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特開2024-7714マッサージ装置、及び、マッサージ装置の制御方法
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  • 特開-マッサージ装置、及び、マッサージ装置の制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007714
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】マッサージ装置、及び、マッサージ装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20240112BHJP
   A61M 21/02 20060101ALI20240112BHJP
   A61M 21/00 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
A61H7/00 323T
A61M21/02 B
A61M21/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108972
(22)【出願日】2022-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000112406
【氏名又は名称】ファミリーイナダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111567
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 寛
(72)【発明者】
【氏名】稲田 二千武
【テーマコード(参考)】
4C100
【Fターム(参考)】
4C100BA02
4C100BB02
4C100CA03
4C100EA01
(57)【要約】
【課題】マッサージ動作の目的に適した照明が行われるマッサージ装置を提供する。
【解決手段】マッサージ装置は、ユーザの身体を支持する身体支持部と、身体支持部で支持されたユーザの身体に対するマッサージ動作を実行するための動作機構であるマッサージユニットと、マッサージユニットにおけるマッサージ動作を制御する制御装置と、身体支持部で支持されたユーザに光を照射する照明と、を備え、制御装置は、指定されたマッサージコースに規定されるマッサージ動作を行うようマッサージユニットを制御し、指定されたマッサージコースの目的に応じて規定されているメラノピックルクスの数値を持つ光を照射するよう照明を制御する、よう構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの身体を支持する身体支持部と、
前記身体支持部で支持された前記ユーザの身体に対するマッサージ動作を実行するための動作機構であるマッサージユニットと、
前記マッサージユニットにおける前記マッサージ動作を制御する制御装置と、
前記身体支持部で支持された前記ユーザに光を照射する照明と、を備え、
前記制御装置は、
指定されたマッサージコースに規定されるマッサージ動作を行うよう前記マッサージユニットを制御し、
前記指定された前記マッサージコースの目的に応じて規定されているメラノピックルクスの数値を持つ光を照射するよう前記照明を制御する、よう構成されている
マッサージ装置。
【請求項2】
前記マッサージコースの目的は、生体を覚醒状態に近づける、生体を睡眠状態に近づける、認知症進行の抑制、及び、うつ病の改善・抑制、のうちの少なくとも一つを含む
請求項1に記載のマッサージ装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記マッサージコースとして、第1コースの指定と第2コースの指定とを受け付け可能であって、
前記第1コースと前記第2コースとは、規定されているメラノピックルクスの数値が異なる
請求項1に記載のマッサージ装置。
【請求項4】
前記第1コースは前記第2コースより、規定されるマッサージ動作の強度が高く、
前記第1コースは前記第2コースより、規定されているメラノピックルクスの数値が大きい
請求項3に記載のマッサージ装置。
【請求項5】
前記第1コースの目的は生体を覚醒状態に近づけることを含み、
前記第2コースの目的は生体を睡眠状態に近づけることを含む
請求項4に記載のマッサージ装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記マッサージコースとして、さらに、第3コースの指定を受け付け可能であって、
前記第3コースは前記第1コースより、規定されるマッサージ動作の強度が弱く、
前記第3コースは前記第2コースより、規定されているメラノピックルクスの数値が大きい
請求項3に記載のマッサージ装置。
【請求項7】
前記照明を制御することは、前記照明から照射される光の波長と照度との少なくとも一方を、前記規定されているメラノピックルクスの数値となるように制御することを含む
請求項1に記載のマッサージ装置。
【請求項8】
前記照明を制御することは、前記マッサージ動作中にメラノピックルクスの数値を徐々に変化させることを含む
請求項1に記載のマッサージ装置。
【請求項9】
初期位置である第1の位置と、前記身体支持部で支持された前記ユーザの頭部付近を上方から覆う第2の位置と、の間で可動式のフードであって、前記照明が内側に配置されたフードをさらに備え、
前記制御装置は、前記マッサージコースの指定を受け付けると、前記指定されたマッサージコースに規定される前記マッサージ動作の開始前に前記フードを前記第1の位置から前記第2の位置に移動させ、前記マッサージ動作が終了すると、前記フードを前記第2の位置から前記第1の位置に移動させる、よう構成されている
請求項1に記載のマッサージ装置。
【請求項10】
マッサージ装置の制御装置における、前記マッサージ装置の制御方法であって、
前記マッサージ装置は、
ユーザの身体を支持する身体支持部と、
前記身体支持部で支持された前記ユーザの身体に対するマッサージ動作を実行するための動作機構であるマッサージユニットと、
前記身体支持部で支持された前記ユーザに光を照射する照明と、を有し、
前記制御方法は、
指定されたマッサージコースに規定されるマッサージ動作を行うよう前記マッサージユニットを制御し、
前記指定された前記マッサージコースの目的に応じて規定されているメラノピックルクスの数値を持つ光を照射するよう前記照明を制御する、ことを含む
マッサージ装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マッサージ装置、及び、マッサージ装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザのリラックス効果を高めることを目的として照明を利用するマッサージ装置がある。例えば、特開2008-029804号公報(以下、特許文献1)は、被施療者の頭部を覆うフードの内側に、蛍光部が形成された棒状の導光体が配置されているマッサージ機を開示している。また、特開2008-220428号公報(以下、特許文献2)は、被施療者の頭部を覆うフードに発光装置が取り付けられて、所定のパターンで発光することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-029804号公報
【特許文献2】特開2008-220428号公報
【発明の概要】
【0004】
近年、生体に照射される光が生体のリズムや健康に及ぼす影響について研究がなされている。その中で、生体のリズムや健康の目的に応じた適した光があることが解明されつつある。例えば、覚醒時や眠りにつく際などに、生体リズムを整える光が適していることが解明されつつある。
【0005】
マッサージ装置では、生体のリズムや健康の目的に応じた様々なマッサージ動作を行わせることができる。特許文献1,2での照明は、リラックス効果は得られるものの、必ずしもマッサージ動作の目的と一致したものでない場合もあった。そのため、その目的に適した照明が行われることが望まれる。
【0006】
ある実施の形態に従うと、マッサージ装置は、ユーザの身体を支持する身体支持部と、身体支持部で支持されたユーザの身体に対するマッサージ動作を実行するための動作機構であるマッサージユニットと、マッサージユニットにおけるマッサージ動作を制御する制御装置と、身体支持部で支持されたユーザに光を照射する照明と、を備え、制御装置は、指定されたマッサージコースに規定されるマッサージ動作を行うようマッサージユニットを制御し、指定されたマッサージコースの目的に応じて規定されているメラノピックルクスの数値を持つ光を照射するよう照明を制御する、よう構成されている。
【0007】
ある実施の形態に従うと、マッサージ装置の制御方法は、マッサージ装置の制御装置におけるマッサージ装置の制御方法であって、マッサージ装置は、ユーザの身体を支持する身体支持部と、身体支持部で支持されたユーザの身体に対するマッサージ動作を実行するための動作機構であるマッサージユニットと、身体支持部で支持されたユーザに光を照射する照明と、を有し、制御方法は、指定されたマッサージコースに規定されるマッサージ動作を行うようマッサージユニットを制御し、指定されたマッサージコースの目的に応じて規定されているメラノピックルクスの数値を持つ光を照射するよう照明を制御する、ことを含む。
【0008】
更なる詳細は、後述の実施形態として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態に係るマッサージ装置の概略図であって、フードが第1の位置にある初期状態を表した概略図である。
図2図2は、実施の形態に係るマッサージ装置の概略図であって、フードが第2の位置にある駆動状態を表した概略図である。
図3図3は、発光装置の概略図である。
図4図4は、発光装置での光の照射を説明するための図である。
図5図5は、マッサージ装置の機能ブロック図である。
図6図6は、マッサージ装置の制御装置のメモリに記憶されているコース情報の一例を表した図である。
図7図7は、マッサージ装置の制御装置での、マッサージ装置の制御方法の流れの一例を表したフローチャートである。
図8図8は、他の例に係るマッサージ装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<1.マッサージ装置、及び、マッサージ装置の制御方法>
【0011】
(1)実施の形態に係るマッサージ装置は、ユーザの身体を支持する身体支持部と、身体支持部で支持されたユーザの身体に対するマッサージ動作を実行するための動作機構であるマッサージユニットと、マッサージユニットにおけるマッサージ動作を制御する制御装置と、身体支持部で支持されたユーザに光を照射する照明と、を備え、制御装置は、指定されたマッサージコースに規定されるマッサージ動作を行うようマッサージユニットを制御し、指定されたマッサージコースの目的に応じて規定されているメラノピックルクスの数値を持つ光を照射するよう照明を制御する、よう構成されている。
【0012】
マッサージ装置におけるマッサージコースの目的は心身の健康を目的としたものであって、生体の状態を適した状態とすることや、不具合を改善したり抑制したりすることや、不具合の進行を抑制したりすること、などが挙げられる。
【0013】
メラノピックルクスは、網膜上の光感受性神経節細胞であるメラノプシン細胞への刺激量によって規定された照度である。メラノプシン細胞は、光刺激に神経応答を行い、その神経応答によって、眠気の誘発を行う物質であるメラトニンの分泌が抑制される。そのため、メラノピックルクスが高いとメラトニン分泌が抑制され、覚醒や集中を促す効果が得られる。メラノピックルクスが低いとメラトニンが分布され、睡眠やリラックスを促す効果が得られる。マッサージコースの目的に応じて規定されているメラノピックルクスの数値を持つ光を照射するよう照明が制御されることによって、マッサージコースに従うマッサージ動作中に、マッサージコースの目的に応じたメラノピックルクスの数値を持つ光をユーザに照射することができる。つまり、マッサージ動作の目的に適した照明が行われるようになる。
【0014】
(2)(1)のマッサージ装置であって、好ましくは、マッサージコースの目的は、生体を覚醒状態に近づける、生体を睡眠状態に近づける、認知症進行の抑制、及び、うつ病の改善・抑制、のうちの少なくとも一つを含む。これにより、心身の健康を図ることができる。
【0015】
(3)(1)又は(2)のマッサージ装置であって、好ましくは、制御装置は、マッサージコースとして、第1コースの指定と第2コースの指定とを受け付け可能であって、第1コースと第2コースとは、規定されているメラノピックルクスの数値が異なる。これにより、目的に適した光が照射されるようになる。
【0016】
(4)(3)のマッサージ装置であって、好ましくは、第1コースは第2コースより、規定されるマッサージ動作の強度が高く、第1コースは第2コースより、規定されているメラノピックルクスの数値が大きい。これにより、第1コースでは、第2コースよりユーザの覚醒が促され、第2コースより生体を覚醒状態に近づけることができる。
【0017】
(5)(4)のマッサージ装置であって、好ましくは、第1コースの目的は生体を覚醒状態に近づけることを含み、第2コースの目的は生体を睡眠状態に近づけることを含む。これにより、第1コース又は第2コースが選択されることで、ユーザに、生体を覚醒状態に近づけること、又は、生体を睡眠状態に近づけることを目的としたマッサージ動作、及び、光の照射を与えることができる。
【0018】
(6)(3)~(5)のいずれかのマッサージ装置であって、好ましくは、制御装置は、マッサージコースとして、さらに、第3コースの指定を受け付け可能であって、第3コースは第1コースより、規定されるマッサージ動作の強度が弱く、第3コースは第2コースより、規定されているメラノピックルクスの数値が大きい。これにより、第1コース及び第2コースとは異なる心身の健康を目的としたコースにおいても適した光を照射することができる。
【0019】
(7)(1)~(6)のいずれかのマッサージ装置であって、好ましくは、照明を制御することは、照明から照射される光の波長と照度との少なくとも一方を、規定されているメラノピックルクスの数値となるように制御することを含む。波長が制御されることによって、光の色が制御される。光の色と照度との少なくとも一方が制御されることによって、照射される光のメラノピックルクスが制御されるようになる。
【0020】
(8)(1)~(7)のいずれかのマッサージ装置であって、好ましくは、照明を制御することは、マッサージ動作中にメラノピックルクスの数値を徐々に変化させることを含む。マッサージ動作中にメラノピックルクスの数値を徐々に変化させることは、メラノピックルクスの数値が徐々に大きく、又は、小さくなるように制御することを指す。これにより、例えば、マッサージコースの目的に徐々に近づけるようにメラノピックルクスの数値を変化させることができ、急激に変化させるよりユーザの負担を抑えられる場合がある。
【0021】
(9)(1)~(8)のいずれかのマッサージ装置であって、好ましくは、初期位置である第1の位置と、身体支持部で支持されたユーザの頭部付近を上方から覆う第2の位置と、の間で可動式のフードであって、照明が内側に配置されたフードをさらに備え、制御装置は、マッサージコースの指定を受け付けると、指定されたマッサージコースに規定されるマッサージ動作の開始前にフードを第1の位置から第2の位置に移動させ、マッサージ動作が終了すると、フードを第2の位置から第1の位置に移動させる、よう構成されている。これにより、マッサージ動作中には照明をユーザに光を照射しやすい位置とするとともに、マッサージの終了時にはユーザがマッサージ装置から立ち上がりやすい状態とすることができる。
【0022】
(10)実施の形態に係るマッサージ装置の制御方法は、マッサージ装置の制御装置における、マッサージ装置の制御方法であって、マッサージ装置は、ユーザの身体を支持する身体支持部と、身体支持部で支持されたユーザの身体に対するマッサージ動作を実行するための動作機構であるマッサージユニットと、身体支持部で支持されたユーザに光を照射する照明と、を有し、制御方法は、指定されたマッサージコースに規定されるマッサージ動作を行うようマッサージユニットを制御し、指定されたマッサージコースの目的に応じて規定されているメラノピックルクスの数値を持つ光を照射するよう照明を制御する、ことを含む。これにより、マッサージコースに従うマッサージ動作中に、マッサージコースの目的に応じたメラノピックルクスの数値を持つ光をユーザに照射することができる。つまり、マッサージ動作の目的に適した照明が行われるようになる。
【0023】
<2.マッサージ装置、及び、マッサージ装置の制御方法の例>
【0024】
図1及び図2は、本実施の形態に係るマッサージ装置100の概略図である。図1は後述するフード7が第1の位置にある初期状態(第1の状態)ST1を表した概略図であり、図2はフード7が第2の位置にある駆動状態(第2の状態)ST2を表した概略図である。第1の位置は、フード7の初期位置であり、第2の位置は、後述の身体支持部で支持されたユーザの頭部付近を上方から覆う位置である。
【0025】
マッサージ装置100は、ユーザの身体に刺激を与えることによってマッサージを提供する装置であって、一例として、ユーザが着座して用いるチェア型、つまり、マッサージチェアであってよい。以降の例では、マッサージ装置100はマッサージチェアとする。以降の説明において、左右、上下、及び前後は、マッサージ装置100に着座したユーザから見た左右、上下、及び前後を指す。
【0026】
マッサージ装置100は、主として、ユーザが着座する座部2と、座部2の後部にリクライニング可能に設けられたユーザが凭れる背凭れ部3と、座部2の前部に上下揺動可能に設けられたユーザの下肢を支持するフットレスト4と、背凭れ部3の後方に設けられた後壁部(フード支持部)5と、座部2の左右両側に設けられた肘掛け部6(アームレスト)と、後壁部5に支持されたフード7と、を有している。座部2、背凭れ部3、フットレスト4、及び、肘掛け部6は、ユーザの身体の一部である身体部位を支持する身体支持部として機能する。
【0027】
座部2、背凭れ部3、フットレスト4、及び、肘掛け部6の各所には、ユーザの身体に対するマッサージ動作を実行するための動作機構であるマッサージユニットが複数、設けられている。マッサージユニットは、駆動機構によって駆動され、身体支持部に支持された身体部位に押圧を伴うマッサージを行う。
【0028】
詳しくは、座部2には、太ももや臀部に対するマッサージ動作を実行するための座部マッサージユニット2Aが設けられている。背凭れ部3には、主に、首から腰に対するマッサージ動作を実行するためのメカマッサージユニット8が設けられている。フットレスト4には、主にふくらはぎ、及び、足裏に対するマッサージ動作を実行するための足マッサージユニット4Aが設けられている。また、座部2の下方には、ポンプユニット9が設けられている。
【0029】
後壁部5及びフード7は、それぞれ、略ボウル形状を成し、フード7の方が後壁部5より若干、径が大きい。これにより、フード7は、後壁部5に外方(後方)から重なるように配置される。フード7の左右の端部には、軸受7aが形成されている。フード7は、後壁部5に重ねて配置された状態で、軸受7aが後壁部5の左右部分で枢支されている。
【0030】
軸受7aが後壁部5の左右部分で枢支されることにより、フード7は、後壁部5に枢支された状態で左右方向の軸周りに回動可能である。すなわち、フード7は、背凭れ部3の後方位置の初期位置(第1の位置)と、背凭れ部3の上方位置であって身体支持部で支持されたユーザの頭部付近を上方から覆う位置(第2の位置)と、の間で可動する。具体的には、フード7は、第1の位置から図2の矢印A2に示される上向きに回転することで第2の位置となり、第2の位置から図1の矢印A1に示される下向きに回転することで第1の位置となる。これにより、マッサージ装置100は、図1の第1の状態ST1と、第2の第2の状態ST2とを採り得る。
【0031】
フード7の内側、すなわち、身体支持部で支持されたユーザに相対する面側に、発光装置300が配置されている。発光装置300は、照射される光の波長と強度とが可変の照明である。これにより、発光装置300は、照射される光の色と照度との両方を制御することができる。
【0032】
図3は、発光装置300の概略図である。図4は、発光装置300での光の照射を説明するための図である。図3を参照して、発光装置300は、基板32に配置された複数の光源31を有する。光源31は、照明制御部30に接続されて、照明制御部30からの制御に従って所定のパターンで発光する。これにより、発光装置300から照射される光Lの波長と強度(照度)とを可変とすることができる。
【0033】
一例として、光源31は、それぞれ、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)であって、複数の光源31は複数色のLEDからなる。一例として、複数の光源31は、赤(R)、緑(G)、青(B)、及び白(W)の4色LEDから構成される。この場合、照明制御部30は、一例として、各色のPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御を行う。すなわち、照明制御部30は、色ごとに光源31のパルス幅の周期に対する割合であるデューティ比を制御することで発光装置300から照射される光の波長と強度とを制御する。
【0034】
発光装置300は、一例として、光源31からの光の照射方向がフード7の内側に向くように配置される。例えば、基板32のフード7の内側に向く面7Sに光源31が配置される。好ましくは、面7Sには、白色又は乳白色などの、光が反射しやすい色彩が施されている。これにより、図4に示されたように、光源31からの光Lは、背凭れ部3に支持されたユーザPの顔に直接照射されずに面7Sに向けて照射され、ユーザPの顔には、間接光が照射されるようになる。
【0035】
なお、マッサージ装置100では、フード7の内側に発光装置300が設けられているものとするが、他の例として、フード7全体が発光装置300であってもよいし、フード7に加えて、背凭れ部3や肘掛け部6やフットレスト4などのその他の部分に発光装置300が設けられてもよいし、これら全体が発光装置300であってもよい。これにより、ユーザPの顔以外にも光が照射されるようになり、マッサージ装置100の周囲にも雰囲気を与えることができる。
【0036】
図8は、他の例に係るマッサージ装置100Aの概略図である。他の例に係るマッサージ装置100Aは、後壁部5に替えて、背凭れ部3、フットレスト4、及び、肘掛け部6の左右を、それぞれ外側から覆う、1又は複数のパネル5Aを有している。この場合、発光装置300は、パネル5Aの内側に設けられていてもよい。図8の例では、背凭れ部3、フットレスト4、及び、肘掛け部6それぞれの外側にパネル5Aが設けられており、各パネル5Aの内側に発光装置300が配置されている。図8の例では、複数のパネル5Aのうちの少なくとも背凭れ部3を覆うパネル5Aに発光装置300が配置されていればよく、他のパネル5Aに発光装置300が配置されていなくてもよい。
【0037】
図5は、マッサージ装置100の機能ブロック図である。図5を参照して、マッサージ装置100は制御装置10を含む。制御装置10は、プロセッサ11とメモリ12とを有するコンピュータで構成される。プロセッサ11は各部に接続され、各部を制御する。プロセッサ11は、一部の機能が、後述するタブレット200に搭載されたプロセッサ(図示せず)によって実現されてもよい。
【0038】
メモリ12は、プログラム121を記憶している。プログラム121は、プロセッサ11にマッサージ装置100のマッサージ動作の制御を実行させるためのプログラムである。プロセッサ11は、後述するタブレット200からの操作信号に従ってプログラム121を実行する。これにより、プロセッサ11は、マッサージコントローラとして機能する。
【0039】
マッサージ装置100は、ポンプユニット9を含む。ポンプユニット9は、ポンプユニット9を動作させるアクチュエータの一例としてのポンプと、ポンプの駆動を制御する駆動回路とを含み、各マッサージユニットに含まれるエアセルに対してエアを給排気する。エアセルは、エアの給排気により膨張収縮する空気袋であって、エアを給排気することでユーザの身体部位を押圧するための押圧部材の一例である。駆動回路は、プロセッサ11からの制御信号に従ってポンプの駆動を制御して、エアセルに対するエアの給排気を制御する。
【0040】
マッサージ装置100は、マッサージユニットであるメカマッサージユニット8を含む。メカマッサージユニット8は、マッサージ部材として、上下両端部に施療子の設けられた、左右で対をなすアーム(図示せず)と、左右の施療子を近接離反させる揉み動作、及び左右の施療子を交互にユーザ側へ進退させる叩き動作を行わせる駆動回路(図示せず)と、を有する。駆動回路は、プロセッサ11からの制御信号に従ってマッサージ部材の駆動を制御する。
【0041】
メカマッサージユニット8は、図示しないセンサを有し、アームが肩などの所定の揺動位置となったことを検出することでユーザの体型情報を得るように構成されていてもよい。検出された肩などの所定位置を示す信号はプロセッサ11に入力される。プロセッサ11は、所定位置を基準として、その他の部位(首、背中、腰等)の位置を計算により求め、ユーザの体型を検出する。
【0042】
マッサージ装置100は、マッサージユニットである座部マッサージユニット2A、及び、足マッサージユニット4Aを含む。各マッサージユニット2A,4Aは、押圧部材の一例として図示しないエアセル、及び、その駆動回路を含む。駆動回路は、エアセルにポンプユニット9からのエアを給排気するための電磁弁を駆動させる。駆動回路及び電磁弁は、各マッサージユニット2A,4Aにマッサージ動作を行わせるアクチュエータの一例であって、マッサージユニットを駆動させる駆動機構に含まれる。駆動回路は、プロセッサ11からの制御信号に従って電磁弁の開閉を制御する。これにより、エアセルへの給排気が制御される。
【0043】
マッサージ装置100は、センサユニット14を有する。センサユニット14は、マッサージ動作の程度や、ユーザの状態を検出するための、図示しないセンサを有する。具体的に、センサは、アクチュエータの動作量を検出したり、エアセルの内圧を検出したりする。センサは、各マッサージユニットに配置されていてもよい。センサユニット14でのセンシング結果を示す信号は、プロセッサ11に入力される。
【0044】
マッサージ装置100は、リクライニングユニット18を有する。リクライニングユニット18は、マッサージ動作に従って背凭れ部3の角度を変化させるユニットであり、角度を変化させるための、図示しないアクチュエータと、その駆動回路とを含む。駆動回路は、プロセッサ11からの制御信号に従ってアクチュエータの駆動を制御する。
【0045】
マッサージ装置100は、フードユニット7Bを有する。フードユニット7Bは、フード7を回転させるユニットであり、回転させるための、図示しないアクチュエータと、その駆動回路とを含む。駆動回路は、プロセッサ11からの制御信号に従ってアクチュエータの駆動を制御する。
【0046】
マッサージ装置100は、照明制御部30を有する。照明制御部30は、プロセッサ11からの制御信号に従って発光装置300の各光源31からの光の照射を制御する。
【0047】
マッサージ装置100は、ユーザ操作を受け付ける操作部の一例としてのタブレット200を有する。タブレット200は、マッサージ装置100と一体の装置であってもよいし、マッサージ装置100から独立した別の装置であってもよい。タブレット200は、ユーザの操作入力を受け付けて、操作を表す操作信号をプロセッサ11に入力する。タブレット200はプロセッサ11からの制御信号に従って情報を出力してもよい。タブレット200の出力する情報は、ディスプレイ(図示せず)への画像の表示であってもよいし、スピーカ(図示せず)からの音声出力であってもよいし、それらの両方であってもよい。
【0048】
プロセッサ11は、プログラム121を実行することでマッサージコントローラとして機能し、動作制御処理111を実行する。動作制御処理111は、選択された、又は、予め規定されたマッサージ動作を各マッサージユニットに行わせるために、各マッサージユニットの動作を制御することを含む。詳しくは、動作制御処理111は、タブレット200で受け付けたユーザ操作によって指定されたマッサージコースに沿ったマッサージ動作をマッサージユニットに行わせるよう、制御信号をマッサージユニットに出力することを含む。
【0049】
マッサージコースは、心身の健康を目的として、1以上のマッサージ動作の組み合わせと、その実行するタイミングとを規定したものである。本実施の形態に係るマッサージ装置100では、さらに、マッサージコースは、心身の健康を目的として、発光装置300からの照射光の特性と、その特性の光を照射するタイミングとを規定している。メモリ12は、マッサージコースの内容を規定するコース情報を記憶するためのコース情報記憶部122を有する。
【0050】
心身の健康は、生体の状態を適した状態とすることや、不具合を改善したり抑制したりすることや、不具合の進行を抑制したりすること、などを指す。一例として、マッサージコースの目的は、生体を覚醒状態に近づける、生体を睡眠状態に近づける、認知症進行の抑制、及び、うつ病の改善・抑制、のうちの少なくとも一つを含む。これにより、心身の健康を図ることができる。
【0051】
好ましくは、コース情報記憶部122は、複数のマッサージコースのコース情報を記憶可能である。コース情報は、予め記憶されていてもよいし、タブレット200などを経由することで他の装置から入力されて記憶されるものであってもよいし、更新や変更がされるものであってもよい。これにより、マッサージ装置100は、実行可能な複数のマッサージコースの中から実行させるマッサージコースの選択を受け付けることができる。
【0052】
図6は、メモリ12に記憶されているコース情報の一例を表した図である。図6では、「覚醒コース」(第1コース)のコース情報21A、「眠りコース」(第2コース)のコース情報21B、及び、「高齢者コース」(第3コース)のコース情報21Cを含む複数のコース情報がコース情報記憶部122に記憶されている例を表している。「覚醒コース」は、生体を覚醒状態に近づけることを目的の1つとして含むマッサージコースである。「眠りコース」は、生体を睡眠状態に近づけることを目的の1つとして含むマッサージコースである。「高齢者コース」は、認知症進行の抑制のために生体に高齢者に適した刺激を与えることを目的の1つとして含むマッサージコースである。
【0053】
コース情報21A,21B,21Cは、マッサージ動作と、実行するタイミングとを規定するデータ22と、発光装置300から照射光の特性と、その特性の光を照射するタイミングとを規定するデータ23と、を含む。詳しくは、データ22は、マッサージ動作の対象とする部位を規定するデータ22A、実行するマッサージ動作を規定するデータ22B、マッサージ動作の速さを規定するデータ22C、及び、マッサージ動作の強度を指定するデータ22Dを含む。データ23は、照明の照度(lux)を規定するデータ23A、及び、波長(nm)を規定するデータ23Bを含む。これにより、マッサージコースの実行中に、規定されたマッサージ動作が行われるとともに、規定された照明の制御も行われるようになる。
【0054】
なお、マッサージ装置100がヒータや音楽などのコンテンツ再生装置などを有している場合、コース情報21A,21B,21Cは、データ22,23に加えて、ヒータの温度やON/OFFを規定するデータや、再生するコンテンツや再生のタイミングや再生時の音量や解像度などを規定するデータ、などを含んでもよい。
【0055】
各コース情報21A,21B,21Cにおいて、マッサージコースの目的に応じたマッサージ動作が規定されている。また、発光装置300から、各マッサージコースの目的に応じて規定されているメラノピックルクスの数値を持つ光が照射されるように規定されている。従って、マッサージコースによって、メラノピックルクスの数値の異なる光が発光装置300から照射される場合がある。
【0056】
メラノピックルクスは、等価メラノピック照度とも言われ、サーカディアンリズムに影響する明るさを定量的に捉える単位、つまり、光の量を表す単位の1つである。メラノピックルクスは、建築環境を評価するWELL認証(米国)の評価項目の1つに採用され、執務者の健康に影響を与えることが知られている。メラノピックルクスは、網膜上の光感受性神経節細胞であるメラノプシン細胞への刺激量によって規定された照度である。メラノプシン細胞は、光刺激に神経応答を行い、その神経応答によってメラトニンの分泌が抑制される。
【0057】
メラトニンは眠気の誘発を行う物質である。メラノピックルクスが高いとメラトニン分泌が抑制され、覚醒や集中を促す効果が得られる。メラノピックルクスが低いとメラトニンが分布され、睡眠やリラックスを促す効果が得られる。
【0058】
メラノピックルクスEzは、式(1)において、ヒトの最大視感度を表す係数Km、明所視感度関数V(λ)、分光分布Eeλ(λ)、及び、正規化した光感度曲線Nz(λ)を用いて、図3の式(1)で定義される。係数Kmは、Km=683.002[lm/W]とされている。
【0059】
メラノピックルクスは、光の波長と照度とによって変化する。言い換えると、照射光の波長と照度とを制御することによって、メラノピックルクスを変化させることができる。照度が高い方がメラノピックルクスの数値が高く、照度が低い方がメラノピックルクスの数値が低い。波長が低い方がメラノピックルクスの数値が高く、波長が高い方がメラノピックルクスの数値が低い。つまり、同じ照度であっても、色によってメラノピックルクスが異なり、青い光の方がメラノピックルクスの数値が高く、赤い光の方がメラノピックルクスの数値が低い。
【0060】
一例として、マッサージコース開始のタイミングt0からt1までの期間T1では、「覚醒コース」のコース情報21Aにおいては、背中に対して揉みのマッサージ動作を行い、その速さが「1」、強さが「1」と規定されている。また、400(lux)の照度、及び、580(nm)の波長の光を発光装置300から照射することが規定されている。「眠りコース」のコース情報21Bにおいては、脚に対してエアセルによるマッサージ動作を行い、その速さが「4」、強さが「5」と規定されている。また、750(lux)の照度、及び、680(nm)の波長の光を発光装置300から照射することが規定されている。「高齢者コース」のコース情報21Cにおいては、脚に対してエアセルによるマッサージ動作を行い、その速さが「2」、強さが「1」と規定されている。また、400(lux)の照度、及び、580(nm)の波長の光を発光装置300から照射することが規定されている。
【0061】
次に、タイミングt1からt2の期間T2では、「覚醒コース」のコース情報21Aにおいては、腰に対して叩きのマッサージ動作を行い、その速さが「3」、強さが「3」と規定されている。また、600(lux)の照度、及び、550(nm)の波長の光を発光装置300から照射することが規定されている。「眠りコース」のコース情報21Bにおいては、臀部に対して揉みのマッサージ動作を行い、その速さが「4」、強さが「4」と規定されている。また、600(lux)の照度、及び、690(nm)の波長の光を発光装置300から照射することが規定されている。「高齢者コース」のコース情報21Cにおいては、臀部に対して揉みのマッサージ動作を行い、その速さが「2」、強さが「1」と規定されている。また、600(lux)の照度、及び、550(nm)の波長の光を発光装置300から照射することが規定されている。
【0062】
次に、タイミングt2からt3の期間T3では、「覚醒コース」のコース情報21Aにおいては、臀部に対して揉みのマッサージ動作を行い、その速さが「3」、強さが「4」と規定されている。また、750(lux)の照度、及び、530(nm)の波長の光を発光装置300から照射することが規定されている。「眠りコース」のコース情報21Bにおいては、臀部に対して揉みのマッサージ動作を行い、その速さが「3」、強さが「4」と規定されている。また、450(lux)の照度、及び、700(nm)の波長の光を発光装置300から照射することが規定されている。「高齢者コース」のコース情報21Cにおいては、臀部に対して揉みのマッサージ動作を行い、その速さが「3」、強さが「3」と規定されている。また、750(lux)の照度、及び、530(nm)の波長の光を発光装置300から照射することが規定されている。
【0063】
次に、タイミングt3からt4の期間T4では、「覚醒コース」のコース情報21Aにおいては、臀部に対して揉みのマッサージ動作を行い、その速さが「5」、強さが「5」と規定されている。また、期間T4においては、850(lux)の照度、及び、500(nm)の波長の光を発光装置300から照射することが規定されている。「眠りコース」のコース情報21Bにおいては、腰に対して叩きのマッサージ動作を行い、その速さが「2」、強さが「3」と規定されている。また、300(lux)の照度、及び、730(nm)の波長の光を発光装置300から照射することが規定されている。「高齢者コース」のコース情報21Cにおいては、腰に対して叩きのマッサージ動作を行い、その速さが「2」、強さが「3」と規定されている。また、850(lux)の照度、及び、500(nm)の波長の光を発光装置300から照射することが規定されている。
【0064】
次に、タイミングt4からt5の期間T5では、「覚醒コース」のコース情報21Aにおいては、脚に対してエアセルのマッサージ動作を行い、その速さが「3」、強さが「5」と規定されている。また、期間T5においては、1000(lux)の照度、及び、480(nm)の波長の光を発光装置300から照射することが規定されている。「眠りコース」のコース情報21Bにおいては、背中に対して叩きのマッサージ動作を行い、その速さが「1」、強さが「1」と規定されている。また、100(lux)の照度、及び、750(nm)の波長の光を発光装置300から照射することが規定されている。「高齢者コース」のコース情報21Cにおいては、背中に対して叩きのマッサージ動作を行い、その速さが「1」、強さが「1」と規定されている。また、1000(lux)の照度、及び、480(nm)の波長の光を発光装置300から照射することが規定されている。
【0065】
身体に対する物理的な刺激であるマッサージ動作の種類や強さは、「眠りコース」より「覚醒コース」の方が高い。発光装置300から照射される光の照度は、「眠りコース」より「覚醒コース」の方が強い。発光装置300から照射される光の波長は、「眠りコース」より「覚醒コース」の方が低い。言い換えると、発光装置300から照射される光のメラノピックルクスの数値は、「眠りコース」より「覚醒コース」の方が高い。これにより、「覚醒コース」ではユーザの覚醒が促され、生体を覚醒状態に近づけるという目的の1つが得られる。また、「眠りコース」ではユーザの睡眠が促進され、生体を睡眠状態に近づけるという目的の1つが得られる。
【0066】
なお、各コースにおけるマッサージ動作の強い,弱い、波長の高い,低い、及び、照度の高い,低いは、全体的な傾向を指している。全体的な傾向は、例えば、すべての期間での値であってもよいし、コース全体での平均値であってもよいし、その他統計値であってもよい。以降の説明でも同様である。
【0067】
好ましくは、コース情報21A,21B,21Cに示されているように、マッサージコースにおいては、マッサージ動作の実行中に、発光装置300から照射される光の照度及び波長の少なくとも一方を徐々に変化させることが規定されている。これにより、マッサージ動作中に、発光装置300から照射される光のメラノピックルクスの数値が徐々に変化する。
【0068】
具体的には、「覚醒コース」のコース情報21Aでは、発光装置300から照射する光の波長を徐々に下げ、照度を徐々に高くすることが規定されている。これにより、「覚醒コース」の実行中には、発光装置300から照射される光が徐々に青色に変化し、徐々に照度が高くなる。また、「眠りコース」のコース情報21Bでは、発光装置300から照射する光の波長を徐々に上げ、照度を徐々に低くすることが規定されている。これにより、「眠りコース」の実行中には、発光装置300から照射される光が徐々に赤色に変化し、徐々に照度が低くなる。その結果、生体の状態を徐々に目的の状態に近づけることが可能になる。
【0069】
なお、「高齢者コース」のコース情報21Cでは、規定されるマッサージ動作の強度が「覚醒コース」におけるマッサージ動作の強度より弱く、発光装置300から照射される光の照度は「眠りコース」より全体的に高く、波長は「眠りコース」より全体的に低い。つまり、規定されているメラノピックルクスの数値が「眠りコース」より全体的に大きい。これにより、例えば認知症などの高齢者特有の不具合の進行の抑制に貢献するともに、強すぎない刺激を与え、生体に高齢者に適した刺激を与えるという目的の1つが得られる。
【0070】
図7は、制御装置10での、マッサージ装置100の制御方法の流れの一例を表したフローチャートである。制御装置10のプロセッサ11は、タブレット200から実行するマッサージコースの選択を受け付けると(ステップS101でYES)、メモリ12のコース情報記憶部122から、選択されたマッサージコースに対応したコース情報を読み出す(ステップS103)。
【0071】
プロセッサ11は、タブレット200からマッサージ動作のスタートの指示を受け付けると(ステップS105でYES)、ステップS103で読み出したコース情報に従う動作を行わせるように動作制御処理111を実行する。
【0072】
好ましくは、プロセッサ11は、タブレット200からマッサージ動作のスタートの指示を受け付けると(ステップS105でYES)、背凭れ部3をマッサージに適した位置まで倒すようにリクライニングユニット18を駆動させるとともに、フード7を第1の位置から第2の位置に移動させるようにフードユニット7Bを駆動させる(ステップS107)。これにより、マッサージ装置100は、第1の状態ST1(図1)から第2の状態ST2(図2)に移行し、マッサージ動作に適した状態となる。なお、これら動作は、ユーザやオペレータによる手動で行われるものであってもよい。
【0073】
プロセッサ11は、読み出したコース情報に従って各マッサージユニットを制御してマッサージ動作を実行させる(ステップS109)。一例として、プロセッサ11は、コース情報から、規定されたマッサージ動作となるよう、各マッサージユニットの駆動部の駆動量を得て、その駆動量で規定された動作駆動させる制御信号をマッサージユニットの駆動部に出力する。
【0074】
また、プロセッサ11は、読み出したコース情報に従って照明制御部30を制御して、規定されているメラノピックルクスの数値を持つ光を発光装置300から照射させる(ステップS111)。一例として、プロセッサ11は、コース情報から、規定された光の波長、照度となるよう、各色の光源31のデューティ比を得て、そのデューティ比となるようにPWM制御するための制御信号を照明制御部30に出力する。
【0075】
プロセッサ11は、読み出したコース情報に従って、コース終了までマッサージ動作の制御と照明の制御とを継続する(ステップS113でNO)。コース情報で規定される終了のタイミングに達すると、又は、タブレット200から終了の指示を受け付けると、プロセッサ11は、コース情報に従う制御を終了する。
【0076】
好ましくは、プロセッサ11は、コース情報に従う制御を終了すると(ステップS113でYES)、背凭れ部3をマッサージに適した位置から初期位置まで起こすようにリクライニングユニット18を駆動させるとともに、フード7を第2の位置から第1の位置に移動させるようにフードユニット7Bを駆動させる(ステップS115)。これにより、マッサージ装置100は、第2の状態ST2(図2)から第1の状態ST1(図1)に移行し、ユーザがマッサージ装置100から立ち上がりやすい状態となる。なお、これら動作もまた、ユーザやオペレータによる手動で行われるものであってもよい。
【0077】
<3.付記>
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0078】
2 :座部
2A :座部マッサージユニット
3 :背凭れ部
4 :フットレスト
4A :足マッサージユニット
5 :後壁部
5A :パネル
6 :肘掛け部
7 :フード
7B :フードユニット
7S :面
7a :軸受
8 :メカマッサージユニット
9 :ポンプユニット
10 :制御装置
11 :プロセッサ
12 :メモリ
14 :センサユニット
18 :リクライニングユニット
21A :コース情報
21B :コース情報
21C :コース情報
22 :データ
22A :データ
22B :データ
22C :データ
22D :データ
23 :データ
23A :データ
23B :データ
30 :照明制御部
31 :光源
32 :基板
100 :マッサージ装置
100A :マッサージ装置
111 :動作制御処理
121 :プログラム
122 :コース情報記憶部
200 :タブレット
300 :発光装置
A1 :矢印
A2 :矢印
L :光
P :ユーザ
ST1 :第1の状態
ST2 :第2の状態
T1 :期間
T2 :期間
T3 :期間
T4 :期間
T5 :期間
t0 :タイミング
t1 :タイミング
t2 :タイミング
t3 :タイミング
t4 :タイミング
t5 :タイミング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8