(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077220
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】コンピュータプログラム、それに用いるゲームシステム、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0488 20220101AFI20240531BHJP
A63F 13/2145 20140101ALI20240531BHJP
A63F 13/426 20140101ALI20240531BHJP
A63F 13/214 20140101ALI20240531BHJP
A63F 13/52 20140101ALI20240531BHJP
G06F 3/04847 20220101ALI20240531BHJP
【FI】
G06F3/0488
A63F13/2145
A63F13/426
A63F13/214
A63F13/52
G06F3/04847
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189169
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000169477
【氏名又は名称】株式会社コナミアミューズメント
(74)【代理人】
【識別番号】100099645
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100161090
【弁理士】
【氏名又は名称】小田原 敬一
(72)【発明者】
【氏名】右寺 修
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA02
5E555AA08
5E555BA02
5E555BA05
5E555BA06
5E555BA20
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5E555BB05
5E555BB06
5E555BB20
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5E555CC01
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5E555DC26
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5E555DC36
5E555DC37
5E555DC84
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】強調条件を利用して、基準位置の認識し易さを変化させることができるコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】コンピュータプログラムPG2は、タッチ操作を検出するタッチセンサ46と、タッチ操作をプレイ行為として判定するための判定範囲65を含む対戦画面50とを通じて、ゲームを提供するユーザ端末装置4の制御ユニット41を次のような手段として機能させる。すなわち、コンピュータプログラムPG2は、タッチセンサ46の検出結果に基づいて対戦画面50におけるタッチ操作の位置を判別する手段、及びそのタッチ操作の位置が所定の強調条件を満たす場合に、判定範囲65に含まれる操作部オブジェクト61の初期位置63を強調状態に変更する手段として制御ユニット41を機能させる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ操作を検出するタッチセンサと、前記タッチ操作をプレイ行為として判定するための判定範囲を含むタッチ用画面を表示する表示装置とを通じて、ゲームを提供するゲームシステムに組み込まれるコンピュータを、
前記タッチセンサの検出結果に基づいて前記タッチ用画面における前記タッチ操作の位置を判別する位置判別手段、及び
前記タッチ操作の位置が所定の強調条件を満たす場合に、前記判定範囲に含まれる基準位置を、前記強調条件を満たす前よりも強調する強調状態に変更する状態変更手段として機能させるように構成された、コンピュータプログラム。
【請求項2】
前記判定範囲には、前記基準位置に配置され、前記タッチ操作に伴い当該タッチ操作の位置に移動するように表示される操作部オブジェクトと、当該操作部オブジェクトの移動可能な範囲として前記基準位置を基準に設定される移動範囲と、が含まれ、
前記強調条件は、前記タッチ操作の位置が前記移動範囲の外側である場合に満たされる、請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項3】
前記タッチ操作として、前記操作部オブジェクトへのタッチを維持した状態で当該操作部オブジェクトの位置を移動させるようにスライドさせるスライド操作が実行され、
前記操作部オブジェクトは、前記移動範囲の内側において前記スライド操作とともに移動する一方で、前記移動範囲の外側まで前記スライド操作が実行された場合に当該スライド操作の位置から離れて前記移動範囲の境界位置にとどまり、更に前記スライド操作が前記判定範囲の外側まで至った後に前記基準位置に戻るように表示される、請求項2に記載のコンピュータプログラム。
【請求項4】
前記表示装置は、前記基準位置と前記タッチ操作の位置との間のズレの状態に応じて操作される操作対象を含むゲーム画面を表示し、
前記ゲームは、前記操作対象を介して進行するように提供される、請求項3に記載のコンピュータプログラム。
【請求項5】
前記ゲーム画面は、前記判定範囲を含み、前記タッチ用画面として機能する、請求項4に記載のコンピュータプログラム。
【請求項6】
前記強調状態は、前記基準位置と前記タッチ操作の位置との間のズレの程度が大きくなるに従って強調の程度が大きくなるように変化する、請求項1~5のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項7】
前記強調状態は、所定の配色により実現される、請求項1~5のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項8】
前記強調状態は、前記強調条件を満たす前よりも前記基準位置の表示範囲が拡大された拡大表示により実現される、請求項1~5のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項9】
前記強調状態は、前記基準位置を点滅させる点滅表示により実現される、請求項1~5のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記強調状態は、前記強調条件を満たす前よりも前記基準位置の明度を低くする明度の変化により実現される、請求項1~5のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項11】
前記強調状態は、前記強調条件を満たす前よりも前記基準位置の透明度を低くする透明度の変化により実現される、請求項1~5のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項12】
タッチ操作を検出するタッチセンサと、前記タッチ操作をプレイ行為して判定するための判定範囲を含むタッチ用画面を表示する表示装置とを通じて、ゲームを提供するゲームシステムであって、
前記タッチセンサの検出結果に基づいて前記タッチ用画面における前記タッチ操作の位置を判別する位置判別手段と、
前記タッチ操作の位置が所定の強調条件を満たす場合に、前記判定範囲に含まれる基準位置を、前記強調条件を満たす前よりも強調する強調状態に変更する状態変更手段と、
を備える、ゲームシステム。
【請求項13】
タッチ操作を検出するタッチセンサと、前記タッチ操作をプレイ行為して判定するための判定範囲を含むタッチ用画面を表示する表示装置とを通じて、ゲームを提供するゲームシステムに組み込まれるコンピュータに、
前記タッチセンサの検出結果に基づいて前記タッチ用画面における前記タッチ操作の位置を判別する位置判別手順と、
前記タッチ操作の位置が所定の強調条件を満たす場合に、前記判定範囲に含まれる基準位置を、前記強調条件を満たす前よりも強調する強調状態に変更する状態変更手順と、
を実行させる、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチ操作を検出するタッチセンサと、そのタッチ操作をプレイ行為として判定するための判定範囲を含むタッチ用画面を表示する表示装置とを通じて、ゲームを提供するゲームシステムに適用されるコンピュータプログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチ操作を検出するタッチセンサと、そのタッチ操作をプレイ行為として判定するための判定範囲を含むタッチ用画面を表示する表示装置とを通じて、ゲームを提供するゲームシステムが存在する。例えば、このようなタッチ用画面としても機能するゲーム画面を通じて各種のゲームを提供する装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置では、ゲーム画面に表示される仮想コントローラへの操作を通じてプレイヤキャラクタを操作するゲームが提供される。具体的には、ゲーム画面は略円形の仮想コントローラを含み、その仮想コントローラは中心を初期位置とする操作部を含み、その操作部へのドラッグ操作(ゲーム画面を押下した状態を継続して、押下位置を変更する操作)を通じてプレイヤキャラクタが操作される。例えば、操作部の初期位置(初期押下位置)から現在の押下位置までの方向がプレイヤキャラクタの移動方向に反映され、操作部の初期位置から現在の押下位置までの距離に応じて歩行、或いは走行のいずれかにて実際にプレイヤキャラクタが移動する。また、操作部の初期位置から現在の押下位置までの距離に応じて仮想コントローラの透明度が増加、或いは減少する場合もある。これにより、走行動作の明示と、視認性の向上とが図られている。しかし、透明度が変化する場合でも、その変化は仮想コントローラの全体に一様に生じ、特に操作部の初期位置、つまり操作量等の基準となる位置は意識されていない。
【0005】
そもそも仮想コントローラへの押下(タッチ操作)の場合、物理的なコントローラと比べて感触や感覚等といった情報が少なく、自己の操作の認識が難しい傾向にある。結果としてタッチ操作が意図しない位置にずれ、意図しない操作につながってしまう可能性がある。例えば、特許文献1のような仮想コントローラの場合、操作量等の基準となる初期位置とタッチ操作の位置との間の関係が分かり難くなってしまう。しかし、特許文献1では、このような初期位置の認識のし易さは特に意識されておらず、たとえ仮想コントローラの透明度が変化したとしてもその分かり難さは変わらない。
【0006】
そこで、本発明は、強調条件を利用して、基準位置の認識し易さを変化させることができるコンピュータプログラム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のコンピュータプログラムは、タッチ操作を検出するタッチセンサと、前記タッチ操作をプレイ行為として判定するための判定範囲を含むタッチ用画面を表示する表示装置とを通じて、ゲームを提供するゲームシステムに組み込まれるコンピュータを、前記タッチセンサの検出結果に基づいて前記タッチ用画面における前記タッチ操作の位置を判別する位置判別手段、及び前記タッチ操作の位置が所定の強調条件を満たす場合に、前記判定範囲に含まれる基準位置を、前記強調条件を満たす前よりも強調する強調状態に変更する状態変更手段として機能させるように構成された、ものである。
【0008】
また、本発明のゲームシステムは、タッチ操作を検出するタッチセンサと、前記タッチ操作をプレイ行為して判定するための判定範囲を含むタッチ用画面を表示する表示装置とを通じて、ゲームを提供するゲームシステムであって、前記タッチセンサの検出結果に基づいて前記タッチ用画面における前記タッチ操作の位置を判別する位置判別手段と、前記タッチ操作の位置が所定の強調条件を満たす場合に、前記判定範囲に含まれる基準位置を、前記強調条件を満たす前よりも強調する強調状態に変更する状態変更手段と、を備える、ものである。
【0009】
一方、本発明の制御方法は、タッチ操作を検出するタッチセンサと、前記タッチ操作をプレイ行為して判定するための判定範囲を含むタッチ用画面を表示する表示装置とを通じて、ゲームを提供するゲームシステムに組み込まれるコンピュータに、前記タッチセンサの検出結果に基づいて前記タッチ用画面における前記タッチ操作の位置を判別する位置判別手順と、前記タッチ操作の位置が所定の強調条件を満たす場合に、前記判定範囲に含まれる基準位置を、前記強調条件を満たす前よりも強調する強調状態に変更する状態変更手順と、を実行させるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一形態に係るコンピュータプログラムが適用されるネットワークシステムの概略構成を示す図。
【
図2】ネットワークシステムの制御系の要部を示す機能ブロック図。
【
図4】初期位置に生じる強調状態の一例を説明するための説明図。
【
図5】状態変更処理の手順の一例を示すフローチャート。
【
図6】判定範囲の位置が可変的な場合を説明するための説明図。
【
図8】仮想コントローラの変形例を説明するための説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(ネットワークシステムの全体構成)
以下、本発明の一形態に係るコンピュータプログラムが適用されるゲームシステムを含むネットワークシステムの一例を説明する。まず、
図1を参照して、本発明の一形態に係るネットワークシステムの全体構成を説明する。ネットワークシステム1は、サーバ装置としてのセンターサーバ2を含んでいる。なお、センターサーバ2は、複数のコンピュータ装置としてのサーバユニットが組み合わされることにより一台の論理的なサーバ装置として構成されてもよい。あるいは、クラウドコンピューティングを利用して論理的にセンターサーバ2が構成されてもよい。
【0012】
センターサーバ2には、ネットワーク3を介してユーザ端末装置4が接続される。ユーザ端末装置4は、本発明の一形態に係るゲームシステムの一例である。ゲームシステムには所定の対価の支払いと引き換えにそのプレイ料金に対応した範囲でユーザにゲームをプレイさせる業務用ゲーム機(アーケードゲーム機)等の各種のゲーム装置等が含まれるが、
図1の例ではユーザ端末装置4が示されている。ユーザ端末装置4は、ネットワーク3を介して接続可能なクライアント装置として機能するコンピュータ装置であり、ユーザの個人用途に供される。ユーザ端末装置4は、各種のコンピュータソフトウエア(アプリケーション)を実装することにより、センターサーバ2が提供する種々のサービスをユーザに享受させることが可能である。例えば、ユーザ端末装置4は、このようなサービスの一つとして、有償或いは無償のゲームを提供する。つまり、ユーザ端末装置4は、ゲーム用のソフトウエア(ゲームアプリと呼ぶ場合がある)を通じてゲーム装置として機能する。
【0013】
ユーザ端末装置4は、据置型又はブック型のパーソナルコンピュータ、あるいは携帯電話のようなモバイル端末装置、据置型の家庭用ゲーム機、携帯型ゲーム機、携帯型タブレット端末装置といった、ネットワーク接続が可能でかつユーザの個人用途に供される各種のコンピュータ装置を含んでいる。これらが適宜にユーザ端末装置4として機能し得るが、
図1の例ではスマートフォン(携帯電話)が示されている。また、センターサーバ2には適宜に数のユーザ端末装置4が接続され得るが、
図1の例では複数台のユーザ端末装置4が示されている。以下、ユーザ端末装置4の一例としてスマートフォンが使用される場合について説明する。
【0014】
ネットワーク3は、センターサーバ2に対してユーザ端末装置4を接続させることができる限り、適宜に構成されてよい。一例として、ネットワーク3は、TCP/IPプロトコルを利用してネットワーク通信を実現するように構成される。典型的には、WANとしてのインターネットと、LANとしてのイントラネットと、を組み合わせてネットワーク3が構成される。
図1の例では、センターサーバ2はルータ3aを介して、ユーザ端末装置4はアクセスポイント3bを介して、それぞれネットワーク3に接続されている。なお、ネットワーク3は、TCP/IPプロトコルを利用する形態に限定されない。ネットワーク3として、通信用の有線回線、或いは無線回線(赤外線通信、近距離無線通信等を含む)等を利用する各種の形態が利用されてよい。
【0015】
センターサーバ2は、ネットワーク3を介してユーザ端末装置4のユーザに各種のWebサービスを提供する。Webサービスは、ユーザ端末装置4に各種データ或いはソフトウエアを配信(ゲームアプリのダウンロード、或いはダウンロード済のデータ等のアップデートを含む)する配信サービスを含んでいる。ゲームアプリはオフライン(ネットワーク3と非接続)にてゲームを提供可能であってもよいが、ゲームがオンラインで提供される場合には配信サービスが提供する各種データにはゲームの進行に必要な各種情報が含まれ、配信サービスを介してゲームのプレイが提供される。なお、Webサービスは、例えばその他にもユーザによる情報発信、交換、共有といった交流の場を提供するコミュニティサービス、各ユーザを識別するためのユーザIDを付与するサービス、或いは複数のユーザによってゲームがプレイされる場合にその複数のユーザをマッチングするマッチングサービス等のサービスが適宜に含まれ得る。
【0016】
(ネットワークシステムの制御系)
次に、
図2を参照してネットワークシステム1の制御系の要部を説明する。まず、センターサーバ2には、制御ユニット21、及び記憶手段としての記憶部22が設けられる。制御ユニット21は、所定のコンピュータプログラムに従って各種の演算処理及び動作制御を実行するプロセッサの一例としてのCPUと、その動作に必要な内部メモリその他の周辺装置とを組み合わせたコンピュータとして構成されている。
【0017】
記憶部22は、ハードディスクアレイ等の不揮発性記憶媒体(コンピュータ読み取り可能な記憶媒体)を含んだ記憶ユニットによって実現される外部記憶装置である。記憶部22は、一の記憶ユニット内に全てのデータを保持するように構成されてもよいし、複数の記憶ユニットにデータを分散して記憶するように構成されてもよい。記憶部22には、ユーザに各種のサービスを提供するために必要な各種の処理を制御ユニット21に実行させるコンピュータプログラムの一例として、プログラムPG1が記録される。また、記憶部22には、各種のサービスの提供に必要なサーバデータSDが記憶される。そのようなサーバデータSDはWebサービス用の各種のデータを適宜に含み得るが、
図2の例ではプレイデータPDが示されている。
【0018】
プレイデータPDは、各ユーザの過去のプレイ実績に関する情報が記述されたデータである。プレイデータPDは、例えば、前回までのプレイ結果(過去の実績)を次回以降に引き継ぐため、或いは各ユーザに固有の設定内容を引き継ぐために使用される。なお、サーバ用データには、例えばその他にもユーザID等の各種IDを管理するためのIDデータ、BGM等の楽曲を含む各種音声を再生する音声データ、或いは各種画像を表示するための画像データといったデータが適宜に含まれ得る。
【0019】
制御ユニット21には、制御ユニット21のハードウエア資源とソフトウエア資源としてのプログラムPG1との組合せによって実現される論理的装置として、Webサービス管理部25が設けられる。Webサービス管理部25は、上述のWebサービスを実現するための各種の処理を実行する。そのような処理には、例えば配信サービスを実現するための処理が含まれる。なお、制御ユニット21には、キーボード等の入力装置、モニタ等の出力装置等が必要に応じて接続され得る。しかし、それらの図示は省略した。
【0020】
ユーザ端末装置4には、コンピュータとしての制御ユニット41と、記憶手段としての記憶部42とが設けられる。制御ユニット41は、所定のコンピュータプログラムに従って各種の処理を実行するプロセッサの一例としてのCPUと、その動作に必要な内部メモリその他の周辺装置とを組み合わせたコンピュータとして構成されている。
【0021】
記憶部42は、ハードディスク、半導体記憶装置といった不揮発性記憶媒体(コンピュータ読み取り可能な記憶媒体)を含んだ記憶ユニットによって実現される外部記憶装置である。記憶部42には、ユーザに各種のサービスを提供するために必要な各種の処理を制御ユニット41に実行させるコンピュータプログラムの一例として、プログラムPG2が記録される。また、記憶部42には、ゲームの提供に必要なゲームデータGDが記録される。ゲームデータGDは適宜の手法により記憶部42に記憶されてよく、例えば各種の記録媒体を介して記憶部42に記憶されてもよいが、一例として必要な部分を含むように配信サービスを通じてセンターサーバ2から提供される。そのようなゲームデータGDには、ゲーム用の各種のデータが含まれ得るが、
図2の例ではプレイデータPDが示されている。なお、ゲームデータGDには、例えばその他にも上述のID管理データ、音声データ、及び画像データといったゲームのための各種のデータが適宜に含まれ得る。しかし、これらの図示は省略した。
【0022】
制御ユニット41には、制御ユニット41のハードウエア資源とソフトウエア資源としてのプログラムPG2との組合せによって各種の論理的装置が構成される。そして、それらの論理的装置を通じてゲームの提供に必要な各種の処理(センターサーバ2のWebサービス管理部25が提供するWebサービスを享受するために必要な処理を含む)が実行される得るが、
図2の例ではゲーム提供部43が示されている。
【0023】
ゲーム提供部43は、ゲームを提供するための各種の処理を実行する。このような処理には、ゲーム画面を表示するための処理が含まれる。ゲーム画面はゲーム用の各種の画像等を適宜に含み得るが、例えばタッチセンサ46を介してタッチ操作がプレイ行為として入力される場合、判定範囲を含む。判定範囲は、タッチ操作をプレイ行為として判定するための範囲である。判定範囲はゲームのプレイ状況等に応じて適宜に表示されてよく、その詳細は後述するが、タッチ操作の位置を所定のプレイ行為として判別するための基準位置を含んでいる。また、その基準位置は、タッチ操作の状況に応じて強調状態に変化する場合がある。このため、ゲーム提供部43が実行する処理には、このような強調状態を実現するための処理が含まれる。例えば、ゲーム提供部43は、このような処理として状態変更処理を実行する。状態変更処理の手順の詳細は後述する。
【0024】
また、ユーザ端末装置4にはその種類に応じて各種の出力装置、及び入力装置が適宜に設けられ得るが、
図2の例ではモニタ47、スピーカSP、及びタッチセンサ46が示されている。これらはいずれも一般的なスマートフォンに設けられる汎用的なハードウエアであるが、モニタ47、及びスピーカSPは出力装置の一例であり、タッチセンサ46は入力装置の一例である。モニタ47、及びスピーカSPは、それぞれゲーム画面等を表示するための周知の表示装置、及び音声を再生するための周知の音声再生装置である。同様に、タッチセンサ46は、モニタ47の表示面を覆うように配置され、ユーザのタッチ操作(指で触れる操作)を検出し、その位置に応じた信号を出力する入力装置である。モニタ47、スピーカSP、及びタッチセンサ46はいずれも制御ユニット41に接続され、制御ユニット41からの信号に応じて動作したり、制御ユニット41に各種の信号を入力したりする。
【0025】
(ゲーム画面)
次に、
図3を参照して、ゲーム画面について説明する。ユーザ端末装置4はゲームアプリを介して、ロールプレイングゲーム、シミュレーションゲーム、或いは音楽ゲームといった各種のゲームを適宜に提供し得るが、
図3の例ではアクションゲームを提供する場合を示している。アクションゲームは、ユーザのプレイ行為(タッチ操作)によって操作されるキャラクタを介して進行するタイプのゲームである。アクションゲームは一人プレイ、或いは協力型のマルチプレイ(複数プレイ)といった適宜の形式で提供されてよいが、
図3の例では対戦型のマルチプレイにて提供される場合を示している。
【0026】
図3は、対戦画面の一例を模式的に示す図である。対戦画面50は、複数のユーザが複数のキャラクタを介して対戦するためのゲーム画面である。ゲーム画面はゲームに関する各種の画面を適宜に含み得るが、対戦型にてプレイされる場合、このような対戦画面50を含んでいる。
図3に示すように、対戦画面50は、ゲームフィールドGF、キャラクタ画像51、ターゲットマーク52、ライフゲージ53、キャラクタ拡大画像54、及びバーチャルパッド60を含んでいる。ゲームフィールドGFは、各キャラクタを介した対戦が実行される舞台として設定される範囲である。各キャラクタはゲームフィールドGF内において移動可能である。
【0027】
キャラクタ画像51は、各キャラクタを示す画像である。キャラクタ画像51は、味方キャラクタ画像51Aと、敵キャラクタ画像51Bと、を含んでいる。対戦画面50では、各キャラクタは味方キャラクタと敵キャラクタとに分類される。味方キャラクタ画像51A、及び敵キャラクタ画像51Bは、各キャラクタのうち味方キャラクタ、及び敵キャラクタにそれぞれ対応する画像である。
【0028】
味方キャラクタは、対戦画面50にてゲームをプレイするユーザに対応するキャラクタである。味方キャラクタは、タッチ操作を通じてユーザによって直接的に操作される。対戦画面50には、適宜の数の味方キャラクタが登場してよく、1体多、多対多等の適宜の形式で対戦が実現されてよいが、一例として三体の味方キャラクタが登場する。これらの味方キャラクタはゲームフィールドGFに同時に登場してもよいが、一例として一体ずつ順に登場する。具体的には、ゲームフィールドGF上の一体の味方キャラクタが敵キャラクタに倒されると次の味方キャラクタがゲームフィールドGFに登場する。このため、
図3の例では一体の味方キャラクタ画像51A(一体の味方キャラクタ)が示されている。
【0029】
一方、敵キャラクタは、味方キャラクタの敵に対応するキャラクタである。対戦画面50には適宜の数の敵キャラクタが登場してよいが、
図3の例では複数の敵キャラクタ画像51B(複数の敵キャラクタ)が示されている。つまり、一体の味方キャラクタ対複数の敵キャラクタ(1体多)の対戦が実行される場合が示されている。この場合において、各敵キャラクタの動作は適宜に実現されてよく、コンピュータ制御による自動動作によって実現されても、対戦相手のユーザによる直接操作によって実現されてもよいが、一例としてキャラクタ毎にそれらが使い分けられて実現される。つまり、対戦画面50には、対戦相手のユーザに対応する敵キャラクタとコンピュータ制御の敵キャラクタとが混在している。
【0030】
ターゲットマーク52は味方キャラクタの攻撃対象を示すマーク(画像)である。味方キャラクタは、ターゲットマーク52が重畳的に表示されている対象に攻撃を実行する。味方キャラクタの攻撃対象は適宜にユーザに通知されてよく、例えば通知されなくてもよいが、一例としてこのようなターゲットマーク52を通じて通知される。また、ターゲットマーク52はユーザによって直接操作されても、味方キャラクタの動作に伴いその動作に付随するように自動で操作されてもよい。
【0031】
ライフゲージ53は、攻撃を受けることによって減少するライフポイント(体力)を示すゲージである。ライフゲージ53は、味方ライフゲージ53Aと、敵ライフゲージ53Bとを含んでいる。味方ライフゲージ53Aは味方キャラクタのライフポイントを、敵ライフゲージ53Bは敵キャラクタのライフポイントを、それぞれ示すライフゲージ53である。敵ライフゲージ53Bはコンピュータ制御の敵キャラクタにも表示されてよいが、一例として対戦相手のユーザに対応する敵キャラクタにのみ表示される。
【0032】
ライフポイントがゼロになると、対戦継続不可(倒された)と判断される。複数の味方キャラクタは一体ずつフィールドに表示されるため、フィールド外で待機する待機の味方キャラクタとフィールドの登場する味方キャラクタとに分類される。待機の味方キャラクタとフィールドの味方キャラクタとは適宜に交代されてよいが、一例として対戦継続不可の場合にその対戦継続不可のキャラクタは予め指定された順番に従って次の待機の味方キャラクタと交代される。ユーザ間の勝敗は適宜に判定され得るが、一例としてフィールドにて対戦継続可能なキャラクタが存在しなくなった方が負けと判定される。
【0033】
キャラクタ拡大画像54は、味方キャラクタ画像51Aを拡大して表示する画像である。味方キャラクタ画像51Aは適宜に動作する画像(動画)として機能するが、キャラクタ拡大画像54は静止画として味方キャラクタ画像51Aの一部(例えば上半身)を拡大して表示する。キャラクタ拡大画像54は適宜の時期に一時的に表示されてもよいし、常時表示されてもよい。また、敵キャラクタにもキャラクタ拡大画像54が表示されてよいが、
図3の例では味方キャラクタにのみ表示されている。
【0034】
バーチャルパッド60は、プレイ行為が実行されるべき仮想的なコントローラとして機能する画像である。例えばユーザ端末装置4に複数の表示装置が設けられ、それらが対戦用と操作用とに使い分けられる場合等、バーチャルパッド60は対戦画面50とは別の画面に表示されてもよいが、
図3の例では対戦画面50に含まれ、その一部として表示されている。また、対戦画面50においてバーチャルパッド60は適宜の位置に配置されてよく、例えばタッチ操作等を基準に可変的に配置されてもよいが、
図3の例では所定の位置(右側の敵ライフゲージ53Bと干渉しない程度の下方)に配置されている。対戦画面50では、アイテムの使用や攻撃方法の選択といった各種のプレイ行為がタッチ操作を介して入力され得る。このため、これらのプレイ行為の種類に応じてそれらが実行されるべき各種の仮想的なコントローラ(単なる押しボタンに対応する画像を含む)が対戦画面50に適宜に設けられ得る。このような仮想コントローラのうちバーチャルパッド60は方向及び程度の入力に使用される仮想的なコントローラである。バーチャルパッド60は、各種指定用のカーソルの移動等、適宜に使用され得るが、例えばゲームフィールドGFにおける味方キャラクタ(味方キャラクタ画像51A)の移動方向、及び移動速度の入力に使用される。つまり、バーチャルパッド60には、一例として味方キャラクタを移動させるためのタッチ操作(以下、移動操作と呼ぶ場合がある)が入力される。
【0035】
バーチャルパッド60は適宜に形成され得るが、一例として円形に形成され、操作部オブジェクト61、移動境界オブジェクト62、及び判定範囲65を含んでいる。操作部オブジェクト61は、味方キャラクタの移動方向、及び移動速度を指示するためのオブジェクトである。このため、ユーザには、移動操作として、この操作部オブジェクト61を移動させる操作が要求される。具体的には、操作部オブジェクト61は初期においてバーチャルパッド60の中心位置に配置される。ユーザには、初期位置(中心位置)の操作部オブジェクト61にタッチし、そのタッチを維持した状態で操作部オブジェクト61を移動させるように指(タッチ)をスライドさせるスライド操作が移動操作として要求される。移動操作として適宜の操作が採用されてよく、例えば操作部オブジェクト61の移動先を指定する単なるタッチ操作が採用されてもよいが、一例としてこのようなスライド操作が採用される。
【0036】
操作部オブジェクト61へのスライド操作は味方キャラクタの移動方向、及び移動速度の指示として適宜に使用され得るが、一例として初期位置からの操作部オブジェクト61(タッチ位置)の移動方向、及び移動量が、それぞれ味方キャラクタの移動方向、及び移動速度の指示として使用される。つまり、初期位置が操作量等の基準となる基準位置として機能し、その基準位置(初期位置)と操作部オブジェクト61(タッチ位置)との間のズレの状態に応じて移動方向、及び移動速度が指示される。操作部オブジェクト61は適宜の形状に形成されてよいが、
図3の例では円形に形成されている。
【0037】
移動境界オブジェクト62は、操作部オブジェクト61が移動可能な移動範囲の境界を示すオブジェクトである。つまり、移動境界オブジェクト62の内側が移動範囲であり、操作部オブジェクト61は移動境界オブジェクト62よりも外側(移動範囲の外)には移動できない。移動範囲は初期位置(基準位置)を基準にその周辺に設定される。移動範囲は適宜の形状に形成され得るが、
図3の例では操作部オブジェクト61と同様の円形に形成されている。このため、移動境界オブジェクト62もその境界を示すように円形に形成されている。
【0038】
判定範囲65は、タッチ操作を移動操作と判定するための範囲である。判定範囲65は移動範囲と一致していてもよいが、
図3の例では移動範囲を含むその周囲に及ぶ範囲に形成されている。また、判定範囲65の形状は適宜であってよいが、
図3の例では矩形に形成されている。より具体的には、バーチャルパッド60の中心位置(操作部オブジェクト61の初期位置)を基準にそこを中心とする略正方形に形成されている。このため、ユーザの移動操作は移動境界オブジェクト62の内側に制限されず、その外側においても判定範囲65の境界までの任意の位置まで許容される。ただし、操作部オブジェクト61の移動範囲は移動境界オブジェクト62の内側に制限される。このため、移動範囲の外側では操作部オブジェクト61はスライド操作の位置から離れ、移動範囲内にとどまる。一方で、味方キャラクタの移動速度は操作部オブジェクト61と初期位置との間の距離に応じて決定される。このため、判定範囲65内であれば移動操作に対応するタッチ操作と判定されるが、移動範囲の外側までスライド操作がされてもその外側におけるスライド操作は味方キャラクタの移動速度に反映されない。判定範囲65については更に後述する。
【0039】
また、対戦画面50には、例えば対戦パートにおける対戦の残り時間を示す時刻画像55、或いは対戦相手のユーザに対応する敵キャラクタの位置を示すレーダー画像56といった、対戦を補助するための各種の補助情報が適宜に表示される。そのような補助情報には、例えばその他にもユーザの名称を示す情報、各キャラクタの名前の情報、待機中の味方キャラクタが存在する場合にその味方キャラクタを示す情報(例えば画像)といった各種の情報が適宜に含まれる。この例において対戦画面50が、本発明のタッチ用画面、及びゲーム画面の両方として機能する。また、味方キャラクタ画像51Aが、本発明の操作対象として機能する。
【0040】
(判定範囲の詳細)
次に、
図4を参照して、判定範囲65の詳細について、そこに含まれるバーチャルパッド60の詳細とともに説明する。判定範囲65、及びバーチャルパッド60の機能は上述のとおりであるが、判定範囲65(バーチャルパッド60)は、タッチ操作の位置に応じて操作部オブジェクト61の初期位置を強調する状態に変化する場合がある。この状態では、操作部オブジェクト61の初期位置(基準位置)の状態が初期状態よりも強調された(目立つ)強調状態に変化する。強調状態は、初期位置とタッチ操作の位置との間のズレの状態が所定の強調条件を満たす場合に生じる状態である。例えば、上述のとおり移動範囲の外側へのスライド操作は味方キャラクタの移動速度に反映されず、効果的ではない。このため、その種の操作(例えば初期位置とタッチ操作の位置との間の距離が一定以上に相当する操作)はユーザに認識された方がよい場合が多い。タッチ操作の種類によって初期位置との間の角度が同種の認識の対象になる場合もある。このため、初期位置とタッチ操作の位置との間のズレの状態が強調状態を通じて通知される。
【0041】
図4は、初期位置に生じる強調状態の一例を説明するための説明図である。
図4の例において(A)~(E)は、スライド操作(タッチ操作)の時系列の変化をそれぞれ示している。例えば、
図4の(A)はスライド操作の開始時を示している。この場合、
図4の(A)に示すように、バーチャルパッド60を含む判定範囲65は初期状態を示すように表示される。具体的には、操作部オブジェクト61は初期位置に配置されている。このため、ユーザは、その操作部オブジェクト61に対してスライド操作を開始する。
【0042】
図4の(B)は、移動範囲内でスライド操作が実行されている時期を示している。この場合、
図4(B)に示すように、操作部オブジェクト61はスライド操作に伴いそのスライド操作とともに移動する。つまり、操作部オブジェクト61はタッチ操作の位置と一致するように移動する。具体的には、
図4の例では、初期位置から右斜め上方向に操作部オブジェクト61を移動させるスライド操作が実行されている。また、それに伴い操作部オブジェクト61は移動範囲の境界(操作部オブジェクト61の端部が移動境界オブジェクト62と接触する位置)まで移動している。このスライド操作は、右斜め上方向(仮想三次元空間に構築されたゲームフィールドGFを上から見た場合における右斜め上方向)に最大移動速度で味方キャラクタを移動させる操作(指示)に相当する。また、初期状態(強調状態以前)の初期位置は適宜に示されてよく、例えば各種のオブジェクトを介して視覚的に認識されるように示されていてもよいが、
図4の例では初期位置を示すオブジェクトは特に表示されていない。このため、操作部オブジェクト61の移動にともない、初期位置は移動範囲における他の部分と同様に空白(無色)に表示されている。
【0043】
図4の(C)、及び
図4(D)はいずれも移動範囲外でスライド操作が実行されている時期を示しているが、
図4の(C)は移動範囲の比較的近くでスライド操作が実行される時期を、
図4(D)は比較的遠くでスライド操作が実行される時期を、それぞれ示している。
図4の(C)、及び(D)に示すように、移動範囲外までスライド操作が実行されると、操作部オブジェクト61はスライド操作の位置から離れ、移動範囲内にとどまる。具体的には、操作部オブジェクト61の端部が移動境界オブジェクト62と接触し、その移動が移動境界オブジェクト62によって阻まれる。このため、操作部オブジェクト61は移動範囲の外側に出れず、その境界にとどまっている。スライド操作は移動範囲の外側でも継続されるが、結果的に操作部オブジェクト61の位置は
図4の(B)の時期から変化していない。この場合、
図4の(C)、及び(D)のいずれにおいても
図4の(B)の時期と同様の方向、及び移動速度(最大移動速度)の指示が継続される。この例において移動境界オブジェクト62の位置(あるいはそこに操作部オブジェクト61の端部が接触する位置)が、本発明の境界位置として機能する。
【0044】
また、所定の強調条件が満たされると初期位置は強調状態に変化する。強調条件は適宜に満たされてよく、操作部オブジェクト61が所定の操作量以上に操作された場合、或いは判定範囲65の外に出た場合等、ユーザに初期位置(基準位置)を意識させた方がよいと考えられる各種の状況(ズレの状態)において適宜に満たされてよいが、一例として移動範囲の外側にタッチ操作が実行された場合に満たされる。つまり、スライド操作が移動範囲の外側に出ると強調条件が満たされる。このため、
図4の(C)、及び(D)のいずれにおいても初期位置の状態が初期状態(強調状態の前の無色の状態)から強調状態に変化している。
【0045】
具体的には、
図4の(C)に示すように、
図4の(B)と比べて初期位置63の状態が無色から所定の配色(ドット柄)に変化している。色付きの初期位置63は、無色(強調状態よりも前の状態)に比べて目立ち、より強調される。つまり、強調状態において初期位置63は所定の配色で表示され、配色の相違(色相の変化)により強調状態が実現される。
【0046】
強調状態においてその強調の程度は、距離の程度(ズレの状態の程度)にかかわらず一様であってもよいが、一例としてスライド操作の位置が初期位置63から離れるほど増すように距離に応じて変化する。また、強調の程度は適宜に実現(表現)されてよいが、一例として彩度の変化により実現される。例えば、
図4の(C)の例ではスライド操作の位置は移動範囲外ではあるものの、移動範囲の比較的近くに位置している。一方で、
図4の(D)の例では移動範囲から遠く離れ、判定範囲65の境界近くに位置している。このため、
図4の(D)に示すように、初期位置63の色は、
図4の(C)と比べてより鮮明な色(黒の塗り潰し)で表示される。つまり、初期位置63から離れるほど配色の彩度が高くなる彩度の変化により強調状態における強調の程度が実現されている。強調状態は初期位置63が初期状態(強調状態の前の状態)よりも強調される(目立つ)限り適宜に実現されてよいが、一例としてこのような配色(色相)の変化、及び彩度の変化により実現される。
【0047】
また、
図4の(E)は、判定範囲65の外側までスライド操作が至った場合を示している。判定範囲65はタッチ操作を移動操作として判定するための範囲である。このため、判定範囲65の外側の操作は移動操作とは判定されない。結果として、判定範囲65の外側までスライド操作が至ると、対戦画面50から指が離れた場合と同様にスライド操作の終了と判定され、操作部オブジェクト61は初期位置63に戻る。この場合において、初期位置63の強調状態は操作部オブジェクト61と重なった後も一定期間継続されてもよいが、一例として終了する。つまり、操作部オブジェクト61の初期位置63への復帰に伴い初期位置63は初期状態(無色)に戻る。判定範囲65は、一例としてこのような特性を有する。
【0048】
(ネットワークシステムの処理)
次に、
図5を参照して、状態変更処理の手順について説明する。状態変更処理は、初期位置63の状態を強調状態に変更するための処理である。
図5の例は、
図4の例に対応する強調状態に初期位置63が変更される場合の状態変更処理の手順の一例を示している。この場合、ゲーム提供部43は、操作部オブジェクト61にスライド操作が開始されると、
図5の状態変更処理を所定の周期で繰り返し開始し、まずタッチセンサ46の検出結果に基づいてタッチ操作(スライド操作)の位置を判別する(ステップS101)。
【0049】
続いてゲーム提供部43は、スライド操作の位置が強調条件を満たすか否か判別する(ステップS102)。強調条件は、一例としてスライド操作の位置が移動範囲の外側まで移動した場合に満たされる。ただし、判定範囲65の外側までスライド操作が継続されると強調状態は解消される。つまり、強調条件は、移動範囲の外側であって判定範囲65の内側にタッチ操作が実行された場合に満たされる。
【0050】
スライド操作の位置が移動範囲の内側にあるか、或いは判定範囲65の外側にある場合、つまり強調条件が満たされない場合(ステップS102:No)、ゲーム提供部43は初期位置63(基準位置)を初期状態にて表示する(ステップS103)。つまり、ゲーム提供部43は初期位置63を特に視覚的に認識されない無色にて表示する。そして、この表示の後にゲーム提供部43は今回の状態変更処理を終了する。
【0051】
一方、スライド操作の位置が移動範囲の外側であり、かつ判定範囲65の内側に位置する場合、つまり強調条件が満たされる場合(ステップS102:Yes)、ゲーム提供部43は初期位置63を強調状態にて表示する(ステップS104)。強調状態はスライド操作(タッチ操作)の位置にかかわらず一様の態様で実現されてもよいが、一例として初期位置63からの距離(ズレの程度)に応じて強調の程度が変化するように実現される。また、距離は初期位置63とスライド操作の位置との比較により判別されてもよいが、初期位置63が固定されている場合、一例としてスライド操作の位置のみによって判別される。具体的には、強調状態は、一例として無色から所定の配色への色の変更によって実現される。また、強調の程度は、一例として初期位置63からスライド操作の位置が離れるほど彩度が高くなるように設定される。このため、ゲーム提供部43は、所定の配色であり、かつ初期位置63からの距離に応じた彩度にて初期位置63を表示することにより、強調状態の表示を実現する。距離に応じた彩度は適宜に特定されてよく、例えば距離(タッチ操作の位置)と彩度との関係が記述されたデータに基づいて特定されてもよいし、距離から彩度を得る所定のロジックに基づいて特定されてもよい。そして、この表示の後にゲーム提供部43は今回の状態変更処理を終了する。
【0052】
図5の手順により、初期位置63が初期状態から強調状態に変更される。また、その強調状態は、初期位置63からの距離(ズレの程度)に応じた彩度にて実現される。具体的には、強調条件が満たされない場合、初期位置63は特に視覚効果のない無色にて表示される。一方、強調条件が満たされた場合、初期位置63は所定の配色にて表示される。また、その彩度は、初期位置63から離れるほど高くなるように変化する。つまり、強調条件が満たされた場合、無色から距離に応じた彩度を持つ所定の配色に初期位置63の表示態様が変更される。なお、ゲーム提供部43は、例えばその他にも操作部オブジェクト61の位置を初期位置63に戻す処理等を実行するが、それらの手順の詳細は省略する。
【0053】
以上に説明したように、この形態によれば、初期位置63(基準位置)とタッチ操作との間のズレに関する所定の強調条件が満たされると、初期位置63の状態が強調条件を満たす前よりも初期位置63を強調する強調状態に変化する。より具体的には、初期位置63の色が強調条件を満たす前の無色から強調状態では所定の配色に変化する。つまり、強調条件が満たされると、所定の配色(着色)を通じて初期位置63が強調条件を満たす前よりも強調される。このため、強調状態を通じて、スライド操作における操作量等を判別するための基準としての初期位置63を強調条件が満たされる前よりもユーザに意識させることができる。結果として、強調条件を利用して、初期位置63の認識し易さを変化させることができる。
【0054】
強調条件は適宜に満たされ得るが、例えば移動範囲の外側にまで至るスライド操作によって満たされる場合、スライド操作が操作部オブジェクト61の移動範囲の外側に至ったときに、内側において実行されていたときよりも初期位置63を認識させることができる。移動範囲の外側ではスライド操作が移動速度等に反映されず、無駄な操作になる可能性がある。移動範囲の外側において初期位置63を強調する(目立たせる)ことにより、その可能性をユーザに認識させることができる。さらに、スライド操作の位置と初期位置63との間の距離(ズレ)が大きくなるほど強調状態における彩度が変化する場合、その彩度(強調の程度)を通じてズレの程度を認識させることができる。これらにより、初期位置63の誤認識に伴う誤操作を抑制することができる。
【0055】
以上の形態において、ユーザ端末装置4のゲーム提供部43が、
図5の手順を実行することにより本発明の位置判別手段、及び状態変更手段として機能する。具体的には、ゲーム提供部43が、
図5のステップS101を実行することにより位置判別手段として、ステップS104を実行することにより状態変更手段として、それぞれ機能する。
【0056】
(変形例)
本発明は上述した形態に限定されず、適宜の変形又は変更が施された形態にて実施されてよい。また、本発明は、上述の形態、及び以下の変形等が施された形態に含まれる各種の技術的手段が適宜に組み合わされて得られる形態にて実施されてもよい。例えば、上述の形態では、判定範囲65においてバーチャルパッド60の外側の部分は特に区別されていない。しかし、本発明は、このような形態に限定されない。判定範囲65にはその他にも各種の部分(範囲)が適宜に設けられてよい。例えば、移動境界オブジェクト62の外側に強調状態の強調の程度が最大となる(ズレの程度に応じた強調の程度の変化が終了する)範囲が設けられてもよい。同様に、例えば移動範囲には操作部オブジェクト61を移動させてもキャラクタの移動等に反映されない範囲(スライド操作の遊びに相当する範囲)が設けられいてもよい。このように判定範囲65(そこに含まれるバーチャルパッド60の内部を含む)は各種の目的に応じて適宜に区分されてよい。
【0057】
上述の形態では、タッチ操作の位置として、一般的なタッチ操作の検出と同様に対戦画面50における座標(左右方向、及び上下方向をそれぞれX軸、及びY軸とする座標)が検出される。しかし、本発明は、このような形態に限定されない。タッチ操作の位置はプレイ行為として判別可能な限り適宜に検出されてよく、例えば移動範囲が複数の領域に分類され、領域毎に移動速度等と関連付けられる場合、その領域の単位で検出されてもよい。
【0058】
また、上述の形態では、強調条件は移動範囲の外側であって判定範囲65の内側にタッチ操作が実行された場合に満たされている。しかし、本発明は、このような形態に限定されない。例えば、強調条件は、操作部オブジェクト61が初期位置63から移動した(離れた)場合、つまり初期位置63以外の位置にタッチ操作が実行された場合に満たされてもよい(ただし、判定範囲65の内側等、適宜に強調条件が満たされる限界は設定されてよい)。そして、初期位置63は、操作部オブジェクト61の移動に伴い所定の配色で表示されるとともに、初期位置63から離れるほどその彩度が高くなるように表示されてよい。
【0059】
上述の形態では、バーチャルパッド60、ひいては判定範囲65は対戦画面50の固定位置に配置されている。しかし、本発明は、このような形態に限定されない。上述のとおり判定範囲65(バーチャルパッド60)は可変的な位置に配置されてよい。
図6は、判定範囲65の位置が可変的な場合を説明するための説明図である。
図6の例は、判定範囲65の位置が可変的な場合の対戦画面50の一例を模式的に示している。
図6に示すように、バーチャルパッド60は、対戦画面50のユーザによってタッチ操作された任意の位置にその位置を中心位置(初期位置63)とするように配置されてよい。そして、そのバーチャルパッド60の周囲に判定範囲65が設定されてよい。
【0060】
また、上述の形態では、配色の変化により強調状態が実現されている。しかし、本発明は、このような形態に限定されない。強調条件が満たされる前よりも初期位置63が強調される各種の表示態様にて強調状態は実現されてよい。例えば、強調状態は、彩度の変化、明度の変化、透明度の変化、表示されるオブジェクトの変化(例えば強調条件を満たす前にオブジェクトが表示されない場合を含む)、模様の変化、点滅状況の変化(例えば強調条件を満たす前に点滅していない場合を含む)、表示範囲の変化(例えば強調条件を満たす前に特にオブジェクト等が表示されていない場合、つまり表示範囲を有しない場合を含む)、或いはこれらの適宜の組み合わせといった各種表示態様の変化により実現されてよい。つまり、強調状態は、例えば、強調条件を満たす前よりも明度の低い表示態様により実現されてもよいし、透明度の低い態様により実現されてもよい。これらの場合、強調の程度は、例えばズレの程度が大きくなるほど強調条件を満たす前よりも表示態様の明度が低くなる明度の変化、或いは透明度が低くなる透明度の変化により実現されてよい。上述のような強調状態により、基準位置を人間の目につきやすく、かつ直感的に把握し易くすることができる。
【0061】
図7を参照して、強調状態の他の例について説明する。
図7は、強調状態の変形例を説明するための説明図である。
図7の(A)~(D)は、オブジェクトの変化、模様の変化、点滅状況の変化、及び表示範囲の変化に対応する強調状態をそれぞれ示している。また、
図7の(A)~(D)のいずれにおいても左側が初期状態を、右側が強調状態をそれぞれ示している。例えば、
図7の(A)に示すように、初期位置63は初期状態において無色、かつ特別なオブジェクトも配置されない状態で表示され、強調状態は強調状態を示す特別なオブジェクト70の表示により実現されてもよい。この場合において、強調の程度は特別なオブジェクト70の彩度等の変化により実現されてもよいし、強調の程度に応じてオブジェクト70の種類が変化してもよい。
【0062】
また、
図7の(B)に示すように、初期位置63は初期状態において所定の模様(例えば右斜線)で表示され、強調状態はその模様の変化(左斜線)により実現されてもよい。この場合において、強調の程度は強調状態における模様の彩度等の変化により実現されてもよいし、強調の程度に応じて模様の種類が変化してもよい。
【0063】
同様に、
図7の(C)に示すように、初期位置63は初期状態において点滅のない所定の態様(黒の塗り潰し)で表示され、強調状態はその態様の点滅間隔を変化させる点滅頻度の変化により実現されてもよい。例えば、初期位置63は、初期状態において点滅せず、強調状態において点滅してもよい。あるいは、初期位置63は、初期状態において点滅間隔が長く(点滅頻度が低く)、強調状態において点滅間隔が短く(点滅頻度が高く)なってもよい。これらの場合において、強調の程度は強調状態における表示態様の彩度等の変化により実現されてもよいし、ズレの程度が大きくなるほど点滅間隔を短くさせることにより実現されてもよい。
【0064】
同様に、
図7の(D)に示すように、初期位置63は所定の態様(黒の塗り潰し)で表示され、強調状態はその態様の表示範囲が拡大された拡大表示により実現されてもよい。この場合において、強調の程度は強調状態における表示態様の彩度等の変化により実現されてもよいし、ズレの程度が大きくなるほど拡大表示の範囲が広くなる範囲の変化により実現されてもよい。
【0065】
また、上述の形態では、略正方形の判定範囲65が利用されている。しかし、判定範囲65は適宜に設定されてよい。そこに含まれるバーチャルパッド60(仮想コントローラ)、及び基準位置も同様である。つまり、バーチャルパッド60は適宜に構成されてよいし、ズレを判別するための基準位置もそれに応じて適宜に設定されてよく、操作部オブジェクト61の初期位置に限定されない。
図8は、仮想コントローラの変形例を説明するための説明図である。
図8の(A)及び(B)はスライド式のコントローラが利用される場合における異なる基準位置の例を示している。具体的には、
図8の(A)は、スライド式のコントローラの中央付近に基準位置が設けられる場合を、
図8の(B)は、スライド式のコントローラの左端(端部)に基準位置が設けられる場合を、それぞれ示している。
【0066】
図8の(A)及び(B)に示すように、バーチャルパッド60の代わりに、スライド部76、レーン77、及び初期位置78を有するスライド式のコントローラ75が設けられてもよい。スライド部76は、左右にスライドさせるスライド操作が実行されるべき対象のオブジェクトである。スライド部76はスライド操作にともないレーン77に沿って移動可能である。レーン77は、スライド部76のスライド移動が可能な移動範囲を示すオブジェクトである。初期位置78は、スライド部76の初期位置を示すオブジェクトであり、基準位置として機能する。この場合、初期位置78とスライド部76との間の距離に応じて移動速度等が指示されてよい。初期位置78は適宜にレーン77上の適宜の位置に配置され得るが、
図8の(A)では中央付近に、(B)では左端に、それぞれ配置されている。
【0067】
図8の(A)及び(B)の例において判定範囲は適宜に設定されてよく、例えばスライド部76、及びレーン77と一致する範囲に設定されてもよいが、
図8の(A)ではレーン77の左右の延長線上に一定範囲まで、
図8の(B)では判定範囲はレーン77のレーン77の右端の延長線上に一定範囲まで、それぞれ設定される。これらの場合において、強調条件は適宜に満たされてよく、初期位置78から一定以上離れたレーン77上に設定されてもよいが、
図8の(A)の例ではレーン77の左右の外側であって判定範囲の内側に設定される。そして、スライド操作がレーン77の左右からはみ出し、そのスライド操作が判定範囲の内側に位置している場合に初期位置78の状態が強調状態に変化する。同様に、
図8の(B)の例では、判定範囲はレーン77の右端の外側であって判定範囲の内側に設定される。そして、スライド操作がレーン77の右端からはみ出し、そのスライド操作が判定範囲の内側に位置している場合に初期位置78の状態が強調状態に変化する。
【0068】
図8の(C)は、十字型のコントローラが利用される場合を示している。
図8の(C)に示すように、バーチャルパッド60の代わりに、左右上下の四方向をそれぞれ示す四つの方向ボタン81を有する十字型のコントローラ80が設けられてもよい。各方向ボタン81は、移動方向等を指示するためのタッチ操作が実行されるべき仮想ボタン(オブジェクト)である。例えば、この場合、検出対象のズレに応じて基準位置は適宜に設定されてよく、例えば各方向ボタン81の中央付記にそれぞれ基準位置が設定されてもよいが、一例として四つの方向ボタン81の中央付近に基準位置82(
図8ではバツ印で表示されているが、表示されなくてもよい)が設定される。そして、基準位置82(点)からの距離に基づいてタッチ操作の位置が各方向ボタン81の左右、或いは上下の範囲からはみ出したと判定される場合に強調条件が満たされ、基準位置82が強調状態に変化する。判定範囲も同様に適宜に設定され得るが、一例として各方向ボタン81の周囲の一定範囲に設定される。
【0069】
図8の(D)は、左右ボタン型のコントローラが利用される場合を示している。
図8の(D)に示すように、バーチャルパッド60の代わりに、左右の二方向をそれぞれ示す二つの方向ボタン91を有する左右ボタン型のコントローラ90が設けられてもよい。各方向ボタン91は、移動方向等を指示するためのタッチ操作が実行されるべき仮想ボタン(オブジェクト)である。例えば、この場合、検出対象のズレに応じて基準位置は適宜に設定されてよく、例えば各方向ボタン91の中央付記にそれぞれ基準位置が設定されてもよいが、一例として二つの方向ボタン81の中央付近に基準位置(複数の基準位置の集合)としての基準ライン92が設定される。そして、基準ライン92からの左右方向における距離に基づいてタッチ操作の位置が各方向ボタン91の左右の範囲からはみ出したと判定される場合に強調条件が満たされ、基準ライン92が強調状態に変化する。判定範囲も同様に適宜に設定され得るが、一例として各方向ボタン91の周囲の一定範囲(例えば上下は基準ライン92と対応する範囲、左右は各方向ボタン91の外側の一定範囲等)に設定される。このように判定範囲は適宜に設定され得るが、いずれにしても仮想コントローラ(判定範囲と同じ範囲である場合を含む)、及び基準位置を含む範囲として設定される。
【0070】
また、上述の形態では、
図5~
図6の処理はユーザ端末装置4で実行されている。結果として、ユーザ端末装置4の単体が本発明のゲームシステムとして機能している。しかし、本発明は、このような形態に限定されない。例えば、
図5~
図6の処理の全部あるいは一部はセンターサーバ2によって実行されてもよい。この場合、センターサーバ2、或いはネットワークシステム1が本発明のゲームシステムとして機能してもよい。あるいは、反対にセンターサーバ2は省略されてもよい。
【0071】
上述した実施の形態及び変形例のそれぞれから導き出される本発明の各種の態様を以下に記載する。なお、以下の説明では、本発明の各態様の理解を容易にするために添付図面に図示された対応する部材を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0072】
本発明のコンピュータプログラム(PG2)は、タッチ操作を検出するタッチセンサ(46)と、前記タッチ操作をプレイ行為として判定するための判定範囲(65)を含むタッチ用画面(50)を表示する表示装置(47)とを通じて、ゲームを提供するゲームシステム(4)に組み込まれるコンピュータ(41)を、前記タッチセンサの検出結果に基づいて前記タッチ用画面における前記タッチ操作の位置を判別する位置判別手段(43)、及び前記タッチ操作の位置が所定の強調条件を満たす場合に、前記判定範囲に含まれる基準位置(63)を、前記強調条件を満たす前よりも強調する強調状態に変更する状態変更手段(43)として機能させるように構成された、ものである。
【0073】
本発明によれば、強調条件が満たされると、基準位置の状態が強調条件を満たす前よりも基準位置を強調する強調状態に変化する。つまり、強調条件が満たされると、基準位置が強調条件を満たす前よりも強調される。このため、強調状態を通じて、基準位置を強調条件が満たされる前よりもユーザに意識させることができる。結果として、強調条件を利用して、基準位置の認識し易さを変化させることができる。
【0074】
強調条件として、基準位置を認識させるべき状況に対応する各種の条件が利用されてよい。例えば、強調条件は、距離、角度、所定の位置関係といった基準位置とタッチ操作の位置との間のズレの状態に応じて満たされてよい。例えば、タッチ操作の位置が単に基準位置と異なる場合に強調条件は満たされてもよいし、判定範囲の周辺(外側)に所定の通知範囲が設定され、その通知範囲にタッチ操作が実行された場合に強調条件は満たされてもよい。あるいは、判定範囲の内側に通知範囲が設定されてもよい。さらに、基準位置が固定される場合、これらのズレの状態はタッチ操作の位置だけを基準に判別されてもよい。また、タッチ操作の位置は、各種のオブジェクトの表示を通じて他と区別されてもよいし、そのような表示は省略されてもよい。例えば、そのようなオブジェクトが表示される場合、そのオブジェクトの移動範囲は制限されてもよい。あるいは、そのオブジェクトはタッチ操作に伴い制限なく移動してもよい。オブジェクトの移動範囲が制限される場合、その移動範囲と通知範囲とは一致していても、相違していてもよい。
【0075】
例えば、本発明のコンピュータプログラムの一態様において、前記判定範囲には、前記基準位置に配置され、前記タッチ操作に伴い当該タッチ操作の位置に移動するように表示される操作部オブジェクト(61)と、当該操作部オブジェクトの移動可能な範囲として前記基準位置を基準に設定される移動範囲と、が含まれ、前記強調条件は、前記タッチ操作の位置が前記移動範囲の外側である場合に満たされてもよい。この場合、タッチ操作が操作部オブジェクトの移動範囲の外側に実行されたときに、内側において実行されたときよりも基準位置を認識させることができる。
【0076】
また、移動範囲内で移動可能な操作部オブジェクトが利用される場合において、操作部オブジェクトは移動範囲外へのタッチ操作に応じて適宜に動作してよく、例えば基準位置に戻るように動作してもよい。あるいは、操作部オブジェクトは、移動範囲外へのタッチ操作に基づき、移動範囲の内外を分ける境界位置まで移動しつつ、そこにとどまるように動作してもよい。この場合において、操作部オブジェクトは、一定時間経過後等の各種の条件に応じて基準位置に戻ってよい。同様に、タッチ操作は適宜に実行されてよく、例えば特定の位置を指定するように実行されてもよいし、タッチの開始から終了まで位置を変えつつタッチ操作が維持されるスライド操作として実行されてもよい。例えば、タッチ操作としてスライド操作が実行される場合において、境界位置にとどまる操作部オブジェクトはそのスライド操作が判定範囲外まで実行されたときに基準位置に戻ってもよい。具体的には、例えば、操作部オブジェクトを利用する本発明の一態様において、前記タッチ操作として、前記操作部オブジェクトへのタッチを維持した状態で当該操作部オブジェクトの位置を移動させるようにスライドさせるスライド操作が実行され、前記操作部オブジェクトは、前記移動範囲の内側において前記スライド操作とともに移動する一方で、前記移動範囲の外側まで前記スライド操作が実行された場合に当該スライド操作の位置から離れて前記移動範囲の境界位置(62)にとどまり、更に前記スライド操作が前記判定範囲の外側まで至った後に前記基準位置に戻るように表示されてもよい。
【0077】
ゲームとして、アクションゲーム、シミュレーションゲーム、ロールプレイングゲーム、或いはプライズゲームといった各種のゲームが適宜に提供されてよい。このため、それらのゲームの種類に応じた各種のプレイ行為がタッチ操作を介して実行されてよい。つまり、タッチ操作の位置は基準位置を基準に、これらの各種のプレイ行為として判別されてよい。例えば、クレーンを用いたクレーンゲームがプライズゲームの一例として提供される場合において、クレーンを操作するための操作画面におけるタッチ操作の位置と基準位置との位置関係が、クレーンにて景品を掴む動作を実行する動作位置と景品を落とす開口の位置との間の位置関係に反映されてもよい。つまり、タッチ操作の位置がクレーンの移動先の位置(座標)を指示するプレイ行為として判別されてもよい。あるいは、各種のビデオゲームにおいて、タッチ操作の位置と基準位置との間の距離や角度といったズレが、キャラクタや各種選択用のカーソルといった各種の操作対象の移動方向や移動速度(移動量でもよい)を指示するプレイ行為として判別されてもよい。同様に、タッチ用画面として、クレーンゲームにおける操作画面等、操作専用の画面が利用されてもよいし、ビデオゲームにおける各種キャラクタ等を含むプレイ用のゲーム画面が利用されてもよい。
【0078】
例えば、本発明のコンピュータプログラムの一態様において、前記表示装置は、前記基準位置と前記タッチ操作の位置との間のズレの状態に応じて操作される操作対象(51A)を含むゲーム画面(50)を表示し、前記ゲームは、前記操作対象を介して進行するように提供されてもよい。また、この態様において、前記ゲーム画面は、前記判定範囲を含み、前記タッチ用画面として機能してもよい。
【0079】
強調状態は、タッチ操作の位置と基準位置との間のズレの程度、つまりタッチ操作の位置にかかわらず一様であってもよい。あるいは、強調状態の強調の程度は、ズレの程度、つまりタッチ操作の位置に応じて変化してもよい。例えば、本発明のコンピュータプログラムの一態様において、前記強調状態は、前記基準位置と前記タッチ操作の位置との間のズレの程度が大きくなるに従って強調の程度が大きくなるように変化してもよい。この場合、強調の程度を通じてズレの程度を認識させることができる。
【0080】
強調状態、及び強調の程度の変化は適宜に実現されてよい。例えば、強調状態は、色相の変化(例えば強調条件を満たす前が無色である場合を含む)、彩度の変化、明度の変化、透明度の変化、表示されるオブジェクトの変化(例えば強調条件を満たす前にオブジェクトが表示されない場合を含む)、模様の変化、点滅状況の変化(例えば強調条件を満たす前に点滅していない場合を含む)、表示範囲の変化(例えば強調条件を満たす前に特にオブジェクト等が表示されていない場合、つまり表示範囲を有しない場合を含む)、或いはこれらの適宜の組み合わせといった各種表示態様の変化により実現されてよい。同様に、強調の程度の変化は、これらの各種表示態様における変化の程度を通じて実現されてよい。
【0081】
例えば、強調の程度が変化する本発明の一態様において、前記強調状態は、所定の配色により実現されてもよい。あるいは、前記強調状態は、前記強調条件を満たす前よりも前記基準位置の表示範囲が拡大された拡大表示により実現されてもよい。同様に、前記基準位置は、前記基準位置を点滅させる点滅表示により実現されもよい。また、前記強調状態は、前記強調条件を満たす前よりも前記基準位置の明度を低くする明度の変化により実現されてもよい。さらに、前記強調状態は、前記強調条件を満たす前よりも前記基準位置の透明度を低くする透明度の変化により実現されてもよい。これらの場合、強調状態において基準位置を人間の目につきやすく、かつ直感的に把握し易くすることができる。
【0082】
また、本発明のゲームシステムは、タッチ操作を検出するタッチセンサ(46)と、前記タッチ操作をプレイ行為して判定するための判定範囲(65)を含むタッチ用画面(50)を表示する表示装置(47)とを通じて、ゲームを提供するゲームシステム(4)であって、前記タッチセンサの検出結果に基づいて前記タッチ用画面における前記タッチ操作の位置を判別する位置判別手段(43)と、前記タッチ操作の位置が所定の強調条件を満たす場合に、前記判定範囲に含まれる基準位置(63)を、前記強調条件を満たす前よりも強調する強調状態に変更する状態変更手段(43)と、を備える、ものである。
【0083】
一方、本発明の制御方法は、タッチ操作を検出するタッチセンサ(46)と、前記タッチ操作をプレイ行為して判定するための判定範囲(65)を含むタッチ用画面(50)を表示する表示装置(47)とを通じて、ゲームを提供するゲームシステム(4)に組み込まれるコンピュータ(41)に、前記タッチセンサの検出結果に基づいて前記タッチ用画面における前記タッチ操作の位置を判別する位置判別手順と、前記タッチ操作の位置が所定の強調条件を満たす場合に、前記判定範囲に含まれる基準位置(63)を、前記強調条件を満たす前よりも強調する強調状態に変更する状態変更手順と、を実行させるものである。本発明のコンピュータプログラム、或いは制御方法が実行されることにより、本発明のゲームシステムを実現することができる。
【符号の説明】
【0084】
4 ユーザ端末装置(ゲームシステム)
43 ゲーム提供部(コンピュータ、位置判別手段、状態変更手段)
46 タッチセンサ
47 モニタ(表示装置)
50 対戦画面(タッチ用画面、ゲーム画面)
61 操作部オブジェクト
62 操作境界オブジェクト(境界位置)
63 初期位置(基準位置)
65 判定範囲
51A 味方キャラクタ画像(操作対象)
PG2 プログラム(コンピュータプログラム)