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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077179
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】自律走行車
(51)【国際特許分類】
   B60L 1/00 20060101AFI20240531BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240531BHJP
   G01C 21/28 20060101ALI20240531BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20240531BHJP
【FI】
B60L1/00 L
G08G1/16 C
G01C21/28
G05D1/02 H
G05D1/02 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189078
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】水野 正隆
【テーマコード(参考)】
2F129
5H125
5H181
5H301
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB33
2F129BB49
5H125AA20
5H125AC12
5H125BA00
5H125BC25
5H125CA11
5H125CA18
5H125CD04
5H125EE41
5H125EE55
5H125EE63
5H181AA01
5H181CC04
5H181CC30
5H181FF03
5H181FF22
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301GG09
5H301GG14
5H301QQ00
(57)【要約】
【課題】電力消費を低減すること。
【解決手段】自律走行車は、撮像装置と、補助記憶装置と、自己位置推定制御装置と、自己位置推定機器と、走行制御装置と、を備える。補助記憶装置は、地図画像データと位置情報とを紐付けた地図データを記憶している。自己位置推定制御装置は、撮像装置が撮像した画像データと、地図画像データとをマッチングすることによって自己位置推定を行う。走行制御装置は、自律走行車の手動運転中、又は自律走行車に対する自動運転指示の待機中には、自己位置推定機器への電力供給を遮断する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面を撮像するように配置された撮像装置と、
前記路面を予め撮像した地図画像データと位置情報とを紐付けた地図データを記憶した記憶装置と、
前記撮像装置が撮像した画像データと、前記地図画像データとをマッチングすることによって自己位置推定を行う自己位置推定制御装置と、
前記自己位置推定に必要となる自己位置推定機器と、
制御装置と、を備えた自律走行車であって、
前記制御装置は、
前記自律走行車の手動運転中、又は前記自律走行車に対する自動運転指示の待機中には、前記自己位置推定機器への電力供給を遮断し、
前記自律走行車の自動運転中には前記自己位置推定機器に電力を供給する、自律走行車。
【請求項2】
前記自己位置推定機器は、
前記撮像装置と、
前記自己位置推定制御装置と、
前記路面の照明を行う照明装置と、を含み、
前記制御装置は、前記自律走行車の手動運転中、又は前記自律走行車に対する自動運転指示の待機中には、少なくとも前記撮像装置、及び前記照明装置への電力供給を遮断する、請求項1に記載の自律走行車。
【請求項3】
前記制御装置は、前記自律走行車の自動運転中であって前記自律走行車が走行している場合に前記自己位置推定機器に電力を供給する、請求項1又は請求項2に記載の自律走行車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自律走行車に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の自律走行車は、カメラと、記憶装置と、制御装置と、を備える。カメラは、路面を撮像するように配置されている。記憶装置は、地図データを記憶している。地図データは、地図画像データと位置情報とを紐付けたデータである。制御装置は、カメラから画像データを取得する。制御装置は、画像データと地図画像データとのマッチングを行う。このマッチングにより、制御装置は、画像データに対応する地図画像データを特定する。制御装置は、地図画像データに紐付けられた位置情報に基づいて自己位置を推定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第8725413号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自己位置を推定するためには、カメラなどの機器に電力を供給する必要がある。自律走行車には、電力消費を低減することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する自律走行車は、路面を撮像するように配置された撮像装置と、前記路面を予め撮像した地図画像データと位置情報とを紐付けた地図データを記憶した記憶装置と、前記撮像装置が撮像した画像データと、前記地図画像データとをマッチングすることによって自己位置推定を行う自己位置推定制御装置と、前記自己位置推定に必要となる自己位置推定機器と、制御装置と、を備えた自律走行車であって、前記制御装置は、前記自律走行車の手動運転中、又は前記自律走行車に対する自動運転指示の待機中には、前記自己位置推定機器への電力供給を遮断し、前記自律走行車の自動運転中には前記自己位置推定機器に電力を供給する。
【0006】
自律走行車の手動運転中は、操作者による自律走行車の運転が行われるため、自己位置推定を行う必要がない。自律走行車に対する自動運転指示の待機中には、自律走行車は走行しないため、自己位置推定を行う必要がない。従って、これらの場合には、自己位置推定機器への電力供給を遮断することができる。自己位置推定を行う必要がない場合には、自己位置推定機器への電力供給を遮断することで、自己位置推定機器による電力消費を低減することができる。
【0007】
上記自律走行車について、前記自己位置推定機器は、前記撮像装置と、前記自己位置推定制御装置と、前記路面の照明を行う照明装置と、を含み、前記制御装置は、前記自律走行車の手動運転中、又は前記自律走行車に対する自動運転指示の待機中には、少なくとも前記撮像装置、及び前記照明装置への電力供給を遮断してもよい。
【0008】
上記自律走行車について、前記制御装置は、前記自律走行車の自動運転中であって前記自律走行車が走行している場合に前記自己位置推定機器に電力を供給してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電力消費を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】自律走行車の側面図である。
図2図1の自律走行車の概略構成図である。
図3図2の自己位置推定制御装置が実行する自己位置推定を示すフローチャートである。
図4図2の走行制御装置が実行する切替制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、自律走行車の一実施形態について説明する。
<自律走行車>
図1に示すように、自律走行車10は、車体11と、駆動輪21と、操舵輪31と、を備える。自律走行車10は、乗用車であってもよいし、搬送車であってもよい。本実施形態の自律走行車10は、搬送物の搬送を行う搬送車である。搬送車は、トーイングトラクタ、及びフォークリフトを含む。
【0012】
図2に示すように、自律走行車10は、走行モータ22と、走行モータドライバ23と、操舵モータ32と、操舵モータドライバ33と、を備える。走行モータ22は、駆動輪21を回転させるためのモータである。走行モータドライバ23は、走行モータ22を駆動させる。走行モータ22の駆動により駆動輪21が回転することで、自律走行車10は走行する。操舵モータ32は、操舵輪31を操舵するためのモータである。操舵モータドライバ33は、操舵モータ32を駆動させる。操舵モータ32の駆動により操舵輪31が操舵されることで、自律走行車10は旋回する。
【0013】
自律走行車10は、走行制御装置12を備える。走行制御装置12は、プロセッサ13と、記憶部14と、を備える。プロセッサ13としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、及びDSP(Digital Signal Processor)を挙げることができる。記憶部14は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部14は、処理をプロセッサ13に実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。記憶部14、即ち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。走行制御装置12は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である走行制御装置12は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0014】
自律走行車10は、無線通信装置41を備える。無線通信装置41は、無線LAN(Local Area Network)、ZigBee(登録商標)、LPWA(Low Power Wide Area)、又は移動通信システム等、任意の無線通信方式で通信を行うことが可能な通信機器である。無線通信装置41は、無線信号を送受信可能である。この無線信号は、上位制御装置から送信される。上位制御装置は、自律走行車10に指示を与える。無線信号には、上位制御装置からの自動運転指示が含まれる。自動運転指示は、自律走行車10の自動運転中に自律走行車10に与えられる指示である。自動運転指示は、例えば、自律走行車10に対する目的地の指示である。自動運転指示は、搬送指示を含む。搬送指示は、自律走行車10に対する搬送物の搬送の指示である。搬送指示では、例えば、搬送対象となる搬送物を特定するための識別情報、搬送物の置かれた位置、及び搬送物の搬送先が指示される。
【0015】
自律走行車10は、車速センサ42を備える。車速センサ42は、自律走行車10の車速を検出する。車速センサ42としては、例えば、走行モータ22の回転数を検出する回転数センサが用いられる。走行制御装置12は、車速センサ42の検出結果から自律走行車10の車速を算出できる。
【0016】
自律走行車10は、選択装置43を備える。選択装置43は、手動運転と、自動運転と、を切り替える。手動運転では、操作者による操作によって自律走行車10の走行、及び操舵が行われる。操作者は、自律走行車10の搭乗者であってもよい。自律走行車10が遠隔操作可能であれば、操作者は、自律走行車10を遠隔操作する者であってもよい。自動運転では、走行制御装置12による制御によって自律走行車10の走行、及び操舵が行われる。選択装置43は、例えば、物理ボタン、タッチパネル、又は音声入力装置である。
【0017】
自律走行車10は、自己位置推定機器50を備える。自己位置推定機器50は、自己位置推定制御装置51を備える。自己位置推定制御装置51は、例えば、走行制御装置12と同様のハードウェア構成を備える。自己位置推定制御装置51は、例えば、プロセッサ52と、記憶部53と、を備える。
【0018】
自己位置推定機器50は、照明装置61を備える。図1に示すように、照明装置61は、路面Srの照明を行うように配置されている。本実施形態において、照明装置61は、下方を向いた状態で車体11の底部に設けられている。照明装置61としては、例えば、発光ダイオードを用いることができる。
【0019】
図2に示すように、自律走行車10は、ドライバ62を備える。ドライバ62は、照明装置61の照度の制御を行う。ドライバ62は、スイッチング素子63を備える。このスイッチング素子63のデューティが調整されることによって、照明装置61の照度が制御される。
【0020】
自律走行車10は、電源B1を備える。電源B1は、例えば、バッテリ、又は電源回路である。電源B1は、自律走行車10が備える電装品に電力を供給する。
自律走行車10は、照明用スイッチ64を備える。照明用スイッチ64は、電源B1とドライバ62との間に設けられている。照明用スイッチ64は、例えば、リレースイッチである。照明用スイッチ64がオンすることで、電源B1からドライバ62に電力が供給される。これにより、ドライバ62を介して照明装置61に電力が供給可能になる。照明用スイッチ64がオフすることで、電源B1からドライバ62に電力が供給されなくなる。これにより、ドライバ62を介した照明装置61への電力供給が遮断される。照明用スイッチ64のオンとオフとは、走行制御装置12によって切り替えられる。
【0021】
自己位置推定機器50は、カメラ71を備える。カメラ71は、撮像装置である。カメラ71は、単眼カメラである。カメラ71は、デジタルカメラである。カメラ71は、撮像素子を備える。撮像素子としては、例えば、CCDイメージセンサ(Charge Coupled Device image sensor)、及びCMOSイメージセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor image sensor)を挙げることができる。カメラ71としては、例えば、RGBカメラ、赤外線カメラ、グレースケールカメラ、及び可視光カメラを挙げることができる。
【0022】
カメラ71は、所定のフレームレートで撮像を行って画像データを生成する。この画像データは、カメラ71で撮像した画像のデジタルデータである。
図1に示すように、カメラ71は、路面Srを撮像するように配置されている。詳細にいえば、カメラ71は、路面Srのうち照明装置61によって照明されている箇所を撮像するように配置されている。カメラ71は、路面Srを撮像した画像を示す画像データを生成する。カメラ71は、鉛直方向を向いた状態で車体11の底部に設けられている。
【0023】
図2に示すように、自律走行車10は、カメラ用スイッチ72を備える。カメラ用スイッチ72は、電源B1とカメラ71との間に設けられている。カメラ用スイッチ72は、例えば、リレースイッチである。カメラ用スイッチ72がオンすることで、電源B1からカメラ71に電力が供給される。カメラ用スイッチ72がオフすることで、電源B1からカメラ71への電力供給が遮断される。カメラ用スイッチ72のオンとオフとは、走行制御装置12によって切り替えられる。
【0024】
自律走行車10は、補助記憶装置81を備える。補助記憶装置81は、自己位置推定制御装置51が読み取り可能な情報を記憶している。補助記憶装置81としては、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、及びフラッシュメモリを挙げることができる。
【0025】
補助記憶装置81は、地図データM1を記憶している。地図データM1は、路面Srを予め撮像した地図画像データと位置情報とを紐付けたものである。自律走行車10が走行する範囲は、予め定められている。位置情報は、座標と、姿勢と、を含む。座標は、絶対位置を表す座標系である地図座標系の座標である。地図座標系は、直交座標系であってもよいし、地理座標系であってもよい。地図座標系は、X軸と、Y軸と、を備える。X軸とY軸とは互いに直交している。X軸及びY軸は、水平方向を表す座標系である。姿勢は、地図座標系の座標軸に対する自律走行車10の傾きを示す情報である。本実施形態の姿勢は、X軸に対する傾きを示す情報である。地図データM1は、自律走行車10が走行する範囲の地図座標系の座標、及び姿勢を表すデータである。
【0026】
<自己位置推定>
自己位置推定制御装置51は、自己位置推定を行う。自己位置推定は、所定の制御周期で繰り返し行われる。
【0027】
図3に示すように、ステップS1において、自己位置推定制御装置51は、照明装置61によって路面Srの照明を行う。路面Srの照明は、ドライバ62を制御することによって、照明装置61に電力を供給することで行われる。
【0028】
次に、ステップS2において、自己位置推定制御装置51は、カメラ71から画像データを取得する。ステップS1とステップS2とは同期して行われる。これにより、自己位置推定制御装置51は、照明装置61によって照明された路面Srをカメラ71が撮像した画像データを取得する。
【0029】
次に、ステップS3において、自己位置推定制御装置51は、画像データと地図画像データとのマッチングを行う。自己位置推定制御装置51は、画像データから特徴点を抽出する。自己位置推定制御装置51は、特徴点の特徴量を記述する。特徴量としては、例えば、特徴量ベクトル、及び輝度値を挙げることができる。また、自己位置推定制御装置51は、地図画像データを用いて特徴点の抽出、及び特徴量の記述を行う。自己位置推定制御装置51は、画像データから得られた特徴点及び特徴量と、地図画像データから得られた特徴点及び特徴量とを照合し、特徴量が類似する特徴点のペアを探索する。自己位置推定制御装置51は、特徴点のペアに基づき、画像データに対応する地図画像データを特定する。例えば、自己位置推定制御装置51は、特徴点のペアが集中している地図画像データを画像データに対応する地図画像データと特定する。上記したマッチングは、特徴量記述子を用いて行うことができる。特徴量記述子は、例えば、ORB(Oriented FAST and Rotated BRIEF)、SIFT(Scale-Invariant Feature Transform)、又はSURF(Speeded Up Robust Features)である。
【0030】
ステップS4において、自己位置推定制御装置51は、地図画像データに基づき、自己位置を推定する。自己位置とは、地図座標系での自律走行車10の座標、及び自律走行車10の姿勢を含む。自己位置推定制御装置51は、地図画像データと画像データとの相対位置、及び地図画像データと画像データとの相対角度を算出する。地図画像データと画像データとの相対位置とは、画像データと地図画像データとのずれ量である。画像データと地図画像データとの相対角度とは、画像データと地図画像データとのずれ角である。画像データと地図画像データとは、完全には一致しない場合が多い。これは、地図画像データを取得した時点と、画像データを取得した時点とで自律走行車10の位置及び姿勢が完全に一致することが少ないためである。このため、画像データは、地図画像データの一部にのみ一致することが多い。地図画像データを取得した時点と、画像データを取得した時点で、自律走行車10の位置がずれていた場合、自律走行車10の位置の差によって地図画像データに写る路面Srの位置と画像データに写る路面Srの位置にずれが生じる。このずれ量が、地図画像データと画像データとの相対位置である。ずれ量は、地図画像データの特徴点と画像データの特徴点との位置関係から把握することができる。同様に、地図画像データを取得した時点と、画像データを取得した時点での自律走行車10の姿勢の差によって、画像データは、地図画像データを回転させたものになる。この回転により生じるずれ角が、画像データと地図画像データとの相対角度である。自己位置推定制御装置51は、地図画像データに紐付けられた位置情報と、相対位置と、相対角度とに基づき自己位置を推定する。自己位置推定制御装置51は、地図画像データに紐付けられた座標を相対位置に対応する座標だけずらす。自己位置推定制御装置51は、地図画像データに紐付けられた姿勢を相対角度分だけずらす。これにより得られる地図座標系での座標、及び姿勢を自己位置推定制御装置51は自己位置とする。
【0031】
上記したように、自己位置推定は、照明装置61、カメラ71、及び自己位置推定制御装置51を用いて行われる。照明装置61、カメラ71、及び自己位置推定制御装置51は、自己位置推定を行うのに必要となる自己位置推定機器50である。
【0032】
自己位置推定制御装置51は、推定した自己位置を走行制御装置12に送信する。これにより、走行制御装置12は、自己位置を取得する。自己位置は、例えば、走行制御装置12が自動運転を行う際に用いられる。自動運転を行う際には、走行制御装置12が走行ルートを生成する。走行制御装置12は、走行ルートに沿って自律走行車10を走行させる。この際、走行制御装置12は、自己位置が走行ルートに追従するように自律走行車10の制御を行う。
【0033】
<切替制御>
走行制御装置12は、切替制御を行う。切替制御は、自己位置推定機器50への電力の供給と、電力供給の遮断と、を切り替える制御である。切替制御は、所定の制御周期で繰り返し行われる。走行制御装置12は、制御装置である。
【0034】
図4に示すように、ステップS11において、走行制御装置12は、自律走行車10が手動運転中か否かを判定する。ステップS11の判定結果が否定の場合、走行制御装置12は、ステップS12の処理を行う。ステップS11の判定結果が否定の場合、自律走行車10は、自動運転中である。ステップS11の判定結果が肯定の場合、走行制御装置12は、ステップS21の処理を行う。
【0035】
ステップS12において、走行制御装置12は、自律走行車10が停止中か否かを判定する。自律走行車10が停止中か否かは、例えば、車速センサ42の検出結果から判定することができる。走行制御装置12は、車速センサ42の検出結果から得られる車速が停止判定閾値[km/h]以下の場合には自律走行車10が停止していると判定する。停止判定閾値は、自律走行車10が停止しているとみなせる値に設定される。停止判定閾値は、例えば、0[km/h]~0.5[km/h]から任意の値を設定することができる。ステップS12の判定結果が肯定の場合、走行制御装置12は、ステップS13の処理を行う。ステップS12の判定結果が否定の場合、走行制御装置12は、ステップS14の処理を行う。ステップS12の判定結果が否定の場合、自律走行車10は、走行中である。
【0036】
ステップS13において、走行制御装置12は、自動運転指示を受信済みか否か判定する。自律走行車10が停止中の場合であって上位制御装置からの自動運転指示を受信していない場合、自律走行車10に対する自動運転指示の待機中である。自律走行車10が停止中の場合であって上位制御装置からの自動運転指示を受信済みの場合、走行制御装置12が自動運転指示に従って自律走行車10を制御しているにも関わらず外部要因によって自律走行車10が停止していると考えられる。外部要因としては、例えば、地理的要因、及び物的要因を挙げることができる。地理的要因によって自律走行車10が停止する場合としては、例えば、自律走行車10の走行する場所に停止位置が設定されている場合であって、自律走行車10が停止位置まで移動した場合が挙げられる。物的要因によって自律走行車10が停止する場合としては、例えば、自律走行車10が障害物と接触することを回避するために自律走行車10を停止させる場合が挙げられる。ステップS13の判定結果が肯定の場合、走行制御装置12は、ステップS14の処理を行う。ステップS13の判定結果が否定の場合、走行制御装置12は、ステップS21の処理を行う。
【0037】
ステップS14において、走行制御装置12は、自己位置推定機器50へ電力を供給する。詳細にいえば、走行制御装置12は、ステップS14の処理を行う時点で自己位置推定機器50への電力供給が遮断されている場合には、自己位置推定機器50へ電力を供給する。走行制御装置12は、ステップS14の処理を行う時点で自己位置推定機器50へ電力が供給されている場合には、自己位置推定機器50への電力供給を維持する。ステップS14において、走行制御装置12は、自己位置推定制御装置51、照明装置61、及びカメラ71の全てに電力を供給する。
【0038】
走行制御装置12は、ステップS14の処理を行う時点で自己位置推定制御装置51への電力供給が遮断されている場合、自己位置推定制御装置51にウェイクアップ指令を送信する。自己位置推定制御装置51は、ウェイクアップ指令を受信すると動作する。これにより、自己位置推定制御装置51へ電力が供給される。
【0039】
走行制御装置12は、ステップS14の処理を行う時点で照明装置61への電力供給が遮断されている場合、照明用スイッチ64をオンする。照明用スイッチ64がオンすることによって、ドライバ62を介して照明装置61へ電力が供給される。
【0040】
走行制御装置12は、ステップS14の処理を行う時点でカメラ71への電力供給が遮断されている場合、カメラ用スイッチ72をオンする。カメラ用スイッチ72がオンすることによって、カメラ71へ電力が供給される。
【0041】
ステップS12の判定結果が否定の場合に、ステップS14の処理が行われることで、走行制御装置12は、自律走行車10の自動運転中であって自律走行車10が走行している場合に自己位置推定機器50に電力を供給する。
【0042】
次に、ステップS15において、走行制御装置12は、車両電源がオフか否かを判定する。車両電源のオフとは、自律走行車10が走行を行うのに必要となる機器への電力供給が遮断されていることである。車両電源がオフしている場合、自律走行車10は走行不能である。車両電源がオンの場合、自律走行車10は走行可能である。車両電源のオンとオフとは、スタートスイッチを操作することによって切り替えることができる。スタートスイッチは、例えば、自律走行車10の操作者によって操作される。スタートスイッチは、イグニッションスイッチと称される場合もある。ステップS15の判定結果が否定の場合、走行制御装置12は、ステップS11の処理に戻る。ステップS15の判定結果が肯定の場合、走行制御装置12は、切替制御を終了する。従って、切替制御は、車両電源がオンの間、繰り返し行われることになる。
【0043】
ステップS21において、走行制御装置12は、自己位置推定機器50への電力供給を遮断する。詳細にいえば、走行制御装置12は、ステップS21の処理を行う時点で自己位置推定機器50への電力供給が遮断されている場合、自己位置推定機器50への電力供給の遮断を維持する。走行制御装置12は、ステップS21の処理を行う時点で自己位置推定機器50へ電力が供給されている場合、自己位置推定機器50への電力供給を遮断する。ステップS21において、走行制御装置12は、自己位置推定制御装置51、照明装置61、及びカメラ71の少なくとも1つへの電力供給を遮断する。本実施形態において、走行制御装置12は、少なくとも照明装置61及びカメラ71への電力供給を遮断する。即ち、自己位置推定制御装置51への電力供給は、遮断されてもよいし、遮断されなくてもよい。本実施形態において、自己位置推定制御装置51への電力供給は、遮断されない。本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【0044】
走行制御装置12は、ステップS21の処理を行う時点で照明装置61へ電力が供給されている場合、照明用スイッチ64をオフする。照明用スイッチ64がオフすることによって、ドライバ62を介した照明装置61への電力供給が遮断される。走行制御装置12は、ドライバ62の制御によって照明装置61への電力供給を遮断してもよい。例えば、走行制御装置12は、スイッチング素子63をオフに維持することによって照明装置61への電力供給を遮断してもよい。
【0045】
走行制御装置12は、ステップS21の処理を行う時点でカメラ71へ電力が供給されている場合、カメラ用スイッチ72をオフする。カメラ用スイッチ72がオフすることによって、カメラ71への電力供給が遮断される。
【0046】
[本実施形態の作用]
自律走行車10の手動運転中は、操作者による自律走行車10の運転が行われる。このため、自動運転を行う場合とは異なり、自己位置推定を行う必要がない。自律走行車10は、自動運転指示に従って走行するため、自律走行車10に対する自動運転指示の待機中には、自律走行車10は走行しない。詳細にいえば、自動運転指示の待機中は、自律走行車10が次の自動運転指示を受信するまでの間、待機している状態である。このため、自律走行車10が自動運転中であっても自動運転指示の待機中には、自律走行車10の走行が行われない。従って、これらの場合には、自己位置推定機器50への電力供給を遮断することができる。
【0047】
[本実施形態の効果]
(1)走行制御装置12は、自律走行車10の手動運転中、又は自律走行車10に対する自動運転指示の待機中には、自己位置推定機器50への電力供給を遮断する。自己位置推定を行う必要がない場合には、自己位置推定機器50への電力供給を遮断することで、自己位置推定機器50による電力消費を低減することができる。
【0048】
(2)走行制御装置12は、ステップS21において自己位置推定制御装置51への電力供給を遮断していない。自己位置推定制御装置51への電力供給が遮断されている状態から自己位置推定制御装置51に電力を供給すると、自己位置推定制御装置51が起動する。この際、自己位置推定制御装置51は、起動時に所定の処理を行う。そして、自己位置推定制御装置51は、所定の処理が完了した後に、自己位置推定を実行可能になる。従って、ステップS21において自己位置推定制御装置51への電力供給を遮断した場合、自動運転での走行を行う際に速やかに自己位置推定を実行できなくなるおそれがある。ステップS21で自己位置推定制御装置51への電力供給を遮断しないことによって自己位置推定制御装置51への電力供給は維持されている。このため、自動運転での走行を行う際に、速やかに自己位置推定を実行することができる。
【0049】
(3)走行制御装置12は、自律走行車10の自動運転中であって自律走行車10が走行している場合に自己位置推定機器50に電力を供給する。そして、走行制御装置12は、自律走行車10の自動運転中であって自律走行車10が停止している場合、自律走行車10が自動運転指示を受信済みか否か判定する。走行制御装置12は、自動運転指示を受信していない場合、自己位置推定制御装置51への電力供給を遮断する。自律走行車10を運用する際には、自動運転中であっても自律走行車10が停止することが生じ得る。この際、自律走行車10が自動運転指示を受信済みの場合には、自律走行車10が短時間の間に走行を開始すると考えられる。自律走行車10が自動運転指示を受信していない場合、即ち、自動運転指示の待機中の場合、自律走行車10が短時間の間に走行を開始しないおそれがある。ステップS12で、自律走行車10が停止中か否かを判定して、自律走行車10が停止している場合には、上記した判定を行うことで、自律走行車10が短時間の間に走行を開始すると考えられる場合には、自己位置推定機器50へ電力を供給する。自律走行車10が走行を開始する時点では、自己位置推定が行われているため、自律走行車10が円滑に走行を開始することができる。自律走行車10が短時間の間に走行を開始しないおそれがある場合には、自己位置推定機器50への電力供給を遮断することで、電力消費を低減することができる。
【0050】
[変更例]
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0051】
○走行制御装置12は、ステップS21で自己位置推定制御装置51への電力供給を遮断してもよい。走行制御装置12は、ステップS21の処理を行う時点で自己位置推定制御装置51へ電力が供給されている場合、自己位置推定制御装置51にスリープ指令を送信する。自己位置推定制御装置51は、スリープ指令を受信すると停止する。これにより、自己位置推定制御装置51への電力供給が遮断される。これによれば、自己位置推定機器50による電力消費を更に低減することができる。
【0052】
○実施形態のようにステップS21で自己位置推定制御装置51への電力供給を遮断しない場合、切替制御は自己位置推定制御装置51によって行われてもよい。この場合、自己位置推定制御装置51が制御装置である。
【0053】
○自律走行車10は、上位制御装置からの自動運転指示によって動作するものでなくてもよい。この場合、走行制御装置12は、自律走行車10の手動運転中には、自己位置推定機器50への電力供給を遮断する。
【0054】
○自律走行車10は、手動運転を行えず、自動運転のみを行えるものであってもよい。この場合、走行制御装置12は、自律走行車10に対する自動運転指示の待機中には、自己位置推定機器50への電力供給を遮断する。
【0055】
○走行制御装置12は、ステップS11の判定結果が否定の場合、ステップS13の処理を行ってもよい。即ち、ステップS12の処理を省略してもよい。
○自動運転指示は、自律走行車10の操作者による入力装置の操作によって送信されてもよい。入力装置は、自律走行車10が備えていてもよい。無線信号によって自律走行車10に自動運転指示を送信できる場合、入力装置は、自律走行車10とは異なる装置に設けられていてもよい。
【0056】
○撮像装置は、リニアイメージセンサであってもよい。
○地図データM1が記憶される記憶装置は、記憶部53であってもよい。
【符号の説明】
【0057】
M1…地図データ、Sr…路面、10…自律走行車、12…制御装置である走行制御装置、50…自己位置推定機器、51…自己位置推定制御装置、61…照明装置、71…カメラ、81…記憶装置である補助記憶装置。
図1
図2
図3
図4