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特開2024-77276吊り用治具及びこれを用いた鋼管杭建込方法
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  • 特開-吊り用治具及びこれを用いた鋼管杭建込方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077276
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】吊り用治具及びこれを用いた鋼管杭建込方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 13/00 20060101AFI20240531BHJP
【FI】
E02D13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189268
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】土屋 信明
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 剛
【テーマコード(参考)】
2D050
【Fターム(参考)】
2D050EE03
(57)【要約】
【課題】鋼管杭を効率的に設置するための吊り用治具及びこれを用いた鋼管杭建込方法を提供する。
【解決手段】吊り用治具10は、円筒のねじ式の機械式継手23を軸方向の端部に設けた杭構造体20に着脱可能に取り付けられる。吊り用治具10は、機械式継手23の外周に沿う円弧形状の取付部11と、シャックルに係合する吊り部15とを備える。取付部11には、機械式継手23に形成されたねじ孔25と整合してボルトB1を挿通するための固定孔11hが形成されている。そして、吊り用治具10を用いて杭構造体20を吊り上げて、下方に配置した杭構造体20に連結することを繰り返して、複数の杭構造体20で構成される鋼管杭を地中に建て込む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒のねじ式の機械式継手を軸方向の端部に設けた杭構造体に着脱可能に取り付けられる吊り用治具であって、
前記機械式継手の外周に沿う円弧形状の取付部と、
吊り部材に係合する吊り部と、を備え、
前記取付部には、前記機械式継手に形成された孔と整合してボルトを挿通するための固定孔が形成されていることを特徴とする吊り用治具。
【請求項2】
前記固定孔は、前記機械式継手の外周に形成された逆回転防止ピンが挿入される孔と並んで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の吊り用治具。
【請求項3】
前記取付部の一方の端部に接続し、前記取付部の径外方向に突出する横板部を更に備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の吊り用治具。
【請求項4】
円筒のねじ式の機械式継手を軸方向の端部に設けた杭構造体を、吊り用治具を用いて吊り上げて、他の前記杭構造体と軸方向に連結しながら、地中に鋼管杭を建て込む鋼管杭建込方法であって、
前記機械式継手には、複数の孔が形成され、
前記吊り用治具は、固定孔が形成された前記機械式継手の外周に沿う円弧形状の取付部と、吊り部材に係合する吊り部とを備え、
前記孔と、前記固定孔とを整合した状態で、ボルトを挿通することにより、前記杭構造体に前記吊り用治具を取り付けることを特徴とする鋼管杭建込方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ねじ式の機械式継手を備えた杭構造体に着脱可能に取り付ける吊り用治具及びこれを用いた鋼管杭建込方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の地盤が軟弱な場合に、鋼製の円筒形状の杭(鋼管杭)を地中に打込むことがある(例えば、特許文献1,2参照。)。特許文献1には、掘削孔内に鋼管杭を圧入する鋼管杭の挿入方法が記載されている。この場合、掘削ビットに起振力を加えながら回転させることで地盤に掘削孔を形成する。そして、地盤の掘削で生じた土砂とセメントミルクを攪拌した上で、起振力及び回転力を加えながら、掘削孔内に鋼管杭を圧入する。また、特許文献2には、鋼管杭を構成する上杭及び下杭が示されている。この上杭に溶接した吊りブラケットの孔に、シャックルを介して取り付けたリングを取り付けたワイヤをクレーンにより吊り上げる。そして、下杭の上端部に上杭の下端部を位置合わせして、上杭の下端部に設けてあるおねじ部を、下杭の上端部に設けているめねじ部に螺合させて、上杭と下杭とを連結する。その後、上杭の吊りブラケットをガス切断より切断する。
【0003】
また、複数の杭構造体を軸方向に連結して、鋼管杭を形成する技術もある。この場合、杭構造体の軸方向端部に、ねじ式の機械式継手を設けた杭構造体を用いる(例えば、非特許文献1参照。)。この非特許文献1には、上杭の下端部に設けたPIN継手のハイメカネジ(登録商標)と、下杭の上端部に設けたBOX継手のハイメカネジとの螺合により連結された鋼管杭を構成する。この場合、下杭の上端部のハイメカネジには、逆回転防止ピンを挿入するための複数の孔が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-74726号公報
【特許文献2】特開平8-158359号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】JFEスチール株式会社,「JFEの鋼管杭」,[online],[令和4年11月22日検索],インターネット<URL:https://www.jfe-steel.co.jp/products/katakou/catalog/d1j-502.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載の鋼管杭においては、吊りブラケットを、上杭の機械式継手の外周に溶接する。そして、上杭と下杭とを連結した後に、ガス切断により上杭から吊りブラケットを除去していた。このとき、バーナー等による溶接や溶断により鋼管杭が熱変形すると、上杭と下杭との連結が困難になる。また、火気の利用が制限された現場においては、ブラケットを切断できなかった。
更に、鋼管杭は、一般に、杭孔のソイルセメントが固まる前に建て込む必要がある。ここで、低空頭のために、鋼管杭を構成する杭構造体の継ぎ足し数が多い場合、吊りブラケットの切除等も多くなるため、作業時間が掛かる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する吊り用治具は、円筒のねじ式の機械式継手を軸方向の端部に設けた杭構造体に着脱可能に取り付けられる吊り用治具であって、前記機械式継手の外周に沿う円弧形状の取付部と、吊り部材に係合する吊り部と、を備え、前記取付部には、前記機械式継手に形成された孔と整合してボルトを挿通するための固定孔が形成されている。
【0008】
更に、上記課題を解決する鋼管杭建込方法は、円筒のねじ式の機械式継手を軸方向の端部に設けた杭構造体を、吊り用治具を用いて吊り上げて、他の前記杭構造体と軸方向に連結しながら、地中に鋼管杭を建て込む鋼管杭建込方法であって、前記機械式継手には、複数の孔が形成され、前記吊り用治具は、固定孔が形成された前記機械式継手の外周に沿う円弧形状の取付部と、吊り部材に係合する吊り部とを備え、前記孔と、前記固定孔とを整合した状態で、ボルトを挿通することにより、前記杭構造体に前記吊り用治具を取り付ける。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、鋼管杭を効率的に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態の吊り用治具の構成を説明する斜視図である。
図2】実施形態の吊り用治具を杭構造体に取り付けた斜視図である。
図3】実施形態の吊り用治具を用いて杭構造体を吊り上げた状態を示す正面図である。
図4】実施形態における吊り用治具を用いて吊上げた鋼管杭を降下させた上面図である。
図5】実施形態における吊り用治具を用いて吊上げた鋼管杭を降下させた側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1図5を用いて、吊り用治具及びこれを用いた鋼管杭建込方法を具体化した一実施形態を説明する。本実施形態では、杭孔に降下させた杭構造体に、その上方に配置した別の杭構造体を接合することを繰り返すことにより、複数の杭構造体で構成される鋼管杭を地中に建て込む。
図1は、杭構造体20を吊り上げるために用いる吊り用治具10の斜視図であり、図2は、この吊り用治具10を杭構造体20に取り付けたときの斜視図である。
【0012】
(杭構造体20の構成)
まず、図2を用いて、吊り用治具10を取り付ける杭構造体20の構成を説明する。
杭構造体20は、円筒体の本体管21と、この本体管21の軸方向(上下方向)に配置されるねじ式の機械式継手23,26とを備える。具体的には、杭構造体20の上端部には、めねじが形成されている機械式継手23が溶接により一体的に固定されている。この機械式継手23には、複数のねじ孔25が、円周方向に一列に等間隔で並んで形成されている。これらねじ孔25は、逆回転防止ピンが挿入されるピン挿入孔と、ボルト挿入孔として機能する。ここで、ボルト挿入孔は、ピン挿入孔と一列に並び、吊り用治具10を取り付けるためのボルトB1を挿通する孔である。本実施形態では、隣接する2個のねじ孔25と、ねじ孔25に対向する2個のねじ孔25(合計4個)とを、ボルト挿通孔として用いる。
【0013】
杭構造体20の下端部には、おねじが形成されている機械式継手26が溶接により一体的に固定されている。機械式継手26の下端部には、離間した複数の半円弧形状の切欠き部27が設けられている。切欠き部27は、他の杭構造体20と連結する際に、連結する杭構造体20の機械式継手23のピン挿入孔としてのねじ孔25に整合するように形成されている。切欠き部27と、ねじ孔25のピン挿入孔とが整合した上で、逆回転防止ピンが挿入されることにより、螺合される上側の杭構造体20(上杭)と、下側の杭構造体20(下杭)との螺合の逆回転(ねじが緩む方向の回転)を抑制する。なお、ねじ式の機械式継手23,26として、JEFスチール株式会社製のハイメカネジを用いることができる。
【0014】
(吊り用治具10の構成)
次に、図1を用いて、吊り用治具10の構成について説明する。
吊り用治具10は、取付部11、横板部12及び吊り部15を備えている。
取付部11は、内面が、取付予定の杭構造体20の外周に沿う円弧形状を有した板部材で構成されている。この取付部11には、離間した2個の固定孔11hが形成されている。各固定孔11hは、本実施形態では、杭構造体20に形成されたねじ孔25のボルト挿通孔に整合するように設けられている。
【0015】
横板部12は、取付部11の下面に沿う円弧形状を長辺に有する板状部材である。この横板部12は、杭構造体20の円周方向に延在するように取付部11に対して直角となるように配置される。具体的には、横板部12は、円弧形状の部分が取付部11の下端部に溶接されることにより、取付部11に固定されている。
【0016】
横板部12の中心には、吊り部15が溶接により固定されている。この吊り部15は、上方が半円形状となった板状部材で構成される。吊り部15は、取付部11から径外方向となるように配置されている。更に、吊り部15の中央には、貫通孔15hが形成されている。
【0017】
(鋼管杭の建込方法)
次に、上述した吊り用治具10を用いて、複数の杭構造体20を連結しながら、杭の建込方法について説明する。
【0018】
まず、鋼管杭を埋設する杭孔を形成する。この場合、形成された杭孔には、ソイルセメントが充填される。
図4に示すように、杭孔H1の上端部の周囲に、位置決めのための枠40を配置する。この枠40は、埋設する鋼管杭の大きさ及び位置に応じて配置される。
【0019】
次に、図2に示すように、杭構造体20の対向する位置にそれぞれ吊り用治具10を配置し、2個の吊り用治具10を、一つ目(最下部)の杭構造体20に取り付ける。具体的には、杭構造体20のボルト挿通孔となるねじ孔25と、吊り用治具10の固定孔11hとを整合させた上で、ボルトB1を挿通する。この場合、ボルトB1として、杭構造体20のねじ孔25と螺合する部分を有する六角穴付きボルトを用いる。そして、ボルトB1を締め付けることにより、吊り用治具10を、杭構造体20に取り付ける。
【0020】
次に、図3に示すように、吊り用治具10を取り付けた杭構造体20を、吊り部材に係合させる。吊り部材としては、シャックル50及び吊り天秤55を用いる。具体的には、吊り用治具10の吊り部15の貫通孔15hに、シャックル50のボルトを挿通する。そして、杭構造体20を、吊り部材を用いて(シャックル50を吊り天秤55を介して)、揚重装置で吊り上げる。
【0021】
この吊り上げた杭構造体20を、杭孔H1に挿入した後、杭孔H1内に降下させる。そして、先行の杭構造体20(下杭)の上部を杭孔H1から露出させる。この場合、杭構造体20に取り付けた吊り用治具10が、枠40の上に載置する。
【0022】
その後、吊り用治具10を用いて、後続の杭構造体20(上杭)を同様にして吊り上げる。そして、杭構造体20(上杭)の下端部の機械式継手26と、枠40の上に載置された吊り用治具10を取り付けた杭構造体20(下杭)の上端部の機械式継手23とを整合させる。そして、上杭を回転させることにより上杭の機械式継手26のおねじを下杭の機械式継手23のめねじに螺合させる。その後、切欠き部27とねじ孔25のピン挿入孔とを整合した位置に、逆回転防止ピンを挿入する。以上により、上杭(杭構造体20)と、下杭(杭構造体20)とが合体する。そして、下杭(杭構造体20)のボルトB1を取り外して、吊り用治具10を、下杭(杭構造体20)から取り外す。その後、吊り用治具10で吊り上げられた上杭(杭構造体20)を、揚重装置で杭孔H1内に降下させる。これにより、上杭に連結された下杭(杭構造体20)も、杭孔H1内に降下される。
以上の作業を繰り返すことにより、上杭を下杭に連結しながら、複数の杭構造体20で構成される鋼管杭が、地中に降下しながら形成される。
【0023】
そして、図4及び図5に示すように、鋼管杭の最上部となる杭構造体20から吊り用治具10を取り外す前に、鋼管杭の位置調整を行なう。具体的には、最上部の杭構造体20の上部を杭孔から露出した状態において、この杭構造体20に取り付けた吊り用治具10と枠40との間に、4個のジャッキ70を配置する。このジャッキ70としては、例えば、ジャーナルジャッキを用いる。ジャッキ70は、枠40の上に載置されるとともに、吊り用治具10の横板部12の両端部にそれぞれ配置される。そして、ジャッキ70によって枠40に対する横板部12の高さを調整することにより、杭孔H1に対する鋼管杭の傾斜を調整する。そして、鋼管杭の傾斜調整が終了後、最上部の杭構造体20から、吊り用治具10を取り外す。
【0024】
(作用)
吊り用治具10の取付部11の固定孔11hを、杭構造体20に設けた機械式継手のねじ孔25と整合させてボルトB1を挿通することにより、吊り用治具10が杭構造体20に固定される。そして、ボルトB1を取り除くことにより、吊り用治具10が杭構造体20から外れる。
【0025】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態の吊り用治具10は、固定孔11hを有し杭構造体20の外周に沿う取付部11と、貫通孔15hを有する吊り部15とを備える。そして、取付部11の固定孔11hを、杭構造体20に設けた機械式継手のねじ孔25と整合させてボルトB1を挿通することにより、吊り用治具10を杭構造体20に取り付ける。これにより、吊り部15の貫通孔15hに、シャックル50等を取り付けて、杭構造体20を吊り上げることができる。また、ボルトB1を取り除くことにより吊り用治具10を取り外すことができるので、取り外し時における杭構造体20の熱変形が生じないとともに、短時間で吊り用治具10の取り付け及び取り外しを行なうことができる。更に、吊り用治具10を使い回すことができる。
【0026】
(2)本実施形態の吊り用治具10は、取付部11に接続する横板部12を備える。この横板部12を枠40に載置した状態で、上杭を回すことにより、上杭と下杭とを効率的に一体化することができる。更に、横板部12の両端部と枠40との間に配置したジャッキ70によって、杭構造体20で構成された鋼管杭の杭孔H1に対する傾斜を調整することができる。
【0027】
(3)本実施形態の吊り用治具10は、横板部12の中央に吊り部15を溶接する。これにより、板形状の横板部12を補強することができるので、横板部12のねじれを抑制することができる。
【0028】
(4)本実施形態では、吊り用治具10の固定孔11hと、杭構造体20のねじ孔25とを整合させて挿入するボルトB1として、六角穴付きボルトを用いる。これにより、ボルトの締め付けのために、ボルトB1の外周を把持して回転させる必要がないため、横板部12の近傍に固定孔11hを配置することができる。従って、吊り用治具10の高さを小さくすることができる。
【0029】
(5)本実施形態では、杭構造体20の上端部に設けた機械式継手23には、複数のねじ孔25を形成する。これらねじ孔25は、逆回転防止ピンが挿入されるピン挿入孔及びボルト挿入孔として機能する。このため、ボルト挿入孔及びピン挿入孔を一度に形成することができる。
【0030】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、ピン挿入孔及びボルト挿入孔として用いるねじ孔25を、杭構造体20の機械式継手23に等間隔に設けた。ねじ孔25の間隔や大きさは、同じ場合に限られない。例えば、逆回転防止ピンを挿入するピン挿入孔を等間隔に設け、ピン挿入孔の間に、ボルト挿入孔を設けてもよい。更に、ピン挿入孔とボルト挿入孔とを別の大きさで設けてもよい。
【0031】
・上記実施形態においては、吊り用治具10の吊り部15は、横板部12の上であって横板部12の中央に溶接により固定した。吊り部15は、横板部12に固定する場合に限られず、取付部11の側面に固定してもよい。この場合、横板部12を省略してもよい。また、吊り部15の形状は、上部が円弧形状に限定されず、角が丸くなった長方形状等、他の形状であってもよい。更に、取付部11に設ける固定孔11hは、2個に限定されず、鋼管杭の荷重に応じて設けてもよい。
また、吊り部15は、横板部12を補強するために、取付部11の径外方向に延在するように設けた。横板部12を補強するために、吊り部15以外の補強部材(例えば、吊り部15と直交する方向に延在する補強部材)を、横板部12の上に更に設けてもよい。
更に、横板部12は、取付部11の下端部に接続するように設けたが、取付部11の上端部や中央に接続するように設けてもよい。また、横板部12は、内側を円弧形状とし外側を直角の角部を有する形状としたが、外側の角部を斜めに切り欠いた形状や外側の角部を円弧形状を有した形状としてもよい。
【0032】
・上記実施形態においては、吊り用治具10を杭構造体20に取り付けるボルトB1として、六角穴付きボルトを用いた。吊り用治具10を杭構造体20に取り付けるボルトは、これに限定されず、通常のボルトを用いてもよい。通常のボルトを用いる場合には、ボルトを回転させるスパナの操作性から、取付部11の固定孔11hと横板部12との間隔を広くすることが好ましい。
また、上杭を下杭に連結する際には、下杭に取り付けた吊り用治具10を、枠40の上に載置した。上杭を下杭に連結する場合においても、ジャッキ70を用いて下杭の傾きを調整した後、上杭と連結してもよい。
【0033】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下に追記する。
(a)前記吊り部は、前記取付部から径外方向に突出するように配置された状態で、前記横板部の中央において溶接により固定されていることを特徴とする請求項3に記載の吊り用治具。
【符号の説明】
【0034】
B1…ボルト、H1…杭孔、10…吊り用治具、11…取付部、11h…固定孔、12…横板部、15…吊り部、15h…貫通孔、20…杭構造体、21…本体管、23,26…機械式継手、25…ねじ孔、27…切欠き部、40…枠、50…シャックル、55…吊り天秤、70…ジャッキ。
図1
図2
図3
図4
図5