(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077183
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】開閉体用座板の構造及び座板キャップ
(51)【国際特許分類】
E06B 9/17 20060101AFI20240531BHJP
【FI】
E06B9/17 U
E06B9/17 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189092
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】津田 真伸
(72)【発明者】
【氏名】重村 正和
(72)【発明者】
【氏名】井部 弘美
(72)【発明者】
【氏名】田村 淑佳
(57)【要約】
【課題】開閉体が接地した際の漏光遮蔽による意匠性の向上、隙間を塞ぐことによる防虫性の向上を実現させ、防火設備としての対応も可能とする。
【解決手段】開口部の幅方向両側でスリット43を対向させる一対のガイドレール45のスリット43に両側の縁部を挿入して開口部の開閉が案内される開閉体17の最下端に、座板19が取り付けられ、座板19の下面に長手方向に亘って座板緩衝材87が取り付けられる開閉体用座板の構造であって、座板19の長手方向両端に取り付けられる座板キャップ89を備え、座板キャップ89は、水平部79の長手方向端部80に被せられる端部被着部101と、スリット43に挿入れるスリット挿入部103と、スリット挿入部103と端部被着部101とに亘って設けられ座板緩衝材87と同等の長さで垂下し、かつ座板緩衝材87の端よりも中央側に延出して屋内外方向で座板緩衝材87と重なるキャップ緩衝材105と、を設けた。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部の幅方向両側でスリットを対向させて上下に延在する一対のガイドレールの前記スリットに両側の縁部を挿入して前記開口部の開閉が案内される開閉体の最下端に、ガイドレール間に位置して長尺の座板が取り付けられ、前記座板の水平部における下面に長手方向に亘って座板緩衝材が取り付けられる開閉体用座板の構造であって、
前記座板の長手方向両端にそれぞれ取り付けられる座板キャップを備え、
前記座板キャップは、
前記水平部の長手方向端部に被せられる端部被着部と、
前記スリットに挿入れるスリット挿入部と、
前記スリット挿入部と前記端部被着部とに亘って設けられ前記座板緩衝材と同等の長さで垂下し、かつ前記座板緩衝材の端よりも中央側に延出して屋内外方向で前記座板緩衝材と重なるキャップ緩衝材と、
を具備することを特徴とする開閉体用座板の構造。
【請求項2】
前記座板緩衝材と前記キャップ緩衝材とが、中空部を有して形成されることを特徴とする請求項1に記載の開閉体用座板の構造。
【請求項3】
前記キャップ緩衝材が、モヘアであることを特徴とする請求項1に記載の開閉体用座板の構造。
【請求項4】
前記キャップ緩衝材の延出部が、平行な一対の前記座板緩衝材の間に配置されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の開閉体用座板の構造。
【請求項5】
開口部の幅方向両側でスリットを対向させて上下に延在する一対のガイドレールの前記スリットに両側の縁部を挿入して前記開口部の開閉が案内される開閉体の最下端に、ガイドレール間に位置して長尺の座板が取り付けられ、前記座板の水平部における下面に長手方向に亘って座板緩衝材が取り付けられる開閉体用座板の構造において、前記座板の長手方向両端にそれぞれ取り付けられる座板キャップであって、
前記水平部の長手方向端部に被せられる端部被着部と、前記スリットに挿入れるスリット挿入部と、前記スリット挿入部と前記端部被着部とに亘って設けられ前記座板緩衝材と同一の垂下位置に垂下し、かつ前記座板緩衝材の端よりも中央側に延在して屋内外方向で前記座板緩衝材と重なるキャップ緩衝材と、
を具備することを特徴とする座板キャップ。
【請求項6】
前記座板緩衝材と前記キャップ緩衝材とが、中空部を有して形成されることを特徴とする請求項5に記載の座板キャップ。
【請求項7】
前記キャップ緩衝材が、モヘアであることを特徴とする請求項5に記載の座板キャップ。
【請求項8】
前記キャップ緩衝材の延出部が、平行な一対の前記座板緩衝材の間に配置されることを特徴とする請求項5~7のいずれか1つに記載の座板キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉体用座板の構造及び座板キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
開閉体本体の閉鎖方向端部側に横幅方向へわたる座板部材を接続したシャッターカーテン等の開閉体と、この開閉体の横幅方向の両端縁部側を凹状に囲んで開閉方向となる上下方向へ案内するガイドレールとを備え、開閉体を閉鎖動作させた際に座板部材をその閉鎖方向側の当接対象部位である床面に接触するようにした開閉装置において、座板部材は、左右のガイドレール間となる横幅方向へわたる座板本体部と、この座板本体部における幅方向端部側に接続された座板キャップとを備えた構成のものがある(下記特許文献1)。この座板キャップは、座板本体部の幅方向端部に取り付けられ、ガイドレールの凹部内に延出し、全閉時の開閉体本体の下端部と床面との間の隙間を塞ぐ閉塞部を有し、閉塞部は、この隙間を略塞ぐ形状の耐火性の遮蔽芯部と、遮蔽芯部の少なくとも閉鎖方向寄り部分を覆うとともに遮蔽芯部よりも軟質の材料から形成された被覆部とを有することを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
座板の構造として、座板の下面に座板緩衝材が設けられるものがある。座板の下面と床面との間に位置し、床面への接地時に座板緩衝材が変形することで隙間の発生を防ぐものである。この座板緩衝材によって、座板としての高さが変わることから、座板が接地した際、上述した座板キャップと床面との間に隙間が発生することとなる。すなわち、座板本体部の幅方向端部から閉塞部がガイドレール内に延出している構造であることから、閉塞部の下方には座板緩衝材の高さ分の空白部分が存在することになる。開閉体用の座板の構造では、このような隙間が発生すれば、光漏れによる意匠性の低下や虫害の発生が問題となる可能性がある。また、火災等が発生した場合には、火炎が隙間を介して開閉体の内外、つまり屋外から屋内や屋内から屋外へ火炎が通り抜ける虞もある。このため、接地時における座板の高さに追従して床面との間の隙間を塞ぐことができる開閉体用座板の構造が求められている。
【0005】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、開閉体が接地した際の漏れ光を遮蔽することによる意匠性の向上、隙間を塞ぐことによる防虫性の向上を実現させることができ、防火設備としての対応も可能とすることができる開閉体用座板の構造及び座板キャップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の開閉体用座板91の構造は、開口部13の幅方向両側でスリット43を対向させて上下に延在する一対のガイドレール45の前記スリット43に両側の縁部を挿入して前記開口部13の開閉が案内される開閉体17の最下端に、ガイドレール45間に位置して長尺の座板19が取り付けられ、前記座板19の水平部79における下面に長手方向に亘って座板緩衝材87が取り付けられる開閉体用座板91の構造であって、
前記座板19の長手方向両端にそれぞれ取り付けられる座板キャップ89を備え、
前記座板キャップ89は、
前記水平部79の長手方向端部80に被せられる端部被着部101と、
前記スリット43に挿入されるスリット挿入部103と、
前記スリット挿入部103と前記端部被着部101とに亘って設けられ前記座板緩衝材87と同等の長さで垂下し、かつ前記座板緩衝材87の端よりも中央側に延出して屋内外方向で前記座板緩衝材87と重なるキャップ緩衝材105と、
を具備することを特徴とする。
【0007】
この開閉体用座板91の構造では、開閉体17の最下端に、開口部13の幅方向に長尺の座板19が取り付けられる。座板19は、長手方向に直交する断面形状が、水平部79に垂直部(スラット固定部69)が起立した略逆T字形状となるため、ガイドレール45のスリット43に長手方向の端部80を嵌めることができない。金属製の座板19は、ガイドレール45の外部に配置されたままでは昇降時に振れて騒音を生じることがあるので、長手方向両端に樹脂製の座板キャップ89が取り付けられる。
座板19には、床面21との隙間を吸収するための座板緩衝材87が設けられる。座板緩衝材87は、座板19の床面21に対向する水平部79の下面に、座板19の長手方向に亘って取り付けられる。座板緩衝材87は、長手方向の両端が、座板19の長手方向両端とほぼ一致する全長となっている。
ここで、座板キャップ89の取り付けられた座板19の長手方向両端は、円滑な昇降性を確保するために、ガイドレール45との間に、クリアランスが必要となる。このため、座板19の長手方向端部80が終端となった座板緩衝材87と、ガイドレール45との間には、座板緩衝材87が不在となる分の隙間が空くことになる。また、座板緩衝材付き座板19の場合、接地時に座板緩衝材87が変形して座板19の高さが変わることから、座板19が接地した際における座板緩衝材87の変形具合によっては、座板キャップ89の下面と床面21との間に隙間が発生しやすくなる。
そこで、開閉体用座板91の構造では、座板キャップ89における水平部79の長手方向端部80に被せられる端部被着部101に、スリット43に挿入されるスリット挿入部103が設けられている。スリット挿入部103と端部被着部101とには、座板緩衝材87と同等の長さとなって同一の垂下位置に垂下するキャップ緩衝材105が設けられている。このキャップ緩衝材105は、ガイドレール45内から座板緩衝材87の端よりも開口部13の中央側に延出して屋内外方向で座板緩衝材87と重なるようにオーバーラップして設けられる。
キャップ緩衝材105は、座板緩衝材87と同一の垂下位置に垂下、つまり垂下長さを同じに設定しているので、座板緩衝材87が床面21に接地すれば、同様に床面21に接地する。すなわち、キャップ緩衝材105は、座板19の高さに追従して隙間を塞ぐことができる。また、キャップ緩衝材105は、座板緩衝材87の端よりも開口部13の中央側にガイドレール45内から延出するので、開口部13の幅方向においては、一方のガイドレール45の内側から他方のガイドレール45の内側まで途切れることなく座板緩衝材87とキャップ緩衝材105とで連続して配置されることになる。座板緩衝材87とキャップ緩衝材105とは、連続部分で互い違いになれば、屋内外を密閉状態としなくてもよい。これにより、開閉体17の屋内外方向で直線的に通じる隙間が開閉体17と床面21との間に空かなくなる。
したがって、光が隙間を通って屋内外に漏れることがなくなり、漏れ光が見えることによる意匠性の低下が生じない。また、座板緩衝材87とキャップ緩衝材105との連続部分では、互い違いになるので、虫の侵入も抑制できる。さらに、座板緩衝材87とキャップ緩衝材105とが互い違いになることで、耐火性の高い素材を使用することで、火災等による火炎が隙間を介して開閉体17の内外に通り抜けることも抑制できる。
【0008】
本発明の請求項2記載の開閉体用座板91の構造は、請求項1に記載の開閉体用座板91の構造であって、
前記座板緩衝材87と前記キャップ緩衝材105とが、中空部97を有して形成されることを特徴とする。
【0009】
この開閉体用座板91の構造では、座板緩衝材87とキャップ緩衝材105とが、中空部97を有して形成される。座板緩衝材87とキャップ緩衝材105とは、座板19、座板キャップ89に装着される装着部93と、装着部93から床面21に向かって垂下する緩衝材本体95とからなる。この緩衝材本体95は、変形部となる。緩衝材本体95は、座板19の長手方向に沿うチューブ状に形成される。このため、緩衝材本体95は、内部が上述の中空部97となる。
緩衝材本体95は、長手方向に直交する断面形状が、例えば縦長の略長円形状となる。緩衝材本体95の肉厚はほぼ均一であるので、中空部97も縦長の略長円形状となる。
緩衝材本体95は、座板19が下降して床面21との間で押し潰されると、屋外側と屋内側の双方に膨出して偏平に潰れる方向に変形する。すなわち、座板緩衝材87とキャップ緩衝材105とは、床面21の傾斜等により生じる虞のある隙間を緩衝材本体95が塞ぐように変形される。
【0010】
本発明の請求項3記載の開閉体用座板91の構造は、請求項1に記載の開閉体用座板91の構造であって、
前記キャップ緩衝材105が、モヘアであることを特徴とする。
【0011】
この開閉体用座板91の構造では、キャップ緩衝材105が、例えば建築資材用のモヘア、所謂建具モヘアである。モヘアは、ポリプロピレン繊維やナイロン繊維等の合成繊維を帯材に植毛した構造である。モヘアを用いたキャップ緩衝材105は、15~20mm程度の短繊維が多数植設され、短繊維自体の可撓性により変形、復元が可能となる。多数の短繊維が高密度に起立するので、キャップ緩衝材105としての遮光性等を高めることができる。
【0012】
本発明の請求項4記載の開閉体用座板91の構造は、請求項1~3のいずれか1つに記載の開閉体用座板91の構造であって、
前記キャップ緩衝材105の延出部121が、平行な一対の前記座板緩衝材87の間に配置されることを特徴とする。
【0013】
この開閉体用座板91の構造では、水平部79の下面には、平行な一対の座板緩衝材87が設けられる。すなわち、座板緩衝材87は、屋内外方向に二重に設けられる。キャップ緩衝材105は、座板19の長手方向端部80で終端となる一対の座板緩衝材87の間に、ガイドレール45内から延出して入り込む。キャップ緩衝材105の延出先端は、一対の座板緩衝材87の間に挟まれ、一部並列状態に位置することになる。すなわち、インロー状となる。これにより、座板緩衝材87が一つである場合に比べ、重なり部分が2箇所となり、重なり部分での遮光性を高め、またある程度の気密性や水密性も高めることができる。
【0014】
本発明の請求項5記載の座板キャップ89は、開口部13の幅方向両側でスリット43を対向させて上下に延在する一対のガイドレール45の前記スリット43に両側の縁部を挿入して前記開口部13の開閉が案内される開閉体17の最下端に、ガイドレール間に位置して長尺の座板19が取り付けられ、前記座板19の水平部79における下面に長手方向に亘って座板緩衝材87が取り付けられる開閉体用座板91の構造において、前記座板19の長手方向両端にそれぞれ取り付けられる座板キャップ89であって、
前記水平部79の長手方向端部80に被せられる端部被着部101と、前記スリット43に挿入れるスリット挿入部103と、前記スリット挿入部103と前記端部被着部101とに亘って設けられ前記座板緩衝材87と同等の長さで垂下し、かつ前記座板緩衝材87の端よりも中央側に延在して屋内外方向で前記座板緩衝材87と重なるキャップ緩衝材105と、
を具備することを特徴とする。
【0015】
この座板キャップ89では、被着対象が開閉体用座板91となる。開閉体用座板91の構造では、開閉体17の最下端に、開口部13の幅方向に長尺の座板19が取り付けられる。座板19は、長手方向に直交する断面形状が、水平部79に垂直部(スラット固定部69)が起立した略逆T字形状となるため、ガイドレール45のスリット43に長手方向の端部80を嵌めることができない。金属製の座板19は、ガイドレール45の外部に配置されたままでは昇降時に振れて騒音を生じることがあるので、長手方向両端に樹脂製の座板キャップ89が取り付けられる。
座板19には、床面21との隙間を吸収するための座板緩衝材87が設けられる。座板緩衝材87は、座板19の床面21に対向する水平部79の下面に、座板19の長手方向に亘って取り付けられる。座板緩衝材87は、長手方向の両端が、座板19の長手方向両端とほぼ一致する全長となる。
ここで、座板キャップ89の取り付けられた座板19の長手方向両端は、円滑な昇降性を確保するために、ガイドレール45との間に、クリアランスが必要となる。このため、座板19の長手方向端部80が終端となった座板緩衝材87と、ガイドレール45との間には、座板緩衝材87が不在となる分の隙間が空くことになる。また、座板緩衝材付き座板19の場合、接地時に座板緩衝材87が変形して座板19の高さが変わることから、座板19が接地した際における座板緩衝材87の変形具合によっては、座板キャップ89の下面と床面21との間に隙間が発生しやすくなる。
そこで、座板キャップ89では、水平部79の長手方向端部80に被せられる端部被着部101に、スリット43に挿入されるスリット挿入部103が設けられている。スリット挿入部103と端部被着部101とには、座板緩衝材87と同等の長さに垂下するキャップ緩衝材105が設けられている。このキャップ緩衝材105は、ガイドレール内から座板緩衝材87の端よりも開口部13の中央側に延出して屋内外方向で座板緩衝材87と重なるようにオーバーラップして設けられる。
キャップ緩衝材105は、座板緩衝材87と同等の長さとなって同一の垂下位置に垂下するので、座板緩衝材87が床面21に接地すれば、同様に床面21に接地する。すなわち、キャップ緩衝材105は、座板19の高さに追従して隙間を塞ぐことができる。また、キャップ緩衝材105は、座板緩衝材87の端よりも開口部13の中央側にガイドレール45内から延出するので、開口部13の幅方向においては、途切れることなく座板緩衝材87とキャップ緩衝材105とで連続して配置されることになる。座板緩衝材87とキャップ緩衝材105とは、連続部分で互い違いになれば、屋内外を密閉状態としなくてもよい。これにより、開閉体17の屋内外方向で直線的に通じる隙間が開閉体17と床面21との間に空かなくなる。
したがって、光が隙間を通り、屋内外に漏れることがなくなり、漏れ光が見えることによる意匠性の低下が生じない。また、座板緩衝材87とキャップ緩衝材105との連続部分では、互い違いになるので、虫の侵入も抑制できる。さらに、座板緩衝材87とキャップ緩衝材105とが互い違いになることで、耐火性の高い素材を使用することで、火炎が隙間を介して開閉体17の内外に通り抜けることも抑制できる。
【0016】
本発明の請求項6記載の座板キャップ89は、請求項5に記載の座板キャップ89であって、
前記座板緩衝材87と前記キャップ緩衝材105とが、中空部97を有して形成されることを特徴とする。
【0017】
この座板キャップ89では、作用が請求項2と同じとなる。
【0018】
本発明の請求項7記載の座板キャップ89は、請求項5に記載の座板キャップ89であって、
前記キャップ緩衝材105が、モヘアであることを特徴とする。
【0019】
この座板キャップ89では、作用が請求項3と同じとなる。
【0020】
本発明の請求項8記載の座板キャップ89は、請求項5~7のいずれか1つに記載の座板キャップ89であって、
前記キャップ緩衝材105の延出部121が、平行な一対の前記座板緩衝材87の間に配置されることを特徴とする。
【0021】
この座板キャップ89では、作用が請求項4と同じとなる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る請求項1記載の開閉体用座板の構造によれば、開閉体が接地した際の漏れ光を遮蔽することによる意匠性の向上、隙間を塞ぐことによる防虫性の向上を実現させることができ、防火設備としての対応も可能とすることができる。
【0023】
本発明に係る請求項2記載の開閉体用座板の構造によれば、開閉体閉鎖時に、座板緩衝材とキャップ緩衝材とが屋内外方向へ膨出するように変形方向の制御が可能となり、床面に対する緩衝材の密着性を高めることができる。
【0024】
本発明に係る請求項3記載の開閉体用座板の構造によれば、キャップ緩衝材において、隙間の大きさに応じた変形、復元性が確保でき、気密性、水密性の向上が可能となり、光漏れも抑制できる。
【0025】
本発明に係る請求項4記載の開閉体用座板の構造によれば、一対の座板緩衝材の間に、キャップ緩衝材の延出部が入り込むので、インロー状とすることができ、光漏れや虫害をより生じにくくできる。
【0026】
本発明に係る請求項5記載の座板キャップによれば、座板の長手方向端部に装着するのみで、開閉体が接地した際の漏れ光を遮蔽することによる意匠性の向上、隙間を塞ぐことによる防虫性の向上を実現させることができ、防火設備としての対応も可能とすることができる。
【0027】
本発明に係る請求項6記載の座板キャップによれば、請求項2と同じ効果を得ることができる。
【0028】
本発明に係る請求項7記載の座板キャップによれば、請求項3と同じ効果を得ることができる。
【0029】
本発明に係る請求項8記載の座板キャップによれば、請求項4と同じ効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本実施形態に係る開閉体用座板の構造を備えたシャッター装置の正面図である。
【
図2】床面に接地した開閉体における最下端の一端側を屋内から見た要部正面図である。
【
図5】座板緩衝材の変形状態を表した開閉体における最下端の要部側面図である。
【
図7】座板に装着される前の座板キャップを表す分解斜視図である。
【
図9】キャップ緩衝材がモヘアである変形例に係る座板キャップの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る開閉体用座板の構造を備えたシャッター装置11の正面図である。
本実施形態に係る開閉体用座板の構造は、開閉体17を用いて構造物の開口部13を開閉するシャッター装置11に好適に用いることができる。開閉体は、スチール製のスラット15を複数連結した一般的なシャッターカーテン17の他、パネル材を連結したカーテンとすることもできる。シャッターカーテン17は、座板19が床面21に接地することにより開口部13を閉鎖する。
【0032】
シャッター装置11は、開口部13を有する構造物の屋内23(
図3参照)または屋外25(
図3参照)の一方の壁面27(
図3参照)に固定される。本実施形態において、シャッター装置11は、屋内23の壁面27に取り付けられる。シャッター装置11は、壁面27に固定される左右一対のブラケット29に、シャッター収納部31が掛け渡されるように組み付けられる。シャッター収納部31には、ブラケット29に支持される一方の軸33に対して回転自在となってシャッターカーテン17を巻装する巻取シャフト35と、巻取シャフト35の他方の軸首37を回転して巻取シャフト35を正逆回転する開閉機39と、開閉機39を駆動制御する制御部41が収容される。
【0033】
開閉機39は、ギヤ機構により電動モータの回転数、トルクを調整して、巻取シャフト35を駆動する。電動モータの回転は、チェーン及びスプロケットを介して巻取シャフト35に伝達される。制御部41は、CPUを備えた電子回路である。制御部41には、例えば開口部13に臨む位置に設けられた不図示の信号発生機器(障害物感知センサー)と信号伝達部材(信号用電線)によって接続される。障害物感知センサーは、シャッターカーテン17の移動方向に存在する障害物を非接触感知する例えば、光電管センサーや光電変換素子センサー等である。制御部41は、障害物感知センサーや、図示しない操作スイッチ等からの信号を処理し、その処理結果に応じて開閉機39を制御する。
【0034】
シャッターカーテン17は、横長板状に形成した複数のスラット15を高さ方向に連結し、最下端にスラット15の長手方向に沿って取り付けられる長尺の座板19を有する。シャッターカーテン17は、開口部13の幅方向両側でスリット43(
図3参照)を対向させて上下に延在する一対のガイドレール45のスリット43に、両側の縁部を挿入して開口部13の開閉が案内される。座板19は、ガイドレール45には挿入されず、ガイドレール45間に位置する。
【0035】
図2は、床面21に接地した開閉体17における最下端の一端側を屋内23から見た要部正面図である。
シャッターカーテン17は、両側の縁部がガイドレール45に案内されて下降し、開口部13を閉鎖すると座板19が床面21に接地する。シャッターカーテン17は、所定の間隔ごとに配置されるスラット15の両端に、耐風フック47が取り付けられる。
【0036】
図3は、
図2のA-A断面図である。
耐風フック47は、ガイドレール45の内側に設けられる抜止レール部49に括れを係止することにより、ガイドレール45からの抜けが規制される。ガイドレール45は、取付枠51を介して壁面27に固定される。建物躯体53の壁面27は、仕上壁55により覆われる。ガイドレール45は、取付枠51と反対側の側面に収容部57とカバー59とからなる収容枠61が固定される。
【0037】
図4は、開閉体17における最下端の要部側面図である。
シャッターカーテン17は、同一断面形状のスラット15を上下に係合して構成される。スラット15は、上縁に上部係合部63、下縁に下部係合部65を有する。スラット15は、上段のスラット15における下部係合部65に、下段のスラット15における上部係合部63を係合することにより連結される。
【0038】
開閉体であるシャッターカーテン17の最下端には、連結板67が取り付けられる。連結板67は、スラット固定部69と、凹状溝部71と、が板金加工により折曲にて形成される。連結板67は、耐火材であるスチール、例えばステンレス鋼などを素材とする。連結板67は、スラット15の長手方向に沿って、ほぼスラット15と同一長の長尺で形成される。スラット固定部69は、最下端のスラット15における屋内側の面に、固定手段により固定される。固定手段は、シャッターカーテン17の屋外25から貫通するビス73と、ビス73の貫通先端に螺合される袋ナット75と、からなる。連結板67は、スラット固定部69が長手方向の複数箇所でスラット15に固定される。
【0039】
座板19は、スラット15の長手方向に直交する断面形状が略逆T字形状となる。座板19は、アルミ押出成形で造られる。アルミ製の座板19は、複雑な断面形状を高精度に成形した任意長さの軽量高強度な長尺形材として得ることができる。座板19は、連結板67の凹状溝部71における屋内側の凹状溝部背面に固定される固定片部77を上端に有する。固定片部77の下端は、床面21に平行となる水平部79(
図3参照)と接続する。水平部79は、固定片部77の屋外側が屋外側水平部81、固定片部77の屋内側が屋内側水平部83となる。
【0040】
座板19は、水平部79の下面に、座板19の長手方向に延在する一対の取付溝85(
図7参照)が形成される。一対の取付溝85は、開放された中空通し部である。それぞれの取付溝85には、座板19の着地時に床面21との間に挟まれて圧縮方向に弾性変形する座板緩衝材87が装着される。座板19は、水平部79における下面に長手方向に亘って取り付けられる。座板19には、長手方向両端のそれぞれに座板キャップ89が装着される。
【0041】
連結板67と、座板19と、座板キャップ89とは、開閉体用座板91を構成する。
【0042】
座板緩衝材87は、装着部93及び緩衝材本体95が、通しで成形される。座板緩衝材87は、緩衝材本体95が弾性変形可能に形成される。座板緩衝材87は、難燃性素材、好ましくはグレードV-0相当の樹脂材やゴム材よりなる。緩衝材本体95は、長手方向に直交する断面形状が、縦長の略長円形状となる。座板緩衝材87は、座板19の長手方向に沿う同一長さのチューブ状に形成される。このため、緩衝材本体95は、中空部97を有している。
【0043】
座板緩衝材87は、緩衝材本体95の肉厚がほぼ均一であるので、中空部97も縦長の略長円形状となる。中空部97の内面には、緩衝材本体95の変形を促進する複数の平行な小溝99(
図5参照)が形成されている。小溝99は、緩衝材本体95の長手方向に延在して通しで形成される。小溝99は、縦長の長円形となった中空部97における例えば上下の半円部の直径両端のそれぞれに合計4箇所で設けられる。
【0044】
図5は、座板緩衝材87の変形状態を表した開閉体17における最下端の要部側面図である。
緩衝材本体95は、座板19が下降して床面21との間で押し潰されると、内面の4箇所に設けられた谷状となった小溝99のそれぞれが、谷折りされる方向に変形する。これにより、緩衝材本体95は、屋外側と屋内側の双方に膨出して偏平に潰れる方向に変形する。すなわち、座板緩衝材87は、床面21の傾斜等により生じている隙間を緩衝材本体95が塞ぐように、小溝99によって変形制御されるようになっている。
【0045】
座板緩衝材87は、取付溝85に挿入される一部分に、緩衝材本体95と素材を変えて硬度の高い装着部93を一体的に有してなる。座板緩衝材87は、2色成形により、緩衝材本体95と装着部93を一体的に成形できる。座板緩衝材87は、例えば、装着部93の硬度を90°、緩衝材本体95の硬度を60~70°とすることができる。座板緩衝材87は、座板19の端に開口する取付溝85に差し入れて、取付溝85へ装着される。座板緩衝材87は、装着部93の硬度を高くすることにより、取付溝85への装着作業性を向上させている。
【0046】
図6は、座板キャップ89の斜視図である。
座板キャップ89は、水平部79の長手方向端部80に被せられる端部被着部101と、スリット43に挿入されるスリット挿入部103と、スリット挿入部103と端部被着部101とに亘って設けられるキャップ緩衝材105と、を備えている。座板キャップ89は、難燃性素材、好ましくはグレードV-0相当の樹脂材からなる。なお、座板キャップ89は、耐火性材料(スチール等)から形成される芯材の外面を樹脂製被覆材で覆うようにして一体的に構成されてもよい。
【0047】
端部被着部101は、スラット15の下部係合部65と、連結板67の凹状溝部71と、座板19の固定片部77と、を挟み入れて座板19の屋外側水平部81と、屋内側水平部83とを覆う一対の出隅被着部107が、挟入空間109を隔てて離間して設けられる。一対の出隅被着部107は、座板19の長手方向両端の端面111(
図7参照)を塞ぐ端面被覆部113によって連結される。端面被覆部113には、挟入空間109と反対側の面から突出してガイドレール45のスリット43に挿入されるスリット挿入部103が突設される。スリット挿入部103の上面には、座板19の長手方向に延びる凸条104が形成される。凸条104は、下部係合部65の内側に挿入される(
図5参照)。
【0048】
図7は、座板19に装着される前の座板キャップ89を表す分解斜視図である。
座板キャップ89は、一対の出隅被着部107を、座板19の屋外側水平部81と、屋内側水平部83とに嵌め入れるようにして座板19の長手方向端部80に装着される。座板キャップ89は、左右勝手がないので、同一のものを座板19両端のいずれにも取り付けが可能となる。座板19に装着された座板キャップ89は、スリット挿入部103がガイドレール45のスリット43に挿入されることになる(
図8参照)。
【0049】
出隅被着部107は、座板19の上面を覆う上面被覆部115と、座板19の屋内面及び屋外面を覆う正面被覆部117と、が垂直に交わって、それぞれが略L字状に形成される。上面被覆部115には、座板キャップ89を屋外側水平部81または屋内側水平部83に固定するためのキャップ固定穴119が穿設される。座板キャップ89は、キャップ固定穴119に挿通された固定ビス等(不図示)の固定手段により座板19に固定される。
【0050】
座板キャップ89は、スリット挿入部103のキャップ下面にキャップ緩衝材105を備える。本実施形態において、キャップ緩衝材105は、座板緩衝材87と同一のものである。キャップ緩衝材105は、座板緩衝材87を所定の長さに切断して用いることができる。スリット挿入部103のキャップ下面には、座板19の下面に形成される取付溝85と同一形状の取付溝85が形成される。座板キャップ89は、座板19の長手方向端部80に挿入固定された状態で、キャップ下面に形成された取付溝85が、座板19の取付溝85と床面21からの高さが同一となる。このため、キャップ下面の取付溝85に装着されたキャップ緩衝材105は、座板緩衝材87と同等の長さで垂下し同一の垂下位置となる(
図4参照)。
【0051】
図8は、
図2のB-B断面図である。なお、
図8中の網掛けハッチング部は変形した座板緩衝材87、キャップ緩衝材105を示す。
スリット挿入部103のキャップ下面に装着されたキャップ緩衝材105は、ガイドレール45内から座板19に向かって延在する。キャップ緩衝材105は、座板19に装着された座板緩衝材87の端よりも、座板19の長手方向中央側(開口部13の中央側)に延出して、屋内外方向で座板緩衝材87と重なるように配置される。すなわち、座板緩衝材87の全長をWとしたとき、キャップ緩衝材105の全長Lは、座板19とガイドレール45とのクリアランスCと、座板緩衝材87との重ね代Kとを含んで設定され、一部並列するように配置されている。キャップ緩衝材105は、重ね代Kとなる部分が延出部121となる。
【0052】
また、本実施形態において、座板緩衝材87が平行な一対で設けられている。キャップ緩衝材105は、延出部121が、平行な一対の座板緩衝材87の中間位置に配置されている。
【0053】
図9は、キャップ緩衝材105がモヘアである変形例に係る座板キャップ123の斜視図である。
なお、座板キャップ123は、キャップ緩衝材105が、モヘアであってもよい。この場合においても、モヘアは、座板19の座板緩衝材87と同等の長さに垂下し同一の垂下位置とされ、座板19の長手方向中央側に延出して、屋内外方向で座板緩衝材87と重なるように配置される。モヘアは、例えば建築資材用のモヘア、所謂建具モヘアよりなり、ポリプロピレン繊維やナイロン繊維等の合成繊維を帯材に植毛した構造である。モヘアを構成する繊維は、15~20mm程度の短繊維が多数植設され、短繊維自体の可撓性により変形、復元が可能となる。また、モヘアは、難燃性素材、好ましくはグレードV-0相当の樹脂材であることが好ましい。
【0054】
次に、上記した構成の作用を説明する。
【0055】
本実施形態に係る開閉体用座板の構造では、シャッターカーテン17の最下端に、開口部13の幅方向に長尺の座板19が取り付けられる。座板19は、長手方向に直交する断面形状が、水平部79に垂直部(スラット固定部69)が起立した略逆T字形状となるため、ガイドレール45のスリット43に長手方向の端部80を嵌めることができない。金属製の座板19は、ガイドレール45の外部に配置されたままでは昇降時に振れて騒音を生じることがあるので、長手方向両端に樹脂製の座板キャップ89が取り付けられる。
【0056】
座板19には、床面21との隙間を吸収するための座板緩衝材87が設けられる。座板緩衝材87は、座板19の床面21に対向する水平部79の下面に、座板19の長手方向に亘って取り付けられる。座板緩衝材87は、長手方向の両端が、座板19の長手方向両端とほぼ一致する全長Wとなっている。
【0057】
ここで、座板キャップ89の取り付けられた座板19の長手方向両端は、
図2に示すように、円滑な昇降性を確保するために、ガイドレール45との間に、クリアランスが必要となる。このため、座板19の長手方向端部80が終端となった座板緩衝材87と、ガイドレール45との間には、座板緩衝材87が不在となる分の未閉鎖部Mが生じることになる。未閉鎖部Mは、クリアランスCの間隔とほぼ等しい。また、座板緩衝材付き座板19の場合、接地時に座板緩衝材87が変形して座板19の床面21からの高さが変わることから、座板19が接地した際における座板緩衝材87の変形具合によっては、座板キャップ89の下面と床面21との間に隙間Sが発生しやすくなる。
【0058】
そこで、開閉体用座板の構造では、座板キャップ89における水平部79の長手方向端部80に被せられる端部被着部101に、ガイドレール45のスリット43に挿入されるスリット挿入部103が設けられている。スリット挿入部103と端部被着部101とには、座板緩衝材87と同等の長さに垂下し同一の垂下位置にとなるキャップ緩衝材105が設けられている。このキャップ緩衝材105は、ガイドレール45内から座板緩衝材87の端よりも開口部13の中央側に延出して屋内外方向で座板緩衝材87と重なるようにオーバーラップして設けられる。
【0059】
キャップ緩衝材105は、座板緩衝材87と同一の垂下位置に垂下するので、座板緩衝材87が床面21に接地すれば、同様に床面21に接地する。すなわち、キャップ緩衝材105は、座板19の高さに追従して床面21との隙間Sを塞ぐことができる。また、キャップ緩衝材105は、座板緩衝材87の端よりも開口部13の中央側にガイドレール45内から延出するので、開口部13の幅方向においては、途切れることなく座板緩衝材87に連続して配置されることになる。つまり、未閉鎖部Mもしっかりと閉鎖することができる。座板緩衝材87とキャップ緩衝材105とは、連続部分で互い違いになれば、屋内外を密閉状態としなくてもよい。これにより、シャッターカーテン17の屋内外方向で直線的に通じるクリアランスCの間での隙間Sが生じなくなる。
【0060】
したがって、光が隙間を通り、屋内外に漏れることがなくなり、漏れ光が見えることによる意匠性の低下が生じない。また、座板緩衝材87とキャップ緩衝材105との連続部分では、互い違いになるので、虫の侵入も抑制できる。さらに、座板緩衝材87とキャップ緩衝材105とが互い違いになることで、これらに耐火性の高い素材を使用することで、火災などによる火炎が隙間を介してシャッターカーテン17の内外に通り抜けることも抑制できる。
【0061】
この開閉体用座板の構造では、座板緩衝材87とキャップ緩衝材105とが、中空部97を有して形成される。座板緩衝材87とキャップ緩衝材105とは、座板19、座板キャップ89に装着される装着部93と、装着部93から床面21に向かって垂下する緩衝材本体95とからなる。この緩衝材本体95は、変形部となる。緩衝材本体95は、座板19の長手方向に沿うチューブ状に形成される。このため、緩衝材本体95は、内部が上述の中空部97となる。
【0062】
また、緩衝材本体95は、長手方向に直交する断面形状が、例えば縦長の略長円形状となる。緩衝材本体95の肉厚はほぼ均一であるので、中空部97も縦長の略長円形状となる。
【0063】
緩衝材本体95は、座板19が下降して床面21との間で押し潰されると、屋外側と屋内側の双方に膨出して偏平に潰れる方向に変形する。すなわち、座板緩衝材87とキャップ緩衝材105とは、床面21の傾斜等により生じている隙間を緩衝材本体95が塞ぐように変形される。その結果、開閉体閉鎖時に、座板緩衝材87とキャップ緩衝材105とが屋内外方向へ膨出するように変形方向の制御が可能となり、床面21に対する座板緩衝材87の密着性を高めることができる。
【0064】
この開閉体用座板の構造では、キャップ緩衝材105が、例えば建築資材用のモヘアである。モヘアには、ポリプロピレン繊維やナイロン繊維等の合成繊維を用いることができる。モヘアを用いたキャップ緩衝材105は、短繊維が多数植設され、短繊維の可撓性により変形、復元が可能となる。多数の短繊維が高密度に起立するので、キャップ緩衝材105の遮光性を高めることができる。その結果、キャップ緩衝材105において、隙間の大きさに応じた変形、復元性が確保でき、光漏れを抑制できる。
【0065】
この開閉体用座板の構造では、水平部79の下面には、平行な一対の座板緩衝材87が設けられる。すなわち、座板緩衝材87は、屋内外方向に二重に設けられる。キャップ緩衝材105は、座板19の長手方向端部80で終端となる一対の座板緩衝材87の間に、ガイドレール45内から延出して入り込む。キャップ緩衝材105の延出先端は、一対の座板緩衝材87の間に挟まれ、一部が並列な状態に配置することになる。すなわち、インロー状となる。これにより、座板緩衝材87が一つである場合に比べ、重なり部分が2箇所となり、重なり部分での遮光性を高め、またある程度の気密性や水密性も高めることができる。その結果、一対の座板緩衝材87の間に、キャップ緩衝材105の延出部121が入り込むので、インロー状とすることができ、光漏れや虫害をより生じにくくできる。
【0066】
本実施形態に係る座板キャップ89では、被着対象が開閉体用座板91となる。開閉体用座板の構造では、シャッターカーテン17の最下端に、開口部13の幅方向に長尺の座板19が取り付けられる。座板19は、長手方向に直交する断面形状が、水平部79に垂直部(スラット固定部69)が起立した略逆T字形状となるため、ガイドレール45のスリット43に長手方向の端部80を挿入することができない。金属製の座板19は、ガイドレール45の外部に配置されたままでは昇降時に振れて騒音を生じることがあるので、長手方向両端に樹脂製の座板キャップ89が取り付けられる。
【0067】
座板19には、床面21との隙間を吸収するための座板緩衝材87が設けられる。座板緩衝材87は、座板19の床面21に対向する水平部79の下面に、座板19の長手方向に亘って取り付けられる。座板緩衝材87は、長手方向の両端が、座板19の長手方向両端とほぼ一致する全長Wとなる。
【0068】
ここで、座板キャップ89の取り付けられた座板19の長手方向両端は、
図2に示すように、円滑な昇降性を確保するために、ガイドレール45との間に、クリアランスが必要となる。このため、座板19の長手方向端部80が終端となった座板緩衝材87と、ガイドレール45との間には、座板緩衝材87が不在となる分の未閉鎖部Mが生じることになる。未閉鎖部Mは、クリアランスCの間隔とほぼ等しい。また、座板緩衝材付き座板19の場合、接地時に座板緩衝材87が変形して座板19の高さが変わることから、座板19が接地した際における座板緩衝材87の変形具合によっては、座板キャップ89の下面と床面21との間に隙間Sが発生しやすくなる。
【0069】
そこで、座板キャップ89では、水平部79の長手方向端部80に被せられる端部被着部101に、スリット43に挿入されるスリット挿入部103が設けられている。スリット挿入部103と端部被着部101とには、座板緩衝材87と同等の長さに垂下し同一の垂下位置となるキャップ緩衝材105が設けられている。このキャップ緩衝材105は、ガイドレール45内から座板緩衝材87の端よりも開口部13の中央側に延出して屋内外方向で座板緩衝材87と重なるようにオーバーラップして設けられる。
【0070】
キャップ緩衝材105は、座板緩衝材87と同一の垂下位置に垂下するので、座板緩衝材87が床面21に接地すれば、同様に床面21に接地する。すなわち、キャップ緩衝材105は、座板19の高さに追従して隙間Sを塞ぐことができる。また、キャップ緩衝材105は、座板緩衝材87の端よりも開口部13の中央側にガイドレール45内から延出するので、開口部13の幅方向においては、途切れることなく座板緩衝材87に連続して配置されることになる。つまり、未閉鎖部Mもしっかりと閉鎖することができる。座板緩衝材87とキャップ緩衝材105とは、連続部分で互い違いになれば、屋内外を密閉状態としなくてもよい。これにより、シャッターカーテン17の屋内外方向で直線的に通じるクリアランスCの間での隙間Sが生じなくなる。
【0071】
このように、座板キャップ89では、光が隙間を通り、屋内外に漏れることがなくなり、漏れ光が見えることによる意匠性の低下が生じない。また、座板緩衝材87とキャップ緩衝材105との連続部分では、互い違いになるので、虫の侵入も抑制できる。さらに、座板緩衝材87とキャップ緩衝材105とが互い違いになることで、これらに耐火性の高い素材を使用することで、火炎が隙間を介してシャッターカーテン17の内外に通り抜けることも抑制できる。
【0072】
なお、上述した実施形態において、座板緩衝材87の緩衝材本体95の長手方向に直交する断面形状を、縦長の略長円形状とし中空部97を有する構成として説明したが、この緩衝材本体95の断面形状は、これに限ることはなく、接地時に変形し、その変形によって隙間Sを塞ぐものであれば、その他の形状でも良く、例えば、多角形状や、側方が開口した断面略C字形状などとして構成してもよい。また、座板緩衝材87において、装着部93と緩衝材本体95とを素材を変えて成形する例を説明したが、硬度が均一な、例えば硬度70°とした素材で成形することとしてもよく、或いは複数種の硬度の素材を組み合わせて成形するものであってもよい。さらに、キャップ緩衝材105においても、同様にその断面形状については、上記した実施形態のような略長円形状に限定されるものではなく、また、モヘアにより構成された例についても一例であって、その他の構成部材、構成素材にて、或いはそれらを組み合わせた構成としてもよく、座板19が接地した際における座板キャップ89の下面と床面21との間に生じる隙間S、クリアランスCを塞ぐ部材であれば良い。なお、好ましくは、その素材が難燃性素材であるとよい。
【0073】
したがって、本実施形態に係る開閉体用座板の構造によれば、シャッターカーテン17が接地した際の漏れ光を遮蔽することによる意匠性の向上、隙間を塞ぐことによる防虫性の向上を実現させることができ、防火設備としての対応も可能とすることができる。
【0074】
また、本実施形態に係る座板キャップ89によれば、座板19の長手方向端部80に装着するのみで、シャッターカーテン17が接地した際の漏れ光を遮蔽することによる意匠性の向上、隙間を塞ぐことによる防虫性の向上を実現させることができ、防火設備としての対応も可能とすることができる。
【符号の説明】
【0075】
13…開口部
17…開閉体(シャッターカーテン)
19…座板
43…スリット
45…ガイドレール
79…水平部
80…長手方向端部
87…座板緩衝材
89…座板キャップ
91…開閉体用座板
97…中空部
101…端部被着部
103…スリット挿入部
105…キャップ緩衝材
121…延出部
123…座板キャップ