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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077243
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 25/02 20060101AFI20240531BHJP
【FI】
F25D25/02 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189206
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】山川 ジョエル
(57)【要約】
【課題】棚板を支持する支持部材の取り外しに関する作業性を向上させる。
【解決手段】冷蔵庫は、冷蔵庫本体と、貯蔵室の左右の内壁面に対して取り付け及び取り外し可能で貯蔵室の奥行方向に長い長尺状に構成され棚板が載せられて棚板を支持する支持部材と、貯蔵室の左右の内壁面にそれぞれ設けられ支持部材を奥行方向に離れた2か所以上で保持する保持部材と、を備える。支持部材は、内壁面側へ突出した爪部を有する。保持部材は、異なる高さ位置に複数設けられて庫内側から庫外側へ向かって爪部を挿入可能な挿入部を有する。支持部材は、爪部の先端部を挿入部に挿入した状態で爪部側を支点に下方へ回転されることにより保持部材に取り付けられ、爪部側を支点に上方へ回転されると爪部が挿入部から抜き出される方向へ移動して保持部材から取り外される。支持部材は、保持部材に取り付けられた状態で爪部側を支点に上方へ保持部材を回転させる力を受ける受け部を有する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、
前記貯蔵室の左右の内壁面に対して取り付け及び取り外し可能であって、前記貯蔵室の奥行方向に長い長尺状に構成され、棚板が載せられて前記棚板を支持する支持部材と、
前記内壁面にそれぞれ設けられ、前記支持部材を奥行方向に離れた2か所以上で保持する保持部材と、
を備え、
前記支持部材は、前記内壁面側へ突出した爪部を有し、
前記保持部材は、異なる高さ位置に複数設けられて庫内側から庫外側へ向かって前記爪部を挿入可能な挿入部を有し、
前記支持部材は、
前記爪部の先端部を前記挿入部に挿入した状態で前記爪部側を支点に下方へ回転されることにより前記保持部材に取り付けられ、前記爪部側を支点に上方へ回転されると前記爪部が前記挿入部から抜き出される方向へ移動して前記保持部材から取り外され、
前記保持部材に取り付けられた状態で前記爪部側を支点に上方へ前記保持部材を回転させる力を受ける受け部を更に有している、
冷蔵庫。
【請求項2】
前記支持部材の下面は、庫内側から前記内壁面側へ向かって下降した傾斜面に形成され、
前記受け部は、前記傾斜面に対して角度を有して設けられている、
請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記支持部材の下面は、庫内側から前記内壁面側へ向かって下降した傾斜面に形成され、
前記受け部は、前記傾斜面よりも前記支持部材の外側に突出していない位置に設けられている、
請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記支持部材は、前記支持部材の下面を上方へ向かって窪ませて形成された下側窪み部を更に有し、
前記受け部は、前記下側窪み部の天井面によって構成されている、
請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記支持部材は、前記支持部材の上面を下方へ向かって窪ませて形成され、前記棚板の一部が嵌り込んで前記棚板の前記奥行方向の移動を規制する上側窪み部を更に有し、
前記上側窪み部と前記下側窪み部とは、平面視において重なる位置に設けられている、
請求項4に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記支持部材は、前記支持部材の長手方向の中心部に位置している、
請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記受け部は、前記支持部材の下面の一部を切り欠いて形成された切り欠き部に設けられている、
請求項6に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば前面に扉が設けられた一般的な冷蔵庫は、貯蔵品を載せるための棚板を庫内に備えている。このような冷蔵庫は、一般に、冷蔵庫の内壁面に庫内側へ突出したいわゆるビードが設けられており、このビードで棚板を支持する構成となっている。しかしながら、このような構成では、棚板の高さ位置をユーザの好みに細かく調整することができない。そこで、棚の上下方向の位置をユーザの好みに変更できる冷蔵庫が提案されている。しかしながら、従来構成では、複数の金具等を用いる必要があり、支持部材の取り付け及び取り外しの操作性に関して未だ改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2022-515933号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、棚板を支持する支持部材の取り付け及び取り外しに関して作業性の良い冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態による冷蔵庫は、貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、前記貯蔵室の左右の内壁面に対して取り付け及び取り外し可能であって、前記貯蔵室の奥行方向に長い長尺状に構成され、棚板が載せられて前記棚板を支持する支持部材と、前記貯蔵室の左右の内壁面にそれぞれ設けられ、前記支持部材を奥行方向に離れた2か所以上で保持する保持部材と、を備える。前記支持部材は、前記内壁面側へ突出した爪部を有し、前記保持部材は、異なる高さ位置に複数設けられて庫内側から庫外側へ向かって前記爪部を挿入可能な挿入部を有し、前記支持部材は、前記爪部の先端部を前記挿入部に挿入した状態で前記爪部側を支点に下方へ回転されることにより前記保持部材に取り付けられ、前記爪部側を支点に上方へ回転されると前記爪部が前記挿入部から抜き出される方向へ移動して前記保持部材から取り外される。前記支持部材は、前記保持部材に取り付けられた状態で前記爪部側を支点に上方へ前記保持部材を回転させる力を受ける受け部を更に有している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】一実施形態による冷蔵庫の一例を示す正面図
図2】一実施形態による冷蔵庫について棚板、支持部材、及び保持部材の一例を示すもので下方から見た場合を示す斜視図
図3】一実施形態による冷蔵庫について支持部材の一例を示すもので庫内側でかつ下方から見た場合を示す斜視図
図4】一実施形態による冷蔵庫について支持部材の一例を示すもので貯蔵室の内壁側でかつ下方から見た場合を示す斜視図
図5】一実施形態による冷蔵庫について保持部材の一例を分解して示すもので庫内側でかつ下方から見た場合を示す斜視図
図6】一実施形態による冷蔵庫について棚板、支持部材、及び保持部材の一例を示すもので庫内側から見た場合を示す側面図
図7】一実施形態による冷蔵庫について、図6のX7-X7線に沿った断面を部分的に拡大して示す断面図
図8】一実施形態による冷蔵庫について、図6のX8-X8線に沿った断面を部分的に拡大して示す断面図
図9】一実施形態による冷蔵庫について、図6のX9-X9線に沿った断面を部分的に拡大して示す断面図
図10】一実施形態による冷蔵庫について、図6のX10-X10線に沿った断面を部分的に拡大して示す断面図
図11】一実施形態による冷蔵庫について、図7及び図10に相当する図であって、支持部材を保持部材に対して取り付け及び取り外す際の支持部材の動きの一例を示す断面図
図12】一実施形態による冷蔵庫について、(A)、(B)は支持部材の他の例を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1に示す冷蔵庫10は、冷蔵庫本体20と、1つ以上の扉31~36と、を備えており、冷蔵庫本体20内に複数の貯蔵室を有して構成されている。冷蔵庫本体20は、断熱箱体であり、前面が開口した縦長矩形箱状に構成されている。本実施形態では、冷蔵庫10に関する方向を下記のとおり定義する。冷蔵庫本体20の開口側を、冷蔵庫10の前面側とし、開口とは反対側を、冷蔵庫10の背面側とする。冷蔵庫10の前後方向を、奥行き方向とも称する。冷蔵庫10を図1の姿勢で床面に設置した場合における重力方向に対する上下方向を、冷蔵庫10の上下方向とする。図1の冷蔵庫10を前側から見た場合における左右方向を、冷蔵庫10の左右方向とする。そして、冷蔵庫10において貯蔵室の中央内側へ向かう方向を庫内側と称し、貯蔵室の外側へ向かう方向を庫外側と称する。
【0008】
冷蔵庫本体20は、内箱21と図示しない外箱との間、すなわち箱体を構成する各壁部内に、発泡ウレタンや真空断熱パネル等の高い断熱性を有する部材を設けて構成されている。冷蔵庫本体20は、貯蔵物を貯蔵するための複数の貯蔵室として、例えば冷蔵室11、野菜室12、製氷室13、小冷凍室14、及び冷凍室15を備えている。冷蔵室11、野菜室12は、冷蔵温度帯の貯蔵室である。また、製氷室13、小冷凍室14、及び冷凍室15は、冷凍温度帯の貯蔵室である。
【0009】
冷蔵庫10は、1つ以上の棚板40、1つ以上の支持部材50、及び保持部材60を備えている。棚板40、支持部材50、及び保持部材60は、冷蔵庫10の庫内、例えば冷蔵室11内に設けられている。棚板40は、高さ位置を変更可能な棚であり、全体として矩形の板状に構成されている。棚板40は、貯蔵物を載置するためのものであり、支持部材50及び保持部材60を介して、冷蔵室11の左右の内壁面111に取付けられる。この場合、保持部材60は、冷蔵室11の左右の内壁面111に取り外し不可能な態様で固定されている。支持部材50は、保持部材60に対して取り付け及び取り外し可能で、かつ、保持部材60に対する高さ位置を変更可能に構成されている。そして、棚板40は、保持部材60に取り付けられた支持部材50によって支持される構成である。
【0010】
棚板40は、例えば図2に示すように、板部材41及び枠部材42を有している。板部材41は、棚板40の主体となる構成であり、例えばガラス製の板で構成することができる。枠部材42は、板部材41の周囲に設けられており、例えばガラス製の板部材41を保護する機能を有する。枠部材42は、棚板40を支持部材50に載置した場合に支持部材50に接触する部分となる。なお、板部材41と枠部材42とを例えば樹脂製の一体成型品で構成することもできる。
【0011】
棚板40は、第1規制部43及び第2規制部44を有している。第1規制部43及び第2規制部44は、棚板40の周囲の辺部のうち前後方向に延びる辺部、つまり内壁面111と対向する辺部に設けられている。第1規制部43及び第2規制部44は、棚板40の下方へ突出している。第1規制部43は、支持部材50を咥え込む形状に形成されている。これにより、棚板40が支持部材50の適切な位置に配置された状態において、第1規制部43は、棚板40が支持部材50に対して上下方向に移動することを規制する。
【0012】
第2規制部44は、支持部材50に対して嵌り込む形状に形成されている。これにより、棚板40が支持部材50の適切な位置に配置された状態において、第2規制部44は、棚板40が支持部材50に対して前後方向に移動することを規制する。第1規制部43は、例えば枠部材42と一体に構成されている。第1規制部43は、第2規制部44よりも前側に設けられている。この場合、第1規制部43は、棚板40の前後方向における中心よりも前側に設けられている。また、第2規制部44は、棚板40の前後方向における中心よりも後側に設けられている。
【0013】
支持部材50は、保持部材60を介して冷蔵室11の左右の内壁面111に対して取り付け及び取り外し可能に構成されている。図2に示すように、支持部材50は、棚板40が載せられて棚板40を支持する機能を有する。支持部材50は、例えば樹脂製であって、図3及び図4にも示すように全体として冷蔵室11の奥行方向に長い長尺の棒状に構成されている。本実施形態の場合、支持部材50は、支持部材50の長手方向の中心に対して対称に構成されている。このため、冷蔵庫10内において左右に設けられる2つの支持部材50は共通化されている。
【0014】
支持部材50は、図3図4、及び図6図10にも示すように、主体部51、受け部52、及び爪部53を有している。支持部材50は、樹脂成型等によって、主体部51と受け部52と爪部53との繋ぎ目がない一体成型品で構成することができる。主体部51は、支持部材50の支持部材50のうち長尺の棒状の部分である。主体部51は、例えば全体として長尺の棒状であって、内壁面111側へ向かって開放された形状に形成されている。主体部51は、図7図10に示すように、例えば長手方向に対して垂直面で切断した断面が、内壁面111側を長辺とし、庫内側を短辺とした略台形形状となっている。主体部51は、補強部511、載置部512、斜面部513、上側窪み部514、下側窪み部515、及び切り欠き部516を有している。
【0015】
補強部511は、板状に形成されており、主体部51の中空の内側に複数設けられて、主体部51を補強する機能を有する。主体部51は、中空に構成して補強部511を設けることにより、軽量化と高強度の両立が図られている。載置部512は、図7図10に示すように、主体部51の上面を構成しており、水平方向に延びる平坦面に形成されている。載置部512には、棚板40が載置される。載置部512は、棚板40の枠部材42に接触する部分である。すなわち、支持部材50は、載置部512が棚板40の枠部材42に接触して棚板40を支持する。
【0016】
斜面部513は、主体部51の下側の面つまり支持部材50の下面を構成する。斜面部513は、載置部512よりも下方で、かつ棚板40よりも下方に位置している。斜面部513は、図7図10に示すように、庫内側から庫外側つまり内壁面111側へ向かって下降した傾斜面である。つまり、斜面部513は、冷蔵庫10の正面側から見た場合に、冷蔵庫10の中央側から外側へ向かって下降した傾斜面に形成されている。水平に対する斜面部513の傾斜角度は、例えば30°以上でかつ45°以下に設定されている。この場合、載置部512に対する斜面部513の傾斜角度も、例えば30°以上でかつ45°以下に設定されている。
【0017】
本実施形態の場合、主体部51は、2つの上側窪み部514を有している。2つの上側窪み部514は、それぞれ主体部51の長手方向に離れた位置でかつ長手方向の中心に対して対称となる位置に設けられている。上側窪み部514は、図3図6図7、及び図10に示すように、支持部材50の上面、この場合、載置部512を下方へ向かって窪ませて形成されている。本実施形態の場合、上側窪み部514は、図7及び図10に示すように、例えば上側及び庫内側へ向かって開放されている。上側窪み部514は、棚板40の一部、この場合、第2規制部44が嵌り込むことで棚板40の奥行方向の移動を規制する。図10に示すように、棚板40が支持部材50に載置された状態で、第2規制部44の下端部分は、上側窪み部514の底面部分に接触しない。
【0018】
本実施形態の場合、主体部51は、図3等に示すように、2つの下側窪み部515を有している。2つの下側窪み部515は、それぞれ主体部51の長手方向に離れた位置でかつ長手方向の中心に対して対称となる位置に設けられている。下側窪み部515は、図3図6図7、及び図10に示すように、支持部材50の下面、この場合、斜面部513を上方へ向かって窪ませて形成されている。本実施形態の場合、下側窪み部515は、図7及び図10に示すように、例えば下側及び庫内側へ向かって開放されている。上側窪み部514と下側窪み部515とは、平面視において重なる位置に設けられている。このため、図7及び図10に示すように、上側窪み部514と下側窪み部515との間に板状の板状部517が形成されている。
【0019】
板状部517の下側面は下側窪み部515の天井面を構成し、板状部517の上側面は上側窪み部514の底面を構成する。板状部517は、水平方向に延びる板状に構成されている。板状部517の周囲の縁部のうち庫内側の縁部以外の縁部、この場合、矩形状の板状部517の4辺のうち庫内側の辺部以外の3辺部は、上側窪み部514及び下側窪み部515の内面に接続されている。上側窪み部514及び下側窪み部515は、棚板40が支持部材50の適切な位置に配置された状態、つまり後側の上側窪み部514に第2規制部44が嵌り込んだ状態で、第1規制部43と重ならない位置に設けられている。
【0020】
切り欠き部516は、図2図3図4図6、及び図9に示すように、主体部51の下面の一部を切り欠いて形成されている。本実施形態の場合、切り欠き部516は、斜面部513を例えば半円形に切り欠いて形成されている。切り欠き部516は、支持部材50の長手方向の中心部に設けられており、支持部材50の最下端部に位置している。切り欠き部516は、下側窪み部515よりも下方に位置している。本実施形態の場合、主体部51は中空に形成されているため、ユーザは、切り欠き部516から主体部51の中にユーザの指の一部を入れることができる。
【0021】
支持部材50は、1つ以上の受け部52を有している。受け部52は、支持部材50が保持部材60に取り付けられた状態から取り外される際に、支持部材50を取り外すために必要な力をユーザから受けるための構成である。受け部52は、支持部材50が保持部材60に取り付けられた状態で、ユーザからの操作力、この場合、爪部53側を支点に上方へ保持部材60を回転させる力を受ける。受け部52は、主体部51の下側の傾斜面つまり斜面部513に対して角度を有して設けられている。受け部52は、支持部材50の主体部51のうち下部から側部にかけて形成される面、この場合、斜面部513よりも、支持部材50の取り外しの際の回転方向すなわち図11の取り外し方向に対する傾きが大きい面を有している。
【0022】
本実施形態の支持部材50は、受け部52として、2つの第1受け部521及び1つの第2受け部522を有している。第1受け部521は、図3及び図7に示すように、下側窪み部515の天井面つまり板状部517の下側面によって構成されている。この場合、2つの第1受け部521は、支持部材50の長手方向の中心を挟んで対称の位置に設けられている。第2受け部522は、図9に示すように、支持部材50の下面の一部を切り欠いた部分つまり切り欠き部516に設けられている。すなわち、本実施形態では、切り欠き部516を構成する内側の縁部分を、第2受け部522とている。この場合、第2受け部522は、支持部材50の長手方向の中心部で、かつ、2つの第1受け部521に挟まれた位置に設けられている。
【0023】
爪部53は、支持部材50を保持部材60に引っ掛けて支持部材50を保持部材60に取り付ける機能を有する。本実施形態の場合、支持部材50は、2つ以上の爪部53を有している。2つの爪部53は、図4に示すように、支持部材50の長手方向に離れて配置されている。爪部53は、支持部材50の長手方向において上側窪み部514及び下側窪み部515と重なる位置に設けられている。爪部53は、図4図7、及び図10に示すように、主体部51から内壁面111側へ突出しかつ爪部53の先端部分が上側へ向かって略直角に曲がった形状に形成されている。また、爪部53の外周面は、円弧状に湾曲している。
【0024】
保持部材60は、例えば冷蔵室11等の貯蔵室の左右の内壁面111にそれぞれ設けられており、支持部材50を奥行方向に離れた2か所以上で保持する。図1及び図6に示すように、本実施形態の場合、左右の内壁面111には、保持部材60がそれぞれ2つずつ前後方向に離して設けられている。保持部材60は、全体として上下方向に長い長尺状に構成されている。各保持部材60は、複数の挿入部61を有している。挿入部61は、保持部材60において異なる高さ位置に複数設けられており、庫内側から庫外側へ向かって爪部53を挿入可能に構成されている。複数の挿入部61は、保持部材60の長手方向に沿って、つまり上下方向に沿って等間隔に配置されている。
【0025】
保持部材60は、内箱21よりも剛性の高い部材で構成されている。内箱21は、例えば樹脂部材で構成されている。一方、保持部材60は、例えば金属部材で構成されている。保持部材60は、図5図7図10に示すように、内側部材601及び外側部材602を有して構成されている。内側部材601は、貯蔵室11側に露出している。外側部材602は、貯蔵室11の外側、この場合、冷蔵庫10の側壁部内に設けられている。内側部材601と外側部材602とは、内箱21を挟んだ状態でネジや接着剤若しくはスナップフィット等で相互に接続されている。これにより、保持部材60は、内箱21に固定されている。
【0026】
挿入部61は、図7及び図10に示すように、内側部材601を厚み方向に貫いて形成されている。挿入部61は、例えば内側部材601の幅方向に長い矩形若しくは長円形の穴に形成されている。図7に示すように、挿入部61は、支持部材50を保持した状態において、支持部材50の爪部53と接触する部分を有する。爪部53と接触する部分は、爪部53側を支点として支持部材50の主体部51側が下方に向かう回転を規制する。本実施形態の場合、爪部53は、第1接触部531、第2接触部532、及び係止部533を有している。第1接触部531は、爪部53の上方へ折れ曲がった先端部分のうち内側部材601と対向する部分である。第2接触部532は、爪部53の下側の面である。
【0027】
また、保持部材60は、第1被接触部621、第2被接触部622、及び被係止部623を有している。第1被接触部621は、第1接触部531に対応しており、挿入部61の上側に設けられて庫外側へ突出している。第2被接触部622は、第2接触部532に対応しており、挿入部61を構成する周囲の縁部のうち下側の縁部に沿って設けられている。
【0028】
第2接触部532及び第2被接触部622は、それぞれ第1接触部531及び第1被接触部621の下方に位置している。また、第1接触部531及び第1被接触部621は、載置部512の上方に位置している。そして、第2接触部532及び第2被接触部622は、載置部512の下方に位置している。
【0029】
支持部材50は、第2接触部532が第2被接触部622に接触することで、下方への移動が規制される。また、保持部材60は、爪部53が挿入部61に挿入された状態で、第1接触部531及び主体部51の下端の縁部518が、それぞれ第1被接触部621及び内側部材601に接触することで、主体部51が下方へ向かう方向への回転、つまり図11の取り付け方向への回転が規制される。この場合、棚板40の重量が載置部512に加わると、支持部材50には主体部51が下方へ向かう方向への回転力が作用する。これにより、第1接触部531及び縁部518が、それぞれ第1被接触部621及び内側部材601により強く接触し、これにより、支持部材50は、保持部材60により強固に固定される。
【0030】
また、係止部533は、爪部53の外周面において第1接触部531から第2接触部532の間に設けられており、爪部53の外周面から外方へ僅かに突出した形状に形成されている。被係止部623は、係止部533に対応した位置に設けられている。被係止部623に係止部533が係止することで、支持部材50は、主体部51が上方へ向かう方向への回転が規制される。
【0031】
支持部材50は、図11に示すように、爪部53の先端部を挿入部61に挿入した状態で爪部53側を支点に下方つまり取り付け方向へ回転されると、爪部53が挿入部61に挿入されて保持部材60に取り付けられる。一方、支持部材50に対して爪部53側を支点に上方つまり取り外し方向への回転力が加えられると、係止部533によって被係止部623周辺を押し広げられる。これにより、被係止部623に対する係止部533の係止が外れて、支持部材50は、爪部53が挿入部61から抜き出される方向へ移動して保持部材60から取り外される。
【0032】
以上説明した実施形態によれば、冷蔵庫10は、冷蔵庫本体20と、支持部材50と、保持部材60と、を備える。冷蔵庫本体20は、貯蔵室11、12、13、14、15を有する。支持部材50は、貯蔵室11の左右の内壁面111に対して取り付け及び取り外し可能であって、貯蔵室11の奥行方向に長い長尺状に構成され、棚板40が載せられて棚板40を支持する機能を有する。保持部材60は、貯蔵室11の左右の内壁面111にそれぞれ設けられ、支持部材50を奥行方向に離れた2か所以上で保持する機能を有する。
【0033】
支持部材50は、内壁面111側へ突出した爪部53を有している。保持部材60は、異なる高さ位置に複数設けられて庫内側から庫外側へ向かって爪部53を挿入可能な挿入部61を有している。支持部材50は、爪部53の先端部を挿入部61に挿入した状態で爪部53側を支点に下方へ回転されることにより保持部材60に取り付けられる。また、支持部材50は、爪部53側を支点に上方へ回転されると爪部53が挿入部61から抜き出される方向へ移動して保持部材60から取り外される。
【0034】
これによれば、ユーザは、支持部材50の高さ位置を変更することで、棚板40の高さ位置を、挿入部61の間隔に応じた好みの位置に変更することができるため、棚板40の利便性が向上する。また、棚板40の高さ位置を変更するために、内壁面111に固定されたいわゆるビードを多数設ける必要がなくなるため、ビードによって庫内容積が圧迫されることを抑制できる。そして、本実施形態によれば、ユーザは、ねじ等の部材や工具を用いることなく、支持部材50を回転させることで保持部材60に対して支持部材50を取り付け及び取り外すことができる。その結果、冷蔵庫10の内壁面111に対する支持部材50の取付け及び取り外しの作業性の向上を図ることができる。
【0035】
そして、支持部材50は、受け部52を更に有している。受け部52は、保持部材60に取り付けられた状態で爪部53側を支点に上方へ保持部材60を回転させる力を受ける機能を有する。これによれば、ユーザは、支持部材50を取り外す際の操作力を受け部52に対して効率良く加えることができる。そのため、支持部材50の取り外しがし易くなり、その結果、支持部材50を取り外す際の操作性が更に向上する。
【0036】
支持部材50の下面は、庫内側から内壁面111側へ向かって下降した傾斜面に形成されている。すなわち、支持部材50は、斜面部513を有している。そして、受け部52は、斜面部513に対して角度を有して設けられている。これによれば、受け部52は斜面部513とは異なる角度に設けられているため、ユーザは、受け部52を直接目視しなくても、斜面部513を触りながら斜面部513とは異なる角度の部位を探すことで、受け部52を探し当てることができる。そのため、支持部材50を取り外す際の操作性の更なる向上を図ることができる。
【0037】
支持部材50の下面は、庫内側から内壁面111側へ向かって下降した傾斜面に形成されている。すなわち、支持部材50は、斜面部513を有している。そして、受け部52は、斜面部513よりも支持部材50の外側に突出していない位置に設けられている。これによれば、支持部材50の下面を斜面部513として、支持部材50の断面積を小さくし、更に受け部52を斜面部513から突出しないように構成することで、支持部材50が設けられた貯蔵室11内をより広く確保することができる。
【0038】
支持部材50は、支持部材50の下面、この場合、斜面部513を上方へ向かって窪ませて形成された下側窪み部515を更に有している。そして、受け部52のうち第1受け部521は、下側窪み部515の天井面によって構成されている。これによれば、第1受け部521を斜面部513の外方へ突出しない形状とすることで、支持部材50が設けられた貯蔵室11内をより広く確保することができる。
【0039】
また、下側窪み部515の天井面によって第1受け部521を構成することで、ユーザは、第1受け部521を直接見なくても触感で判断することができる。そのため、例えば支持部材50がユーザの顔よりも下方に取り付けられている場合であっても、ユーザは、わざわざ身を屈めて視認しなくても、容易に第1受け部521を探して操作することができる。その結果、支持部材50を取り外す際の操作性の更なる向上を図ることができる。
【0040】
支持部材50は、上側窪み部514を更に有している。上側窪み部514は、支持部材50の上面を下方へ向かって窪ませて形成され、棚板40の一部、この場合、第2規制部44が嵌り込んで棚板40の奥行方向の移動を規制する機能を有する。そして、上側窪み部514と下側窪み部515とは、平面視において重なる位置に設けられている。
【0041】
ここで、棚板40は、支持部材50の載置部512に載せられる。載置部512と重なる位置に下側窪み部515を設けると、下側窪み部515によって窪ませた分、載置部512の下方の厚みが薄くなって強度が低下する。これに対し、上側窪み部514には、第2規制部44が嵌り込む。このため、上側窪み部514は、棚板40の荷重を直接的には受けない。そのため、下側窪み部515を、上側窪み部514と平面視で重なる位置、つまり、棚板40の荷重を直接的に受けない部分に設けることで、下側窪み部515を設けたことによる支持部材50の強度の低下による影響を受け難くすることができる。
【0042】
受け部52のうち第2受け部522は、支持部材50の長手方向の中心部に位置している。これによれば、第2受け部522に対して加えた力は、第2受け部522に対して前後両側部分に均等に作用する。このため、ユーザは、例えば片手による操作であっても、簡単に支持部材50を取り外すことができる。
【0043】
受け部52のうち第2受け部522は、支持部材50の下面の一部、この場合、斜面部513を切り欠いた切り欠き部516に設けられている。これによれば、第2受け部522を設けるために複雑な形状する必要がなく、簡単な構成で第2受け部522を実現することができる。
【0044】
なお、上記実施形態において、支持部材50は、必ずしも第1受け部521及び第2受け部522の両方を備えている必要はなく、第1受け部521又は第2受け部522のいずれか一方を備えていれば良い。
【0045】
また、支持部材50は、例えば図12(A)に示すように、断面が例えば正方形や長方形等の矩形若しくは多角形であっても良い。図12(A)の例では、支持部材50の矩形の下面が、受け部52として機能する。また、受け部52は、例えば図12(B)に示すように、支持部材50の下側の面、この場合、斜面部513に設けられたすべり止め構造であっても良い。図12(B)の受け部52は、ユーザが支持部材50を取り外す際に、ユーザの手指との摩擦を、斜面部513よりも増大させる機能を有するものである。図12(B)の受け部52は、例えば斜面部513に設けられた凹凸若しくは複数の突起等、又は斜面部513よりも摩擦係数の大きい部材を設けることで構成することができる。
【0046】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
10…冷蔵庫、11、12、13、14、15…貯蔵室、111…内壁面、20…冷蔵庫本体、40…棚板、50…支持部材、513…斜面部、514…上側窪み部、515…下側窪み部、516…切り欠き部、52…受け部、521…第1受け部、522…第2受け部、53…爪部、60…保持部材、61…挿入部
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