(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077211
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】カートロボット、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
B65G 67/22 20060101AFI20240531BHJP
B65G 67/24 20060101ALI20240531BHJP
B25J 5/00 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
B65G67/22
B65G67/24
B25J5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189151
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】591280485
【氏名又は名称】ソフトバンクグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】孫 正義
【テーマコード(参考)】
3C707
3F076
【Fターム(参考)】
3C707BS09
3C707CS08
3C707WA16
3F076AA10
3F076CA03
3F076DA01
3F076EA01
3F076FA01
3F076FA02
3F076FA03
(57)【要約】
【課題】作業の効率化を図ること。
【解決手段】実施形態に係るカートロボットは、荷物の受け渡しを行うアームと、アームが取り付けられ、荷物を載置可能な走行車体と、自装置に異常が生じた場合に、走行車体を制御し、基地に帰還させる制御装置とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物の受け渡しを行うアームと、
前記アームが取り付けられ、前記荷物を載置可能な走行車体と、
自装置に異常が生じた場合に、前記走行車体を制御し、基地に帰還させる制御装置と
を備える、カートロボット。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記自装置を前記基地に帰還させる場合に、メンテナンスの予約を行う
請求項1に記載のカートロボット。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記自装置を撮影したカメラ画像から前記自装置の異常が検知された場合に、前記基地に帰還させる
請求項1に記載のカートロボット。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記自装置で撮影した前記カメラ画像または他のカートロボットで撮影されたカメラ画像から前記自装置の異常が検知された場合に、前記基地に帰還させる
請求項3に記載のカートロボット。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記自装置の異常に関する前兆が生じた場合に、前記基地に帰還させる
請求項1に記載のカートロボット。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記自装置を前記基地に帰還させる場合に、現在のタスクを他のカートロボットに引き継ぐ
請求項1に記載のカートロボット。
【請求項7】
カートロボットを制御するプログラムであって、
荷物の受け渡しを行うアームと、前記アームが取り付けられ、前記荷物を載置可能な走行車体とを制御し、
自装置に異常が生じた場合に、前記走行車体を制御して、基地に帰還させる帰還手順
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、カートロボット、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品の所定の集荷計画に基づいて自律走行し、棚からアームによって荷物を取り出すカートロボットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カートロボットは、作業の効率化を図るうえで改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、作業の効率化を図ることができるカートロボット、および、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係るカートロボットは、荷物の受け渡しを行うアームと、前記アームが取り付けられ、前記荷物を載置可能な走行車体と、自装置に異常が生じた場合に、前記走行車体を制御し、基地に帰還させる制御装置とを備える。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、作業の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るピッキングシステムが適用された倉庫のフロアの平面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るカートロボットの斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る情報処理装置の制御系ブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るカートロボットの動作処理を説明するフローチャートである。
【
図5】
図5は、情報処理装置として機能するコンピュータハードウェア構成の一例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
図1は、本実施形態に係るピッキングシステムが適用された倉庫のフロア50の平面図である。
【0011】
ピッキング作業とは、必要な品物(荷物)を集める(ピックアップする)仕事のことである。ピッキングスタッフは、倉庫内の品物を出荷するために欠かせない役割を持つため、あらゆるジャンルの倉庫に配置される。なお、ピッキングスタッフは、アームを有するロボットである。本実施形態では、ピッキングスタッフは、カートロボット52である。ピッキングスタッフは、人型ロボットを含む。
【0012】
例えば、予め指示されたリストや注文書を基に、指定の品物を集め、まとめたものを検品担当者や梱包担当者へと受け流していくのがピッキングスタッフの主な仕事である。倉庫規模が大きいほど、保管されている品物の種類や数も膨大で、そのため、多数のピッキングスタッフがフロア50内を移動することになる。
【0013】
図1に示されるフロア50には、貯蔵部(倉庫、棚等)54が設けられ、複数のバスケット56が、貯蔵されている。バスケット56は、ピッキング作業によって集められる品物(荷物)である。この貯蔵部54の周囲を、カートロボット52が移動するようになっている。カートロボット52は、バスケット56の授受が主たる役目であり、移動経路として、Fast Lane58(高速レーン58)に沿って移動するカートとしての、Fast Track Cart52A(高速カート52A)と、Local Picking Lane60(ローカルレーン60)に沿って移動するカートとしての、Local Track Cart52B(ローカルカート52B)とに分類される。
【0014】
カートロボット52は、バスケット56の受け渡しを行う。受け渡しは、貯蔵部54からバスケット56を取り出すことを含む。
【0015】
ローカルレーン60は、フロア50内の内側のレーン、換言すると貯蔵部54の外側に設定されたレーンで、ローカルカート52Bが貯蔵部54に接近離間するように蛇行走行しながら、かつ、一時的に減速、または、停止して、貯蔵部54からバスケット56のピックアップを行う。なお、ローカルカート52Bの走行は、蛇行走行に限られるものではない。
【0016】
高速レーン58は、フロア50内の外側のレーン、換言するとローカルレーン60の外側に設定されたレーンで、例えば、時速20Kmでノンストップ走行し、ローカルレーン60を移動するローカルカート52Bから、バスケット56を受け取る。
【0017】
一連の作業としては、たとえば、ローカルレーン60のローカルカート52Bは、バスケット56をピックアップ後、外側の高速レーン58と時速20Kmでリレーのバトン渡しの要領で、高速カート52Aと並走しながら、ノンストップで、高速カート52Aへバスケット56を受け渡す。なお、ローカルカート52Bと、高速カート52Aとのバスケット56の受け渡しは、各カート52が停止した状態で行われてもよい。
【0018】
フロア50には、貯蔵部54に対応して、Docking Station68(ドッキングステーション68)が設置されている。ドッキングステーション68は、高速レーン58とローカルレーン60との結合点となっている。
【0019】
ドッキングステーション68には、たとえば、20本のアームを備え、高速レーン58からバスケット56を受け取る機能を有している。
【0020】
ドッキングステーション68では、高速カート52Aが、一時的に、例えば、時速2Kmまで減速し、例えば、1分以内にバスケット56の受け渡しをして、再加速する。
【0021】
フロア50には、カメラ、LiDARを含む倉庫内センサ70が天井や壁に設置されている。
【0022】
これらの倉庫内センサ70は、常に、高速カート52A、および、ローカルカート52Bの車間距離、および、速度を計測する。倉庫内センサ70は、最高性能のカメラ、ソリッドステートLiDAR(light detection and ranging)、マルチカラーレーザ同軸変位計、又はその他様々なセンサの少なくとも1つを含む。また、倉庫内センサ70は、振動計、サーモカメラ、硬度計、レーダー、LiDAR、高画素・望遠・超広角・360度・高性能カメラ、ビジョン認識、微細音、超音波、振動、赤外線、紫外線、電磁波、温度、湿度、スポットAI天気予報、高精度マルチチャネルGPS、低高度衛星情報、および、ロングテールインシデントAI dataなどを含んでもよい。倉庫内センサ70は、複数のセンサを含んでもよい。
【0023】
倉庫内センサ70は、上記の情報のほかに、画像、距離、振動、熱、匂い、色、音、超音波、紫外線、又は赤外線等を検知してもよい。他に倉庫内センサ70が検知する情報としては、カートロボット52の重心移動、カートロボット52が設置される床の材質の検知、外気温度の検知、外気湿度の検知、床の上下横斜め傾き角度の検知、水分量の検知等が挙げられる。倉庫内センサ70は、これらの検知を例えばナノ秒毎に実施する。
【0024】
計測された各情報は、カートロボット52を制御するための情報として利用される。たとえば、計測された各情報は、高速カート52A、および、ローカルカート52Bを相互にシンクロナイズするための情報として利用される。
【0025】
フロア50は、カートロボット52のメンテナンス作業を行う基地100を有する。例えば、基地100には、メンテナンスに必要な機材が格納されており、メンテナンスを行う作業員が駐在している。フロア50では、基地100に帰還したカートロボット52のメンテナンス作業が行われる。なお、カートロボット52のメンテナンス作業は、ロボットによって行われるようにしてもよい。
【0026】
基地100には、メンテナンス作業中のカートロボット52に代わって作業を行う予備のカートロボット52を待機させておくようにしてもよい。なお、予備のカートロボット52は、フロア50を常に巡回しておくようにしてもよい。この場合、例えば、予備のカートロボット52は、作業中のカートロボット52が荷物を落とした場合に、当該カートロボット52に代わって荷物をピックアップするロボットであってもよい。
【0027】
また、後述するように、カートロボット52は、自装置に異常が生じた場合に、自走して基地100に帰還する。これにより、作業員は、基地100で待機していればよいので、作業の効率化を図ることができる。なお、フロア50内には、複数の基地100があってもよく、フロア50の外部に基地100を設けるようにしてもよい。
【0028】
カートロボット52は、
図2に示すように、走行車体10と、アーム11と、センサ12と、第1カメラ13と、第2カメラ14と、情報処理装置15(
図3参照)を備える。
図2は、実施形態に係るカートロボット52の斜視図である。なお、以下で説明するカートロボット52は、高速カート52A、および、ローカルカート52Bの少なくとも一方に適用される。
【0029】
走行車体10は、たとえば、上方が開口する箱形に形成される。走行車体10は、バスケット56を載置可能である。走行車体10には、複数の駆動輪10aが設けられる。各駆動輪10aには、モータがそれぞれ設けられる。各駆動輪10aの回転速度は、モータによって調整される。走行車体10は、各駆動輪10aの回転速度が調整されることで、前後方向、左右方向、および、斜め方向に走行可能である。また、走行車体10は、各駆動輪10aの回転速度が調整されることで、360度回転可能である。
【0030】
アーム11は、走行車体10に取り付けられる。アーム11の基端部が、走行車体10に取り付けられることで、アーム11は、走行車体10に固定される。たとえば、アーム11の基端部は、走行車体10の上端に取り付けられる。アーム11は、走行車体10に対して1つ設けられる。すなわち、カートロボット52は、1本のアーム11を備える。アーム11は、走行車体10の後方側に取り付けられる。たとえば、アーム11は、走行車体10の後端に取り付けられる。アーム11は、走行車体10の左右方向の中央付近に取り付けられる。
【0031】
アーム11が取り付けられる高さは、倉庫で働く作業員の肩の高さである。アーム11が取り付けられる高さは、倉庫で働く作業員の平均的な肩の高さである。たとえば、アーム11が取り付けられる高さは、床面から150cmである。たとえば、カートロボット52において走行車体10に取り付けられるアーム11の基端部の高さは、床面から150cmである。
【0032】
アーム11は、複数の棒部11aと、複数の関節部11bを有する。関節部11bは、たとえば、2つの棒部11aとの間に設けられ、2つの棒部11aを相対的に回転可能とする。各関節部11bは、モータを有する。各関節部11bによって、棒部11aが相対的に回転することで、アーム11は、伸縮し、360度回転可能となる。
【0033】
アーム11の先端部には、バスケット56を把持する把持部11cが設けられる。把持部11cは、たとえば、吸引することでバスケット56を把持する。なお、カートロボット52は、複数のアーム11を有してもよい。
【0034】
センサ12は、走行車体10に取り付けられる。センサ12は、走行車体10の前方側に設けられる。たとえば、センサ12は、走行車体10の前端に設けられる。センサ12は、走行車体10の上端に設けられる。センサ12は、走行車体10よりも上方に突出するように設けられてもよい。センサ12は、走行車体10の左右方向の中央付近に取り付けられる。たとえば、アーム11、および、センサ12は、走行車体10の対極に位置するように設けられる。センサ12の種類は、倉庫内センサ70と同様である。センサ12は、複数のセンサを含んでもよい。
【0035】
第1カメラ13は、アーム11の先端側に取り付けられる。第1カメラ13は、アーム11の先端側を撮影する。第1カメラ13は、少なくともアーム11によるバスケット56の把持位置を撮影する。第1カメラ13は、アーム11の把持部11cの周囲を撮影する。第1カメラ13によって撮影された画像は、情報処理装置15に送信される。第1カメラ13は、例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子と、レンズとを備える。なお、アーム11の先端側には、第1カメラ13に加えて、上記するセンサ12の少なくとも1つが取り付けられてもよい。
【0036】
第2カメラ14は、走行車体10に取り付けられる。第2カメラ14は、少なくとも走行車体10よりも上方を撮影するように構成される。第2カメラ14は、少なくとも走行車体10よりも上方側を第2カメラ14から俯瞰的に見た状態の画像を撮影する。具体的には、第2カメラ14は、アーム11の可動範囲を撮影するように構成される。すなわち、第2カメラ14は、少なくとも走行車体10よりも上方側におけるアーム11の可動範囲を撮影するように構成される。アーム11の可動範囲は、予め設定された範囲であり、アーム11がバスケット56を受け渡し可能な範囲である。第2カメラ14は、走行車体10の側方を撮影してもよい。
【0037】
第2カメラ14は、たとえば、撮像素子と、魚眼レンズとを備える。なお、第2カメラ14は、複数設けられてもよい。すなわち、複数の第2カメラ14によって、少なくとも走行車体10よりも上方側を第2カメラ14から俯瞰的に見た状態の画像が撮影されてもよい。
【0038】
情報処理装置15(制御装置)は、
図3に示すように、情報取得部150と、制御部152と、情報蓄積部154とを備える。
図3は、実施形態に係る情報処理装置15の制御系ブロック図である。
【0039】
情報取得部150は、センサ12、第1カメラ13、および、第2カメラ14によって検知された情報を取得する。情報取得部150は、第1カメラ13によって撮影された画像を取得する。情報取得部150は、第2カメラ14によって撮影された画像を取得する。情報取得部150は、倉庫内センサ70によって検知された情報を取得する。
【0040】
情報取得部150は、カートロボット52の動作を指示するコントロールセンタなどから送信される信号を取得する。
【0041】
制御部152は、コントロールセンタなどから送信され、情報取得部150によって取得された信号に基づいて、アーム11、および、走行車体10の動作を制御する。
【0042】
制御部152は、情報取得部150が取得した情報とAI(Artificial intelligence)とを用いて、アーム11の動作を制御する。制御部152は、アーム11の各関節部11bのモータを制御する。制御部152は、第1カメラ13によって撮影された画像、および、第2カメラ14によって撮影された画像を用いて、アーム11の動作を制御する。制御部152は、センサ12、および、倉庫内センサ70によって検知された情報を用いて、アーム11の動作を制御する。
【0043】
また、制御部152は、情報取得部150が取得した情報とAIとを用いて、走行車体10の動作を制御する。制御部152は、走行車体10の各駆動輪10aのモータを制御する。制御部152は、第1カメラ13によって撮影された画像、および、第2カメラ14によって撮影された画像を用いて、走行車体10の動作を制御する。制御部152は、センサ12、および、倉庫内センサ70によって検知された情報を用いて、走行車体10の動作を制御する。
【0044】
また、制御部152は、自装置に異常が生じた場合、走行車体10を制御し、基地100(
図1参照)に帰還させる。自装置の異常は、走行車体10およびアーム11の故障を含む。
【0045】
例えば、制御部152は、各種カメラによって自装置が撮影された画像に基づいて自装置の異常を検知する。制御部152は、画像とAIとを用いて自装置の異常を検知する。なお、この際、制御部152は、他のカートロボット52で撮影された画像に基づいて、自装置の異常を検知するようにしてもよい。
【0046】
例えば、他のカートロボット52は、作業中のカートロボット52であってもよく、各カートロボット52を撮影するためにフロア50内を巡回するカートロボット52であってもよい。
【0047】
また、制御部152は、例えば、音に基づいて自装置の異常を検知するようにしてもよい。例えば、制御部152は、モータ等の異常音の有無に基づいて、自装置の異常を検知する。なお、上記の異常検知処理については、コントロールセンタ(不図示)で行うようにしてもよい。
【0048】
制御部152は、自装置の異常を検知すると、走行車体10を制御し、カートロボット52を基地100に帰還させる。この際、制御部152は、現在のタスク終了後において基地100に帰還するようにしてもよく、タスクを中断して基地100に帰還するようにしてもよい。
【0049】
また、制御部152は、基地100に帰還する場合には、基地100やコントロールセンタ等に帰還する旨を通知する。例えば、かかる通知には、メンテナンスの予約や、異常の内容に関する情報が含まれる。これにより、基地100では、すみやかにメンテナンスを行うことが可能となる。
【0050】
また、制御部152は、タスクを中断して基地100に帰還する場合には、基地100に待機した予備のカートロボット52やその他のカートロボット52にタスクの引継ぎを行うようにしてもよい。ここでのタスクの引継ぎは、カートロボット52間の荷物の受け渡しを含む。
【0051】
その後、基地100において異常が解消された場合に、制御部152は、フロア50内の作業に復帰する。この際、制御部152は、中断したタスクから作業を再開するようにしてもよく、新たなタスクから作業を開始するようにしてもよい。
【0052】
また、制御部152は、異常の予兆を検知した場合に、基地100に帰還するようにしてもよい。たとえば、制御部152は、異常の予兆を学習したAIを用いて異常の予兆を検知する。
【0053】
つまり、この場合には、異常が生じる前にメンテナンスを受けることができるので、することができる。カートロボット52の異常を予め予防することができる。
【0054】
情報蓄積部154には、たとえば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子などの記憶媒体によって実現される。情報蓄積部154は、制御部152によって実行される各種のプログラムを記憶する。情報蓄積部154は、情報取得部150によって取得された情報を記憶する。
【0055】
次に、実施形態に係るカートロボット52の動作処理について
図4のフローチャートを用いて説明する。
図4は、実施形態に係るカートロボット52の動作処理を説明するフローチャートである。
【0056】
情報処理装置15は、自装置の異常検出に関する各種情報を取得する(S100)。情報処理装置15は、取得した各種情報に基づいて異常判定を行う(S101)。情報処理装置15は、異常判定の結果、異常有りか否かを判定する(S102)。
【0057】
情報処理装置15は、異常有りと判定した場合(S102;Yes)、基地100に帰還する(S103)。また、情報処理装置15は、異常なしと判定した場合(S102;No)、S100の処理に移行する。
【0058】
なお、S100~S102の処理については、コントロールセンタで行うようにしてもよい。この場合、各カートロボット52および倉庫内センサ70等によって検出された情報は、コントロールセンタに送信され、コントロールセンタで各カートロボット52の異常を検知した場合に、コントロールセンタからカートロボット52へ帰還指示が送信される。
【0059】
なお、情報処理装置15は、倉庫内センサ70によって検知された情報を用いて、アーム11の動作、および、走行車体10の動作を制御してもよい。
【0060】
たとえば、ローカルカート52Bが、貯蔵部54からバスケット56を取り出す場合、情報処理装置15は、センサ12によって取得された情報、第1カメラ13によって撮影された画像、および、第2カメラ14によって撮影された画像に基づいて、貯蔵部54から取り出すバスケット56に対する走行車体10の位置、および、貯蔵部54から取り出すバスケット56に対するアーム11の位置を決定する。
【0061】
そして、情報処理装置15は、決定した走行車体10の位置に走行車体10を移動させる。情報処理装置15は、走行車体10の移動に伴って、アーム11を、決定したアーム11の位置に移動させる。情報処理装置15は、貯蔵部54の配置、バスケット56の位置、他のローカルカート52Bの有無に応じて、走行車体10の動作、および、アーム11の動作を制御する。
【0062】
たとえば、ローカルカート52Bが、高速カート52Aにバスケット56を受け渡す場合、ローカルカート52Bの情報処理装置15は、センサ12によって取得された情報、第1カメラ13によって撮影された画像、および、第2カメラ14によって撮影された画像に基づいて、高速カート52Aに対するローカルカート52Bの走行車体10の位置、および、ローカルカート52Bのアーム11の位置を決定する。そして、ローカルカート52Bの情報処理装置15は、ローカルカート52Bの走行車体10の動作、および、ローカルカート52Bのアーム11の動作を制御する。
【0063】
なお、ローカルカート52Bが、高速カート52Aにバスケット56を受け渡す場合、高速カート52Aの情報処理装置15が、同様に、高速カート52Aのアーム11の動作を制御してもよい。なお、高速カート52Aの情報処理装置15は、高速カート52Aの走行車体10の動作を制御する。
【0064】
カートロボット52は、荷物の受け渡しを行うアーム11と、アームが取り付けられ、荷物を載置可能な走行車体と、自装置に異常が生じた場合に、走行車体10を制御し、基地100に帰還させる情報処理装置15(制御装置の一例)とを備える。
【0065】
また、情報処理装置15は、自装置を基地100に帰還させる場合に、メンテナンス依頼を行う。また、情報処理装置15は、自装置を撮影したカメラ画像から自装置の異常が検知された場合に、基地100に帰還させる。
【0066】
また、情報処理装置15は、自装置で撮影したカメラ画像または他のカートロボットで撮影されたカメラ画像から自装置の異常が検知された場合に、基地100に帰還させる。また、情報処理装置15は、自装置の異常に関する前兆が生じた場合に、基地100に帰還させる。また、情報処理装置15は、自装置を基地100に帰還させる場合に、現在のタスクを他のカートロボットに引き継ぐ。
【0067】
これにより、カートロボット52は、アーム11の動作を精度よく行うことができる。
【0068】
図5は、情報処理装置15として機能するコンピュータ1200のハードウェア構成の一例を概略的に示す図である。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200を、本実施形態に係る装置の1又は複数の「部」として機能させ、又はコンピュータ1200に、本実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、および/又はコンピュータ1200に、本実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャートおよびブロック図のブロックのうちのいくつか又は全てに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0069】
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、RAM1214、およびグラフィックコントローラ1216を含み、それらはホストコントローラ1210によって相互に接続されている。コンピュータ1200はまた、通信インタフェース1222、記憶装置1224、DVDドライブ、およびICカードドライブのような入出力ユニットを含み、それらは入出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続されている。DVDドライブは、DVD-ROMドライブおよびDVD-RAMドライブ等であってよい。記憶装置1224は、ハードディスクドライブおよびソリッドステートドライブ等であってよい。コンピュータ1200はまた、ROM1230およびキーボードのような入出力ユニットを含み、それらは入出力チップ1240を介して入出力コントローラ1220に接続されている。
【0070】
CPU1212は、ROM1230およびRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ1216は、RAM1214内に提供されるフレームバッファ等又はそれ自体の中に、CPU1212によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス1218上に表示されるようにする。
【0071】
通信インタフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。記憶装置1224は、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVDドライブは、プログラム又はデータをDVD-ROM等から読み取り、記憶装置1224に提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取り、および/又はプログラムおよびデータをICカードに書き込む。
【0072】
ROM1230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、および/又はコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ1240はまた、様々な入出力ユニットをUSBポート、パラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ1220に接続してよい。
【0073】
プログラムは、DVD-ROM又はICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもある記憶装置1224、RAM1214、又はROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0074】
例えば、通信がコンピュータ1200および外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、記憶装置1224、DVD-ROM、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0075】
また、CPU1212は、記憶装置1224、DVDドライブ(DVD-ROM)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0076】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0077】
上記したプログラム又はソフトウエアモジュールは、コンピュータ1200上又はコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ1200に提供する。
【0078】
本実施形態におけるフローチャートおよびブロック図におけるブロックは、オペレーションが実行されるプロセスの段階又はオペレーションを実行する役割を持つ装置の「部」を表してよい。特定の段階および「部」が、専用回路、コンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/又はコンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/又はアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/又はディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、およびプログラマブルロジックアレイ(PLA)等のような、論理積、論理和、排他的論理和、否定論理積、否定論理和、および他の論理演算、フリップフロップ、レジスタ、並びにメモリエレメントを含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0079】
コンピュータ可読記憶媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0080】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかを含んでもよい。
【0081】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路が、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を生成するために当該コンピュータ可読命令を実行すべく、ローカルに又はローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路に提供されてよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0082】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0083】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階などの各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」などと明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」などを用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0084】
10 走行車体
11 アーム
12 センサ
15 情報処理装置(制御装置)
52 カートロボット
52A 高速カート
52B ローカルカート