(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077249
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 8/70 20180101AFI20240531BHJP
G05B 19/042 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
G06F8/70
G05B19/042
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189219
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】517425446
【氏名又は名称】リンクウィズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大杉 真吾
【テーマコード(参考)】
5B376
5H220
【Fターム(参考)】
5B376DA20
5H220AA05
5H220BB09
5H220CC06
5H220CX01
5H220JJ12
5H220JJ16
5H220JJ28
(57)【要約】 (修正有)
【課題】システム等の安定稼働の阻害を防止する情報処理システム、情報処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】情報処理システム100は、ネットワーク4を介して通常フォルダ131に格納されたデータファイルを外部装置2へ送信させる送信部121と、所定の条件に基づき、データファイルが正常に送信されている否か判定する判定部122と、判定部122によりデータファイルが正常に送信されていないと判定された場合に、データファイルを退避フォルダ132に退避する退避部123と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して通常フォルダに格納されたデータファイルを外部装置へ送信させる送信部と、
所定の条件に基づき、前記データファイルが正常に送信されているか否か判定する判定部と、
前記判定部により前記データファイルが正常に送信されていないと判定された場合に、前記データファイルを退避フォルダに退避する退避部と、
を有する処理部を備える、情報処理システム。
【請求項2】
前記データファイルは、機械装置の制御結果に関する結果データまたはセンサが取得したセンサデータの少なくともいずれかのデータを所定のファイル形式に変換したデータファイルを含む、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記データファイルは、機械装置の制御結果に関する結果データまたはセンサが取得したセンサデータの少なくともいずれかのデータを用いて生成される生成データを所定のファイル形式に変換したデータファイルを含む、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記結果データは、前記機械装置の識別情報に紐づく時系列の動作結果データを含む、請求項2または3のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記センサデータは、三次元形状データを含む、請求項2または3のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記センサデータは、画像データを含む、請求項2または3のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記生成データは、前記センサにより取得した対象物の三次元形状データと記録媒体から取得した基準三次元形状データとの比較結果データを含む、請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記所定の条件は、前記データファイルの送信エラーに関する条件を含む、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記退避部は、前記データファイルを前記退避フォルダに格納する際に、記録媒体の前記通常フォルダまたは前記退避フォルダのいずれかに格納されている退避ログデータを更新する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記判定部が送信エラーの要因を特定可能に判定する場合には、前記送信エラーの要因ごとの複数の退避フォルダを設け、前記データファイルを対応する退避フォルダに格納する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記処理部が前記退避フォルダ内に前記データファイルが残留していることを検出した場合には、前記データファイルの再送信処理を前記送信部に指示する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記処理部は、前記再送信処理によって前記データファイルが正常に送信されたことを判定した場合には、前記データファイルを前記退避フォルダから削除する、請求項11に記載の情報処理システム。
【請求項13】
前記送信部、前記判定部、前記退避部及び前記処理部を有する機械制御システムと、前記外部装置を介して接続される端末をさらに備え、
前記機械制御システムと前記端末とは、互いに直接接続できない構成である、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項14】
前記機械制御システムは、前記外部装置へデータファイルの送信のみ可能とする構成である、請求項13に記載の情報処理システム。
【請求項15】
前記端末は、前記外部装置からデータファイルの受信のみ可能とする構成である、請求項13または請求項14に記載の情報処理システム。
【請求項16】
情報処理装置において、
ネットワークを介して通常フォルダに格納されたデータファイルを外部装置へ送信させることと、
所定の条件に基づき、前記データファイルが正常に送信されているか否か判定することと、
前記データファイルが正常に送信されていないと判定された場合に、前記データファイルを退避フォルダに退避することと、
を含む、情報処理方法。
【請求項17】
情報処理装置に、
ネットワークを介して通常フォルダに格納されたデータファイルを外部装置へ送信させることと、
所定の条件に基づき、前記データファイルが正常に送信されているか否か判定することと、
前記データファイルが正常に送信されていないと判定された場合に、前記データファイルを退避フォルダに退避することと、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、動作プログラムによって動作する複数台の産業機械を有する生産システムを管理し、クラウドサーバに接続されるセルコントローラを備える情報処理システムが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、製造処理や検査処理等により取得されたデータファイルがネットワークを介して外部装置へ送信される際に、予期せぬ電源遮断等に起因する通信不良により送信エラーが発生することがある。このような場合、送信エラーになったデータファイルの特定が困難になり、システム等の安定稼働が阻害される不都合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、ネットワークを介して通常フォルダに格納されたデータファイルを外部装置へ送信する送信部と、所定の条件に基づき、前記データファイルが正常に送信されているか否かを判定する判定部と、前記判定部により前記データファイルが正常に送信されていないと判定された場合に、前記データファイルを退避フォルダに退避する退避部と、を備える情報処理システムである。
【0006】
この情報処理システムによると、データファイルが正常に送信されていないと判定された場合に、データファイルを退避フォルダに退避することが可能となる。すなわち、送信エラー時にデータファイルが退避フォルダに退避されるので、送信エラーとなったデータファイルの特定が容易となり、システム全体を安定稼働させることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、システム等の安定稼働の阻害を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一態様による情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図2】本発明の一態様による情報処理システムの具体例を示す図である。
【
図3】本発明の一態様による機械制御システムの構成例を示す図である。
【
図4】本発明の一態様による機械部の構成例を示す図である。
【
図5】本発明の一態様による機械装置での作業の一例を示す図である。
【
図6】本発明の一態様によるセンサによる取得したセンサデータの一例を示す図である。
【
図7】本発明の一態様による情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図8】本発明の一態様による情報処理装置に実装される機能を例示したブロック図である。
【
図9】本発明の一態様による端末の構成例を示す図である。
【
図10】本発明の一態様による情報処理システムのデータファイル退避処理の流れの一例を示す図である。
【
図11】本発明の一態様による情報処理システムのデータファイル再送処理の流れの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一態様について、図面を参照しながら説明する。添付図面において、同一または類似の要素には同一または類似の参照符号及び名称が付され、各実施形態の説明において同一または類似の要素に関する重複する説明は省略することがある。
【0010】
<情報処理システム100の構成>
図1は、本発明の一態様による情報処理システムの構成の一例を示す図である。情報処理システム100は、ネットワーク4を介して通常フォルダ131に格納されたデータファイルを外部装置2へ送信させる送信部121と、所定の条件に基づき、前記データファイルが正常に送信されているか否かを判定する判定部122と、前記判定部122により前記データファイルが正常に送信されていないと判定された場合に、前記データファイルを退避フォルダ132に退避する退避部123と、を備える。
【0011】
情報処理システム100は、一以上の機械制御システム1、一以上の外部装置2、一以上の端末3及びネットワーク4を備える。本情報処理システム100において、機械制御システム1と外部装置2は、ネットワーク4を介して相互に接続されている。また、端末3は、機械制御システム1と外部装置2にネットワーク4を介して相互に接続されている。なお、
図1において、機械制御システム1、外部装置2及び端末3を1つずつ例示しているが、これに限らず、機械制御システム1、外部装置2及び端末3の少なくともいずれかを複数備えていてもよい。ここで、端末3を複数台備える場合に、複数の端末3は、機械制御システム1のみとネットワーク4を介して接続される端末と、外部装置2のみとネットワーク4を介して接続される端末を含んでいてもよい。また、一以上の端末3は、機械制御システム1または外部装置2の少なくともいずれかを管理する管理端末を含んでいてもよい。
【0012】
図2は、本発明の一態様による情報処理システムの具体例を示す図である。
図2において、機械制御システム1と端末3は、ネットワーク4A、4Bにより外部装置2を介して接続されている。このように、機械制御システム1と端末3とは互いに直接接続できない構成とすることが好ましい。これにより、機械制御システム1と端末3との間で互いにデータファイルの送受信を直接行うことができないため、互いのセキュリティを確保することができる。
図2に示されるとおり、機械制御システム1からの接続は外部装置2とし、機械制御システム1と端末3との直接のデータファイルの送受信を制限することで、機械制御システム1からの情報漏洩を防止することができる。さらに、機械制御システム1と端末3との情報の送受信は直接行なうことなく、外部装置2を介して行なうことにより、解析作業等の情報処理は外部装置2内で行なうことができる。これにより、端末3への機能負担や性能負担を低く抑えることができる。
【0013】
また、機械制御システム1は、外部装置2へデータファイルの送信のみ可能とする構成(換言すると、受信はできない構成)とすることが好ましい。これにより、機械制御システム1から外部装置2のデータファイルを読み出されることができないため、セキュリティを確保することができる。さらに、端末3は、外部装置2からデータファイルの受信のみ可能とする構成(換言すると、送信はできない構成)とすることが好ましい。これにより、端末3から外部装置2のデータファイルを書き換えることができないため、セキュリティを確保することができる。
【0014】
<機械制御システム1の構成>
図3は、本発明の一態様による機械制御システム1の構成例を示す図である。
図3に示されるように、機械制御システム1は、一以上の機械部11、一以上の情報処理装置12を備える。一以上の機械部11と一以上の情報処理装置12は、有線または無線にて互いに通信可能に接続されている。
【0015】
<機械部11>
図4は、本発明の一態様による機械部11の構成例を示す図である。機械部11は、一以上の機械装置111、一以上のコントローラ112を備える。一以上の機械装置111と一以上のコントローラ112は、有線または無線にて互いに通信可能に接続されている。
【0016】
機械装置111は、一以上のセンサ113を備える。センサ112は、例えば、機械装置111に取り付けられていてもよいし(
図4参照)、機械装置111と独立して設けられていてもよく、両方を含んでいてもよい。機械部11は、機械装置111またはセンサ113の少なくともいずれかを制御する制御データを情報処理装置12から受信する。また、機械部11は、機械装置111の制御結果に関する結果データまたはセンサ113が取得したセンサデータの少なくともいずれかを情報処理装置12へ送信する。
【0017】
機械装置111は、情報処理装置12からの制御データに応じて所定の作業を実行する機械装置である。機械装置111は、工場内で作業を行う産業用機械装置、工場外で作業を行う非産業用機械装置のいずれであってもよいし、両方を含んでいてもよい。機械装置111は、例えば、ワーク等の加工、溶接、組立、検査、供給、搬送、把持などのための産業用ロボット(特に、産業用アームロボット)であってもよいし、サービス業や調理、掃除、医療、福祉、介護、受付、案内、農業、建設、災害、警備、エンターテインメントなどのための非産業用ロボット(いわゆるサービスロボット)であってもよい。例えば、機械装置111がアームロボットである場合には、機械装置111は、少なくともセンサ113、作業部114、アーム115を備える。作業部114は、機械装置111の種類に応じた作業部品(いわゆる、エンドエフェクタ)をアーム115の先端部に備えていてもよい。作業部114は、例えば、溶接トーチ、ハンド、塗装用ガンなどであってもよい。
【0018】
センサ113は、情報処理装置12または機械装置111の少なくともいずれかからの制御データに応じて所定のセンシングを実行するセンサである。また、センサ113は、例えば、機械装置111の外部環境を測定するためのセンサ(例えば、レーザ変位計、カメラ、音センサ、超音波センサ、圧力センサ、照度センサ、ガスセンサ、外部温度センサなど)であってもよいし、機械装置111の内部環境を測定するためのセンサ(例えば、電流センサ、電圧センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、内部温度センサなど)であってもよく、両方を含んでいてもよい。
【0019】
機械装置111の制御結果に関する結果データは、例えば、機械装置111の識別情報に紐づく時系列の動作結果データ(例えば、所定時刻における所定部位の位置情報、所定部位の姿勢情報、所定部位の動作速度情報等)であってもよく、特にアームロボットのアーム115の軌道制御データ(所定時刻におけるアーム115の位置情報及び姿勢情報を含む作業部制御情報等)、より具体的には、例えば溶接制御データ(作業部114である溶接用トーチによる溶接時間、溶接位置、溶接パワー等)などであり得る。
【0020】
図5は、本発明の一態様による機械装置111での作業の一例を示す図である。溶接対象部材200及び201を溶接するために、事前にセンサ113により取得した溶接パス202の形状情報に応じて、情報処理装置12において作業部114である溶接トーチの目標位置と目標角度が決定される。そして、情報処理装置12は、機械装置111の作業部114が目標位置、目標角度となるような機械装置111のアーム115の軌道制御データを生成する。その後、アーム115の動作を軌道制御データに応じて制御して、溶接作業を実行する。
【0021】
センサ113が取得したセンサデータは、例えば、三次元形状データ(三次元点群データ、三次元CAD(Computer Aided Design)データ)、画像データ(静止画像データ、動画像データ)、音データ、気圧データ、照度データ、外部温度データ、内部温度データなどであり得る。
【0022】
図6は、本発明の一態様によるセンサ113による取得したセンサデータの一例を示す図である。三次元形状データ300である三次元点群データは、センサ113であるレーザ変位計により対象物をセンシングすることにより取得可能なものである。
【0023】
コントローラ112は、機械装置111の操作者が機械装置111の制御のために操作する装置であって、例えば、機械装置111のセンサ113、作業部114及びアーム115の動作開始と動作停止の指示を入力可能な装置である。
【0024】
<情報処理装置12>
図7は、本発明の一態様による情報処理装置12のハードウェア構成例を示す図である。情報処理装置12は、処理部120と、記録媒体130(いわゆるストレージ)、メモリ140、通信部150、入出力部160を備える。情報処理装置12は、例えば、ワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータであってもよい。
【0025】
処理部120は、記録媒体130に記憶されているプログラムをメモリ140上に展開して実行することにより各種機能を実行する機能部が実現され、機械制御システム1全体の制御を行うものである。処理部120は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等から構成される。
【0026】
記録媒体130は、情報処理装置12の内部ストレージまたは外部ストレージであって、例えば、アプリケーション・プログラム等の各種プログラム、長期的に保存する各種データなどを格納するコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。記録媒体130は、例えば、磁気ディスクにより構成されるHDD(Hard Disc Drive)、フラッシュメモリにより構成されるSSD(Solid State Drive)、読み出し専用メモリであるROM(Read Only Memory)、光学ディスク、磁気テープ、磁気ディスク等の不揮発性記録媒体であってもよい。
【0027】
メモリ140は、情報処理装置12のメインメモリであって、例えば、記録媒体130に格納されているアプリケーション・プログラム等の各種プログラムを展開するために一時的に格納したり、情報処理装置12において送受信される各種データを一時的に格納するコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。メモリ140は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性記録媒体であってもよい。また、メモリ140は、情報処理装置12の起動時に実行されるBIOS(Basic Input / Output System)、起動時の各種設定データなどを格納するためのROMを含んでいてもよい。
【0028】
通信部150は、ネットワーク4を介して外部装置2、端末3などと通信を行うための通信インターフェースである。通信部150は、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等の通信規則により通信が行われる。なお、通信部110は、Bluetooth(登録商標)及びBLE(Bluetooth Low Energy)やWi-Fi等に例示される近距離通信インターフェースを備えていてもよい。
【0029】
入出力部160は、キーボード・マウス類等の情報入力機器、ディスプレイ等の情報出力機器を含む入出力部を備える。なお、情報処理装置12は、ネットワーク4を介して接続される端末3の情報入出力機器(例えば、タッチパネル等)を入出力部160として機能させてもよい。
【0030】
図8は、本発明の一態様による情報処理装置12に実装される機能を例示したブロック図である。本発明の一態様の処理部120は、記録媒体130に記憶されているプログラムをメモリ140上に展開して実行することにより、送信部123、判定部124及び退避部125を機能部として実現する。また、本発明の一態様の記録媒体130は、通常時にデータファイルを記憶する通常フォルダ131と、送信エラー時にデータファイルを退避のために記憶する(特に一時的に記憶する)退避フォルダ132と、を含む。
【0031】
処理部120は、情報処理装置12の外部(例えば、機械部11、外部装置2、端末3など)から、通信部150を介して所定のデータを受信する。
【0032】
また、処理部120は、情報処理装置12外部から機械装置111の制御結果に関する結果データまたはセンサ112が取得したセンサデータの少なくともいずれかのデータを受信し、該データをデータファイルとして通常フォルダ131に格納する。また、処理部120は、情報処理装置12外部から受信した各種データを用いて新たに生成される生成データをデータファイルとして通常フォルダ131に格納してもよい。処理部120により生成される生成データは、例えば、センサ112により取得した対象物の三次元形状データと記録媒体130から取得した基準三次元形状データとの比較結果情報(例えば、対象物の三次元形状データと基準三次元形状データのズレ量を示す差分情報、または、差分情報に基づく合否判定情報等)、対象物の所定部分の長さ情報、対象物上のホールのホール径情報及びホール座標情報(特にホール中心座標情報)、対象物上の指定したエリア内の点群の点数情報、または、点数情報と基準点数情報との比較結果に基づく所定部品の有無の検出結果情報などであってもよい。
【0033】
さらに、処理部120は、受信した各種データや生成データを所定のファイル形式のデータファイルに変換してから通常フォルダ131に格納してもよい。このように、外部装置2への送信の際には各種データや生成データはファイル形式に変換することが好ましい。これは、一般的にファイル形式化されていない各種データ等は揮発性メモリ等の電源遮断等による復旧が困難であるメモリ140に格納されるのに対し、ファイル形式のデータ(すなわち、データファイル)は不揮発性メモリ等の電源遮断による復旧が可能な記録媒体130(ストレージ)に格納されるためである。なお、ファイル形式の変換は、処理部120による通常フォルダ131への格納時に実行される場合に限らず、後述する送信部121による情報処理装置12の外部装置2へのデータファイル送信時に実行されてもよい。
【0034】
送信部121は、ネットワーク4を介して通常フォルダ131に格納されたデータファイルを外部装置2へ送信させる。送信部121は、外部装置2または端末3からの送信要求に応じて、もしくは、所定の期間ごとに生成される送信要求に応じて、通信部150を介してデータファイルを外部装置2へ送信させる。
【0035】
判定部122は、所定の条件に基づき、データファイルが正常に送信されているか否か判定する。所定の条件は、例えば送信エラーを示す情報の検出であってもよいし、および/または、データファイルの送信エラーに関する条件であって、具体的には、(1)情報処理装置12側の要因に関する条件、(2)外部装置2側の要因に関する条件のいずれかを含んでいてもよい。このように、特に送信エラーに関する条件に基づいてデータファイルが正常に送信されていないと判定し、対象となるデータファイルを退避フォルダに退避することにより、送信エラーになったデータファイルの特定を容易に行なうことができる。
【0036】
まず、(1)情報処理装置12側の要因に関する条件は、以下のとおり例示する条件の少なくともいずれかを含んでいてもよい。
【0037】
(1-1)データファイルの送信処理期間(データファイルの送信前の準備処理期間を含んでもよい)の少なくとも一部の期間における情報処理装置12の電源状態に関する条件。
【0038】
これは、予期せぬ電源遮断等の不具合が生じた場合、例えば情報処理装置12のステータス情報から電源遮断期間とデータファイルの送信処理期間を参照する。そして、両期間を比較した結果、データファイルの送信処理期間の少なくとも一部の期間において情報処理装置12の電源遮断期間が検出された場合にはデータファイルが正常に送信できていないと判定する。
【0039】
(1-2)データファイルのデータ形式に関する条件。
【0040】
この場合、判定部122は、送信後のデータファイルのデータファイル形式と予め設定された送信可能なデータファイル形式を参照する。そして、両データファイル形式を比較した結果、両者が合致しない場合にはデータファイルが正常に送信できていないと判定する。
【0041】
(1-3)データファイルのデータ量に関する条件。
【0042】
この場合、判定部122は、送信後のデータファイルのデータ量と予め設定された送信可能なデータ量を参照する。そして、両データ量を比較した結果、送信後のデータファイルのデータ量が送信可能なデータ量より上回っている場合にはデータファイルが正常に送信されていないと判定する。
【0043】
次に、(2)外部装置2側の要因に関する条件は、以下のとおり例示する条件の少なくともいずれかを含んでいてもよい。
【0044】
(2-1)データファイルの送信処理期間(データファイルの送信前の準備期間を含んでもよい)の少なくとも一部の期間における外部装置2の電源状態に関する条件。
【0045】
これは、予期せぬ電源遮断が生じた場合、例えば外部装置2のステータス情報における電源遮断期間と情報処理装置12のステータス情報におけるデータファイルの送信処理期間を参照する。そして、両期間を比較した結果、データファイルの送信処理期間の少なくとも一部の期間において外部装置2の電源遮断期間が検出された場合にはデータファイルが正常に送信されていないと判定する。
【0046】
(2-2)データファイルのデータ形式に関する条件。
【0047】
この場合、判定部122は、送信先の外部装置2へ送信要求を送り送信可能なデータファイル形式に関するデータを取得し、送信後のデータファイルのデータファイル形式と送信可能なデータファイル形式を参照する。そして、両データファイル形式を比較した結果、両者が合致しない場合にはデータファイルが正常に送信されていないと判定する。
【0048】
(2-3)データファイルのデータ量に関する条件。
【0049】
この場合、判定部122は、送信先の外部装置2へ送信要求を送り送信可能なデータファイルのデータ量に関するデータを取得し、送信後のデータファイルのデータ量と送信可能なデータ量を参照する。そして、両データ量を比較した結果、送信後のデータファイルのデータ量が送信可能なデータ量より上回っている場合にはデータファイルが正常に送信されていないと判定する。
【0050】
その他、判定部122は、情報処理装置12及び外部装置2の間の通信が確立できないことを確認可能な種々の条件に基づき、データファイルが正常に送信されていないか否か判定することが可能である。
【0051】
退避部123は、判定部122によりデータファイルが正常に送信されていないと判定された場合に、データファイルを退避フォルダ132に退避のために格納する。この時、退避部123は、退避対象となるデータファイルを退避フォルダ132に格納する際に、記録媒体130の通常フォルダ131または退避フォルダ132のいずれかに格納されている退避ログデータを更新するようにしてもよい。退避ログデータは、例えばデータファイル名、データファイル識別情報、データファイル形式、データ量、データ送信開始日付、データ送信開始時間などを含んでもよい。このように、データファイルを退避フォルダ132に退避する際に退避ログデータを更新することにより、判定部の判定条件に例えばデータファイル形式やデータ量に関する条件が含まれていなかったとしても、退避ログデータを目視することにより送信エラーの原因を確認することが可能となる。
【0052】
また、退避部123は、判定部122が送信エラーを示す情報の検出などにより送信エラー状態であることのみを判定する場合には、共通の退避フォルダ132に対象となるデータファイルを格納するようにしてもよい。退避部123は、判定部122が送信エラーの要因を特定可能に判定する場合には、送信エラーの要因ごとの複数の退避フォルダ132を設け、対象となるデータファイルを対象となる退避フォルダ132に退避するために格納するようにしてもよい。このように、データファイルを退避する際に送信エラーの要因ごとの退避フォルダ132を設けることにより、退避フォルダ132に格納されたデータファイルを目視することにより送信エラーの原因を確認することが可能となる。
【0053】
また、処理部120は、退避フォルダ132を例えば一定期間ごとに監視し、退避フォルダ132内にデータファイルが残留していることを検出した場合には再送信処理を送信部121に指示してもよい。そして、予期せぬ電源遮断等の不具合が復旧後、送信部121によりデータファイルに対して再送信処理が実行され、データファイルが正常に送信されたことを判定した場合には、データファイル識別情報等に基づき退避フォルダ132内の対応するデータファイルを削除することが好ましい。さらに、処理部120は、判定部122によりデータファイル識別情報等に基づき同じデータファイルに対して所定回数の送信エラーを判定したことを検出した場合には連続送信エラーを知らせる通知情報を生成し、情報処理装置12または端末3を介して通知情報を提示するようにしてもよい。これにより、処理部120が退避フォルダ132を監視され、データファイルが残留していたときは送信エラーが発生し、円滑に再送信の動作に移行することができるからである。また、特に、センサにより取得された三次元形状データは大容量なものとなるため、機械制御システム内の記録媒体130の占有を防止することが可能となる。
【0054】
<外部装置2>
外部装置2は、ネットワーク4を介して機械制御システム1から送信される各種データを受信し、所定の記憶領域に格納する外部装置である。外部装置2は、例えばサーバであってもよく、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータであってもよいし、仮想マシンであってもよいし、或いはクラウド・コンピューティング技術等によって論理的に実現されているクラウドサーバであってもよい。
【0055】
<端末3>
図9は、本発明の一態様による端末3の構成例を示す図である。端末3は、例えば、パーソナルコンピュータやタブレット端末、スマートフォンや携帯電話等の情報処理装置であり得る。端末3は、ネットワーク4を介して外部装置2に接続される場合には、外部装置2から受信した各種データ及び所定のレイアウト規則に基づき処理部31により表示画像を生成し、入出力部35を介して端末3上のアプリケーションまたはWebブラウザにより出力することができる。
【0056】
端末3は、端末3全体の制御を行う処理部31と、各種データ・プログラムを記憶する記録媒体32と、記録媒体32に格納されているアプリケーション・プログラム等の各種プログラムを展開するために一時的に格納したり、端末3において送受信される各種データを一時的に格納するメモリ33、機械制御システム1または外部装置2の少なくともいずれかとの間で情報通信を行う通信部34、ユーザが操作入力を行うための入力装置及びデータ表示画面・操作画面等を出力する出力装置、または、タッチパネルのような入出力装置を備える入出力部35、各部間の各種データ・プログラムを伝送するバス26を備える。
【0057】
<処理の流れ>
図10は、本発明の一態様による情報処理システムのデータファイル退避処理の流れの一例を示す図である。
【0058】
まず、送信部121により、ネットワーク4を介して通常フォルダ131に格納されたデータファイルを外部装置2へ送信させる(ステップS101)。
【0059】
次に、判定部122により、所定の条件に基づき、データファイルが正常に送信されたか否かを判定する(ステップS102)。そして、ステップS102において、判定部122によりデータファイルが正常に送信されたと判定された場合(YES)には、データファイルが正常に送信完了となり終了となる。
【0060】
一方、ステップS102において、判定部122によりデータファイルが正常に送信されていないと判定された場合(NO)には、退避部123によりデータファイルを退避フォルダ132に退避する(ステップS103)。
【0061】
このように、本発明の一態様による情報システムのデータファイル退避処理によれば、送信エラーが発生した場合に退避フォルダ133にデータファイルを格納することにより、送信エラーになったデータファイルの特定を容易に行なうことができる。
【0062】
図11は、本発明の一態様による情報処理システムのデータファイル再送処理の流れの一例を示す図である。
【0063】
まず、処理部120により、退避フォルダ132を例えば一定期間ごとに監視し、退避フォルダ132内にデータファイルが残留しているか否かを検出する(ステップS201)。そして、ステップS201において、処理部120により退避フォルダ132内にデータファイルが残留していることが検出されない場合(NO)には、再送信するデータファイルが存在しないので終了する。
【0064】
一方、ステップS201において、処理部120により退避フォルダ132内にデータファイルが残留していることが検出された場合(YES)には、再度送信処理を送信部121に指示する(ステップS202)。
【0065】
次に、判定部122により、所定の条件に基づき、データファイルが正常に再送信されたか否かを判定する(ステップS203)。そして、ステップS203において、判定部122によりデータファイルが正常に再送信されていると判定された場合(YES)には、データファイルが正常に送信完了となり、処理部120により退避フォルダ132内の対応するデータファイルを削除して終了する(ステップS204)。
【0066】
一方、ステップS203において、判定部122によりデータファイルが正常に再送信されていないと判定された場合(NO)には、退避部123によりデータファイルを退避フォルダ132に再度退避して終了する(ステップS205)。
【0067】
以上説明したように、本発明の一態様による情報システムによれば、送信エラーが発生した場合に退避フォルダ132にデータファイルを格納することにより、送信エラーになったデータファイルの特定を容易に行なうことができる。また、退避したデータファイルがフォルダ形式で管理されるので、ユーザは退避フォルダ132を開くことで退避対象となったデータファイルを確認することが可能となる。
【0068】
上述した本発明の一態様は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。
【0069】
最後に、本発明の実施の形態を図面及び対応する記載等を用いて以下に総括する。
【0070】
(請求項1)
ネットワーク(4)を介して通常フォルダ(131)に格納されたデータファイルを外部装置(2)へ送信させる送信部(121)と、
所定の条件に基づき、前記データファイルが正常に送信されたか否かを判定する判定部(122)と、
前記判定部(122)により前記データファイルが正常に送信されていないと判定された場合に、前記データファイルを退避フォルダ(132)に退避する退避部(123)と、
を有する処理部(120)を備える、情報処理システム。
(請求項2)
前記データファイルは、機械装置(111)の制御結果に関する結果データまたはセンサ(112)が取得したセンサデータの少なくともいずれかのデータを所定のファイル形式に変換したデータファイルを含む、請求項1に記載の情報処理システム。
(請求項3)
前記データファイルは、機械装置(111)の制御結果に関する結果データまたはセンサ(112)が取得したセンサデータの少なくともいずれかのデータを用いて生成される生成データを所定のファイル形式に変換したデータファイルを含む、請求項1または2のいずれかに記載の情報処理システム。
(請求項4)
前記結果データは、前記機械装置(111)の識別情報に紐づく時系列の動作結果データを含む、請求項2または3のいずれかに記載の情報処理システム。
(請求項5)
前記センサデータは、三次元形状データを含む、請求項2または3のいずれかに記載の情報処理システム。
(請求項6)
前記センサデータは、画像データを含む、請求項2または3のいずれかに記載の情報処理システム。
(請求項7)
前記生成データは、前記センサ(112)により取得した対象物の三次元形状データと記録媒体から取得した基準三次元形状データとの比較結果データを含む、請求項3~6のいずれか一項に記載の情報処理システム。
(
(請求項8)
前記所定の条件は、前記データファイルの送信エラーに関する条件を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の情報処理システム。
(請求項9)
前記退避部(123)は、前記データファイルを前記退避フォルダ(132)に格納する際に、記録媒体(130)の前記通常フォルダ(131)または前記退避フォルダ(132)のいずれかに格納されている退避ログデータを更新する、請求項1~8のいずれか一項に記載の情報処理システム。
(請求項10)
前記判定部(122)が送信エラーの要因を特定可能に判定する場合には、前記送信エラーの要因ごとの複数の退避フォルダ(132)を設け、前記データファイルを対応する退避フォルダ(132)に格納する、請求項1~9のいずれか一項に記載の情報処理システム。
(請求項11)
前記処理部(120)が前記退避フォルダ(132)内に前記データファイルが残留していることを検出した場合には、前記データファイルの再送信処理を前記送信部(121)に指示する、請求項1~10のいずれか一項に記載の情報処理システム。
(請求項12)
前記処理部(120)は、前記再送信処理によって前記データファイルが正常に送信されたことを判定した場合には、前記データファイルを前記退避フォルダ(132)から削除する、請求項11に記載の情報処理システム。
(請求項13)
前記送信部(121)、前記判定部(122)、前記退避部(123)及び前記処理部(120)を有する機械制御システム(1)と、前記外部装置(2)を介して接続される端末(3)をさらに備え、
前記機械制御システム(1)と前記端末(3)とは、互いに直接接続できない構成である、請求項1~12のいずれか一項に記載の情報処理システム。
(請求項14)
前記機械制御システム(1)は、前記外部装置(2)へデータファイルの送信のみ可能とする構成である、請求項13に記載の情報処理システム。
(請求項15)
前記端末(3)は、前記外部装置(2)からデータファイルの受信のみ可能とする構成である、請求項13または請求項14に記載の情報処理システム。
(請求項16)
ネットワーク(4)を介して通常フォルダ(131)に格納されたデータファイルを外部装置(2)へ送信させる送信部(121)と、
所定の条件に基づき、前記データファイルが正常に送信されたか否かを判定する判定部(122)と、
前記判定部(122)により前記データファイルが正常に送信されていないと判定された場合に、前記データファイルを退避フォルダ(132)に退避する退避部(123)と、
を備える、情報処理装置。
(請求項17)
情報処理装置(12)において、
ネットワーク(4)を介して通常フォルダ(131)に格納されたデータファイルを外部装置(2)へ送信させることと、
所定の条件に基づき、前記データファイルが正常に送信されたか否かを判定することと、
前記データファイルが正常に送信されていないと判定された場合に、前記データファイルを退避フォルダ(132)に退避することと、
を含む、情報処理方法。
(請求項18)
情報処理装置(12)に、
ネットワーク(4)を介して通常フォルダ(131)に格納されたデータファイルを外部装置(2)へ送信させることと、
所定の条件に基づき、前記データファイルが正常に送信されたか否かを判定することと、
前記データファイルが正常に送信されていないと判定された場合に、前記データファイルを退避フォルダ(132)に退避することと、
を実行させる、プログラム。
(請求項19)
情報処理装置(12)に、
ネットワーク(4)を介して通常フォルダ(131)に格納されたデータファイルを外部装置(2)へ送信させることと、
所定の条件に基づき、前記データファイルが正常に送信されたか否かを判定することと、
前記データファイルが正常に送信されていないと判定された場合に、前記データファイルを退避フォルダ(132)に退避することと、
を実行させる、プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【符号の説明】
【0071】
1 機械制御システム
11 機械部
111 機械装置
112 センサ
12 情報処理装置
120 処理部
121 受信部
122 格納部
123 送信部
124 判定部
125 退避部
130 記録媒体
131 記憶部
132 通常フォルダ
133 退避フォルダ
140 メモリ
150 通信部
2 外部装置
3 端末
31 処理部
32 記録媒体
33 メモリ
34 通信部
35 入出力部
36 バス
4 ネットワーク