IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社 三英技研の特許一覧

特開2024-77176水路設計支援装置及び水路設計支援プログラム
<>
  • 特開-水路設計支援装置及び水路設計支援プログラム 図1
  • 特開-水路設計支援装置及び水路設計支援プログラム 図2
  • 特開-水路設計支援装置及び水路設計支援プログラム 図3
  • 特開-水路設計支援装置及び水路設計支援プログラム 図4
  • 特開-水路設計支援装置及び水路設計支援プログラム 図5
  • 特開-水路設計支援装置及び水路設計支援プログラム 図6
  • 特開-水路設計支援装置及び水路設計支援プログラム 図7
  • 特開-水路設計支援装置及び水路設計支援プログラム 図8
  • 特開-水路設計支援装置及び水路設計支援プログラム 図9
  • 特開-水路設計支援装置及び水路設計支援プログラム 図10
  • 特開-水路設計支援装置及び水路設計支援プログラム 図11
  • 特開-水路設計支援装置及び水路設計支援プログラム 図12
  • 特開-水路設計支援装置及び水路設計支援プログラム 図13
  • 特開-水路設計支援装置及び水路設計支援プログラム 図14A
  • 特開-水路設計支援装置及び水路設計支援プログラム 図14B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077176
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】水路設計支援装置及び水路設計支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/13 20200101AFI20240531BHJP
   G06F 30/12 20200101ALI20240531BHJP
   G06F 30/10 20200101ALI20240531BHJP
【FI】
G06F30/13
G06F30/12
G06F30/10 100
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189075
(22)【出願日】2022-11-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】599143416
【氏名又は名称】株式会社 三英技研
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 真
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146AA04
5B146CA01
5B146DE06
5B146DG02
5B146DG05
5B146EA15
5B146FA05
(57)【要約】
【課題】設計者が3次元データを2次元で見ながら水路の設置位置を指定することで、水路の3次元モデル化が容易にかつ正確に行えるように支援する。
【解決手段】水路設計支援装置は、3次元モデルを平面視点で表示する表示部11と、表示部11に表示された平面視点の3次元モデル上で水路設置位置の指定を受け付ける入力部と、入力部で受け付けた水路設置位置における水路設置高さを、3次元モデルが有する高さ情報に基づいて計算する計算部と、計算部によって計算された水路設置高さに、水路を表す水路モデルを生成するモデル生成部とを備えている。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現況の地形及び計画を表す3次元モデル上に水路を表す水路モデルを生成する水路設計支援装置であって、
前記3次元モデルを取得する3次元モデル取得部と、
前記3次元モデル取得部が取得した前記3次元モデルを平面視点で表示する表示部と、
前記表示部に表示された平面視点の前記3次元モデル上で水路設置位置の指定を受け付ける入力部と、
前記入力部で受け付けた前記水路設置位置における水路設置高さを、前記3次元モデルが有する高さ情報に基づいて計算する計算部と、
前記計算部によって計算された前記水路設置高さに、前記水路を表す水路モデルを生成するモデル生成部とを備えていることを特徴とする水路設計支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の水路設計支援装置において、
前記入力部は、前記水路の寸法の入力を受け付け、
前記計算部は、前記入力部で受け付けた前記水路設置位置における前記水路設置高さを、前記3次元モデルが有する高さ情報と、前記入力部で受け付けた前記水路の寸法とに基づいて計算し、
前記モデル生成部は、前記計算部によって計算された前記水路設置高さに、前記入力部で受け付けた寸法の前記水路を表す水路モデルを生成することを特徴とする水路設計支援装置。
【請求項3】
請求項1に記載の水路設計支援装置において、
前記入力部は、前記表示部に表示された平面視点の前記3次元モデル上で桝設置位置の指定を受け付け、
前記計算部は、前記入力部で受け付けた前記桝設置位置における桝設置高さを、前記3次元モデルが有する高さ情報に基づいて計算し、
前記モデル生成部は、前記計算部によって計算された前記桝設置高さに、前記桝を表す桝モデルを生成することを特徴とする水路設計支援装置。
【請求項4】
請求項3に記載の水路設計支援装置において、
前記入力部は、前記桝の寸法の入力を受け付け、
前記計算部は、前記入力部で受け付けた前記桝設置位置における前記桝設置高さを、前記3次元モデルが有する高さ情報と、前記入力部で受け付けた前記桝の寸法とに基づいて計算し、
前記モデル生成部は、前記計算部によって計算された前記桝設置高さに、前記入力部で受け付けた寸法の前記桝を表す桝モデルを生成することを特徴とする水路設計支援装置。
【請求項5】
請求項1に記載の水路設計支援装置において、
前記計算部は、前記モデル生成部が生成した水路モデルに基づいて、前記水路の勾配値を算出し、
前記表示部は、前記計算部が計算した前記水路の勾配値を表示することを特徴とする水路設計支援装置。
【請求項6】
請求項1に記載の水路設計支援装置において、
前記計算部は、前記モデル生成部が生成した水路モデルに基づいて、前記水路の流水方向を算出し、
前記表示部は、前記計算部が計算した前記水路の流水方向を表示することを特徴とする水路設計支援装置。
【請求項7】
請求項1に記載の水路設計支援装置において、
前記3次元モデルには、道路を表す道路モデルが含まれており、
前記計算部は、前記道路モデルの両路肩、または路肩と中分のうち、低い方の路肩及び中分の高さ情報に基づいて、前記水路設置高さを自動計算し、
前記モデル生成部は、前記道路モデルの低い方の路肩及び中分、かつ、前記計算部によって計算された前記水路設置高さに前記水路モデルを自動生成することを特徴とする水路設計支援装置。
【請求項8】
請求項7に記載の水路設計支援装置において、
前記入力部は、前記表示部に表示された平面視点の前記3次元モデル上で、前記水路設置位置として、法尻に設置される水路の設置位置である法尻水路設置位置の指定を受け付け、
前記計算部は、前記3次元モデルの高さ情報に基づいて、前記法尻水路設置位置の設置高さを計算し、
前記モデル生成部は、前記計算部によって計算された前記法尻水路設置位置の設置高さに前記水路モデルを生成することを特徴とする水路設計支援装置。
【請求項9】
現況の地形及び計画を表す3次元モデル上に水路を表す水路モデルを生成する水路設計支援プログラムであって、
前記3次元モデルを取得する3次元モデル取得工程と、
前記3次元モデル取得工程で取得した前記3次元モデルを平面視点で表示する表示工程と、
前記表示工程で表示された平面視点の前記3次元モデル上で水路設置位置の指定を受け付ける入力工程と、
前記入力工程で受け付けた前記水路設置位置における水路設置高さを、前記3次元モデルが有する高さ情報に基づいて計算する計算工程と、
前記計算工程で計算された前記水路設置高さに、前記水路を表す水路モデルを生成するモデル生成工程とをコンピュータに実行させることを特徴とする水路設計支援プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の水路設計支援プログラムにおいて、
前記計算工程では、前記水路の勾配値と流水方向を計算し、
前記計算工程で計算した前記水路の勾配値と流水方向を表示する表示工程をコンピュータに実行させることを特徴とする水路設計支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば道路や宅盤、宅地造成、河川などの設計に用いられる水路設計支援装置及び水路設計支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、河川堤防等の土木構造物が形成される地形を含む3次元データに基づいて、土木構造物の3次元モデルをコンピュータによって生成するためのシステムが開示されている。このシステムでは、河川堤防を通過する水量、河川堤防の付近の土地利用や環境に関する情報を取得する機能を備えており、取得した情報に基づいて、河川堤防を貫く水路等の構造物の最適位置、最適方向、最適容積、最適形状、最適大きさを算出し、水路の3次元モデルを河川堤防の3次元モデルに重ねて生成するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-84484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、既存の道路や宅盤、宅地造成、河川堤防などの2次元設計の手法で桝・水路などの排水工の設計を行う場合、縦断勾配、横断勾配、法面勾配、幅員などの情報から、どこが高くどこが低いのかを調べ、更にその位置の標高値を求める必要があり、非常に手間が掛かり間違いも起こり易かった。
【0005】
また、水路は流末に向けて下り勾配で設計する必要があるが、水路途中や分合流、桝の接続などの過程で流水途中に最下点が生じてしまい、その結果、流末に向けて上り勾配となり水が逆流してしまうと言う様な間違った設計を行ってしまうおそれがある。その様な問題を起こさない為に桝の高さを旗上げ図化したりしながら確認を行うが、その確認が簡単に行える装置はない。
【0006】
この点、特許文献1のシステムでは、水路の3次元モデルを河川堤防の3次元モデルに重ねて生成することができるものであるが、生成された水路の3次元モデルの妥当性を確認することについては考慮されていないし、そもそも、折れ点等を含む水路の詳細な設計を支援するものではない。
【0007】
本開示は、かかる点に鑑みたものであり、その目的とするところは、設計者が3次元データを2次元で見ながら水路の設置位置を指定することで、水路の3次元モデル化が容易にかつ正確に行えるように、水路設計を支援することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の一態様では、現況の地形及び計画を表す3次元モデル上に水路を表す水路モデルを生成する水路設計支援装置を前提とすることができる。水路設計支援装置は、前記3次元モデルを取得する3次元モデル取得部と、前記3次元モデル取得部が取得した前記3次元モデルを平面視点で表示する表示部と、前記表示部に表示された平面視点の前記3次元モデル上で水路設置位置の指定を受け付ける入力部と、前記入力部で受け付けた前記水路設置位置における水路設置高さを、前記3次元モデルが有する高さ情報に基づいて計算する計算部と、前記計算部によって計算された前記水路設置高さに、前記水路を表す水路モデルを生成するモデル生成部とを備えている。
【0009】
この構成によれば、現況の地形及び計画を表す3次元モデルを3次元モデル取得部が取得すると、取得した3次元モデルが平面視点で表示部に表示される。ユーザは、平面視点で表示された3次元モデルを見ながら、水路の設置位置である水路設置位置を指定すると、指定された水路設置位置が入力部に入力される。3次元モデルは高さ情報を有しているので、指定された水路設置位置の高さ情報を、3次元モデルを構成しているデータから取得できる。これにより、水路設置高さの計算が可能になる。計算された水路設置高さは、現況の地形及び計画を表す3次元モデルに基づいたものなので、正確な高さであるとともに、ユーザによる手間を要することなく、算出できる。
【0010】
また、前記入力部は、前記水路の寸法の入力を受け付けることもできる。この場合、前記計算部は、前記入力部で受け付けた前記水路設置位置における前記水路設置高さを、前記3次元モデルが有する高さ情報と、前記入力部で受け付けた前記水路の寸法とに基づいて計算する。そして、前記モデル生成部は、前記計算部によって計算された前記水路設置高さに、前記入力部で受け付けた寸法の前記水路を表す水路モデルを生成することができる。
【0011】
また、前記入力部は、前記表示部に表示された平面視点の前記3次元モデル上で桝設置位置の指定を受け付けることもできる。この場合、前記計算部は、前記入力部で受け付けた前記桝設置位置における桝設置高さを、前記3次元モデルが有する高さ情報に基づいて計算し、前記モデル生成部は、前記計算部によって計算された前記桝設置高さに、前記桝を表す桝モデルを生成することができるので、水路モデルと桝モデルとを3次元モデル上に重ねて配置できる。
【0012】
桝モデルを生成する場合には、桝の寸法の入力を入力部で受け付けてもよい。この場合、前記計算部は、前記入力部で受け付けた前記桝設置位置における前記桝設置高さを、前記3次元モデルが有する高さ情報と、前記入力部で受け付けた前記桝の寸法とに基づいて計算する。そして、前記モデル生成部は、前記計算部によって計算された前記桝設置高さに、前記入力部で受け付けた寸法の前記桝を表す桝モデルを生成することができる。
【0013】
また、前記計算部は、前記モデル生成部が生成した水路モデルに基づいて、前記水路の勾配値を算出してもよい。この場合、前記表示部は、前記計算部が計算した前記水路の勾配値を表示することができるので、設計者は水路の勾配方向や勾配の度合いを正確に把握できる。
【0014】
また、前記計算部は、前記モデル生成部が生成した水路モデルに基づいて、前記水路の流水方向を算出してもよい。この場合、前記表示部は、前記計算部が計算した前記水路の流水方向を表示することができるので、設計者は水路の流水方向を正確に把握できる。
【0015】
また、前記計算部は、前記モデル生成部が生成した水路モデルと桝モデルに基づいて、前記桝に水路が合流する位置の高さを算出してもよい。この場合、前記表示部は、前記計算部が計算した前記桝の水路が合流する位置の高さを表示することができるので、設計者は桝に対する水路の設置高さを正確に把握できる。
【0016】
また、前記3次元モデルには、道路を表す道路モデルが含まれていてもよい。この場合、前記計算部は、前記道路モデルの両路肩、または中分が有る場合は路肩と中分のうち、低い方の路肩及び中分の高さ情報に基づいて、前記水路設置高さを自動計算し、前記モデル生成部は、前記道路モデルの低い方の路肩及び中分、かつ、前記計算部によって計算された前記水路設置高さに前記水路モデルを自動生成することができる。すなわち、路肩及び中分のように水路が必要な箇所については、道路規格や構造の情報、勾配情報等から水路を自動で設置することができる。
【0017】
また、前記入力部は、前記表示部に表示された平面視点の前記3次元モデル上で、前記水路設置位置として、前記法尻に設置される水路の設置位置である法尻水路設置位置の指定を受け付けることもできる。そして、前記計算部は、前記3次元モデルの高さ情報に基づいて、前記法尻水路設置位置の設置高さを計算し、前記モデル生成部は、前記計算部によって計算された前記法尻水路設置位置の設置高さに前記水路モデルを生成することができる。すなわち、例えば法尻や縦排水路などは、設計者の指定によって水路を設置するか否かが決定されるので、このような箇所については水路を自動設置することなく、設計者の指示に従うことで、設計者の意図を的確に反映させることができる。
【0018】
本開示の別の態様では、現況の地形及び計画を表す3次元モデル上に水路を表す水路モデルを生成する水路設計支援プログラムを前提とすることができる。水路設計支援プログラムは、前記3次元モデルを取得する3次元モデル取得工程と、前記3次元モデル取得工程で取得した前記3次元モデルを平面視点で表示する表示工程と、前記表示工程で表示された平面視点の前記3次元モデル上で水路設置位置の指定を受け付ける入力工程と、前記入力工程で受け付けた前記水路設置位置における水路設置高さを、前記3次元モデルが有する高さ情報に基づいて計算する計算工程と、前記計算工程で計算された前記水路設置高さに、前記水路を表す水路モデルを生成するモデル生成工程とをコンピュータに実行させることができる。
【0019】
また、前記計算工程で前記水路の勾配値と流水方向を計算し、前記計算工程で計算した前記水路の勾配値と流水方向を表示する表示工程をコンピュータに実行させてもよい。
【0020】
本開示のさらに別の態様では、現況の地形及び計画を表す3次元モデル上に水路を表す水路モデルを生成する水路設計支援方法を前提とすることができる。水路設計支援方法は、前記3次元モデルを取得する3次元モデル取得工程と、前記3次元モデル取得工程で取得した前記3次元モデルを平面視点で表示する表示工程と、前記表示工程で表示された平面視点の前記3次元モデル上で水路設置位置の指定を受け付ける入力工程と、前記入力工程で受け付けた前記水路設置位置における水路設置高さを、前記3次元モデルが有する高さ情報に基づいて計算する計算工程と、前記計算工程で計算された前記水路設置高さに、前記水路を表す水路モデルを生成するモデル生成工程と、前記計算工程で計算した前記水路の勾配値と流水方向を表示する表示工程とを備えている。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本水路設計支援装置及び水路設計支援プログラムによれば、設計者が3次元データを2次元で見ながら水路の設置位置を指定することにより、水路の3次元モデル化を容易にかつ正確に行うことができ、例えば道路や宅盤、宅地造成、河川などの設計に用いられる水路設計を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る水路設計支援装置の構成図である。
図2】水路設計支援装置のブロック図である。
図3】水路設計の手順を示すフローチャートである。
図4】3次元表示形態の例を示す図である。
図5】平面表示形態の例を示す図である。
図6】3次元ポリゴン表示形態の例を示す図である。
図7】3次元ポリゴン表示形態の拡大表示の例を示す図である。
図8】水路の寸法及び桝の寸法を入力するための入力ウインドウの例を示す図である。
図9】水路モデルが自動配置された表示例を示す図である。
図10】ユーザが指定した水路モデル及び桝モデルが配置された表示例を示す図である。
図11】追加の水路モデル及び桝モデルが配置された表示例を示す図である。
図12】各桝の高さ及び各水路の高さの表示例を示す図である。
図13】各水路の勾配値及び各水路の流水方向の表示例を示す図である。
図14A】桝に水路が4方向から入っている場合の水路の高さと桝の高さの表示例1を示す図である。
図14B】桝に水路が4方向から入っている場合の水路の高さと桝の高さの表示例2を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係る水路設計支援装置1の構成図であり、図2は、水路設計支援装置1のブロック図である。水路設計支援装置1は、パーソナルコンピュータで構成されており、本体部10と、表示部11と、操作部12と、記憶装置13とを備えている。本体部10は、制御部10Aと通信モジュール10Bを有している。制御部10Aは、例えばCPU(中央演算処理装置)、ROM及びRAM(メモリ)等で構成されており、プログラムに従って動作する。メモリは、CPUが水路設計支援プログラムを実行する際に当該プログラムを展開するためのワークメモリや、データを一時的に記憶するためのバッファメモリである。また、通信モジュール10Bは、例えばインターネット等を介して外部の端末と通信する部分であり、データの送信、データの受信等が行えるように構成されている。
【0025】
制御部10Aにより、後述する3次元モデル取得部10a、入力部10b、計算部10c、モデル生成部10d等が構成されている。3次元モデル取得部10a、入力部10b、計算部10c及びモデル生成部10dは、制御部10Aを構成しているハードウェアのみで構成されていてもよいし、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせで構成されていてもよい。例えば、CPUが水路設計支援プログラムを実行することで、3次元モデル取得部10a、入力部10b、計算部10c、モデル生成部10dの各機能を制御部10Aが実現可能になる。
【0026】
表示部11は、例えば液晶ディスプレイ装置や有機ELディスプレイ装置等で構成されている。表示部11は、制御部10Aに接続されており、制御部10Aによって制御され、各種設定画面、入力画面、設計画面、解析画面、3次元表示画面、平面視点画面等の表示が可能になっている。
【0027】
操作部12は、ユーザが水路設計支援装置1を操作するための機器で構成されている。操作部12には、例えばキーボード12a及びマウス12bが含まれているが、これら以外にも表示部11に組み込まれたタッチ操作パネルや、各種ポインティングデバイス等が含まれていてもよい。操作部12は、制御部10Aに接続されており、ユーザの操作部12による操作が制御部10Aで検出可能になっている。
【0028】
記憶装置13は、各種データやプログラム等を記憶可能なハードディスクドライブやソリッドステートドライブ等で構成されている。記憶装置13は制御部10Aに接続されており、制御部10Aからの指示に従い、送られてきたデータの記憶、及び記憶されているデータの読み出しを実行する。記憶装置13は、本体部10に内蔵されていてもよいし、本体部10の外部に設けられていてもよい。また、記憶装置13は、外部のサーバや、いわゆるクラウド型のストレージシステムであってもよい。また、記憶装置13の一部のみ本体部10に内蔵し、他を外部に設けてもよい。
【0029】
記憶装置13には、後述する各工程をコンピュータに実行させる水路設計支援プログラムが記憶されている。この水路設計支援プログラムのユーザへの提供形態は特に限定されるものではなく、例えば図1に示すようにCD-ROMやDVD-ROMなどのような記録媒体Aに記録された状態でユーザに提供されてもよいし、インターネット等を介して外部サーバからダウンロード可能な形態でユーザに提供されてもよい。提供された水路設計支援プログラムを汎用のパーソナルコンピュータにインストールすることで、当該パーソナルコンピュータを水路設計支援装置1として使用することが可能になる。
【0030】
尚、汎用のパーソナルコンピュータに水路設計支援プログラムをインストールする際には記憶装置13にインストールすればよい。また、汎用のパーソナルコンピュータを、水路設計支援プログラムがインストールされた外部サーバにアクセスさせることで、水路設計支援装置1として使用することも可能であり、水路設計支援プログラムのインストール場所は特に限定されるものではない。
【0031】
水路設計支援装置1は、例えば道路や宅盤、宅地造成、河川堤防などの各種地形及び計画を表す3次元モデル上に水路を表す水路モデルを生成することにより、設計者(ユーザ)の設計作業を支援する装置である。より具体的には、水路設計支援装置1は、現況の地形及び計画を表す3次元モデル上で水路設置位置の指定を受け付けると、受け付けた水路設置位置における水路設置高さを、3次元モデルが有する高さ情報に基づいて計算する。計算された水路設置高さに、水路を表す水路モデルを生成する。また、桝についても同様に、3次元モデル上で桝設置位置の指定を受け付けると、受け付けた桝設置位置における桝設置高さを、3次元モデルが有する高さ情報に基づいて計算する。計算された桝設置高さに、桝を表す桝モデルを生成する。3次元モデルには、各地点における高さ情報が含まれている。
【0032】
また、水路設計支援プログラムは、コンピュータを以下のように動作させることにより、現況の地形及び計画を表す3次元モデル上に水路モデルを生成させることが可能なプログラムである。水路設計支援装置1を使用することで、現況の地形及び計画を表す3次元モデル上に水路モデルを生成する方法を実行することもできる。
【0033】
水路設計支援装置1の各部の構成について、図1図2図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。図2に示す3次元モデル取得部10aは、現況の地形及び計画を表す3次元モデルを取得する部分である。3次元モデルは、任意の形式のデータとして、例えば記憶装置13、外部サーバ、CD-ROMやDVD-ROMなどのような記録媒体等(以下、これらをまとめて記憶装置13等という)に保存されている。水路設計支援装置1のユーザは、操作部12を操作して所望の3次元モデルのデータを記憶装置13等から読み込む操作を行うことで、3次元モデル取得部10aが3次元モデルを取得する。記憶装置13等に複数の3次元モデルのデータが保存されている場合には、ユーザが所望の3次元モデルのデータを選択する操作を操作部12で行った後、読み込む操作を行えばよい。3次元モデルを取得する工程は、図3に示すフローチャートのステップS1で実行される3次元モデル取得工程である。
【0034】
ステップS1で取得された3次元モデルのデータは、水路設計支援装置1の内部に一時的に保存される。図2に示す制御部10Aは、一時的に保存されている3次元モデルのデータを読み込んで、図4に示すように3次元で高さが分かるように表示する3次元表示形態、図5に示すように平面視点で表示する平面表示形態、図6に示す3次元ポリゴンで表示する3次元ポリゴン表示形態に変換して表示部11に表示させる。図6では、平面視点で表示している。平面視点とは、地形を真上から見たときの視点である。3次元表示形態で表示させるか、平面表示形態で表示させるか、それとも平面視点の3次元ポリゴン表示形態で表示させるかについては、ユーザが操作部12を操作することで選択可能である。尚、図3図6において、符号101で示す部分は道路を表す道路モデルである。
【0035】
図2に示す制御部10Aは、ユーザにより3次元表示形態が選択された場合には、表示部4を制御して図4に示す3次元表示形態で3次元モデルを表示させるので、ユーザは地形及び計画を立体的に把握できる。また、制御部10Aは、ユーザにより平面表示形態が選択された場合には、表示部4を制御して図5に示す平面表示形態で3次元モデルを表示させるので、ユーザは地形及び計画を平面的に把握できる。また、制御部10Aは、ユーザにより3次元ポリゴン表示形態が選択された場合には、表示部4を制御して図6に示す3次元ポリゴン表示形態で3次元モデルを表示させるので、ユーザは地形及び計画を3次元ポリゴンの集合体として把握できる。3次元モデルを表示部11に表示させる工程は3次元モデル表示工程である。
【0036】
3次元モデル表示工程では、表示部11に表示されている3次元モデルの一部を拡大表示させることもできる。例えば図7に示すように、3次元ポリゴン表示形態で表示されている3次元データを拡大表示させることで、細部を詳細に確認することができる。ユーザが操作部12を操作することで、拡大したい部分の選択、拡大率の選択が行えるようになっており、任意の部分を任意の拡大率で拡大できる。拡大後の縮小も可能である。また、3次元モデルを表示部11上でスクロールして表示させることも可能である。
【0037】
図7に示すように、道路モデル101には道路中心線形101aが設定されている。この例では、道路モデル101の両側(左側及び右側)には盛土を表す盛土モデル102と、切土を表す切土モデル103とがある。図7における道路モデル101よりも下の盛土モデル102の間には、小段を表す小段モデル104がある。このように、3次元モデルは、道路モデル101の他に、盛土モデル102、切土モデル103及び小段モデル104も含んでいる。盛土モデル102、切土モデル103及び小段モデル104を3次元モデル上で把握することはできるが、各部の勾配の方向及び勾配の度合いについては3次元モデル上で正確に把握するのが困難であった。特に、縦横断勾配の双方が複雑に絡まりあった地点の勾配は誤って把握してしまうおそれがあった。道路モデル101についても同様に勾配の把握が難しい場合がある。
【0038】
また、道路モデル101には、その両側に盛土保護路肩を表す盛土保護路肩モデル101bと、切土保護路肩を表す切土保護路肩モデル101cとが含まれている。両側の盛土保護路肩モデル101bのうち、一方の盛土保護路肩モデル101bが他方の盛土保護路肩モデル101bよりも高いまたは低いことがある。また、両側の切土保護路肩モデル101cのうち、一方の切土保護路肩モデル101cが他方の切土保護路肩モデル101cよりも高いまたは低いことがある。どちらの盛土保護路肩モデル101bまたは切土保護路肩モデル101cが高いか判断する際には、3次元モデルが有する高さ情報に基づくことで正確な判断が可能である。
【0039】
図2に示す入力部10bは、表示部11に表示された平面視点の3次元モデル(3次元ポリゴン表示形態であってもよい)上で水路設置位置の指定及び桝設置位置の指定を受け付ける部分である。水路設置位置を指定する際、及び桝設置位置を指定する際には、ユーザが操作部12を操作する。操作部12でどのような操作が行われたかは、制御部10Aの入力部10bで検出される。入力部10bは、操作部12の操作を検出することで、水路設置位置の指定及び桝設置位置の指定を受け付ける。例えば、3次元モデル上の任意の点をマウス12bでクリックすると、クリックした点に対応する3次元モデル上の位置が入力され、この位置が水路設置位置や桝設置位置となり得る。また、3次元モデル上の任意の一点から別の点までマウス12bをドラッグ操作すると、その範囲が3次元モデル上で特定され、水路設置の範囲や桝設置の範囲となり得る。
【0040】
入力部10bは、水路の寸法の入力及び桝の寸法の入力も受け付ける。水路の寸法及び桝の寸法を入力する際には、制御部10Aが入力用のユーザインターフェースとして図8に示すような入力ウインドウ200を生成し、表示部11に表示させる。入力ウインドウ200には、桝に関する寸法を入力する第1入力領域201と、水路に関する寸法を入力する第2入力領域202とが設けられている。第1入力領域201には、桝を設置するか否かを選択可能な選択部201aと、桝の縦方向の寸法、横方向の寸法(幅)、深さ、泥溜めの深さを数値(例えばm単位)で入力可能な数値入力部201bとが設けられている。また、第2入力領域202は、水路の幅、及び深さを数値(例えばm単位)で入力可能な数値入力部で構成されている。入力ウインドウ200の構成は、図8に示すものに限られない。
【0041】
第1入力領域201の数値入力部201b及び第2入力領域202には、ユーザが操作部12を操作して任意の数値を入力可能になっている。入力された数値は、水路モデル及び桝モデルを生成する際及び設置高さを計算する際に使用される寸法情報として、水路設計支援装置1の内部に一時的に記憶される。各寸法を入力する際には、例えば0.1m間隔で入力することができるが、これに限られるものではない。この工程は、図3に示すフローチャートのステップS2で実行される寸法入力工程である。
【0042】
ここで、3次元モデルのなかには、路肩、中分、小段のように、道路規格や道路の構造の情報、勾配情報等から水路を設置するか否かを自動で判定できる箇所がある。道路規格や道路の構造の情報、勾配情報等は事前に入力されており、3次元モデルを構成するデータと関連付けられた状態で例えば記憶装置13等に記憶されている。このような箇所については、制御部10Aが道路規格や道路の構造の情報、勾配情報等を取得し、3次元モデルに含まれる路肩モデル101b、101c、中分を示す中分モデル(図示せず)、小段モデル104に水路を自動で設置する。自動とは、ユーザが水路を設置する操作(設置位置の指定等)を行うことなく、水路設計支援装置1が水路を設置することである。尚、路肩、中分は勾配の低い方を基準にしてモデルを自動設置する。小段モデルは3次元モデルの属性情報から自動設置することができる。この属性情報としては、例えば水路あり・なし、工種、寸法等があり、水路設計支援装置1が属性情報を取得することで、水路モデルを自動設置することができる。
【0043】
図3に示すフローチャートのステップS3が路肩、中分、小段の水路の自動設置工程である。具体的には、図2に示す計算部10cが、図7に示す道路モデル101の両路肩のうち、低い方の路肩の高さ情報に基づいて、水路設置高さを自動計算する。例えば、両側の盛土保護路肩モデル101bのうち、図7の下側に位置する盛土保護路肩モデル101bの方が低い場合には、下側の盛土保護路肩モデル101bの高さ情報に基づいて、下側の盛土保護路肩モデル101b上に設置する第1路肩水路モデル300の設置高さ(路肩水路設置高さ)を自動計算する。
【0044】
その後、図2に示すモデル生成部10dは、道路モデル100の低い方の路肩(図7の下側に位置する保護路肩)、かつ、計算部10cによって計算された路肩水路設置高さに第1路肩水路モデル300(図9に示す)を自動生成する。
【0045】
また、図9に示すように、切土保護路肩については、道路の両側の切土保護路肩モデル101c上にそれぞれ第2路肩水路モデル301及び第3路肩水路モデル302を設置する。したがって、計算部10cは、図9の上側に位置する切土保護路肩モデル101cの高さ情報に基づいて、図9の上側の切土保護路肩モデル101c上に設置する第2路肩水路モデル301の設置高さ(路肩水路設置高さ)を自動計算し、また、図9の下側に位置する切土保護路肩モデル101cの高さ情報に基づいて、図9の下側の切土保護路肩モデル101c上に設置する第3路肩水路モデル302の設置高さ(路肩水路設置高さ)を自動計算する。この場合、モデル生成部10dは、図9の上側に位置する切土保護路肩、かつ、計算部10cによって計算された路肩水路設置高さに第2路肩水路モデル301を自動生成し、また、図9の下側に位置する切土保護路肩、かつ、計算部10cによって計算された路肩水路設置高さに第3路肩水路モデル302を自動生成する。
【0046】
また、小段がある場合には、計算部10cは、小段モデル104の高さ情報に基づいて、小段モデル104上に設置する小段水路モデル304の設置高さ(小段水路設置高さ)を自動計算する。この場合、モデル生成部10dは、小段、かつ、計算部10cによって計算された小段水路設置高さに小段水路モデル304(図9に示す)を自動生成する。尚、図示しないが、中分についても同様であり、計算部10cは、中分モデルの高さ情報に基づいて、中分モデル上に設置する中分水路モデルの設置高さ(中分水路設置高さ)を自動計算し、モデル生成部10dは、中分、かつ、計算部10cによって計算された中分水路設置高さに中分水路モデルを自動生成する。自動生成すべき水路が存在しない場合には、ステップS3は省略される。
【0047】
図3に示すフローチャートのステップS4は、水路、桝の設置位置の指定を受け付ける入力工程である。このステップは、上述したようにユーザが表示部11に表示された平面視点の3次元モデルを見ながら、当該3次元モデル上で水路設置位置の指定及び桝設置位置の指定を行う。指定された水路設置位置及び桝設置位置は記憶装置13等に一旦記憶される。設置位置を指定する水路は、例えば法尻に設置される水路、法面を縦方向に延びる縦排水路等である。設置位置を指定する桝は、例えば路肩に設置される桝、中分に設置される桝、小段に設置される桝、法尻に設置される桝等である。
【0048】
図3に示すフローチャートのステップS5は、水路設置位置及び桝設置位置の高さを計算する高さ計算工程である。このステップでは、計算部10cが、入力部10bで受け付けた水路設置位置における水路設置高さ及び桝設置位置における桝設置高さを、3次元モデルが有する高さ情報に基づいて計算する。高さ計算工程では、入力部10bで受け付けた位置が特定されると、その位置の高さを、3次元モデルが有する高さ情報によって取得可能であることを利用する。
【0049】
具体的には、計算部10cは、入力部10bで受け付けた水路設置位置における水路設置高さを、3次元モデルが有する高さ情報と、入力部10bで受け付けた水路の寸法とに基づいて計算する。これにより、水路設置高さが水路の寸法を考慮した高さになるので、後述する水路モデルの高さを適切な高さとすることができる。また、計算部10cは、入力部10bで受け付けた桝設置位置における桝設置高さを、3次元モデルが有する高さ情報と、入力部10bで受け付けた桝の寸法とに基づいて計算する。これにより、桝設置高さが桝の寸法を考慮した高さになるので、後述する桝モデルの高さを適切な高さとすることができる。
【0050】
図3に示すフローチャートのステップS6は、計算部10cによって計算された水路設置高さに、水路を表す水路モデルを生成するモデル生成工程である。このモデル生成工程では、計算部10cによって計算された桝設置高さに、桝を表す桝モデルを生成することもできる。具体的には、図2に示すモデル生成部10dは、計算部10cによって計算された水路設置高さに、入力部10bで受け付けた寸法の水路を表す水路モデルを生成し、また、計算部10cによって計算された桝設置高さに、入力部10bで受け付けた寸法の桝を表す桝モデルを生成する。これにより、設計者の意図を反映した設計が可能になる。
【0051】
図10に示す例では、道路モデル101の下側(図10の下側)に、路肩桝を表す路肩桝モデル401、小段桝を表す小段桝モデル402、法尻桝を表す法尻桝モデル403、桝間を繋ぐ縦排水路モデル410及び法尻水路モデル411を生成し、3次元モデルに重ねて表示している。
【0052】
路肩桝モデル401を生成する場合、入力部10bは、表示部11に表示された平面視点の3次元モデル上で、路肩桝の設置位置として、路肩に設置される桝の設置位置である路肩桝設置位置の指定を受け付ける。計算部10cは、3次元モデルの高さ情報に基づいて、路肩桝設置位置の設置高さを計算する。モデル生成部10dは、計算部10cによって計算された路肩桝設置位置の設置高さに路肩桝モデル401を生成する。
【0053】
また、小段桝モデル402を生成する場合、入力部10bは、表示部11に表示された平面視点の3次元モデル上で、小段桝の設置位置として、小段に設置される桝の設置位置である小段桝設置位置の指定を受け付ける。計算部10cは、3次元モデルの高さ情報に基づいて、小段桝設置位置の設置高さを計算する。モデル生成部10dは、計算部10cによって計算された小段桝設置位置の設置高さに小段桝モデル402を生成する。
【0054】
また、法尻桝モデル403を生成する場合、入力部10bは、表示部11に表示された平面視点の3次元モデル上で、法尻桝の設置位置として、法尻に設置される桝の設置位置である法尻桝設置位置の指定を受け付ける。計算部10cは、3次元モデルの高さ情報に基づいて、法尻桝設置位置の設置高さを計算する。モデル生成部10dは、計算部10cによって計算された法尻桝設置位置の設置高さに法尻桝モデル403を生成する。
【0055】
また、縦排水路410を生成する場合、入力部10bは、表示部11に表示された平面視点の3次元モデル上で、縦排水路の設置位置として、縦排水路設置位置の指定を受け付ける。例えば、路肩桝設置位置、小段桝設置位置をユーザが指定すると、入力部10bで受け付けられ、路肩桝設置位置と小段桝設置位置との間に縦排水路が自動的に設置される。その後、法尻桝設置位置を指定すると、入力部10bで受け付けられ、小段桝設置位置と法尻桝設置位置との間に縦排水路が自動的に設置される。計算部10cは、3次元モデルの高さ情報に基づいて、縦排水路設置位置の設置高さを計算する。モデル生成部10dは、計算部10cによって計算された縦排水路設置位置の設置高さに縦排水路モデル410を生成する。
【0056】
また、法尻水路411を生成する場合、入力部10bは、表示部11に表示された平面視点の3次元モデル上で、法尻水路の設置位置として、法尻水路設置位置の指定を受け付ける。例えば路肩桝の設置位置の指定、法尻水路の設置位置の指定、及び小段桝の設置位置の指定をユーザが行い、入力部10bで受け付ける。また、法尻水路の場合、折れ点、法尻からの離れ(ステップ)量もユーザが指定し、入力部10bで受け付ける。計算部10cは、路肩桝から小段桝に至る法尻水路を特定し、特定された法尻水路の設置位置を法尻水路設置位置とする。計算部10cは、3次元モデルの高さ情報に基づいて、法尻水路設置位置の設置高さを計算する。このとき、計算部10cは、折れ点、法尻からの離れ量も考慮して法尻水路設置位置の設置高さを計算する。モデル生成部10dは、計算部10cによって計算された法尻水路設置位置の設置高さに法尻水路モデル411を生成する。
【0057】
図11は、追加の桝モデル404、405、406及び追加の水路モデル412、413、414、415、416が配置された例を示している。水路モデル416は、横断管である。また、図12は、各桝の高さ、及び各水路の高さを表示部11の3次元モデルに重ねて表示した例を示している。図12に示すように、各桝の高さ及び各水路の高さを取得することで、各部の高さをユーザに対して数値で提示することができる。なお高さの表示は例えば桝に水路が4方向から入っている場合はそれぞれ4箇所の水路の高さと桝の高さを表示することができる。
【0058】
図14Aは、桝に水路が4方向から入っている場合の水路の高さと桝の高さの表示例1を示している。表示例1では、桝及び4つの水路からそれぞれ延びる引き出し線を表示させるとともに、対応する引き出し線に高さを数値で示している。
【0059】
図14Bは、桝に水路が4方向から入っている場合の水路の高さと桝の高さの表示例2を示している。表示例2では、凡例として第1水路、第2水路、第3水路、第4水路をそれぞれ番号で示すとともに、桝も番号で示している。凡例と並ぶように、桝から延びる引き出し線を表示させるとともに、引き出し線に第1~第4水路の番号及び桝の番号を表示してそれぞれに対応する高さを数値で示している。
【0060】
図3に示すフローチャートのステップS7は、水路の勾配値と流水方向を計算する計算工程である。計算部10cは、モデル生成部10dが生成した水路モデル300~304、410~416に基づいて、各水路の勾配値(%)をそれぞれ算出する。また、計算部10cは、モデル生成部10dが生成した水路モデルに基づいて、水路の流水方向を算出する。
【0061】
具体的には、計算部10cは、例えば、3次元モデルの高さ情報と、桝の寸法及び水路の寸法とから、桝の底と天端、水路の底の高さを自動計算することができる。計算部10cは、水路底の高さ情報から勾配値と流水方向を計算する。この計算を各水路について行うことで、各水路の勾配値及び流水方向を取得できる。
【0062】
図3に示すフローチャートのステップS8は、計算部10cが計算した水路の勾配値及び水路の流水方向を表示部11に表示する工程である。制御部10Aは、計算部10cが計算した水路の勾配値及び水路の流水方向を取得すると、図13に示すように、各水路の勾配値及び各水路の流水方向を表示部11の3次元モデルに重ねて表示し、ユーザに提示することができる。流水方向は、例えば矢印で表示することができるが、これに限られるものではない。これにより、各地点の勾配の方向を求めなくても、正確な流水方向を簡単に把握できる。尚、水路の勾配値のみ表示してもよいし、水路の流水方向のみ表示してもよい。
【0063】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、現況の地形及び計画を表す3次元モデルを3次元モデル取得部10aが取得すると、取得した3次元モデルを平面視点で表示部11に表示することができる。ユーザは、表示部11上の平面視点で表示された3次元モデルを見ながら、水路の設置位置である水路設置位置を指定すると、指定された水路設置位置が入力部10bに入力される。3次元モデルは高さ情報を有しているので、指定された水路設置位置の高さ情報を、3次元モデルを構成しているデータから取得できる。これにより、水路設置高さの計算が可能になる。計算された水路設置高さは、現況の地形及び計画を表す3次元モデルに基づいたものなので、正確な高さであるとともに、ユーザによる手間を要することなく、算出できる。したがって、水路の3次元モデル化が容易にかつ正確に行える。
【0064】
同様に、ユーザは、表示部11上の平面視点で表示された3次元モデルを見ながら、桝の設置位置である桝設置位置を指定すると、指定された桝設置位置が入力部10bに入力される。これにより、桝の設置高さを得ることができ、得られた桝の設置高さは現況の地形及び計画を表す3次元モデルに基づいたものなので、正確な高さであるとともに、ユーザによる手間を要することなく、算出できる。
【0065】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上説明したように、本開示に係る水路設計支援装置及び水路設計支援プログラムは、例えば道路や宅盤、宅地造成、河川堤防などの各種設計に用いることができる。
【符号の説明】
【0067】
1 水路設計支援装置
10a 3次元モデル取得部
10b 入力部
10c 計算部
10d モデル生成部
11 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
【手続補正書】
【提出日】2023-06-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現況の地形及び計画を表す3次元モデル上に水路を表す水路モデルを生成する水路設計支援装置であって、
前記3次元モデルを取得する3次元モデル取得部と、
前記3次元モデル取得部が取得した前記3次元モデルを平面視点で表示する表示部と、
前記表示部に表示された平面視点の前記3次元モデル上で水路設置位置の指定を受け付ける入力部と、
前記入力部で受け付けた前記水路設置位置における水路設置高さを、前記3次元モデルが有する高さ情報に基づいて計算する計算部と、
前記計算部によって計算された前記水路設置高さに、前記水路を表す水路モデルを生成するモデル生成部とを備え
前記3次元モデルには、道路を表す道路モデルが含まれており、
前記計算部は、前記道路モデルの両路肩、または路肩と中分のうち、低い方の路肩及び中分の高さ情報に基づいて、前記水路設置高さを自動計算し、
前記モデル生成部は、前記道路モデルの低い方の路肩及び中分、かつ、前記計算部によって計算された前記水路設置高さに前記水路モデルを自動生成することを特徴とする水路設計支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の水路設計支援装置において、
前記入力部は、前記水路の寸法の入力を受け付け、
前記計算部は、前記入力部で受け付けた前記水路設置位置における前記水路設置高さを、前記3次元モデルが有する高さ情報と、前記入力部で受け付けた前記水路の寸法とに基づいて計算し、
前記モデル生成部は、前記計算部によって計算された前記水路設置高さに、前記入力部で受け付けた寸法の前記水路を表す水路モデルを生成することを特徴とする水路設計支援装置。
【請求項3】
請求項1に記載の水路設計支援装置において、
前記入力部は、前記表示部に表示された平面視点の前記3次元モデル上で桝設置位置の指定を受け付け、
前記計算部は、前記入力部で受け付けた前記桝設置位置における桝設置高さを、前記3次元モデルが有する高さ情報に基づいて計算し、
前記モデル生成部は、前記計算部によって計算された前記桝設置高さに、前記桝を表す桝モデルを生成することを特徴とする水路設計支援装置。
【請求項4】
請求項3に記載の水路設計支援装置において、
前記入力部は、前記桝の寸法の入力を受け付け、
前記計算部は、前記入力部で受け付けた前記桝設置位置における前記桝設置高さを、前記3次元モデルが有する高さ情報と、前記入力部で受け付けた前記桝の寸法とに基づいて計算し、
前記モデル生成部は、前記計算部によって計算された前記桝設置高さに、前記入力部で受け付けた寸法の前記桝を表す桝モデルを生成することを特徴とする水路設計支援装置。
【請求項5】
請求項1に記載の水路設計支援装置において、
前記計算部は、前記モデル生成部が生成した水路モデルに基づいて、前記水路の勾配値を算出し、
前記表示部は、前記計算部が計算した前記水路の勾配値を表示することを特徴とする水路設計支援装置。
【請求項6】
請求項1に記載の水路設計支援装置において、
前記計算部は、前記モデル生成部が生成した水路モデルに基づいて、前記水路の流水方向を算出し、
前記表示部は、前記計算部が計算した前記水路の流水方向を表示することを特徴とする水路設計支援装置。
【請求項7】
請求項に記載の水路設計支援装置において、
前記入力部は、前記表示部に表示された平面視点の前記3次元モデル上で、前記水路設置位置として、法尻に設置される水路の設置位置である法尻水路設置位置の指定を受け付け、
前記計算部は、前記3次元モデルの高さ情報に基づいて、前記法尻水路設置位置の設置高さを計算し、
前記モデル生成部は、前記計算部によって計算された前記法尻水路設置位置の設置高さに前記水路モデルを生成することを特徴とする水路設計支援装置。
【請求項8】
現況の地形及び計画を表す3次元モデル上に水路を表す水路モデルを生成する水路設計支援プログラムであって、
道路を表す道路モデルが含まれた前記3次元モデルを取得する3次元モデル取得工程と、
前記3次元モデル取得工程で取得した前記3次元モデルを平面視点で表示する表示工程と、
前記表示工程で表示された平面視点の前記3次元モデル上で水路設置位置の指定を受け付ける入力工程と、
前記入力工程で受け付けた前記水路設置位置における水路設置高さを、前記3次元モデルが有する高さ情報に基づいて計算する計算工程と、
前記計算工程で計算された前記水路設置高さに、前記水路を表す水路モデルを生成するモデル生成工程とをコンピュータに実行させ
前記計算工程では、前記道路モデルの両路肩、または路肩と中分のうち、低い方の路肩及び中分の高さ情報に基づいて、前記水路設置高さを自動計算し、
前記モデル生成工程では、前記道路モデルの低い方の路肩及び中分、かつ、前記計算部によって計算された前記水路設置高さに前記水路モデルを自動生成することを特徴とする水路設計支援プログラム。
【請求項9】
請求項に記載の水路設計支援プログラムにおいて、
前記計算工程では、前記水路の勾配値と流水方向を計算し、
前記計算工程で計算した前記水路の勾配値と流水方向を表示する表示工程をコンピュータに実行させることを特徴とする水路設計支援プログラム。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現況の地形及び計画を表す3次元モデル上に水路を表す水路モデルを生成する水路設計支援装置であって、
前記3次元モデルを取得する3次元モデル取得部と、
前記3次元モデル取得部が取得した前記3次元モデルを平面視点で表示する表示部と、
前記表示部に表示された平面視点の前記3次元モデル上で水路設置位置の指定を受け付ける入力部と、
前記入力部で受け付けた前記水路設置位置における水路設置高さを、前記3次元モデルが有する高さ情報に基づいて計算する計算部と、
前記計算部によって計算された前記水路設置高さに、前記水路を表す水路モデルを生成するモデル生成部とを備え、
前記3次元モデルには、道路を表す道路モデルが含まれており、
前記計算部は、前記道路モデルの両路肩、または路肩と中分のうち、低い方の路肩及び中分の高さ情報に基づいて、前記水路設置高さを自動計算し、
前記モデル生成部は、前記道路モデルの低い方の路肩及び中分、かつ、前記計算部によって計算された前記水路設置高さに前記水路モデルを自動生成することを特徴とする水路設計支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の水路設計支援装置において、
前記入力部は、前記水路の寸法の入力を受け付け、
前記計算部は、前記入力部で受け付けた前記水路設置位置における前記水路設置高さを、前記3次元モデルが有する高さ情報と、前記入力部で受け付けた前記水路の寸法とに基づいて計算し、
前記モデル生成部は、前記計算部によって計算された前記水路設置高さに、前記入力部で受け付けた寸法の前記水路を表す水路モデルを生成することを特徴とする水路設計支援装置。
【請求項3】
請求項1に記載の水路設計支援装置において、
前記入力部は、前記表示部に表示された平面視点の前記3次元モデル上で桝設置位置の指定を受け付け、
前記計算部は、前記入力部で受け付けた前記桝設置位置における桝設置高さを、前記3次元モデルが有する高さ情報に基づいて計算し、
前記モデル生成部は、前記計算部によって計算された前記桝設置高さに、前記桝を表す桝モデルを生成することを特徴とする水路設計支援装置。
【請求項4】
請求項3に記載の水路設計支援装置において、
前記入力部は、前記桝の寸法の入力を受け付け、
前記計算部は、前記入力部で受け付けた前記桝設置位置における前記桝設置高さを、前記3次元モデルが有する高さ情報と、前記入力部で受け付けた前記桝の寸法とに基づいて計算し、
前記モデル生成部は、前記計算部によって計算された前記桝設置高さに、前記入力部で受け付けた寸法の前記桝を表す桝モデルを生成することを特徴とする水路設計支援装置。
【請求項5】
請求項1に記載の水路設計支援装置において、
前記計算部は、前記モデル生成部が生成した水路モデルに基づいて、前記水路の勾配値を算出し、
前記表示部は、前記計算部が計算した前記水路の勾配値を表示することを特徴とする水路設計支援装置。
【請求項6】
請求項1に記載の水路設計支援装置において、
前記計算部は、前記モデル生成部が生成した水路モデルに基づいて、前記水路の流水方向を算出し、
前記表示部は、前記計算部が計算した前記水路の流水方向を表示することを特徴とする水路設計支援装置。
【請求項7】
請求項1に記載の水路設計支援装置において、
前記入力部は、前記表示部に表示された平面視点の前記3次元モデル上で、前記水路設置位置として、法尻に設置される水路の設置位置である法尻水路設置位置の指定を受け付け、
前記計算部は、前記3次元モデルの高さ情報に基づいて、前記法尻水路設置位置の設置高さを計算し、
前記モデル生成部は、前記計算部によって計算された前記法尻水路設置位置の設置高さに前記水路モデルを生成することを特徴とする水路設計支援装置。
【請求項8】
現況の地形及び計画を表す3次元モデル上に水路を表す水路モデルを生成する水路設計支援プログラムであって、
道路を表す道路モデルが含まれた前記3次元モデルを取得する3次元モデル取得工程と、
前記3次元モデル取得工程で取得した前記3次元モデルを平面視点で表示する表示工程と、
前記表示工程で表示された平面視点の前記3次元モデル上で水路設置位置の指定を受け付ける入力工程と、
前記入力工程で受け付けた前記水路設置位置における水路設置高さを、前記3次元モデルが有する高さ情報に基づいて計算する計算工程と、
前記計算工程で計算された前記水路設置高さに、前記水路を表す水路モデルを生成するモデル生成工程とをコンピュータに実行させ、
前記計算工程では、前記道路モデルの両路肩、または路肩と中分のうち、低い方の路肩及び中分の高さ情報に基づいて、前記水路設置高さを自動計算し、
前記モデル生成工程では、前記道路モデルの低い方の路肩及び中分、かつ、前記計算工程によって計算された前記水路設置高さに前記水路モデルを自動生成することを特徴とする水路設計支援プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載の水路設計支援プログラムにおいて、
前記計算工程では、前記水路の勾配値と流水方向を計算し、
前記計算工程で計算した前記水路の勾配値と流水方向を表示する表示工程をコンピュータに実行させることを特徴とする水路設計支援プログラム。