(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077261
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】土木工事用作業機械等の管理支援システム、装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20240531BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20240531BHJP
G06Q 50/08 20120101ALI20240531BHJP
【FI】
G06Q10/20
G05B19/418 Z
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189243
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】591029921
【氏名又は名称】フジモリ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003340
【氏名又は名称】弁理士法人湧泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】坂根 一聡
(72)【発明者】
【氏名】細田 優介
(72)【発明者】
【氏名】小野 将太朗
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA63
3C100BB13
3C100BB15
3C100BB19
3C100BB36
3C100CC03
3C100EE18
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】山岳トンネルの構築施工等の土木工事用の各種作業機械又はその構成部品もしくは運転用資材のメンテナンス等の管理を支援する。
【解決手段】山岳トンネル1の施工等の土木工事を行なう作業機械2に設けられた運転情報取得装置11によって、作業機械2の運転情報を取得して発信する。管理支援装置20が運転情報を受信する。管理支援装置20の記憶部22には、作業機械2又は構成部品3aもしくは運転用資材3bからなる管理対象物3のメンテナンス周期を含むメンテナンスルールが記憶されている。管理支援装置20は、メンテナンスルールと運転情報に基づいて、管理対象物3のメンテナンス時期を算定し、算定されたメンテナンス時期を含む管理情報を利用端末30へ出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土木工事を行なう作業機械又は前記作業機械の構成部品もしくは運転用資材からなる管理対象物のメンテナンスを含む管理を支援する管理支援システムであって、
前記作業機械に設けられて前記作業機械の運転情報を取得する運転情報取得装置と、
前記管理対象物のメンテナンス周期を含むメンテナンスルールを記憶した記憶部と、
前記運転情報と前記メンテナンスルールとに基づいて、前記管理対象物のメンテナンス時期を算定する算定部と、
算定されたメンテナンス時期を含む管理情報を利用端末へ出力する出力部と、
を備えたことを特徴とする土木工事用作業機械等の管理支援システム。
【請求項2】
土木工事を行なう作業機械に設けられた運転情報取得装置と通信可能に接続されて、前記作業機械又は前記作業機械の構成部品もしくは運転用資材からなる管理対象物のメンテナンスを含む管理を支援する管理支援装置であって、
前記管理対象物のメンテナンス周期を含むメンテナンスルールを記憶した記憶部と、
前記運転情報取得装置によって取得された前記作業機械の運転情報と前記メンテナンスルールとに基づいて、前記管理対象物のメンテナンス時期を算定する算定部と、
算定されたメンテナンス時期を含む管理情報を利用端末へ出力する出力部と、
を備えたことを特徴とする土木工事用作業機械等の管理支援装置。
【請求項3】
前記算定部が、前記運転情報に基づいて、前記作業機械の累積実稼働時間を算出する算出部と、前記累積実稼働時間から見込まれる累積見込み稼働時間が前記メンテナンス周期となる時期を予測する予測部とを含む請求項2に記載の管理支援装置。
【請求項4】
土木工事を行なう作業機械又は前記作業機械の構成部品もしくは運転用資材からなる管理対象物のメンテナンスを含む管理を支援する管理支援方法であって、
前記作業機械に設けられた運転情報取得装置が、前記作業機械の運転情報を取得して発信する工程と、
管理支援装置が前記運転情報を受信する工程と、
前記管理支援装置が、記憶部に記憶された前記管理対象物のメンテナンス周期を含むメンテナンスルールと、前記運転情報とに基づいて、前記管理対象物のメンテナンス時期を算定する工程と、
算定されたメンテナンス時期を含む管理情報を前記管理支援装置から利用端末へ出力する工程と、
を備えたことを特徴とする土木工事用作業機械等の管理支援方法。
【請求項5】
前記算定工程が、前記運転情報に基づいて、前記作業機械の累積実稼働時間を算出する工程と、前記累積実稼働時間から見込まれる累積見込み稼働時間が前記メンテナンス周期となる時期を予測する工程とを含む請求項4に記載の管理支援方法。
【請求項6】
前記出力工程が、前記メンテナンス時期が所定の日数又は時間以内になったとき、前記管理支援装置から前記利用端末へアラートが出力される工程を含む請求項4又は5に記載の管理支援方法。
【請求項7】
前記出力工程が、前記管理情報中のメンテナンス時期が該当する日付欄に表示されたカレンダーが前記利用端末に画面表示される工程を含む請求項4又は5に記載の管理支援方法。
【請求項8】
前記管理支援装置が、前記運転情報に基づいて前記構成部品又は前記運転用資材の在庫管理を行なう請求項4又は5に記載の管理支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばNATM(New Austrian Tunneling Method)などの山岳トンネルの構築施工をはじめとする土木工事を支援するシステム、装置及び方法に関し、特に、土木工事用の作業機械又はその構成部品もしくは運転用資材(以下適宜「作業機械等」と称す)の点検、補修、交換等のメンテナンス、在庫管理その他の管理を支援するシステム等に関する。
【背景技術】
【0002】
土木工事として例えば山岳トンネルの構築施工においては、地山掘削、ロックボルトの打設、アーチ支保工の建て込み、一次覆工コンクリートの吹付け、防水シートの張設、二次覆工の構築等が行われる。地山の状況によっては、AGF(All Ground Fasten)工法、フォアポーリング工法、鏡ボルト工法などの補助工法が行われる。補助工法においては、例えば、長尺鋼管や中空ボルトをトンネル周辺の地山へ打ち込み、さらにウレタン系発泡樹脂やモルタルなどの注入材を地山に注入して、地山を安定化させる(特許文献1など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した山岳トンネルの構築施工においては、掘削機、注入機等の様々な作業機械が用いられる。作業機械にはギアポンプ、バッテリー、オイル等の損耗しやすく定期的にメンテナンス(点検、補修、交換、補充を含む)等の管理が必要な構成部品や運転用資材が含まれている。管理を怠ると、動作不良や故障を来し、工期に影響が出る。
本発明は、かかる事情に鑑み、山岳トンネルの構築施工などの土木工事用の各種作業機械又はその構成部品もしくは運転用資材のメンテナンス等の管理を支援することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明に係るシステムは、土木工事を行なう作業機械又は前記作業機械の構成部品もしくは運転用資材からなる管理対象物のメンテナンスを含む管理を支援する管理支援システムであって、
前記作業機械に設けられて前記作業機械の運転情報を取得する運転情報取得装置と、
前記管理対象物のメンテナンス周期を含むメンテナンスルールを記憶した記憶部と、
前記運転情報と前記メンテナンスルールとに基づいて、前記管理対象物のメンテナンス時期を算定する算定部と、
算定されたメンテナンス時期を含む管理情報を利用端末へ出力する出力部と、
を備えたことを特徴とする。
【0006】
本発明に係る装置は、土木工事を行なう作業機械に設けられた運転情報取得装置と通信可能に接続されて、前記作業機械又は前記作業機械の構成部品もしくは運転用資材からなる管理対象物のメンテナンスを含む管理を支援する管理支援装置であって、
前記管理対象物のメンテナンス周期を含むメンテナンスルールを記憶した記憶部と、
前記運転情報取得装置によって取得された前記作業機械の運転情報と前記メンテナンスルールとに基づいて、前記管理対象物のメンテナンス時期を算定する算定部と、
算定されたメンテナンス時期を含む管理情報を利用端末へ出力する出力部と、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
好ましくは、前記算定部が、前記運転情報に基づいて、前記作業機械の累積実稼働時間を算出する算出部と、前記累積実稼働時間から見込まれる累積見込み稼働時間が前記メンテナンス周期となる時期を予測する予測部とを含む。
【0008】
本発明に係る方法は、土木工事を行なう作業機械又は前記作業機械の構成部品もしくは運転用資材からなる管理対象物のメンテナンスを含む管理を支援する管理支援方法であって、
前記作業機械に設けられた運転情報取得装置が、前記作業機械の運転情報を取得して発信する工程と、
管理支援装置が前記運転情報を受信する工程と、
前記管理支援装置が、記憶部に記憶された前記管理対象物のメンテナンス周期を含むメンテナンスルールと、前記運転情報とに基づいて、前記管理対象物のメンテナンス時期を算定する工程と、
算定されたメンテナンス時期を含む管理情報を前記管理支援装置から利用端末へ出力する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
好ましくは、前記算定工程が、前記運転情報に基づいて、前記作業機械の累積実稼働時間を算出する工程と、前記累積実稼働時間から見込まれる累積見込み稼働時間が前記メンテナンス周期となる時期を予測する工程とを含む。
【0010】
好ましくは、前記出力工程が、前記メンテナンス時期が所定の日数又は時間以内になったとき、前記管理支援装置から前記利用端末へアラートが出力される工程を含む。
【0011】
好ましくは、前記出力工程が、前記管理情報中のメンテナンス時期が該当する日付欄に表示されたカレンダーが前記利用端末に画面表示される工程を含む。
【0012】
好ましくは、前記管理支援装置が、前記運転情報に基づいて前記構成部品又は前記運転用資材の在庫管理を行なう。好ましくは、前記管理情報は、在庫管理情報を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、土木工事用の各種作業機械又はその構成部品もしくは運転用資材の点検、補修、交換等の時期を自動管理することによって、作業機械の動作不良や故障の未然防止ひいては土木工事の円滑な施工に資することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る土木工事管理支援システムを用いた土木工事として山岳トンネルの構築施工の様子を示す解説図である。
【
図2】
図2は、前記管理支援システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3(a)は、前記管理支援システムにおける管理支援装置の処理フローの一例を示すフローチャートである。
図3(b)は、同図(a)のメンテナンス時期算定のサブルーチンを示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、カレンダー画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面にしたがって説明する。
図1は、土木工事の一例として、山岳トンネル1の構築施工の様子を示したものである。山岳トンネル1の構築施工においては、掘削機2a、コンクリート吹付け機2b、モルタル打設ポンプ2c、ウレタン注入機2d等の種々の作業機械2が用いられている。図において模式的に示すように、作業機械2(2a,2b,2c,2d)には、ギアポンプ、バッテリー、オイル等の損耗しやすく定期的に補充、補修、交換等の管理が必要な構成部品3aや運転用資材3bが含まれている。作業機械2自体や構成部品3a及び運転用資材3bが、管理対象物3を構成している。
【0016】
山岳トンネル施工(土木工事)用の管理支援システム10は、各管理対象物3(2,3a,3b)の点検、補修、交換等を自動管理することによってトンネル施工を支援している。詳しくは、
図1に示すように、管理支援システム10は、運転情報取得装置11と、管理支援装置20と、利用端末30を備えている。
【0017】
運転情報取得装置11は、作業機械2ごとに取り付けられている。好ましくは、運転情報取得装置11は、作業機械2のプリント基板、操作盤、制御盤、プログラマブルロジックコントローラー(PLC)等の操作・制御手段4に組み込まれているか、ないしは操作・制御手段4と接続されている。
【0018】
図2に示すように、運転情報取得装置11は、情報取得部12と、信号変換部13と、通信部14を含む。情報取得部12は、作業機械2の運転開始、運転停止、出力等の運転情報を取得する。信号変換部13は、運転情報等の信号変換を行う。通信部14は運転情報等の送受信を行う。
【0019】
図1に示すように、管理支援装置20は、クラウドコンピューティングシステムによって構成されている。なお、管理支援装置20が物理サーバによって構成されていてもよく、パーソナルコンピューター(以下「PC」と称す)によって構成されていてもよい。各作業機械2の運転情報取得装置11と管理支援装置20とが、インターネット等の公衆通信網又は専用通信回線等の有線又は無線の通信回線5を介して通信可能に接続されている。通信回線5は、WiFiルーター等の中継器を含んでいてもよい。
【0020】
図2に示すように、管理支援装置20は、通信部21と、記憶部22と、算定部23と、出力部24を含む。通信部21は、通信回線5を介して運転情報取得装置11等との通信を行なう。
【0021】
記憶部22は、プログラム格納領域22aと、運転情報蓄積領域22bと、メンテナンスルール(管理ルール)記憶領域22cと、在庫情報記憶領域22dを含む。プログラム格納領域22aには、管理支援プログラム22pが格納されている。管理支援装置20は、プログラム22pにしたがって管理支援処理を実行する。管理支援処理には、各管理対象物3のメンテナンス管理及び在庫管理の支援処理が含まれる。
【0022】
運転情報蓄積領域22bには、受信した運転情報が蓄積される。メンテナンスルール記憶領域22cには、管理対象物3ごとのメンテナンスルール(管理ルール)が記憶されている。
【0023】
メンテナンスルールとしては、例えばメンテナンス周期が挙げられる。メンテナンス周期は、管理対象物3の点検、交換等のメンテナンスが必要となる累積稼働時間で規定されている。管理対象物3が作業機械2自体である場合、当該作業機械2の累積稼働時間によってメンテナンス周期が規定されている。管理対象物3が作業機械2の構成部品3aや運転用資材3bである場合、その構成部品3aや運転用資材3bが属する作業機械2の累積稼働時間によってメンテナンス周期が規定されている。
【0024】
在庫情報記憶領域22dには、交換が必要な構成部品3aや運転用資材3bについての在庫情報が記憶されている。在庫情報は、実際の検数に基づく在庫数でもよく、推定在庫数でもよい。
【0025】
算定部23は、算出部25と、予測部26と、推定部27を含む。算出部25は、各作業機械2の累積実稼働時間を算出する。予測部26は、累積実稼働時間から各管理対象物3のメンテナンス時期を予測(算定)する。推定部27は、管理対象物3のうち在庫管理の対象物の在庫数を累積実稼働時間から推定する。
【0026】
出力部24は、管理情報を利用端末30へ送信(出力)する。管理情報は、算定部23にて得られたメンテナンス時期や在庫状況の情報を含む。さらに、出力部24は、管理情報利用者Aに管理情報についての注意を促すためのアラートを発出する発報部24aを含む。
【0027】
図1に示すように、利用端末30は、管理情報利用者AのPCによって構成されている。管理情報利用者Aとしては、山岳トンネル(土木工事)の施工管理者A1、施工作業者A2、構成部品3aや運転用資材3bのメンテナンス担当者A3、構成部品3aや運転用資材3bの供給担当者A4が挙げられる。利用端末30を構成するPCは、デスクトップPCでもよく、ノートPCでもよく、タブレットやスマートフォンでもよい。
図2に示すように、利用端末30は、管理支援装置20等との通信を行なう通信部31と、管理情報等を画面表示する表示部32を含む。
【0028】
管理支援システム10は、次のように動作する。
各作業機械2が山岳トンネル1の構築(土木工事)の施工手順にしたがって運転される。その運転情報が、対応する作業機械2に設けられた運転情報取得装置11の情報取得部12によって取得される(取得工程)。例えば、作業機械2の運転開始ボタンが押下されたとき、それに応じて作業機械2の運転が開始されるとともに、情報取得部12に運転開始を表す電気信号(運転情報)が入力される。作業機械2の運転停止ボタンが押下されたときは、それに応じて作業機械2の運転が停止されるとともに、情報取得部12に運転停止を表す電気信号(運転情報)が入力される。作業機械2の運転期間中、運転中を表す電気信号が情報取得部12に入り続け、作業機械2の運転停止と共にその電気信号が止むことによって運転停止と判定できるようにしてもよい。運転期間中の出力や異常監視信号等についても運転情報として情報取得部12に入力されるようにしてもよい。
【0029】
運転開始、運転停止等の運転情報が、信号変換部13によって信号変換されて、通信部14から管理支援装置20へ向けて発信される(発信工程)。発信タイミングは、運転情報を取得する都度でもよく、一定時間置き(数秒置き~数日置き)でもよく、管理支援装置20からの送信要求があったときでもよい。発信される運転情報には、どの作業機械2の運転情報であるかを特定する作業機械識別情報が含まれている。
【0030】
図3のフローチャートに示すように、管理支援装置20においては、プログラム22pにしたがって、次のような管理支援処理が実行される。
<受信工程>
図3(a)に示すように、運転情報取得装置11からの運転情報が通信部21によって受信される(ステップ101)。
<蓄積工程>
受信された運転情報は、記憶部22の運転情報蓄積領域22bに蓄積される(ステップ102)。
【0031】
<算定工程>
さらに、受信又は蓄積された運転情報に基づいて、算定部23によって各管理対象物3のメンテナンス時期が算定される(ステップ110)。
<算出工程>
図3(b)に示すように、具体的には、先ず算出部25によって、運転情報と対応する作業機械2の前回のメンテナンス時から現時点までの累積実稼働時間が算出される(ステップ111)。
<予測工程>
続いて、予測部26によって、累積実稼働時間から見込まれる累積見込み稼働時間が、その作業機械2と対応する各管理対象物3(作業機械2自体又は構成部品3aもしくは運転用資材3b)のメンテナンス周期となる日時(メンテナンス時期)が予測される(ステップ112)。
【0032】
<在庫推定工程>
また、
図3(a)に示すように、推定部27によって、交換が必要な構成部品3aや運転用資材3bの在庫数が推定される(ステップ113)。推定は、メンテナンスルール記憶領域22cに記憶された交換が必要な累積稼働時間と、対応する作業機械2の累積実稼働時間とに基づいて行われる。推定結果は、在庫情報記憶領域22dの在庫情報に反映される。
【0033】
<管理情報提供要求受け付け工程>
管理情報利用者Aは、利用端末30によって管理支援装置20にアクセスして、各管理対象物3のメンテナンス時期や在庫情報等の管理情報の提供を要求できる。管理支援装置20は、その要求指令を受け付ける(ステップ120)。
【0034】
<出力工程>
管理支援装置20の出力部24aは、要求に応じて管理情報を利用端末30へ出力する(ステップ121)。管理情報は、利用端末30の通信部31によって受信され、表示部32によって画面表示される。好ましくは、利用端末30に搭載された汎用又は専用のブラウザによって管理情報が画面表示される。
管理情報が、CSVファイル等の汎用ファイル形式で管理支援装置20から利用端末30へ送られるようにしてもよく、利用端末30においてその管理情報を閲覧しやすいよう編集するようにしてもよい。
【0035】
管理情報は、カレンダー形式で表示可能である。すなわち、
図4に例示するように、利用端末30にカレンダー画面33が表示される。カレンダー画面33には、管理対象の作業機械2a~2dごとのメンテナンス時期が来たことを示すハイライト表示33a,33b,33c,33dが、該当する日付欄に表示される。好ましくは、ハイライト表示33a~33dは、互いに色分けされている。各ハイライト表示33a~33dが、リンクボタンになっており、ハイライト表示33a~33dをクリック又はタッチすると、メンテナンスの詳細情報がポップアップ画面や別ページ画面などで表示されるようにしてもよい。詳細情報としては、メンテナンスすべき対象が作業機械2a~2d自体、構成部品3a、運転用資材3aの何れであるのか、メンテナンス対象の具体的な部品名や資材名などの情報が挙げられる。これによって、いつ、どの管理対象物3(2,3a,3b)をメンテナンスすべきかを容易に把握できる。
各作業機械2の運転情報が、管理支援装置20から利用端末30へ送信されて、カレンダーに表示されるようにしてもよい。これによって、どの作業機械2がいつ運転されていたかを容易に把握できる。
【0036】
また、管理支援装置20の自動管理によって、メンテナンス時期が所定の日数もしくは所定の時間以内になったと算定されたときや、交換が必要な構成部品3aや運転用資材3bの在庫数が一定未満となったと算定されたときは、発報部24aから利用端末30へアラート(報知情報)が出力される。好ましくは、アラートは、利用端末30宛ての電子メールで発信される。
【0037】
これによって、管理情報利用者Aは、各管理対象物3のメンテナンス時期や在庫状況を的確に把握でき、適切な対処を行なうことができる。この結果、作業機械3の動作不良や故障を未然に防止でき、山岳トンネル構築施工(土木工事)を円滑に行うことができる。
【0038】
好ましくは、メンテナンス担当者A3は、メンテナンス後、利用端末30によって管理支援装置20にアクセスして、メンテナンスを行った管理対象物3の情報をフィードバック入力する。これに応じて、管理支援装置20の算定部23が、その管理対象部3についての累積実稼働時間をゼロにリセットする。また、供給担当者A4によって構成部品3aや運転用資材3bが納品されたり、施工管理者A1や作業者A2によって在庫量の検数が行われたりしたときは、その納品情報や検数情報が、それぞれの利用端末30から管理支援装置20にフィードバックされ、在庫情報記憶領域22dの在庫情報が上書き修正される。
【0039】
本発明は、実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、利用端末30によって各作業機械2の運転情報をリアルタイムに把握できるようにしてもよい。運転情報がリアルタイムで運転情報取得装置11から直接、利用端末30へ送信されるようにしてもよく、管理支援装置20経由で利用端末30へ送信されるようにしてもよい。
管理支援システム10は安全管理にも利用できる。例えば、運転情報取得装置11によって取得した作業機械2の制御電流や駆動電流の電流値、電圧値等の運転情報から、運転情報取得装置11又は管理支援装置20が異常の有無を判定して利用端末30等へ発報したり、作業機械2へ運転停止指令を出したりする。
メンテナンスルールとして、電流等の異常事象が検知されたときメンテンナンス時期を繰り上げることを規定してもよい。
管理支援装置20による在庫推定工程によって、構成部品3aや運転用資材3bの在庫数が一定未満となったと算定されたときは、自動的に管理支援装置20から発注指令がなされるようにしてもよい。
管理対象物は、支保工、ロックボルト、注入材、防水シートなどの施工用資材であってもよい。管理支援システム10によって施工用資材の補充等の管理を行ってもよい。管理ルールとして、作業機械2ごとに、その作業機械2の運転情報から使用量が推定可能な施工用資材について、補充が必要となる累積稼働時間が規定されていてもよい。例えば、掘削機2eであれば、その運転情報から掘進量が推定され、支保工、ロックボルト等の使用量が推定可能である。
管理支援システム10は、山岳トンネルの構築施工に限らず、立坑の構築施工や、橋梁、道路などの明かり工事その他の土木工事に用いられる各種作業機械等の管理支援に適用できる。
運転情報取得装置11によって取得された運転情報から、管理支援装置20が施工進捗状況を推定して施工用資材の消費量及び在庫量を算定し、在庫量が一定未満となったら利用端末30へ発報したり、利用端末30の要求に応じて施工用資材の消費量及び在庫量の算定結果を管理情報として利用端末30へ提供したりしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、例えばNATMトンネルの施工支援システムに適用できる。
【符号の説明】
【0041】
1 山岳トンネル
2 作業機械(管理対象物)
2a 掘削機
2b コンクリート吹付け機
2c モルタル打設ポンプ
2d ウレタン注入機
3 管理対象物
3a 構成部品
3b 運転用資材
4 操作・制御手段
5 通信回線
10 土木工事管理支援システム
11 運転情報取得装置
12 情報取得部
13 信号変換部
14 通信部
20 管理支援装置
21 通信部
22 記憶部
22a プログラム格納領域
22b 運転情報蓄積領域
22c メンテナンスルール記憶領域(管理ルール記憶領域)
22d 在庫情報記憶領域
22p 土木工事管理支援プログラム
23 算定部
24 出力部
25 算出部
26 予測部
27 推定部
24a 発報部
30 利用端末
31 通信部
32 表示部
A(A1~A4) 管理情報利用者