(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077194
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】アンテナ補正システム
(51)【国際特許分類】
H01Q 3/26 20060101AFI20240531BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
H01Q3/26 Z
H01Q21/06
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189114
(22)【出願日】2022-11-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】501243317
【氏名又は名称】耀登科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100131657
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 律次
(72)【発明者】
【氏名】許 永泰
(72)【発明者】
【氏名】趙 君恒
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲ヤンウェイ▼
(72)【発明者】
【氏名】朱 柏語
【テーマコード(参考)】
5J021
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J021AA09
5J021DB01
5J021EA05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数のアンテナ信号の位相及び振幅等のパラメータを目標値に設定するためのアンテナ補正システムを提供する。
【解決手段】アンテナ補正システムは、複数のアンテナユニットによってそれぞれ発信または受信されるアンテナ信号の振幅を互いに比較し、そのうちの1つの振幅を目標振幅として選択し、目標振幅に応じて、各アンテナ信号の振幅を補正する。その結果、アンテナ信号の振幅は、互いに同じか、または互いに近似したものとなる。さらに、アンテナ信号の振幅が補正された後、アンテナ補正システムは、アンテナ信号の位相を互いに比較し、そのうちの1つを目標位相として選択し、目標位相に従って、各アンテナ信号の位相を補正する。その結果、アンテナ信号の位相は、互いに同じになるか、または互いに近似したものになる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナユニットのそれぞれによるアンテナ信号を測定し、前記アンテナ信号のパラメータをそれぞれ取得するように構成された信号測定器と、
前記信号測定器に接続され、前記アンテナ信号のパラメータを互いに比較して、前記アンテナ信号のパラメータのうちの1つを目標値として選択するように構成される、目標値決定部と、
前記目標値決定部に接続され、前記アンテナ信号のパラメータと前記目標値との間の差がパラメータ差閾値より小さいかまたはパラメータ差閾値範囲内に入るように、前記目標値に従って前記アンテナ信号のパラメータをそれぞれ補正することで、前記アンテナ信号のパラメータ同士の差が、前記パラメータ差閾値より小さいまたは前記パラメータ差閾値範囲内に入るようにする、パラメータ補正部と、
を具備する、ことを特徴とする、
アンテナ補正システム。
【請求項2】
前記信号測定器は、前記複数のアンテナユニットによる周波数が同じのアンテナ信号をそれぞれ測定し、前記測定は複数回行って、毎回で設定する周波数は相違であり、
前記目標値決定部は、前記同じ周波数を有するアンテナ信号による前記アンテナ信号のパラメータのうちの1つを、同じ周波数を有する前記アンテナ信号の前記目標値として取り扱う、
請求項1に記載のアンテナ補正システム。
【請求項3】
前記複数のアンテナユニットは、前記複数のアンテナ信号をそれぞれ発信するように構成された複数の信号発信器を含む、
請求項1に記載のアンテナ補正システム。
【請求項4】
前記複数のアンテナユニットは、前記複数のアンテナ信号をそれぞれ受信するように構成された複数の信号受信器を含む、
請求項1に記載のアンテナ補正システム。
【請求項5】
前記複数のアンテナユニットは、複数の信号発信器と複数の信号受信器とを含み、前記複数の信号発信器は複数のアンテナ発信信号を発信し、前記複数の信号受信器が複数のアンテナ受信信号を受信し、前記複数のアンテナ信号は前記複数のアンテナ発信信号と前記複数のアンテナ受信信号を含む、
請求項1に記載のアンテナ補正システム。
【請求項6】
前記目標値決定部は、前記複数のアンテナ信号の複数のパラメータを互いに比較して、前記複数のパラメータのうち最も頻繁に現れる値を前記目標値として選択する、
請求項1に記載のアンテナ補正システム。
【請求項7】
前記目標値決定部は、複数のパラメータ基準範囲を設定し、前記目標値決定部は、前記複数のパラメータ基準範囲のうち、最も多い前記複数のパラメータが入るものを目標範囲として選択し、前記目標範囲内に入る前記パラメータを前記目標値として取得する、
請求項1に記載のアンテナ補正システム。
【請求項8】
前記目標値決定部は、前記目標範囲に入る全てのパラメータの平均値を前記目標値とする、
請求項7に記載のアンテナ補正システム。
【請求項9】
前記信号測定器によって取得された複数の前記パラメータは、前記アンテナ信号の振幅および位相を含み、前記目標値決定部は、前記複数のアンテナ信号の振幅のうちの1つを目標振幅として、前記複数のアンテナ信号の位相のうちの1つを目標位相として選択し、前記パラメータ補正部は、各前記アンテナ信号の振幅を前記目標振幅に従って補正した後、各前記複数のアンテナ信号の位相を前記目標位相に従って補正する、
請求項1に記載のアンテナ補正システム。
【請求項10】
前記信号測定器は、前記複数のアンテナ信号の位相をそれぞれ測定し、前記複数のアンテナ信号同士の位相差を測定し、前記信号測定器が測定するパラメータは、前記アンテナ信号のそれぞれの位相および前記アンテナ信号同士の位相差を含む、
請求項1に記載のアンテナ補正システム。
【請求項11】
前記目標値決定部は、前記信号測定器に接続された目標位相決定部を含み、前記目標位相決定部は、前記アンテナ信号同士の位相差を比較して、他のアンテナ信号との位相差が最も小さいアンテナ信号を抽出し、当該アンテナの位相を目標位相とする、
請求項10に記載のアンテナ補正システム。
【請求項12】
前記パラメータ補正部は、前記目標位相決定部に接続された位相補正部を含み、前記位相補正部は、前記目標位相に応じて前記複数のアンテナ信号の各々の位相を補正する、
請求項11に記載のアンテナ補正システム。
【請求項13】
前記信号測定器は、前記複数のアンテナ信号のそれぞれの振幅を測定し、前記信号測定器が測定する前記複数のパラメータは、前記複数のアンテナ信号のそれぞれの振幅を含む、
請求項1に記載のアンテナ補正システム。
【請求項14】
前記目標値決定部は、前記信号測定器に接続された目標振幅決定部を含み、前記目標振幅決定部は、前記複数のアンテナ信号の複数の振幅を互いに比較して、前記複数のアンテナ信号の複数の振幅のうちの1つを目標振幅として選択する、
請求項13に記載のアンテナ補正システム。
【請求項15】
前記パラメータ補正部は、前記目標振幅決定部に接続された振幅補正部を含み、前記振幅補正部は、前記目標振幅に応じて前記複数のアンテナ信号の各々の振幅を補正する、
請求項14に記載のアンテナ補正システム。
【請求項16】
前記複数のアンテナユニットは、アレイ状に配置されている、
請求項1に記載のアンテナ補正システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナに関し、特に、アンテナ補正システムに関する。
【背景技術】
【0002】
アンテナは、通信システムにおいて必要不可欠な部品である。複数のアンテナユニットが同一基板上にアレイ状に配置されている場合がある。アレイ状に配置されたアンテナユニットは、互いに独立したアンテナユニットである。複数のアンテナユニットによってそれぞれ発信または受信される複数の信号は、異なる振幅および異なる位相などのパラメータを有する場合がある。このような条件下では、複数のアンテナユニットの複数の信号が互いに同一または近似するように、複数のアンテナユニットの複数の信号の振幅および位相などのパラメータを補正する必要がある。
【発明の概要】
【0003】
上記技術的不備に対応するため、本発明は、アンテナ補正システムを提供する。複数のアンテナユニットのそれぞれによるアンテナ信号を測定し、前記アンテナ信号のパラメータをそれぞれ取得するように構成された信号測定器と、前記信号測定器に接続され、前記アンテナ信号のパラメータを互いに比較して、前記アンテナ信号のパラメータのうちの1つを目標値として選択するように構成される、目標値決定部と、前記目標値決定部に接続され、前記アンテナ信号のパラメータと前記目標値との間の差がパラメータ差閾値より小さいかまたはパラメータ差閾値範囲内に入るように、前記目標値に従って前記アンテナ信号のパラメータをそれぞれ補正することで、前記アンテナ信号のパラメータ同士の差が、前記パラメータ差閾値より小さいまたは前記パラメータ差閾値範囲内に入るようにする、パラメータ補正部と、を具備する。
【0004】
特定の実施形態では、前記信号測定器は、前記複数のアンテナユニットによる周波数が同じのアンテナ信号をそれぞれ測定し、前記測定は複数回行って、毎回で設定する周波数は相違であり、前記目標値決定部は、前記同じ周波数を有するアンテナ信号による前記アンテナ信号のパラメータのうちの1つを、同じ周波数を有する前記アンテナ信号の前記目標値として取り扱う。
【0005】
特定の実施形態では、前記複数のアンテナユニットは、前記複数のアンテナ信号をそれぞれ発信するように構成された複数の信号発信器を含む。
【0006】
特定の実施形態では、前記複数のアンテナユニットは、前記複数のアンテナ信号をそれぞれ受信するように構成された複数の信号受信器を含む。
【0007】
特定の実施形態において、前記複数のアンテナユニットは、複数の信号発信器と複数の信号受信器とを含み、前記複数の信号発信器は複数のアンテナ発信信号を発信し、前記複数の信号受信器が複数のアンテナ受信信号を受信し、前記複数のアンテナ信号は前記複数のアンテナ発信信号と前記複数のアンテナ受信信号を含む。
【0008】
特定の実施形態において、前記目標値決定部は、前記複数のアンテナ信号の複数のパラメータを互いに比較して、前記複数のパラメータのうち最も頻繁に現れる値を前記目標値として選択する。
【0009】
特定の実施形態では、前記目標値決定部は、複数のパラメータ基準範囲を設定し、前記目標値決定部は、前記複数のパラメータ基準範囲のうち、最も多い前記複数のパラメータが入るものを目標範囲として選択し、前記目標範囲内に入る前記パラメータを前記目標値として取得する。
【0010】
特定の実施形態では、前記目標値決定部は、前記目標範囲に入る全てのパラメータの平均値を前記目標値とする。
【0011】
特定の実施形態において、前記信号測定器によって取得された複数の前記パラメータは、前記アンテナ信号の振幅および位相を含む。目標値決定部は、前記複数のアンテナ信号の振幅のうちの1つを目標振幅として、前記複数のアンテナ信号の位相のうちの1つを目標位相として選択し、前記パラメータ補正部は、各前記アンテナ信号の振幅を前記目標振幅に従って補正した後、各前記複数のアンテナ信号の位相を前記目標位相に従って補正する。
【0012】
特定の実施形態において、前記信号測定器は、前記複数のアンテナ信号の位相をそれぞれ測定し、前記複数のアンテナ信号同士の位相差を測定し、前記信号測定器が測定するパラメータは、前記アンテナ信号のそれぞれの位相および前記アンテナ信号同士の位相差を含む。
【0013】
特定の実施形態において、前記目標値決定部は、前記信号測定器に接続された目標位相決定部を含み、前記目標位相決定部は、前記アンテナ信号同士の位相差を比較することによって、他のアンテナ信号との位相差が最も小さいアンテナ信号を抽出し、当該アンテナの位相を目標位相とする。
【0014】
特定の実施形態では、前記パラメータ補正部は、前記目標位相決定部に接続された位相補正部を含み、前記位相補正部は、前記目標位相に応じて前記複数のアンテナ信号の各々の位相を補正する。
【0015】
特定の実施形態では、前記信号測定器は、前記複数のアンテナ信号のそれぞれの振幅を測定し、前記信号測定器が測定する前記複数のパラメータは、前記複数のアンテナ信号のそれぞれの振幅を含む。
【0016】
特定の実施形態では、前記目標値決定部は、前記信号測定器に接続された目標振幅決定部を含み、前記目標振幅決定部は、前記複数のアンテナ信号の複数の振幅を互いに比較して、前記複数のアンテナ信号の複数の振幅のうちの1つを目標振幅として選択する。
【0017】
特定の実施形態では、前記パラメータ補正部は、前記目標振幅決定部に接続された振幅補正部を含み、前記振幅補正部は、前記目標振幅に応じて前記複数のアンテナ信号の各々の振幅を補正する。
【0018】
特定の実施形態において、前記複数のアンテナユニットは、アレイ状に配置されている。
【0019】
以上説明したように、本発明は、アンテナ補正システムを提供する。本発明のアンテナ補正システムは、同一基板上に配置され、又は同一グループ内に分類される複数のアンテナユニットが発信又は受信する複数のアンテナ信号を補正することができる。したがって、本発明のアンテナ補正システムを用いることで、同一基板上に配置されている、又は、同一グループに分類されている複数のアンテナユニットが同一時間間隔内に発信又は受信する複数のアンテナ信号の位相及び振幅等のパラメータは、互いに(略)等しくなる。
【0020】
本発明の特徴と技術的内容をよりよく理解するため、以下の本発明に関する詳細な説明と図面を参照されたい。ただし、提供する図面は参考及び説明のため用いるに過ぎず、本発明を限定するためのものではない。記載された実施形態は、以下の説明および添付の図面を参照することによってよりよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号の位相を補正するアンテナ補正システムのブロック図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態に係る複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号の振幅を補正するアンテナ補正システムのブロック図である。
【
図3】本発明の第3の実施形態に係る複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号の位相及び振幅を補正するアンテナ補正方法のフローチャート図である。
【
図4】本発明の第4の実施形態に係るアンテナ補正システムによって補正されるアレイ状に配置された複数の信号発信器の模式図である。
【
図5】本発明の第5の実施形態に係るアンテナ補正システムによって補正されるアレイ状に配置された複数の信号受信器の模式図である。
【
図6】本発明の第6の実施形態に係るアンテナ補正システムにより補正されるアレイ状に配置された複数の信号発信器及び複数の信号受信器を示す模式図である。
【
図7】本発明の第7の実施形態に係るアンテナ補正システムによって補正されない、周波数が異なる複数のアンテナ信号の複数の振幅を示す模式図である。
【
図8】本発明の第7の実施形態に係るアンテナ補正システムによって補正される、異なる周波数を有する複数のアンテナ信号の複数の振幅を示す模式図である。
【
図9】本発明の第8の実施形態に係るアンテナ補正システムによって補正されない、周波数が異なる複数のアンテナ信号の複数の位相を示す模式図である。
【
図10】本発明の第8の実施形態に係るアンテナ補正システムにより補正される、異なる周波数を有する複数のアンテナ信号の複数の位相の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
下記より、具体的な実施例で本発明に係る実施形態を説明する。当業者は本明細書の公開内容により本発明のメリット及び効果を理解し得る。本発明は他の異なる実施形態により実行又は応用できる。本明細書における各細節も様々な観点又は応用に基づいて、本発明の精神逸脱しない限りに、均等の変形と変更を行うことができる。また、本発明の図面は簡単で模式的に説明するためのものであり、実際的な寸法を示すものではない。以下の実施形態において、さらに本発明に係る技術事項を説明するが、公開された内容は本発明を限定するものではない。
【0023】
本発明の第1の実施形態による、複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号の位相を補正するアンテナ補正システムのブロック図である
図1を参照する。
【0024】
本発明のアンテナ補正システムは、信号測定器10と、目標値決定部と、パラメータ補正部とを含んでもよい。本実施の形態では、目標値決定部は、
図1に示す目標位相決定部21を含み、パラメータ補正部は、
図1に示す位相補正部22を含む。
【0025】
図1に示すように、目標値決定部に含まれる目標位相決定部21は、信号測定器10とパラメータ補正部に含まれる位相補正部22とに接続されていてもよい。
【0026】
信号測定器10は、複数のアンテナユニットがそれぞれ受信または発信する複数のアンテナ信号を測定して、複数のアンテナ信号の複数のパラメータをそれぞれ取得するように構成されてもよい。本実施形態において、信号測定器10が測定する複数のパラメータは、複数のアンテナ信号の各々の位相と、複数のアンテナ信号の各々の2つのものの間の位相差とを含む。
【0027】
そして、目標値決定部は、複数のアンテナ信号による複数のパラメータを互いに比較し、複数のアンテナ信号の複数のパラメータのうちの1つを目標値として選択する。本実施の形態では、
図1に示すように、目標値決定部に含まれる目標位相決定部21は、複数のアンテナ信号のそれぞれの2つのものの間の位相差を、複数のアンテナ信号の他の2つのものの間の位相差と比較する。目標位相決定部21は、複数のアンテナ信号間の位相差に応じて、複数のアンテナ信号のうち、どのアンテナ信号と他のアンテナとの位相差が最も小さいかを決定する。その決定に従って、目標位相決定部21は、複数のアンテナ信号のうちの1つを選択し、当該アンテナ信号の位相を目標位相(目標値である)として用いる。
【0028】
あるいは、
図1に示す目標位相決定部21は、複数のアンテナ信号の複数の位相のうちの1つを目標位相としてランダムに選択してもよい。
【0029】
最後に、パラメータ補正部は、目標値に従って、複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号の複数のパラメータの各々を補正してもよい。その結果、補正された複数のアンテナ信号のパラメータのそれぞれと目標値との差は、パラメータ差閾値よりも小さくなる、またはパラメータ差閾値範囲に収まる。したがって、複数のアンテナ信号の補正されたパラメータの各2つの間の差は、パラメータ差閾値よりも小さいか、またはパラメータ差閾値の範囲内に収まる。
【0030】
本実施形態では、
図1に示すように、パラメータ補正部に含まれる位相補正部22は、目標位相決定部21によって選択された目標位相に従って、複数のアンテナ信号の複数の位相の各々を補正する。その結果、補正された複数のアンテナ信号の位相のそれぞれと目標位相との間の位相差は、位相差閾値よりも小さいか、位相差閾値範囲に収まる。したがって、複数のアンテナ信号の複数の位相のうちの各2つの位相の間の差は、位相差閾値よりも小さく、または位相差閾値範囲内に収まる。
【0031】
実施形態では、複数のアンテナ信号の補正された位相の各々は、目標位相に近似し、目標位相をわずかにリードし又はわずかにラグしているが、本発明は、これに限定されない。実際には、複数のアンテナ信号の補正後の位相のそれぞれは、目標位相と一致していてもよい。
【0032】
すなわち、目標位相決定部21は、複数のアンテナユニットのうちの1つを基準アンテナとして選択し、その基準アンテナの位相を目標位相とする。そして、位相補正部22は、目標位相に応じて、複数のアンテナ信号の各々の補正後の位相が目標位相に(ほぼ)一致するように、基準アンテナを除く複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号の位相の全て又は一部を補正する。
【0033】
また、必要に応じて、位相補正部22によって複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号の複数の位相が補正された後、信号測定器10は、複数のアンテナ信号の各々の位相及び複数のアンテナ信号の各々の2つの間の位相差を測定し、複数のアンテナ信号の複数の位相が正常に補正されたか否かを判断してもよい。
【0034】
本発明の第2の実施形態による、複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号の振幅を補正するアンテナ補正システムのブロック図である
図2を参照する。
【0035】
本発明のアンテナ補正システムは、信号測定器10と、目標値決定部と、パラメータ補正部とを含んでもよい。本実施の形態では、目標値決定部は、
図2に示す目標振幅決定部31を含み、パラメータ補正部は、
図2に示す振幅補正部32を含む。
【0036】
図2に示すように、目標値決定部の目標振幅決定部31は、信号測定器10とパラメータ補正部に含まれる振幅補正部32に接続されている。
【0037】
信号測定器10は、複数のアンテナユニットによってそれぞれ受信又は発信される複数のアンテナ信号を測定して、複数のアンテナ信号の複数のパラメータをそれぞれ取得してもよい。本実施の形態では、信号測定器10が測定する複数のパラメータは、複数のアンテナ信号の複数の振幅を含む。
【0038】
目標振幅決定部31は、複数のアンテナ信号の複数の振幅を互いに比較し、複数のアンテナ信号の複数の振幅のうちの1つを目標振幅(目標値である)として選択する。
【0039】
例えば、目標値決定部31は、複数の振幅を互いに比較して、複数の振幅の値のうちどの一部の値が互いに等しいかを判定し、複数の振幅のうち最も頻繁に現れる値のうちの1つを目標値として選択してもよいが、本発明はこれに限定されない。
【0040】
あるいは、(目標値決定部に含まれる)目標振幅決定部31は、複数のパラメータ基準範囲(複数の振幅基準範囲など)を設定してもよい。目標値決定部の目標振幅決定部31は、複数のパラメータ(振幅など)の各々が、複数のパラメータ参照範囲(複数の振幅参照範囲など)のいずれに該当するかを決定してもよい。目標値決定部の目標振幅決定部31は、複数のパラメータのうち最も多くのパラメータが該当する複数のパラメータ基準範囲のうちの1つを目標範囲として選択してもよい。また、(目標値決定部に含まれる)目標振幅決定部31は、目標範囲内に収まる値を目標値(目標振幅など)として求めてもよい。例えば、目標振幅決定部31は、目標範囲内に入る複数の振幅の全ての平均値を、目標振幅として算出してもよい。なお、目標振幅は、整数値であってもよいし、端数値であってもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0041】
最後に、振幅補正成分32は、目標振幅決定成分31によって選択された目標振幅に応じて、複数のアンテナ信号の複数の振幅の各々を補正してもよい。その結果、複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号の補正後の振幅のそれぞれと目標振幅との差は、振幅差閾値(上述したパラメータ差閾値に含まれる)よりも小さくなる、又は振幅差閾値範囲(上述したパラメータ差閾値範囲に含まれる)内に収まることになる。したがって、複数のアンテナ信号の補正された振幅の各2つの間の差は、振幅差閾値よりも小さいか、または振幅差閾値範囲内に収まる。
【0042】
すなわち、目標振幅決定部31は、複数のアンテナユニットのうちの1つを基準アンテナとして選択し、その基準アンテナの振幅を目標振幅として用いてもよい。そして、振幅補正部32は、基準アンテナを除く複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号の複数の振幅の全て又は一部を、補正後の振幅のそれぞれが基準アンテナの振幅である目標振幅と等しい又は近似するように補正してもよい。
【0043】
また、必要に応じて、振幅補正部32によって複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号の複数の振幅が補正された後、信号測定器10は、複数のアンテナ信号のそれぞれの振幅を測定し、複数のアンテナ信号の複数の振幅が正常に補正されたか否かを判定してもよい。
【0044】
本発明の第3の実施形態による、複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号の位相及び振幅を補正するアンテナ補正方法のフローチャート図である
図3を参照されたい。
【0045】
本発明のアンテナ補正システムは、
図1に示す目標位相決定部21及び位相補正部22と、
図2に示す目標振幅決定部31及び振幅補正部32と、を含んでもよい。本発明のアンテナ補正システムは、以下に説明するように、
図3に示すステップS101~S109を実行してもよい。
【0046】
ステップS101において、信号測定器10は、複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号の複数のパラメータをそれぞれ測定する。信号測定器10によって測定される複数のパラメータは、複数のアンテナ信号のそれぞれの複数の振幅、複数のアンテナ信号のそれぞれの複数の位相、及び複数のアンテナ信号のそれぞれの2つの間の位相差を含んでもよい。
【0047】
ステップS103において、目標振幅決定部31は、複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号の複数の振幅のうちの1つを、目標振幅として選択する。
【0048】
ステップS105において、振幅補正部32は、目標振幅に応じて、複数のアンテナユニットによるアンテナ信号の振幅の各々を補正する。
【0049】
ステップS107において、目標位相決定部21は、複数のアンテナユニットによるアンテナ信号の位相のうちの1つを、目標位相として選択する。
【0050】
ステップS109において、位相補正部22は、複数のアンテナユニットのアンテナ信号の位相のそれぞれを、目標位相に従って補正する。
【0051】
なお、実施形態では、複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号の振幅が補正された後に、複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号の位相が補正されたが、本発明はこれに限定されない。実際には、複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号の位相が、複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号の振幅が補正される前に補正されてもよい。
【0052】
本発明の第4の実施形態に係るアンテナ補正システムによってアレイ状に配置され補正される複数の信号発信器の模式図である
図4を参照する。
【0053】
本発明のアンテナ補正システムは、
図1に示すような信号測定器10、目標位相決定部21及び位相補正部22と、
図2に示すように、目標振幅決定部31及び振幅補正部32とを含んでもよい。本発明のアンテナ補正システムは、複数のアンテナユニットに適用可能である。例えば、複数のアンテナユニットは、
図4に示すように、同一基板上にアレイ状に配置された複数の信号発信器TXのような複数の信号発信器であってもよい。
【0054】
なお、
図1及び
図2に示す信号測定器10が測定する複数のアンテナ信号は、
図4に示す複数の信号発信器TXのように、複数の信号発信器(同一基板上に配置、同一アレイに配置又は同一グループに分類)がそれぞれ発信する複数の信号であってもよい。
【0055】
図2に示す目標振幅決定部31は、複数の信号発信器TXなどの複数の信号発信器(同一基板上に配置され、同一アレイに配置され、又は同一グループに分類される)が発する複数の信号の複数の振幅のうちの1つを目標振幅として選択しても良い。
図2に示す振幅補正部32は、目標振幅に応じて、複数の信号発信器TXなどの複数の信号発信器(同一基板上に配置され、同一アレイに配置され、または同一グループに分類される)が発する複数の信号の複数の振幅のそれぞれを補正してもよい。
【0056】
図1に示す目標位相決定部21は、複数の信号発信器TXのような複数の信号発信器(同一基板上に配置され、同一アレイに配置され、又は同一グループに分類される)が発する複数の信号の複数の位相のうちの1つを目標位相として選択しても良い。
図1に示す位相補正部22は、目標位相に応じて、複数の信号発信器TXなどの複数の信号発信器(同一基板上に配置され、同一アレイに配置され、又は同一グループに分類される)が発する複数の信号の複数の位相のそれぞれを補正してもよい。
【0057】
本発明の第5の実施形態に係るアンテナ補正システムによって、アレイ状に配置され補正される複数の信号受信器の概略図である
図5を参照する。
【0058】
本発明のアンテナ補正システムは、
図1に示すように、目標位相決定部21及び位相補正部22と、
図2に示すように、目標振幅決定部31及び振幅補正部32とを含んでもよい。本発明のアンテナ補正システムは、複数のアンテナユニットに適用可能である。例えば、複数のアンテナユニットは、
図5に示すように、同一基板上にアレイ状に配置された複数の信号受信器RXなどの複数の信号受信器であってもよい。
【0059】
なお、
図1及び
図2に示す信号測定部材10が測定する複数のアンテナ信号は、
図5に示す複数の信号受信器RXのような複数の信号受信器(同一基板上に配置、同一アレイに配置又は同一群に分類)がそれぞれ受信する複数の信号であってもよい。
【0060】
図2に示す目標振幅決定部31は、複数の信号受信器RXなどの複数の信号受信器(同一基板上に配置され、同一アレイに配置され、又は同一グループに分類される)が受信した複数の信号の複数の振幅のうちの1つを目標振幅として選択しても良い。
図2に示す振幅補正部32は、目標振幅に応じて、複数の信号受信器RXなどの複数の信号受信器(同一基板上に配置され、同一アレイに配置され、または同一グループに分類される)が受信した複数の信号の複数の振幅のそれぞれを補正してもよい。
【0061】
図1に示す目標位相決定部21は、複数の信号受信器RX(同一基板上に配置、同一アレイに配置、または同一グループに分類)が受信した複数の信号の複数の位相のうちの1つを、目標位相として選択しても良い。
図1に示す位相補正部22は、目標位相に応じて、複数の信号受信器RX(同一基板上に配置され、同一アレイに配置され、又は同一グループに分類される)が受信する複数の信号の複数の位相のそれぞれを補正してもよい。
【0062】
本発明の第6の実施形態に係るアンテナ補正システムによってアレイ状に配置され補正される複数の信号発信器及び複数の信号受信器の模式図である
図6が参照される。
【0063】
本発明のアンテナ補正システムは、
図1に示すように、目標位相決定部21及び位相補正部22と、
図2に示すように、目標振幅決定部31及び振幅補正部32とを含んでもよい。本発明のアンテナ補正システムは、複数のアンテナユニットに適用可能である。例えば、複数のアンテナユニットは、
図6に示すように、同一基板上にアレイ状に配置された複数の信号発信器TX及び複数の信号受信器RX等の複数の信号発信器及び複数の信号受信器を含んでもよい。
【0064】
なお、
図1及び
図2に示す信号測定器10によって測定される複数のアンテナ信号は、
図6に示す複数の信号発信器TXのような複数の信号発信器(同一基板上に配置され、アレイ状に配置され、又は同一グループに分類される)がそれぞれ発信する複数の信号を含んでもよい。また、
図1及び
図2に示す信号測定器10によって測定された複数のアンテナ信号は、
図6に示すような複数の信号受信器RXのような複数の信号受信器(同一基板上に配置され、アレイ状に配置され、又は同一グループに分類される)がそれぞれ受信する複数の信号をさらに含んでもよい。
【0065】
図2に示す目標振幅決定部31は、複数の信号発信器TXのような複数の信号発信器(同一基板上に配置され、アレイ状に配置され、又は同一グループに分類される)がそれぞれ発する複数の信号の複数の振幅のうちの一つを、複数の信号発信器が発する複数の信号の目標振幅として選択してもよい。なお、
図2に示す振幅補正部32は、複数の信号発信器が発する複数の信号の目標振幅に応じて、複数の信号発信器TXなどの複数の信号発信器(同一基板上に配置され、アレイ状に配置され、または同一グループに分類される)が発する複数の信号の複数の振幅のそれぞれを補正するようにしてもよい。
【0066】
図1に示す目標位相決定部21は、複数の信号発信器TXのような複数の信号発信器(同一基板上に配置され、アレイ状に配置され、又は同一グループに分類される)が発する複数の信号の複数の位相のうち1つを、複数の信号発信器が発する複数の信号の目標位相として選択してもよい。なお、
図1に示す位相補正部22は、複数の信号発信器が発する複数の信号の目標位相に応じて、複数の信号発信器TXなどの複数の信号発信器(同一基板上に配置され、アレイ状に配置され、または同一グループに分類される)が発する複数の信号の複数の位相のそれぞれを補正するようにしてもよい。
【0067】
一方、
図2に示す目標振幅決定部31は、複数の信号受信器RX(同一基板上に配置され、アレイ状に配置され、又は同一グループに分類される)が受信した複数の信号の複数の振幅のうちの1つを、目標振幅として選択しても良い。なお、説明の便宜上、本明細書では、当該目標振幅を受信信号目標振幅とする。なお、
図2に示す振幅補正部32は、当該受信信号目標振幅に基づいて、信号受信器RX(同一基板上に配置され、アレイ状に配置され、または同一グループに分類される)が受信する複数の信号の振幅のそれぞれを補正するようにしてもよい。
【0068】
図1に示す目標位相決定部21は、複数の信号受信器RX(同一基板上に配置され、アレイ状に配置され、又は同一グループに分類される)が受信した複数の信号のうちから1つを目標位相として選択しても良い。なお、説明の便宜上、本明細書では、当該目標位相を受信信号目標位相とする。
図1に示す位相補正部22は、当該受信信号目標位相に基づいて、信号受信器RX(同一基板上に配置され、アレイ状に配置され、または同一グループに分類される)が受信した複数の信号の位相のそれぞれを補正してもよい。
【0069】
図7及び
図8を参照すると、
図7は、本発明の第7実施形態に係るアンテナ補正システムによって補正されない、周波数が異なる複数のアンテナ信号の複数の振幅の模式図であり、
図8は、本発明の第7実施形態に係るアンテナ補正システムによって補正される、周波数が異なる複数のアンテナ信号の複数の振幅の模式図である。
【0070】
図1又は
図2に示すアンテナ補正システムなどの本発明のアンテナ補正システムは、複数のアンテナユニットをテスト動作させてもよい。試験動作において、複数のアンテナユニットは、異なる周波数の(異なる発信範囲の)複数のアンテナ信号を、それぞれ異なる時間間隔で発信してもよい。テスト動作において、複数のアンテナユニットは、同じ時間間隔内に、同じ周波数を有する(同じ発信範囲にある)複数のアンテナ信号を発信してもよい。
【0071】
アンテナ補正システムは、複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号をそれぞれ複数回測定してもよい。アンテナ補正システムが毎回測定している複数のアンテナ信号の周波数は、互いに同じである。アンテナ補正システムによって毎回測定される複数のアンテナ信号の周波数は、前回測定された周波数と異なる。
【0072】
例えば、
図7に示すように、7つのアンテナユニットAN1~AN7のそれぞれは、8つの時間間隔内にそれぞれ異なる周波数と異なる振幅を有する8つのアンテナ信号を発信している。
【0073】
注目すべきは、
図7に示すように、アンテナユニットAN1~AN7が各1つの時間間隔内にそれぞれ発するアンテナ信号の振幅が互いに異なっていることである。このことから、
図7に示されるようなアンテナ信号の振幅は、補正されていないことがわかる。
【0074】
アンテナ補正システムは、
図7に示すようなアンテナ信号の振幅を補正(例えば、減衰)して、
図8に示すようなアンテナ信号の振幅を形成する。
図8に示すように、補正されたアンテナ信号の振幅は、互いに近似している。すなわち、同じ周波数を有する複数のアンテナ信号の補正された振幅の各2つの間の差は、振幅差閾値よりも小さいか、振幅差閾値の範囲内に収まっている。
【0075】
図9及び
図10を参照すると、
図9は、本発明の第8実施形態によるアンテナ補正システムによって補正されない、周波数が異なる複数のアンテナ信号の複数の位相の模式図であり、
図10は、本発明の第8実施形態によるアンテナ補正システムによって補正される、周波数が異なる複数のアンテナ信号の複数の位相の模式図である。
【0076】
図1又は
図2に示すアンテナ補正システムなどの本発明のアンテナ補正システムは、テスト動作において、複数のアンテナユニットをテストしてもよい。試験動作において、複数のアンテナユニットは、異なる周波数の(異なる発信範囲の)複数のアンテナ信号を、それぞれ異なる時間間隔で発信してもよい。テスト動作において、複数のアンテナユニットは、同じ時間間隔内で、同じ周波数を有する(同じ発光範囲内の)複数のアンテナ信号を発光させてもよい。
【0077】
アンテナ補正システムは、複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号をそれぞれ複数回測定してもよい。アンテナ補正システムが毎回測定している複数のアンテナ信号の周波数は、互いに同じである。アンテナ補正システムによって毎回測定される複数のアンテナ信号の周波数は、前回測定された周波数と異なる。
【0078】
例えば、
図9に示すように、7つのアンテナユニットAN1~AN7のそれぞれは、8つの時間間隔内にそれぞれ異なる周波数と異なる位相を有する8つのアンテナ信号を発信する。
【0079】
注目すべきは、
図9に示すように、7つのアンテナユニットAN1~AN7が8つの時間間隔の各1つ内でそれぞれ発信するアンテナ信号の位相が互いに異なっていることである。このことから明らかなように、
図9に示すようなアンテナ信号の位相は、補正されていない。
図9に示すように、補正されていないアンテナ信号のそれぞれの位相は、-180°から180°の範囲に収まる。
【0080】
アンテナ補正システムは、
図9に示すようなアンテナ信号の位相を補正(例えば、減衰)して、
図10に示すようなアンテナ信号の位相を形成する。
図10に示すように、補正されたアンテナ信号の位相は、互いに近似している。すなわち、同じ周波数を有する複数のアンテナ信号の補正された位相の各2つのものの間の差は、位相差閾値よりも小さいか、位相差閾値の範囲内に収まっている。
図9に示すように、補正された各アンテナ信号の位相は、近似的に-90°である(つまり、目標位相である)。
【0081】
本発明のアンテナ補正システムは、同一基板上に配置され、又は同一グループ内に分類される複数のアンテナユニットが発信又は受信する複数のアンテナ信号を補正することができる。したがって、本発明のアンテナ補正システムを用いることで、同一基板上に配置されている、又は、同一グループに分類されている複数のアンテナユニットが同一時間間隔内に発信又は受信する複数のアンテナ信号の位相及び振幅等のパラメータは、互いに(略)等しくなる。
【0082】
以上に開示される内容は本発明の好ましい実施可能な実施例に過ぎず、これにより本発明の特許請求の範囲を制限するものではないので、本発明の明細書及び添付図面の内容に基づき為された等価の技術変形は、全て本発明の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0083】
10:信号測定器
21:目標位相決定部
22:位相補正部
31:目標振幅決定部
32:振幅補正部
TX:信号発信器
RX:信号受信器
AN1~AN7:アンテナユニット
S101~S109:ステップ
【手続補正書】
【提出日】2024-01-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナに関し、特に、アンテナ補正システムに関する。
【背景技術】
【0002】
アンテナは、通信システムにおいて必要不可欠な部品である。複数のアンテナユニットが同一基板上にアレイ状に配置されている場合がある。アレイ状に配置されたアンテナユニットは、互いに独立したアンテナユニットである。複数のアンテナユニットによってそれぞれ発信または受信される複数の信号は、異なる振幅および異なる位相などのパラメータを有する場合がある。このような条件下では、複数のアンテナユニットの複数の信号が互いに同一または近似するように、複数のアンテナユニットの複数の信号の振幅および位相などのパラメータを補正する必要がある。
【発明の概要】
【0003】
上記技術的不備に対応するため、本発明は、アンテナ補正システムを提供する。複数のアンテナユニットのそれぞれによるアンテナ信号を測定し、前記アンテナ信号のパラメータをそれぞれ取得するように構成された信号測定器と、前記信号測定器に接続され、前記アンテナ信号のパラメータを互いに比較して、前記アンテナ信号のパラメータのうちの1つを目標値として選択するように構成される、目標値決定部と、前記目標値決定部に接続され、前記アンテナ信号のパラメータと前記目標値との間の差がパラメータ差閾値より小さいかまたはパラメータ差閾値範囲内に入るように、前記目標値に従って前記アンテナ信号のパラメータをそれぞれ補正することで、前記アンテナ信号のパラメータ同士の差が、前記パラメータ差閾値より小さいまたは前記パラメータ差閾値範囲内に入るようにする、パラメータ補正部と、を具備する。
【0004】
特定の実施形態では、前記信号測定器は、前記複数のアンテナユニットによる周波数が同じのアンテナ信号をそれぞれ測定し、前記測定は複数回行って、毎回で設定する周波数は相違であり、前記目標値決定部は、前記同じ周波数を有するアンテナ信号による前記アンテナ信号のパラメータのうちの1つを、同じ周波数を有する前記アンテナ信号の前記目標値として取り扱う。
【0005】
特定の実施形態では、前記複数のアンテナユニットは、前記複数のアンテナ信号をそれぞれ発信するように構成された複数の信号発信器を含む。
【0006】
特定の実施形態では、前記複数のアンテナユニットは、前記複数のアンテナ信号をそれぞれ受信するように構成された複数の信号受信器を含む。
【0007】
特定の実施形態において、前記複数のアンテナユニットは、複数の信号発信器と複数の信号受信器とを含み、前記複数の信号発信器は複数のアンテナ発信信号を発信し、前記複数の信号受信器が複数のアンテナ受信信号を受信し、前記複数のアンテナ信号は前記複数のアンテナ発信信号と前記複数のアンテナ受信信号を含む。
【0008】
特定の実施形態において、前記目標値決定部は、前記複数のアンテナ信号の複数のパラメータを互いに比較して、前記複数のパラメータのうち最も頻繁に現れる値を前記目標値として選択する。
【0009】
特定の実施形態では、前記目標値決定部は、複数のパラメータ基準範囲を設定し、前記目標値決定部は、前記複数のパラメータ基準範囲のうち、最も多い前記複数のパラメータが入るものを目標範囲として選択し、前記目標範囲内に入る前記パラメータを前記目標値として取得する。
【0010】
特定の実施形態では、前記目標値決定部は、前記目標範囲に入る全てのパラメータの平均値を前記目標値とする。
【0011】
特定の実施形態において、前記信号測定器によって取得された複数の前記パラメータは、前記アンテナ信号の振幅および位相を含む。目標値決定部は、前記複数のアンテナ信号の振幅のうちの1つを目標振幅として、前記複数のアンテナ信号の位相のうちの1つを目標位相として選択し、前記パラメータ補正部は、各前記アンテナ信号の振幅を前記目標振幅に従って補正した後、各前記複数のアンテナ信号の位相を前記目標位相に従って補正する。
【0012】
特定の実施形態において、前記信号測定器は、前記複数のアンテナ信号の位相をそれぞれ測定し、前記複数のアンテナ信号同士の位相差を測定し、前記信号測定器が測定するパラメータは、前記アンテナ信号のそれぞれの位相および前記アンテナ信号同士の位相差を含む。
【0013】
特定の実施形態において、前記目標値決定部は、前記信号測定器に接続された目標位相決定部を含み、前記目標位相決定部は、前記アンテナ信号同士の位相差を比較することによって、他のアンテナ信号との位相差が最も小さいアンテナ信号を抽出し、当該アンテナの位相を目標位相とする。
【0014】
特定の実施形態では、前記パラメータ補正部は、前記目標位相決定部に接続された位相補正部を含み、前記位相補正部は、前記目標位相に応じて前記複数のアンテナ信号の各々の位相を補正する。
【0015】
特定の実施形態では、前記信号測定器は、前記複数のアンテナ信号のそれぞれの振幅を測定し、前記信号測定器が測定する前記複数のパラメータは、前記複数のアンテナ信号のそれぞれの振幅を含む。
【0016】
特定の実施形態では、前記目標値決定部は、前記信号測定器に接続された目標振幅決定部を含み、前記目標振幅決定部は、前記複数のアンテナ信号の複数の振幅を互いに比較して、前記複数のアンテナ信号の複数の振幅のうちの1つを目標振幅として選択する。
【0017】
特定の実施形態では、前記パラメータ補正部は、前記目標振幅決定部に接続された振幅補正部を含み、前記振幅補正部は、前記目標振幅に応じて前記複数のアンテナ信号の各々の振幅を補正する。
【0018】
特定の実施形態において、前記複数のアンテナユニットは、アレイ状に配置されている。
【0019】
以上説明したように、本発明は、アンテナ補正システムを提供する。本発明のアンテナ補正システムは、同一基板上に配置され、又は同一グループ内に分類される複数のアンテナユニットが発信又は受信する複数のアンテナ信号を補正することができる。したがって、本発明のアンテナ補正システムを用いることで、同一基板上に配置されている、又は、同一グループに分類されている複数のアンテナユニットが同一時間間隔内に発信又は受信する複数のアンテナ信号の位相及び振幅等のパラメータは、互いに(略)等しくなる。
【0020】
本発明の特徴と技術的内容をよりよく理解するため、以下の本発明に関する詳細な説明と図面を参照されたい。ただし、提供する図面は参考及び説明のため用いるに過ぎず、本発明を限定するためのものではない。記載された実施形態は、以下の説明および添付の図面を参照することによってよりよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号の位相を補正するアンテナ補正システムのブロック図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態に係る複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号の振幅を補正するアンテナ補正システムのブロック図である。
【
図3】本発明の第3の実施形態に係る複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号の位相及び振幅を補正するアンテナ補正方法のフローチャート図である。
【
図4】本発明の第4の実施形態に係るアンテナ補正システムによって補正されるアレイ状に配置された複数の信号発信器の模式図である。
【
図5】本発明の第5の実施形態に係るアンテナ補正システムによって補正されるアレイ状に配置された複数の信号受信器の模式図である。
【
図6】本発明の第6の実施形態に係るアンテナ補正システムにより補正されるアレイ状に配置された複数の信号発信器及び複数の信号受信器を示す模式図である。
【
図7】本発明の第7の実施形態に係るアンテナ補正システムによって補正されない、周波数が異なる複数のアンテナ信号の複数の振幅を示す模式図である。
【
図8】本発明の第7の実施形態に係るアンテナ補正システムによって補正される、異なる周波数を有する複数のアンテナ信号の複数の振幅を示す模式図である。
【
図9】本発明の第8の実施形態に係るアンテナ補正システムによって補正されない、周波数が異なる複数のアンテナ信号の複数の位相を示す模式図である。
【
図10】本発明の第8の実施形態に係るアンテナ補正システムにより補正される、異なる周波数を有する複数のアンテナ信号の複数の位相の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
下記より、具体的な実施例で本発明に係る実施形態を説明する。当業者は本明細書の公開内容により本発明のメリット及び効果を理解し得る。本発明は他の異なる実施形態により実行又は応用できる。本明細書における各細節も様々な観点又は応用に基づいて、本発明の精神逸脱しない限りに、均等の変形と変更を行うことができる。また、本発明の図面は簡単で模式的に説明するためのものであり、実際的な寸法を示すものではない。以下の実施形態において、さらに本発明に係る技術事項を説明するが、公開された内容は本発明を限定するものではない。
【0023】
本発明の第1の実施形態による、複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号の位相を補正するアンテナ補正システムのブロック図である
図1を参照する。
【0024】
本発明のアンテナ補正システムは、信号測定器10と、目標値決定部と、パラメータ補正部とを含んでもよい。本実施の形態では、目標値決定部は、
図1に示す目標位相決定部21を含み、パラメータ補正部は、
図1に示す位相補正部22を含む。
【0025】
図1に示すように、目標値決定部に含まれる目標位相決定部21は、信号測定器10とパラメータ補正部に含まれる位相補正部22とに接続されていてもよい。
【0026】
信号測定器10は、複数のアンテナユニットがそれぞれ受信または発信する複数のアンテナ信号を測定して、複数のアンテナ信号の複数のパラメータをそれぞれ取得するように構成されてもよい。本実施形態において、信号測定器10が測定する複数のパラメータは、複数のアンテナ信号の各々の位相と、複数のアンテナ信号同士の位相差とを含む。
【0027】
そして、目標値決定部は、複数のアンテナ信号による複数のパラメータを互いに比較し、複数のアンテナ信号の複数のパラメータのうちの1つを目標値として選択する。本実施の形態では、
図1に示すように、目標値決定部に含まれる目標位相決定部21は、複数のアンテナ信号
同士の位相差
のうちの1つを、複数のアンテナ信号
同士の位相差
における別の1つの位相差と比較する。目標位相決定部21は、複数のアンテナ信号間の位相差に応じて、複数のアンテナ信号のうち、どのアンテナ信号と他のアンテナとの位相差が最も小さいかを決定する。その決定に従って、目標位相決定部21は、複数のアンテナ信号のうちの1つを選択し、当該アンテナ信号の位相を目標位相(目標値である)として用いる。
【0028】
あるいは、
図1に示す目標位相決定部21は、複数のアンテナ信号の複数の位相のうちの1つを目標位相としてランダムに選択してもよい。
【0029】
最後に、パラメータ補正部は、目標値に従って、複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号の複数のパラメータの各々を補正してもよい。その結果、補正された複数のアンテナ信号のパラメータのそれぞれと目標値との差は、パラメータ差閾値よりも小さくなる、またはパラメータ差閾値範囲に収まる。したがって、複数のアンテナ信号の補正されたパラメータの各2つの間の差は、パラメータ差閾値よりも小さいか、またはパラメータ差閾値の範囲内に収まる。
【0030】
本実施形態では、
図1に示すように、パラメータ補正部に含まれる位相補正部22は、目標位相決定部21によって選択された目標位相に従って、複数のアンテナ信号の複数の位相の各々を補正する。その結果、補正された複数のアンテナ信号の位相のそれぞれと目標位相との間の位相差は、位相差閾値よりも小さいか、位相差閾値範囲に収まる。したがって、複数のアンテナ信号の複数の位相のうちの各2つの位相の間の差は、位相差閾値よりも小さく、または位相差閾値範囲内に収まる。
【0031】
実施形態では、複数のアンテナ信号の補正された位相の各々は、目標位相に近似し、目標位相をわずかにリードし又はわずかにラグしているが、本発明は、これに限定されない。実際には、複数のアンテナ信号の補正後の位相のそれぞれは、目標位相と一致していてもよい。
【0032】
すなわち、目標位相決定部21は、複数のアンテナユニットのうちの1つを基準アンテナとして選択し、その基準アンテナの位相を目標位相とする。そして、位相補正部22は、目標位相に応じて、複数のアンテナ信号の各々の補正後の位相が目標位相に(ほぼ)一致するように、基準アンテナを除く複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号の位相の全て又は一部を補正する。
【0033】
また、必要に応じて、位相補正部22によって複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号の複数の位相が補正された後、信号測定器10は、複数のアンテナ信号の各々の位相及び複数のアンテナ信号の各々の2つの間の位相差を測定し、複数のアンテナ信号の複数の位相が正常に補正されたか否かを判断してもよい。
【0034】
本発明の第2の実施形態による、複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号の振幅を補正するアンテナ補正システムのブロック図である
図2を参照する。
【0035】
本発明のアンテナ補正システムは、信号測定器10と、目標値決定部と、パラメータ補正部とを含んでもよい。本実施の形態では、目標値決定部は、
図2に示す目標振幅決定部31を含み、パラメータ補正部は、
図2に示す振幅補正部32を含む。
【0036】
図2に示すように、目標値決定部の目標振幅決定部31は、信号測定器10とパラメータ補正部に含まれる振幅補正部32に接続されている。
【0037】
信号測定器10は、複数のアンテナユニットによってそれぞれ受信又は発信される複数のアンテナ信号を測定して、複数のアンテナ信号の複数のパラメータをそれぞれ取得してもよい。本実施の形態では、信号測定器10が測定する複数のパラメータは、複数のアンテナ信号の複数の振幅を含む。
【0038】
目標振幅決定部31は、複数のアンテナ信号の複数の振幅を互いに比較し、複数のアンテナ信号の複数の振幅のうちの1つを目標振幅(目標値である)として選択する。
【0039】
例えば、目標振幅決定部31は、複数の振幅を互いに比較して、複数の振幅の値のうちどの一部の値が互いに等しいかを判定し、複数の振幅のうち最も頻繁に現れる値のうちの1つを目標値として選択してもよいが、本発明はこれに限定されない。
【0040】
あるいは、(目標値決定部に含まれる)目標振幅決定部31は、複数のパラメータ基準範囲(複数の振幅基準範囲)を設定してもよい。目標値決定部の目標振幅決定部31は、複数のパラメータ(振幅)の各々が、複数のパラメータ参照範囲(複数の振幅参照範囲)のいずれに該当するかを決定してもよい。目標値決定部の目標振幅決定部31は、複数のパラメータのうち最も多くのパラメータが該当する複数のパラメータ基準範囲のうちの1つを目標範囲として選択してもよい。また、(目標値決定部に含まれる)目標振幅決定部31は、目標範囲内に収まる値を目標値(目標振幅)として求めてもよい。例えば、目標振幅決定部31は、目標範囲内に入る複数の振幅の全ての平均値を、目標振幅として算出してもよい。なお、目標振幅は、整数値であってもよいし、端数値であってもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0041】
最後に、振幅補正部32は、目標振幅決定部31によって選択された目標振幅に応じて、複数のアンテナ信号の複数の振幅の各々を補正してもよい。その結果、複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号の補正後の振幅のそれぞれと目標振幅との差は、振幅差閾値(上述したパラメータ差閾値に含まれる)よりも小さくなる、又は振幅差閾値範囲(上述したパラメータ差閾値範囲に含まれる)内に収まることになる。したがって、複数のアンテナ信号の補正された振幅の各2つの間の差は、振幅差閾値よりも小さいか、または振幅差閾値範囲内に収まる。
【0042】
すなわち、目標振幅決定部31は、複数のアンテナユニットのうちの1つを基準アンテナとして選択し、その基準アンテナの振幅を目標振幅として用いてもよい。そして、振幅補正部32は、基準アンテナを除く複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号の複数の振幅の全て又は一部を、補正後の振幅のそれぞれが基準アンテナの振幅である目標振幅と等しい又は近似するように補正してもよい。
【0043】
また、必要に応じて、振幅補正部32によって複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号の複数の振幅が補正された後、信号測定器10は、複数のアンテナ信号のそれぞれの振幅を測定し、複数のアンテナ信号の複数の振幅が正常に補正されたか否かを判定してもよい。
【0044】
本発明の第3の実施形態による、複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号の位相及び振幅を補正するアンテナ補正方法のフローチャート図である
図3を参照されたい。
【0045】
本発明のアンテナ補正システムは、
図1に示す目標位相決定部21及び位相補正部22と、
図2に示す目標振幅決定部31及び振幅補正部32と、を含んでもよい。本発明のアンテナ補正システムは、以下に説明するように、
図3に示すステップS101~S109を実行してもよい。
【0046】
ステップS101において、信号測定器10は、複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号の複数のパラメータをそれぞれ測定する。信号測定器10によって測定される複数のパラメータは、複数のアンテナ信号のそれぞれの複数の振幅、複数のアンテナ信号のそれぞれの複数の位相、及び複数のアンテナ信号のそれぞれの2つの間の位相差を含んでもよい。
【0047】
ステップS103において、目標振幅決定部31は、複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号の複数の振幅のうちの1つを、目標振幅として選択する。
【0048】
ステップS105において、振幅補正部32は、目標振幅に応じて、複数のアンテナユニットによるアンテナ信号の振幅の各々を補正する。
【0049】
ステップS107において、目標位相決定部21は、複数のアンテナユニットによるアンテナ信号の位相のうちの1つを、目標位相として選択する。
【0050】
ステップS109において、位相補正部22は、複数のアンテナユニットのアンテナ信号の位相のそれぞれを、目標位相に従って補正する。
【0051】
なお、実施形態では、複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号の振幅が補正された後に、複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号の位相が補正されたが、本発明はこれに限定されない。実際には、複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号の位相が、複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号の振幅が補正される前に補正されてもよい。
【0052】
本発明の第4の実施形態に係るアンテナ補正システムによってアレイ状に配置され補正される複数の信号発信器の模式図である
図4を参照する。
【0053】
本発明のアンテナ補正システムは、
図1に示すような信号測定器10、目標位相決定部21及び位相補正部22と、
図2に示すように、目標振幅決定部31及び振幅補正部32とを含んでもよい。本発明のアンテナ補正システムは、複数のアンテナユニットに適用可能である。例えば、複数のアンテナユニットは、
図4に示すように、同一基板上にアレイ状に配置された複数の信号発信器TXのような複数の信号発信器であってもよい。
【0054】
なお、
図1及び
図2に示す信号測定器10が測定する複数のアンテナ信号は、
図4に示す複数の信号発信器TXのように、複数の信号発信器(同一基板上に配置、同一アレイに配置又は同一グループに分類)がそれぞれ発信する複数の信号であってもよい。
【0055】
図2に示す目標振幅決定部31は、複数の信号発信器TXなどの複数の信号発信器(同一基板上に配置され、同一アレイに配置され、又は同一グループに分類される)が発する複数の信号の複数の振幅のうちの1つを目標振幅として選択しても良い。
図2に示す振幅補正部32は、目標振幅に応じて、複数の信号発信器TXなどの複数の信号発信器(同一基板上に配置され、同一アレイに配置され、または同一グループに分類される)が発する複数の信号の複数の振幅のそれぞれを補正してもよい。
【0056】
図1に示す目標位相決定部21は、複数の信号発信器TXのような複数の信号発信器(同一基板上に配置され、同一アレイに配置され、又は同一グループに分類される)が発する複数の信号の複数の位相のうちの1つを目標位相として選択しても良い。
図1に示す位相補正部22は、目標位相に応じて、複数の信号発信器TXなどの複数の信号発信器(同一基板上に配置され、同一アレイに配置され、又は同一グループに分類される)が発する複数の信号の複数の位相のそれぞれを補正してもよい。
【0057】
本発明の第5の実施形態に係るアンテナ補正システムによって、アレイ状に配置され補正される複数の信号受信器の概略図である
図5を参照する。
【0058】
本発明のアンテナ補正システムは、
図1に示すように、目標位相決定部21及び位相補正部22と、
図2に示すように、目標振幅決定部31及び振幅補正部32とを含んでもよい。本発明のアンテナ補正システムは、複数のアンテナユニットに適用可能である。例えば、複数のアンテナユニットは、
図5に示すように、同一基板上にアレイ状に配置された複数の信号受信器RXなどの複数の信号受信器であってもよい。
【0059】
なお、
図1及び
図2に示す
信号測定器10が測定する複数のアンテナ信号は、
図5に示す複数の信号受信器RXのような複数の信号受信器(同一基板上に配置、同一アレイに配置又は同一群に分類)がそれぞれ受信する複数の信号であってもよい。
【0060】
図2に示す目標振幅決定部31は、複数の信号受信器RXなどの複数の信号受信器(同一基板上に配置され、同一アレイに配置され、又は同一グループに分類される)が受信した複数の信号の複数の振幅のうちの1つを目標振幅として選択しても良い。
図2に示す振幅補正部32は、目標振幅に応じて、複数の信号受信器RXなどの複数の信号受信器(同一基板上に配置され、同一アレイに配置され、または同一グループに分類される)が受信した複数の信号の複数の振幅のそれぞれを補正してもよい。
【0061】
図1に示す目標位相決定部21は、複数の信号受信器RX(同一基板上に配置、同一アレイに配置、または同一グループに分類)が受信した複数の信号の複数の位相のうちの1つを、目標位相として選択しても良い。
図1に示す位相補正部22は、目標位相に応じて、複数の信号受信器RX(同一基板上に配置され、同一アレイに配置され、又は同一グループに分類される)が受信する複数の信号の複数の位相のそれぞれを補正してもよい。
【0062】
本発明の第6の実施形態に係るアンテナ補正システムによってアレイ状に配置され補正される複数の信号発信器及び複数の信号受信器の模式図である
図6が参照される。
【0063】
本発明のアンテナ補正システムは、
図1に示すように、目標位相決定部21及び位相補正部22と、
図2に示すように、目標振幅決定部31及び振幅補正部32とを含んでもよい。本発明のアンテナ補正システムは、複数のアンテナユニットに適用可能である。例えば、複数のアンテナユニットは、
図6に示すように、同一基板上にアレイ状に配置された複数の信号発信器TX及び複数の信号受信器RX等の複数の信号発信器及び複数の信号受信器を含んでもよい。
【0064】
なお、
図1及び
図2に示す信号測定器10によって測定される複数のアンテナ信号は、
図6に示す複数の信号発信器TXのような複数の信号発信器(同一基板上に配置され、アレイ状に配置され、又は同一グループに分類される)がそれぞれ発信する複数の信号を含んでもよい。また、
図1及び
図2に示す信号測定器10によって測定された複数のアンテナ信号は、
図6に示すような複数の信号受信器RXのような複数の信号受信器(同一基板上に配置され、アレイ状に配置され、又は同一グループに分類される)がそれぞれ受信する複数の信号をさらに含んでもよい。
【0065】
図2に示す目標振幅決定部31は、複数の信号発信器TXのような複数の信号発信器(同一基板上に配置され、アレイ状に配置され、又は同一グループに分類される)がそれぞれ発する複数の信号の複数の振幅のうちの一つを、複数の信号発信器が発する複数の信号の目標振幅として選択してもよい。なお、
図2に示す振幅補正部32は、複数の信号発信器が発する複数の信号の目標振幅に応じて、複数の信号発信器TXなどの複数の信号発信器(同一基板上に配置され、アレイ状に配置され、または同一グループに分類される)が発する複数の信号の複数の振幅のそれぞれを補正するようにしてもよい。
【0066】
図1に示す目標位相決定部21は、複数の信号発信器TXのような複数の信号発信器(同一基板上に配置され、アレイ状に配置され、又は同一グループに分類される)が発する複数の信号の複数の位相のうち1つを、複数の信号発信器が発する複数の信号の目標位相として選択してもよい。なお、
図1に示す位相補正部22は、複数の信号発信器が発する複数の信号の目標位相に応じて、複数の信号発信器TXなどの複数の信号発信器(同一基板上に配置され、アレイ状に配置され、または同一グループに分類される)が発する複数の信号の複数の位相のそれぞれを補正するようにしてもよい。
【0067】
一方、
図2に示す目標振幅決定部31は、複数の信号受信器RX(同一基板上に配置され、アレイ状に配置され、又は同一グループに分類される)が受信した複数の信号の複数の振幅のうちの1つを、目標振幅として選択しても良い。なお、説明の便宜上、本明細書では、当該目標振幅を受信信号目標振幅とする。なお、
図2に示す振幅補正部32は、当該受信信号目標振幅に基づいて、信号受信器RX(同一基板上に配置され、アレイ状に配置され、または同一グループに分類される)が受信する複数の信号の振幅のそれぞれを補正するようにしてもよい。
【0068】
図1に示す目標位相決定部21は、複数の信号受信器RX(同一基板上に配置され、アレイ状に配置され、又は同一グループに分類される)が受信した複数の信号のうちから1つを目標位相として選択しても良い。なお、説明の便宜上、本明細書では、当該目標位相を受信信号目標位相とする。
図1に示す位相補正部22は、当該受信信号目標位相に基づいて、信号受信器RX(同一基板上に配置され、アレイ状に配置され、または同一グループに分類される)が受信した複数の信号の位相のそれぞれを補正してもよい。
【0069】
図7及び
図8を参照すると、
図7は、本発明の第7実施形態に係るアンテナ補正システムによって補正されない、周波数が異なる複数のアンテナ信号の複数の振幅の模式図であり、
図8は、本発明の第7実施形態に係るアンテナ補正システムによって補正される、周波数が異なる複数のアンテナ信号の複数の振幅の模式図である。
【0070】
図1又は
図2に示すアンテナ補正システムなどの本発明のアンテナ補正システムは、複数のアンテナユニットをテスト動作させてもよい。試験動作において、複数のアンテナユニットは、異なる周波数の(異なる発信範囲の)複数のアンテナ信号を、それぞれ異なる時間間隔で発信してもよい。テスト動作において、複数のアンテナユニットは、同じ時間間隔内に、同じ周波数を有する(同じ発信範囲にある)複数のアンテナ信号を発信してもよい。
【0071】
アンテナ補正システムは、複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号をそれぞれ複数回測定してもよい。アンテナ補正システムが毎回測定している複数のアンテナ信号の周波数は、互いに同じである。アンテナ補正システムによって毎回測定される複数のアンテナ信号の周波数は、前回測定された周波数と異なる。
【0072】
例えば、
図7に示すように、7つのアンテナユニットAN1~AN7のそれぞれは、8つの時間間隔内にそれぞれ異なる周波数と異なる振幅を有する8つのアンテナ信号を発信している。
【0073】
注目すべきは、
図7に示すように、アンテナユニットAN1~AN7が各1つの時間間隔内にそれぞれ発するアンテナ信号の振幅が互いに異なっていることである。このことから、
図7に示されるようなアンテナ信号の振幅は、補正されていないことがわかる。
【0074】
アンテナ補正システムは、
図7に示すようなアンテナ信号の振幅を補正(例えば、減衰)して、
図8に示すようなアンテナ信号の振幅を形成する。
図8に示すように、補正されたアンテナ信号の振幅は、互いに近似している。すなわち、同じ周波数を有する複数のアンテナ信号の補正された振幅の各2つの間の差は、振幅差閾値よりも小さいか、振幅差閾値の範囲内に収まっている。
【0075】
図9及び
図10を参照すると、
図9は、本発明の第8実施形態によるアンテナ補正システムによって補正されない、周波数が異なる複数のアンテナ信号の複数の位相の模式図であり、
図10は、本発明の第8実施形態によるアンテナ補正システムによって補正される、周波数が異なる複数のアンテナ信号の複数の位相の模式図である。
【0076】
図1又は
図2に示すアンテナ補正システムなどの本発明のアンテナ補正システムは、テスト動作において、複数のアンテナユニットをテストしてもよい。試験動作において、複数のアンテナユニットは、異なる周波数の(異なる発信範囲の)複数のアンテナ信号を、それぞれ異なる時間間隔で発信してもよい。テスト動作において、複数のアンテナユニットは、同じ時間間隔内で、同じ周波数を有する(同じ発光範囲内の)複数のアンテナ信号を発光させてもよい。
【0077】
アンテナ補正システムは、複数のアンテナユニットの複数のアンテナ信号をそれぞれ複数回測定してもよい。アンテナ補正システムが毎回測定している複数のアンテナ信号の周波数は、互いに同じである。アンテナ補正システムによって毎回測定される複数のアンテナ信号の周波数は、前回測定された周波数と異なる。
【0078】
例えば、
図9に示すように、7つのアンテナユニットAN1~AN7のそれぞれは、8つの時間間隔内にそれぞれ異なる周波数と異なる位相を有する8つのアンテナ信号を発信する。
【0079】
注目すべきは、
図9に示すように、7つのアンテナユニットAN1~AN7が8つの時間間隔の各1つ内でそれぞれ発信するアンテナ信号の位相が互いに異なっていることである。このことから明らかなように、
図9に示すようなアンテナ信号の位相は、補正されていない。
図9に示すように、補正されていないアンテナ信号のそれぞれの位相は、-180°から180°の範囲に収まる。
【0080】
アンテナ補正システムは、
図9に示すようなアンテナ信号の位相を補正(例えば、
ずれ)して、
図10に示すようなアンテナ信号の位相を形成する。
図10に示すように、補正されたアンテナ信号の位相は、互いに近似している。すなわち、同じ周波数を有する複数のアンテナ信号の補正された位相
同士の位相差は、位相差閾値よりも小さいか、位相差閾値の範囲内に収まっている。
図9に示すように、補正された各アンテナ信号の位相は、近似的に-90°である(つまり、目標位相である)。
【0081】
本発明のアンテナ補正システムは、同一基板上に配置され、又は同一グループ内に分類される複数のアンテナユニットが発信又は受信する複数のアンテナ信号を補正することができる。したがって、本発明のアンテナ補正システムを用いることで、同一基板上に配置されている、又は、同一グループに分類されている複数のアンテナユニットが同一時間間隔内に発信又は受信する複数のアンテナ信号の位相及び振幅のパラメータは、互いに(略)等しくなる。
【0082】
以上に開示される内容は本発明の好ましい実施可能な実施例に過ぎず、これにより本発明の特許請求の範囲を制限するものではないので、本発明の明細書及び添付図面の内容に基づき為された等価の技術変形は、全て本発明の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0083】
10:信号測定器
21:目標位相決定部
22:位相補正部
31:目標振幅決定部
32:振幅補正部
TX:信号発信器
RX:信号受信器
AN1~AN7:アンテナユニット
S101~S109:ステップ