(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077162
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】車載制御装置、動作制御方法および通信システム
(51)【国際特許分類】
H04L 41/0833 20220101AFI20240531BHJP
H04L 41/5051 20220101ALI20240531BHJP
H04L 43/08 20220101ALI20240531BHJP
B60R 16/023 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
H04L41/0833
H04L41/5051
H04L43/08
B60R16/023 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189047
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】呉 ダルマワン
(72)【発明者】
【氏名】北川 和樹
(72)【発明者】
【氏名】浦山 博史
(57)【要約】
【課題】車載ネットワークにおける省電力機能を向上させる。
【解決手段】複数の車載装置を含む車載ネットワークにおいて用いられる車載制御装置であって、前記車載ネットワークにおいて実行されるサービスの種別を検知する検知部と、前記検知部によって検知された前記サービスの種別に対応する所定の複数の前記車載装置である複数のサービス対応装置が動作している状態において、前記複数のサービス対応装置のうちの一部の前記サービス対応装置を選択し、選択した前記サービス対応装置の動作を停止する停止制御を行う制御部とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車載装置を含む車載ネットワークにおいて用いられる車載制御装置であって、
前記車載ネットワークにおいて実行されるサービスの種別を検知する検知部と、
前記検知部によって検知された前記サービスの種別に対応する所定の複数の前記車載装置である複数のサービス対応装置が動作している状態において、前記複数のサービス対応装置のうちの一部の前記サービス対応装置を選択し、選択した前記サービス対応装置の動作を停止する停止制御を行う制御部とを備える、車載制御装置。
【請求項2】
前記車載制御装置は、さらに、
前記サービスごとの、前記サービスの実行時に稼働させる前記サービス対応装置と前記サービスの実行時に動作を停止させる前記サービス対応装置とを示すサービス情報を取得する取得部を備え、
前記制御部は、前記取得部によって取得された前記サービス情報に基づいて、前記停止制御の対象となる前記サービス対応装置を選択する、請求項1に記載の車載制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記検知部によって前記サービスの種別が検知された場合、前記サービスの種別に対応する前記複数のサービス対応装置を稼働させる制御を行い、
前記車載制御装置は、さらに、
前記複数のサービス対応装置の動作を監視する監視部を備え、
前記取得部は、前記監視部による監視結果に基づいて作成された前記サービス情報を取得する、請求項2に記載の車載制御装置。
【請求項4】
前記複数のサービス対応装置は、前記車載ネットワークが搭載される車両の座席に対応して設けられる前記サービス対応装置を含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車載制御装置。
【請求項5】
前記複数のサービス対応装置は、前記車載ネットワークが搭載される車両における車載機器、の取り付け位置に対応して設けられる前記サービス対応装置を含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車載制御装置。
【請求項6】
前記複数のサービス対応装置は、前記車載ネットワークが搭載される車両のドアに対応して設けられる前記サービス対応装置を含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車載制御装置。
【請求項7】
複数の車載装置を含む車載ネットワークにおいて用いられる車載制御装置における動作制御方法であって、
前記車載ネットワークにおいて実行されるサービスの種別を検知するステップと、
検知した前記サービスの種別に対応する所定の複数の前記車載装置である複数のサービス対応装置が動作している状態において、前記複数のサービス対応装置のうちの一部の前記サービス対応装置を選択し、選択した前記サービス対応装置の動作を停止する停止制御を行うステップとを含む、動作制御方法。
【請求項8】
車載制御装置と、
管理装置とを備え、
前記車載制御装置は、複数の車載装置を含む車載ネットワークにおいて実行されるサービスの種別に対応する所定の複数の前記車載装置である複数のサービス対応装置、の動作に関する監視結果を示す監視情報を前記管理装置へ送信し、
前記管理装置は、前記車載制御装置から前記監視情報を受信して、前記サービスの実行時に稼働させる前記サービス対応装置と前記サービスの実行時に動作を停止させる前記サービス対応装置とを示すサービス情報を前記車載制御装置へ送信する、通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載制御装置、動作制御方法および通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の車載装置を含む車載ネットワークにおいて、通信負荷に応じた制御を行う技術が提案されている。たとえば、特許文献1(特開2021-182679号公報)には、以下のような技術が開示されている。すなわち、通信システムは、ネットワーク(1)と、前記ネットワークに接続され、前記ネットワークを介して相互に通信可能な複数の制御装置(10、20、30、40、50)と、を備えた通信システムであって、前記複数の制御装置は、少なくとも第1の制御装置と第2の制御装置とを含み、前記第1の制御装置と前記第2の制御装置は、前記ネットワークにおける通信を管理するためのネットワーク管理フレームを送信可能であり、前記第1の制御装置と前記第2の制御装置は、他の制御装置とデータフレームを用いたデータ通信が必要となる通信必要制御を実行する場合、前記データフレームの通信を行う制御装置のグループを示すグループ情報を含む前記ネットワーク管理フレームを作成して、前記ネットワークを介して前記複数の制御装置に送信するものであり、前記第1の制御装置と前記第2の制御装置は、前記グループ情報に関連付けて、前記グループ情報によって示されるグループに含まれる制御装置によって前記データフレームの通信が行われた場合の前記ネットワークの通信負荷を検出するための負荷情報を有しており、前記第1の制御装置と前記第2の制御装置は、一方の制御装置から前記グループ情報を含む前記ネットワーク管理フレームを受信した後に、他方の制御装置が、他の制御装置との前記データフレームの通信が必要となる通信必要制御を開始しようとする場合、前記他方の制御装置は、受信した前記ネットワーク管理フレームに含まれる前記グループ情報と前記負荷情報とに基づいて、前記ネットワークの現状の通信負荷を検出し、その現状の通信負荷を考慮して、前記ネットワークにおける通信負荷が通信負荷閾値を超えないように前記データフレームの通信を行う制御装置のグループを決定し、その決定したグループによる通信が行われるように前記ネットワーク管理フレームの作成を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-182679号公報
【特許文献2】特開2013-192108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車載ネットワークでは、たとえば複数のサービスが実行される。車載ネットワークにおいて各サービスの実行時に稼働させる車載装置は、当該車載ネットワークが搭載される車両の車種、または当該車載ネットワークの構成等によって予め決められている。
【0005】
しかしながら、車両のユーザによっては、あるサービスの実行時において、当該サービスに対応する所定の車載装置のすべてを稼働する必要がない場合がある。この場合、稼働不要な車載装置の電力消費が無駄となる。
【0006】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、車載ネットワークにおける省電力機能を向上させることが可能な車載制御装置、動作制御方法および通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の車載制御装置は、複数の車載装置を含む車載ネットワークにおいて用いられる車載制御装置であって、前記車載ネットワークにおいて実行されるサービスの種別を検知する検知部と、前記検知部によって検知された前記サービスの種別に対応する所定の複数の前記車載装置である複数のサービス対応装置が動作している状態において、前記複数のサービス対応装置のうちの一部の前記サービス対応装置を選択し、選択した前記サービス対応装置の動作を停止する停止制御を行う制御部とを備える。
【0008】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える車載制御装置として実現され得るだけでなく、かかる特徴的な処理のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現され得る。また、本開示の一態様は、車載制御装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得る。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、車載ネットワークにおける省電力機能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る車載システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本開示の第1の実施の形態に係る統合ECUの構成を示す図である。
【
図3】
図3は、本開示の第1の実施の形態に係る統合ECUが保存する管理情報の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示の第1の実施の形態に係る統合ECUによって作成されるサービス情報の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本開示の第1の実施の形態に係る統合ECUによる更新処理後の管理情報の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本開示の第1の実施の形態に係る統合ECUによって作成されるサービス情報の具体例を示す図である。
【
図7】
図7は、本開示の第1の実施の形態に係る統合ECUによって作成されるサービス情報の具体例を示す図である。
【
図8】
図8は、本開示の第1の実施の形態に係る統合ECUによって作成されるサービス情報の具体例を示す図である。
【
図9】
図9は、本開示の第1の実施の形態に係る統合ECUがサービス対応装置を制御する際の動作手順を定めたフローチャートである。
【
図10】
図10は、本開示の第2の実施の形態に係る通信システムの構成を示す図である。
【
図11】
図11は、本開示の第2の実施の形態に係る統合ECUの構成を示す図である。
【
図12】
図12は、本開示の第2の実施の形態に係る管理装置の構成を示す図である。
【
図13】
図13は、本開示の第2の実施の形態に係る統合ECUがサービス対応装置を制御する際の動作手順を定めたフローチャートである。
【
図14】
図14は、本開示の第2の実施の形態に係る通信システムにおける動作変更制御のシーケンスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
最初に、本開示の実施の形態の内容を列記して説明する。
(1)本開示の実施の形態に係る車載制御装置は、複数の車載装置を含む車載ネットワークにおいて用いられる車載制御装置であって、前記車載ネットワークにおいて実行されるサービスの種別を検知する検知部と、前記検知部によって検知された前記サービスの種別に対応する所定の複数の前記車載装置である複数のサービス対応装置が動作している状態において、前記複数のサービス対応装置のうちの一部の前記サービス対応装置を選択し、選択した前記サービス対応装置の動作を停止する停止制御を行う制御部とを備える。
【0012】
このように、複数のサービス対応装置の中から選択した装置の動作を停止する構成により、たとえば、複数のサービス対応装置のうちの稼働不要なサービス対応装置の動作を停止することができるため、無駄な電力消費を抑制することができる。したがって、車載ネットワークにおける省電力機能を向上させることができる。
【0013】
(2)上記(1)において、前記車載制御装置は、さらに、前記サービスごとの、前記サービスの実行時に稼働させる前記サービス対応装置と前記サービスの実行時に動作を停止させる前記サービス対応装置とを示すサービス情報を取得する取得部を備えてもよく、前記制御部は、前記取得部によって取得された前記サービス情報に基づいて、前記停止制御の対象となる前記サービス対応装置を選択してもよい。
【0014】
このような構成により、サービス情報を用いて、停止制御の対象または停止制御の解除の対象となるサービス対応装置を容易に選択することができる。
【0015】
(3)上記(2)において、前記制御部は、前記検知部によって前記サービスの種別が検知された場合、前記サービスの種別に対応する前記複数のサービス対応装置を稼働させる制御を行ってもよく、前記車載制御装置は、さらに、前記複数のサービス対応装置の動作を監視する監視部を備えてもよく、前記取得部は、前記監視部による監視結果に基づいて作成された前記サービス情報を取得してもよい。
【0016】
このような構成により、各サービス対応装置の動作状況に応じて、停止制御の対象として適切なサービス対応装置を選択することができる。また、上記状況に応じて、停止制御を解除するサービス対応装置を適切に選択することができる。
【0017】
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、前記複数のサービス対応装置は、前記車載ネットワークが搭載される車両の座席に対応して設けられる前記サービス対応装置を含んでもよい。
【0018】
このような構成により、たとえば、車両の座席において提供されるサービスの実行時において、当該サービスを提供不要な座席に対応するサービス対応装置の動作を停止することができるため、当該サービスの実行中における無駄な電力消費を抑制することができる。
【0019】
(5)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、前記複数のサービス対応装置は、前記車載ネットワークが搭載される車両における車載機器、の取り付け位置に対応して設けられる前記サービス対応装置を含んでもよい。
【0020】
このような構成により、たとえば車載機器から送信されるデータを用いたサービスの実行時において、データを送信する必要のない車載機器の取り付け位置に対応するサービス対応装置の動作を停止することができるため、当該サービスの実行中における無駄な電力消費を抑制することができる。
【0021】
(6)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、前記複数のサービス対応装置は、前記車載ネットワークが搭載される車両のドアに対応して設けられる前記サービス対応装置を含んでもよい。
【0022】
このような構成により、たとえば乗降用のドアの開閉に関するサービスの実行時において、開閉不要なドアに対応するサービス対応装置の動作を停止することができるため、当該サービスの実行中における無駄な電力消費を抑制することができる。
【0023】
(7)本開示の実施の形態に係る動作制御方法は、複数の車載装置を含む車載ネットワークにおいて用いられる車載制御装置における動作制御方法であって、前記車載ネットワークにおいて実行されるサービスの種別を検知するステップと、検知した前記サービスの種別に対応する所定の複数の前記車載装置である複数のサービス対応装置が動作している状態において、前記複数のサービス対応装置のうちの一部の前記サービス対応装置を選択し、選択した前記サービス対応装置の動作を停止する停止制御を行うステップとを含む。
【0024】
このように、複数のサービス対応装置の中から選択した装置の動作を停止する構成により、たとえば、複数のサービス対応装置のうちの稼働不要なサービス対応装置の動作を停止することができるため、無駄な電力消費を抑制することができる。したがって、車載ネットワークにおける省電力機能を向上させることができる。
【0025】
(8)本開示の実施の形態に係る通信システムは、車載制御装置と、管理装置とを備え、前記車載制御装置は、複数の車載装置を含む車載ネットワークにおいて実行されるサービスの種別に対応する所定の複数の前記車載装置である複数のサービス対応装置、の動作に関する監視結果を示す監視情報を前記管理装置へ送信し、前記管理装置は、前記車載制御装置から前記監視情報を受信して、前記サービスの実行時に稼働させる前記サービス対応装置と前記サービスの実行時に動作を停止させる前記サービス対応装置とを示すサービス情報を前記車載制御装置へ送信する。
【0026】
このように、車載制御装置が複数のサービス対応装置の動作に関する監視情報を管理情報へ送信し、管理装置が監視情報を受信して、サービス情報を車載制御装置へ送信する構成により、車載制御装置において、たとえば、複数のサービス対応装置のうちの稼働不要なサービス対応装置の動作を停止することができるため、無駄な電力消費を抑制することができる。したがって、車載ネットワークにおける省電力機能を向上させることができる。
【0027】
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0028】
<第1の実施の形態>
[車載通信システム]
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る車載通信システムの構成を示す図である。
図1を参照して、車載通信システム301は、統合ECU(Electronic Control Unit)101と、複数の個別ECU201と、複数の検出機器51と、複数のアクチュエータ61と、電源部71と、複数のリレー81とを備える。統合ECU101は、車載制御装置の一例である。個別ECU201は、車載装置の一例である。検出機器51およびアクチュエータ61は、車載機器の一例である。
【0029】
図1に示す例では、車載通信システム301は、個別ECU201である個別ECU201A,201B,201Cと、検出機器51である検出機器51A,51B,51Cと、アクチュエータ61であるアクチュエータ61A,61B,61Cと、リレー81であるリレー81A,81B,81Cとを備える。車載通信システム301は、車両1に搭載される。
【0030】
統合ECU101、複数の個別ECU201、複数の検出機器51および複数のアクチュエータ61は、車載ネットワーク401を構成する。
【0031】
統合ECU101は、個別ECU201A、個別ECU201Bおよび個別ECU201Cとケーブル2を介して接続されている。
【0032】
検出機器51A,51B,51Cは、個別ECU201A,201B,201Cとケーブル3を介してそれぞれ接続されている。アクチュエータ61A,61B,61Cは、個別ECU201A,201B,201Cとケーブル3を介してそれぞれ接続されている。
【0033】
ケーブル2,3は、たとえば、CAN(Controller Area Network)(登録商標)、CAN FD(CAN with Flexible Data Rate)、FlexRay(登録商標)、MOST(Media Oriented Systems Transport)(登録商標)、イーサネット(登録商標)およびLIN(Local Interconnect Network)等の規格に従う伝送線である。
【0034】
検出機器51は、車両1に関する情報を検出する。検出機器51は、たとえば各種センサである。検出機器51は、たとえば定期的に計測を行い、計測結果を示す検出データを個別ECU201へ送信する。
【0035】
個別ECU201は、自己に接続された検出機器51から受信した検出データを統合ECU101へ送信する。
【0036】
統合ECU101は、複数の個別ECU201を含む車載ネットワーク401において用いられる。統合ECU101は、たとえば、車両1のイグニッション電源から供給される電力を用いて動作する。統合ECU101は、たとえば、個別ECU201から受信した検出データに基づいて、アクチュエータ61を駆動するための制御情報を生成し、生成した制御情報を、当該個別ECU201または当該個別ECU201とは異なる個別ECU201へ送信する。
【0037】
個別ECU201は、統合ECU101から受信した制御情報に基づいて、自己に接続されたアクチュエータ61を駆動する。
【0038】
アクチュエータ61は、たとえば、車両1の座席における空調機能に対応する機器、車両1の座席において芳香剤を噴霧する機能に対応する機器、車両1の座席におけるマッサージ機能に対応する機器、および車両1のドアの開閉機能に対応する機器である。
【0039】
このように、統合ECU101および個別ECU201は、アクチュエータ61を駆動するために互いに通信を行うことにより、車載ネットワーク401において各種サービスを提供する。
【0040】
電源部71は、車両1において電力を供給する。電源部71は、たとえば、イグニッション電源、アクセサリ電源およびバッテリ等を含む。
【0041】
電源部71は、電源線4を介して統合ECU101と接続されている。電源部71は、電源線4を介して統合ECU101に電力を供給する。
【0042】
電源部71は、電源線5を介して各個別ECU201と接続されている。電源部71は、電源線5を介して各個別ECU201に電力を供給する。
【0043】
リレー81Aは、個別ECU201Aと電源部71との間に接続されている。リレー81Bは、個別ECU201Bと電源部71との間に接続されている。リレー81Cは、個別ECU201Cと電源部71との間に接続されている。
【0044】
リレー81は、後述する統合ECU101における制御部32の制御に従い、オン状態およびオフ状態を切り替える。リレー81の状態は、たとえば、車両1のイグニッション電源がオフ状態からオン状態へ遷移した初期状態において、オフ状態である。
【0045】
なお、車載通信システム301は、2つまたは4つ以上の個別ECU201を備える構成であってもよい。また、車載通信システム301は、2つ以上の統合ECU101を備える構成であってもよい。また、各個別ECU201には、2つ以上の検出機器51が接続されてもよい。また、各個別ECU201には、2つ以上のアクチュエータ61が接続されてもよい。
【0046】
[統合ECU]
図2は、本開示の第1の実施の形態に係る統合ECUの構成を示す図である。
図2を参照して、統合ECU101は、複数の通信ポートPと、車内通信部11と、処理部12と、記憶部13とを備える。車内通信部11は、受信部21と、送信部22とを含む。処理部12は、検知部31と、制御部32と、監視部33と、取得部34と、更新部35とを含む。車内通信部11および処理部12の一方または両方は、たとえば、1または複数のプロセッサを含む処理回路(Circuitry)により実現される。記憶部13は、たとえば上記処理回路に含まれる不揮発性メモリである。
【0047】
通信ポートPは、ケーブル2を接続可能な端子である。各通信ポートPは、ケーブル2を介して対応の個別ECU201に接続されている。
【0048】
より詳細には、統合ECU101は、複数の通信ポートPとして、3つの通信ポートP1,P2,P3を備える。通信ポートP1には、個別ECU201Aがケーブル2を介して接続され、通信ポートP2には、個別ECU201Bがケーブル2を介して接続され、通信ポートP3には、個別ECU201Cがケーブル2を介して接続されている。
【0049】
(検知部)
検知部31は、車載ネットワーク401において実行されるサービスの種別を検知する検知処理を行う。
【0050】
より詳細には、たとえば、車両1のユーザは、所望のサービスの開始を指示するための操作を、車両1に設けられた図示しないナビゲーション装置に対して行う。
【0051】
ナビゲーション装置は、ユーザから当該操作を受け付けると、受け付けた操作の内容に基づいて、サービスを開始すべき旨と当該サービスの種別とを示すサービス開始情報を取得する。ナビゲーション装置は、取得したサービス開始情報を統合ECU101へ送信する。
【0052】
統合ECU101における受信部21は、ナビゲーション装置から受信したサービス開始情報を検知部31へ出力する。
【0053】
検知部31は、受信部21からサービス開始情報を受けると、検知処理を行う。具体的には、検知部31は、受信部21から受けたサービス開始情報が示すサービスの種別を、車載ネットワーク401において実行されるサービスの種別として検知する。検知部31は、検知結果を示す検知情報を制御部32および取得部34へ出力する。
【0054】
なお、検知部31は、車両1の状態が所定のサービス開始条件を満たす場合、車載ネットワーク401において実行されるサービスの種別を検知してもよい。たとえば、検知部31は、車両1が駐車中である場合、車載ネットワーク401において実行されるサービスの種別として盗難防止サービスを検知してもよい。
【0055】
(制御部)
制御部32は、検知部31によって検知されたサービスの種別に対応する所定の複数の個別ECU201(以下、「複数のサービス対応装置」とも称する。)の動作を制御する。
【0056】
たとえば、制御部32は、検知部31によってサービスの種別が検知された場合、当該サービスの種別に対応する複数のサービス対応装置を稼働させる制御、すなわち当該複数のサービス対応装置の動作を開始させる制御を行う。
【0057】
具体的には、制御部32は、検知部31から検知情報を受けると、当該検知情報が示すサービスの種別に対応する複数のサービス対応装置、にそれぞれ接続された複数のリレー81をオフ状態からオン状態へ切り替える動作開始制御を行う。これにより、複数のサービス対応装置は、電源部71から電力が供給され、動作を開始する。
【0058】
図3は、本開示の第1の実施の形態に係る車載装置が保存する管理情報の一例を示す図である。
【0059】
図3を参照して、記憶部13は、サービスごとの、サービスの実行時に稼働させる複数のサービス対応装置を示す管理情報S1を記憶する。
【0060】
管理情報S1において、サービスAの実行時に稼働させるサービス対応装置は、個別ECU201Aおよび個別ECU201Cである。サービスBの実行時に稼働させるサービス対応装置は、個別ECU201Bおよび個別ECU201Cである。サービスCの実行時に稼働させるサービス対応装置は、個別ECU201Aおよび個別ECU201Bである。
【0061】
管理情報S1は、たとえば、車両1の出荷時に、車両1の製造事業者によって記憶部13に登録される。
【0062】
制御部32は、検知部31から検知情報を受けると、記憶部13における管理情報S1を参照することにより、複数のサービス対応装置を特定する。制御部32は、特定した複数のサービス対応装置にそれぞれ接続されたリレー81に対して動作開始制御を行う。
【0063】
(監視部)
再び
図2を参照して、監視部33は、複数のサービス対応装置の動作を監視する監視処理を行う。より詳細には、受信部21は、各サービス対応装置から検出データを受信すると、当該検出データを受信した旨および検出データを受信した通信ポートPのポート番号を示す受信通知を監視部33へ出力する。
【0064】
監視部33は、たとえば、サービス対応装置ごとの、検出データの単位時間あたりの通信量(以下、「データ通信量」とも称する。)を算出する。具体的には、監視部33は、所定の単位時間あたりに受信部21から受信通知を受けた回数をカウントする。このカウント値は、当該受信通知が示すポート番号の通信ポートPに接続されたサービス対応装置におけるデータ通信量に相当する。
【0065】
そして、監視部33は、受信部21から受けた受信通知が示すポート番号と、算出したデータ通信量とを示す監視結果として取得部34へ通知する。
【0066】
(取得部)
取得部34は、サービスごとの、サービスの実行時に稼働させるサービス対応装置とサービスの実行時に動作を停止させるサービス対応装置とを示すサービス情報S2を取得する。
【0067】
より詳細には、取得部34は、検知部31による検知結果および監視部33による監視結果に基づいて、サービス情報S2を作成または更新する。
【0068】
具体的には、取得部34は、検知部31から受けた検知情報が示すサービスの種別が、車載ネットワーク401において実行中のサービスの種別であると判断する。すなわち、取得部34は、検知部31から受けた検知情報を用いて、車載ネットワーク401において実行中のサービスを確認する。
【0069】
取得部34は、監視部33から受けた監視結果が示すデータ通信量が閾値以上である場合、当該監視結果が示すポート番号の通信ポートPに接続されたサービス対応装置を、実行中のサービスにおいて稼働を継続させるサービス対応装置であると判断する。
【0070】
一方、取得部34は、監視部33から受けた監視結果が示すデータ通信量が閾値未満である場合、当該監視結果が示すポート番号の通信ポートPに接続されたサービス対応装置を、実行中のサービスにおいて動作を停止させるサービス対応装置であると判断する。
【0071】
そして、取得部34は、判断結果に基づいて、サービス情報S2を作成する。具体的には、取得部34は、いずれかのサービス対応装置を、実行中のサービスにおいて動作を停止させると判断した場合、サービス情報S2を作成する。取得部34は、作成したサービス情報S2を記憶部13に保存する。
【0072】
図4は、本開示の第1の実施の形態に係る統合ECUによって作成されるサービス情報の一例を示す図である。
図4は、
図3に示す「サービスB」の実行中に作成されたサービス情報S2を示す。
【0073】
図4を参照して、サービス情報S2において、実行中のサービスBにおいて稼働を継続させるサービス対応装置は個別ECU201Cであり、実行中のサービスBにおいて動作を停止させるサービス対応装置は個別ECU201Bである。
【0074】
また、取得部34は、判断結果に基づいて、サービス情報S2を更新する。具体的には、取得部34は、いずれかのサービス対応装置の動作状態が変化したと判断した場合、サービス情報S2を更新する。
【0075】
取得部34は、サービス情報S2を取得した場合、すなわちサービス情報S2を作成または更新した場合、取得情報を送信部22へ出力する。
【0076】
(管理情報の更新)
再び
図2を参照して、送信部22は、取得部34から取得情報を受けると、当該取得情報をナビゲーション装置へ送信する。
【0077】
ナビゲーション装置は、統合ECU101から取得情報を受信すると、受信した取得情報に基づいて、サービス情報S2が作成または更新された旨を画面に表示する。
【0078】
ユーザは、ナビゲーション装置の画面にサービス情報S2が作成された旨が表示されると、統合ECU101に保存されている管理情報S1の更新を承認するか否かを判断する。そして、ユーザは、判断結果をナビゲーション装置へ入力する操作を行う。ナビゲーション装置は、ユーザの当該操作を受け付け、受け付けた操作の内容を示す判断結果情報を統合ECU101へ送信する。
【0079】
統合ECU101における受信部21は、ナビゲーション装置から受信した判断結果情報を更新部35へ出力する。
【0080】
更新部35は、受信部21から受けた判断結果情報が管理情報S1の更新を承認する旨を示す場合、管理情報S1を更新する更新処理を行う。
【0081】
より詳細には、更新部35は、受信部21から受けた判断結果情報が管理情報S1の更新を承認する旨を示す場合、記憶部13に保存されているサービス情報S2を読み出し、読み出したサービス情報S2を管理情報S1に登録することにより、管理情報S1を更新する。
【0082】
図5は、本開示の第1の実施の形態に係る統合ECUによる更新処理後の管理情報の一例を示す図である。
【0083】
図5を参照して、更新処理後の管理情報S1において、個別ECU201Bは、サービスBの実行時に稼働させるサービス対応装置から、サービスBの実行時に動作を停止するサービス対応装置に変更されている。個別ECU201Cは、引き続き、サービスBの実行時に稼働させるサービス対応装置である。
【0084】
更新部35は、更新処理を完了すると、更新処理を完了した旨を示す更新完了通知を制御部32へ出力する。一方、更新部35は、受信部21から受けた判断結果情報が管理情報S1の更新を承認しない旨を示す場合、更新処理を行わない。
【0085】
(停止制御)
再び
図2を参照して、制御部32は、更新部35から更新完了通知を受けると、実行中のサービスに対応する複数のサービス対応装置のうち、一部のサービス対応装置の動作を変更する動作変更制御を行う。
【0086】
より詳細には、制御部32は、上記複数のサービス対応装置が動作している状態において、複数のサービス対応装置のうちの一部のサービス対応装置を選択し、選択したサービス対応装置の動作を停止する停止制御を行う。
【0087】
具体的には、制御部32は、更新部35から更新完了通知を受けると、取得部34によって取得されたサービス情報S2に基づいて、すなわち記憶部13に保存されているサービス情報S2を参照することにより、停止制御の対象となるサービス対応装置を選択する。
【0088】
たとえば、制御部32は、停止制御の対象となるサービス対応装置として個別ECU201Bを選択した場合、個別ECU201Bに接続されたリレー81Bをオン状態からオフ状態へ切り替える制御を行う。これにより、個別ECU201Bは、電源部71からの電力の供給が遮断され、動作を停止する。なお、制御部32は、停止制御として、検出データの送信の停止を要求する情報を、選択した個別ECU201へ送信してもよい。
【0089】
(稼働制御)
制御部32は、停止制御の対象となっているサービス対応装置を、サービスの実行時に稼働させるサービス対応装置に変更する稼働制御を行う。すなわち、稼働制御は、停止制御の対象となっているサービス対応装置に対して、当該停止制御を解除するための制御である。
【0090】
具体的には、制御部32は、更新部35から更新完了通知を受けると、記憶部13に保存されているサービス情報S2を参照することにより、サービスの実行時における動作状態を停止状態から稼働状態に変更するサービス対応装置を特定する。
【0091】
そして、制御部32は、特定したサービス対応装置に接続されたリレー81をオフ状態からオン状態へ切り替える制御を行う。これにより、当該サービス対応装置は、電源部71から電力が供給され、動作を開始する。
【0092】
(サービスの終了)
ユーザは、実行中のサービスの終了を指示するための操作をナビゲーション装置に対して行う。
【0093】
ナビゲーション装置は、ユーザから当該操作を受け付けると、受け付けた操作の内容に基づいて、サービスを終了すべき旨と当該サービスの種別とを示すサービス終了情報を取得する。ナビゲーション装置は、取得したサービス終了情報を統合ECU101へ送信する。
【0094】
統合ECU101における受信部21は、ナビゲーション装置から受信したサービス終了情報を制御部32へ出力する。
【0095】
制御部32は、受信部21からサービス終了情報を受けると、当該サービス終了情報が示すサービスの種別に対応する複数のサービス対応装置に接続されたリレー81をオン状態からオフ状態へ切り替える動作終了制御を行う。これにより、当該複数のサービス対応装置は、電源部71からの電力の供給が遮断され、動作を停止する。
【0096】
[監視処理の他の例]
(例1)
統合ECU101における監視部33は、たとえば、各個別ECU201からの死活監視のためのフレームの受信の有無に基づいて、監視処理を行ってもよい。この場合、監視処理の対象となるサービス対応装置の動作状態は、監視対象のサービス対応装置による当該フレームの送信状態である。
【0097】
より詳細には、車載通信システム301において、個別ECU201は、ウェイクアップモードからスリープモードへ遷移し、または、スリープモードからウェイクアップモードへ遷移する場合がある。個別ECU201は、ウェイクアップモードにおいて、車載通信システム301における他の装置と通信を行い、スリープモードにおいて、車載通信システム301における他の装置との通信を停止する。スリープモードとは、個別ECU201の一部の機能の停止、個別ECU201への電力供給の停止、または個別ECU201におけるクロック周波数の低下等により、ウェイクアップモードよりも消費電力が小さいモードである。
【0098】
個別ECU201は、ウェイクアップモードにおいて、たとえば、AUTOSAR(AUTomotive Open System ARchitecture)(登録商標)に従うNM(Network Management)メッセージが格納されたフレーム(以下、「NMフレーム」とも称する。)を車載通信システム301における各装置へ送信する。具体的には、各個別ECU201は、たとえば、ウェイクアップモードにおいて、死活監視のために、NMフレームを各装置へブロードキャストする。
【0099】
統合ECU101における受信部21は、個別ECU201からNMフレームを受信すると、当該NMフレームを受信した旨およびNMフレームを受信した通信ポートPのポート番号を示す受信通知を監視部33へ出力する。
【0100】
監視部33は、受信部21から受信通知を受けると、当該受信通知が示すポート番号の通信ポートPに接続された個別ECU201からNMフレームを受信した旨を示す監視結果を取得部34へ通知する。
【0101】
一方、個別ECU201は、自己の動作モードがウェイクアップモードからスリープモードへ遷移した場合、NMフレームの送信を停止する。
【0102】
監視部33は、受信部21から受信通知を受けてから一定時間経過しても、当該受信通知が示すポート番号の通信ポートPに接続された個別ECU201からNMフレームを受信した旨を示す新たな受信通知が到着しない場合、当該個別ECU201からNMフレームが到着しない旨を示す監視結果を取得部34へ通知する。
【0103】
取得部34は、NMフレームを受信した旨を示す監視結果を受信部21から受けると、当該監視結果が個別ECU201を、サービスの実行中において稼働を継続させるサービス対応装置であると判断する。
【0104】
一方、取得部34は、NMフレームが到着しない旨を示す監視結果を受信部21から受けると、当該監視結果が示す個別ECU201を、サービスの実行中において動作を停止させるサービス対応装置であると判断する。この場合、制御部32は、停止制御として、当該監視結果が示す個別ECU201、の動作モードをウェイクアップモードからスリープモードへ遷移させる制御を行ってもよい。
【0105】
(例2)
また、監視部33は、たとえば、各個別ECU201に設けられた図示しない電源IC(Integrated Circuitry)の動作状態に基づいて、監視処理を行ってもよい。この場合、監視処理の対象となるサービス対応装置の動作状態は、監視対象のサービス対応装置における電力の供給状態である。
【0106】
より詳細には、各個別ECU201における電源ICの一部の端子は、たとえば、専用線を介して統合ECU101に接続されている。
【0107】
統合ECU101における監視部33は、専用線の電圧を監視することにより、電源ICのオンおよびオフの切り替わりを検知する。
【0108】
具体的には、たとえば、監視部33は、専用線の電圧を計測することにより、電源ICのオンおよびオフを検知する。監視部33は、計測した電圧値が論理ハイレベルである場合、電源ICの動作状態がオン状態であると判断し、計測した電圧値が論理ローレベルである場合、電源ICの動作状態がオフ状態であると判断する。監視部33は、判断結果を取得部34へ通知する。
【0109】
取得部34は、電源ICの動作状態がオン状態である旨を示す判断結果を監視部33から受けた場合、当該電源ICを含む個別ECU201を、サービスの実行中において稼働を継続させるサービス対応装置であると判断する。
【0110】
一方、取得部34は、電源ICの動作状態がオフ状態である旨を示す判断結果を監視部33から受けた場合、当該電源ICを含む個別ECU201を、サービスの実行中において動作を停止させるサービス対応装置であると判断する。
【0111】
(例3)
また、監視部33は、たとえば、複数の個別ECU201にそれぞれ接続された図示しない複数の電流センサによる計測結果に基づいて、監視処理を行ってもよい。この場合、監視処理の対象となるサービス対応装置の動作状態は、監視対象のサービス対応装置における電力消費の状態である。
【0112】
より詳細には、各電流センサは、たとえば定期的に、自己が接続された個別ECU201と電源部71との間を流れる電流の電流値を計測する。電流センサは、計測結果を示す電流データを、自己が接続された個別ECU201へ送信する。
【0113】
個別ECU201は、自己に接続された電流センサから受信した電流データを統合ECU101へ送信する。
【0114】
統合ECU101における受信部21は、各個別ECU201から受信した電流データを監視部33へ出力し、当該電流データを受信した通信ポートPのポート番号を監視部33へ通知する。
【0115】
監視部33は、受信部21から受けた電流データが示す電流値が所定の閾値以上であるか否かを判断する。監視部33は、受信部21から受けた受信通知が示すポート番号と、判断結果とを示す監視結果を取得部34へ通知する。
【0116】
取得部34は、電流値が閾値以上である旨の通知を監視部33から受けると、監視部33から受けた監視結果が示すポート番号の通信ポートPに接続された個別ECU201を、サービスの実行中において稼働を継続させるサービス対応装置であると判断する。
【0117】
一方、取得部34は、電流値が閾値未満である旨の通知を監視部33から受けると、監視部33から受けた監視結果が示すポート番号の通信ポートPに接続された個別ECU201を、サービスの実行中において動作を停止させるサービス対応装置であると判断する。
【0118】
[サービス情報の具体例]
図6から
図8は、本開示の第1の実施の形態に係る統合ECUによって作成されるサービス情報の具体例を示す図である。
【0119】
(盗難防止サービス)
図6は、車載ネットワーク401における盗難防止サービスの実行時に作成されるサービス情報S21の一例を示す図である。盗難防止サービスは、車載ネットワーク401において、車両1の駐車中等に実行されるサービスである。
【0120】
図1および
図6を参照して、盗難防止サービスが提供される車載ネットワーク401では、たとえば、複数の検出機器51として、車両1の前方を撮像する前方カメラと、車両1の後方を撮像する後方カメラと、車両1の前方の物理量を計測する前方センサと、車両1の後方の物理量を計測する後方センサとが設けられる。
【0121】
盗難防止サービスに対応する複数のサービス対応装置は、車載ネットワーク401が搭載される車両1における車載機器の、取り付け位置に対応して設けられるサービス対応装置を含む。具体的には、盗難防止サービスに対応する複数のサービス対応装置は、前方カメラ、後方カメラ、前方センサおよび後方センサにそれぞれ接続された複数の個別ECU201を含む。
【0122】
以下、前方カメラに接続された個別ECU201を「前方カメラECU」とも称し、後方カメラに接続された個別ECU201を「後方カメラECU」とも称する。また、前方センサに接続された個別ECU201を「前方センサECU」とも称し、後方カメラに接続された個別ECU201を「後方センサECU」とも称する。
【0123】
サービス情報S21において、盗難防止サービスの実行時に稼働させるサービス対応装置は、前方カメラECUおよび前方センサECUであり、盗難防止サービスの実行時に動作を停止させるサービス対応装置は、後方カメラECUおよび後方センサECUである。すなわち、統合ECU101における取得部34は、盗難防止サービスに対応する複数のサービス対応装置の動作を監視し、後方カメラECUおよび後方センサECUの稼働が不要であると判断した場合、
図6に示すようなサービス情報S21を作成する。
【0124】
(シート空調サービス)
図7は、車載ネットワーク401におけるシート空調サービスの実行時に作成されるサービス情報S22の一例を示す図である。シート空調サービスは、たとえば、車両1の座席において、冷暖房を提供するための空調機能に関するサービスである。
【0125】
図1および
図7を参照して、シート空調サービスに対応する複数のサービス対応装置は、車載ネットワーク401が搭載される車両1の座席に対応して設けられるサービス対応装置を含む。具体的には、シート空調サービスに対応する複数のサービス対応装置は、運転席の空調機能に対応する個別ECU201と、助手席の空調機能に対応する個別ECU201と、後部右座席の空調機能に対応する個別ECU201と、後部左座席の空調機能に対応する個別ECU201とを含む。
【0126】
以下では、運転席ドアの空調機能に対応する個別ECU201を「運転席ECU」とも称し、助手席ドアの空調機能に対応する個別ECU201を「助手席ECU」とも称する。また、後部右座席ドアの空調機能に対応する個別ECU201を「後部右座席ECU」とも称し、後部左座席ドアの空調機能に対応する個別ECU201を「後部左座席ECU」とも称する。
【0127】
サービス情報S22において、シート空調サービスの実行時に稼働させるサービス対応装置は、運転席ECUであり、シート空調サービスの実行時に動作を停止させるサービス対応装置は、助手席ECU、後部右座席ECUおよび後部左座席ECUである。すなわち、すなわち、統合ECU101における取得部34は、シート空調サービスに対応する複数のサービス対応装置の動作を監視し、助手席ECU、後部右座席ECUおよび後部左座席ECUの稼働が不要であると判断した場合、
図7に示すようなサービス情報S22を作成する。
【0128】
(乗降支援サービス)
図8は、車載ネットワーク401における乗降支援サービスの実行時に作成されるサービス情報S21の一例を示す図である。乗降支援サービスは、たとえば、ユーザが乗降する際のドアの開閉機能に関するサービスである。
【0129】
図1および
図8を参照して、乗降支援サービスに対応する複数のサービス対応装置は、車載ネットワーク401が搭載される車両1のドアに対応して設けられるサービス対応装置を含む。具体的には、乗降支援サービスに対応する複数のサービス対応装置は、運転席ドアの開閉機能に対応する個別ECU201と、助手席ドアの開閉機能に対応する個別ECU201と、後部右座席ドアの開閉機能に対応する個別ECU201と、後部左座席ドアの開閉機能に対応する個別ECU201とを含む。
【0130】
以下では、運転席ドアの開閉機能に対応する個別ECU201を「運転席ドアECU」とも称し、助手席ドアの開閉機能に対応する個別ECU201を「助手席ドアECU」とも称する。また、後部右座席ドアの開閉機能に対応する個別ECU201を「後部右座席ドアECU」とも称し、後部左座席ドアの開閉機能に対応する個別ECU201を「後部左座席ドアECU」とも称する。
【0131】
サービス情報S23において、乗降支援サービスの実行時に稼働させるサービス対応装置は、運転席ドアECU、後部右座席ドアECUおよび後部左座席ドアECUであり、乗降支援サービスの実行時に動作を停止させるサービス対応装置は、助手席ドアECUである。すなわち、統合ECU101における取得部34は、乗降支援サービスに対応する複数のサービス対応装置の動作を監視し、助手席ドアECUの稼働が不要であると判断した場合、
図8に示すようなサービス情報S23を作成する。
【0132】
[動作の流れ]
図9は、本開示の第1の実施の形態に係る統合ECUがサービス対応装置を制御する際の処理の動作手順を定めたフローチャートである。
【0133】
図9を参照して、まず、統合ECU101は、車両1のイグニッション電源がオフ状態からオン状態に切り替わると、起動する(ステップS101)。
【0134】
次に、統合ECU101は、ユーザの操作を受け付けるナビゲーション装置からサービス開始情報を受信した場合(ステップS102においてYES)、車載ネットワーク401において実行されるサービスの種別を検知する(ステップS103)。
【0135】
次に、統合ECU101は、検知したサービスに対応する所定の複数の個別ECU201、すなわち複数のサービス対応装置に対して動作開始制御を行う。たとえば、上述したように、統合ECU101は、複数のサービス対応装置にそれぞれ接続された複数のリレー81をオフ状態からオン状態へ切り替える制御を行う(ステップS104)。
【0136】
次に、統合ECU101は、複数のサービス対応装置の動作を監視する監視処理を行う(ステップS105)。
【0137】
次に、統合ECU101は、複数のサービス対応装置のうち、いずれかのサービス対応装置の動作状態が変化したと判断した場合(ステップS106においてYES)、サービス情報S2を作成または更新する(ステップS107)。
【0138】
次に、統合ECU101は、ユーザが管理情報S1の更新を承認した場合(ステップS108においてYES)、管理情報S1を更新する。たとえば、上述したように、統合ECU101は、ユーザが管理情報S1の更新を承認した旨を示す判断結果情報をナビゲーション装置から受信した場合、更新したサービス情報S2を管理情報S1に登録することにより、管理情報S1を更新する(ステップS109)。
【0139】
次に、統合ECU101は、更新した管理情報S1に基づいて、動作変更制御を行う(ステップS110)。
【0140】
次に、統合ECU101は、ナビゲーション装置からサービス終了情報を受信するまで(ステップS111においてNO)、ステップS105からステップS110までの処理を繰り返す。
【0141】
一方、統合ECU101は、いずれかのサービス対応装置の動作状態が変化していない場合(ステップS106においてNO)、サービス情報S2を作成または更新する処理、管理情報S1を更新する処理、および動作変更制御を行わない。
【0142】
また、統合ECU101は、ユーザが管理情報S1の更新を承認しない場合(ステップS108においてNO)、管理情報S1を更新する処理、および動作変更制御を行わない。
【0143】
次に、統合ECU101は、ナビゲーション装置からサービス終了情報を受信するまで(ステップS111においてNO)、ステップS105からステップS110までの処理を繰り返す。
【0144】
そして、統合ECU101は、ナビゲーション装置からサービス終了情報を受信すると(ステップS111においてYES)、処理を終了する。
【0145】
なお、本開示の第1の実施の形態に係る車載通信システム301では、統合ECU101が検知部31、制御部32、監視部33および取得部34を備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。たとえば、統合ECU101以外の他の車載装置が、検知部31、制御部32、監視部33および取得部34を備え、上述のような処理を行ってもよい。
【0146】
また、本開示の第1の実施の形態に係る車載通信システム301において、統合ECU101は、監視部33を備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。たとえば、統合ECU101は、監視部33を備えない構成であってもよい。この場合、サービス情報S2は、複数のサービス対応装置の動作に関する監視結果に基づいて作成される代わりに、ユーザごとに予め作成されてもよい。すなわち、取得部34は、ユーザごとに予め作成されたサービス情報S2を取得してもよい。
【0147】
また、本開示の第1の実施の形態に係る車載通信システム301において、統合ECU101は、ユーザが管理情報S1の更新を承認した場合、動作変更制御を行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。たとえば、統合ECU101は、管理情報S1の更新についてのユーザの承認の有無に関わらず、動作変更制御を行う構成であってもよい。
【0148】
また、本開示の第1の実施の形態に係る車載通信システム301において、統合ECU101は、車載ネットワーク401において、ユーザの所望するサービスが提供されている際に、サービス情報S2を取得した旨を示す取得情報をナビゲーション装置へ送信する構成であるとしたが、これに限定するものではない。たとえば、統合ECU101は、当該所望のサービスの次回の提供時に、取得情報をナビゲーション装置へ送信する構成であってもよい。この場合、統合ECU101は、たとえば、当該所望のサービスを開始すべき旨を示すサービス開始情報を受信した場合、取得情報をナビゲーション装置へ送信する。そして、統合ECU101は、ユーザが管理情報S1の更新を承認する旨を示す判断結果情報、をナビゲーション装置から受信すると、管理情報S1を更新し、かつ停止制御を行う。
【0149】
また、本開示の第1の実施の形態に車載通信システム301において、統合ECU101は、停止制御の対象となっているサービス対応装置に対して、当該停止制御を解除するための稼働制御を行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。たとえば、統合ECU101は、稼働制御を行わない構成であってもよい。
【0150】
また、本開示の第1の実施の形態に係る車載通信システム301において、統合ECU101は、管理情報S1を更新すると、稼働制御を行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。たとえば、統合ECU101は、記憶部13に保存されている更新後の管理情報S1を車両1の出荷時の管理情報S1に戻すべき旨を示す情報をユーザから受信した場合、稼働制御を行ってもよい。
【0151】
<第2の実施の形態>
上述した本開示の第1の実施の形態では、統合ECU101が、複数のサービス対応装置の動作に関する監視結果に基づいて、サービス情報S2を作成する。これに対して、本開示の第2の実施の形態では、通信システム501における管理装置151が、統合ECU101による当該監視結果に基づいて、サービス情報S2を作成する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る車載通信システム301と同様である。
【0152】
[通信システム]
図10は、本開示の第2の実施の形態に係る通信システムの構成を示す図である。
図10を参照して、通信システム501は、1または複数の車載通信システム301Aと、管理装置151とを備える。車載通信システム301Aは、車両1に搭載される。管理装置151は、たとえばサーバである。
【0153】
[統合ECU]
図11は、本開示の第2の実施の形態に係る統合ECUの構成を示す図である。
図10および
図11を参照して、車載通信システム301Aは、本開示の第1の実施の形態に係る車載通信システム301と比べて、統合ECU101の代わりに統合ECU101Aを備える。
【0154】
統合ECU101Aは、たとえば、インターネット等の外部ネットワーク161を介して管理装置151と情報の送受信を行う。
【0155】
図11を参照して、統合ECU101Aは、本開示の第1の実施の形態に係る統合ECU101と比べて、車外通信部14をさらに備え、処理部12の代わりに処理部12Aを備える。処理部12Aは、
図2に示す処理部12と比べて、取得部34の代わりに取得部34Aを含む。車内通信部11、処理部12Aおよび車外通信部14の一部または全部は、たとえば、1または複数のプロセッサを含む処理回路により実現される。記憶部13は、たとえば上記処理回路に含まれる不揮発性メモリである。
【0156】
車外通信部14は、WiFi(登録商標)、LTE(Long Term Evolution)(登録商標)または5G等の通信方式に従って、図示しない無線基地局と無線通信を行うことにより、外部ネットワーク161経由で管理装置151と通信を行う。なお、車外通信部14は、無線基地局および外部ネットワーク161を介して管理装置151と通信する構成に限らず、有線回線を介して管理装置151と通信する構成であってもよい。また、車外通信部14は、他の車載装置をさらに介して管理装置151と通信する構成であってもよい。
【0157】
検知部31は、検知結果を車外通信部14へ出力する。また、監視部33は、複数のサービス対応装置の動作に関する監視結果を車外通信部14へ出力する。
【0158】
車外通信部14は、検知部31から受けた検知結果と監視部33から受けた監視結果とを示す監視情報を管理装置151へ送信する。車外通信部14は、たとえば定期的に、監視情報を管理装置151へ送信する。
【0159】
[管理装置]
図12は、本開示の第2の実施の形態に係る管理装置151の構成を示す図である。
図12を参照して、管理装置151は、通信部41と、処理部42と、記憶部43とを備える。通信部41および処理部42の一部または全部は、たとえば、1または複数のプロセッサを含む処理回路により実現される。記憶部43は、たとえば上記処理回路に含まれる不揮発性メモリである。
【0160】
通信部41は、統合ECU101Aから監視情報を受信すると、監視情報を受信した旨を示す受信通知を処理部42へ出力する。また、通信部41は、受信した監視情報を記憶部43に保存する。
【0161】
処理部42は、統合ECU101Aから受信した監視情報に基づいて、サービス情報S2を作成する。
【0162】
より詳細には、処理部42は、通信部41から受信通知を受けると、記憶部43に保存されている監視情報を参照することにより、当該監視情報に基づいて、サービス情報S2を作成または更新する。
【0163】
処理部42は、作成または更新したサービス情報S2を通信部41へ出力する。通信部41は、処理部42から受けたサービス情報S2を統合ECU101Aへ送信する。
【0164】
[管理情報の更新]
統合ECU101Aにおいて、受信部21は、管理装置151から受信したサービス情報S2を取得部34へ出力する。すなわち、取得部34は、監視部33による監視結果に基づいて作成されたサービス情報S2を管理装置151から取得する。
【0165】
取得部34は、受信部21から受けたサービス情報S2を記憶部13に保存するとともに、サービス情報S2を取得した旨を示す取得情報を送信部22へ出力する。
【0166】
[動作の流れ]
図13は、本開示の第2の実施の形態に係る統合ECUの処理の動作手順を示すフローチャートである。
【0167】
図13を参照して、ステップS201からステップS205までの処理は、
図9に示すステップS101からステップS105までの処理とそれぞれ同様である。
【0168】
次に、統合ECU101Aは、監視情報を管理装置151へ送信する(ステップS206)。
【0169】
次に、統合ECU101Aは、管理装置151からのサービス情報S2が到着すると(ステップS207においてYES)、サービス情報S2を記憶部13に保存する(ステップS208)。
【0170】
ステップS209からステップS212までの処理は、
図9に示すステップS108からステップS111までの処理とそれぞれ同様である。
【0171】
一方、統合ECU101Aは、管理装置151からのサービス情報S2が到着しない場合(ステップS207においてNO)、サービス情報S2を保存する処理、管理情報S1を更新する処理、および動作変更制御を行わない。
【0172】
図14は、本開示の第2の実施の形態に係る通信システムにおける動作変更制御のシーケンスの一例を示す図である。
【0173】
図14を参照して、まず、統合ECU101Aは、車両1のイグニッション電源がオフ状態からオン状態に切り替わると、起動する(ステップS301)。
【0174】
次に、統合ECU101Aは、車載ネットワーク401において実行されるサービスの種別を検知する。ここでは、統合ECU101Aは、車載ネットワーク401において実行されるサービスの種別として、サービスBを検知する(ステップS302)。
【0175】
次に、統合ECU101Aは、検知したサービスBに対応する個別ECU201Bおよび個別ECU201C、にそれぞれ接続されたリレー81B,81Cをオフ状態からオン状態へ切り替える制御を行う(ステップS303)。
【0176】
次に、個別ECU201Bおよび個別ECU201Cは、サービスBの実行時に稼働する(ステップS304およびステップS305)。
【0177】
次に、統合ECU101Aは、個別ECU201Bおよび個別ECU201Cの動作を監視する監視処理を行う(ステップS306)。
【0178】
次に、統合ECU101Aは、個別ECU201Cとの間で通信を開始する(ステップS307)。
【0179】
次に、統合ECU101Aは、定期的に、車載ネットワーク401において実行されるサービスの種別がサービスBであることを示す検知結果と、個別ECU201Bおよび個別ECU201Cの動作に関する監視結果とを示す監視情報を管理装置151へ送信する(ステップS308)。
【0180】
次に、管理装置151は、統合ECU101Aから監視情報を受信して、当該監視情報に基づいて、サービス情報S2を作成または更新する(ステップS309)。
【0181】
次に、管理装置151は、作成後または更新後のサービス情報S2を統合ECU101Aへ送信する。ここでは、作成後または更新後のサービス情報S2は、個別ECU201Cが、実行中のサービスBにおいて稼働を継続させるサービス対応装置であることを示し、かつ個別ECU201Bが、実行中のサービスBにおいて動作を停止させるサービス対応装置であることを示す(ステップS310)。
【0182】
次に、統合ECU101Aは、管理装置151から受信したサービス情報S2を管理情報S1に登録することにより、管理情報S1を更新する。たとえば、上述したように、統合ECU101Aは、ユーザから管理情報S1の更新を承認する旨を示す判断結果情報を受信した場合、管理情報S1を更新する(ステップS311)。
【0183】
次に、統合ECU101Aは、管理装置151から受信したサービス情報S2に基づいて、個別ECU201Bの動作を停止する停止制御を行う。たとえば、上述したように、統合ECU101Aは、個別ECU201Bに接続されたリレー81Bをオン状態からオフ状態へ切り替える制御を行う(ステップS312)。
【0184】
次に、個別ECU201Bは、電源部71からの電力の供給が遮断されることにより、動作を停止する(ステップS313)。
【0185】
次に、統合ECU101Aは、定期的に、車載ネットワーク401において実行中のサービスの種別がサービスBであることを示す検知結果と、個別ECU201Bおよび個別ECU201Cの動作に関する監視結果とを示す監視情報を管理装置151へ送信する(ステップS314)。
【0186】
次に、管理装置151は、統合ECU101Aから監視情報を受信して、当該監視情報に基づいて、サービス情報S2を更新する。ここでは、更新後のサービス情報S2は、個別ECU201Bおよび個別ECU201Cが、実行中のサービスBにおいて稼働させるサービス対応装置であることを示す(ステップS315)。
【0187】
次に、管理装置151は、更新後のサービス情報S2を統合ECU101Aへ送信する(ステップS316)。
【0188】
次に、統合ECU101Aは、管理装置151から受信したサービス情報S2を管理情報S1に登録することにより、管理情報S1を更新する。ここでは、統合ECU101Aは、管理情報S1において、個別ECU201Bを、実行中のサービスBにおいて、動作を停止させるサービス対応装置から稼働させるサービス対応装置に変更する(ステップS317)。
【0189】
次に、統合ECU101Aは、管理装置151から受信したサービス情報S2に基づいて、停止制御の対象となっている個別ECU201Bを、実行中のサービスBにおいて稼働させるサービス対応装置に変更する稼働制御を行う。たとえば、上述したように、統合ECU101Aは、個別ECU201Bに接続されたリレー81Bをオフ状態からオン状態へ切り替える制御を行う(ステップS318)。
【0190】
次に、個別ECU201Bは、電源部71から電力が供給されることにより、稼働する(ステップS319)。
【0191】
なお、本開示の第2の実施の形態に係る管理装置151の機能の一部または全部が、クラウドコンピューティングによって提供されてもよい。すなわち、本開示の第2の実施の形態に係る管理装置151が、複数のサーバによって構成されるクラウドサーバであってもよい。
【0192】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る車載通信システム301と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0193】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0194】
上述の実施形態の各処理(各機能)は、1または複数のプロセッサを含む処理回路により実現される。上記処理回路は、上記1または複数のプロセッサに加え、1または複数のメモリ、各種アナログ回路、各種デジタル回路が組み合わされた集積回路等で構成されてもよい。上記1または複数のメモリは、上記各処理を上記1または複数のプロセッサに実行させるプログラム(命令)を格納する。上記1または複数のプロセッサは、上記1または複数のメモリから読み出した上記プログラムに従い上記各処理を実行してもよいし、予め上記各処理を実行するように設計された論理回路に従って上記各処理を実行してもよい。上記プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、およびASIC(Application Specific Integrated Circuit)等、コンピュータの制御に適合する種々のプロセッサであってよい。なお、物理的に分離した上記複数のプロセッサが互いに協働して上記各処理を実行してもよい。たとえば、物理的に分離した複数のコンピュータのそれぞれに搭載された上記プロセッサがLAN(Local Area Network)、WAN (Wide Area Network)、およびインターネット等のネットワークを介して互いに協働して上記各処理を実行してもよい。上記プログラムは、外部のサーバ装置等から上記ネットワークを介して上記メモリにインストールされても構わないし、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、および半導体メモリ等の記録媒体に格納された状態で流通し、上記記録媒体から上記メモリにインストールされても構わない。
【0195】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
複数の車載装置を含む車載ネットワークにおいて用いられる車載制御装置であって、
処理回路を備え、
前記処理回路は、
前記車載ネットワークにおいて実行されるサービスの種別を検知し、
検知した前記サービスの種別に対応する所定の複数の前記車載装置である複数のサービス対応装置が動作している状態において、前記複数のサービス対応装置のうちの一部の前記サービス対応装置を選択し、選択した前記サービス対応装置の動作を停止する停止制御を行う制御部とを備える、車載制御装置。
【0196】
[付記2]
複数の車載装置を含む車載ネットワークにおいて用いられる車載制御装置において用いられる動作制御プログラムであって、
コンピュータを、
前記車載ネットワークにおいて実行されるサービスの種別を検知する検知部と、
前記検知部によって検知された前記サービスの種別に対応する所定の複数の前記車載装置である複数のサービス対応装置が動作している状態において、前記複数のサービス対応装置のうちの一部の前記サービス対応装置を選択し、選択した前記サービス対応装置の動作を停止する停止制御を行う制御部、
として機能させるための、動作制御プログラム。
【符号の説明】
【0197】
1 車両
2,3 ケーブル
4,5 電源線
11 車内通信部
12,42 処理部
13,43 記憶部
14 車外通信部
21 受信部
22 送信部
31 検知部
32 制御部
33 監視部
34 取得部
35 更新部
41 通信部
51,51A,51B,51C 検出機器
61,61A,61B,61C アクチュエータ
71 電源部
81,81A,81B,81C リレー
101,101A 統合ECU
151 管理装置
161 外部ネットワーク
201,201A,201B,201C 個別ECU
301,301A 車載通信システム
401 車載ネットワーク
501 通信システム
P,P1,P2,P3 通信ポート
S2,S21,S22,S23 サービス情報