特開 2024-77146 壁面部材の施工方法、及び該施工方法で使用される傾き調整治具

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024077146

(43)【公開日】2024-06-07

(54)【発明の名称】壁面部材の施工方法、及び該施工方法で使用される傾き調整治具

(51)【国際特許分類】

   E02D 17/08 20060101AFI20240531BHJP

   E03F 1/00 20060101ALN20240531BHJP

   E03B 11/14 20060101ALN20240531BHJP

【ＦＩ】

E02D17/08 C

E02D17/08 A

E03F1/00 A

E03B11/14

【審査請求】未請求

【請求項の数】10

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022189019

(22)【出願日】2022-11-28

(71)【出願人】

【識別番号】000231110

【氏名又は名称】ＪＦＥ建材株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110001461

【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所

(72)【発明者】

【氏名】原 翔悟

【テーマコード（参考）】

2D044

2D063

【Ｆターム（参考）】

2D044AA03

2D044AA16

2D063AA11

(57)【要約】

【課題】吊り治具を用いて吊り上げた第１壁面部材を第２壁面部材に連結させる作業の負担を軽減でき、施工性を向上させることができる、壁面部材の施工方法、及び該施工方法で使用される傾き調整治具を提供する。
【解決手段】壁面部材の施工方法は、第１連結孔に吊り治具の一部を挿通して第１壁面部材を吊り上げた状態で、既に設置された第２壁面部材の下方に配置する工程と、傾き調整治具を用いて第１壁面部材の傾きを調整し、第１連結孔に挿通した吊り治具の一部を、該第１連結孔に対応する第２壁面部材の第２連結孔に挿通させて、第１壁面部材と第２壁面部材とを位置決めする工程と、第１壁面部材と第２壁面部材とを連結する工程と、を備えている。
【選択図】図７

【特許請求の範囲】

【請求項1】

複数の第１連結孔を有する第１壁面部材を吊り治具を用いて吊り上げ、複数の第２連結孔を有する第２壁面部材に連結させる壁面部材の施工方法であって、
前記第１連結孔に前記吊り治具の一部を挿通して前記第１壁面部材を吊り上げた状態で、既に設置された前記第２壁面部材の下方に配置する工程と、
傾き調整治具を用いて前記第１壁面部材の傾きを調整し、前記第１連結孔に挿通した前記吊り治具の一部を、該第１連結孔に対応する前記第２壁面部材の前記第２連結孔に挿通させて、前記第１壁面部材と前記第２壁面部材とを位置決めする工程と、
前記第１壁面部材と前記第２壁面部材とを連結する工程と、を備えている、壁面部材の施工方法。

【請求項2】

複数の第１連結孔を有する第１壁面部材を吊り治具を用いて吊り上げ、複数の第２連結孔を有する第２壁面部材に連結させる壁面部材の施工方法であって、
前記第１壁面部材に傾き調整治具を取り付けて前記第１壁面部材の傾きを調整すると共に、前記第１連結孔に前記吊り治具の一部を挿通して前記第１壁面部材を吊り上げた状態で、既に設置された前記第２壁面部材の下方に配置する工程と、
前記第１連結孔に挿通した前記吊り治具の一部を、該第１連結孔に対応する前記第２壁面部材の前記第２連結孔に挿通させて、前記第１壁面部材と前記第２壁面部材とを位置決めする工程と、
前記第１壁面部材と前記第２壁面部材とを連結する工程と、を備えている、壁面部材の施工方法。

【請求項3】

前記第１壁面部材は、
第１壁面部と、前記第１壁面部の対向する端縁に沿って設けられ、前記第１連結孔が形成された一対の第１フランジ部と、を有し、
前記第２壁面部材は、
第２壁面部と、前記第２壁面部の対向する端縁に沿って設けられ、前記第２連結孔が形成された一対の第２フランジ部と、を有しており、
対向する前記第１フランジ部と前記第２フランジ部とを接合することで、前記第１壁面部材と前記第２壁面部材とを連結する、請求項１又は２に記載の壁面部材の施工方法。

【請求項4】

前記吊り治具は、
前記第１壁面部材の前記第１連結孔と、前記第２壁面部材の前記第２連結孔に挿通させるフック部を有する、請求項１又は２に記載の壁面部材の施工方法。

【請求項5】

請求項１に記載の壁面部材の施工方法で使用される傾き調整治具であって、
前記第１連結孔の１つに挿入され、作用点として機能する挿入部と、力点として機能する押込部と、を有しており、
前記挿入部を前記第１連結孔に挿入した状態で前記押込部に力を加えることで、前記第１壁面部材の傾きを調整させる、傾き調整治具。

【請求項6】

前記挿入部が先端に形成された棒状部材とされ、前記挿入部が前記第１連結孔に挿入できるように先端部分を屈曲させた構成である、請求項５に記載の傾き調整治具。

【請求項7】

前記挿入部と前記押込部との間に設けられ、前記第１連結孔が形成された前記第１壁面部材の一部に突き当たる突起部を有している、請求項５又は６に記載の傾き調整治具。

【請求項8】

前記押込部には、足で踏み込んで力を加えるためのペダルが設けられている、請求項５又は６に記載の傾き調整治具。

【請求項9】

請求項２に記載の壁面部材の施工方法で使用される傾き調整治具であって、
前記第１壁面部材に取り付けられる載置部と、前記載置部に設置される重り部材と、を有しており、
前記重り部材の重量で、前記第１壁面部材の傾きを調整させる、傾き調整治具。

【請求項10】

前記載置部は、前記第１連結孔を利用して取り付けられる、請求項９に記載の傾き調整治具。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、壁面部材の施工方法、及び該施工方法で使用される傾き調整治具に関する。

【背景技術】

【0002】

従来、例えば特許文献１に開示されているように、複数の貫通孔を有する第１壁面部材を吊り治具を用いて吊り上げ、複数の貫通孔を有する第２壁面部材に連結させる壁面部材の施工方法が開示されている。この壁面部材の施工方法は、貫通孔に吊り治具の一部を挿通して第１壁面部材を吊り上げた状態で、既に設置された第２壁面部材の下方に配置し、第１壁面部材の貫通孔に挿通している吊り治具の一部を、第２壁面部材の貫通孔に挿通させて位置決めし、第１壁面部材と第２壁面部材とを連結するものである。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０２１－７５９６１号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

しかしながら、第１壁面部材は、吊り治具３を用いて吊り上げた際に、第１壁面部材１の図心位置と第１連結孔１１ａの位置とが異なると、第１壁面部１０側に傾いた状態となる。第１壁面部材が傾いた状態で、第１壁面部材の貫通孔に挿通している吊り治具の一部を第２壁面部材の貫通孔に挿通させる作業が作業者にとって負担となることがあった。

【0005】

本発明は、上記の課題を解決するものであり、吊り治具を用いて吊り上げた第１壁面部材を第２壁面部材に連結させる作業の負担を軽減でき、施工性を向上させることができる、壁面部材の施工方法、及び該施工方法で使用される傾き調整治具を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本発明に係る壁面部材の施工方法は、複数の第１連結孔を有する第１壁面部材を吊り治具を用いて吊り上げ、複数の第２連結孔を有する第２壁面部材に連結させる壁面部材の施工方法であって、前記第１連結孔に前記吊り治具の一部を挿通して前記第１壁面部材を吊り上げた状態で、既に設置された前記第２壁面部材の下方に配置する工程と、傾き調整治具を用いて前記第１壁面部材の傾きを調整し、前記第１連結孔に挿通した前記吊り治具の一部を、該第１連結孔に対応する前記第２壁面部材の前記第２連結孔に挿通させて、前記第１壁面部材と前記第２壁面部材とを位置決めする工程と、前記第１壁面部材と前記第２壁面部材とを連結する工程と、を備えているものである。

【0007】

本発明に係る壁面部材の施工方法は、複数の第１連結孔を有する第１壁面部材を吊り治具を用いて吊り上げ、複数の第２連結孔を有する第２壁面部材に連結させる壁面部材の施工方法であって、前記第１壁面部材に傾き調整治具を取り付けて前記第１壁面部材の傾きを調整すると共に、前記第１連結孔に前記吊り治具の一部を挿通して前記第１壁面部材を吊り上げた状態で、既に設置された前記第２壁面部材の下方に配置する工程と、前記第１連結孔に挿通した前記吊り治具の一部を、該第１連結孔に対応する前記第２壁面部材の前記第２連結孔に挿通させて、前記第１壁面部材と前記第２壁面部材とを位置決めする工程と、前記第１壁面部材と前記第２壁面部材とを連結する工程と、を備えているものである。

【0008】

本発明に係る壁面部材の施工方法で使用される傾き調整治具は、上記段落［０００６］に記載した施工方法で使用される傾き調整治具であって、前記第１連結孔の１つに挿入され、作用点として機能する挿入部と、力点として機能する押込部と、を有しており、前記挿入部を前記第１連結孔に挿入した状態で前記押込部に力を加えることで、前記第１壁面部材の傾きを調整させるものである。

【0009】

本発明に係る壁面部材の施工方法で使用される傾き調整治具は、上記段落［０００７］に記載した施工方法で使用される傾き調整治具であって、前記第１壁面部材に取り付けられる載置部と、前記載置部に設置される重り部材と、を有しており、前記重り部材の重量で、前記第１壁面部材の傾きを調整させるものである。

【発明の効果】

【0010】

本発明では、傾き調整治具を使用して第１壁面部材の傾きを調整することができるので、吊り治具を用いて吊り上げた第１壁面部材を第２壁面部材に連結させる作業の負担を軽減でき、施工性を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【0011】

【図1】実施の形態１に係る壁面部材の施工方法の一例を示した説明図である。

【図2】実施の形態１に係る壁面部材の施工方法の一例を示した説明図である。

【図3】実施の形態１における壁面部材の変形例を示した説明図である。

【図4】実施の形態１における吊り治具の正面図である。

【図5】実施の形態１に係る壁面部材の施工方法の施工手順を示した説明図である。

【図6】実施の形態１に係る壁面部材の施工方法の施工手順を示した説明図である。

【図7】実施の形態１に係る壁面部材の施工方法の施工手順を示した説明図である。

【図8】実施の形態１に係る壁面部材の施工方法の施工手順を示した説明図である。

【図9】実施の形態１に係る壁面部材の施工方法の施工手順を示した説明図である。

【図10】実施の形態１に係る壁面部材の施工方法のであって、変形例１の傾き調整治具を用いた施工手順を示した説明図である。

【図11】実施の形態１に係る壁面部材の施工方法であって、変形例１の傾き調整治具を用いた施工手順を示した説明図である。

【図12】実施の形態１に係る壁面部材の施工方法であって、変形例２の傾き調整治具を用いた場合の説明図である。

【図13】実施の形態２に係る壁面部材の施工方法の施工手順を示した説明図である。

【図14】実施の形態２に係る壁面部材の施工方法の施工手順を示した説明図である。

【図15】実施の形態２に係る壁面部材の施工方法の施工手順を示した説明図である。

【発明を実施するための形態】

【0012】

以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付して、その説明を適宜省略又は簡略化する。また、各図に記載の構成について、その形状、大きさ、及び配置等は、本発明の範囲内で適宜変更することができる。また、理解を容易にするために方向を表す用語（例えば、上、下、左及び右等）を適宜用いるが、それらの表記は、説明の便宜上の記載であり、装置、器具、あるいは部品等の配置、方向及び向きを限定するものではない。

【0013】

実施の形態１．
図１及び図２は、実施の形態１に係る壁面部材の施工方法の一例を示した説明図である。本実施の形態１に係る壁面部材の施工方法は、吊り治具３を用いて吊り上げた第１壁面部材１を、既に設置された第２壁面部材２に連結させる構成である。先ず、図１～図３を参照して、第１壁面部材１と第２壁面部材２の構成について説明する。

【0014】

（壁面部材の構成）
第１壁面部材１と第２壁面部材２は、例えば構造物の基礎や下水道等を構築するための立坑又は地中に構築される集水井等の構造物に用いられる土留パネルである。当該構造物は、例えば地面を掘削して形成された鉛直の掘削孔の周方向に複数枚の土留パネルを配置して形成した環状の構造体を、掘削孔の孔軸方向に沿って複数段に積み重ねて構築されるものである。

【0015】

第１壁面部材１と第２壁面部材２は、一例として同一の構成である。そのため、吊り治具３を用いて吊り上げられる第１壁面部材１を中心に説明し、第２壁面部材２については重複する説明を適宜省略する。図１に示すように、第１壁面部材１は、平板状の第１壁面部１０と、第１壁面部１０の対向する一方の端縁に沿って設けられた一対の第１フランジ部１１と、第１壁面部１０の対向する他方の端縁に沿って設けられた一対の継手板１２と、を備えている。第１壁面部１０、第１フランジ部１１及び継手板１２は、いずれも平板状の鋼板で形成されている。第１壁面部材１は、第１壁面部１０と第１フランジ部１１と継手板１２とで一方に開口面を有する凹状に形成されている。第１壁面部材１は、一例として長方形状である。一対の第１フランジ部１１は、第１壁面部１０の上端及び下端に設けられて上面及び下面を形成するものである。一対の継手板１２は、第１壁面部１０の左右の両端に設けられて左右の側面を形成するものである。第１フランジ部１１及び継手板１２は、それぞれ第１壁面部１０に溶接で接合されている。

【0016】

同様に、第２壁面部材２は、平板状の第２壁面部２０と、第２壁面部２０の対向する一方の端縁に沿って設けられた一対の第２フランジ部２１と、第２壁面部２０の対向する他方の端縁に沿って設けられた一対の継手板２２と、を備えている。

【0017】

第１フランジ部１１には、第１壁面部材１と第２壁面部材２を連結するための第１連結孔１１ａが複数形成されている。第２フランジ部２１にも、第１壁面部材１と第２壁面部材２を連結するための第２連結孔２１ａが複数形成されている。第１壁面部材１と第２壁面部材２は、対向する第１フランジ部１１と第２フランジ部２１とを突き合わせ、例えば第１連結孔１１ａ及び第２連結孔２１ａに挿通したボルトの軸部をナットで締結することで連結される。なお、第１壁面部材１と第２壁面部材２を連結する手段は、ボルト及びナットに限定されず、例えばクリップ等の連結具を用いてもよい。また、図示した第１連結孔１１ａ及び第２連結孔２１ａの個数は一例であって、これに限定されない。

【0018】

なお、継手板１２（２２）には、掘削孔の周方向に配置した左右に隣り合う壁面部材同士を連結するために利用する連結孔１２ａ（２２ａ）が複数形成されている。左右に隣り合う壁面部材同士は、連結孔１２ａ（２２ａ）を利用して、ボルト接合又はクリップ等の連結具を用いて連結される。

【0019】

また、図２に示すように、第１壁面部材１は、上下の第１フランジ部１１の間に設けられ、製造時、運搬時、及び施工時における第１壁面部材１の形状を保持する形状保持部材８を有していてもよい。形状保持部材８は、例えば図２示した鋼板等から成る板状部材、又は鉄筋棒等から成る棒状部材（図示省略）で構成するとよい。なお、形状保持部材８の形状及び設置個数は、例えば第１壁面部材１の大きさ及び形状等を考慮して決定される。また、第２壁面部材２についても同様に、形状保持部材８を有していてもよい。

【0020】

図３は、実施の形態１における壁面部材の変形例を示した説明図である。第１壁面部材１及び第２壁面部材２は、上記図１に示した構成に限定されない。第１壁面部材１及び第２壁面部材２は、例えば図３（Ａ）及び（Ｂ）に示した波付け鋼板でもよい。図３（Ａ）に示した波付け鋼板は、第１壁面部１０及び第２壁面部２０として、波形断面が角波状となるように屈曲形成された構成である。図３（Ｂ）に示した波付け鋼板は、第１壁面部１０及び第２壁面部２０として、波形断面がサインカーブ状に形成された構成である。波付け鋼板は、上端縁及び下端縁に沿って設けられた第１フランジ部１１又は第２フランジ部２１と、長手方向の両端縁に沿って設けられた継手板１２又は２２と、を有している。第１フランジ部１１又は第２フランジ部２１は、波付け鋼板の上端縁及び下端縁を曲げ加工されて形成されている。継手板１２又は２２は、波付け鋼板の長手方向の両端縁に溶接された鋼板によって形成されている。

【0021】

また、図示することは省略したが、第１壁面部材１と第２壁面部材２は、断面がＨ形状に形成された鋼材、断面が溝形状に形成された鋼材を用いて形成してもよいし、これらの鋼材を組み合わせて形成してもよく、その他の形状からなる鋼材を用いて形成してもよい。要するに、上記した第１壁面部材１と第２壁面部材２の構成は一例であって、土留パネル等として使用される壁面部材とした構成であれば、どのような形態でもよい。また、第１壁面部材１と第２壁面部材２は、同一の構成に限定されず、異なる構成でもよい。例えば、第１壁面部材１を図１に示した平板状の第１壁面部１０を有する構成とし、第２壁面部材２を図３に示した波付け鋼板からなる第２壁面部２０を有する構成としてもよいし、その逆の構成でもよい。

【0022】

（吊り治具３の構成）
次に、図１及び図４を参照して吊り治具３の構成について説明する。図４は、実施の形態１における吊り治具３の正面図である。吊り治具３は、図１に示すように、第１壁面部材１に取り付けられ、第１壁面部材１をバックホウ等の吊り上げ装置で吊り上げるために使用するものである。吊り治具３は、例えば、第１壁面部材１の上面側の第１フランジ部１１に間隔をあけて２つ取り付けられる。吊り治具３は、例えば断面円形状の丸鋼を加工して形成されている。吊り治具３は、図４に示すように、治具本体３０と、把持部３１と、を有している。

【0023】

治具本体３０は、断面円形状の丸鋼を曲げ加工して形成されている。治具本体３０は、一端側に形成された略Ｌ字状のフック部３２と、他端側に形成されたリング状の掛止部３３と、フック部３２と掛止部３３との間に形成された直線状の本体部３４と、を有している。

【0024】

フック部３２は、支持部３２ａと挿通部３２ｂと、を有している。支持部３２ａは、本体部３４から屈曲して直線状に延伸させた部分である。支持部３２ａは、吊り治具３を使用して第１壁面部材１を吊り上げる際に、第１壁面部材１の第１フランジ部１１が載置された状態で、第１壁面部材１を一定姿勢で支持する。挿通部３２ｂは、支持部３２ａの端部から掛止部３３側に向かって屈曲させて直線状に延伸させた部分である。挿通部３２ｂは、吊り治具３を使用して第１壁面部材１を吊り上げる際に、第１フランジ部１１に形成された第１連結孔１１ａに挿通される。挿通部３２ｂは、図１に示すように、第１連結孔１１ａに挿通した際に、第１連結孔１１ａから突き出す長さで形成されている。

【0025】

掛止部３３は、バックホウ等の吊り上げ装置に接続されたワイヤ６等が掛け止められる部分である。掛止部３３は、リング状に曲げ加工することにより形成されている。なお、掛止部３３は、ワイヤ６等が掛け止めされる形状であればよく、図示したリング状に限定されず、例えば矩形、曲形など、その他の形状でもよい。また、掛止部３３は、リング状に曲げ加工することに限定されず、例えば本体部３４にリング状の部材を溶接等で取り付けてもよいし、その他の加工方法により形成してもよい。

【0026】

把持部３１は、作業者が吊り治具３を操作するために把持する部分である。把持部３１は、断面円形状の丸鋼の一端部を治具本体３０の本体部３４に溶接して取り付けられたものである。把持部３１は、フック部３２とは反対側の向きに向けて略直線状に延びるように設けられている。作業者は、把持部３１を握って操作することで、吊り治具３が取り付けられた第１壁面部材１を所望の位置に移動させたり、或いは第１壁面部材１を一定の姿勢に変更させたりすることができる。なお、把持部３１は、略直線状に延びる構成に限定されず、例えばコの字状やＬ字状等、他の形状でもよい。要するに、把持部３１は、作業者が吊り治具３を把持して操作することができれば、どのような形態でもよい。但し、把持部３１は、フック部３２の向きとは異なる向きに設けるものとする。

【0027】

なお、吊り治具３は、上記構成に限定されない。吊り治具３は、上記構成に加えて他の機能を含んでもよいし、例えば把持部３１や支持部３２ａを省略してもよい。

【0028】

（吊り治具３を用いた壁面部材の施工方法）
次に、図５～図９を参照して壁面部材の施工方法の手順について説明する。図５～図９は、実施の形態１に係る壁面部材の施工方法の施工手順を示した説明図である。実施の形態１に係る壁面部材の施工方法では、例えば立抗内に既に設置されている第２壁面部材２の下方に、吊り治具３を使用して吊り上げた第１壁面部材１を設置するものである。

【0029】

先ず、図５に示すように、第１連結孔１１ａに吊り治具３の一部を挿通して第１壁面部材１を吊り上げる。吊り治具３は、上面側の第１フランジ部１１の第１連結孔１１ａの１つにフック部３２の挿通部３２ｂを挿通することで第１壁面部材１に取り付けることができる。第１壁面部材１は、吊り治具３にワイヤ６を介して接続されたバックホウ等の吊り上げ装置で持ち上げて移送させる。第１壁面部材１は、吊り治具３を用いて吊り上げた際に、第１壁面部材１の図心位置と第１連結孔１１ａの位置とが異なるため、第１壁面部１０側に傾いた状態となる。

【0030】

そして、図６に示すように、第１連結孔１１ａに吊り治具３の挿通部３２ｂを挿通して第１壁面部材１を吊り上げた状態で、第１壁面部材１を第２壁面部材２の下方まで移送させて配置し、挿通部３２ｂを第２壁面部材２の第２連結孔２１ａの位置に合わせる。このとき、挿通部３２ｂの先端の一部を、第２壁面部材２の第２連結孔２１ａに挿入させるとよい。この位置合わせ作業は、作業者が把持部３１を握り、第１壁面部材１を所望の位置に移動させることで行うことができる。

【0031】

次に、図７に示すように、傾き調整治具４を用いて、第１壁面部材１の第１フランジ部１１がほぼ水平姿勢となるように、第１壁面部材１の傾き調整し、図８に示すように、第１壁面部材１の第１フランジ部１１と、第２壁面部材２の第２フランジ部２１とを突き合わせる。そして、第１連結孔１１ａに挿通した吊り治具３の挿通部３２ｂを、該第１連結孔１１ａに対応する第２壁面部材２の第２連結孔２１ａに挿通させて、第１壁面部材１と第２壁面部材２とを位置決めする。

【0032】

傾き調整治具４は、一例として長さが１ｍ程度の棒状部材である。傾き調整治具４は、下面側の第１フランジ部１１の第１連結孔１１ａの１つに挿入されて作用点として機能する挿入部４０と、力点として機能する押込部４１と、を有している。傾き調整治具４は、先端である挿入部４０が第１連結孔１１ａに挿入しやすくなるように先端部分が屈曲されている。傾き調整治具４は、図７に示すように、挿入部４０を第１連結孔１１ａに挿入した状態で、押込部４１に下方の力を加えることで、第１壁面部材１の第１壁面部１０側が持ち上がって傾きを調整でき、第１フランジ部１１をほぼ水平姿勢にすることができる。なお、作業性を考慮すると、傾き調整治具４は、複数ある第１連結孔１１ａのうち、２つの吊り治具３の間に位置する第１連結孔１１ａに挿入部４０を挿入することが望ましく、更には、２つの吊り治具３の中央に位置する第１連結孔１１ａに挿入部４０を挿入することが望ましい。

【0033】

そして、図８に示すように、第１壁面部材１の上面側の第１フランジ部１１を、第２壁面部材２の下面側の第２フランジ部２１に突き合わせることで、フック部３２の挿通部３２ｂを第１連結孔１１ａに対応する第２壁面部材２の第２連結孔２１ａに挿通させることができ、第１壁面部材１と第２壁面部材２とを位置決めすることができる。なお、傾き調整治具４は、図示した棒状部材に限定されず、第１連結孔１１ａに挿入されて作用点として機能する挿入部４０と、力点として機能する押込部４１と、を有し、第１壁面部材１の傾きを調整することができる構成であれば、他の形態でもよい。また、押込部４１は、図示例の場合、挿入部４０を設けた先端部とは反対側の端部を示しているが、下方に力を加えることができれば、挿入部４０以外のどの部分でもよい。また、傾き調整治具４の長さは、１ｍ程度に限定されず、作業者の作業性を考慮して適宜変更するものとする。

【0034】

最後に、図９に示すように、突き合わせた第１壁面部材１と第２壁面部材２とを連結する。具体的には、先ず、フック部３２の挿通部３２ｂが挿通されていない他の第１フランジ部１１の第１連結孔１１ａと、第２フランジ部２１の第２連結孔２１ａにボルト７ａの軸部を挿通し、該軸部をナット７ｂで締結する。そして、すべての連結孔又は数ヵ所の連結孔において締結した後、吊り治具３を第１壁面部材１から取り外し、フック部３２の挿通部３２ｂが挿通されていた第１連結孔１１ａと第２連結孔２１ａにボルト７ａの軸部を挿通し、該軸部をナット７ｂで締結する。なお、第１壁面部材１と第２壁面部材２とを連結する手段は、ボルト７ａ及びナット７ｂによるボルト接合に限定されず、例えばクリップ等の連結具を用いてもよい。

【0035】

図１０及び図１１は、実施の形態１に係る壁面部材の施工方法であって、変形例１の傾き調整治具４Ａを用いた施工手順を示した説明図である。図１０及び図１１に示した傾き調整治具４Ａは、上記傾き調整治具４の構成に加え、押込部４１に足で踏み込んで力を加えるためのペダル４２を設けたことを特徴としている。棒状部材の長さは、一例として５０ｃｍ程度である。ペダル４２は、挿入部４０を設けた先端側とは反対側の他端部の下面に板状又は棒状等の鋼材を溶接等で取り付けて形成されている。なお、ペダル４２は、挿入部４０を設けた先端側とは反対側の他端部に設ける構成に限定されず、先端部以外の箇所であればどの箇所に設けてもよく、棒状部材の上面、下面又は側面のいずれに設けてもよい。要するに、ペダル４２は、作業者が足で踏み込むことで下方に力を加えることができる構成であれば、どのような形態でもよい。

【0036】

傾き調整治具４Ａは、図１０に示すように、挿入部４０を第１連結孔１１ａに挿入した状態でペダル４２を踏み込み、押込部４１に力を加えることで、第１壁面部材１の第１壁面部１０側が持ち上がって第１壁面部材１の傾きを調整でき、第１フランジ部１１をほぼ水平姿勢にすることができる。そして、図１１に示すように、第１壁面部材１の上面側の第１フランジ部１１を、第２壁面部材２の下面側の第２フランジ部２１に突き合わせることで、フック部３２の挿通部３２ｂを第２壁面部材２の第２連結孔２１ａに挿入することができ、第１壁面部材１と第２壁面部材２とを位置決めすることができる。なお、傾き調整治具４Ａの長さは、５０ｃｍ程度に限定されず、作業者の作業性を考慮して適宜変更するものとする。

【0037】

図１２は、実施の形態１に係る壁面部材の施工方法であって、変形例２の傾き調整治具４Ｂを用いた場合の説明図である。図１２に示した傾き調整治具４Ｂは、上記傾き調整治具４の構成に加え、挿入部４０と押込部４１との間に設けられ、挿入部４０を第１連結孔１１ａに挿入した状態で押込部４１に力を加えることで、第１連結孔１１ａが形成された第１壁面部材１の一部に突き当たる突起部４３を有している。第１連結孔１１ａが形成された第１壁面部材１の一部とは、図示例の場合、下面側の第１フランジ部１１の内面である。突起部４３は、一例として、棒状部材の先端部分である屈曲した範囲に設けられている。突起部４３は、鋼材を棒状部材に溶接等で取り付けて形成されている。傾き調整治具４Ｂは、押込部４１に下方の力を加えた際に、突起部４３が第１フランジ部１１の内面に突き当たることにより、挿入部４０の挿入状態を安定させることができるので、作業性を向上させることができる。また、傾き調整治具４Ｂは、押込部４１に下方の力を加えた際に、突起部４３を介して第１フランジ部１１を下方に押し込むような力が加えることができるので、挿入部４０によって第１連結孔１１ａに過度な力が掛からず、第１連結孔１１ａの保護に繋がる。

【0038】

なお、突起部４３は、挿入部４０と押込部４１との間に設けられ、第１連結孔１１ａが形成された第１壁面部材１の一部に突き当たる構成であれば、形状、大きさ、及び配置等は、どのような形態でもよい。但し、突起部４３は、第１連結孔１１ａから抜け出さない大きさ又は形状とする。また、図示することは省略したが、図１２に示した傾き調整治具４Ｂは、図１０及び図１１に示したペダル４２を押込部４１に設けてもよい。

【0039】

以上のように、本実施の形態１に係る壁面部材の施工方法は、第１連結孔１１ａに吊り治具３の一部を挿通して第１壁面部材１を吊り上げた状態で、既に設置された第２壁面部材２の下方に配置する工程と、傾き調整治具４を用いて第１壁面部材１の傾きを調整し、第１連結孔１１ａに挿通した吊り治具３の一部を、該第１連結孔１１ａに対応する第２壁面部材２の第２連結孔２１ａに挿通させて、第１壁面部材１と第２壁面部材２とを位置決めする工程と、第１壁面部材１と第２壁面部材２とを連結する工程と、を備えている。よって、本実施の形態１に係る壁面部材の施工方法は、傾き調整治具を使用して第１壁面部材１の傾きを調整することができるので、吊り治具３を用いて吊り上げた第１壁面部材１を第２壁面部材２に連結させる作業の負担を軽減でき、施工性を向上させることができる。

【0040】

実施の形態２．
次に、図１３～図１５を参照して、本実施の形態２に係る壁面部材の施工方法を説明する。図１３～図１５は、実施の形態２に係る壁面部材の施工方法の施工手順を示した説明図である。なお、実施の形態１で説明した壁面部材の施工方法と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その説明を適宜省略する。

【0041】

本実施の形態２に係る壁面部材の施工方法では、傾き調整治具５の構成が実施の形態１の傾き調整治具４と異なる。本実施の形態２における傾き調整治具５は、図１３及び図１４に示すように、第１壁面部材１に取り付けられる載置部５０と、載置部５０に設置される重り部材５１と、を有しており、重り部材５１の重量で、第２壁面部材２の傾きを調整させる構成である。

【0042】

載置部５０は、第１壁面部材１の下面側の第１フランジ部１１に取り付けられる取付部５０ａと、該取付部５０ａの外面から突き出して重り部材５１を載置させる載置本体部５０ｂと、を有している。取付部５０ａは、断面が凹状の鋼材とされ、開口内部に第１フランジ部１１が端縁から第１連結孔１１ａを超えた位置まで差し込まれる。取付部５０ａは、第１連結孔１１ａと対応する位置に、貫通孔が形成されている。取付部５０ａは、第１連結孔１１ａと貫通孔に挿通したピン等の接合部材５２によって第１フランジ部１１に取り付けられる。なお、取付部５０ａは、図示した大きさ及び形状に限定されず、第１フランジ部１１に取り付けることができれば、他の形態でもよい。また、取付部５０ａは、第１フランジ部１１に取り付ける構成に限定されず、第１壁面部材１の他の構成要素に取り付けてもよい。また、接合部材５２は、ピンに限定されず、例えばボルト及びナットでもよい。

【0043】

載置本体部５０ｂは、一例として鋼板であり、取付部５０ａに溶接等で接合されている。載置本体部５０ｂの上面には、重り部材５１が設置される。なお、載置本体部５０ｂは、鋼板に限定されず、重り部材５１を載置させることができれば、形状、材質及び大きさ等は、特に限定されない。また、載置本体部５０ｂは、載置させた重り部材５１が落ちないように、周囲を囲う壁面部を設けてもよい。また、載置本体部５０ｂは、取付部５０ａと一体的に形成したものでもよい。また、載置本体部５０ｂは、取付部５０ａに溶接以外の方法で接合してもよい。

【0044】

重り部材５１は、第１壁面部材１の傾きを調整させる重さを有している。重り部材５１は、載置本体部５０ｂの上面に載置され、移動しないように固定された状態で設置される。なお、重り部材５１は、第１壁面部材１の傾きを調整させる重さを有するものであれば、どのような大きさ、形状及び材質でもよい。

【0045】

次に、図９、図１３～図１５を参照して、実施の形態２に係る壁面部材の施工方法の手順について説明する。実施の形態２に係る壁面部材の施工方法では、例えば立抗内に既に設置されている第２壁面部材２の下方に、吊り治具３で吊り上げた第１壁面部材１を設置するものである。

【0046】

先ず、図１３に示すように、第１壁面部材１の下面側の第１フランジ部１１に形成された第１連結孔１１ａに傾き調整治具５を取り付けて第１壁面部材１の傾きを調整すると共に、上面側の第１フランジ部１１に形成された第１連結孔１１ａに吊り治具３の一部を挿通して第１壁面部材１を吊り上げる。第１壁面部材１は、傾き調整治具５を取り付けていない状態で吊り上げると、第１壁面部材１の図心位置と第１連結孔１１ａの位置とが異なるため、第１壁面部１０側に傾いた状態となることがある。しかし、第１壁面部材１は、傾き調整治具５を取り付けることにより、重り部材５１の重量によって下方に力が加わり、第１壁面部材１の第１壁面部１０側が持ち上がって第１フランジ部１１をほぼ水平姿勢に保つことができる。吊り治具３は、上面側の第１フランジ部１１の第１連結孔１１ａの１つにフック部３２の挿通部３２ｂを挿通することで第１壁面部材１に取り付けることができる。第１壁面部材１は、吊り治具３にワイヤ６を介して接続されたバックホウ等の吊り上げ装置で持ち上げて移送させる。

【0047】

次に、図１４に示すように、第１連結孔１１ａに吊り治具３の挿通部３２ｂを挿通して第１壁面部材１を吊り上げた状態で、第１壁面部材１を第２壁面部材２の下方まで移送させて配置し、挿通部３２ｂを第２壁面部材２の第２連結孔２１ａの位置に合わせる。この位置合わせ作業は、作業者が把持部３１を握り、吊り治具３が取り付けられた第１壁面部材１を所望の位置に移動させることで行うことができる。

【0048】

次に、図１５に示すように、第１壁面部材１を移動させ、第１壁面部材１の上面側の第１フランジ部１１を、第２壁面部材２の下面側の第２フランジ部２１に突き合わせることで、フック部３２の挿通部３２ｂを第１連結孔１１ａに対応する第２壁面部材２の第２連結孔２１ａに挿通させることができ、第１壁面部材１と第２壁面部材２とが位置決めされる。

【0049】

そして、図９に示すように、突き合わせた第１壁面部材１と第２壁面部材２とを連結する。具体的には、先ず、フック部３２の挿通部３２ｂが挿通されていない他の第１フランジ部１１の第１連結孔１１ａと、第２フランジ部２１の第２連結孔２１ａにボルト７ａの軸部を挿通し、該軸部をナット７ｂで締結する。そして、すべての連結孔又は数ヵ所の連結孔において締結した後、吊り治具３を第１壁面部材１から取り外し、フック部３２の挿通部３２ｂが挿通されていた第１連結孔１１ａと第２連結孔２１ａにボルト７ａの軸部を挿通し、該軸部をナット７ｂで締結する。なお、第１壁面部材１と第２壁面部材２とを連結する手段は、ボルト７ａ及びナット７ｂによるボルト接合に限定されず、例えばクリップ等の連結具を用いてもよい。最後に、第１壁面部材１から傾き調整治具５を取り外す。

【0050】

以上のように、本実施の形態２に係る壁面部材の施工方法は、第１壁面部材１に傾き調整治具５を取り付けて第１壁面部材１の傾きを調整すると共に、第１連結孔１１ａに吊り治具３の一部を挿通して第１壁面部材１を吊り上げた状態で、既に設置された第２壁面部材２の下方に配置する工程と、第１連結孔１１ａに挿通した吊り治具３の一部を、該第１連結孔１１ａに対応する第２壁面部材２の第２連結孔２１ａに挿通させて、第１壁面部材１と第２壁面部材２とを位置決めする工程と、第１壁面部材１と第２壁面部材２とを連結する工程と、を備えている。よって、本実施の形態２に係る壁面部材の施工方法は、傾き調整治具５を使用して第１壁面部材１の傾きを調整することができるので、吊り治具３を用いて吊り上げた第１壁面部材１を第２壁面部材２に連結させる作業の負担を軽減でき、施工性を向上させることができる。

【0051】

以上に、壁面部材の施工方法、及び該施工方法で使用される傾き調整治具を実施の形態に基づいて説明したが、上述した実施の形態の構成に限定されるものではない。上記した壁面部材の施工方法、及び該施工方法で使用される傾き調整治具の構成は、一例であって、構成要素の一部を省略してもよいし、他の構成要素を含んでもよい。また、第１壁面部材１及び第２壁面部材２は、集水井等の構造物に用いられる土留パネル以外の目的で使用される壁面部材であってもよい。要するに、壁面部材の施工方法、及び該施工方法で使用される傾き調整治具は、技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更及び応用のバリエーションの範囲を含むものである。

【0052】

上記に説明した壁面部材の施工方法、及び該施工方法で使用される傾き調整治具は、以下の付記１～１０に示す各特徴の組み合わせも含み得るものである。その組み合わせについて下記に示す。

【0053】

（付記１）
複数の第１連結孔を有する第１壁面部材を吊り治具を用いて吊り上げ、複数の第２連結孔を有する第２壁面部材に連結させる壁面部材の施工方法であって、
前記第１連結孔に前記吊り治具の一部を挿通して前記第１壁面部材を吊り上げた状態で、既に設置された前記第２壁面部材の下方に配置する工程と、
傾き調整治具を用いて前記第１壁面部材の傾きを調整し、前記第１連結孔に挿通した前記吊り治具の一部を、該第１連結孔に対応する前記第２壁面部材の前記第２連結孔に挿通させて、前記第１壁面部材と前記第２壁面部材とを位置決めする工程と、
前記第１壁面部材と前記第２壁面部材とを連結する工程と、を備えている、壁面部材の施工方法。

【0054】

（付記２）
複数の第１連結孔を有する第１壁面部材を吊り治具を用いて吊り上げ、複数の第２連結孔を有する第２壁面部材に連結させる壁面部材の施工方法であって、
前記第１壁面部材に傾き調整治具を取り付けて前記第１壁面部材の傾きを調整すると共に、前記第１連結孔に前記吊り治具の一部を挿通して前記第１壁面部材を吊り上げた状態で、既に設置された前記第２壁面部材の下方に配置する工程と、
前記第１連結孔に挿通した前記吊り治具の一部を、該第１連結孔に対応する前記第２壁面部材の前記第２連結孔に挿通させて、前記第１壁面部材と前記第２壁面部材とを位置決めする工程と、
前記第１壁面部材と前記第２壁面部材とを連結する工程と、を備えている、壁面部材の施工方法。

【0055】

（付記３）
前記第１壁面部材は、
第１壁面部と、前記第１壁面部の対向する端縁に沿って設けられ、前記第１連結孔が形成された一対の第１フランジ部と、を有し、
前記第２壁面部材は、
第２壁面部と、前記第２壁面部の対向する端縁に沿って設けられ、前記第２連結孔が形成された一対の第２フランジ部と、を有しており、
対向する前記第１フランジ部と前記第２フランジ部とを接合することで、前記第１壁面部材と前記第２壁面部材とを連結する、付記１又は２に記載の壁面部材の施工方法。

【0056】

（付記４）
前記吊り治具は、
前記第１壁面部材の前記第１連結孔と、前記第２壁面部材の前記第２連結孔に挿通させるフック部を有する、付記１～３のいずれか一つに記載の壁面部材の施工方法。

【0057】

（付記５）
付記１、付記１に従属する付記３又は４に記載の壁面部材の施工方法で使用される傾き調整治具であって、
前記第１連結孔の１つに挿入され、作用点として機能する挿入部と、力点として機能する押込部と、を有しており、
前記挿入部を前記第１連結孔に挿入した状態で前記押込部に力を加えることで、前記第１壁面部材の傾きを調整させる、傾き調整治具。

【0058】

（付記６）
前記挿入部が先端に形成された棒状部材とされ、前記挿入部が前記第１連結孔に挿入できるように先端部分を屈曲させた構成である、付記５に記載の傾き調整治具。

【0059】

（付記７）
前記挿入部と前記押込部との間に設けられ、前記第１連結孔が形成された前記第１壁面部材の一部に突き当たる突起部を有している、付記５又は６に記載の傾き調整治具。

【0060】

（付記８）
前記押込部には、足で踏み込んで力を加えるためのペダルが設けられている、付記５～７のいずれか一つに記載の傾き調整治具。

【0061】

（付記９）
付記２、付記２に従属する付記３又は４に記載の壁面部材の施工方法で使用される傾き調整治具であって、
前記第１壁面部材に取り付けられる載置部と、前記載置部に設置される重り部材と、を有しており、
前記重り部材の重量で、前記第１壁面部材の傾きを調整させる、傾き調整治具。

【0062】

（付記１０）
前記載置部は、前記第１連結孔を利用して取り付けられる、付記９に記載の傾き調整治具。

【符号の説明】

【0063】

１ 第１壁面部材、２ 第２壁面部材、３ 吊り治具、４、４Ａ、４Ｂ 傾き調整治具、５ 傾き調整治具、６ ワイヤ、７ａ ボルト、７ｂ ナット、８ 形状保持部材、１０ 第１壁面部、１１ 第１フランジ部、１１ａ 第１連結孔、１２ 継手板、１２ａ 連結孔、２０ 第２壁面部、２１ 第２フランジ部、２１ａ 第２連結孔、２２ 継手板、２２ａ 連結孔、３０ 治具本体、３１ 把持部、３２ フック部、３２ａ 支持部、３２ｂ 挿通部、３３ 掛止部、３４ 本体部、４０ 挿入部、４１ 押込部、４２ ペダル、４３ 突起部、５０ 載置部、５０ａ 取付部、５０ｂ 載置本体部、５１ 重り部材、５２ 接合部材。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】