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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077223
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】フィルム型太陽電池付ブラインド
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/264 20060101AFI20240531BHJP
   E06B 5/00 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
E06B9/264 B
E06B5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189175
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】藤本 諭志
【テーマコード(参考)】
2E043
2E239
【Fターム(参考)】
2E043AA01
2E043AA04
2E043AA05
2E043BA01
2E043BB12
2E043BD01
2E043DB06
2E239AA01
(57)【要約】
【課題】フィルム型太陽電池を一層有効かつ簡易に利用することができる太陽電池付ブラインドを提供する。
【解決手段】フィルム型太陽電池付ブラインド1は、水平方向又は垂直方向に延伸するように薄板状に形成され、この延伸方向と直交する幅方向に沿って配列された複数のスラット2と、各スラット2の一方の面に取付けられた複数のフィルム型太陽電池3と、スラット2の傾斜角を変更する角度変更ローラ等を備え、スラット2がフィルム型太陽電池3を取り付けるための段差部21を有し、フィルム型太陽電池3は、段差部21に対して着脱自在である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向又は垂直方向に延伸するように薄板状に形成され、この延伸方向と直交する幅方向に沿って配列された複数のスラットと、
前記各スラットの一方の面に取付けられた複数のフィルム型太陽電池と、
前記スラットの傾斜角を変更する角度変更手段と、
を有するフィルム型太陽電池付ブラインドであって、
前記スラットが前記フィルム型太陽電池を取り付けるための段差部を有し、
前記フィルム型太陽電池は、前記段差部に対して着脱自在である、
ことを特徴とするフィルム型太陽電池付ブラインド。
【請求項2】
前記複数のスラットが水平方向に延伸するように配置されており、
前記スラットが、太陽光又は室内照明光を遮光するように傾斜されたときに、上部に配置された別のスラットにより影が生じる有影領域と、前記別のスラットにより影が生じない無影領域とを有し、
前記フィルム型太陽電池が少なくとも前記無影領域を覆うよう、前記スラットの水平方向の中心線を基準として下側に偏心して配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載のフィルム型太陽光電池付きブラインド。
【請求項3】
前記フィルム型太陽電池は、前記スラットの幅方向に沿う長さが前記段差部の幅方向の長さよりも短く、かつ、前記段差部内で前記幅方向にスライド自在であり、
前記角度変更手段によって、前記太陽光又は前記室内照明光を遮光するように前記スラットの傾斜角を変更すると、前記フィルム型太陽電池は、重力により前記段差部内でスライドし、前記スラットの水平方向の中心線を基準として下側に偏心して配置される、
ことを特徴とする請求項2に記載のフィルム型太陽電池付ブラインド。
【請求項4】
前記角度変更手段は、前記フィルム型太陽電池が、前記太陽光と前記室内照明光のうち、光量の大きなほうを向くように、前記スラットの傾斜角を自動で変更する、
ことを特徴とする請求項1または3に記載のフィルム型太陽電池付ブラインド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フィルム型太陽電池を備えたブラインドに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ペロブスカイト型や有機薄膜型などのフィルム型太陽電池が本格的な実用化に近づいている段階である。これらのフィルム型太陽電池は、主流のシリコン型太陽電池に比べ耐久性等に問題があるが,製造コストが安く軽量で柔軟性が高ことに加え、室内であっても光のエネルギーを電気に変える変換効率が落ちないという利点がある。
【0003】
これらのフィルム型太陽光電池は、その色が褐色や灰色で透明度が低いため、窓ガラスの全面に取り付けて窓からの太陽光を利用するのは難しい。そこで、これらのフィルム型太陽電池をブラインドに取り付けて使用することが考えられる。
【0004】
従来、薄膜のフィルム型太陽電池をスラット表面に取り付けたブラインドが種々提案されていた。
【0005】
例えば、特許文献1によるブラインド装置は、スラットの表面の一部にシート状の太陽電池が貼着された横型ブラインド装置である。このブラインド装置によれば、太陽電池により発電された電力を各スラットに設けられた二次電池に一次的に蓄え、必要に応じてこれを主電池に供給するので、ブラインドの外観を損なうことなく太陽電池により発電された電力を有効に活用することができる、と記載されている。
【0006】
特許文献2によるウインドウブラインドは、太陽電池モジュールがスラット表面の一部に貼着された横型ブラインド装置である。このウインドウブラインドによれば、薄膜III-V族化合物半導体からなる太陽電池モジュールを使用するので、柔軟性、軽量性及び高出力特性に優れ、また、スラットの領域ごとの日射量を考慮してスラットの面積に対する太陽電池モジュールの最適な大きさを決めているので、発電効率に優れるブラインドを提供できると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2020-186533号公報
【特許文献2】特開2018-112053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1、2による従来の太陽電池付きブラインドは、未だ改善の余地がある。例えば、実際のブラインドの使用環境では、周りの建造物等によって影が生じ、ブラインドの一部にしか太陽光が当たらないことがある。これに対し、従来の太陽電池付きブラインドは、全てのスラットに太陽電池が貼り付けられる等して取り付けられているため、影によって発電が行なわれない無駄な太陽電池が発生し、ブラインド全体の発電容量に対する発電効率が低下する。
【0009】
また、従来の太陽電池付きブラインドは、日中の太陽電池の活用法、すなわち、太陽光による発電に関する検討は行っているが、太陽光が当たらない夜間の太陽電池の活用法に関する検討は何ら行われていない。特に特許文献2のブラインドは、太陽電池モジュールをスラットの横方向中心線を基準として下側に偏心して固定しているので、例えばスラットを反転させると太陽電池モジュールがスラットの上側に偏心して配置されてしまうため、日中の太陽光による発電と夜間の室内照明光による発電の両方に使用することはできない。
【0010】
一方、ペロブスカイト型や有機薄膜型などの新しいタイプの太陽電池は、部屋の照明でも発電効率が良いことが知られているので、このような太陽電池を用いたブラインドの場合、昼夜ともに発電できる構成を検討する必要がある。
【0011】
そこで、本発明は、フィルム型太陽電池を一層有効かつ簡易に利用することができる太陽電池付ブラインドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、フィルム型太陽電池付ブラインドであって、水平方向又は垂直方向に延伸するように薄板状に形成され、この延伸方向と直交する幅方向に沿って配列された複数のスラットと、前記各スラットの一方の面に取付けられた複数のフィルム型太陽電池と、前記スラットの傾斜角を変更する角度変更手段と、を有するフィルム型太陽電池付ブラインドであって、前記スラットが前記フィルム型太陽電池を取り付けるための段差部を有し、前記フィルム型太陽電池は、前記段差部に対して着脱自在である、ことを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のフィルム型太陽電池付ブラインドであって、前記複数のスラットが水平方向に延伸するように配置されており、前記スラットが、太陽光又は室内照明光を遮光するように傾斜されたときに、上部に配置された別のスラットにより影が生じる有影領域と、前記別のスラットにより影が生じない無影領域とを有し、前記フィルム型太陽電池が少なくとも前記無影領域を覆うよう、前記スラットの水平方向の中心線を基準として下側に偏心して配置される、ことを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のフィルム型太陽電池付横型ブラインドであって、前記フィルム型太陽電池は、前記スラットの幅方向に沿う長さが前記段差部の幅方向の長さよりも短く、かつ、前記段差部内で前記幅方向にスライド自在であり、前記角度変更手段によって、前記太陽光又は前記室内照明光を遮光するように前記スラットの傾斜角を変更すると、前記フィルム型太陽電池は、重力により前記段差部内でスライドし、前記スラットの水平方向の中心線を基準として下側に偏心して配置される、ことを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1または3に記載のフィルム型太陽電池付横型ブラインドであって、前記角度変更手段は、前記フィルム型太陽電池が、前記太陽光と前記室内照明光のうち、光量の大きなほうを向くように、前記スラットの傾斜角を自動で変更する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、ブラインドのスラットに段差部を設け、この段差部にフィルム型太陽電池をはめ込むようにして着脱できるようにしたので、フィルム型太陽電池をブラインドに簡易に取り付け、取り外しすることができる。これにより、太陽光の照射状況等に応じて、フィルム型太陽電池の大きさや位置を容易に変更することができる。例えば、段差部の一部にフィルム型太陽電池をはめ込み、残部にはスラットと同色のカバーをはめ込むといった使い方をすることにより、周りの建造物等で影になり、発電量が少ない領域には太陽電池をはめ込まないようにしたり、スラットを反転させた時でも発電できるように太陽電池の配置を変更したりすることが容易にできる。
【0017】
また、劣化、破損した太陽電池の部分取換えや、より高性能な太陽電池が開発された場合の取換えも容易にできるようになる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、横型ブラインドにおいて、フィルム型太陽電池が、直上のスラットにより影が生じない無影領域を少なくとも覆うよう、スラットの水平方向の中心線を基準として下側に偏心して配置されるので、適切な大きさのフィルム型太陽電池を使用して、無駄なく有効に発電できる。また、このような配置にすることにより使用するフィルム型太陽電池が少なくなりコストも低くなる。
【0019】
通常、横型ブラインドは、太陽の角度に応じてスラットの傾斜角を変えることができるので、縦型ブラインドより発電効率が良いと考えられている。一方で、横型ブラインドは、縦型ブラインドと異なり、スラットが太陽光又は室内照明光を遮光するように傾斜されると、直上のスラットにより直下のスラットに影が生じる有影領域と影が生じない無影領域を有し、有影領域にも太陽電池を配置すると、ブラインド全体の発電容量に対する発電効率が悪くなる。この有影領域は通常、スラットの水平方向の中心線を基準として上側に存在する。従って、フィルム型太陽電池をスラットの水平方向の中心線を基準として下側に偏心して配置する請求項2に記載の発明によって上述のような効果が得られる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、フィルム型太陽電池の幅方向の長さを段差部の幅方向の長さよりも短くし、段差部内で幅方向にスライドできるようにしたので、太陽光又は室内照明光を遮光するようにスラットの傾斜角を変更すると、フィルム型太陽電池は重力によって段差部内でスライドし、スラットの水平方向の中心線を基準として下側に偏心して配置される。これにより、適切な大きさのフィルム型太陽電池を使用しつつ、昼夜ともに有効かつ効率的に発電できる。
【0021】
太陽電池をスラットに固定するタイプの従来の横型ブラインドを使用して、日中は太陽光により発電し、夜間はスラットを反転させて室内照明により発電させようとする場合、太陽電池をスラットの略全面に貼着する必要がある。しかし、その場合は、直上のスラットにより影が生じる有影領域にも太陽電池を配置することになるので、太陽電池の無駄が生じるとともにブラインド全体の発電容量に対する発電効率も悪くなる。一方、直上のスラットにより影が生じない無影領域を少なくとも覆うように、太陽電池をスラットの水平方向の中心線を基準として下側に偏心して固定すると、スラットを反転させた場合に太陽電池がスラットの水平方向の中心線を基準として上側に偏心して配置されてしまい、昼夜ともに発電することができなくなる。請求項3に記載の発明は、フィルム型太陽電池をスラットの段差部にスライド可能に取り付けることによりこの2つの問題点を解決して上述の効果が得られるようにしたものである。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、フィルム型太陽電池が太陽光と室内照明光のうち光量の大きなほうを向くように、スラットの傾斜角が自動で変更される。これにより、太陽光及び室内照明から無駄なく有効に発電を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】この発明の実施の形態1に係る横型のフィルム型太陽電池付ブラインドの斜視図である。
図2】この発明の実施の形態1に係るフィルム型太陽電池付ブラインドに用いられるスラット及びフィルム型太陽電池を示す斜視図である。
図3】この発明の実施の形態1に係る縦型のフィルム型太陽電池付ブラインドの斜視図である。
図4】この発明の実施の形態2に係るフィルム型太陽電池付ブラインドの斜視図(a)、及び、直上のスラットにより影が生じる有影領域と影が生じない無影領域を説明するための部分拡大図(b)である。
図5】この発明の実施の形態3に係るフィルム型太陽電池付ブラインドの斜視図である。
図6】この発明の実施の形態3に係るフィルム型太陽電池付ブラインドに用いられるスラット及びフィルム型太陽電池を示す斜視図である。
図7】この発明の実施の形態3に係るフィルム型太陽電池付ブラインドに用いられるスラットの断面図であって、太陽光を遮光するように傾斜した状態(a)、及び、室内照明を遮光するように傾斜した状態(b)を示す。
図8】この発明に係るフィルム型太陽電池付きブラインドがスラットに設けられた接点部によって電気的に接続されることを説明するための部分拡大図である。
図9図8に示す本発明のブラインドのスラットを全開し、接点部が当接した状態を説明するための側面図であって、太陽光を遮光するように傾斜した状態(a)、及び、室内照明を遮光するように傾斜した状態(b)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るフィルム型太陽電池付ブラインド1を示す斜視図である。このフィルム型太陽電池付ブラインド(以下、ブラインドともいう)1は、スラット2、フィルム型太陽電池(以下、太陽電池ともいう)3、角度変更ローラ(角度変更手段)4、制御部5などを有する。
【0026】
スラット2は、光を遮蔽する材質を用いて薄板状に形成された部材である。スラット2は複数備えられ、スラット2が水平方向に延伸するように配置され、垂直方向に配列されている。このような構成のブラインドを横型ブラインドという。
【0027】
複数のスラット2は、角度変更ローラ4に固定された一対のベルト(角度変更手段)6に幅方向の両端部が固定され、互いに連結されている。略板状の角度変更ローラ4は、図示しない操作用コードの牽引操作により、回転軸4aを中心に回動する。角度変更ローラ4が回動すると、一対のベルト6が昇降し、複数のスラット2は一対のベルト6の昇降に応じて角度が変更される。このように、スラット2の傾斜角を変更させることにより、各スラット2に取り付けられたフィルム型太陽電池3が日中は太陽光を受光するように調整し、夜間は室内照明を受光できるように調整することができる。
【0028】
各スラット2の一方の面には、フィルム型太陽電池3が取り付けられている。フィルム型太陽電池3の材料としては、薄膜の太陽電池であれば特に制限なく用いることができる。
【0029】
角度変更ローラ4には、二次電池7が組み込まれている。また、フィルム型太陽電池3と、二次電池7とは、例えば、一対のベルト6の内側に配線された電線8を通じて電気的に接続されている。これにより、フィルム型太陽電池3によって発電された電力は、電線8を通じて二次電池7に充電される。また、二次電池7は、制御部5に設けられた充電制御回路に接続されている。充電制御回路は、二次電池7に対する充電制御と、二次電池7からの給電制御とを行なう。給電制御では、電線9等の外部出力手段を通じて外部に電力を出力し、様々な用途に有効活用することができる。
【0030】
この実施の形態に係るブラインド1は、図2に示すように、スラット2がフィルム型太陽電池3を取り付けるための段差部21を有し、段差部21に対して太陽電池3が着脱自在であることを特徴とする。段差部21は、長方形等の矩形状であり、フィルム型太陽電池3をスラット2に取り付けた時に、フィルム型太陽電池3の表面とスラット2の表面が略同一平面上に位置するように内側に凹んでいることが好ましい。すなわち、段差部21の深さと、太陽電池3の厚みは、同じであることが好ましい。
【0031】
段差部21の深さが太陽電池3の厚みよりも深い場合、スラット2の表面に凹部が形成され、太陽電池3の上に埃などが溜まりやすくなる。また、これとは逆に、段差部21の深さが太陽電池3の厚みよりも浅い場合、太陽電池3の表面がスラット2の表面よりも突出するため、他のスラットなどに当接して傷などが生じやすくなる。したがって、太陽電池3の表面とスラット2の表面が略同一平面上に位置することが好ましい。
【0032】
段差部21内の幅方向の両端部には、複数の切欠部22a、22b、22c及び22dが設けられている。また、切欠部22a、22b、22c及び22d内には、電線8に電気的に接続されたプラス電極部23a、23b、及びマイナス電極23c、23dが設けられている。プラス電極部23a、23b、及びマイナス電極23c、23dは、金属接片や板バネ状の接片でもよいし、コイル状の電極を用いてもよい。
【0033】
太陽電池3は、段差部21と略同じ大きさ及び形状を有し、幅方向の両端部には、切欠部22a、22b、22c及び22dに挿入される複数の突出部31a、31b、31c及び31dが設けられている。また、突出部31a、31b、31c及び31dの先端には、太陽電池3に電気的に接続されたプラス接点部32a、32b、及びマイナス接点部32c、32dが設けられている。
【0034】
太陽電池3を段差部21内にはめ込むと、突出部31a、31b、31c及び31dが切欠部22a、22b、22c及び22dに挿入される。これにより、太陽電池3は段差部21内で位置ズレすることなく保持されるとともに、スラット2から外れにくくなる。また、プラス接点部32a、32b及びマイナス接点部32c及び32dは、プラス電極部23a、23b及びマイナス電極部23c及び23dに接触するので、太陽電池3は電線8に電気的に接続される。
【0035】
このように、スラット2の段差部21にフィルム型太陽電池3をはめ込む構造とすることによって、フィルム型太陽電池3をブラインドに簡易に取り付け、取り外しすることができる。また、例えば、段差部21の一部にフィルム型太陽電池3をはめ込み、残部にはスラット2と同色のカバーをはめ込むといった使い方をすることにより、周りの建造物等で影になり、発電量が少ない領域には太陽電池3をはめ込まないようにしたり、スラット2を反転させた時でも発電できるように太陽電池3の配置を変更したりすることが容易にできる。すなわち、同じブラインドであっても設置場所や使用時間に応じて太陽電池3の配置を簡単に変更することが可能となる。
【0036】
なお、実施の形態1では、太陽電池3をスラット2とほぼ同じ大きさにしているが、太陽電池3をスラット2よりも小さくし、1枚のスラット2に複数の太陽電池3を着脱できるようにしてもよい。これによれば、太陽電池3の配置をより細かく調整することが可能である。
【0037】
また、実施の形態1は、横型ブラインドを例に説明したが、図3に示すように、スラット2Aが垂直方向に延伸するように配置され、水平方向に複数配列された縦型ブラインド1Aに、本実施の形態の段差部21及び太陽電池3を適用しても良い。なお、図3では、図1に示す横型ブラインド1と同等の部品については同じ符号を適用し、詳しい説明は省略する。
【0038】
縦型ブラインド1Aは、複数のスラット2Aの上端部を水平方向にスライド自在に支持するレール11を備えており、このレール11内に二次電池(図示せず)を組み込んでいる。また、レール11内には、レール11の延伸方向に沿って配置された金属接片(図示せず)が配置され、この金属接片は二次電池のマイナス端子に接続されている。さらに、スラット2Aの上端部には、レール11内の金属接片に当接する接点部(図示せず)が設けられており、この接点部は太陽電池3Aのプラス端子に接続されている。そして、各スラット2Aの太陽電池3Aのマイナス端子には、配線12が接続され、この配線12はレール11内の二次電池のマイナス端子に接続されている。これにより、水平方向にスライドするとともに、任意に角度が変更されるスラット2Aの太陽電池3Aであっても、二次電池を充電することができる。
【0039】
これによれば、縦型ブラインド1Aでも横型ブラインド1と同様に、太陽電池3Aをスラット2Aに簡単に取り付け、取り外しすることができ、周りの建造物等の影に応じて太陽電池3Aの配置を任意に変更することが可能となる。
【0040】
(実施の形態2)
図4(a)は実施の形態2に係るフィルム型太陽電池付ブラインド1Bを示す斜視図である。この実施の形態は、横型ブラインドに限定される点と、フィルム型太陽電池3Bが直上のスラット2Bにより影が生じない無影領域Bを少なくとも覆うよう、スラット2Bの水平方向の中心線を基準として下側に偏心して配置されている点で実施の形態1と構成が異なる。実施の形態1と同等の構成については、同一符号を付することでその説明を省略する。
【0041】
図4(b)に示すように、横型ブラインドの場合、スラット2Bが太陽光又は室内照明光を遮光するように傾斜されると、直上のスラット2B1により、直下のスラット2B2に影が生じる有影領域Aと、影が生じない無影領域Bとが発生する。この有影領域Aは、通常、スラット2B2の水平方向の中心線を基準として上側に発生し、無影領域Bは、通常、スラット2B2の水平方向の中心線を基準として下側に発生する。
【0042】
この実施の形態では、フィルム型太陽電池3Bが少なくとも無影領域Bを覆うよう、スラット2Bの水平方向の中心線を基準として下側に偏心して配置される。好ましくは、フィルム型太陽電池3Bが無影領域Bを覆い、且つ、有影領域Aを覆う部分が少なくなるよう配置され、より好ましくは、フィルム型太陽電池3Bが無影領域Bを覆い、且つ、有影領域Aを覆わないよう配置される。
【0043】
フィルム型太陽電池3Bは、その幅方向の一辺の長さが、スラット2の幅方向の一辺の長さの2/3以下程度となるような大きさに調整することが好ましい。
【0044】
本実施の形態では、スラット2Bに幅の狭い太陽電池3Bに合わせた段差部21を設け、この段差部21に太陽電池3をはめ込むようにしてもよいし、実施の形態1のスラット2の段差部21に上述した幅の狭い太陽電池3Bをはめ込むようにしてもよい。
【0045】
この実施の形態によれば、適切な大きさのフィルム型太陽電池3Bを使用して、無駄なく有効に発電できるため、ブラインド全体の発電容量に対して発電効率に優れる横型ブラインドを提供できる。
【0046】
(実施の形態3)
図5は実施の形態3に係るフィルム型太陽電池付ブラインド1Cを示す斜視図であり、図6はブラインド1Cに用いられるスラット2C及び太陽電池3Cを示す斜視図である。この実施の形態では、スラット2Cの段差部21内で太陽電池3Cをスラット2Cの幅方向にスライド自在にするために、段差部21内にガイド24が設けられている点と、フィルム型太陽電池3Cの裏面にコロ33が設けられている点で実施の形態1及び2と構成が異なる。実施の形態1及び2と同等の構成については、同一の符号を付することでその説明を省略する。
【0047】
この実施の形態も、実施の形態2と同様、横型ブラインドに適する形態である。まず、図6に示すように、段差部21がスラット2Cの幅方向と平行する溝状のガイド24を有する。一方、フィルム型太陽電池3Cは、その裏面にコロ33が設けられている。そして、段差部21のガイド24に、フィルム型太陽電池3Cのコロ33が挿入されるよう、フィルム型太陽電池3Cはスラット2Cの段差部21に取り付けられる。ここで、フィルム型太陽電池3Cの幅方向の一辺の長さは、段差部21の幅方向の一辺の長さよりも短く設定されているので、フィルム型太陽電池3Cはガイド24に沿って段差部21内でスライドする。そして、角度変更ローラ4及び一対のベルト6によりスラット2Cの傾斜角を変更すると、重力の影響で、フィルム型太陽電池3Cは常にスラット2Cの水平方向の中心線を基準として下側に偏心して配置される。
【0048】
図7(a)に示すように、太陽光を遮光するようにスラット2Cが傾斜すると、太陽電池3Cは段差部21内でスライドし、スラット2Cの水平方向の中心線を基準として下側に配置される。したがって、直上のスラット2Cの影によって直下のスラット2Cの太陽電池3Cが隠れることはない。また、同図(b)に示すように、室内照明光を遮光するようにスラット2Cが傾斜すると、太陽電池3Cは段差部21内でスライドし、スラット2Cの水平方向の中心線を基準として下側に配置される。したがって、直上のスラット2Cの影によって直下のスラット2Cの太陽電池3Cが隠れることはない。
【0049】
なお、図6においてはガイド24として溝状のものを2本用いているが、ガイド24の形態は溝状のものに限らず、ガイド24の数も特に限定されない。同様に、図6においてはコロ33を4つ用いているが、コロ33の数も特に限定されない。すなわち、太陽電池3Cが段差部21内で摩擦抵抗を生じずにスムースにスライド可能な構成であれば、ガイド24及びコロ33の個数は限定されず、ガイド24及びコロ33以外の構成を用いてもよいし、ガイド24及びコロ33等を用いずに太陽電池3Cをスライドさせてもよい。
【0050】
この実施の形態によれば、スラット2Cの傾斜角をどのように変更しても、フィルム型太陽電池3Cはスラット2Cの水平方向の中心線を基準として下側に偏心して配置される、すなわち、直上のスラット2Cにより影が生じない無影領域Bを覆うように移動するので、フィルム型太陽電池3Cをスラット2Cの全面に設けたり、フィルム型太陽電池3Cの配置をわざわざ手動で変更したりしなくても、昼夜ともに発電可能となる。すなわち、最小限のフィルム型太陽電池3Cを用いつつ、昼夜ともに発電可能な、発電効率に優れる横型ブラインドを提供できる。
【0051】
なお、実施の形態3では、実施の形態1、2と同様に手動でスラット2Cの傾斜角を変更する場合について説明したが、太陽電池3Cが、太陽光と室内照明光とのうち、光量の大きなほうを向くように、スラット2Cの傾斜角を自動で変更するようにしてもよい。
【0052】
具体的には、制御部5にソーラータイマーまたは自動点滅器と、角度変更ローラ4を回動させるモータと、このモータの制御回路とを設ける。ソーラータイマーまたは自動点滅器、モータ及び制御回路は、本発明の角度変更手段の一部に相当する。そして、太陽電池3Cが屋外を向くようにスラット2Cの角度が変更されているときにソーラータイマーまたは自動点滅器によって太陽が沈んだことを特定すると、制御回路によってモータを駆動させ、スラット2Cの角度を変更させて太陽電池3Cが室内を向くようにする。逆に、太陽電池3Cが室内を向くようにスラット2Cの角度が変更されているときにソーラータイマーまたは自動点滅器によって太陽が昇ったことを特定すると、制御回路によってモータを駆動させ、スラット2Cの角度を変更させて太陽電池3Cが屋外を向くようにする。
【0053】
これによれば、太陽電池3Cは常に光量の大きなほうを向くように傾斜角が自動で変更されるので、太陽光及び室内照明光から無駄なく有効に発電を行なうことができる。なお、ソーラータイマーまたは自動点滅器の代わりに、一般的なタイマー等を用いてもよい。また、この構成は、縦型ブラインド1Aに適用することも可能である。
【0054】
また、実施の形態1~3では、太陽電池3と二次電池7とを一対のベルト6の内側に配線された電線8によって接続しているが、各スラット2に隣接するスラット2と電気的に接続するための接点部を設け、この接点部を介して二次電池7と接続するようにしてもよい。
【0055】
具体的には、図8に示すように、各スラット2Dの上面に4個の接点部13を設け、各スラット2Dの下面に4個の接点部14(図9参照)を設ける。接点部13及び接点部14は、接点部13及び接点部14が設けられたスラット2Dの太陽電池3に電気的に接続されている。
【0056】
スラット上面の接点部13と、スラット下面の接点部14は、図9(a)、(b)に示すように、スラット2Dを全閉したときに互いに当接する位置に配置されている。最上段に配置されているスラット2Dの接点部13は、スラット2Dを全閉したときに二次電池7に接続された接点部(図示せず)と当接する。そのため、各太陽電池3によって発電された電気は接点部13及び接点部14を通じて二次電池7に充電される。これによれば、より簡単な構成で各スラット2Dの太陽電池3と二次電池7とを電気的に接続することが可能となる。
【0057】
また、スラット2Dの上面の接点部13に小容量の二次電池を組み込み、スラット2Dが全閉していないときに発電された電気をこの小容量の二次電池に充電し、スラット2Dが全閉したときに小容量の二次電池から、大容量の二次電池7に送電できるようにしてもよい。
【0058】
以上、この発明の実施の形態1~3を詳述してきたが、具体的な構成はこの各実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。
【符号の説明】
【0059】
1、1A、1B、1C フィルム型太陽電池付ブラインド
2、2A、2B、2C、2D スラット
3、3A、3B、3C フィルム型太陽電池
4 角度変更ローラ(角度変更手段)
4a 回転軸
5 制御部
6 ベルト(角度変更手段)
7 二次電池
8 電線
9 電線
11 レール
12 配線
13 接点部
14 接点部
21 段差部
22 切欠部
23a、23b、23c、23d 電極
24 ガイド
31 突出部
32 接点部
33 コロ
A 有影領域
B 無影領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9