(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000773
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】移動体及び移動制御方法
(51)【国際特許分類】
G05D 1/00 20240101AFI20231226BHJP
【FI】
G05D1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099668
(22)【出願日】2022-06-21
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、国立研究開発法人情報通信研究機構「革新的情報通信技術研究開発委託研究/海中・水中IoTにおける無線通信技術の研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古賀 久雄
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA05
5H301AA10
5H301CC04
5H301CC07
5H301DD07
5H301DD15
5H301GG07
5H301GG08
(57)【要約】
【課題】位置合わせの精度を向上させること。
【解決手段】本開示の一実施例に係る移動体は、外部装置と無線通信を行う通信部と、前記外部装置との通信により、前記外部装置及び他の通信装置を含む通信ネットワークの通信接続関係を取得する取得部と、前記通信接続関係に基づいて、前記移動体が移動する第1方向を決定し、前記第1方向に前記移動体を移動させる移動制御部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体であって、
外部装置と無線通信を行う通信部と、
前記外部装置との通信により、前記外部装置及び他の通信装置を含む通信ネットワークの通信接続関係を取得する取得部と、
前記通信接続関係に基づいて、前記移動体が移動する第1方向を決定し、前記第1方向に前記移動体を移動させる移動制御部と、
を備える移動体。
【請求項2】
前記通信接続関係により、前記他の通信装置が前記通信ネットワークの末端に存在することが示される場合、前記移動制御部は、前記第1方向を、前記他の通信装置の方向に決定する、
請求項1に記載の移動体。
【請求項3】
前記他の通信装置との間の伝送路特性を示す指標値を取得する指標取得部
をさらに備え、
前記移動制御部は、前記指標値に基づいて、前記移動体が移動する第2方向を決定し、前記第2方向に前記移動体を移動させる、
請求項2に記載の移動体。
【請求項4】
前記移動制御部は、前記指標値が閾値よりも高い場合、前記第2方向を、前記他の通信装置から離れる方向に決定する、
請求項3に記載の移動体。
【請求項5】
前記通信接続関係により、前記他の通信装置に無線接続している通信装置が存在しないことが示される場合、前記移動制御部は、前記第1方向を、前記他の通信装置の方向に決定する、
請求項1に記載の移動体。
【請求項6】
外部装置と無線通信を行う移動体が、
前記外部装置との通信により、前記外部装置及び他の通信装置を含む通信ネットワークの通信接続関係を取得し、
前記通信接続関係に基づいて、前記移動体が移動する方向を決定し、
前記方向に前記移動体を移動させる、
移動制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体及び移動制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、海中といった水中で移動体に給電する技術が存在する(例えば、特許文献1)。特許文献1には、移動体が、水中に存在する給電ステーション(充電装置)にて給電されることが開示されている。
【0003】
また、移動体が給電のために給電ステーションに移動する技術が存在する(例えば、特許文献2)。特許文献2には、移動体が、カメラによって取得された画像を利用して、充電ステーションに着陸することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-191474号公報
【特許文献2】特開2021-172318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、給電ステーション等の目的地に移動するためにカメラを利用する場合、視界不良の場合には位置合わせが難しくなる(例えば、海中では、深さによって日中であっても暗いこともあるし、濁っていることもあるし、海草等で遮られることもあり、空中では、時間帯によって外光が異なる)、目印が経年劣化で見えづらくなる等、環境要因を受けやすく、着陸精度等の位置合わせの精度に課題がある。
【0006】
本開示の非限定的な実施例は、位置合わせの精度を向上させることができる移動体及び移動制御方法の提供に資する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施例に係る移動体は、外部装置と無線通信を行う通信部と、前記外部装置との通信により、前記外部装置及び他の通信装置を含む通信ネットワークの通信接続関係を取得する取得部と、前記通信接続関係に基づいて、前記移動体が移動する第1方向を決定し、前記第1方向に前記移動体を移動させる移動制御部と、を備える。
【0008】
本開示の一実施例に係る移動制御方法は、外部装置と無線通信を行う移動体が、前記外部装置との通信により、前記外部装置及び他の通信装置を含む通信ネットワークの通信接続関係を取得し、前記通信接続関係に基づいて、前記移動体が移動する方向を決定し、前記方向に前記移動体を移動させる。
【0009】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一実施例によれば、移動体が移動する方向が、外部装置及び他の通信装置を含む通信ネットワークの通信接続関係に基づいて決定され、移動体が決定された方向に移動するように制御されるので、位置合わせの精度を向上させることができる。
【0011】
本開示の一実施例における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の実施の形態1に係る無線電力・データ伝送システムの構成例を示す図
【
図2】本開示の実施の形態1に係る水中ドローンのハードウェア構成例を示す図
【
図3】本開示の実施の形態1に係る水中ドローンのCPUの機能構成例を示す図
【
図4】本開示の実施の形態1に係る位置合わせ例を示すフローチャート
【
図5】本開示の実施の形態1に係るトーンマップ決定例を示すシーケンス図
【
図6】本開示の実施の形態1に係る、通信装置間の距離(送受信間距離)とPHY速度との対応付け(PHY速度のプロファイル)を示す図
【
図8】本開示の実施の形態1に係る位置合わせ例を示すフローチャート
【
図9】本開示の実施の形態1に係る、トポロジー情報に基づいて着陸する駐機場を決定する状況を示す図
【
図10】本開示の実施の形態1に係るマルチホップネットワークの一例を示す図
【
図11】本開示の実施の形態1に係る位置合わせ例を示すフローチャート
【
図12】本開示の実施の形態1に係る、水中ドローンが末端の駐機場の直下に接続するように移動することを示す図
【
図13A】本開示の実施の形態1に係るマルチホップネットワークの一例を示す図
【
図13B】本開示の実施の形態1に係るマルチホップネットワークの一例を示す図
【
図13C】本開示の実施の形態1に係るマルチホップネットワークの一例を示す図
【
図14】本開示の実施の形態1に係る、水中ドローンの動作例を示すフローチャート
【
図15】本開示の実施の形態1に係る、水中ドローンの動作例を示すフローチャート
【
図16】本開示の実施の形態1に係る、水中ドローンの動作例を示すフローチャート
【
図17A】本開示の実施の形態1に係る、水中ドローンの動作例を示すフローチャート
【
図17B】本開示の実施の形態1に係る、水中ドローンの動作例を示すフローチャート
【
図18】本開示の実施の形態2に係る水中ドローンのCPUの機能構成例を示す図
【
図19】本開示の実施の形態2に係る、異なる通信媒体におけるPHY速度のプロファイルを示す図
【
図20】本開示の実施の形態2に係るモード決定例を示すフローチャート
【
図21】本開示の実施の形態2に係るモード決定例を示すフローチャート
【
図22】本開示の実施の形態2に係るモード決定例を示すフローチャート
【
図23】本開示の実施の形態2に係る、ドローンの動作例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を適宜参照して、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0014】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために、提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0015】
(実施の形態1)
<無線電力・データ伝送システムの構成>
図1は、本開示の実施の形態1に係る無線電力・データ伝送システム(又は無線電力・データ伝送ネットワーク)1の構成例を示す図である。
【0016】
図1に示すように、無線電力・データ伝送システム1は、水上(例えば海上)及び水中(例えば海中)に配置される。無線電力・データ伝送システム1は、電源・通信設備10と、駐機場(充電(給電)装置、充電(給電)ステーション又はステーションと呼ばれてもよい)20と、水中ドローン30と、を含む。
【0017】
電源・通信設備10は、例えば、海上(水上の一例)に停泊している船舶内に設けられている。電源・通信設備10は、通信線(電源線を含む)等を用いて駐機場20と有線接続されている。電源・通信設備10は、駐機場20との間でデータ通信を行うとともに、駐機場20に電力を送電する。電源・通信設備10は、無線電力・データ伝送システム1の親機、マスタ(通信)装置等と称されてもよい。
【0018】
駐機場20は、無線電力伝送機能及び無線通信機能を有する。駐機場20は、電源・通信設備10との間でデータ通信を行うとともに、電源・通信設備10から送電された電力を受電及び給電する。また、駐機場20は、水中ドローン30との間で無線でデータ通信を行うとともに、水中ドローン30に電力を無線で送電する。なお、複数の駐機場20が存在してもよく、駐機場20同士が有線又は無線で接続されてもよい。この場合、駐機場20間の電力伝送及びデータ通信は、電源・通信設備10と駐機場20との間の電力伝送及びデータ通信、又は、駐機場20と水中ドローン30との間の電力伝送及びデータ通信と同様であってよい。
【0019】
水中ドローン30は、海洋探査等の作業に関する各種のデータを取得する。水中ドローン30は、駐機場20との間でデータ通信を行うとともに、駐機場20から送電された電力を受電及び給電する。例えば、水中ドローン30は、電源・通信設備10からの指示を、駐機場20を介して受信し、作業中に取得したデータ(画像等)、水中ドローン30の充電状態等を、駐機場20を介して電源・通信設備10に送信する。水中ドローン30は、例えば、自立型無人潜水機(AUV:Autonomous Underwater Vehicle)、遠隔操作無人探査機(ROV:Remotely Operated Vehicle)、無人潜水艇(UUV:Unmanned Underwater Vehicle)等と称されてもよい。水中ドローン30は、水面を移動することも可能であり、空中を移動可能であってもよい。複数の水中ドローン30が存在してもよい。水中ドローン30は、本開示に係る「移動体」の一例である。
【0020】
なお、駐機場20は、水中ドローン30によって実現されてもよい。すなわち、水中ドローン30が駐機場20として機能してもよい。
【0021】
[水中ドローンの構成]
図2は、本実施の形態に係る水中ドローン30のハードウェア構成例を示す図である。
【0022】
図2に示すように、水中ドローン30は、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)201と、メモリ202と、ユーザインタフェース(UI:User Interface)203と、駆動系204と、GPS(Global Positioning System)受信機205と、カメラ206と、センサ207と、長距離アンテナ208と、長距離無線通信回路209と、近距離アンテナ210と、近距離無線通信回路211と、受電アンテナ212と、受電回路213と、バッテリ214と、電源回路215と、を備える。
【0023】
CPU201は、各構成要素の処理を制御するとともに、
図3及び
図18等を参照して説明するような処理を実行する。
【0024】
メモリ202は、水中ドローン30が動作するのに必要なプログラム及びデータ、水中ドローン30の構成要素によって生成されたデータ、水中ドローン30が外部装置から受信したデータ等を記憶(保存、保持、格納)する。
【0025】
UI203は、水中ドローン30に対する操作を受け付ける入力装置及び音等の出力を提供する出力装置を含む。
【0026】
駆動系204は、水中ドローン30を航走させるための駆動系である。駆動系は、例えば、スクリュー、スクリューを回すモータ及びモータの動力源となる電池を含む。また、水中ドローン30が空中を移動可能である場合、駆動系は、プロペラ、プロペラを回すモータ及びモータの動力源となる電池を含んでもよい。
【0027】
GPS受信機205は、GPS衛星からの電波を受信し、受信した電波を用いて水中ドローン30の位置(例えば、緯度及び経度)を測定する。
【0028】
カメラ206は、例えば、全天球カメラであり、水中ドローン30の前後左右上下方向を撮影可能である。
【0029】
センサ207は、水中ドローン30の状態(加速度、速度等)を測定するセンサ、水中ドローン30の周囲環境の状態を測定するセンサ、駆動系204の状態を測定するセンサ(モータの状態を測定するセンサ、電池の状態(残量を含む)を測定するセンサ等)等を含む。周囲環境の状態を測定するセンサは、水分センサ、塩分センサ(塩分濃度計)、気圧センサ、温度センサ、湿度センサ、照度センサ等を含む。
【0030】
長距離アンテナ208は、LTE(Long Term Evolution)、NR(New Radio)等に対応する移動通信網を介して通信するためのアンテナである。
【0031】
長距離無線通信回路209は、LTE、NR等に対応する移動通信網及び長距離アンテナ208を介して信号を送受信するために、送信処理及び受信処理を行う通信回路である。
【0032】
近距離アンテナ210は、例えば2MHz~100MHzといった周波数帯域を用いて、例えば伝送距離が10m以下であるような近距離に位置する上述した親機10、駐機場20、他の水中ドローン30等の外部装置と通信するためのアンテナである。
【0033】
近距離無線通信回路211は、近距離アンテナ210を介して信号を送受信するために、送信処理及び受信処理を行う通信回路である。
【0034】
受電アンテナ212は、近距離に位置する外部装置から電力を受電するためのアンテナである。
【0035】
受電回路213は、受電アンテナ212を介して電力の供給を受ける回路である。
【0036】
バッテリ214は、水中ドローン30の各構成要素に電力を供給する。
【0037】
電源回路215は、バッテリ214からの電力を、水中ドローン30の各構成要素に必要とされる出力電源に変換する。
【0038】
なお、本実施の形態及び他の実施の形態では、水中ドローン30の給電コイルと通信コイルとは、近傍に配置されている。
【0039】
水中ドローン30は、近距離アンテナ210及び近距離無線通信回路211(近距離無線部と呼ぶ)を介して、外部装置と近距離通信する。外部装置は、駐機場20や固定型の無線通信装置等の固定された装置であってもよいし、空中ドローン、他の水中ドローン、海上の船舶等の移動体であってもよい。近距離アンテナ210及び近距離無線通信回路211は、本開示に係る「通信部」の一例である。
【0040】
水中ドローン30は、例えば、無線給電及び/又はデータ通信のために駐機場20及び海上の船舶に対して位置合わせする。水中ドローン30は、例えば、データ通信のために固定型の無線通信装置に対して位置合わせする。水中ドローン30は、例えば、マルチホップ形成(トポロジー形成)のために空中ドローン及び他の水中ドローンに対して位置合わせする。
【0041】
なお、電源・通信設備10及び駐機場20も、水中ドローン30と同様の構成を有してよい。
【0042】
【0043】
CPU201は、パケット解析部301と、認証処理部302と、リンクコスト算出部303と、トポロジー管理部304と、パケット生成部305と、測定部306と、距離推定部307と、送信電力決定部308と、AGC(Automatic Gain Control)値確認部309と、移動制御部310と、を備える。なお、電源・通信設備10及び駐機場20も、水中ドローン30と同様の機能構成を有する。また、以下では、電源・通信設備10、駐機場20及び水中ドローン30をまとめて通信装置と呼ぶ。
【0044】
CPU201には、Hパケット、認証パケット及び通常パケット(例えば、水中ドローン30が取得したデータ)が入力される。Hパケットは、無線電力・データ伝送ネットワーク1で行われる認証処理に先だって一方の通信装置から、接続中の通信装置に向けて一斉に同報送信されるパケットである。認証パケットは、認証処理中に送受信されるパケットである。
【0045】
パケット解析部301は、入力される各種のパケット(Hパケット、認証パケット及び通常パケット)のデータ構造を解析してパケットの種別を判定し、その判定結果に基づいてパケットの転送先を振り分ける。パケット解析部301は、例えば、入力されたパケットがHパケットであると判定した場合には、そのHパケットをリンクコスト算出部303に出力する。パケット解析部301は、例えば、入力されたパケットが認証パケットであると判定した場合には、その認証パケットを認証処理部302に出力する。パケット解析部301は、例えば、入力されたパケットが通常パケットであると判定した場合には、その通常パケットをトポロジー管理部304に出力する。
【0046】
認証処理部302は、パケット解析部301から入力された認証パケットを用いて、その認証パケットの送信元である通信装置との間で認証処理を実行する。認証処理部302は、認証処理中に生成するパケットである認証パケット、又は、他の通信装置から送信された認証パケットの応答をトポロジー管理部304に出力する。
【0047】
リンクコスト算出部303は、パケット解析部301から入力されたHパケットを用いて、水中ドローン30が送信元の通信装置から受信したHパケットの受信品質を示すリンクコストを算出する。リンクコスト算出部303は、そのリンクコストの算出結果を、Hパケットのデータ構造に書き込む(格納する)。また、Hパケットには、親機10からHパケットが送信された場合の各リンクコストの値も格納されている。リンクコスト算出部303は、リンクコストの算出結果を格納したHパケットをトポロジー管理部304に出力する。
【0048】
トポロジー管理部304は、親機10により生成されたトポロジー(すなわち、無線電力・データ伝送ネットワーク1を構成する通信装置及ぶその接続形態)を示すトポロジー情報を管理(取得)し、トポロジー情報に基づいて各種のパケットの出力先(例えば、パケット生成部305)を振り分けて出力する。トポロジー情報は、各通信装置のトポロジー管理部304又はメモリ202において保存される。なお、親機10のトポロジー管理部304は、認証処理の対象となる1つ以上の通信装置の各々から送信されたHパケットに応じて親機10のリンクコスト算出部303により算出された各リンクコストに基づいて、トポロジーを生成(形成)し、トポロジーを示すトポロジー情報を他の通信装置に提供する。トポロジー管理部304は、本開示に係る「取得部」の一例である。
【0049】
パケット生成部305は、トポロジー管理部304から入力された認証パケット又は通常パケットに基づいて、送信先となる他の通信装置へのデータ通信用のパケット又は認証処理を行うためのHパケットを生成して出力する。
【0050】
測定部306は、伝送路推定技術を用いて、通信相手との間で伝送路推定を行って(伝送路特性を示す指標値又は伝送路特性を取得(算出)して)、通信相手との物理層通信速度(PHY速度とも呼ぶ)を測定(算出、取得)する。測定部306は、本開示に係る「指標取得部」又は「指標算出部」の一例である。
【0051】
距離推定部307は、通信装置間の距離(送受信間距離)とPHY速度(伝送路特性)との対応付け(PHY速度のプロファイル又は単にプロファイルと呼ぶ)、及び、通信相手とのPHY速度に基づいて、通信相手との距離を推定する。
【0052】
送信電力決定部308は、通信相手に信号(パケット)を送信する送信電力を決定及び設定する。
【0053】
AGC値確認部309は、AGC回路(図示せず)によって調整されるAGC値を確認する。AGC回路は、例えば、受信した信号の電力に応じて適切な増幅度を設定する。
【0054】
移動制御部310は、水中ドローン30がある位置又はある方向に移動するように、あるいは、水中ドローン30がある位置に停止するように駆動系204を制御して、水中ドローン30をある位置又はある方向に移動させる。例えば、移動制御部310は、トポロジー管理部304によって取得されたトポロジー情報、測定部306によって取得されたPHY速度等に基づいて、上記のように駆動系204を制御して、水中ドローン30を移動させる、あるいは、停止させる。
【0055】
<無線電力・データ伝送システムの動作>
次に、電源・通信設備10、駐機場20及び水中ドローン30の共通の動作について説明する。以下では、水中ドローン30を例にとって説明するが、電源・通信設備10及び駐機場20も同様の動作を行うことが可能である。
【0056】
[認証処理]
通信装置間で行われる認証処理(親機10と駐機場20又は水中ドローン30との間で行われる認証処理)の処理手順例について説明する。この認証処理は、それぞれの認証処理部302によって主に実行される。前提として、親機10は、Hパケットを駐機場20又は水中ドローン30に送信し、駐機場20又は水中ドローン30は、親機10から送信されたHパケットを受信している。なお、以下では、水中ドローン30を例にとって説明するが、駐機場20も同様の動作を行うことが可能である。
【0057】
水中ドローン30は、参加したいネットワーク(例えば、無線電力・データ伝送ネットワーク1)の親機(親機10)に、参加要求フレームを含む認証パケットを発行し、親機10に送信する。親機10は、水中ドローン30から送信された認証パケットを受信すると、所定のテキスト列を設定して認証パケットを生成し、要求元の水中ドローン30(認証パケットの発行元である水中ドローン30)に送信する。
【0058】
水中ドローン30は、親機10から送信された認証パケットに含まれる所定のテキスト列を、水中ドローン30が予めメモリ202等に保持している固有鍵を用いてエンコード(符号化)し、そのエンコード出力であるテキスト列を含む認証パケットを生成して親機10に送信する。
【0059】
親機10は、水中ドローン30から送信された認証パケットを受信すると、事前に設定されてメモリ202等に保存されている固有鍵を用いて、その認証パケットに含まれるエンコード出力であるテキスト列をデコード(復号)する。また、親機10は、そのデコード出力であるテキスト列が、上記のとおり設定された所定のテキスト列と一致するか否かを判定する。親機10は、デコード出力であるテキスト列が所定のテキスト列と一致すると判定した場合(無線電力・データ伝送ネットワーク1への参加を許可すると判定した場合)、無線電力・データ伝送ネットワーク1に特有のネットワーク鍵を固有鍵でエンコードして水中ドローン30に送信する。
【0060】
水中ドローン30は、親機10から送信されたエンコードされたネットワーク鍵を、固有鍵を用いてデコードしてネットワーク鍵を取得する。このネットワーク鍵の取得により、水中ドローン30は、親機10のデータ通信先として正式に認証されたことになる。水中ドローン30は、ネットワーク(無線電力・データ伝送ネットワーク1)内でのデータ通信の際に、ネットワーク鍵を用いてエンコード又はデコードすることでデータ通信を行う。
【0061】
なお、認証処理は、例えば、HD-PLC(High Definition Power Line Communication)の規格において定められた4wayハンドシェイクに基づく処理であるが、認証処理は、上述した規格以外の他の方式に基づく処理であってもよい。例えば、認証処理は、有線高速ネット通信技術の統一規格であるG.hn(Gigabit Home Networking)、電力線搬送通信の業界団体であるHome Plug(Home Plug Power line Alliance)等の方式に基づく認証処理であってもよい。
【0062】
[トポロジー生成(マルチホップ形成)処理及びマルチホップ伝送]
次に、親機10と駐機場20及び水中ドローン30との間のトポロジー生成及びマルチホップ伝送について説明する。
【0063】
親機10は、全ての通信装置に向けてHパケットを一斉に同報送信する。この同報送信に対して駐機場20のみがHパケットを受信できたとする。すると、親機10と駐機場20との間で、上述した認証処理が行われる。これにより、親機10と駐機場20との間で電力伝送及びデータ通信が可能となる。
【0064】
次に、駐機場20は、他の通信装置に向けてHパケットを一斉に同報送信する。この同報送信に対してHパケットを受信できた通信装置が存在すれば、駐機場20を介して当該通信装置と親機10との間で、上述した認証処理が行われ、その結果、駐機場20を介した当該通信装置と親機10との間のデータ通信が可能となり、駐機場20と当該通信装置との間の電力伝送が可能となる。当該通信装置についても同様の処理が行われる。
【0065】
ここで、水中ドローン30が上記通信装置に接近したとする。すると、上記通信装置は、水中ドローン30に向けてHパケットを送信する。この送信に対して、水中ドローン30がHパケットを受信できたとする。すると、上記通信装置及び駐機場20を介して水中ドローン30と駐機場20との間で、上述した認証処理が行われ、その結果、上記通信装置及び駐機場20を介した水中ドローン30と親機10との間のデータ通信が可能となり、上記通信装置と当該通信装置との間の電力伝送が可能となる。
【0066】
[第1位置合わせ例]
水中ドローン30は、上述したように、GPS受信機205、センサ207等の機能を利用して、出発点からの方向、距離等を把握し、目的地へ向けて移動する。また、水中ドローン30は、移動通信モジュール(長距離アンテナ208、長距離無線通信回路209)も備え、海上に出たときには、制御信号の双方向通信を行ったり、水面を直接伝わるラテラル波を用いて通信したり、GPS受信機205を通じて位置を把握したりする。水中ドローン30は、カメラ206を用いて着陸地点を把握し、着陸地点に着陸した後、駐機場にて無線で充電を行い、双方向通信によりデータの送受信を行うことが考えられる。なお、本明細書において、水中の目的地に到達することを着陸と呼び、水中の目的地から離れることを離陸と呼ぶ。
【0067】
しかしながら、GPS、センサ、カメラ等を利用して目的地に着陸しようとした場合、先述したように、精度の問題から最適な場所に着陸できないおそれがあり、その場合、例えば、充電のために着陸するときには、無線電力伝送による充電効率が下がってしまう。例えば、略円形の駐機場を目的地として、水中ドローン30が着陸する場合を考えると、駐機場の中心に近いほど、通信速度が速く、充電効率が高いため(給電コイルと通信コイルが近傍に配置されているため)、水中ドローン30は、中心付近に着陸することが望ましい。
【0068】
一般に、2つの通信装置が近距離無線通信する場合、それらの通信装置間の距離(送受信間距離)が長くなると、伝送路の減衰量が大きくなり、結果として通信速度が遅くなる。水中では、空気中よりも距離に対する減衰が大きく、海中では、距離に対する減衰がさらに大きくなる傾向にある。このような場合、着陸地点での空中を使った無線通信は困難である。そのため、水中ドローン30は、例えばGPS受信機205、センサ207等を利用して着陸地点にある程度近づき、そこでカメラ206を用いて着陸地点の確認を行う。その後、第1位置合わせ例では、精度向上のために、伝送路推定技術及び物理層通信速度(PHY速度)を利用する。
【0069】
図4は、本実施の形態に係る位置合わせ例を示すフローチャートである。当該位置合わせは、例えば、無線給電及び/又はデータ通信のために行われてよい。
【0070】
水中ドローン30が着陸地点(駐機場20)に近づくと、ステップS401において、水中ドローン30の認証処理部302は、(駐機場20を介して)親機10との間で上述した認証処理を行う。
【0071】
認証に成功すると、ステップS402において、水中ドローン30が、移動制御部310の制御の下、水平方向に面的に移動にすることで、水中ドローン30の測定部306は、複数地点において、伝送路推定を行って、PHY速度を測定する。例えば、複数地点は、認証処理を行った地点と、当該地点を重心とし、所定の辺の長さを有する任意の正方形の頂点と、からなる5地点であってよいが、これに限定されるものではない。伝送路推定及びPHY速度測定については後述する。
【0072】
ステップS403において、水中ドローン30は、移動制御部310の制御の下、複数地点のうちPHY速度が一番速い地点(最大PHY速度地点と呼ぶ)に移動して、そこから所定の距離(例えば10cm)降下する。
【0073】
水中ドローン30は、以後、ステップS402及びS403を繰り返し行うことによって、駐機場20に着陸する。なお、繰り返し回数は、予め定められていてもよいし、繰り返しの結果、駐機場20との距離が所定の値以下又は未満になるまで、繰り返しが行われてもよい。あるいは、現在地点におけるPHY速度が閾値以上になった場合、水中ドローン30は繰り返しを止めてもよい。また、繰り返しの度に、正方形の辺の長さが短くなるように複数地点が設定されてもよい。その後、水中ドローン30は、繰り返し後の位置に留まってもよいし、その位置から駐機場20まで降下してもよい。
【0074】
[[伝送路推定技術]]
伝送路推定によって作成される(伝送)トーンマップが、通信装置間で共有される。ここで、トーンマップとして、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)のサブキャリアごとに最適な変調レベル(例えば、変調レベル5:32PAM(Pulse Amplitude Modulation)、変調レベル4:16PAM、変調レベル3:8PAM、変調レベル2:4PAM、変調レベル1:2PAM、変調レベル0:無;ノイズレベルは、変調レベルが小さくなるほど信号レベルに対して相対的に大きくなる)が設定され、信号対雑音比(SN比)に応じてキャリアごとの情報量を最適化して通信が行われる。例えば、トーンマップは、OFDMのサブキャリアと変調レベルとを対応付けたテーブルであってよい。このように変調レベルを、5段階にして、例えば送受信キャリア360本の各々で設定すると仮定した場合、膨大な数(5の360乗)の鍵パターンの構成が可能となり、その中からトーンマップが選定される。このように、トーンマップは、伝送路の状態に依存し、伝送路ごとに異なることがほとんどであるので、ネットワーク内の盗聴が困難となる。
【0075】
図5は、本実施の形態に係るトーンマップ決定例を示すシーケンス図である。
【0076】
ステップS501において、送信端末(一方の通信装置)は、トレーニングパケットを受信端末(他方の通信装置)に送信する。
【0077】
ステップS502において、受信端末は、受信したトレーニングパケットを用いてSN比特性を得て伝送路特性評価を行う。
【0078】
ステップS503において、受信端末は、トーンマップを決定(作成)する。
【0079】
ステップS504において、受信端末は、決定したトーンマップを送信端末に通知(送信)する。
【0080】
その後、送信端末は、トーンマップに基づいてデータを受信端末に送信する(ステップS505)。この送信では、伝送路に合った高速伝送が可能である。また、受信端末は、応答を返す(ステップS506)。その後、このような送受信がさらに繰り返されてもよい。
【0081】
なお、上記では、トーンマップを作成するために、トレーニングパケットを用いる例を示したが、トレーニングパケットの代わりに通常の通信で用いられる通常のデータパケットを用いてもよい。
【0082】
送信端末及び受信端末は、駐機場20を含む外部装置及び水中ドローン30のいずれであってもよい。例えば、
図4に示すフローにおいて、送信端末が外部装置であれば、受信端末は水中ドローン30であり、送信端末が水中ドローン30であれば、受信端末は外部装置である。したがって、本実施の形態及び他の実施の形態において、水中ドローン30等の移動体は、外部装置が伝送路推定を行って水中ドローン30等の移動体に送信した伝送路推定結果(トーンマップ等の伝送路特性)を受信(取得)することで、以下で説明するように、伝送路推定結果に基づいてPHY速度を測定してもよい。
【0083】
なお、各サブキャリアのSN比、トーンマップ、PHY速度は、外部装置との信号の送受信から算出又は取得される、本開示に係る「伝送路特性を示す指標値」又は「伝送路特性」の例である。
【0084】
本実施の形態及び他の実施の形態において、伝送路推定を行うきっかけ(トリガー)は、水中ドローン30等の移動体が、GPSを利用した位置情報に基づいて、目的地(外部装置)の付近(上空や真下等)に位置すると判断した場合であってもよいし、カメラ画像に基づいて、目的地(外部装置)の付近(上空や真下等)に位置すると判断した場合であってもよい。追加的又は代替的に、伝送路推定を行うきっかけ(トリガー)は、水中ドローン30等の移動体が、所定の信号を受信又は送信した場合であってもよい。所定の信号は、例えば、上述した認証処理の終了を通知する信号であってもよい。また、所定の信号は、定期的に(例えば数秒に1回等)受信又は送信されてもよいし、GPSを利用した位置情報、カメラ画像等に基づいて、目的地(外部装置)の付近(上空や真下等)に位置すると判断した後に開始されてもよい。
【0085】
[[送受信間距離とPHY速度との関係]]
上述したトーンマップに含まれる変調レベルは、PHY速度に対応付けられている。そして、変調レベルとPHY速度との対応付けが、水中ドローン30のメモリ202に予め保存されている。そのため、水中ドローン30の測定部306は、取得されたトーンマップ及び対応付けに基づいて、PHY速度を測定することができる。
【0086】
図6は、通信装置間の距離(送受信間距離)とPHY速度との対応付けを示す図である。このような対応付けも、水中ドローン30のメモリ202に予め保存されている。上述したように、また、図示するように、送受信間距離が長くなると、伝送路の減衰量が大きくなり、通信速度が遅くなる。水中ドローン30の距離推定部307は、測定したPHY速度及び対応付けに基づいて、送受信間距離を推定することができる。
【0087】
以上により、水中ドローン30は、PHY速度から送受信間距離(駐機場20との距離)を推定することで、駐機場20に着陸することができる。
【0088】
【0089】
水中ドローン30は、駐機場20に近づくと、まず、地点T1において、親機10との間で認証処理を行う。
【0090】
認証に成功すると、水中ドローン30は、地点T1~T5において伝送路推定を行って、PHY速度を測定する。ここで、PHY速度を速い順に並べると、例えば、地点T3、地点T1、地点T4、地点T2、地点T5である。
【0091】
水中ドローン30は、最大PHY速度地点T3に移動して、そこから所定の距離降下する。
【0092】
このように、着陸地点に近づくと認証処理が始まり、着陸の誘導が行われる。したがって、本例によれば、水中ドローン30は、駐機場20の中心に近い最大PHY速度地点に移動することになるので、高精度な着陸を行うことができる。また、中心に近い地点で着陸するので、高効率に充電を行うことが可能である。
【0093】
[第2位置合わせ例]
図6の左側(平坦部分F)に示すように、水中ドローン30と駐機場20とが近づき過ぎていると、
図4のステップS402において、複数地点において測定されるPHY速度が飽和して上限に近い値ばかりを示してしまい、精度向上につながらないおそれがある。したがって、複数地点において伝送路推定から得られるPHY速度の飽和を防止するために、水中ドローン30は、AGC値等を確認しながら送信電力が大きいと判定される場合には、電力制御を行ってもよい。
【0094】
AGC値を確認することで、伝送路においてどの程度の減衰が発生しているかを把握することができる。AGC値が大きいということは、伝送路減衰が大きいために増幅度が大きいことを意味する。そのような環境では、受信した信号の電力は、大きく増幅する必要がある程、小さいことを意味し、すなわち、送受信間距離は長くなる。例えば、伝送路減衰が大きいほどAGC値を大きくして増幅度をあげて信号を増幅する必要がある。一方、AGC値が小さい(すなわち、大きく増幅する必要がない)場合は、受信した信号の電力が大きいことが示唆される。
【0095】
よって、本例の場合には、AGC値が小さくなってきたとき(言い換えると、受信した信号の電力が大きいとき)には送信電力を小さくするように制御して、相対的に伝送路減衰を大きくすることで、
図6に示す横軸のスケールを変えて、
図6の左側(平坦部分F)を用いる評価から、
図6の右側(傾斜部分S)を用いる評価に変更することができる。これにより、送受信間距離が短くなった場合でも高精度に測定を行うことが可能となる。
【0096】
図8は、本実施の形態に係る位置合わせ例を示すフローチャートである。当該位置合わせは、例えば、無線給電及び/又はデータ通信のために行われてよい。
【0097】
ステップS801は、
図4のステップS401と同じである。
【0098】
認証に成功すると、ステップS802において、水中ドローン30のAGC値確認部309は、AGC値が閾値以下であるか否かを判定する。
【0099】
AGC値が閾値以下でない場合(ステップS802においてNO)、フローはステップS804に進む。
【0100】
AGC値が閾値以下である場合(ステップS803においてYES)、ステップS803において、水中ドローン30の送信電力決定部308は、設定されている送信電力を下げるように送信電力を決定及び設定する。例えば、送信電力決定部308は、送信電力を、元の送信電力の二分の一、四分の一等の値に決定及び設定する。
【0101】
ステップS804及びS805は、それぞれ、
図4のステップS402及びS403と同じである。
【0102】
水中ドローン30は、以後、ステップS802~S805を繰り返し行うことによって、駐機場20に着陸する。なお、繰り返し回数は、予め定められていてもよいし、繰り返しの結果、駐機場20との距離が所定の値以下又は未満になるまで、繰り返しが行われてもよい。あるいは、現在地点におけるPHY速度が閾値以上になった場合、水中ドローン30は繰り返しを止めてもよい。また、繰り返しの度に、正方形の辺の長さが短くなるように複数地点が設定されてもよい。その後、水中ドローン30は、繰り返し後の位置に留まってもよいし、その位置から駐機場20まで降下してもよい。
【0103】
このように、複数地点において伝送路推定を行う前に、水中ドローン30は、AGC値を確認して送信電力を決定し(例えば、AGC値が閾値以下である場合には送信電力を元の値の二分の一、四分の一等にするように決定し、そうでない場合には送信電力を元の値のままにするように決定し)、決定した送信電力を用いて複数地点において伝送路推定を行ってもよい。
【0104】
このように、AGC値を確認することで、PHY速度の飽和が抑制される。したがって、本例によれば、水中ドローン30は、より高精度な着陸を行うことができる。
【0105】
なお、水中ドローン30は、PHY速度が飽和していることが確認された場合、上記と同様に、送信電力を下げて信号を再送して、伝送路特性を示す指標値を算出又は取得してもよい。この場合、信号を最初に送信した位置(PHY速度が飽和していることが確認された位置)と信号を再送した位置とは、同じであってもよいし、異なってもよい。
【0106】
[第3位置合わせ例]
駐機場20は、アンテナとは別に有線(制御線等)を別の駐機場20に接続することで、有線通信に対応することも可能である。また、このように有線と無線とを利用するハイブリッド端末を、1つの通信方式(例えば、LSI(Large Scale Integration))で実現することも可能である。
【0107】
このような駐機場20が存在する無線電力・データ伝送ネットワーク1において、水中ドローン30は、当該ネットワークのトポロジー情報に基づいて、着陸する駐機場を決定し、着陸する駐機場の方へ移動することができる。したがって、当該位置合わせは、マルチホップ形成のために行われてよい。
【0108】
図9は、本実施の形態に係る、トポロジー情報に基づいて着陸する駐機場を決定する状況を示す図である。
【0109】
無線電力・データ伝送ネットワーク1は、親機10と、駐機場20A~20Cと、水中ドローン30A~30Cと、を含む。親機10と駐機場20A~20Cとは、有線で接続されており、駐機場20Aと水中ドローン30Aとは無線で接続されており、駐機場20Cと水中ドローン30Cとは無線で接続されている。
【0110】
この状況で、水中ドローン30Bが、水中ドローン30Aの近くに移動し、水中ドローン30Aを介して親機10との間で認証処理を行って、無線電力・データ伝送ネットワーク1に参加したものとする。
【0111】
水中ドローン30Bは、近距離無線部を介して、当該ネットワークに参加後(認証成功後)、親機10に対してトポロジー情報(本開示に係る通信接続関係の一例)を要求することにより(トポロジー情報を要求する信号(トポロジー情報要求とも呼ぶ)を送信することにより)、その応答として親機10から送信されたトポロジー情報を受信(取得)することができる。あるいは、駐機場20A又は水中ドローン30Aがトポロジー情報を保持していれば、駐機場20A又は水中ドローン30Aが、水中ドローン30Bにトポロジー情報を送信してもよい。
【0112】
トポロジー情報は、例えば、親機10(の識別情報(ID))、駐機場20(のID)、親機10と駐機場20との接続関係、駐機場20同士の接続関係、及び、水中ドローン30の接続位置(例えば駐機場20(のID))を含んでよい。あるいは、トポロジー情報は、例えば、上記から、水中ドローン30の接続位置を除いたものであってもよい。
【0113】
本実施の形態及び他の実施の形態において、トポロジー情報を取得するきっかけ(トリガー)は、水中ドローン30等の移動体が、GPSを利用した位置情報に基づいて、目的地(外部装置)の付近(上空や真下等)に位置すると判断した場合であってもよいし、カメラ画像に基づいて、目的地(外部装置)の付近(上空や真下等)に位置すると判断した場合であってもよい。追加的又は代替的に、トポロジー情報を取得するきっかけ(トリガー)は、水中ドローン30等の移動体が、所定の信号を受信又は送信した場合であってもよい。所定の信号は、例えば、上述した認証処理の終了を通知する信号又はトポロジー情報を要求する信号であってもよい。また、所定の信号は、定期的に(例えば数秒に1回等)受信又は送信されてもよいし、GPSを利用した位置情報、カメラ画像等に基づいて、目的地(外部装置)の付近(上空や真下等)に位置すると判断した後に開始されてもよい。
【0114】
このように、水中ドローン30Bは、トポロジー情報を取得することにより、駐機場20Bに他の水中ドローン(通信装置)が接続されていないことを確認することができるので、着陸する駐機場として駐機場20Bを決定し、カメラ画像等に基づいて、駐機場20Bの方へ移動することができる。
【0115】
なお、本実施の形態及び他の実施の形態において、水中ドローン30Bがトポロジー情報を取得するために、認証処理が行われなくてもよい。例えば、親機10、駐機場20A~20C、他の駐機場30A、30Cが、ビーコンのように定期的にトポロジー情報を送信し、水中ドローン30Bは、そのトポロジー情報を受信してもよい。
【0116】
上述した水中での位置合わせ例は、空中を移動するドローン(空中ドローン)及び陸上に存在する駐機場に適用されてもよい。この場合、所望の駐機場が見つかれば、空中ドローンは、GPSを利用した位置情報、カメラ画像等に基づいて、駐機場の方へ移動することができる。あるいは、上述した水中での位置合わせ例は、空中ドローン及び無線データ伝送機能のみを有するステーションに適用されてもよい。そのようなステーションとして、荷物の搬出、搬入等のためのステーションが挙げられる。
【0117】
[第4位置合わせ例]
水中ドローンは、海中(例えば海底)における作業エリアにおいて作業(海洋探査等)を行うことが想定される。このような場合、水中ドローンが適宜データを伝送する又は充電するために、親機と駐機場又は水中ドローン(子機と呼ばれてもよい)とをマルチホップにて接続し、水中ドローンが作業を行う作業エリアを面的にカバーしてIoT(Internet of Things)ネットワーク(マルチホップネットワーク)を構築することが有用である。そのようなネットワークを構築する(マルチホップを形成する)際に、駐機場又は水中ドローンは、作業エリアを広範にカバーするために、他の通信装置との間で適切に位置合わせを行うことが望ましい。
【0118】
図10は、本実施の形態に係るマルチホップネットワーク100の一例を示す図である。
【0119】
マルチホップネットワーク100は、ホップ数が5であるマルチホップトポロジーを有する。マルチホップネットワーク100では、親機10の下に駐機場20(例えば、水中ドローン30_0によって実現)が存在し、水中ドローン30_0の下(例えば直下)に水中ドローン30_1が存在し、水中ドローン30_1の下(例えば直下)に水中ドローン30_2が存在し、水中ドローン30_2の下(例えば直下)に水中ドローン30_3が存在し、水中ドローン30_3から作業エリアWAに沿って横方向に水中ドローン30_4及び水中ドローン30_5が展開されている。作業エリアWAに対しては、水中ドローンが、横方向に面的に展開及び配置されてもよい。
【0120】
第4位置合わせ例では、駐機場への着陸と逆の動作となり、水中ドローンが、まず、駐機場からの離陸の際に下へ移動しながら、伝送路推定を行って、PHY速度を測定する。なお、この際に、水中ドローンは、水平方向に移動しながら複数地点において伝送路推定を行ってPHY速度を測定し、直下に移動しているかどうかを判定してもよい。複数の水中ドローンが、固定された水中ドローンを駐機場に見立てて同じ動作を繰り返すことにより、配置が決定される(ネットワークが構築される)。なお、予め定められた大まかな地点への移動は、カメラを利用して行われてもよい。
【0121】
図11は、本実施の形態に係る位置合わせ例を示すフローチャートである。当該位置合わせは、例えば、マルチホップ形成のために行われてよい。この例では、縦列に接続されるトポロジーが形成され、その末端の水中ドローン(ターゲットドローンと呼ぶ)に次の水中ドローン(対象ドローンと呼ぶ)が接続される。なお、複数の水中ドローンが縦列に既に接続されており、トポロジーが形成されているものとする。
【0122】
ステップS1101において、対象ドローンの認証処理部302は、親機10との間で認証処理を行って、ネットワーク(例えば無線電力・データ伝送ネットワーク1)に参加する。
【0123】
ステップS1102において、対象ドローンは、近距離無線部を介して、適宜トポロジー情報要求を送信することにより(又は定期的にトポロジー情報を受信することにより)取得されたトポロジー情報が示すトポロジーを(トポロジー管理部304によって)確認しながら、移動制御部310の制御の下、直下に降下してターゲットドローンに接続する。
【0124】
ステップS1103において、対象ドローンは、移動制御部310の制御の下、さらに直下に移動する。
【0125】
ステップS1104において、対象ドローンは、測定部306によって、伝送路推定を行って、PHY速度を測定しながら、PHY速度が閾値α(例えば40Mbps)以下になることを確認して、移動制御部310の制御の下、停止する。
【0126】
ステップS1105において、対象ドローンは、ステップS1104において停止した地点を起点として、移動制御部310の制御の下、水平方向に所定の距離ずつ移動することで、予め定められた数の複数地点において、測定部306によって、伝送路推定を行って、PHY速度を測定する。例えば、複数地点は、ステップS1104において停止した地点を重心とし、所定の距離の2倍の長さの対角線を有する任意の正方形の4つの頂点である4地点であってよいが、これに限定されるものではない。
【0127】
ステップS1106において、対象ドローンは、移動制御部310の制御の下、複数地点のうちPHY速度が一番速い地点(最大PHY速度地点)に移動する。
【0128】
ステップS1107において、対象ドローンは、ステップS1106において移動(停止)した地点を起点として、移動制御部310の制御の下、水平方向に所定の距離ずつ移動することで、最大PHY速度で、ステップS1105において測定された最大PHY速度との相対差(差の絶対値)が閾値β(例えば20Mbps)以下となるまで、1つ以上の地点において、測定部306によって、伝送路推定を行って、PHY速度を測定する。
【0129】
ステップS1108において、対象ドローンは、測定部306によって、伝送路推定を行って、PHY速度を測定しながら、移動制御部310の制御の下、相対差が閾値以下となった最大PHY速度地点から、PHY速度が閾値α以下になる地点まで降下して停止する。
【0130】
なお、ステップS1105及びS1107における所定の距離は、最大PHY速度に応じて、段階的に小さくなるように設定されてもよい。例えば、所定の距離は、はじめは1mといった第1の値に設定され、最大PHY速度が閾値γ(例えば80Mbps)以上になった場合、所定の距離は、0.5mといった、第1の値よりも小さい第2の値に設定されてもよい。
【0131】
このようにして、対象ドローンは、ターゲットドローンの略直下に移動することができ、ネットワークがカバーする領域を拡大することができる。
【0132】
この例では、縦方向にネットワークが拡大されているが、同様にして横方向にネットワークを拡大することも可能である。
【0133】
図12は、対象ドローンである水中ドローン30がネットワークを拡大するために末端のターゲットドローンである駐機場20Bの直下に接続するように移動することを示す図である。
【0134】
図12の(A)及び(B)は、
図11のステップS1102及びS1103に対応し、水中ドローン30が、トポロジーを確認しながら降下して、駐機場20Aに接続していたのが、駐機場20Bに接続するように変わることを示す。
【0135】
図12の(B)は、
図11のステップS1104にも対応し、水中ドローン30が、駐機場20Bとの間のPHY速度がα以下になることを確認して停止したことを示す。
【0136】
図12の(C)は、
図11のステップS1105~S1108に対応し、水中ドローン30が、駐機場20Bの直下に位置することを示す。
【0137】
図12の(D)は、
図11のステップS1108に対応し、水中ドローン30と駐機場20Bとの距離がある程度離れていることを示す。
【0138】
以下、いくつかのマルチホップネットワークの例について説明する。
【0139】
図13Aは、ホップ数が3であるマルチホップトポロジーを有するマルチホップネットワーク130Aの一例を示す。
【0140】
マルチホップネットワーク130Aでは、親機10の下に駐機場20(例えば、水中ドローン30_0によって実現)が存在し、水中ドローン30_0の下(例えば直下)に水中ドローン30_3が有線で接続されている。有線は、作業エリアWA付近まで延伸している。水中ドローン30_3から作業エリアWAに沿って横方向に水中ドローン30_4及び水中ドローン30_5が展開されており、水中ドローン30_3と無線で接続されている。なお、水中ドローン30_3と水中ドローン30_4及び水中ドローン30_5とが有線で接続されてもよい(全ての通信装置が有線で接続されてもよい)。また、ホップ数を少なくして作業エリアを広範囲にカバーするために、駐機場20は作業エリアWAの中心付近に位置するのがよい。
【0141】
図13Bは、ホップ数が2であるマルチホップトポロジーを有するマルチホップネットワーク130Bの一例を示す。
【0142】
マルチホップネットワーク130Bでは、親機10の下に駐機場20A(例えば、水中ドローン30_0によって実現)が存在し、水中ドローン30_0の下(例えば直下)に駐機場20Bが有線で接続されている。また、駐機場20Bから作業エリアWAに沿って横方向に駐機場20C及び駐機場20Dが展開されており、駐機場20Bと有線で接続されている。
【0143】
このように、マルチホップネットワーク130Bでは、駐機場を増加させ、各駐機場には固有の水中ドローンが着陸する形態をとる。例えば、駐機場20Bには水中ドローン30_3が着陸し、駐機場20Cには水中ドローン30_4が着陸し、駐機場20Dには水中ドローン30_4が着陸する。なお、駐機場間の接続は、マルチホップによる無線接続であってもよい。
【0144】
図13Cは、ホップ数が2であるマルチホップトポロジーを有するマルチホップネットワーク130Cの一例を示す。
【0145】
マルチホップネットワーク130Cは、マルチホップネットワーク120Bと同様であるが、各駐機場に予め定められた1つ以上の水中ドローンが着陸する形態をとる点で、マルチホップネットワーク130Bと異なる。例えば、駐機場20Bには水中ドローン30_3又は水中ドローン30_6が着陸し、駐機場20Cには水中ドローン30_4又は水中ドローン30_7が着陸し、駐機場20Dには水中ドローン30_4又は水中ドローン30_8が着陸する。駐機場に着陸可能な水中ドローンの数は、同じであってもよいし、異なってもよい。
【0146】
[動作例]
図14は、本実施の形態に係る水中ドローン30の動作例を示すフローチャートである。
【0147】
ステップS1401において、水中ドローン30は、近距離無線部を介して、無線電力・データ伝送ネットワーク1に参加している、近距離に存在する他の通信装置と近距離通信を開始する。
【0148】
ステップS1402において、水中ドローン30の認証処理部302は、親機10との間で認証処理を行って、認証に成功したか否かを判定する。
【0149】
認証に失敗した場合(ステップS1402においてNO)、フローは終了する。
【0150】
一方、認証に成功した場合(ステップS1402においてYES)、ステップS1403において、水中ドローン30のトポロジー管理部304又は測定部306(指標取得部又は指標算出部と呼ぶ)は、指標情報を取得(算出)する。指標情報は、例えば、他の通信装置との間の伝送路特性(を示す指標値)(SN比、トーンマップ、PHY速度等)であってもよいし、無線電力・データ伝送ネットワーク1の通信接続関係(トポロジー情報等)であってもよい。
【0151】
ステップS1404において、水中ドローン30の移動制御部310は、ステップS1403において取得された指標情報等に基づいて、現在地点が適切であるか否かを判定する。
【0152】
現在地点が適切である場合(ステップS1404においてYES)、ステップS1408において、水中ドローン30は、移動制御部310の制御の下、移動を停止する。
【0153】
ステップS1409において、水中ドローン30は、作業を行う、データを送受信する、給電又は受電を行う等の処理を開始する。次いで、フローは終了する。
【0154】
一方、現在地点が適切でない場合(ステップS1404においてNO)、ステップS1405において、水中ドローン30の移動制御部310は、移動方向を決定する。
【0155】
ステップS1406において、水中ドローン30は、移動制御部310の下、ステップS1405において決定された移動方向に移動する。
【0156】
ステップS1407において、水中ドローン30の指標取得部は、指標情報を再取得する。以後、ステップS1404に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0157】
図15は、本実施の形態に係る水中ドローン30の動作例を示すフローチャートである。
【0158】
ステップS1501において、水中ドローン30は、近距離無線部を介して、無線電力・データ伝送ネットワーク1に参加している、近距離に存在する他の通信装置と近距離通信を開始する。
【0159】
ステップS1502において、水中ドローン30の認証処理部302は、親機10との間で認証処理を行って、認証に成功したか否かを判定する。
【0160】
認証に失敗した場合(ステップS1502においてNO)、フローは終了する。
【0161】
一方、認証に成功した場合(ステップS1502においてYES)、ステップS1503において、水中ドローン30の測定部306は、1つ以上の地点において伝送路特性を取得する。伝送路特性は、例えば、SN比、トーンマップ、PHY速度等であってよい。なお、水中ドローン30が、水平方向に移動して複数地点において伝送路特性を取得する場合、水中ドローン30は、算出された伝送路特性とは関係なく、移動制御部310の制御の下、予め定められた方向、ランダムに決定される方向、カメラ画像から決定される方の他の地点へと(例えばゆっくりと)移動する。
【0162】
ステップS1504において、水中ドローン30の移動制御部310は、ステップS1503において取得された伝送路特性に基づいて、現在地点が適切であるか否かを判定する。
【0163】
現在地点が適切である場合(ステップS1504においてYES)、ステップS1508において、水中ドローン30は、移動制御部310の制御の下、移動を停止する。
【0164】
例えば、水中ドローン30が充電及び/又はデータ通信のために位置合わせを行う場合、現在地点における伝送路特性(PHY速度)が閾値以上であれば、移動制御部310は、現在地点が適切であると判定し、現在地点に水中ドローン30を停止させる。
【0165】
また、例えば、水中ドローン30がマルチホップ形成のために位置合わせを行う場合、現在地点における伝送路特性(PHY速度)が閾値以下であれば、移動制御部310は、現在地点が適切であると判定し、現在地点に水中ドローン30を停止させる。
【0166】
ステップS1509において、水中ドローン30は、作業を行う、データを送受信する、充電を行う等の処理を開始する。次いで、フローは終了する。
【0167】
一方、現在地点が適切でない場合(ステップS1504においてNO)、ステップS1505において、水中ドローン30の移動制御部310は、移動方向を決定する。
【0168】
例えば、水中ドローン30が充電及び/又はデータ通信のために位置合わせを行う場合、現在地点が、複数地点において測定された伝送路特性(PHY速度)のうち最大の伝送路特性が測定された地点でなければ、移動制御部310は、現在地点が適切でないと判定し、移動方向を、水平方向であって、かつ、最大の伝送路特性が測定された地点への方向(伝送路特性が高くなる方向)に決定する。
【0169】
また、例えば、水中ドローン30が充電及び/又はデータ通信のために位置合わせを行う場合、現在地点における伝送路特性(PHY速度)が閾値未満であれば、移動制御部310は、現在地点が適切でないと判定し、移動方向を、水平方向であって、かつ、予め定められた方向、ランダムに決定される方向、カメラ画像から決定される方向等に決定する。
【0170】
また、例えば、水中ドローン30がマルチホップ形成のために位置合わせを行う場合、現在地点における伝送路特性(PHY速度)が閾値よりも大きければ、移動制御部310は、現在地点が適切でないと判定し、移動方向を、伝送路特性が取得された相手である外部装置から離れる方向である真下方向(伝送路特性が低くなる方向)に決定する。
【0171】
ステップS1506において、水中ドローン30は、移動制御部310の制御の下、ステップS1505において決定された移動方向に移動する。
【0172】
ステップS1507において、水中ドローン30の測定部306は、伝送路特性を再取得する。以後、ステップS1504に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0173】
図16は、本実施の形態に係る水中ドローン30の動作例を示すフローチャートである。
【0174】
ステップS1601において、水中ドローン30は、近距離無線部を介して、無線電力・データ伝送ネットワーク1に参加している、近距離に存在する他の通信装置と通信を開始する。
【0175】
ステップS1602において、水中ドローン30の認証処理部302は、親機10との間で認証処理を行って、認証に成功したか否かを判定する。
【0176】
認証に失敗した場合(ステップS1602においてNO)、フローは終了する。
【0177】
一方、認証に成功した場合(ステップS1602においてYES)、ステップS1603において、水中ドローン30のトポロジー管理部304は、無線電力・データ伝送ネットワーク1の通信接続関係を取得する。通信接続関係は、例えば、無線電力・データ伝送ネットワーク1のトポロジー情報であってよい。
【0178】
ステップS1604において、水中ドローン30の移動制御部310は、ステップS1603において取得された通信接続関係に基づいて、現在地点が適切であるか否かを判定する。
【0179】
現在地点が適切である場合(ステップS1604においてYES)、ステップS1608において、水中ドローン30は、移動制御部310の制御の下、移動を停止する。
【0180】
例えば、水中ドローン30が所望のトポロジーを形成するために位置合わせを行う場合、トポロジー情報に基づいて、現在地点が、所望の接続位置(例えば、空いている駐機場)であれば、移動制御部310は、現在地点が適切であると判定し、現在地点に水中ドローン30を停止させる。
【0181】
ステップS1609において、水中ドローン30は、作業を行う、データを送受信する、充電を行う等の処理を開始する。次いで、フローは終了する。
【0182】
一方、現在地点が適切でない場合(ステップS1604においてNO)、ステップS1605において、水中ドローン30の移動制御部310は、移動方向を決定する。
【0183】
例えば、水中ドローン30が所望のトポロジーを形成するために位置合わせを行う場合、トポロジー情報に基づいて、現在地点が、所望の接続位置(例えば、空いている駐機場)でなければ、移動制御部310は、現在地点が適切でないと判定し、移動方向を、他の駐機場又は水中ドローン等の目的地への方向に決定する。
【0184】
ステップS1606において、水中ドローン30は、移動制御部310の制御の下、ステップS1605において決定された移動方向に移動する。
【0185】
例えば、水中ドローン30は、カメラ画像等に基づいて、移動制御部310の制御の下、目的地への方向に移動する。なお、空中ドローンの場合には、空中ドローンは、GPSを利用した位置情報等にも基づいて、移動制御部310の制御の下、目的地への方向に移動してもよい。
【0186】
ステップS1607において、水中ドローン30のトポロジー管理部304は、通信接続関係を再取得する。以後、ステップS1604に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0187】
図17A及び
図17Bは、本実施の形態に係る水中ドローン30の動作例を示すフローチャートである。
【0188】
ステップS1701において、水中ドローン30は、近距離無線部を介して、無線電力・データ伝送ネットワーク1に参加している、近距離に存在する他の通信装置と通信を開始する。
【0189】
ステップS1702において、水中ドローン30の認証処理部302は、親機10との間で認証処理を行って、認証に成功したか否かを判定する。
【0190】
認証に失敗した場合(ステップS1702においてNO)、フローは終了する。
【0191】
一方、認証に成功した場合(ステップS1702においてYES)、ステップS1703において、水中ドローン30のトポロジー管理部304は、無線電力・データ伝送ネットワーク1の通信接続関係を取得する。通信接続関係は、例えば、無線電力・データ伝送ネットワーク1のトポロジー情報であってよい。
【0192】
ステップS1704において、水中ドローン30の移動制御部310は、ステップS1703において取得された通信接続関係に基づいて、現在地点が適切であるか否かを判定する。
【0193】
現在地点が適切である場合(ステップS1704においてYES)、フローはステップS1708に進む。
【0194】
例えば、水中ドローン30が所望のトポロジーを形成するために位置合わせを行う場合、トポロジー情報に基づいて、現在地点が、所望の接続位置(例えば、トポロジーの末端)であれば、移動制御部310は、現在地点が適切であると判定する。
【0195】
現在地点が適切でない場合(ステップS1704においてNO)、ステップS1705において、水中ドローン30の移動制御部310は、移動方向を決定する。
【0196】
例えば、水中ドローン30が所望のトポロジーを形成するために位置合わせを行う場合、トポロジー情報に基づいて、現在地点が、所望の接続位置(例えば、トポロジーの末端)でなければ、移動制御部310は、現在地点が適切でないと判定し、移動方向を、移動ルートに沿った方向(例えば、末端に存在する通信装置の方向(例えば真下))に決定する。
【0197】
ステップS1706において、水中ドローン30は、移動制御部310の制御の下、ステップS1705において決定された移動方向に移動する。
【0198】
ステップS1707において、水中ドローン30のトポロジー管理部304は、通信接続関係を再取得する。以後、ステップS1704に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0199】
ステップS1708において、水中ドローン30の測定部306は、1つ以上の地点において伝送路特性を取得する。伝送路特性は、例えば、SN比、トーンマップ、PHY速度等であってよい。なお、水中ドローン30が、水平方向に移動して複数地点において伝送路特性を取得する場合、水中ドローン30は、算出された伝送路特性とは関係なく、移動制御部310の制御の下、予め定められた方向、ランダムに決定される方向、カメラ画像から決定される方の他の地点へと(例えばゆっくりと)移動する。
【0200】
ステップS1709において、水中ドローン30の移動制御部310は、ステップS1708において取得された伝送路特性に基づいて、現在地点が適切であるか否かを判定する。
【0201】
現在地点が適切である場合(ステップS1709においてYES)、ステップS1713において、水中ドローン30は、移動制御部310の制御の下、移動を停止する。
【0202】
例えば、水中ドローン30が所望のトポロジーを形成するために位置合わせを行う場合、現在地点における伝送路特性(PHY速度)が閾値以下であれば、移動制御部310は、現在地点が適切であると判定し、現在地点に水中ドローン30を停止させる。
【0203】
ステップS1714において、水中ドローン30は、作業を行う、データを送受信する、充電を行う等の処理を開始する。次いで、フローは終了する。
【0204】
一方、現在地点が適切でない場合(ステップS1709においてNO)、ステップS1710において、水中ドローン30の移動制御部310は、移動方向を決定する。
【0205】
例えば、水中ドローン30が所望のトポロジーを形成するために位置合わせを行う場合、現在地点における伝送路特性(PHY速度)が閾値よりも大きければ、移動制御部310は、現在地点が適切でないと判定し、移動方向を、伝送路特性が取得された相手である外部装置から離れる方向である真下方向(伝送路特性が低くなる方向)に決定する。
【0206】
ステップS1711において、水中ドローン30は、移動制御部310の制御の下、ステップS1710において決定された移動方向に移動する。
【0207】
ステップS1712において、水中ドローン30の測定部306は、伝送路特性を再取得する。以後、ステップS1709に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0208】
本実施の形態において説明したCPU201の機能部は、適宜、他の機能部と統合されてもよいし、2つ以上のサブ機能部に分割されてもよい。また、本実施の形態において説明したフローチャート等に示すステップの順番は、図示する順番に限定されるものではない。
【0209】
<実施の形態1における効果>
本実施の形態に係る水中ドローン30は、近距離アンテナ210及び近距離無線通信回路211を介して、親機10、駐機場20、他の水中ドローン30等といった外部装置と無線通信を行う。水中ドローン30のCPU201(測定部306)は、外部装置と信号を送受信することで、外部装置との間の伝送路特性を示す指標値(SN比、トーンマップ、PHY速度等)を取得する。水中ドローン30のCPU201(移動制御部310)は、この指標値に基づいて、水中ドローン30が移動する位置又は方向を決定し、決定された位置又は方向に水中ドローン30を移動させる。これにより、水中ドローン30が移動する位置又は方向が、水中ドローン30周辺の環境要因を受けにくい、外部装置との間の伝送路特性を示す指標値に基づいて決定され、水中ドローン30が決定された位置又は方向に移動するように制御されるので、位置合わせの精度を向上させることができる。
【0210】
また、本実施の形態に係る水中ドローン30は、近距離アンテナ210及び近距離無線通信回路211を介して、親機10、駐機場20、他の水中ドローン30等といった外部装置と無線通信を行う。水中ドローン30のCPU201(トポロジー管理部304)は、トポロジー情報要求を送信することで、又は、トポロジー情報要求を送信することなく定期的に、親機10等から、通信ネットワーク(例えば、無線電力・データ伝送ネットワーク1)のトポロジー情報を取得する。水中ドローン30のCPU201(移動制御部310)は、トポロジー情報に基づいて、水中ドローン30が移動する位置又は方向を決定し、決定された位置又は方向に水中ドローン30を移動させる。これにより、水中ドローン30が移動する位置又は方向が、水中ドローン30周辺の環境要因を受けにくい、通信ネットワークのトポロジー情報に基づいて決定され、水中ドローン30が決定された位置又は方向に移動するように制御されるので、位置合わせの精度を向上させることができる。
【0211】
<実施の形態1のまとめ>
本開示の一実施例に係る移動体は、外部装置と無線通信を行う通信部と、前記外部装置との間の伝送路特性を示す第1指標値を取得する指標取得部と、前記第1指標値に基づいて、前記移動体が移動する第1位置又は第1方向を決定し、前記第1位置又は前記第1方向に前記移動体を移動させる移動制御部と、備える。
【0212】
本移動体において、前記指標取得部は、複数の地点にそれぞれ対応する複数の前記第1指標値を取得し、前記移動制御部は、前記第1位置を、前記複数の地点のうち、複数の前記第1指標値の最大値が取得された地点に決定する。
【0213】
本移動体において、前記指標取得部は、前記通信部が第1送信電力で前記外部装置に送信した第1信号に基づいて、前記第1指標値を取得し、前記移動体が前記第1位置に移動した後、前記指標取得部は、前記通信部が前記第1送信電力よりも低い第2送信電力で前記外部装置に送信した第2信号に基づいて、前記伝送路特性を示す第2指標値を取得し、前記移動制御部は、前記第2指標値に基づいて、前記移動体が移動する第2位置又は第2方向を決定し、前記第2位置又は前記第2方向に前記移動体を移動させる。
【0214】
本移動体において、前記移動制御部は、前記第1指標値が第1閾値よりも高い場合、前記第1方向を、前記外部装置から離れる方向に決定する。
【0215】
本移動体において、前記移動制御部は、前記第1指標値が第1閾値以下である場合、前記第1指標値が取得された地点に前記移動体を停止させる。
【0216】
本開示の一実施例に係る移動制御方法は、外部装置と無線通信を行う移動体が、前記外部装置との間の伝送路特性を示す指標値を取得し、前記指標値に基づいて、前記移動体が移動する位置又は方向を決定し、前記位置又は前記方向に前記移動体を移動させる。
【0217】
本開示の一実施例に係る移動体は、外部装置と無線通信を行う通信部と、前記外部装置との通信により、前記外部装置及び他の通信装置を含む通信ネットワークの通信接続関係を取得する取得部と、前記通信接続関係に基づいて、前記移動体が移動する第1方向を決定し、前記第1方向に前記移動体を移動させる移動制御部と、を備える。
【0218】
本移動体において、前記通信接続関係により、前記他の通信装置が前記通信ネットワークの末端に存在することが示される場合、前記移動制御部は、前記第1方向を、前記他の通信装置の方向に決定する。
【0219】
本移動体は、前記他の通信装置との間の伝送路特性を示す指標値を取得する指標取得部をさらに備え、前記移動制御部は、前記指標値に基づいて、前記移動体が移動する第2方向を決定し、前記第2方向に前記移動体を移動させる。
【0220】
本移動体において、前記移動制御部は、前記指標値が閾値よりも高い場合、前記第2方向を、前記他の通信装置から離れる方向に決定する。
【0221】
本移動体において、前記通信接続関係により、前記他の通信装置に無線接続している通信装置が存在しないことが示される場合、前記移動制御部は、前記第1方向を、前記他の通信装置の方向に決定する。
【0222】
本開示の一実施例に係る移動制御方法は、外部装置と無線通信を行う移動体が、前記外部装置との通信により、前記外部装置及び他の通信装置を含む通信ネットワークの通信接続関係を取得し、前記通信接続関係に基づいて、前記移動体が移動する方向を決定し、前記方向に前記移動体を移動させる。
【0223】
(実施の形態2)
<無線電力・データ伝送システムの構成>
実施の形態1では、主として、水上(例えば海上)及び水中(例えば海中)に配置される無線電力・データ伝送システムについて説明したが、実施の形態2では、無線電力・データ伝送システムは、海上及び海中に配置されることもあるし、地上及び空中に配置されることもあるし、淡水上及び淡水中に配置されることもあるし、これらの組み合わせであることもある。実施の形態1に係る無線電力・データ伝送システム1には水中ドローン30が含まれるものであったが、実施の形態2に係る無線電力・データ伝送システムでは、水中ドローン30が、水中ドローン及び空中ドローン(又は水中も空中も地上も移動可能なドローン(以下、水陸両用ドローンと呼ぶ))を含むドローン30’で読み替えられる。ドローン30’は、本開示に係る「移動体」の一例である。
【0224】
<無線電力・データ伝送システムの構成>
[ドローンの構成]
図18は、ドローン30’のCPU201の機能構成例を示す図である。なお、ドローン30と同一の要素については説明を省略する。
【0225】
図18に示すように、ドローン30’は、
図3に示す要素に加えて、ユーザ入力情報取得部311と、センサ情報取得部312と、モード決定部313と、プロファイル選択部314と、を備える。
【0226】
ユーザ入力情報取得部311は、UI203を介して又は移動通信ネットワーク及びブラウザ等を介してユーザによって入力された情報(ユーザ入力情報)を、ユーザから取得する。ユーザ入力情報は、例えば、ドローン30’の動作環境に関するモード(ドローン30’が動作するモード)を指定するものであってよい。そのようなモードは、空中モード、海水モード及び淡水モードを含んでもよいし、空中モード及び水中モードを含んでもよい。
【0227】
センサ情報取得部312は、センサ207によって測定又はセンシングされたセンサ情報を、センサ207から取得する。センサ情報は、例えば、水分が検知されたか(存在するか)否かを示す情報、塩分濃度、気圧等を含む。なお、センサ情報は、GPSを利用した位置情報を含んでもよい。すなわち、GPS受信機205は、センサ207の一部であると解されてもよい。
【0228】
モード決定部313は、ユーザ入力情報、センサ情報等に基づいて、ドローン30’の動作環境に関するモード(ドローン30’が移動する媒体、ドローン30’が存在する媒体等)を決定する。
【0229】
プロファイル選択部314は、モード決定部313によって決定されたモードに対応する、PHY速度のプロファイルを選択する。プロファイル選択部314は、本開示に係る「選択部」の一例である。
【0230】
図19は、ある同じ一定の送信電力の場合の異なる通信媒体におけるPHY速度のプロファイルを示す図である。
【0231】
図19の(A)は、通信媒体が空気である場合のPHY速度のプロファイルを示し、
図19の(B)は、通信媒体が淡水である場合のPHY速度のプロファイルを示し、
図19の(C)は、通信媒体が海水である場合のPHY速度のプロファイルを示す。なお、ドローン30’が水陸両用ドローンである場合には、ドローン30’は、
図19の(A)に示すような空中用のプロファイル、
図19の(B)に示すような淡水用のプロファイル及び
図19の(C)に示すような海水用のプロファイルを、メモリ202に保持してよい。また、ドローン30’が水中ドローンである場合には、ドローン30’は、
図19の(B)に示すような淡水用のプロファイル及び
図19の(C)に示すような海水用のプロファイルを、メモリ202に保持してよい。
【0232】
図19に示すように、通信媒体が空気である場合が、最も送受信間距離(通信距離)が長く、通信媒体が淡水である場合、通信媒体が空気である場合よりも送受信間距離が短くなり、通信媒体が海水である場合、送受信間距離がさらに短くなる。
【0233】
このように、同じPHY速度でも通信媒体が異なる場合では送受信間距離が異なるため、ドローンが移動する環境(すなわち通信媒体)に応じて適切なプロファイルを選択しないと、適切に距離を推定することができない。
【0234】
上記に鑑みて、ドローン30’が異なる通信媒体を移動しても、通信相手との距離を適切に推定するための解決策について説明する。
【0235】
<無線電力・データ伝送システムの動作>
[第1モード決定例]
図20は、本実施の形態に係るモード決定例を示すフローチャートである。
【0236】
ステップS2001において、モード決定部313は、ユーザ入力情報取得部311によって取得されたユーザ入力情報に基づいて、ユーザによってモードが指定されているか否かを判定する。
【0237】
ユーザによってモードが指定されている場合(ステップS2001においてYES)、ステップS2002において、モード決定部313は、ドローン30’の動作環境に関するモードを、ユーザによって指定されたモードに決定する。そして、フローは終了する。
【0238】
一方、ユーザによってモードが指定されていない場合(ステップS2001においてNO)、ステップS2003において、モード決定部313は、GPS受信機205によって測定された位置(例えば、緯度及び経度)の情報と、メモリ202に保存されている地図情報と、を用いて、ドローン30’が水上に存在するか否かを判定する。ここで、水上とは、ドローン30’が水に接していることを意味するのではなく、測定された緯度及び経度が、海や湖等に重なっていることを意味する。
【0239】
ドローン30’が水上に存在しない場合(ステップS2003においてNO)、ステップS2007において、モード決定部313は、ドローン30’の動作環境に関するモードを、空中モードに決定する。そして、フローは終了する。
【0240】
一方、ドローン30’が水上に存在する場合(ステップS2003においてYES)、ステップS2004において、モード決定部313は、センサ情報取得部312によって取得されたセンサ情報に基づいて、水分を検知したか否かを判定する。
【0241】
水分を検知しなかった場合(ステップS2004においてNO)、ステップS2007において、モード決定部313は、ドローン30’の動作環境に関するモードを、空中モードに決定する。そして、フローは終了する。
【0242】
一方、水分を検知した場合(ステップS2004においてYES)、ステップS2005において、モード決定部313は、センサ情報取得部312によって取得されたセンサ情報に基づいて、気圧が閾値以上であるか否かを判定する。
【0243】
気圧が閾値以上でない場合(ステップS2005においてNO)、ステップS2007において、モード決定部313は、ドローン30’の動作環境に関するモードを、空中モードに決定する。そして、フローは終了する。
【0244】
一方、気圧が閾値以上である場合(ステップS2005においてYES)、ステップS2006において、モード決定部313は、センサ情報取得部312によって取得されたセンサ情報に基づいて、塩分濃度が閾値以上であるか否かを判定する。
【0245】
塩分濃度が閾値以上である場合(ステップS2006においてYES)、ステップS2008において、モード決定部313は、ドローン30’の動作環境に関するモードを、海水モードに決定する。そして、フローは終了する。
【0246】
一方、塩分濃度が閾値以上でない場合(ステップS2006においてNO)、ステップS2009において、モード決定部313は、ドローン30’の動作環境に関するモードを、淡水モードに決定する。そして、フローは終了する。
【0247】
なお、第1モード決定例において、ドローン30’が水陸両用ドローンでない場合、ステップS2003はスキップされてもよい。
【0248】
[第2モード決定例]
図21は、本実施の形態に係るモード決定例を示すフローチャートである。この例では、ドローン30’が、GPS機能を利用しない又は有しないものとする。
【0249】
ステップS2101において、モード決定部313は、ユーザ入力情報取得部311によって取得されたユーザ入力情報に基づいて、ユーザによってモードが指定されているか否かを判定する。
【0250】
ユーザによってモードが指定されている場合(ステップS2101においてYES)、ステップS2102において、モード決定部313は、ドローン30’の動作環境に関するモードを、ユーザによって指定されたモードに決定する。そして、フローは終了する。
【0251】
一方、ユーザによってモードが指定されていない場合(ステップS2101においてNO)、ステップS2103において、モード決定部313は、センサ情報取得部312によって取得されたセンサ情報に基づいて、水分を検知したか否かを判定する。
【0252】
水分を検知しなかった場合(ステップS2103においてNO)、ステップS2104において、モード決定部313は、センサ情報取得部312によって取得されたセンサ情報に基づいて、気圧が閾値以上であるか否かを判定する。
【0253】
一方、水分を検知した場合(ステップS2103においてYES)、フローはステップS2105に進む。
【0254】
気圧が閾値以上でない場合(ステップS2104においてNO)、ステップS2106において、モード決定部313は、ドローン30’の動作環境に関するモードを、空中モードに決定する。そして、フローは終了する。
【0255】
一方、気圧が閾値以上である場合(ステップS2104においてYES)、フローはステップS2105に進む。
【0256】
ステップS2105において、モード決定部313は、センサ情報取得部312によって取得されたセンサ情報に基づいて、塩分濃度が閾値以上であるか否かを判定する。
【0257】
塩分濃度が閾値以上である場合(ステップS2105においてYES)、ステップS2107において、モード決定部313は、ドローン30’の動作環境に関するモードを、海水モードに決定する。そして、フローは終了する。
【0258】
一方、塩分濃度が閾値以上でない場合(ステップS2105においてNO)、ステップS2108において、モード決定部313は、ドローン30’の動作環境に関するモードを、淡水モードに決定する。そして、フローは終了する。
【0259】
なお、第2モード決定例において、ドローン30’が水陸両用ドローンでない場合、ステップS2103及びS2104はスキップされてもよい。
【0260】
[第3モード決定例]
図22は、本実施の形態に係るモード決定例を示すフローチャートである。この例では、ドローン30’が空中モードで動作するか又は水中モードで動作するかが、ユーザによって指定され、ドローン30’が水中モードで動作する場合、ドローン30’が淡水モードで動作するか又は海水モードで動作するかは、自動的に決定される。
【0261】
ステップS2201において、モード決定部313は、ユーザ入力情報取得部311によって取得されたユーザ入力情報に基づいて、ユーザによって水中モードが指定されているか否かを判定する。
【0262】
ユーザによって水中モードが指定されていない場合(ステップS2201においてNO)、ステップS2203において、モード決定部313は、ドローン30’の動作環境に関するモードを、空中モードに決定する。そして、フローは終了する。
【0263】
一方、ユーザによって水中モードが指定されている場合(ステップS2201においてYES)、ステップS2202において、モード決定部313は、センサ情報取得部312によって取得されたセンサ情報に基づいて、塩分濃度が閾値以上であるか否かを判定する。
【0264】
塩分濃度が閾値以上である場合(ステップS2202においてYES)、ステップS2204において、モード決定部313は、ドローン30’の動作環境に関するモードを、海水モードに決定する。そして、フローは終了する。
【0265】
一方、塩分濃度が閾値以上でない場合(ステップS2202においてNO)、ステップS2205において、モード決定部313は、ドローン30’の動作環境に関するモードを、淡水モードに決定する。そして、フローは終了する。
【0266】
上述した第1モード決定例~第3モード決定例において、ドローン30’が陸上を移動可能である場合にも、空中モードが採用されてよい。
【0267】
[動作例]
次に、
図23を参照してドローン30’の動作例について説明する。
図23に示す処理は、例えば、ドローン30’が起動したときに開始されてよい。
【0268】
ステップS2301において、ユーザ入力情報取得部311は、ユーザからユーザ入力情報を取得する。
【0269】
ステップS2302において、センサ情報取得部312は、センサ207からセンサ情報を取得する。
【0270】
ステップS2303において、モード決定部313は、ドローン30’の動作環境に関するモードを決定する。モード決定部313は、例えば、
図20~
図22を参照して説明したように、モードを決定してよい。
【0271】
ステップS2304において、プロファイル選択部314は、複数のプロファイルから、ステップS2303において決定されたモードに対応するプロファイルを選択する。例えば、決定されたモードが空中モードである場合、
図19の(A)に示すようなプロファイルが選択され、決定されたモードが淡水モードである場合、
図19の(B)に示すようなプロファイルが選択され、決定されたモードが海水モードである場合、
図19の(C)に示すようなプロファイルが選択される。
【0272】
ステップS2305において、測定部306は、通信相手との間の伝送路特性を取得し、PHY速度を測定する。伝送路特性の取得及びPHY速度の測定は、実施の形態1において説明したように行われてよい。例えば、AGC値が閾値以下である場合、送信電力を下げる制御が行われてもよい。
【0273】
ステップS2306において、距離推定部307は、ステップS2304において選択されたプロファイルを用いて、通信相手との距離を推定する。
【0274】
ステップS2307において、移動制御部310は、ステップS2303において決定されたモードに対応する駆動系204(例えば、空中モードの場合、プロペラ等;淡水モード又は海水モードの場合、スクリュー等)を制御して、ドローン30’を移動させる又は停止させる。なお、ドローン30’が移動する条件、ドローン30’が移動する方向の決定、ドローン30’が停止する条件等については、実施の形態1における説明が適用されてよい。
【0275】
なお、ステップS2307の後、所定値以上の移動が行われた場合(例えば、GPSを利用した位置情報により所定値以上の移動が行われた、モータの回転数が閾値を超えた等の場合)、
図23に示す処理が、ステップS2301又はS2302から、再度行われてもよい。
【0276】
また、直前の値から閾値以上の変化があったセンサ情報が取得される度に、
図23に示す処理が、ステップS2301、S2302又はS2303から、再度行われてもよい。
【0277】
上記では、モード決定は、ユーザ入力情報及び/又はセンサ情報に基づいて行われる例について説明したが、モード決定は、代替的に又は追加的に、他の情報に基づいて行われてもよい。例えば、モード決定は、ユーザ入力情報、センサ情報、及び/又は、外部装置からの通信情報に基づいて行われてもよい。
【0278】
上記では、
図23に示す処理が、ドローン30’が起動したときに行われて、モードが決定される例について説明したが、ドローン30’が起動したときにモード決定が行われなくてもよい。例えば、ドローン30’が起動したときに、ドローン30’を最後にオフにした直前のモードが利用されてもよい。
【0279】
上記では、ユーザ入力情報は、モード自体の情報である例について説明したが、ユーザ入力情報は、モードを決定する条件に関する情報であってもよい。
【0280】
本実施の形態において説明したCPU201の機能部は、適宜、他の機能部と統合されてもよいし、2つ以上のサブ機能部に分割されてもよい。また、本実施の形態において説明したフローチャート等に示すステップの順番は、図示する順番に限定されるものではない。
【0281】
<実施の形態2における効果>
空気、海水、淡水等といった複数の媒体を移動可能なドローン30’は、近距離アンテナ210及び近距離無線通信回路211を介して、親機10、駐機場20、他のドローン30’等といった外部装置と無線通信を行う。ドローン30’のCPU201(測定部306)は、外部装置と信号を送受信することで、外部装置との間の伝送路特性(SN比、トーンマップ、PHY速度等)を取得する。ドローン30’のCPU201(プロファイル選択部314)は、複数の異なる媒体にそれぞれ対応する複数のプロファイルから、ドローン30’が存在する媒体に対応するプロファイルを選択する。ドローン30’のCPU201(距離推定部307)は、取得された伝送路特性と選択されたプロファイルとに基づいて、外部装置との距離を推定する。これにより、ドローン30’と外部装置との距離が、ドローン30’が存在する媒体に対応するプロファイルに基づいて推定されるので、ドローン30’は、複数の異なる媒体を介して移動する際に、どの媒体においても距離推定の誤差を抑制することができる。
【0282】
<実施の形態2のまとめ>
本開示の一実施例に係る移動体は、複数の異なる媒体を移動可能な移動体であって、外部装置と無線通信を行う通信部と、前記外部装置との間の伝送路特性を取得する指標取得部と、前記移動体が存在する媒体に対応するプロファイルを選択する選択部と、前記伝送路特性と前記プロファイルとに基づいて、前記外部装置との距離を推定する距離推定部と、を備える。
【0283】
本移動体は、前記移動体の周囲環境の状態を測定するセンサと、前記周囲環境の状態に基づいて、前記移動体が存在する媒体を決定する決定部と、をさらに備える。
【0284】
本移動体において、前記複数の異なる媒体は、空気、海水及び淡水を含む。
【0285】
本移動体において、前記センサは、塩分センサを含み、前記決定部は、前記塩分センサによって測定された塩分濃度が閾値以上である場合、前記移動体が存在する媒体を前記海水に決定する。
【0286】
本移動体において、前記プロファイルは、前記移動体が存在する媒体における通信装置間の距離と伝送路特性とを対応付けている。
【0287】
本開示の一実施例に係る距離推定方法は、複数の異なる媒体を移動可能であり、外部装置と無線通信を行う移動体が、前記外部装置との間の伝送路特性を取得し、前記移動体が存在する媒体に対応するプロファイルを選択し、前記伝送路特性と前記プロファイルとに基づいて、前記外部装置との距離を推定する。
【0288】
上述の実施の形態においては、各構成要素に用いる「・・・部」という表記は、「・・・回路(circuitry)」、「・・・アッセンブリ」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。
【0289】
以上、図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかである。そのような変更例又は修正例についても、本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態における各構成要素は任意に組み合わされてよい。
【0290】
本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部又は全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0291】
集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。
【0292】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0293】
本開示は、通信機能を持つあらゆる種類の装置、デバイス、システム(通信装置と総称)において実施可能である。通信装置は無線送受信機(トランシーバー)と処理/制御回路を含んでもよい。無線送受信機は受信部と送信部、またはそれらを機能として、含んでもよい。無線送受信機(送信部、受信部)は、RF(Radio Frequency)モジュールと1または複数のアンテナを含んでもよい。RFモジュールは、増幅器、RF変調器/復調器、またはそれらに類するものを含んでもよい。通信装置の、非限定的な例としては、電話機(携帯電話、スマートフォン等)、タブレット、パーソナル・コンピューター(PC)(ラップトップ、デスクトップ、ノートブック等)、カメラ(デジタル・スチル/ビデオ・カメラ等)、デジタル・プレーヤー(デジタル・オーディオ/ビデオ・プレーヤー等)、着用可能なデバイス(ウェアラブル・カメラ、スマートウオッチ、トラッキングデバイス等)、ゲーム・コンソール、デジタル・ブック・リーダー、テレヘルス・テレメディシン(遠隔ヘルスケア・メディシン処方)デバイス、通信機能付きの乗り物又は移動輸送機関(自動車、飛行機、船等)、及び上述の各種装置の組み合わせがあげられる。
【0294】
通信装置は、持ち運び可能又は移動可能なものに限定されず、持ち運びできない又は固定されている、あらゆる種類の装置、デバイス、システム、例えば、スマート・ホーム・デバイス(家電機器、照明機器、スマートメーター又は計測機器、コントロール・パネル等)、自動販売機、その他IoT(Internet of Things)ネットワーク上に存在し得るあらゆる「モノ(Things)」をも含む。
【0295】
通信には、セルラーシステム、無線LANシステム、通信衛星システム等によるデータ通信に加え、これらの組み合わせによるデータ通信も含まれる。
【0296】
また、通信装置には、本開示に記載される通信機能を実行する通信デバイスに接続又は連結される、コントローラやセンサー等のデバイスも含まれる。例えば、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスが使用する制御信号やデータ信号を生成するような、コントローラやセンサーが含まれる。
【0297】
また、通信装置には、上記の非限定的な各種装置と通信を行う、あるいはこれら各種装置を制御する、インフラストラクチャ設備、例えば、基地局、アクセスポイント、その他あらゆる装置、デバイス、システムが含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0298】
本開示は、移動体の位置合わせ技術に有用である。
【符号の説明】
【0299】
1 無線電力・データ伝送システム
10 電源・通信設備
20 駐機場
30 水中ドローン
201 CPU
202 メモリ
203 UI
204 駆動系
205 GPS受信機
206 カメラ
207 センサ
208 長距離アンテナ
209 長距離無線通信回路
210 近距離アンテナ
211 近距離無線通信回路
212 受電アンテナ
213 受電回路
214 バッテリ
215 電源回路
301 パケット解析部
302 認証処理部
303 リンクコスト算出部
304 トポロジー管理部
305 パケット生成部
306 測定部
307 距離推定部
308 送信電力決定部
309 AGC値確認部
310 移動制御部
311 ユーザ入力情報取得部
312 センサ情報取得部
313 モード決定部
314 プロファイル選択部