(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077299
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】経路規制部材およびワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20240531BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
H02G3/04 037
H02G3/04 075
H01B7/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189312
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】川上 一晃
(72)【発明者】
【氏名】萩 真博
【テーマコード(参考)】
5G309
5G357
【Fターム(参考)】
5G309AA01
5G309AA09
5G357DA06
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD02
5G357DG04
5G357DG05
(57)【要約】
【課題】汎用性を向上できる経路規制部材およびワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】経路規制部材20は、電線部材を保持する保持部31と、連結部40Aとを有する直線部品30を備える。経路規制部材20は、電線部材を保持する保持部61と、連結部40Aに連結される連結部80Aとを有する屈曲部品60を備える。経路規制部材20は、連結部40Aと連結部80Aとを接着する接着剤90を備える。連結部40Aは、凹部43を有する。連結部80Aは、凹部43に凹凸嵌合された状態で接着剤90により凹部43と接着された凸部52を有する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線部材の経路を規制する経路規制部材であって、
前記電線部材を保持する第1保持部と、第1連結部とを有する第1規制部品と、
前記電線部材を保持する第2保持部と、前記第1連結部に連結される第2連結部とを有する第2規制部品と、
前記第1連結部と前記第2連結部とを接着する接着剤と、を備え、
前記第1連結部は、凹部を有し、
前記第2連結部は、前記凹部に凹凸嵌合された状態で前記接着剤により前記凹部と接着された凸部を有する、経路規制部材。
【請求項2】
前記凹部の内部には、割れた状態の接着剤袋が設けられている、請求項1に記載の経路規制部材。
【請求項3】
前記割れた状態の接着剤袋は、前記凹部の内部において前記凸部の側面と前記凹部の内側面との間の隙間以外の部分に設けられている、請求項2に記載の経路規制部材。
【請求項4】
前記凸部の先端部は、先鋭形状に形成されている、請求項2に記載の経路規制部材。
【請求項5】
前記先端部は、錘状に形成されている、請求項4に記載の経路規制部材。
【請求項6】
前記先端部は、複数の棒状部を有する剣山状に形成されている、請求項4に記載の経路規制部材。
【請求項7】
前記第2連結部は、
前記第2保持部の径方向外側に向かって延びる梁部と、前記梁部から前記第2保持部の軸方向に沿って延びる突出部とを有する基部と、
前記基部の第1面に設けられた前記凸部と、を有し、
前記梁部の有する角部がR形状に形成されている、請求項1に記載の経路規制部材。
【請求項8】
前記第2連結部は、
前記第2保持部の外周面に設けられたレール部と、
前記レール部に挿入される挿入部と、前記挿入部と一体に形成された前記凸部とを有する連結具と、を備え、
前記連結具は、前記第2保持部とは別部品である、請求項1に記載の経路規制部材。
【請求項9】
前記第1保持部は、第1底壁と、前記第1底壁の両側縁から突出する第1側壁および第2側壁とを有し、
前記第1規制部品は、前記第1規制部品の軸方向における第1端部および第2端部を有し、
前記第1規制部品は、前記第1側壁における前記第1端部に設けられた前記第1連結部と、前記第2側壁における前記第1端部に設けられた第3連結部と、前記第2側壁における前記第2端部に設けられた第4連結部と、前記第1側壁における前記第2端部に設けられた第5連結部とを備え、
前記第2規制部品は、前記第3連結部に連結される第6連結部を備え、
前記第3連結部は、前記第2連結部と同一の構造を有し、
前記第4連結部は、前記第1連結部と同一の構造を有し、
前記第5連結部は、少なくとも前記第2連結部の前記レール部と同一の構造を有し、
前記第6連結部は、前記第1連結部と同一の構造を有する、請求項8に記載の経路規制部材。
【請求項10】
前記第1連結部は、前記第1保持部の外周面と連続して一体に形成されており、
前記第1連結部は、前記凹部を有する有底筒状に形成されており、
前記凹部の内側面は、前記凹部の開口端に向かうに連れて、前記第1連結部の径方向外側に傾斜する傾斜面を有している、請求項1に記載の経路規制部材。
【請求項11】
前記第1規制部品は、前記第1保持部が一方向に直線状に延びるように形成された直線部品であり、
前記第2規制部品は、前記第2保持部が屈曲部を有する屈曲部品である、請求項1に記載の経路規制部材。
【請求項12】
前記第1規制部品は、前記第1保持部が屈曲部を有する第1屈曲部品であり、
前記第2規制部品は、前記第1屈曲部品と同一の構造を有する第2屈曲部品である、請求項1に記載の経路規制部材。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の経路規制部材と、
前記経路規制部材により経路が規制される前記電線部材と、を備える、ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、経路規制部材およびワイヤハーネスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ハイブリッド自動車や電気自動車等の車両の内部に配索されるワイヤハーネスとしては、電線部材と、その電線部材の経路を規制する経路規制部材とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記ワイヤハーネスでは、電線部材において経路規制部材を設ける必要のある部位の長さや位置が異なる場合には、その部位の経路に合わせた形状の経路規制部材を用意しなければならない。したがって、経路規制部材における部品管理の煩雑化や高コスト化が問題となっていた。
【0005】
本開示の目的は、汎用性を向上できる経路規制部材およびワイヤハーネスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の経路規制部材は、電線部材の経路を規制する経路規制部材であって、前記電線部材を保持する第1保持部と、第1連結部とを有する第1規制部品と、前記電線部材を保持する第2保持部と、前記第1連結部に連結される第2連結部とを有する第2規制部品と、前記第1連結部と前記第2連結部とを接着する接着剤と、を備え、前記第1連結部は、凹部を有し、前記第2連結部は、前記凹部に凹凸嵌合された状態で前記接着剤により前記凹部と接着された凸部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の経路規制部材およびワイヤハーネスによれば、汎用性を向上できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態のワイヤハーネスを示す概略構成図である。
【
図2】
図2は、一実施形態のワイヤハーネスを示す平面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態のワイヤハーネスの一部を拡大して示す平面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態のワイヤハーネスを示す斜視図である。
【
図5】
図5は、一実施形態の経路規制部材を示す分解斜視図である。
【
図6】
図6は、一実施形態の直線部品を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、一実施形態の直線部品を示す平面図である。
【
図8】
図8は、一実施形態の直線部品を示す平面図である。
【
図9】
図9は、一実施形態の経路規制部材を示す断面斜視図である。
【
図10】
図10は、一実施形態の経路規制部材を示す断面図である。
【
図11】
図11は、一実施形態の屈曲部品を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、一実施形態のワイヤハーネスを示す斜視図である。
【
図13】
図13は、一実施形態の経路規制部材の製造方法を示す断面図である。
【
図14】
図14は、一実施形態の経路規制部材の製造方法を示す断面図である。
【
図15】
図15は、一実施形態の経路規制部材の製造方法を示す断面図である。
【
図16】
図16は、一実施形態の経路規制部材の製造方法を示す断面図である。
【
図17】
図17は、一実施形態の経路規制部材の製造方法を示す断面図である。
【
図18】
図18は、一実施形態の経路規制部材の製造方法を示す斜視図である。
【
図19】
図19は、変更例の経路規制部材の一部を示す斜視図である。
【
図20】
図20は、変更例の経路規制部材の一部を示す斜視図である。
【
図21】
図21は、変更例の経路規制部材の一部を示す斜視図である。
【
図22】
図22は、変更例の経路規制部材を示す斜視図である。
【
図23】
図23は、変更例の経路規制部材を示す分解斜視図である。
【
図24】
図24は、変更例の経路規制部材の一部を示す平面図である。
【
図25】
図25は、変更例の直線部品を示す分解斜視図である。
【
図26】
図26は、変更例の経路規制部材を示す斜視図である。
【
図27】
図27は、変更例の経路規制部材を示す平面図である。
【
図28】
図28は、変更例のワイヤハーネスを示す斜視図である。
【
図29】
図29は、変更例の経路規制部材の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列挙して説明する。
[1]本開示の経路規制部材は、電線部材の経路を規制する経路規制部材であって、前記電線部材を保持する第1保持部と、第1連結部とを有する第1規制部品と、前記電線部材を保持する第2保持部と、前記第1連結部に連結される第2連結部とを有する第2規制部品と、前記第1連結部と前記第2連結部とを接着する接着剤と、を備え、前記第1連結部は、凹部を有し、前記第2連結部は、前記凹部に凹凸嵌合された状態で前記接着剤により前記凹部と接着された凸部を有する。
【0010】
この構成によれば、接着剤により、第2連結部の凸部と第1連結部の凹部とが凹凸嵌合された状態で接着される。これにより、凸部と凹部とを強固に連結させることができ、第1連結部と第2連結部とを強固に連結させることができる。この結果、第1規制部品と第2規制部品とを一体化させることができる。これにより、複数の第1規制部品および第2規制部品を組み合わせることによって1つの経路規制部材を構成することができる。このため、互いに連結する第1規制部品および第2規制部品の個数等を適宜変更することにより、経路規制部材の長さや形状を容易に変更することができる。したがって、経路規制部材の汎用性を向上させることができる。
【0011】
[2]上記[1]において、前記凹部の内部には、割れた状態の接着剤袋が設けられていてもよい。この構成によれば、第1連結部と第2連結部とを連結する際に、接着剤を、接着剤袋に収容した状態で第2連結部の凹部に入れることができる。これにより、第1連結部と第2連結部とを連結する際に、接着剤が空気等の気体に触れることを抑制できるため、接着剤が乾燥することを抑制できる。
【0012】
[3]上記[2]において、前記割れた状態の接着剤袋は、前記凹部の内部において前記凸部の側面と前記凹部の内側面との間の隙間以外の部分に設けられていてもよい。この構成によれば、凸部の側面と凹部の内側面との間の隙間に、割れた接着剤袋が介在することを抑制できる。これにより、接着剤による凸部と凹部との接着強度が、割れた状態の接着剤袋に起因して低下することを好適に抑制できる。
【0013】
[4]上記[2]または[3]において、前記凸部の先端部は、先鋭形状に形成されていてもよい。この構成によれば、第1連結部と第2連結部とを連結する際に、先の尖った凸部の先端部によって接着剤袋を好適に割ることができる。
【0014】
[5]上記[4]において、前記先端部は、錘状に形成されていてもよい。この構成によれば、凸部の先端部が凸部の他の部分に比べて細くなる。このため、凸部の先端部と凹部の内側面との間の空間を大きくできる。これにより、割れた状態の接着剤袋を収容できる空間を大きくできる。
【0015】
[6]上記[4]において、前記先端部は、複数の棒状部を有する剣山状に形成されていてもよい。この構成によれば、第1連結部と第2連結部とを連結する際に、複数の棒状部によって接着剤袋を好適に割ることができる。このため、凹部の内部に接着剤袋を複数個入れた場合であっても、それら複数の接着剤袋を複数の棒状部によって好適に割ることができる。
【0016】
[7]上記[1]から[6]のいずれかにおいて、前記第2連結部は、前記第2保持部の径方向外側に向かって延びる梁部と、前記梁部から前記第2保持部の軸方向に沿って延びる突出部とを有する基部と、前記基部の第1面に設けられた前記凸部と、を有し、前記梁部の有する角部がR形状に形成されていてもよい。この構成によれば、凸部を支持する梁部の角部がR形状に形成される。このため、例えば経路規制部材に対して、電線部材から曲げ反力等の外力が加わった場合であっても、その外力が梁部の角部に集中することを好適に抑制できる。これにより、梁部が損傷することを好適に抑制できる。
【0017】
[8]上記[1]から[7]のいずれかにおいて、前記第2連結部は、前記第2保持部の外周面に設けられたレール部と、前記レール部に挿入される挿入部と、前記挿入部と一体に形成された前記凸部とを有する連結具と、を備え、前記連結具は、前記第2保持部とは別部品であってもよい。この構成によれば、連結具の挿入部がレール部に挿入されるとともに、連結具の凸部が第1連結部の凹部に凹凸嵌合された状態で接着剤により凹部と接着される。これにより、第2保持部とは別部品に形成された連結具を通じて、第1連結部と第2連結部とを互いに連結させることができる。
【0018】
[9]上記[8]において、前記第1保持部は、第1底壁と、前記第1底壁の両側縁から突出する第1側壁および第2側壁とを有し、前記第1規制部品は、前記第1規制部品の軸方向における第1端部および第2端部を有し、前記第1規制部品は、前記第1側壁における前記第1端部に設けられた前記第1連結部と、前記第2側壁における前記第1端部に設けられた第3連結部と、前記第2側壁における前記第2端部に設けられた第4連結部と、前記第1側壁における前記第2端部に設けられた第5連結部とを備え、前記第2規制部品は、前記第3連結部に連結される第6連結部を備え、前記第3連結部は、前記第2連結部と同一の構造を有し、前記第4連結部は、前記第1連結部と同一の構造を有し、前記第5連結部は、少なくとも前記第2連結部の前記レール部と同一の構造を有し、前記第6連結部は、前記第1連結部と同一の構造を有してもよい。
【0019】
この構成によれば、第1規制部品の第1端部では、第1側壁に第1連結部が設けられるとともに、第2側壁に第2連結部と同一の構造を有する第3連結部が設けられる。一方、第1規制部品の第2端部では、第2側壁に第1連結部と同一の構造を有する第4連結部が設けられるとともに、第1側壁に第2連結部のレール部と同一の構造を有する第5連結部が設けられる。このように、第1規制部品の第2端部における第4連結部および第5連結部は、第1規制部品の第1端部における連結具を除いた第1連結部および第3連結部の構造を180°回転させた構造に形成されている。このため、第2規制部品を、第1規制部品の第1端部に連結させることができるとともに、第1規制部品の第2端部にも連結させることができる。すなわち、第2規制部品を、第1規制部品の第1端部および第2端部のいずれにも連結させることができる。これにより、電線部材の経路に合わせて第1規制部品に対する第2規制部品の連結方向を適宜変更することができる。
【0020】
[10]上記[1]から[9]のいずれかにおいて、前記第1連結部は、前記第1保持部の外周面と連続して一体に形成されており、前記第1連結部は、前記凹部を有する有底筒状に形成されており、前記凹部の内側面は、前記凹部の開口端に向かうに連れて、前記第1連結部の径方向外側に傾斜する傾斜面を有してもよい。この構成によれば、凸部を凹部に挿入する際に、凸部の先端部が凹部の傾斜面に沿って凹部の内部に誘導される。すなわち、凹部の傾斜面を、凸部を凹部の内部に誘導する誘導部として機能させることができる。これにより、凸部を凹部の内部に容易に挿入することができる。
【0021】
[11]上記[1]から[10]のいずれかにおいて、前記第1規制部品は、前記第1保持部が一方向に直線状に延びるように形成された直線部品であり、前記第2規制部品は、前記第2保持部が屈曲部を有する屈曲部品であってもよい。この構成によれば、直線部品の第1連結部と屈曲部品の第2連結部とを互いに連結させることができ、直線部品と屈曲部品とを一体化させることができる。
【0022】
[12]上記[1]から[10]のいずれかにおいて、前記第1規制部品は、前記第1保持部が屈曲部を有する第1屈曲部品であり、前記第2規制部品は、前記第1屈曲部品と同一の構造を有する第2屈曲部品であってもよい。この構成によれば、互いに同一の構造を有する2つの第1屈曲部品と第2屈曲部品とが直接連結される。これにより、屈曲部品が1つの場合に比べて、経路規制部材の曲げ角度を変更することができる。このように、同一構成の屈曲部品を連結する数を調整することにより、経路規制部材の曲げ角度を容易に変更することができる。
【0023】
[13]本開示のワイヤハーネスは、上記[1]から[12]のいずれかの経路規制部材と、前記経路規制部材により経路が規制される前記電線部材と、を備える。この構成によれば、上記[1]の経路規制部材と同様の効果を得ることができる。
【0024】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の経路規制部材およびワイヤハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。本明細書における「直交」、「平行」や「全長」は、厳密に直交、平行や全長の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね直交、平行や全長の場合も含まれる。本明細書において「同一」または「等しい」とは、正確に同一または正確に等しい場合の他、寸法公差等の影響により比較対象同士に多少の相違がある場合も含む。また、本明細書の説明で使用される「筒状」は、周方向全周にわたって連続して周壁が形成されたものだけではなく、複数の部品を組み合わせて筒状をなすものや、C字状やU字状のように周方向の一部に切り欠き等を有するものも含む。なお、「筒状」の形状には、円形、楕円形、および尖ったまたは丸い角を有する多角形が含まれるが、これらに限定されない。また、本明細書における「対向」とは、面同士または部材同士が互いに正面の位置にあることを指し、互いが完全に正面の位置にある場合だけでなく、互いが部分的に正面の位置にある場合を含む。また、本明細書における「対向」とは、2つの部分の間に、2つの部分とは別の部材が介在している場合と、2つの部分の間に何も介在していない場合の両方を含む。また、一部の図面には、相互に直交するX軸、Y軸、Z軸を図示している。以下の説明では、便宜上、X軸に沿って延びる方向をX軸方向と称し、Y軸に沿って延びる方向をY軸方向と称し、Z軸に沿って延びる方向をZ軸方向と称する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0025】
(ワイヤハーネス10の全体構成)
図1に示すワイヤハーネス10は、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車等の車両Vに搭載されるものである。ワイヤハーネス10は、2個以上の電気機器同士を電気的に接続する。ワイヤハーネス10は、例えば、車両Vの前部に設置されたインバータM1と、インバータM1よりも車両Vの後方に設置された高圧バッテリM2とを電気的に接続する。ワイヤハーネス10は、例えば、ワイヤハーネス10の長さ方向の中間部分が車両Vの床下等の車室外を通るように車両Vに配索されている。インバータM1は、例えば、車両走行の動力源となる図示しない車輪駆動用のモータと接続される。インバータM1は、高圧バッテリM2の直流電力から交流電力を生成し、その交流電力をモータに供給する。高圧バッテリM2は、例えば、数百ボルトの電圧を供給可能なバッテリである。
【0026】
ワイヤハーネス10は、電線部材11を備えている。電線部材11は、1本以上の電線12と、電線12の外周を囲う筒状の外装部材13とを備えている。電線12の長さ方向の第1端部はインバータM1と接続されるとともに、電線12の長さ方向の第2端部は高圧バッテリM2と接続されている。
【0027】
電線12は、例えば、導体断面積が大きい太物電線である。ここで、本明細書における「太物電線」とは、導体断面積が10mm2(所謂10sq)以上の電線である。外装部材13は、例えば、全体として長尺の筒状をなしている。外装部材13は、例えば、飛翔物や水滴から内部の電線12を保護する機能を有している。外装部材13は、例えば、可撓性を有し、容易に屈曲可能である。可撓性を有する外装部材13の例としては、合成樹脂製のコルゲートチューブやゴム製の防水カバーが挙げられる。
【0028】
図2に示すように、電線部材11は、例えば、車両Vに搭載された状態において、二次元的または三次元的に屈曲されている。本実施形態の電線部材11は、X軸方向に沿って直線状に延びる直線部14Aと、直線部14Aの端部に設けられた屈曲部15Aと、屈曲部15Aから図中右斜め下方に延びる直線部14Bとを有している。電線部材11は、直線部14Bの端部に設けられた屈曲部15Bと、屈曲部15BからX軸方向に沿って直線状に延びる直線部14Cと、直線部14Cの端部に設けられた屈曲部15Cとを有している。電線部材11は、屈曲部15CからY軸方向に沿って直線状に延びる直線部14Dと、直線部14Dの端部に設けられた屈曲部15Dと、屈曲部15DからX軸方向に沿って直線状に延びる直線部14Eとを有している。電線部材11は、直線部14Eの端部に設けられた屈曲部15Eと、屈曲部15Eから図中右斜め上方に延びる直線部14Fとを有している。このように、本実施形態の電線部材11は、5つの屈曲部15A,15B,15C,15D,15Eを有している。
【0029】
屈曲部15Aは、例えば、電線部材11の経路を曲げ角度θ1で屈曲させるように形成されている。ここで、曲げ角度θ1は、直線部14Aの中心軸線L1と直線部14Bの中心軸線L2とがなす角度である。屈曲部15Aは、曲げ角度θ1が45°になるように電線部材11の経路を屈曲させている。屈曲部15Aは、例えば、直線部14Aの中心軸線L1に対して電線部材11の経路を図中右方向に曲げるように形成されている。すなわち、屈曲部15Aは、直線部14Aの中心軸線L1に対して電線部材11の経路を45°の曲げ角度θ1で右曲げするように形成されている。
【0030】
屈曲部15Bは、例えば、直線部14Bの中心軸線L2と直線部14Cの中心軸線L3とがなす曲げ角度θ2が45°になるように電線部材11の経路を屈曲させている。屈曲部15Bは、例えば、直線部14Bの中心軸線L2に対して電線部材11の経路を図中左方向に曲げるように形成されている。すなわち、屈曲部15Bは、直線部14Bの中心軸線L2に対して電線部材11の経路を45°の曲げ角度θ2で左曲げするように形成されている。屈曲部15Cは、例えば、直線部14Cの中心軸線L3と直線部14Dの中心軸線L4とがなす曲げ角度θ3が90°になるように電線部材11の経路を屈曲させている。屈曲部15Cは、例えば、直線部14Cの中心軸線L3に対して電線部材11の経路を90°の曲げ角度θ3で左曲げするように形成されている。屈曲部15Dは、例えば、直線部14Dの中心軸線L4と直線部14Eの中心軸線L5とがなす曲げ角度θ4が90°になるように電線部材11の経路を屈曲させている。屈曲部15Dは、例えば、直線部14Dの中心軸線L4に対して電線部材11の経路を90°の曲げ角度θ4で右曲げするように形成されている。屈曲部15Eは、例えば、直線部14Eの中心軸線L5と直線部14Fの中心軸線L6とがなす曲げ角度θ5が45°になるように電線部材11の経路を屈曲させている。屈曲部15Eは、例えば、直線部14Eの中心軸線L5に対して電線部材11の経路を45°の曲げ角度θ5で左曲げするように形成されている。
【0031】
ワイヤハーネス10は、電線部材11の経路を規制する1つ以上の経路規制部材20を備えている。経路規制部材20は、電線部材11の外周に取り付けられている。経路規制部材20は、電線部材11における複数の屈曲部15A,15B,15C,15D,15Eの少なくとも1つに設けられ、当該屈曲部15A,15B,15C,15D,15Eにおける電線部材11の屈曲形状を維持する。本実施形態のワイヤハーネス10は、5つの屈曲部15A,15B,15C,15D,15Eにそれぞれ対応して設けられる5つの経路規制部材20A,20B,20C,20D,20Eを備えている。
【0032】
複数の経路規制部材20A,20B,20C,20D,20Eは、例えば、電線部材11の長さ方向において互いに離れて設けられている。経路規制部材20A,20B,20C,20D,20Eの各々は、例えば、1つ以上の直線部品30と、1つ以上の屈曲部品60とを備えている。経路規制部材20A,20B,20C,20D,20Eは、例えば、対応する屈曲部15A,15B,15C,15D,15Eの屈曲形状に合わせて、直線部品30と屈曲部品60との組み合わせが異なるように設定されている。
【0033】
(経路規制部材20Aの構成)
図3および
図4に示すように、経路規制部材20Aは、電線部材11の長さ方向に沿って、直線部品30と屈曲部品60と直線部品30とがこの順番で並ぶように構成されている。以下の説明では、便宜上、屈曲部品60よりも図中左に設けられた直線部品30を「直線部品30A」と称し、屈曲部品60よりも図中右に設けられた直線部品30を「直線部品30B」と称する場合がある。
【0034】
直線部品30A,30Bおよび屈曲部品60の各々は、外装部材13を保持する。外装部材13は、例えば、直線部品30A,30Bおよび屈曲部品60が取り付けられていない状態よりも曲がり難くなっている。直線部品30A,30Bおよび屈曲部品60は、例えば、金属製または樹脂製である。本実施形態の直線部品30A,30Bおよび屈曲部品60は、樹脂製である。直線部品30A,30Bおよび屈曲部品60の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアセタール等の合成樹脂を用いることができる。直線部品30A,30Bの材料と屈曲部品60の材料とは、互いに異なる材料であってもよいし、互いに同一の材料であってもよい。
【0035】
直線部品30Aは、例えば、電線部材11の経路のうち直線部14Aにおいて、外装部材13の外周に取り付けられている。直線部品30Bは、例えば、電線部材11の経路のうち直線部14Bにおいて、外装部材13の外周に取り付けられている。各直線部品30A,30Bは、直線部14A,14Bにおける電線部材11の経路をそれぞれ規制する。各直線部品30A,30Bは、電線部材11を保持する保持部31を備えている。
【0036】
屈曲部品60は、例えば、電線部材11の経路のうち屈曲部15Aにおいて、外装部材13の外周に取り付けられている。屈曲部品60は、屈曲部15Aにおける電線部材11の経路を規制する。屈曲部品60は、電線部材11を保持する保持部61を備えている。
【0037】
(直線部品30A,30Bの構成)
次に、直線部品30Aの具体的構造について説明する。なお、直線部品30Bは、直線部品30Aと同一の構造を有しているため、直線部品30Aと同様の構成には同一の符号を付して、ここでは詳細な説明を省略する。
【0038】
図5および
図6に示すように、本実施形態の直線部品30Aは、保持部31と、互いに同一の構造を有する2つの連結部40A,40Bと、互いに同一の構造を有する2つの連結部50A,50Bとを備えている。直線部品30Aは、例えば、Y軸方向における直線部品30Aの中心を含むとともにXZ平面に延びる仮想平面を対称面とする面対称の形状に形成されている。
【0039】
図4に示すように、保持部31は、外装部材13の周方向の一部において外装部材13の外周を被覆する筒状をなしている。保持部31の横断面形状は、全体としてU字状をなしている。保持部31は、一方向に直線状に延びる形状に形成されている。すなわち、筒状をなす保持部31の軸方向は、一方向に直線状に延びている。
【0040】
保持部31は、例えば、底壁32と、底壁32の両側縁から突出する2つの側壁33,34とを有している。底壁32は、例えば、X軸方向に沿って直線状に延びている。底壁32の横断面形状は、例えば、円弧状に形成されている。
【0041】
各側壁33,34は、底壁32と連続して一体に形成されている。各側壁33,34は、例えば、底壁32の幅方向(ここでは、Y軸方向)の両端縁のそれぞれからZ軸方向に向かって突出している。2つの側壁33,34は、例えば、底壁32の幅方向において互いに対向している。各側壁33,34は、例えば、板状に形成されている。各側壁33,34は、例えば、Z軸方向に沿って直線状に延びている。各側壁33,34は、例えば、X軸方向に沿って底壁32の長さ方向の全長にわたって延びている。
【0042】
直線部品30Aは、直線部品30Aの軸方向と直交する方向に開口する挿入口35を有している。挿入口35は、側壁33の上端と側壁34の上端との間の間隙によって構成されている。挿入口35は、例えば、直線部品30Aの軸方向に沿って直線部品30Aの軸方向の全長にわたって延びている。すなわち、挿入口35は、直線部品30Aの軸方向と直交する方向に開口するとともに、直線部品30Aの軸方向の両端に開口するように形成されている。
【0043】
図5に示すように、直線部品30Aは、直線部品30Aの軸方向における端部36および端部37を有している。端部36は、例えば、屈曲部品60と対向する端部である。端部37は、直線部品30Aの軸方向において端部36と反対側に設けられた端部である。
【0044】
直線部品30Aは、例えば、保持部31の外周面に設けられた1つ以上の補強リブ38を有している。本実施形態の直線部品30Aは、2つの補強リブ38を有している。補強リブ38は、例えば、保持部31の外周面の周方向全周にわたって形成されている。各補強リブ38は、例えば、側壁33の外周面と底壁32の外周面と側壁34の外周面とに連続して延びるように形成されている。各補強リブ38は、保持部31の外周面から保持部31の径方向外側に突出するように形成されている。補強リブ38を設けたことにより、直線部品30Aの曲げ剛性を向上させることができる。
【0045】
直線部品30Aは、例えば、保持部31の外周面に設けられた1つ以上の溝部39を有している。溝部39は、直線部品30の軸方向において、2つの補強リブ38の間に設けられている。溝部39は、側壁33,34の上面から下方に凹むように形成されている。
【0046】
図6に示すように、連結部40A,40Bは、例えば、端部36における側壁33,34の外周面にそれぞれ設けられている。連結部50A,50Bは、端部37における側壁33,34の外周面にそれぞれ設けられている。
【0047】
図7および
図8に示すように、2つの連結部40A,40Bは、Z軸方向から見た平面視において、Y軸方向における直線部品30Aの中心を通るとともにX軸方向に延びる中心軸線A1に対して線対称に形成されている。2つの連結部50A,50Bは、中心軸線A1に対して線対称に形成されている。
【0048】
次に、連結部40Aの具体的構造について説明する。なお、連結部40Bは、連結部40Aと同一の構造を有しているため、連結部40Aと同様の構成には同一の符号を付して、ここでは詳細な説明を省略する。
【0049】
図5に示すように、連結部40Aは、端部36における側壁33の外周面に一体に形成されている。連結部40Aは、例えば、屈曲部品60の連結部80Aと連結可能に形成されている。連結部40Aは、例えば、全体として上方へ向けて開口する有底筒状である。連結部40Aは、例えば、板状の底壁41と、底壁41の外周部から筒状に延びる周壁42と、それら底壁41と周壁42とにより囲まれた凹部43とを有している。
【0050】
図9および
図10に示すように、底壁41は、連結部40Aの下端に設けられている。底壁41は、連結部40Aの下方の開口を塞ぐように形成されている。
図8に示すように、底壁41は、Z軸方向から見た平面形状が矩形状に形成されている。
【0051】
図7に示すように、周壁42は、Z軸方向から見た平面形状が矩形状に形成されている。周壁42は、例えば、側壁33の外周面と連続して一体に形成された1つの周壁42Aと、3つの周壁42Bとを有している。連結部40Aでは、1つの周壁42Aと3つの周壁42Bとによって四角筒状が構成されている。連結部40Aの一部は、例えば、直線部品30Aの軸方向(ここでは、X軸方向)において、側壁33の軸方向の端面よりも保持部31の外方に突出するように形成されている。
【0052】
図9に示すように、周壁42は、例えば、Z軸方向において、側壁33の上面よりも下方の位置からZ軸方向に沿って下方に延びるように形成されている。周壁42Aは、周壁42Aの高さ方向(ここでは、Z軸方向)の全長にわたって側壁33と連続して一体に形成されている。
図5に示すように、3つの周壁42Bの上端部は、誘導部44を有している。誘導部44は、有底筒状をなす連結部40Aの内周寸法(つまり、凹部43の開口幅)および連結部40Aの外周寸法が拡大するように形成されている。
図10に示すように、誘導部44は、連結部40Aの軸方向(ここでは、Z軸方向)において、凹部43の開口端に向かうに連れて、凹部43の開口幅および連結部40Aの外周寸法が大きくなるように形成されている。誘導部44における凹部43の内側面は、凹部43の開口端に向かうに連れて、連結部40Aの径方向外側に傾斜する傾斜面45を有している。なお、
図9に示すように、周壁42Aの上端部は、誘導部44を有していない。
【0053】
凹部43は、例えば、側壁33の高さ方向(ここでは、Z軸方向)に沿って延びている。
図7に示すように、凹部43は、Z軸方向から見た平面形状が矩形状に形成されている。
【0054】
次に、連結部50Aの具体的構造について説明する。なお、連結部50Bは、連結部50Aと同一の構造を有しているため、連結部50Aと同様の構成には同一の符号を付して、ここでは詳細な説明を省略する。
【0055】
図5に示すように、連結部50Aは、端部37における側壁33の外周面に一体に形成されている。連結部50Aは、例えば、他の直線部品30の連結部40A,40Bまたは屈曲部品60の連結部70A,70Bと連結可能に形成されている。連結部50Aは、側壁33の外周面から保持部31の外方に突出する基部51と、基部51の下面(第1面)から突出する凸部52とを有している。連結部50Aは、基部51と凸部52とが連続して一体に形成されている。
【0056】
図7に示すように、基部51は、例えば、端部37における側壁33の外周面から保持部31の径方向外側に突出する梁部53と、梁部53から保持部31の軸方向に向かって突出する突出部54とを有している。梁部53は、側壁33に接続された基端を固定端とし、基端とはY軸方向において反対側の先端を自由端とする片持ち状に形成されている。梁部53は、Z軸方向から見た平面形状が矩形状に形成されている。梁部53は、側壁33の外周面と接続される部分に設けられた角部C1と、梁部53の先端に設けられた角部C2とを有している。角部C1,C2は、例えば、R面取りされた形状、つまりR形状に形成されている。
【0057】
図10に示すように、Z軸方向に沿う梁部53の長さ寸法は、例えば、側壁33の上面から連結部40Aの周壁42の上面までのZ軸方向に沿う長さ寸法と等しい。
図7に示すように、突出部54は、梁部53のX軸方向の端面から保持部31の軸方向に向かって保持部31よりも外方に突出している。突出部54は、側壁33の軸方向の端面よりも保持部31の外方に突出している。突出部54は、Y軸方向において、梁部53の一部のみから突出している。Y軸方向に沿う突出部54の長さ寸法は、Y軸方向に沿う梁部53の長さ寸法よりも小さい。突出部54は、Y軸方向において、側壁33の外周面と離れて設けられている。梁部53の基端と突出部54との角部C3は、例えば、R形状に形成されている。
【0058】
図5に示すように、凸部52は、例えば、基部51の下面から側壁33の高さ方向(ここでは、Z軸方向)に沿って下方に突出している。凸部52は、例えば、四角柱状に形成されている。凸部52は、他の直線部品30の連結部40A,40Bの凹部43または屈曲部品60の連結部70A,70Bの凹部43に凹凸嵌合可能な大きさに形成されている。凸部52の先端部55は、例えば、先鋭形状に形成されている。凸部52の先端部55は、例えば、その末端(ここでは、下端)が尖った形状に形成されている。先端部55は、基部51から離れるに連れて細くなる先細り形状に形成されている。先端部55は、例えば、錘状に形成されている。本実施形態の先端部55は、切妻状に形成されている。本実施形態の先端部55の下端は、Z軸方向から見た平面視において、Y軸方向に沿って線状に延びるように形成されている。
【0059】
凸部52の外周寸法、具体的には先端部55以外の凸部52の外周寸法は、例えば、誘導部44以外の凹部43の内周寸法と等しい。
図10に示すように、Z軸方向に沿う凸部52の長さ寸法は、例えば、Z軸方向に沿う凹部43の長さ寸法よりも小さい。このため、凸部52が凹部43内に凹凸嵌合した場合には、凸部52の下端は凹部43の底面に接触しない。
【0060】
図8に示すように、凸部52は、基部51の下面の一部に設けられている。凸部52は、例えば、突出部54の下面全面に設けられるとともに、梁部53の下面の一部に設けられている。凸部52の一部は、側壁33の軸方向の端面よりも保持部31の外方に突出している。Y軸方向に沿う凸部52の長さ寸法は、例えば、Y軸方向に沿う突出部54の長さ寸法と等しい。Y軸方向に沿う凸部52の長さ寸法は、例えば、Y軸方向に沿う梁部53の長さ寸法よりも小さい。X軸方向に沿う凸部52の長さ寸法は、例えば、X軸方向に沿う梁部53の長さ寸法よりも小さい。
【0061】
梁部53の下面の一部は、凸部52から露出されている。
図10に示すように、凸部52から露出する梁部53の下面は、Z軸方向において周壁42の上面と係合する係合面として機能する。
【0062】
(屈曲部品60の構成)
次に、屈曲部品60の具体的構造について説明する。
図5および
図11に示すように、本実施形態の屈曲部品60は、保持部61と、互いに同一の構造を有する2つの連結部70A,70Bと、互いに同一の構造を有する2つの連結部80A,80Bとを備えている。
【0063】
図4に示すように、保持部61は、外装部材13の周方向の一部において外装部材13の外周を被覆する筒状をなしている。保持部61の横断面形状は、全体としてU字状をなしている。
図3に示すように、保持部61は、所定の曲げ角度θで屈曲する屈曲部60Rを有する屈曲形状に形成されている。本実施形態の屈曲部60Rにおける曲げ角度θは、45°に設定されている。筒状をなす保持部61の軸方向は、所定の曲げ角度θで屈曲するように延びている。
【0064】
保持部61は、例えば、底壁62と、底壁62の両側縁から突出する2つの側壁63,64とを有している。底壁62は、例えば、Z軸方向から見た平面視において、所定の曲げ角度θで屈曲するように延びている。底壁62は、例えば、Z軸方向から見た平面視において、円弧状に湾曲するように形成されている。
図5に示すように、底壁62の横断面形状は、例えば、円弧状に形成されている。底壁62の横断面形状は、例えば、底壁32の横断面形状と同一の形状および同一の大きさに形成されている。
【0065】
各側壁63,64は、底壁62と連続して一体に形成されている。各側壁63,64は、例えば、底壁62の幅方向(ここでは、Y軸方向)の両端縁のそれぞれからZ軸方向に向かって突出している。2つの側壁63,64は、例えば、底壁62の幅方向において互いに対向している。Z軸方向に沿う側壁63,64の長さ寸法は、例えば、Z軸方向に沿う側壁33,34の長さ寸法と等しい。
【0066】
図3に示すように、側壁63は、例えば、底壁62の幅方向の両端縁のうち屈曲部60Rの曲げ内側に設けられている。側壁64は、例えば、底壁62の幅方向の両端縁のうち屈曲部60Rの曲げ外側に設けられている。側壁63,64の内周面および外周面は、Z軸方向から見た平面視において、円弧状に湾曲するように形成されている。保持部61の軸方向に沿う側壁63の長さ寸法は、保持部61の軸方向に沿う側壁64の長さ寸法よりも小さい。
【0067】
図5に示すように、屈曲部品60は、屈曲部品60の軸方向と直交する方向に開口する挿入口65を有している。挿入口65は、側壁63の上端と側壁64の上端との間の間隙によって構成されている。挿入口65は、例えば、屈曲部品60の軸方向に沿って屈曲部品60の軸方向の全長にわたって延びている。すなわち、挿入口65は、屈曲部品60の軸方向と直交する方向に開口するとともに、屈曲部品60の軸方向の両端に開口するように形成されている。
【0068】
屈曲部品60は、屈曲部品60の軸方向における端部66および端部67を有している。端部66は、例えば、直線部品30Aの端部36と対向する端部である。端部67は、屈曲部品60の軸方向において端部66と反対側に設けられた端部である。端部67は、例えば、直線部品30B(
図3参照)の端部37と対向する端部である。
【0069】
屈曲部品60は、例えば、保持部61の外周面に設けられた1つ以上の補強リブ68を有している。本実施形態の屈曲部品60は、2つの補強リブ68を有している。補強リブ68は、例えば、保持部61の外周面の周方向全周にわたって形成されている。各補強リブ68は、例えば、側壁63の外周面と底壁62の外周面と側壁64の外周面とに連続して延びるように形成されている。各補強リブ68は、保持部61の外周面から保持部61の径方向外側に突出するように形成されている。補強リブ68を設けたことにより、屈曲部品60の曲げ剛性を向上させることができる。
【0070】
図5および
図11に示すように、連結部70A,70Bは、例えば、端部67における側壁63,64の外周面にそれぞれ設けられている。連結部80A,80Bは、端部66における側壁63,64の外周面にそれぞれ設けられている。
【0071】
ここで、
図5に示すように、連結部70A,70Bの各々は、直線部品30Aの連結部40Aと同一の構造を有している。すなわち、連結部70A,70Bの各々は、底壁41と周壁42と凹部43とを有する有底筒状に形成されている。連結部80A,80Bの各々は、直線部品30Aの連結部50Aと同一の構造を有している。すなわち、連結部80A,80Bの各々は、基部51と凸部52とを有している。ここでは、連結部70A,70B,80A,80Bの構造についての詳細な説明を省略する。
【0072】
図4に示すように、直線部品30Aは、屈曲部品60の軸方向の端部66と連結されている。詳述すると、直線部品30Aの連結部40Aと屈曲部品60の連結部80Aとが互いに連結されている。具体的には、
図9および
図10に示すように、連結部80Aの凸部52が連結部40Aの凹部43内に凹凸嵌合されている。さらに、凹部43の内部には、連結部40Aと連結部80Aとを接着する接着剤90が設けられている。接着剤90としては、例えば、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂を用いることができる。
【0073】
図9に示すように、接着剤90は、例えば、凸部52の側面と凹部43の内側面とを接着するように設けられている。接着剤90は、例えば、凸部52の側面と凹部43の内側面との間の隙間に浸透するように設けられている。接着剤90は、例えば、凸部52の先端部55と凹部43の底面との間の隙間を充填するように設けられている。この接着剤90により、凸部52と凹部43とを強固に連結することができ、連結部40Aと連結部80Aとを強固に連結することができる。例えば、経路規制部材20Aに対して電線部材11から曲げ反力等の外力が加わった場合であっても、連結部40Aと連結部80Aとの連結が解除されることを好適に抑制できる。
【0074】
凹部43の内部には、例えば、割れた状態または裂けた状態の接着剤袋91が設けられている。接着剤袋91は、例えば、凸部52と凹部43との凹凸嵌合の前に、接着剤90を内部に収容していた袋である。割れた状態の接着剤袋91は、例えば、複数個に分裂した状態で凹部43内に設けられている。割れた状態の接着剤袋91は、例えば、凹部43の底面に堆積されている。割れた状態の接着剤袋91は、例えば、先細り形状をなす凸部52の先端部55と凹部43の内側面との間の空間に設けられている。割れた状態の接着剤袋91は、凹部43の内部において凸部52の側面と凹部43の内側面との間の隙間以外の部分に設けられている。
【0075】
なお、
図4に示すように、直線部品30Aの連結部40Bと屈曲部品60の連結部80Bとが互いに連結されている。詳細な図示は省略するが、連結部40A,80Aの連結と同様に、連結部40B,80Bは接着剤90(
図10参照)によって連結されている。
【0076】
直線部品30Bは、屈曲部品60の端部67と連結されている。詳述すると、直線部品30Bの連結部50Aと屈曲部品60の連結部70Aとが互いに連結されるとともに、直線部品30Bの連結部50Bと屈曲部品60の連結部70Bとが互いに連結されている。詳細な図示は省略するが、連結部40A,80Aの連結と同様に、連結部50A,70Aは接着剤90(
図10参照)により連結されるとともに、連結部50B,70Bは接着剤90(
図10参照)により連結されている。
【0077】
ここで、直線部品30A,30Bと屈曲部品60とが連結された状態の経路規制部材20Aでは、直線部品30Aの挿入口35と、屈曲部品60の挿入口65と、直線部品30Bの挿入口35とが互いに連通している。
【0078】
図3に示すように、経路規制部材20Aの軸方向の第1端部では、直線部品30Aの端部37における保持部31よりも外方に突出するように連結部50A,50Bが設けられている。また、経路規制部材20Aの軸方向の第2端部では、直線部品30Bの端部36における保持部31よりも外方に突出するように連結部40A,40Bが設けられている。なお、直線部品30Bの連結部40A,40Bの凹部43内には、接着剤90および接着剤袋91(
図10参照)は設けられていない。
【0079】
図4に示すように、ワイヤハーネス10は、例えば、外装部材13の長さ方向に対する経路規制部材20Aのスライド移動を規制するスライド規制部材100を有している。スライド規制部材100としては、例えば、樹脂製または金属製の結束バンド、カシメリングや粘着テープを用いることができる。本実施形態のスライド規制部材100は、結束バンドである。スライド規制部材100は、直線部品30A,30Bの各々に対して設けられている。スライド規制部材100は、例えば、各直線部品30A,30Bの溝部39に収容されるように設けられている。このとき、溝部39は、直線部品30の軸方向において直線部品30に対してスライド規制部材100が相対移動することを規制している。スライド規制部材100は、例えば、直線部品30A,30Bの外周面と、挿入口35から露出する外装部材13の外周面とにわたって巻き付けられている。なお、図示は省略するが、スライド規制部材100は、
図2に示した経路規制部材20B,20C,20D,20Eに対しても設けられている。
【0080】
(経路規制部材20B,20C,20D,20Eの構成)
図2に示すように、経路規制部材20Bは、電線部材11の長さ方向に沿って、直線部品30と屈曲部品60と直線部品30とがこの順番で並ぶように構成されている。経路規制部材20Bにおける各直線部品30および屈曲部品60は、経路規制部材20Aにおける各直線部品30および屈曲部品60とそれぞれ同一構成である。但し、経路規制部材20Bは、経路規制部材20Aの構造を180°回転させるようにして配置されている。換言すると、屈曲部品60は、右曲げ部分である屈曲部15Aと左曲げ部分である屈曲部15Bとで共通して利用することができる。すなわち、右曲げ部分である屈曲部15Aと左曲げ部分である屈曲部15Bとでは、同一構成の屈曲部品60を共用することができる。
【0081】
図12に示すように、経路規制部材20Dは、電線部材11の長さ方向に沿って、直線部品30と屈曲部品60と屈曲部品60と直線部品30とがこの順番で並ぶように構成されている。経路規制部材20Dにおける各直線部品30および各屈曲部品60は、経路規制部材20Aにおける直線部品30および屈曲部品60とそれぞれ同一構成である。2つの屈曲部品60同士の連結は、直線部品30と屈曲部品60との連結と同様に行うことができる。2つの屈曲部品60は、例えば、1つの屈曲部品60(第1屈曲部品)の端部67と1つの屈曲部品60(第2屈曲部品)の端部66とを対向させた状態で連結されている。例えば、1つの屈曲部品60の端部67における連結部70A,70Bと1つの屈曲部品60の端部66における連結部80A,80Bとがそれぞれ連結される。
図2に示すように、曲げ角度θ4が90°である屈曲部15Dに対して設けられる経路規制部材20Dでは、2つの屈曲部品60を連なって繋げることにより、経路規制部材20Dにおける曲げ角度を調整している。
【0082】
経路規制部材20Cは、電線部材11の長さ方向に沿って、直線部品30と屈曲部品60と屈曲部品60と直線部品30とがこの順番で並ぶように構成されている。経路規制部材20Cにおける各直線部品30および各屈曲部品60は、経路規制部材20Dにおける各直線部品30および各屈曲部品60とそれぞれ同一構成である。但し、経路規制部材20Cは、経路規制部材20Dの構造を180°回転させるようにして配置されている。
【0083】
経路規制部材20Eは、電線部材11の長さ方向に沿って、直線部品30と屈曲部品60と直線部品30とがこの順番で並ぶように構成されている。経路規制部材20Eにおける直線部品30および屈曲部品60は、経路規制部材20Aにおける直線部品30および屈曲部品60とそれぞれ同一構成である。但し、経路規制部材20Eは、経路規制部材20Aの構造を時計回りに135°回転させるようにして配置されている。
【0084】
(経路規制部材20Aの製造方法)
次に、経路規制部材20Aの製造方法について説明する。
まず、
図13に示す工程では、直線部品30Aと屈曲部品60とを準備し、直線部品30Aの端部36に端部66が対向するように屈曲部品60を配置する。
【0085】
次に、
図14に示す工程では、直線部品30Aの連結部40Aの凹部43の内部に接着剤袋91を入れる。接着剤袋91は、接着剤90を内部に収容している。接着剤袋91は、例えば、接着剤90を密封状態で収容している。接着剤90を接着剤袋91に収容することにより、接着剤90が乾燥することを好適に抑制できる。
【0086】
続いて、
図15に示す工程では、直線部品30Aの上方に屈曲部品60を配置する。具体的には、Z軸方向から見た平面視において、屈曲部品60の連結部80Aの凸部52が直線部品30Aの連結部40Aの凹部43と重なるように、直線部品30Aの上方に屈曲部品60を配置する。
【0087】
次いで、
図16に示す工程では、屈曲部品60の凸部52を直線部品30Aの凹部43に凹凸嵌合する。このとき、屈曲部品60の凸部52の先鋭形状をなす先端部55により接着剤袋91を割る。換言すると、本工程では、屈曲部品60の凸部52の先端部55によって接着剤袋91が割られるまで、屈曲部品60の凸部52が直線部品30Aの凹部43内に挿入される。そして、接着剤袋91が割れると、接着剤袋91の内部に収容されていた接着剤90が凹部43の内部に広がる。これにより、
図17に示すように、接着剤90が凸部52の側面と凹部43の内側面との間の隙間に浸透する。この接着剤90により、凸部52と凹部43とが接着される。このようにして、直線部品30Aの連結部40Aと屈曲部品60の連結部80Aとが連結されて一体化される。図示は省略するが、連結部40A,80Aの連結と同時に、
図5に示した直線部品30Aの連結部40Bと屈曲部品60の連結部80Bとが連結されて一体化される。以上の工程により、直線部品30Aに対して屈曲部品60が連結されて一体化される。
【0088】
次に、
図18に示す工程では、
図13から
図17に示した工程と同様の工程により、屈曲部品60の端部67に直線部品30Bを連結する。例えば、屈曲部品60の連結部70A,70Bの凹部43内に接着剤袋91(
図14参照)を入れる。その後、直線部品30Bの連結部50A,50Bの凸部52を屈曲部品60の連結部70A,70Bの凹部43に凹凸嵌合する。これにより、直線部品30Aと屈曲部品60との連結と同様に、直線部品30Bを屈曲部品60に連結させることができる。なお、
図14に示した工程において、連結部40A,40Bの凹部43に接着剤袋91(
図14参照)を入れるのと同時に、屈曲部品60の連結部70A,70Bの凹部43に接着剤袋91(
図14参照)を入れてもよい。以上の工程により、
図4に示した経路規制部材20Aを製造することができる。
【0089】
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
(1)経路規制部材20は、電線部材11を保持する保持部31と、連結部40Aとを有する直線部品30と、電線部材11を保持する保持部61と、連結部40Aに連結される連結部80Aとを有する屈曲部品60とを備える。経路規制部材20は、連結部40A,80Aを接着する接着剤90を備える。連結部40Aは、凹部43を有する。連結部80Aは、凹部43に凹凸嵌合された状態で接着剤90により凹部43と接着された凸部52を有する。
【0090】
この構成によれば、接着剤90により、連結部80Aの凸部52と連結部40Aの凹部43とが凹凸嵌合された状態で接着される。これにより、凸部52と凹部43とを強固に連結させることができ、連結部40Aと連結部80Aとを強固に連結させることができる。この結果、直線部品30と屈曲部品60とを一体化させることができる。これにより、複数の規制部品、つまり直線部品30および屈曲部品60を組み合わせることによって1つの経路規制部材20を構成することができる。このため、互いに連結する直線部品30および屈曲部品60の個数等を適宜変更することにより、経路規制部材20の長さや形状を容易に変更することができる。したがって、経路規制部材20の汎用性を向上できる。
【0091】
さらに、直線部品30および屈曲部品60の組み合わせや配置の向きを変更することにより、同一構成の直線部品30と同一構成の屈曲部品60を利用しつつも、種々の屈曲経路に対応可能な経路規制部材20を構成することができる。例えば、直接連結する屈曲部品60の数を変更することにより、経路規制部材20の曲げ角度を変更することができる。これにより、経路規制部材20を構成する部品の種類が増加することを抑制しつつも、種々の屈曲経路に対応可能な経路規制部材20を構成することができる。この結果、直線部品30および屈曲部品60の汎用性を向上させることができる。
【0092】
(2)凹部43の内部には、割れた状態の接着剤袋91が設けられている。この構成によれば、連結部40A,80Aを連結する際に、接着剤90を、接着剤袋91に収容した状態で連結部40Aの凹部43に入れることができる。これにより、連結部40A,80Aを連結する際に、接着剤90が空気等の気体に触れることを抑制できるため、接着剤90が乾燥することを好適に抑制できる。
【0093】
(3)割れた状態の接着剤袋91は、凹部43の内部において凸部52の側面と凹部43の内側面との間の隙間以外の部分に設けられている。この構成によれば、凸部52の側面と凹部43の内側面との間の隙間に、割れた接着剤袋91が介在することを抑制できる。これにより、接着剤90による凸部52と凹部43との接着強度が、割れた状態の接着剤袋91に起因して低下することを好適に抑制できる。
【0094】
(4)凸部52の先端部55は、先鋭形状に形成されている。この構成によれば、連結部40A,80Aを連結する際に、先の尖った凸部52の先端部55によって接着剤袋91を好適に割ることができる。
【0095】
(5)凸部52の先端部55は、錘状に形成されている。この構成によれば、凸部52の先端部55が凸部52の他の部分に比べて細くなる。このため、凸部52の先端部55と凹部43の内側面との間の空間を大きくできる。これにより、割れた状態の接着剤袋91を収容できる空間を大きくできる。
【0096】
(6)凸部52を支持する梁部53の角部C1,C2がR形状に形成される。このため、例えば経路規制部材20に対して、電線部材11から曲げ反力等の外力が加わった場合であっても、その外力が梁部53の角部C1,C2に集中することを好適に抑制できる。これにより、梁部53が損傷することを好適に抑制できる。
【0097】
(7)凹部43の内側面は、凹部43の開口端に向かうに連れて、連結部40Aの径方向外側に傾斜する傾斜面45を有している。この構成によれば、凸部52を凹部43に挿入する際に、凸部52の先端部55が凹部43の傾斜面45に沿って凹部43の内部に誘導される。これにより、凸部52を凹部43の内部に容易に挿入することができる。
【0098】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0099】
・上記実施形態の経路規制部材20の連結部40A,40B,70A,70Bの構造は適宜変更することができる。以下の説明では、連結部40Aの変更例を図示して説明するが、連結部40B,70A,70Bも同様に変更することができる。
【0100】
例えば
図19に示すように、連結部40Aにおける誘導部44を省略してもよい。
例えば
図20および
図21に示すように、連結部40Aを円筒状に形成してもよい。この場合の連結部40Aは、
図20に示すように誘導部44を有していてもよいし、
図21に示すように誘導部44を有していなくてもよい。
【0101】
・上記実施形態の経路規制部材20の連結部50A,50B,80A,80Bの構造は適宜変更することができる。以下の説明では、連結部80Aの変更例を図示して説明するが、連結部50A,50B,80Bも同様に変更することができる。
【0102】
例えば
図19に示すように、連結部80Aの凸部52の先端部55を、複数の細い棒状部55Bを有する剣山状に形成してもよい。各棒状部55Bは、例えば、先端が尖った先鋭形状に形成されている。この場合には、棒状部55Bによって接着剤袋91(
図14参照)を割ることができる。
【0103】
例えば
図20および
図21に示すように、連結部80Aの凸部52を、円柱状に形成してもよい。さらに、
図20に示すように、円柱状をなす凸部52の先端部55を、円錐状に形成してもよい。この場合には、円錐の頂点となる凸部52の下端によって接着剤袋91(
図14参照)を割ることができる。
【0104】
例えば
図21に示すように、円柱状をなす凸部52の先端部55を、複数の細い棒状部55Bを有する剣山状に形成してもよい。
・
図22および
図23に示すように、直線部品30を直線部品30Cに変更し、屈曲部品60を屈曲部品60Aに変更してもよい。すなわち、本変更例の経路規制部材20は、直線部品30Cと屈曲部品60Aとが連結されて構成されている。以下に、直線部品30Cおよび屈曲部品60Aの構造について詳述する。なお、直線部品30および屈曲部品60と同様の構成には同じ符号を付して、説明の一部または全部を割愛する場合がある。
【0105】
図23に示すように、直線部品30Cは、底壁32と側壁33,34とを有する保持部31と、互いに同一の構造を有する連結部40C,40Dと、連結部50C,50Dとを備えている。屈曲部品60Aは、底壁62と側壁63,64とを有する保持部61と、互いに同一の構造を有する連結部70C,70Dと、連結部80C,80Dとを備えている。
【0106】
連結部40C,40D,70C,70Dの各々は、例えば、
図21に示した連結部40Aと同一の構造を有している。すなわち、連結部40C,40D,70C,70Dの各々は、底壁41と周壁42と凹部43とを有する有底の円筒状に形成されている。
【0107】
図24に示すように、連結部40Cは、端部36における側壁33の外周面に設けられている。連結部40Dは、端部37における側壁34の外周面に設けられている。連結部50Cは、端部36における側壁34の外周面に設けられている。連結部50Dは、端部37における側壁33の外周面に設けられている。2つの連結部40C,40Dは、Z軸方向から見た平面視において、Z軸方向と平行に延びる直線部品30Cの中心軸を中心として互いに点対称となる位置に設けられている。2つの連結部50C,50Dは、Z軸方向から見た平面視において、Z軸方向と平行に延びる直線部品30Cの中心軸を中心として互いに点対称となる位置に設けられている。
【0108】
図23および
図25に示すように、連結部50Cは、保持部31と一体に形成されたレール部56と、保持部31と別部品である連結具57とを備えている。レール部56は、例えば、端部36における側壁34の外周面から保持部31の径方向内側に向かって凹むように形成されている。レール部56は、例えば、側壁34の上面からZ軸方向に沿って延びるように形成されている。レール部56は、上方へ向けて開口するとともに、保持部31の径方向外側へ向けて開口するように形成されている。
【0109】
図24に示すように、レール部56は、例えば、レール部56Aと、レール部56Aよりも開口幅の小さいレール部56Bとを有している。レール部56は、レール部56Aとレール部56Bとが互いに連通するように形成されている。X軸方向に沿うレール部56Aの開口幅は、X軸方向に沿うレール部56Bの開口幅よりも大きい。レール部56Bは、側壁34の外周面に設けられている。レール部56は、例えば、Z軸方向から見た平面形状がT字状に形成されている。
【0110】
図23に示すように、連結具57は、レール部56に挿入される挿入部58と、屈曲部品60Aの連結部70Cの凹部43に凹凸嵌合される嵌合部59とを有している。連結具57は、例えば、挿入部58と嵌合部59とが連続して一体に形成された単一部品である。挿入部58および嵌合部59の各々は、Z軸方向に沿って延びている。Z軸方向に沿う挿入部58の長さ寸法は、例えば、Z軸方向に沿う嵌合部59の長さ寸法よりも大きい。
【0111】
図25に示すように、挿入部58は、レール部56Aに挿入される挿入部58Aと、レール部56Bに挿入される挿入部58Bとを有している。挿入部58Aは、挿入部58Bよりも幅が大きく形成されている。X軸方向に沿う挿入部58Aの長さ寸法は、X軸方向に沿う挿入部58Bの長さ寸法よりも大きい。挿入部58は、例えば、Z軸方向から見た平面形状がT字状に形成されている。挿入部58は、例えば、保持部31の上方からZ軸方向に沿ってレール部56に挿入される。挿入部58がレール部56に挿入されると、挿入部58Aがレール部56Bを構成する壁部と保持部31の径方向(ここでは、Y軸方向)において係合する。これにより、保持部31の径方向においてレール部56に対する挿入部58の相対移動を抑制できるため、挿入部58がレール部56から抜けることを好適に抑制できる。
【0112】
嵌合部59は、
図20に示した連結部80Aと同一の構造を有している。すなわち、嵌合部59は、挿入部58からY軸方向に向かって突出する基部51と、基部51の下面からZ軸方向に向かって突出する円柱状の凸部52とを有している。基部51は、例えば、挿入部58Bの上端に接続されている。基部51の梁部53は、例えば、挿入部58Bよりも幅が大きく形成されている。X軸方向に沿う梁部53の長さ寸法は、例えば、X軸方向に沿う挿入部58Aの長さ寸法よりも大きい。本変更例の凸部52の先端部55は、円錐状に形成されている。
【0113】
連結部50Dは、例えば、レール部56のみを備えている。換言すると、連結部50Dは、連結具57を備えていない。具体的には、
図23に示すように、他の規制部品(直線部品30Cや屈曲部品60A)と連結されていない端部(ここでは、端部37)に設けられた連結部50Dは、連結具57を備えていない。
【0114】
図24に示すように、屈曲部品60Aでは、連結部70Cが端部66における側壁64の外周面に設けられるとともに、連結部70Dが端部67における側壁63の外周面に設けられている。屈曲部品60Aでは、連結部80Cが端部66における側壁63の外周面に設けられるとともに、連結部80Dが端部67における側壁64の外周面に設けられている。ここで、
図23に示すように、連結部80Cは、直線部品30Cの連結部50Cと同一の構造を有している。すなわち、連結部80Cは、レール部56と連結具57とを備えている。連結部80Dは、直線部品30Cの連結部50Dと同一の構造を有している。すなわち、連結部80Dは、レール部56のみを備えている。このように、端部67に設けられた連結部70D,80Dは、端部66に設けられた連結部70C,80Cから連結具57を除いた構造を180°回転させた構造に形成されている。
【0115】
屈曲部品60Aは、直線部品30Cの端部36に連結される。詳述すると、まず、直線部品30Cの端部36に対して屈曲部品60Aの端部66を接触させるように、直線部品30Cおよび屈曲部品60Aを配置する。このとき、連結部40Cと連結部80Cのレール部56とが隣り合うように設けられるとともに、連結部50Cのレール部56と連結部70Cとが隣り合うように設けられる。次に、連結部40C,70Cの各々の凹部43内に接着剤袋91(
図14参照)を入れる。続いて、連結部80Cの連結具57を、連結部80Cのレール部56に挿入するとともに、連結部40Cの凹部43に凹凸嵌合する。これにより、連結部80Cの連結具57の凸部52と連結部40Cの凹部43とが接着剤90(
図10参照)により接着され、連結部80Cと連結部40Cとが連結される。同様に、連結部50Cの連結具57を、連結部50Cのレール部56に挿入するとともに、連結部70Cの凹部43に凹凸嵌合する。これにより、連結部50Cの連結具57の凸部52と連結部70Cの凹部43とが接着剤90(
図10参照)により接着され、連結部50Cと連結部70Cとが連結される。
【0116】
・例えば
図26および
図27に示すように、2つの屈曲部品60B,60Cを連結させて経路規制部材20を構成するようにしてもよい。ここで、屈曲部品60B,60Cの各々は、
図22等に示した屈曲部品60Aと同一の構造を有している。屈曲部品60Cは、例えば、屈曲部品60Bの構造を180°回転させた状態で配置されている。
図26に示すように、屈曲部品60Bと屈曲部品60Cとは、屈曲部品60Bの端部67と屈曲部品60Cの端部67とを対向させた状態で互いに連結されている。詳述すると、屈曲部品60Bの端部67における側壁63に設けられた連結部70Dと、屈曲部品60Cの端部67における側壁64に設けられた連結部80Dとが互いに連結されている。ここで、屈曲部品60Cの連結部80Dは、レール部56と連結具57とを備えている。そして、屈曲部品60Cの連結部80Dの連結具57を通じて、屈曲部品60Bの連結部70Dと屈曲部品60Cの連結部80Dとが互いに連結されている。また、屈曲部品60Bの端部67における側壁64に設けられた連結部80Dと、屈曲部品60Cの端部67における側壁63に設けられた連結部70Dとが互いに連結されている。ここで、屈曲部品60Bの連結部80Dは、レール部56と連結具57とを備えている。そして、屈曲部品60Bの連結部80Dの連結具57を通じて、屈曲部品60Bの連結部80Dと屈曲部品60Cの連結部70Dとが互いに連結されている。
【0117】
図27に示すように、本変更例の経路規制部材20は、Z軸方向から見た平面視において、経路規制部材20の軸方向に沿って右曲げの屈曲部分と左曲げの屈曲部分とが連続する形状に形成される。
【0118】
このように、屈曲部品60B,60Cでは、端部67同士を連結させることができる。さらに、屈曲部品60B,60Cでは、端部66同士を連結させることができるとともに、端部66と端部67とを連結させることができる。これにより、経路規制部材20における直線部品30Cおよび屈曲部品60の組み合わせの自由度を向上できる。
【0119】
・上記実施形態における経路規制部材20の構造は適宜変更することができる。例えば、直線部品30,30Cと屈曲部品60,60Aとの組み合わせ、つまり直線部品30,30Cおよび屈曲部品60,60Aの個数や配置方向を変更することにより、経路規制部材20を種々の構造に形成することができる。経路規制部材20を構成する直線部品30,30Cおよび屈曲部品60,60Aのそれぞれの個数は特に限定されない。例えば、経路規制部材20を、2つ以上の直線部品30,30Cのみで構成するようにしてもよい。例えば、経路規制部材20を、2つ以上の屈曲部品60,60Aのみで構成するようにしてもよい。
【0120】
・上記実施形態では、電線部材11の配索経路のうち屈曲部15A,15B,15C,15D,15Eのみに対して経路規制部材20を設けるようにしたが、これに限定されない。例えば、直線部14A,14B,14C,14D,14E,14Fのみに対して経路規制部材20を設けるようにしてもよい。例えば、経路規制部材20Bと経路規制部材20Cとの間に設けられた直線部14Cに対して経路規制部材20を設けるようにしてもよい。この場合の経路規制部材20は、例えば、複数の直線部品30または複数の直線部品30Cを連結させて構成される。例えば、経路規制部材20Cと経路規制部材20Dとの間に設けられた直線部14Dに対して、経路規制部材20C,20Dの両方に連結される直線部品30,30Cを設けるようにしてもよい。この場合には、直線部14Dに設けた直線部品30,30Cによって、経路規制部材20Cと経路規制部材20Dとが一体に形成される。この場合の経路規制部材20C,20Dの平面形状は、S字状に形成される。
【0121】
・上記実施形態における直線部品30,30Cの構造は適宜変更することができる。例えば、直線部品30,30Cから補強リブ38を省略してもよい。例えば、直線部品30,30Cから溝部39を省略してもよい。
【0122】
・上記実施形態における屈曲部品60の構造は適宜変更することができる。例えば、屈曲部品60から補強リブ68を省略してもよい。例えば、屈曲部品60の外周面に、
図5に示した溝部39と同様の溝部を設けるようにしてもよい。
【0123】
・例えば
図28に示すように、経路規制部材20は、直線部品30A,30Bの挿入口35と屈曲部品60の挿入口65とを塞ぐ蓋部200を備えていてもよい。蓋部200は、例えば、直線部品30A,30Bの挿入口35全体を塞ぐとともに、屈曲部品60の挿入口65全体を塞ぐように設けられている。蓋部200は、例えば、直線部品30A,30Bの側壁33,34の上面に設けられるとともに、屈曲部品60の側壁63,64の上面に設けられている。蓋部200は、例えば、図示しない連結部材により直線部品30A,30Bおよび屈曲部品60に連結されている。なお、蓋部200を、車両Vの車体パネルにより構成してもよい。
【0124】
・上記実施形態の経路規制部材20の製造方法では、連結部40Aの凹部43に1つの接着剤袋91を入れるようにしたが、これに限定されない。
例えば
図29に示すように、連結部40Aの凹部43に複数の接着剤袋91を入れるようにしてもよい。この場合の接着剤袋91は、比較的小型に形成されている。このような小型の接着剤袋91を連結部40Aの凹部43に複数個入れることによって、接着剤袋91の個数を調整することで接着剤90の量を容易に調整することができる。
【0125】
・上記実施形態の経路規制部材20の製造方法では、接着剤90を内部に収容した接着剤袋91を凹部43の内部に入れるようにしたが、これに限定されない。例えば、ディスペンサ等を使用して凹部43の内部に接着剤90を直接注入してもよい。この場合には、連結部80Aと連結後の連結部40Aの凹部43内には、割れた状態の接着剤袋91は設けられていない。
【0126】
・上記実施形態の屈曲部品60,60Aの屈曲部60Rにおける曲げ角度θの大きさは適宜変更することができる。
・上記実施形態の電線部材11は、外装部材13を必ずしも含んでいなくてもよい。すなわち、電線部材11から外装部材13を省略し、保持部31,61が電線12を直接保持する構成としてもよい。
【0127】
・上記実施形態の電線部材11は、電線12の外周を包囲する筒状の電磁シールド部材を備えていてもよい。
・車両VにおけるインバータM1と高圧バッテリM2の配置関係は、上記実施形態に限定されるものではなく、車両構成に応じて適宜変更してもよい。
【0128】
・上記実施形態のワイヤハーネス10が電気的に接続する複数の電気機器は、インバータM1および高圧バッテリM2に限定されず、車両Vに搭載される電気機器であれば、特に限定されない。
【0129】
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0130】
10…ワイヤハーネス、11…電線部材、12…電線、13…外装部材、14A…直線部,14B,14C,14D,14E,14F…直線部、15A,15B,15C,15D,15E…屈曲部、20,20A,20B,20C,20D,20E…経路規制部材、30,30A,30B,30C…直線部品(第1規制部品)、31…保持部(第1保持部)、32…底壁(第1底壁)、33…側壁(第1側壁)、34…側壁(第2側壁)、35…挿入口、36…端部(第1端部)、37…端部(第2端部)、38,68…補強リブ、39…溝部、40A,40B,40C…連結部(第1連結部)、40D…連結部(第4連結部)、41…底壁、42,42A,42B…周壁、43…凹部、44…誘導部、45…傾斜面、50A,50B…連結部、50C…連結部(第3連結部)、50D…連結部(第5連結部)、51…基部、52…凸部、53…梁部、54…突出部、55…先端部、55B…棒状部、56,56A,56B…レール部、57…連結具、58,58A,58B…挿入部、59…嵌合部、60,60A…屈曲部品(第2規制部品)、60B…屈曲部品(第1屈曲部品)、60C…屈曲部品(第2屈曲部品)、60R…屈曲部、61…保持部(第2保持部)、62…底壁、63,64…側壁、65…挿入口、66,67…端部、70A,70B…連結部、70C…連結部(第6連結部)、70D…連結部、80A,80B,80C…連結部(第2連結部)、80D…連結部、90…接着剤、91…接着剤袋、100…スライド規制部材、200…蓋部、C1,C2,C3…角部、M1…インバータ、M2…高圧バッテリ、V…車両。