(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077258
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 3/43 20170101AFI20240531BHJP
B60Q 3/74 20170101ALI20240531BHJP
F21V 17/00 20060101ALI20240531BHJP
F21W 106/00 20180101ALN20240531BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240531BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20240531BHJP
【FI】
B60Q3/43
B60Q3/74
F21V17/00 200
F21W106:00
F21Y115:10
F21Y101:00 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189238
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西山 隼人
【テーマコード(参考)】
3K011
3K040
【Fターム(参考)】
3K011CA02
3K011HA01
3K011HA02
3K011HA04
3K011HA06
3K011JA01
3K040AA02
3K040CA01
3K040CA05
3K040GA01
3K040GC01
(57)【要約】
【課題】レンズの取り付け作業の効率を向上させることが可能な照明装置を提供する。
【解決手段】本発明の一形態に係る照明装置は、光源と、カバー部材と、ケースと、弾性部材とを具備する。光源は、第1の軸方向に長手であり第2の軸方向に短手である基板上に設けられる。カバー部材は、光源を被覆する空間部を有する被覆部と、第1の軸方向に沿って設けられ被覆部から外側へ第2の軸方向に沿って延びる第1の突起部と、第1の軸方向に沿って設けられ被覆部から外側へ第2の軸方向のうち第1の突起部とは反対方向に延びる第2の突起部と、を有する。ケースは、基板を支持する支持部と、第1の突起部と嵌合する第1の嵌合部と、第2の突起部と嵌合する第2の嵌合部と、を有する。弾性部材は、第1の嵌合部と前記第1の突起部との間に設けられ、カバー部材を第2の嵌合部に押圧する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の軸方向に長手であり前記第1の軸方向と直交する第2の軸方向に短手である基板上に設けられた光源と、
前記光源を被覆する空間部を有する被覆部と、前記第1の軸方向に沿って設けられ前記被覆部から前記空間部の外側へ前記第2の軸方向に沿って延びる第1の突起部と、前記第1の軸方向に沿って設けられ前記被覆部から前記空間部の外側へ前記第2の軸方向のうち前記第1の突起部とは反対方向に延びる第2の突起部と、を有するカバー部材と、
前記基板を支持する支持部と、前記第1の突起部と嵌合する第1の嵌合部と、前記第2の突起部と嵌合する第2の嵌合部と、を有するケースと、
前記第1の嵌合部と前記第1の突起部との間に設けられ、前記カバー部材を前記第2の嵌合部に押圧する弾性部材と
を具備する照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明装置であって、
前記第1の嵌合部は、前記第1の軸方向及び前記第2の軸方向と直交する第3の軸方向で前記第1の突起部と対向する対向部を有し、
前記弾性部材は、前記対向部と前記第1の突起部との間に膨出する膨出部を有する
照明装置。
【請求項3】
請求項1に記載の照明装置であって、
前記第1の嵌合部は、前記第1の軸方向及び前記第2の軸方向と直交する第3の軸方向で前記第1の突起部と対向する対向部を有し、
前記対向部は、前記被覆部と対向する端部を有し、
前記端部は、前記第1の軸方向から見て、前記支持部に向かって傾斜する傾斜面を有する
照明装置。
【請求項4】
請求項1に記載の照明装置であって、
前記第1の嵌合部と前記第2の嵌合部とは、前記第2の軸方向に平行に対向する
照明装置。
【請求項5】
請求項1に記載の照明装置であって、
前記弾性部材は、前記第1の軸方向に平行に延び、前記第1の軸方向から見て断面形状が長方形である
照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば鉄道車両の客室内の天井に設置して間接照明に用いられる照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、鉄道車両や航空機、船舶等の客室内に用いる室内灯として、例えば客室内の天井に取り付ける照明装置が知られている。また照明装置は、直接光ではなく間接光により客室内を照らすものが提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、天井側に取り付けられて下方に向かい内側が開口するケーシングを備え、該ケーシングに組み付けられた光源からの直接光がレール構造によってはめ込まれた保護カバー(レンズ)を介してケーシングの内側で反射され、該反射された間接光によりケーシングの外側を少なくとも間接的に照らす照明装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の場合、レンズはレール構造ではめ込まれているため、レンズをはめ込む際の広い作業スペースが必要であり、はめ込み作業に時間を要していたという問題があった。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、レンズの取り付け作業の効率を向上させることが可能な照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る制御装置は、光源と、カバー部材と、ケースと、弾性部材と、を具備する。
上記光源は、第1の軸方向に長手であり上記第1の軸方向と直交する第2の軸方向に短手である基板上に設けられる。
上記カバー部材は、上記光源を被覆する空間部を有する被覆部と、上記第1の軸方向に沿って設けられ上記被覆部から上記空間部の外側へ上記第2の軸方向に沿って延びる第1の突起部と、上記第1の軸方向に沿って設けられ上記被覆部から上記空間部の外側へ上記第2の軸方向のうち上記第1の突起部とは反対方向に延びる第2の突起部と、を有する。
上記ケースは、上記基板を支持する支持部と、上記第1の突起部と嵌合する第1の嵌合部と、上記第2の突起部と嵌合する第2の嵌合部と、を有する。
上記弾性部材は、上記第1の嵌合部と上記第1の突起部との間に設けられ、上記カバー部材を上記第2の嵌合部に押圧する。
【0008】
上記照明装置によれば、光源を被覆し、ケースに嵌合するカバー部材が弾性部材によって第2の嵌合部に押圧される。これにより、レール構造によってはめ込む構造と比べて作業スペースの省スペース化が図れ、作業効率を向上させることができる。またカバー部材の固定方法が弾性部材のみによることからカバー部材の固定させる部材を削減することができる。さらに弾性部材を介すことでカバー部材とケースとの接触面積を低減することが可能となり、カバー部材の損傷を抑制することができる。
【0009】
上記第1の嵌合部は、上記第1の軸方向及び上記第2の軸方向と直交する第3の軸方向で上記第1の突起部と対向する対向部を有してもよい。
その場合上記弾性部材は、上記対向部と上記第1の突起部との間に膨出する膨出部を有する。
【0010】
上記第1の嵌合部は、上記第1の軸方向及び上記第2の軸方向と直交する第3の軸方向で上記第1の突起部と対向する対向部を有し、
上記対向部は、上記被覆部と対向する端部を有してもよい。
その場合上記端部は、上記第1の軸方向から見て、上記支持部に向かって傾斜する傾斜面を有する。
【0011】
上記第1の嵌合部と上記第2の嵌合部とは、上記第2の軸方向に平行に対向してもよい。
【0012】
上記弾性部材は、上記第1の軸方向に平行に延び、上記第1の軸方向から見て断面形状が長方形であってもよい。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、レンズの取り付け作業の効率を向上させることができる照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る照明装置の斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る照明装置の一部を分解した状態を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る照明装置の断面図である。
【
図6】カバー部材を第1の嵌合部に嵌合させる状態を示す図であり、(A)は第1の突起部を第1の嵌合部へ嵌合させた図であり、(B)は(A)をより押し込んだ図であり、(C)は第2の突起部を第2の下端部へ配置した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る照明装置10の斜視図であり、
図2は、照明装置10の一部を分解した状態を示す斜視図であり、
図3は、照明装置10の断面図である。なお、以下の図においてX軸,Y軸及びZ軸方向は相互に直交する3軸方向である。
【0017】
[照明装置]
本実施形態に係る照明装置10は、鉄道車両における室内灯に適用した場合を例に説明するが、もちろんこれに限られず、自動車、航空機、船舶等の室内灯であってもよい。すなわち、照明装置10は、鉄道車両の客室内の天井1(
図7参照)に設置されるものであり、例えば鉄道車両の前後方向に一対が平行に並ぶように設置される。ここで照明装置10は、天井1から客室内を照らす間接照明としての機能を有する。
【0018】
図7は、照明装置10の配光L(破線で示させる部分)を示す図であり、照明装置10は、天井1に対して所定の距離を開けて対向させた略水平な状態に配置され、天井1に向けて光を照射する。照明装置10は、反射板に代わり後述するカバー部材30によって配光制御を行い、天井1をそのまま反射板として利用する。なお、照明装置10は、必要な長さに応じて、各々が長手方向に一列に並ぶように組み合わされて配置される。
【0019】
本実施形態の照明装置10は、ケース11と、基板21及び光源22を有する光源ユニット20と、光源22を被覆するカバー部材30と、エンドキャップ40と、弾性部材50とを備える。
【0020】
[光源ユニット]
図1~3に示すように、光源ユニット20は、Y軸方向(第1の軸方向)に長手であり、X軸方向に短手であるよう長方形状である基板21と、基板21上に設けられた光源22とを有する。
【0021】
光源22は、光を光軸方向(
図7のC)であるZ軸方向に出射するものであり、本実施形態では発光素子として、LEDが挙げられるが、もちろんこれに限られず、白熱電球であってもよい。光源22は、基板21上に、光源22を所定間隔(例えば10mm)おきに一列に配列させてもよい。
【0022】
また光源22は、発光色は任意に選択でき、単色に限らず複数種類の発光色を組み合わせてもよい。
【0023】
基板21は、その実装面上に光源22が電気的に接続される配線パターンが形成されている。また基板21の実装面のY軸方向における両端には、電源装置60からの配線または隣接する光源22(または基板21)に接続するコネクタ23が設けられている。ここでコネクタ23は、実装面より上側(Z軸の正方向側)に突出している。また本実施形態では基板21は2枚がY軸方向に連結されているが、もちろん1枚であっても、3枚以上であってもよい。
【0024】
また基板21は、Z軸方向において後述するカバー部材30と支持部14と第1の端部支持部153と第2の端部支持部163とによって固定される。
【0025】
[カバー部材]
カバー部材30は、光源22から出射された光を通す部材であり、光源22の光出射側に対向した状態でケース11に固定される。カバー部材30は、例えばレンズや保護カバー等であり、透光性材料から構成され、光源22の光軸Cを中心に左右対称に形成される。本実施形態ではカバー部材30は、例えばアクリルやポリカーボネート等の透明な樹脂材料から形成されたレンズである。
【0026】
カバー部材30は、光源22から出射された光を配光制御する機能を有し、例えばケース11の開口Aに沿ってY軸方向に延びるように形成されている。ここで、カバー部材30のY軸方向における長さは、必ずしもケース11の全長に合わせる必要はなく、本実施形態では1つのケース11に対して2つのカバー部材30が一列に並ぶように組み合わされている。
【0027】
図4は、カバー部材30の断面図であり、
図3、4に示すようにカバー部材30は、被覆部31と、第1の突起部32と、第2の突起部33とを有する。被覆部31の外形は、おおよそ半円形状であり、基板21側に光源22を被覆する第1の空間部W1と、その両側(X軸方向において両側)にコネクタ23を被覆する第2の空間W2とを有する。
【0028】
第1の空間部W1は、Y軸方向から見ておおよそ半円形状に形成され、Y軸方向に沿って形成される。第1の空間部W1の大きさ(X、Y、Z軸方向の長さ)は特に限られず、光源22を被覆できる大きさであればよい。
【0029】
第2の空間部W2は、おおよそ半楕円形状であり、Y軸方向に沿って形成される。第2の空間部W2の大きさ(X、Y、Z軸方向の長さ)は特に限られず、コネクタ23を被覆できる大きさであればよい。これにより、コネクタ23を基板21に配置しつつ、その上からカバー部材30を設けることができる。
【0030】
第1の突起部32は、第1の延出部321と、第1の突部322とを有し、Y軸方向に沿って設けられ被覆部31から第1の空間部W1の外側へX軸方向に沿って延びるように形成される。
【0031】
図3に示されるように第1の延出部321は、Y軸方向に沿って形成され、後述する第1の下端部153(
図5参照)に沿ってX軸の正方向に延び、第1の下端部153に支持される。第1の延出部321のY軸方向からみた断面形状は、長方形状である。
【0032】
第1の突部322は、第1の延出部321のX軸の正方向の端部に設けられ、Z軸方向において第1の延出部321より高く形成されている。第1の延出部321のZ軸方向における先端部分は、尖っていてもよいし、丸みをおびていてもよい。また後述する第1の側壁部152と対向する第1の突部322の第1の端面322Aは、YZ面(Y軸方向とZ軸方向とからなる面)に平行な面を有する。これにより、後述する弾性部材50からの弾性力を効率よく受けることができる。
【0033】
第2の突起部33は、第2の延出部331と、第2の突部332とを有し、Y軸方向に沿って設けられ被覆部31から第1の空間部W1の外側へX軸方向に沿って延びるように形成される。
【0034】
第2の延出部331は、Y軸方向に沿って形成され、後述する第2の下端部163に沿ってX軸方向に延び、第2の下端部163に支持される。第2の延出部331のY軸方向からみた断面形状は、長方形状である。
【0035】
第2の突部332は、第2の延出部331のX軸の負方向の端部に設けられ、Z軸方向において第2の延出部331より高く形成されている。第2の延出部331のZ軸方向における先端部分は、尖っていてもよいし、丸みをおびていてもよい。また後述する第2の側壁部162と対向する第2の突部332の第2の端面332Aは、YZ面(Y軸方向とZ軸方向とからなる面)に平行な面を有する。これにより、弾性部材50からの弾性力によって第2の端面332Aと第2の側壁部162とが安定して固定されやすくなる。
【0036】
本実施形態では第1の突起部32と第2の突起部33とは、X軸方向に平行であり、X軸方向からみて一直線上に形成(対向)するように構成される(つまり、同一XY平面上にある)。
【0037】
本実施形態では第1の突部322及び第2の突部332のZ軸方向における高さH3、H4は、おおよそ2.5mmである。
【0038】
また上述したようにカバー部材30は、基板21の一部をZ軸方向において固定する機能を有する。つまり、第1の延出部321及び第2の延出部331によって基板21の一部をZ軸の負方向に押圧し固定する。
【0039】
[エンドキャップ]
図1、2に示すように、照明装置10は、後述するケース11の端部に装着する端末部材であるエンドキャップ40を有する。エンドキャップ40は、キャップ本体41と、固定部42とを有する。キャップ本体41の内側は、ケース11の断面形状におおよそ合致する形状であり、ケース11の底面壁12と第1の側面壁13A、第2の側面壁13B、開口Aを囲う形状である。つまり、エンドキャップ40は、ケース11の端部にかぶせるように外嵌させることができる。
【0040】
キャップ本体41の底面(ケース11の底面壁12側)は、ケース11の底面壁12にネジ止め可能である。すなわち、キャップ本体41の底面にはネジ穴(図示せず)があり、このネジ穴にネジ(図示せず)を挿通させ、エンドキャップ40とケース11とを固定させる。
【0041】
また、エンドキャップ40は、照明装置10を設置箇所である天井1に支持するブラケットとしての機能を有する。すなわち、エンドキャップ40の固定部42を天井1にネジ止めすることにより、ケース11は、その上面開口を上方に向けて配置され、天井1との間に所定間隔を開けて吊り下げられた状態に支持することができる。なお、エンドキャップ40も、後述するケース11と同様にアルミニウム等の熱伝導性に優れた材料から構成することにより、光源22が発生する熱を放熱するヒートシンクの機能を有することができる。
【0042】
[電源装置]
図3に示すように、ケース11の内側において支持部14を支持する床部17(後述)と底面壁12との間に設けられた第4の空間部W4(後述)に光源20に電力を供給する電源装置60が収容される。
【0043】
電源装置60は、例えば電源基板にAC/DCコンバータ、コンデンサ、抵抗器等を搭載したユニットとして構成され、商用電源ケーブル(図示せず)や光源22のコネクタ23等とケーブルを介して接続される。なお、第4の空間部W4には、電源装置60とは別に、光源22の点灯駆動を制御するための制御装置(図示せず)も収納しても良く、あるいは、電源装置60に制御装置を組み込んでも良い。また電源装置60と基板21とを接続するケーブルは、Y軸方向に基板21の移動を規制する機能を有する。
【0044】
[ケース]
図5は、ケース11の一部の断面図であり、
図1~3、5に示すように、ケース11は、照明装置10の外郭をなす筐体であり、その内側に光源ユニット20等が収容されている。ケース11は、Y軸方向(一軸方向)に延びた直方体形状であり、Z軸の正方向に開口Aを有する有底の溝状断面に形成されている。本実施形態ではケース11は、Y軸方向に300mmの長さを有するが、もちろんこれに限られない。
【0045】
図3、5に示すように、ケース11は、板状の底面壁12と、底面壁12の一端より所定の高さに立ち上がる第1の側面壁13Aと、底面壁12の他端より所定の高さに立ち上がり第1の側面壁13Aと対向する第2の側面壁13Bと、Y軸方向に長手の支持面14Aを含む支持部14と、Y軸方向に沿って第1の側面壁13Aに設けられた第1の嵌合部15と、Y軸方向に沿って第2の側面壁13Bに設けられた第2の嵌合部16と、上述した床部17と、第3の空間部W3と、上述した第4の空間部W4とを有する。
【0046】
ケース11の内面には、底面壁12からZ軸方向において所定の高さ位置であってY軸方向に平行に延びる床部17が第1の側面壁13A及び第2の側面壁13Bに一体的に設けられている。上述したように底面壁12と床部17との間に形成された第4の空間部W4は、電源装置60を収容する。
【0047】
支持部14は、ケース11の内側に基板21を支持するための部材である。支持部14は、Y軸方向に沿って基板21を取り付ける平坦(XY平面に平行)な支持面14Aを有する支持面部141と、床部17から支持面部141に向けてZ軸方向に平行に延びY軸方向に沿って形成された柱部142とを有する。
【0048】
支持面14AのX軸方向の長さは、特に限られないが、基板21が落下しない長さであればよく、例えば基板21のX軸方向の長さの半分程度あればよい。また支持面14Aと基板21とにネジ穴(図示せず)があり、このネジ穴に基板21を介してネジ(図示せず)を挿通させ、支持部14と基板21とを固定させてもよい。
【0049】
ケース11の内側のうち支持部14と第1の側面壁13A及び第2の側面壁13Bと第1の下端部153及び第2の下端部163と、基板21とに区画された空間が、カバー部材30が溶融滴下したときに受け入れ可能な第3の空間部W3を形成する。すなわち、第3の空間部W3はカバー部材30が溶融滴下したときに、その溶融物を受け入れるように形成されている。第3の空間部W3は、カバー部材30が液化したときの全体積分に相当する容量を備えることが好ましい。
【0050】
本実施形態では、
図3に示すように、支持部14は、床部17の長手方向の中心に沿って突出しているため、支持部14は、ケース11の内側で左右に2分割された第3の空間部W3を区画している。この2つの第3の空間部W3は、それぞれ同一の断面形状および容量となっており、それぞれがカバー部材30の溶融物を受け入れ可能である。ここで第3の空間部W3は、支持部14上に取り付けられる光源22よりも下方に位置している。なお、第3の空間部W3の上端(溶融物の入口)は、支持面部141のX軸方向における両端及びケース11の第1の下端部153、第2の下端部163との間の隙間によって開口されている。
【0051】
[第1の嵌合部]
第1の嵌合部15は、第1の突起部32と嵌合し、第1の対向部151と、第1の側底部152と、第1の下端部153と、を有する。
【0052】
第1の側底部152は、第1の側面部13AからZ軸方向に平行に延びるように設けられ、上述したように第1の突部322の端面322Aと平行な面である第1の側底面152Aを有する。第1の側底面152Aは、YZ平面に平行な面である。第1の突部322の端面322Aと対向する第1の側底部152のZ軸方向における高さH1は、本実施形態ではおおよそ3mmである。
【0053】
第1の下端部153は、第1の側底部152のうちZ軸方向の下端の側面からX軸の負方向に平行に延びるように形成される。第1の下端部153は、上述したように第1の突起部32を支持する第1の突起支持部153Aと、第1の突起支持部153AからX軸の負方向に平行に延びるように形成され基板21の端部を支持する第1の端部支持部153Bと、を有する。
【0054】
図3に示すようにY軸方向からみた第1の下端部153のZ軸方向における厚さは、基板21の厚さと、第1の端部支持部153Bの厚さとの和となるように、第1の端部支持部153Bの厚さを形成する。つまり、第1の突起支持部153Aと第1の端部支持部153Bとによって基板21を支持する段差が形成されている。
【0055】
第1の対向部151は、第1の側底部152のZ軸方向の上端に設けられX軸の負方向に平行に延び、Y軸方向に沿って第1の突起部32と対向するように形成される。第1の対向部151は、第1の側底部152の上端(Z軸の正方向)に設けられた第1の対向基部151Aと、X軸方向において被覆部31と対向しZ軸方向において第1の突起部32と対向し第1の対向基部151AからX軸の負方向に延びる第1の端部151Bと、を有する。Y軸方向からみた第1の対向基部151Aは、正方形状または長方形状である。
【0056】
第1の端部151Bは、Y軸方向からみて支持部14に向かって傾斜する第1の傾斜面1511を有する。より具体的には第1の端部151Bは、第1の突起部32と対向する第1の平面1512と、第1の平面1512とは反対側である第1の傾斜面1511とを有する。
【0057】
第1の傾斜面1511は、第1の対向基部151Aから支持部14に向けて例えば45度の角度で傾斜するが、もちろんこれに限られない。
【0058】
本実施形態ではY軸方向からみて第1の平面1512のX軸方向における長さL1は、おおよそ3mmであるが、もちろんこれに限られない。
【0059】
[第2の嵌合部]
第2の嵌合部16は、第2の突起部33と嵌合し、第2の対向部161と、第2の側底部162と、第2の下端部163と、を有する。
【0060】
第2の側底部162は、第2の側面部13BからZ軸方向に平行に延びるように設けられ、上述したように第2の突部332の第2の端面332Aと平行な面である第2の側底面162Aを有する。第2の側底面162Aは、YZ平面に平行な面である。第2の突部332の端面332Aと対向する第2の側底部162のZ軸方向における高さH2は、本実施形態ではおおよそ3mmである(第1の側底部152の高さH1と同様である)。
【0061】
第2の下端部163は、第2の側底部162のうちZ軸方向の下端の側面からX軸の正方向に平行に延びるように形成される。第2の下端部163は、上述したように第2の突起部33を支持する第2の突起支持部163Aと、第2の突起支持部163AからX軸の正方向に平行に延びるように形成され基板21の端部を支持する第2の端部支持部163Bと、を有する。
【0062】
図3に示すようにY軸方向からみた第2の下端部163のZ軸方向における厚さは、基板21の厚さと、第2の端部支持部163Bの厚さとの和となるように、第2の端部支持部163Bの厚さを形成する。つまり、第2の突起支持部163Aと第2の端部支持部163Bとによって基板21を支持する段差が形成されている。
【0063】
第2の対向部161は、第2の側底部162のZ軸方向の上端に設けられX軸の正方向に平行に延び、Y軸方向に沿って第2の突起部33と対向するように形成される。第2の対向部161は、第2の側底部162の上端(Z軸の正方向)に設けられた第2の対向基部161Aと、X軸方向において被覆部31と対向しZ軸方向において第2の突起部33と対向し第2の対向基部161AからX軸の正方向に延びる第2の端部161Bと、を有する。Y軸方向からみた第2の対向基部161Aは、正方形状または長方形状である。
【0064】
第2の端部161Bは、Y軸方向からみて支持部14に向かって傾斜する第2の傾斜面1611を有する。より具体的には第2の端部161Bは、第2の突起部33と対向する第2の平面1612と、第2の平面1612とは反対側である第2の傾斜面1611とを有する。
【0065】
第2の傾斜面1611は、第2の対向基部161Aから支持部14に向けて例えば45度の角度で傾斜するが、もちろんこれに限られない。
【0066】
本実施形態ではY軸方向からみて第2の平面1612のX軸方向における長さL2は、おおよそ0.8mmである。
【0067】
第1の嵌合部15と第2の嵌合部16とは、X軸方向に平行に対向するように設けられる。つまり、カバー部材30の第1の突起部32と第2の突起部33とがX軸方向に平行に(一直線上に)設けられる。
【0068】
[弾性部材]
弾性部材50は、第1の嵌合部15と第1の突起部32との間に設けられ、カバー部材30を第2の嵌合部16に押圧する。より具体的には、弾性部材50は、第1の側底部152と第1の突部322の端面322Aとの間に設けられ、弾性力によってカバー部材30をX軸の負方向側(第2の嵌合部16側)へ押圧する。
【0069】
弾性部材50は、本実施形態ではPEライトであるが、もちろんこれに限られず、板バネなど弾性変形可能な構成であればよい。例えば板バネで構成される場合、弾性部材50同様、Y軸方向に沿って設けられ、X軸方向に弾性変形するように構成される。また本実施形態では弾性部材50は、一本で形成されているが、複数本が第1の嵌合部15と第1の突部32との間に設けられてもよい。
【0070】
カバー部材30が第1の嵌合部15及び第2の嵌合部16に嵌合される前の弾性部材50のY軸方向からみた断面形状は、3mm×3mmのおおよそ正方形状であるが、もちろんこれに限られず、長方形状であってもよい。
【0071】
また弾性部材50は、
図3に示すように、第1の対向部151と第1の突起部32との間に膨出する膨出部51を有する。より具体的には膨出部51は、第1の平面部1612と第1の突部322とが対向する間に設けられる。
【0072】
また弾性部材50は、カバー部材30が第1の嵌合部15及び第2の嵌合部16に嵌合される前のX軸方向の長さは、おおよそ3mmであるが、
図3に示すように、嵌合されたあとのX軸方向の長さL1'は、おおよそ2mmである。
【0073】
[カバー部材の組み立て]
図6は、カバー部材30を第1の嵌合部15に嵌合させる状態を示す図であり、(A)は第1の突起部32を第1の嵌合部15へ嵌合させた図であり、(B)は(A)をより押し込んだ図であり、(C)は第2の突起部33を第2の下端部163Aへ配置した図である。
【0074】
まず、
図6(A)に示すように、支持部14に光源ユニット20を配置した状態で、カバー部材30の第1の突起部32を第1の嵌合部15へ嵌合させる。そのとき
図6(A)に示すように弾性部材50は、第1の嵌合部15の第1の側底部152側へ押し込まれる。
【0075】
次に
図6(B)に示すように、第2の嵌合部16を第2の傾斜面1611に沿って第1の突起部32を第1の嵌合部15へ嵌合させる。つまり、第2の傾斜面1611は、第1の嵌合部15へ第1の突起部32(カバー部材30)を嵌合させるためのガイド機能を有する。これにより、第1の嵌合部15へ第1の突起部32(カバー部材30)を嵌合させることを容易とする。
【0076】
次に
図6(C)に示すように、第1の突起部32を第1の嵌合部15へ嵌合させた直後の状態では、弾性部材50のX軸方向における長さL1''はおおよそ1mmである。またこのとき第2の嵌合部16(第2の側底部13B)と第2の突部332の端面332Aとの間の距離は、おおよそ1.0mmである。
【0077】
図6(C)の状態からカバー部材30をはめ込むための操作(作業者がカバー部材30を手でおさえるなどの操作)を中止したときに、弾性部材50の弾性力によって、カバー部材30(第1の突起部32)を押圧して、カバー部材30(第2の突起部33)を第2の嵌合部16へ嵌合させる(
図3参照)。つまり、X軸方向にカバー部材30を弾性部材50が押圧することでカバー部材30をケース11(第1の嵌合部15及び第2の嵌合部16)に固定させる。
【0078】
これにより、レール構造によってはめ込む構造と比べて開口A上からカバー部材30を嵌合させることができるため作業スペースの省スペース化が図れ、作業効率を向上させることができる。またカバー部材30の固定方法が弾性部材50のみによることからカバー部材30の固定させる部材(ネジ等)を削減することができる。さらに弾性部材50を介すことでカバー部材30とケース11との接触面積を低減することが可能となり、カバー部材30の損傷を抑制することができる。
【0079】
加えて、弾性部材50は、膨出部51を有しているため、弾性部材50は、Z軸の負方向において、カバー部材30を第1の嵌合部15(支持端部153)へ押し付けることができる。これにより、カバー部材30をZ軸方向において固定することができる。
【0080】
なお、膨出部51は、
図3、
図6(C)に示されるように、カバー部材30によって第1の嵌合部15へ押し付けられた際に弾性部材50が変形して(潰れて)できた部分である。
【0081】
また第2の突部332はY軸方向からみて突出した形状を有しているため、第2の嵌合部16(第2の平面部1612)との接触面積を低減させることができる。これにより、鉄道車両等の振動によって第2の嵌合部16と第2の嵌合部16との間の摩擦音を低減させることができる。
【0082】
さらに、第1の平面部1512のX軸方向における長さL1(本実施形態では3mm)は、第2の平面1612のX軸方向における長さL2(本実施形態では0.8mm)より長く形成されている。そして
図3のようにケース11にカバー部材30が嵌合された状態では、第1の嵌合部15及び第2の嵌合部16は、それぞれ第1の突起部32及び第2の突起部33とY軸方向の長さ部分がおおよそ1mm重なり合う。つまり、弾性部材50の弾性力を考慮して長さL1、L2を形成することで、Y軸方向からみた基板21の中心(例えばコネクタ23が配置された位置)から左右対称な形状のカバー部材30を固定することができる。
【0083】
[照明装置10の溶融滴下対策]
本照明装置10では、鉄道車両の客室に設置する場合を想定して、カバー部材30の材質に合成樹脂も適用可能とするために、合成樹脂の溶融滴下の対策を施している。すなわち、ケース11の内側のうち光源22の支持部14に区画された第3の空間部W3を、カバー部材30が溶融滴下したときに受け入れ可能な空間とする。よって、カバー部材30が合成樹脂で形成されて万一溶融しても、この溶融物は支持部14に区画された第3の空間部W3に落下し、第3の空間部W3に滞留させることができ、溶融物が客室の下方へ滴下する虞はない。
【0084】
これにより、カバー部材30は溶融滴下し得る材質として、加工しやすく丈夫で廉価な合成樹脂を採用することができる。また、カバー部材30が実際に万一溶融したとしても、第3の空間部W3に受け入れられることで滴下する虞もなく、本実施形態のように鉄道車両用の材料に使用することも可能となる。従って、カバー部材30の素材にガラスを用いた場合に比べて軽量化を実現することができ、また、カバー部材30がガラスのように割れることもなく、安全性も高めることができる。
【0085】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態のみに限定されるものではなく、例えば、弾性部材50を第1の嵌合部15と第2の嵌合部16の両方に設けるなど種々変更を加え得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0086】
1…天井
10…照明装置
11…ケース
14…支持部
15…第1の嵌合部
16…第2の嵌合部
20…光源ユニット
21…基板
22…光源
30…カバー部材
31…被覆部
32…第1の突起部
33…第2の突起部
50…弾性部材