(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007730
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】運転情報収集システム、及び運転情報収集方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/01 20060101AFI20240112BHJP
G08G 1/13 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
G08G1/01 A
G08G1/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109006
(22)【出願日】2022-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 康佑
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA25
5H181AA26
5H181CC04
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF27
5H181MC04
5H181MC17
5H181MC19
5H181MC24
5H181MC25
5H181MC27
(57)【要約】
【課題】周辺から撮影された対象移動体の画像を用いて、対象移動体の周辺に位置する他の移動体による危険行為を解析することを可能とする。
【解決手段】運転情報収集システム1は、危険行為遭遇情報取得部12により、危険行為遭遇通知情報と、危険行為遭遇時点情報と、危険行為遭遇位置情報とが取得されたときに、移動体位置情報取得部11により取得される移動体位置情報に基づいて、危険行為遭遇時点に危険行為遭遇位置から所定距離以内に位置していた第2移動体である周辺移動体60を抽出する周辺移動体抽出部13と、周辺移動体60から送信される、周辺移動体60に備えられたカメラ61により危険行為遭遇時点を含む所定時間帯内で撮影された周辺移動体60の周辺の撮影画像である収集対象画像を、取得する収集対象画像取得部14と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1移動体及び第2移動体を含む複数の通信対象移動体との間で無線通信を行う通信部と、
前記通信対象移動体から送信される前記通信対象移動体の位置を示す移動体位置情報を、前記通信部により受信して取得する移動体位置情報取得部と、
前記第1移動体から送信される、前記第1移動体が第3移動体からの危険行為に遭遇したことを示す危険行為遭遇通知情報と、前記第1移動体が前記危険行為に遭遇した時点である危険行為遭遇時点を示す危険行為遭遇時点情報と、前記第1移動体が前記危険行為に遭遇した位置である危険行為遭遇位置を示す危険行為遭遇位置情報と、を前記通信部により受信して取得する危険行為遭遇情報取得部と、
前記危険行為遭遇情報取得部により、前記危険行為遭遇通知情報と、前記危険行為遭遇時点情報と、前記危険行為遭遇位置情報とが取得されたときに、前記移動体位置情報取得部により取得される前記移動体位置情報に基づいて、前記危険行為遭遇時点に前記危険行為遭遇位置から所定距離以内に位置していた前記第2移動体である周辺移動体を抽出する周辺移動体抽出部と、
前記周辺移動体から送信される、前記周辺移動体に備えられたカメラにより前記危険行為遭遇時点を含む所定時間帯内で撮影された前記周辺移動体の周辺の撮影画像である収集対象画像を、前記通信部により受信して取得する収集対象画像取得部と、
を備える運転情報収集システム。
【請求項2】
前記収集対象画像取得部は、前記周辺移動体抽出部により前記周辺移動体が抽出されたときに、前記周辺移動体に対して、前記収集対象画像の送信を依頼する収集対象画像送信依頼情報を送信し、前記収集対象画像送信依頼情報の受信に応じて前記周辺移動体から送信される前記収集対象画像を、前記通信部により受信する
請求項1に記載の運転情報収集システム。
【請求項3】
前記危険行為遭遇情報取得部は、前記危険行為遭遇通知情報として、前記第1移動体に備えられた加速度センサにより検出される所定レベル以上の減速度に関する情報を取得する
請求項1又は請求項2に記載の運転情報収集システム。
【請求項4】
前記収集対象画像取得部により取得された、複数の前記周辺移動体から送信された複数の前記収集対象画像を、撮影時点により時系列を整合させて結合した時系列動画を生成する時系列動画生成部を備える
請求項1に記載の運転情報収集システム。
【請求項5】
前記時系列動画生成部は、複数の前記周辺移動体から送信された複数の前記収集対象画像について、同一時点に撮影された複数の画像を1画面に表示する前記時系列動画を生成する
請求項4に記載の運転情報収集システム。
【請求項6】
前記時系列動画生成部は、前記収集対象画像から前記第1移動体が写っていない画像を削除し、前記第1移動体が写っている画像を対象として前記時系列動画を生成する
請求項4又は請求項5に記載の運転情報収集システム。
【請求項7】
第1移動体及び第2移動体を含む複数の通信対象移動体との間で無線通信を行う通信部を有する、コンピュータにより実行される運転情報収集方法であって、
前記通信対象移動体から送信される前記通信対象移動体の位置を示す移動体位置情報を、前記通信部により受信して取得する移動体位置情報取得ステップと、
前記第1移動体から送信される、前記第1移動体が第3移動体からの危険行為に遭遇したことを示す危険行為遭遇通知情報と、前記第1移動体が前記危険行為に遭遇した時点である危険行為遭遇時点を示す危険行為遭遇時点情報と、前記第1移動体が前記危険行為に遭遇した位置である危険行為遭遇位置を示す危険行為遭遇位置情報と、を前記通信部により受信して取得する危険行為遭遇情報取得ステップと、
前記危険行為遭遇情報取得ステップにより、前記危険行為遭遇通知情報と、前記危険行為遭遇時点情報と、前記危険行為遭遇位置情報とが取得されたときに、前記移動体位置情報取得ステップにより取得される前記移動体位置情報に基づいて、前記危険行為遭遇時点に前記危険行為遭遇位置から所定距離以内に位置していた前記第2移動体である周辺移動体を抽出する周辺移動体抽出ステップと、
前記周辺移動体から送信される、前記周辺移動体に備えられたカメラにより前記危険行為遭遇時点を含む所定時間帯内で撮影された前記周辺移動体の周辺の撮影画像である収集対象画像を、前記通信部により受信して取得する収集対象画像取得ステップと、
を含む運転情報収集方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転情報収集システム、及び運転情報収集方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自車両に搭載されたドライブレコーダーにより撮影された自車両の前方及び後方の撮影画像から、自車両の周囲に位置する危険車両を検出し、危険車両の情報をサーバーに送信するようにした情報処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の情報処理装置では、取得される情報が自車両から撮影された画像に限定されるため、走行中の自車両の画像を取得することができない。そのため、走行の安全性向上を鑑みると、危険車両が自車両に対してどのような危険行為をしたのかを十分に解析することが困難であり、また、自車両にドライブレコーダー等を搭載する必要があることが課題である。
本願は、上記課題の解決のため、周囲から撮影された自車両等の対象移動体の画像を用いて、対象移動体の周辺に位置する他の移動体による危険行為を解析することを可能として、移動体の移動の安全性向上に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための第1態様として、第1移動体及び第2移動体を含む複数の通信対象移動体との間で無線通信を行う通信部と、前記通信対象移動体から送信される前記通信対象移動体の位置を示す移動体位置情報を、前記通信部により受信して取得する移動体位置情報取得部と、前記第1移動体から送信される、前記第1移動体が第3移動体からの危険行為に遭遇したことを示す危険行為遭遇通知情報と、前記第1移動体が前記危険行為に遭遇した時点である危険行為遭遇時点を示す危険行為遭遇時点情報と、前記第1移動体が前記危険行為に遭遇した位置である危険行為遭遇位置を示す危険行為遭遇位置情報と、を前記通信部により受信して取得する危険行為遭遇情報取得部と、前記危険行為遭遇情報取得部により、前記危険行為遭遇通知情報と、前記危険行為遭遇時点情報と、前記危険行為遭遇位置情報とが取得されたときに、前記移動体位置情報取得部により取得される前記移動体位置情報に基づいて、前記危険行為遭遇時点に前記危険行為遭遇位置から所定距離以内に位置していた前記第2移動体である周辺移動体を抽出する周辺移動体抽出部と、前記周辺移動体から送信される、前記周辺移動体に備えられたカメラにより前記危険行為遭遇時点を含む所定時間帯内で撮影された前記周辺移動体の周辺の撮影画像である収集対象画像を、前記通信部により受信して取得する収集対象画像取得部と、を備える運転情報収集システムが挙げられる。
【0006】
上記運転情報収集システムにおいて、前記収集対象画像取得部は、前記周辺移動体抽出部により前記周辺移動体が抽出されたときに、前記周辺移動体に対して、前記収集対象画像の送信を依頼する収集対象画像送信依頼情報を送信し、前記収集対象画像送信依頼情報の受信に応じて前記周辺移動体から送信される前記収集対象画像を、前記通信部により受信する構成としてもよい。
【0007】
上記運転情報収集システムにおいて、前記危険行為遭遇情報取得部は、前記危険行為遭遇通知情報として、前記第1移動体に備えられた加速度センサにより検出される所定レベル以上の減速度に関する情報を取得する構成としてもよい。
【0008】
上記運転情報収集システムにおいて、前記収集対象画像取得部により取得された、複数の前記周辺移動体から送信された複数の前記収集対象画像を、撮影時点により時系列を整合させて結合した時系列動画を生成する時系列動画生成部を備える構成としてもよい。
【0009】
上記運転情報収集システムにおいて、前記時系列動画生成部は、複数の前記周辺移動体から送信された複数の前記収集対象画像について、同一時点に撮影された複数の画像を1画面に表示する前記時系列動画を生成する構成としてもよい。
【0010】
上記運転情報収集システムにおいて、前記時系列動画生成部は、前記収集対象画像から前記第1移動体が写っていない画像を削除し、前記第1移動体が写っている画像を対象として前記時系列動画を生成する構成としてもよい。
【0011】
上記目的を達成するための第2態様として、第1移動体及び第2移動体を含む複数の通信対象移動体との間で無線通信を行う通信部を有する、コンピュータにより実行される運転情報収集方法であって、前記通信対象移動体から送信される前記通信対象移動体の位置を示す移動体位置情報を、前記通信部により受信して取得する移動体位置情報取得ステップと、前記第1移動体から送信される、前記第1移動体が第3移動体からの危険行為に遭遇したことを示す危険行為遭遇通知情報と、前記第1移動体が前記危険行為に遭遇した時点である危険行為遭遇時点を示す危険行為遭遇時点情報と、前記第1移動体が前記危険行為に遭遇した位置である危険行為遭遇位置を示す危険行為遭遇位置情報と、を前記通信部により受信して取得する危険行為遭遇情報取得ステップと、前記危険行為遭遇情報取得ステップにより、前記危険行為遭遇通知情報と、前記危険行為遭遇時点情報と、前記危険行為遭遇位置情報とが取得されたときに、前記移動体位置情報取得ステップにより取得される前記移動体位置情報に基づいて、前記危険行為遭遇時点に前記危険行為遭遇位置から所定距離以内に位置していた前記第2移動体である周辺移動体を抽出する周辺移動体抽出ステップと、前記周辺移動体から送信される、前記周辺移動体に備えられたカメラにより前記危険行為遭遇時点を含む所定時間帯内で撮影された前記周辺移動体の周辺の撮影画像である収集対象画像を、前記通信部により受信して取得する収集対象画像取得ステップと、を含む運転情報収集方法が挙げられる。
【発明の効果】
【0012】
上記運転情報収集システムによれば、周囲から撮影された対象移動体の画像を用いて、対象移動体の周辺に位置する他の移動体による危険行為を解析することを可能として、移動体の移動の安全性向上に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、運転情報収集システムによる情報収集の態様の説明図である。
【
図2】
図2は、運転情報収集システムの構成図である。
【
図3】
図3は、運転情報収集処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[1.運転情報収集システムによる情報収集の態様]
図1を参照して、本実施形態の運転情報収集システム1による情報収集の態様について説明する。運転情報収集システム1は、複数の通信対象車両との間で定期的に通信を行って、各通信対象車両の位置を認識する。
図1では、運転情報収集システム1が、第1車両50、第2車両60a~60f、及び第3車両70を通信対象車両として、通信ネットワーク200を介して通信を行う状況を例示している。第1移動体50は本開示の第1移動体に相当し、第2移動体60a~60fは本開示の第2移動体に相当し、第3移動体70は本開示の第3移動体に相当する。
【0015】
第1車両50は、第1車両50の周辺(前方、後方、側方等)を撮影するカメラ51と、第1車両50の作動を制御する制御ユニット52を備えている。制御ユニット52は、第1車両50の位置を検出するGNSS(Global Navigation Satellite System)センサ等の位置検出センサと、通信ネットワーク200を介した通信を行う通信ユニットと、図示しないプロセッサ及びメモリ等を有している。
【0016】
同様に、第2車両60a~60fは、第2車両60a~60fの周辺を撮影するカメラ61a~61fと、位置検出センサ、通信ユニット、プロセッサ、及びメモリ等を有する制御ユニット62a~62fをそれぞれ備えている。また、第3車両70は、第3車両70の周辺を撮影するカメラ71と、位置検出センサ、通信ユニット、プロセッサ、及びメモリ等を有する制御ユニット72を備えている。以下では、説明の便宜のため、第2車両60a~60fをまとめて第2車両60、カメラ61a~61fをまとめてカメラ61、制御ユニット62a~62fをまとめて制御ユニット62とも称する。
【0017】
運転情報収集システム1は、第1車両50、第2車両60、及び第3車両70から、所定のサンプリング周期で送信される位置検出情報を受信して、第1車両50、第2車両60、及び第3車両70の現在位置を認識する。
図1は、第1車両50が、第3車両70による前方への急な割り込みという危険行為に遭遇した状況を例示している。なお、第1車両50に対する第3車両70の危険行為としては、第3車両70による第1車両50の後方からの急接近、第3車両70による第1車両50の付近での蛇行運転等も挙げられる。
【0018】
この状況で、第1車両50は、危険行為に遭遇したことを通知する危険行為遭遇通知情報を、運転情報収集システム1に送信する。運転情報収集システム1は、危険行為遭遇情報を受信したときに、第1車両50から所定距離以内に位置している第2車両60a~60fを、周辺車両として抽出する。以下では、このようにして抽出された周辺車両を周辺車両60と称する。
【0019】
そして、運転情報収集システム1は、周辺車両60から送信される、第1車両50が危険行為に遭遇した時点を含む所定時間帯内で、周辺車両60においてカメラ61により撮影された撮影画像である収集対象画像を受信して取得する。収集対象画像は動画でも静止画でもよいが、以下では、収集対象画像が動画である場合について説明する。
【0020】
このように、第1車両50が危険行為に遭遇した時点を含む所定時間帯において、周辺車両60のカメラ61により撮影された収集対象画像には、第1車両50が写っている画像が含まれることが期待できる。そのため、運転情報収集システム1において、或いは運転情報収集システム1から収集対象画像の提供を受けた警察のシステム210、保険会社のシステム220等において、収集対象画像を確認することにより、第1車両50を含む第1車両50の周囲の画像に基づいて、第1車両50が遭遇した危険行為を解析することができる。
【0021】
[2.運転情報収集システムの構成]
図2を参照して、運転情報収集システム1の構成について説明する。運転情報収集システム1は、プロセッサ10、メモリ20、通信部30等を備えるコンピュータシステムである。通信部30は、通信ネットワーク200を介して、通信対象車両(
図2では、第1車両50と周辺車両60を例示)、及び他のシステム(
図2では、警察のシステム210と保険会社のシステム220を例示)との間で通信を行う。
【0022】
メモリ20には、運転情報収集システム1の制御用のプログラム21と、周辺車両60から送信される収集対象画像のデータ(
図2では、収集対象画像22として示している)が保存されている。プロセッサ10は、プログラム21を読み込んで実行することにより、移動体位置情報取得部11、危険行為遭遇情報取得部12、周辺移動体抽出部13、収集対象画像取得部14、及び時系列動画生成部15として機能する。
【0023】
移動体位置情報取得部11により実行される処理は、本開示の運転情報収集方法における移動体位置情報取得ステップに相当し、危険行為遭遇情報取得部12により実行される処理は、本開示の運転情報収集方法における危険行為遭遇情報取得ステップに相当する。周辺移動体抽出部13により実行される処理は、本開示の運転情報収集方法における周辺移動体抽出ステップに相当し、収集対象画像取得部14により実行される処理は、本開示の運転情報収集方法における収集対象画像取得ステップに相当する。時系列動画生成部15により実行される処理は、本開示の運転情報収集方法における時系列動画生成ステップに相当する。
【0024】
移動体位置情報取得部11は、定期的に通信対象車両から送信される移動体位置情報Pdを通信部30により受信して取得する。移動体位置情報Pdは、各通信対象車両に備えらえた位置検出センサにより検出される各通信対象車両の位置を示す。危険行為遭遇情報取得部12は、危険行為に遭遇した第1車両50から送信される危険行為遭遇情報Daiを、通信部30により受信して取得する。
【0025】
危険行為遭遇情報Daiには、第1車両50が危険行為に遭遇したことを示す危険行為遭遇通知情報と、第1車両50が危険行為に遭遇した位置である危険行為遭遇位置を示す危険行為遭遇位置情報と、第1車両が危険行為に遭遇した時点である危険行為遭遇時点を示す危険行為遭遇時点情報とが含まれる。なお、危険行為遭遇通知情報、危険行為遭遇位置情報、危険行為遭遇時点情報を、危険行為遭遇情報Daiとしてまとめて送受信するのではなく、危険行為遭遇通知情報、危険行為遭遇位置情報、危険行為遭遇時点情報を個別に送受信してもよい。
【0026】
危険行為遭遇通知情報としては、例えば以下の情報が挙げられる。
(1-1)第1車両50の利用者が、第1車両50に備えられた緊急通報スイッチを操作したことに応じて、第1車両50から送信される緊急通報情報。
(1-2)第1車両50に備えらえた加速度センサにより検出される所定レベル以上の減速度に関する情報。
(1-3)第1車両50に備えられた速度センサ又は加速度センサにより検出される走行速度の所定レベル以上の変動に関する情報。
(1-4)第1車両50に備えられた操舵角センサにより検出される所定レベル以上の操舵角の変化に関する情報。
(1-5)第1車両50に備えらえたブレーキペダルセンサにより検出される所定レベル以上の踏力に関する情報。
【0027】
周辺移動体抽出部13は、危険行為遭遇情報取得部12が危険行為遭遇情報Daiを受信したときに、危険行為遭遇地点情報と、移動体位置情報取得部11により取得された移動体位置情報Pdとにより、第1車両50から所定距離内(例えば、数10m以内)に位置している周辺車両60を抽出する。
【0028】
収集対象画像取得部14は、周辺車両60に対して、危険行為遭遇時点を含む所定時間帯において、周辺車両60のカメラ61により撮影された画像である収集対象画像Mviの送信を要求する収集対象画像送信依頼情報Mvrを、周辺車両60に送信する。周辺車両60の制御ユニット62は、収集対象画像送信依頼情報Mvrを受信したときに、収集対象画像Mviを運転情報収集システム1に送信する。収集対象画像取得部14は、周辺車両60から送信される収集対象画像Mviを、通信部30により受信して取得する。
【0029】
時系列動画生成部15は、収集対象画像取得部14により複数の収集対象画像Mviが取得された場合に、複数の収集対象画像Mviを時系列に結合した時系列動画を生成する。時系列動画生成部15による時系列動画の生成処理の詳細については後述する。
【0030】
[3.運転情報収集処理]
図3に示したフローチャートに従って、運転情報収集システム1により実行される運転情報収集処理の手順について説明する。
【0031】
図3のステップS1で、危険行為遭遇情報取得部12は、第1車両50から送信される危険行為遭遇情報Daiを、通信部30により受信して取得したときに、ステップS2に処理を進める。ステップS2で、周辺移動体抽出部13は、危険行為遭遇情報Daiに含まれる危険行為遭遇位置情報と危険行為遭遇地点情報、及び移動体位置情報取得部11により取得された移動体位置情報Pdとに基づいて、危険行為遭遇時点に、危険行為遭遇位置から所定距離以内に位置していた周辺車両60を抽出する。
図1の例では、第1車両50の周辺を走行していた第2車両60a~60fが、周辺車両60として抽出される。
【0032】
続くステップS3で、収集対象画像取得部14は、周辺車両60に対して、収集対象画像Mviの送信を依頼する収集対象画像送信依頼情報Mvrを、通信部30により送信する。収集対象画像Mviを受信した周辺車両60は、カメラ61により撮影された収集対象画像Mviを、運転情報収集システム1に送信する。次のステップS4で、収集対象画像取得部14は、周辺車両60から送信される収集対象画像Mviを、通信部30により受信して取得する。
【0033】
次のステップS5で、時系列動画生成部15は、収集対象画像Mviの第1車両50が写っていないフレームを削除する。これにより、情報量が少ないフレームを省いて、効率のよい解析をサポートする収集対象画像Mviとすることができる。時系列動画生成部15は、収集対象画像取得部14により複数の収集対象画像Mviが取得された場合は、各収集対象画像Mviについて、第1車両50が写っていないフレームを削除する処理を実行する。
【0034】
続くステップS6で、時系列動画生成部15は、収集対象画像取得部14により複数の収集対象画像Mviが取得されたか否かを判断する。そして、収集対象画像取得部14により複数の収集対象画像Mviが取得されたときは、時系列動画生成部15は、ステップS10に処理を進めて、複数の収集対象画像Mviから時系列動画を生成し、ステップS7に処理を進める。
【0035】
ここで、
図4を参照して、時系列動画の生成処理について説明する。
図4は、周辺車両60において撮影された3つの収集対象画像Mvi1,Mvi2,Mvi3について、撮影された時点を時間軸tにより示したものである。
図4において、t2は危険行為遭遇時点であり、収集対象画像Mvi1,Mvi2,Mviは、危険行為遭遇時点t2よりもTb時間前の時点t1から、危険行為遭遇時点t2よりもTf時間後の時点t3までの所定期間Tw内で撮影されている。
【0036】
時系列動画生成部15は、3つの収集対象画像Mvi1,Mvi2,Mvi3を、時系列順に結合した動画像である、時系列動画100を生成する。収集対象画像Mvi1,Mvi3が重複する時間帯D1については、時系列動画生成部15は、吹き出し110に示したように、1つの画面120に、収集対象画像Mvi1の時間帯D1での動画像121と、収集対象画像Mvi3の時間帯D1での動画像122を表示する動画像とする。収集対象画像Mvi3,Mvi2が重複する時間帯D2についても同様である。
【0037】
このように、複数の収集対象画像Mvi1,Mvi2,Mvi3を時系列によって結合した時系列動画100を生成することにより、運転情報収集システム1において、時系列動画100を用いて、第1車両50に対する第3車両70の危険行為の状況を、効率良く解析することができる。また、運転情報収集システム1から、警察のシステム210、保険会社のシステム220等の他のシステムに対して、時系列動画を提供することにより、他のシステムにおいても、危険行為の状況を効率良く解析することが可能となる。
【0038】
なお、収集対象画像Mvi1,Mvi3が重複する時間帯D1について、収集対象画像Mvi1又は収集対象画像Mvi3のいずれか一方のみを表示させる時系列動画としてもよい。収集対象画像Mvi3,Mvi2が重複する時間帯D2についても同様である。また、
図4では、3つの収集対象画像Mvi1,Mvi2,Mvi3から時系列動画を生成する場合について説明したが、時系列動画生成部15は、2つの収集対象画像、或いは3つ以上の収集対象画像についても、同様の処理によって時系列動画を生成する。
【0039】
一方、収集対象画像取得部14により1つの収集対象画像Mviが取得されたときには、時系列動画生成部15は、ステップS6からステップS7に処理を進め、この場合は、複数の収集対象画像Mviから時系列動画を生成する処理は実行されない。
【0040】
[4.他の実施形態]
上記実施形態では、本開示の移動体として車両50,60,70を例示したが、本開示の移動体は、危険行為を受ける対象となり得る移動体、或いは危険行為を生じさせる移動体であればよく、飛行体、船舶等であってもよい。
【0041】
上記実施形態では、収集対象画像取得部14は、周辺車両60に対して収集対象画像送信依頼情報Mvrを送信することにより、周辺車両60から送信される収集対象画像Mviを受信して取得した。他の構成として、通信対象車両において、カメラにより常時周辺を撮影して、通信対象車両から運転情報収集システム1に対して撮影画像を定期的に送信し、収集対象画像取得部14が、撮影画像から収集対象画像Mviを抽出して取得する構成としてもよい。
【0042】
上記実施形態では、
図3のフローチャートのステップS5で、時系列動画生成部15は、第1車両50が写っていないフレームを削除する処理を行ったが、この処理を省略した構成としてもよい。
【0043】
上記実施形態では、時系列動画生成部15を備えて、複数の収集対象画像Mviから時系列動画を生成したが、時系列動画生成部15を省略した構成としてもよい。この場合は、収集対象画像Mviに基づいて、第1車両50に対する第3車両70の危険行為が解析される。
【0044】
なお、
図2は、本願発明の理解を容易にするために、運転情報収集システム1の構成を、主な処理内容により区分して示した概略図であり、運転情報収集システム1の構成を、他の区分によって構成してもよい。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアユニットにより実行されてもよいし、複数のハードウェアユニットにより実行されてもよい。また、
図3に示したフローチャートによる各構成要素の処理は、1つのプログラムにより実行されてもよいし、複数のプログラムにより実行されてもよい。
【0045】
[5.上記実施形態によりサポートされる構成]
上記実施形態は、以下の構成をサポートする。
(構成1)第1移動体及び第2移動体を含む複数の通信対象移動体との間で無線通信を行う通信部と、前記通信対象移動体から送信される前記通信対象移動体の位置を示す移動体位置情報を、前記通信部により受信して取得する移動体位置情報取得部と、前記第1移動体から送信される、前記第1移動体が第3移動体からの危険行為に遭遇したことを示す危険行為遭遇通知情報と、前記第1移動体が前記危険行為に遭遇した時点である危険行為遭遇時点を示す危険行為遭遇時点情報と、前記第1移動体が前記危険行為に遭遇した位置である危険行為遭遇位置を示す危険行為遭遇位置情報と、を前記通信部により受信して取得する危険行為遭遇情報取得部と、前記危険行為遭遇情報取得部により、前記危険行為遭遇通知情報と、前記危険行為遭遇時点情報と、前記危険行為遭遇位置情報とが取得されたときに、前記移動体位置情報取得部により取得される前記移動体位置情報に基づいて、前記危険行為遭遇時点に前記危険行為遭遇位置から所定距離以内に位置していた前記第2移動体である周辺移動体を抽出する周辺移動体抽出部と、前記周辺移動体から送信される、前記周辺移動体に備えられたカメラにより前記危険行為遭遇時点を含む所定時間帯内で撮影された前記周辺移動体の周辺の撮影画像である収集対象画像を、前記通信部により受信して取得する収集対象画像取得部と、を備える運転情報収集システム。
構成1の運転情報収集システムによれば、第1移動体が第3移動体による危険行為に遭遇した場合に、第1移動体の周辺に位置していた周辺移動体により撮影された収集対象画像が、収集対象画像取得部によって取得される。これにより、周囲から撮影された第1移動体の画像を用いて、第1移動体の周囲に位置する第3移動体による危険行為を解析することを可能として、移動体の移動の安全性向上に寄与することができる。
【0046】
(構成2)前記収集対象画像取得部は、前記周辺移動体抽出部により前記周辺移動体が抽出されたときに、前記周辺移動体に対して、前記収集対象画像の送信を依頼する収集対象画像送信依頼情報を送信し、前記収集対象画像送信依頼情報の受信に応じて前記周辺移動体から送信される前記収集対象画像を、前記通信部により受信する構成1に記載の運転情報収集システム。
構成2の運転情報収集システムによれば、周辺移動体に収集対象画像送信依頼情報を送信して、周辺移動体からの収集対象画像の送信を依頼することにより、より多くの収集対象画像を取得することができる。
【0047】
(構成3)前記危険行為遭遇情報取得部は、前記危険行為遭遇通知情報として、前記第1移動体に備えられた加速度センサにより検出される所定レベル以上の減速度に関する情報を取得する構成1又は構成2に記載の運転情報収集システム。
構成3の運転情報収集システムによれば、第1移動体が、危険行為を回避するために急減速をしたことが推定される加速度センサの検出情報を、危険行為遭遇情報通知情報として認識して、収集対応画像を取得することができる。
【0048】
(構成4)前記収集対象画像取得部により取得された、複数の前記周辺移動体から送信された複数の前記収集対象画像を、撮影時点により時系列を整合させて結合した時系列動画を生成する時系列動画生成部を備える構成1から構成3のうちいずれか1つの構成に記載の運転情報収集システム。
構成4の運転情報収集システムによれば、時系列画像を再生することにより、第1移動体に対する危険行為の状況の推移を分析することができる。
【0049】
(構成5)前記時系列動画生成部は、複数の前記周辺移動体から送信された複数の前記収集対象画像について、同一時点に撮影された複数の画像を1画面に表示する前記時系列動画を生成する構成4に記載の運転情報収集システム。
構成5の運転情報収集システムによれば、複数の画像を1画面により効率良く確認して、危険行為の状況を解析することができる。
【0050】
(構成6)前記時系列動画生成部は、前記収集対象画像から前記第1移動体が写っていない画像を削除し、前記第1移動体が写っている画像を対象として前記時系列動画を生成する構成4又は構成5に記載の運転情報収集システム。
構成6の運転情報収集システムによれば、第1移動体が写っている画像のみからなる時系列画像を生成することができる。
【0051】
(構成7)第1移動体及び第2移動体を含む複数の通信対象移動体との間で無線通信を行う通信部を有する、コンピュータにより実行される運転情報収集方法であって、前記通信対象移動体から送信される前記通信対象移動体の位置を示す移動体位置情報を、前記通信部により受信して取得する移動体位置情報取得ステップと、前記第1移動体から送信される、前記第1移動体が第3移動体からの危険行為に遭遇したことを示す危険行為遭遇通知情報と、前記第1移動体が前記危険行為に遭遇した時点である危険行為遭遇時点を示す危険行為遭遇時点情報と、前記第1移動体が前記危険行為に遭遇した位置である危険行為遭遇位置を示す危険行為遭遇位置情報と、を前記通信部により受信して取得する危険行為遭遇情報取得ステップと、前記危険行為遭遇情報取得ステップにより、前記危険行為遭遇通知情報と、前記危険行為遭遇時点情報と、前記危険行為遭遇位置情報とが取得されたときに、前記移動体位置情報取得ステップにより取得される前記移動体位置情報に基づいて、前記危険行為遭遇時点に前記危険行為遭遇位置から所定距離以内に位置していた前記第2移動体である周辺移動体を抽出する周辺移動体抽出ステップと、前記周辺移動体から送信される、前記周辺移動体に備えられたカメラにより前記危険行為遭遇時点を含む所定時間帯内で撮影された前記周辺移動体の周辺の撮影画像である収集対象画像を、前記通信部により受信して取得する収集対象画像取得ステップと、を含む運転情報収集方法。
構成7の運転情報収集方法をコンピュータにより実行することにより、構成1の運転情報収集システムと同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0052】
1…運転情報収集システム、10…プロセッサ、11…移動体位置情報取得部、12…危険行為遭遇情報取得部、13…周辺移動体抽出部、14…収集対象画像取得部、15…時系列動画生成部、20…メモリ、21…プログラム、22…収集対象画像、30…通信部、50…第1車両(第1移動体)、51…カメラ、52…制御ユニット、60…周辺車両(第2車両、第2移動体)、61…カメラ、62…制御ユニット、70…第3車両(第3移動体)、71…カメラ、72…制御ユニット、200…通信ネットワーク、210…警察のシステム、220…保険会社のシステム。