム、25a…左アーム片、25b…右アーム片
25c…下連結部、25d…上連結部
26…下連結ピン、26a…前下連結ピン、26b…後下連結ピン
27…上連結ピン、27a…前上連結ピン、27b…後上連結ピン
28…ハンドル、28a…グリップ、28b…左突出部、28c…右突出部
30…フェンス移動機構
31…フェンス、31a…フェンス面、31b…レール
32…回転台、32a…起立部、32b…レール係合部、32c…水平部
32d…弧状孔、32e…傾斜角度調整ノブ、32f…スライド位置調整ねじ
33…移動台、33a…スライド位置調整ノブ、33b…レール係合部
34…バイス、34a…軸部、34b…押圧部、34c…押圧ノブ
35……アーム、35a…第1アーム、35b…中間柱部、35c…第2アーム調整ねじ
35d…第2アーム
40…延長テーブル、40a…上面(載置面)、40b…前後スライドレール
41…テーブル支持部
42…脚部、42a…延長部、42b…高さ調整ねじ
43…延長テーブル、43a…上面(載置面)、43b…前後スライドレール
44…テーブル支持部
45…脚部、45a…延長部、45b…高さ調整ねじ
W…被加工材
P1…待機位置
P2…上死点
P3…途中位置
P4…下方位置
J…回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10