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特開2024-77320RFIDアンテナ構造及びRFIDアンテナ構造の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077320
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】RFIDアンテナ構造及びRFIDアンテナ構造の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20240531BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20240531BHJP
   B41J 5/30 20060101ALI20240531BHJP
   H01Q 7/00 20060101ALI20240531BHJP
   H01Q 9/26 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
G06K19/077 296
B41J3/36 Z
B41J5/30 B
G06K19/077 280
H01Q7/00
H01Q9/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189354
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 香晶
【テーマコード(参考)】
2C055
2C187
【Fターム(参考)】
2C055CC00
2C055CC01
2C187AC08
2C187AD05
2C187AG08
2C187AG17
2C187BG36
2C187BG40
2C187CD08
(57)【要約】
【課題】RFID媒体において、アンテナの形状或いはサイズへの変更における自由度を高めること。
【解決手段】本実施形態に係るRFIDのアンテナ構造は、インレイ基材に形成され、ICチップに接続されたアンテナと、導電性インクからなりアンテナの機能を補助するエレメントと、を備えるRFIDアンテナ構造を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インレイ基材に形成され、ICチップに接続されたアンテナと、
導電性インクからなり前記アンテナの機能を補助するエレメントと、を備える、
RFIDアンテナ構造。
【請求項2】
請求項1に記載のRFIDアンテナ構造であって、
前記エレメントが前記インレイ基材に形成された、
RFIDアンテナ構造。
【請求項3】
請求項2に記載のRFIDアンテナ構造であって、
前記インレイ基材には、文字及び/又は記号を含む情報内容が印字されており、
前記エレメントが前記情報内容の少なくとも一部として形成された、
RFIDアンテナ構造。
【請求項4】
請求項1に記載のRFIDアンテナ構造であって、
前記エレメントが前記インレイ基材を覆う表面基材に形成された、
RFIDアンテナ構造。
【請求項5】
請求項4に記載のRFIDアンテナ構造であって、
前記表面基材には、文字及び/又は記号を含む情報内容が形成されており、
前記エレメントが少なくとも前記情報内容の一部として形成された、
RFIDアンテナ構造。
【請求項6】
請求項1に記載のRFIDアンテナ構造であって、
前記エレメントが前記アンテナと重複する領域に形成された、
RFIDアンテナ構造。
【請求項7】
請求項1に記載のRFIDアンテナ構造であって、
前記アンテナは、導電性材料が含まれた導電性シートによって形成され、前記ICチップが接続されるICチップ接続部を有するループ部を備えた、
RFIDアンテナ構造。
【請求項8】
インレイ基材に形成され、ICチップに接続されたアンテナと、前記アンテナの機能を補助するエレメントと、を備えたRFIDアンテナ構造の製造方法であって、
前記アンテナを導電性材料によって形成し、
前記エレメントを導電性インクにより形成する、
RFIDアンテナ構造の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載のRFIDアンテナ構造の製造方法であって、
文字及び/又は記号を含む情報内容と前記エレメントとが、印字工程において、前記導電性インクによって形成される、
RFIDアンテナ構造の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載のRFIDアンテナ構造の製造方法であって、
前記導電性材料としてのアルミニウム箔を用いて前記インレイ基材に形成された前記アンテナに近接する位置に、前記導電性インクを熱転写することにより、前記エレメントを形成する、
RFIDアンテナ構造の製造方法。
【請求項11】
請求項9に記載のRFIDアンテナ構造の製造方法であって、
前記導電性インクが塗布されたインクリボンから前記インレイ基材に前記導電性インクを熱転写する、
RFIDアンテナ構造の製造方法。
【請求項12】
被着体に設けられたICチップ及びアンテナと、
前記被着体の外側表面に形成され、導電性インクからなり前記アンテナの機能を補助するエレメントと、
を有する、
アンテナ構造。
【請求項13】
請求項12に記載のアンテナ構造であって、
前記ICチップ及び前記アンテナは、インモールド成形により前記被着体と一体的に形成された、
アンテナ構造。
【請求項14】
請求項12又は13に記載のアンテナ構造であって、
前記被着体に設けられた前記ICチップ及び前記アンテナに対応する位置に、前記エレメントが印字により形成された、
アンテナ構造。
【請求項15】
請求項12又は13に記載のアンテナ構造であって、
前記エレメントが基材に形成されたラベルが、前記被着体に設けられた前記ICチップ及び前記アンテナに対応する位置に貼り付けられた、
アンテナ構造。
【請求項16】
被着体に設けられているICチップ及びアンテナに対応する位置に、導電性インクからなり前記アンテナの機能を補助するエレメントを形成する、
アンテナ構造の製造方法。
【請求項17】
請求項16に記載のアンテナ構造の製造方法であって、
前記ICチップ及び前記アンテナは、インモールド成形により前記被着体と一体的に形成された、
アンテナ構造の製造方法。
【請求項18】
請求項16又は17に記載のアンテナ構造であって、
前記被着体に設けられた前記ICチップ及び前記アンテナに対応する位置に、前記エレメントが印字により形成される、
アンテナ構造の製造方法。
【請求項19】
請求項16又は17に記載のアンテナ構造であって、
前記エレメントが基材に形成されたラベルを、前記被着体に設けられた前記ICチップ及び前記アンテナに対応する位置に貼り付ける、
アンテナ構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDアンテナ構造及びRFIDアンテナ構造の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、インレイ基材の連続体を搬送しながら、インレイ基材の連続体に粘着剤を配置し、粘着剤が配置された面に金属シートを配置し、金属シートにアンテナパターンの切り込みを形成し、金属シートのうちアンテナパターンを構成しない不要部分を除去することにより、インレイ基材にアンテナパターンを形成する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/159222号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、RFIDラベル、RFIDタグ等のRFID媒体の適用範囲は多岐に亘っており、RFID媒体の用途に応じて様々な形状或いはサイズのアンテナパターンが要求されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたアンテナパターンの製造方法では、製造装置を変更するための経費や工数の増加が発生するため、要求されるアンテナの形状或いはサイズへの変更に対して柔軟に対応することが困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、RFID媒体において、アンテナの形状或いはサイズへの変更における自由度を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様によれば、インレイ基材に形成され、ICチップに接続されたアンテナと、導電性インクからなり前記アンテナの機能を補助するエレメントと、を備えるRFIDアンテナ構造が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本態様によれば、アンテナの機能を補助するエレメントが導電性インクにより形成されるため、導電性インクを印字可能なプリンタによって、印字によりエレメントの形状やサイズの変更が容易に行える。したがって、RFIDに対応したラベルやタグ等のRFID媒体において、アンテナの設計の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の第一実施形態に係るRFIDアンテナ構造を有するRFIDラベルの表面を説明する外観図である。
図2図2は、RFIDラベルの裏面を説明する外観図である。
図3図3は、図1のIII-III線における断面図である。
図4図4は、RFIDラベルの他の実施形態を説明する断面図である。
図5図5は、RFIDラベルの他の実施形態を説明する断面図である。
図6図6は、本発明の第一実施形態に係るRFIDアンテナ構造を印字により形成するプリンタを説明する概略図である。
図7図7は、図6に示すプリンタに適用するためのRFIDラベルの形態を説明する概略図である。
図8図8は、プリンタによって、RFIDラベルにエレメント及び情報内容等が印字により形成されることを説明する模式図である。
図9図9は、第一変形例であるエレメントを説明する模式図である。
図10図10は、第二変形例であるエレメントを説明する模式図である。
図11図11は、第三変形例であるエレメントを説明する模式図である。
図12図12は、第四変形例であるエレメントを説明する模式図である。
図13図13は、第五変形例であるエレメントを説明する模式図である。
図14図14は、本発明の第二実施形態に係るRFIDアンテナ構造を説明する模式図である。
図15図15は、本発明の第二実施形態の第一変形例に係るRFIDアンテナ構造を説明する模式図である。
図16図16は、本発明の第二実施形態の第二変形例に係るRFIDアンテナ構造を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に記載する形態は、図面の簡単な説明により説明される図面に限定されるものではない。
【0011】
本発明のある態様の第1の態様は、インレイ基材に形成され、ICチップに接続されたアンテナと、導電性インクからなり前記アンテナの機能を補助するエレメントと、を備えるRFIDアンテナ構造である。
【0012】
本発明のある態様の第1の態様によれば、アンテナの機能を補助するエレメントを備えることにより、アンテナ感度が高められる。また、エレメントが導電性インクにより形成されるため、エレメントの形状やサイズの変更が容易に行える。
【0013】
このため、RFIDラベルのサイズやRFIDラベルの用途等に応じて、RFIDアンテナ構造に設計変更が必要となっても、エレメントの形状を適宜変更し、印字によりRFIDアンテナ構造の調整が容易に行える。
【0014】
したがって、本発明のある態様の第1の態様によれば、RFIDに対応したラベルやタグ等のRFID媒体において、アンテナの設計の自由度を高めることができる。
【0015】
本発明のある態様の第2の態様は、前記エレメントが前記インレイ基材に形成された、第1の態様に記載のRFIDアンテナ構造である。
【0016】
本発明のある態様の第2の態様によれば、エレメントがインレイ基材に形成されているので、RFIDアンテナ構造が適用されるRFIDインレイの構造を簡素化できる。
【0017】
本発明のある態様の第3の態様は、前記インレイ基材には、文字及び/又は記号を含む情報内容が形成されており、前記エレメントが少なくとも前記情報内容の一部として形成された、第1の態様に記載のRFIDアンテナ構造である。
【0018】
本発明のある態様の第3の態様によれば、インレイ基材にアンテナ及びICチップが形成された基本構造に、エレメントを印字により追加することにより、アンテナ感度を高めることができるとともに、エレメントが情報内容の一部として形成されるため、インレイ基材の表面や、被着体における貼付面のデザイン性を損なうことがない。
【0019】
したがって、本発明のある態様の第3の態様によれば、RFIDに対応したラベルやタグ等のRFID媒体において、アンテナの設計の自由度を高めることができる。
【0020】
本発明のある態様の第4の態様は、前記エレメントが前記インレイ基材を覆う表面基材に形成された、第1の態様に記載のRFIDアンテナ構造である。
【0021】
本発明のある態様の第4の態様によれば、インレイ基材に表面基材に応じた強度を付与することができる。また、インレイ基材に形成されたアンテナ及びICチップが表面基材によって覆われた場合であっても、インレイ基材を覆う表面基材にエレメントを形成することができる。
【0022】
したがって、本発明のある態様の第4の態様によれば、RFIDに対応したラベルやタグ等のRFID媒体において、アンテナの設計の自由度を高めることができる。
【0023】
本発明のある態様の第5の態様は、前記表面基材には、文字及び/又は記号を含む情報内容が形成されており、前記エレメントが少なくとも前記情報内容の一部として形成された、第4の態様に記載のRFIDアンテナ構造である。
【0024】
本発明のある態様の第5の態様によれば、インレイ基材に表面基材に応じた強度を付与することができるとともに、エレメントが情報内容の一部として形成されるため、インレイ基材の表面や、被着体における貼付面のデザイン性を損なうことがない。
【0025】
また、インレイ基材に形成されたアンテナ及びICチップが表面基材によって覆われた場合であっても、インレイ基材を覆う表面基材にエレメントを形成することができる。
【0026】
したがって、本発明のある態様の第5の態様によれば、RFIDに対応したラベルやタグ等のRFID媒体において、アンテナの設計の自由度を高めることができる。
【0027】
本発明のある態様の第6の態様は、前記エレメントが前記アンテナと重複する領域に形成された、第1から第5のいずれか一つの態様に記載されたRFIDアンテナ構造である。
【0028】
本発明のある態様の第6の態様によれば、アンテナと重複する領域にエレメントが印字により形成されていることにより、アンテナ感度を高めることができる。
【0029】
したがって、本発明のある態様の第6の態様によれば、RFIDに対応したラベルやタグ等のRFID媒体において、アンテナの設計の自由度を高めることができる。
【0030】
本発明のある態様の第7の態様は、前記アンテナは、導電性材料が含まれた導電性シートによって形成され、前記ICチップが接続されるICチップ接続部を有するループ部を備えた、第1から第6のいずれか一つの形態に記載されたRFIDアンテナ構造である。
【0031】
本発明のある態様の第7の態様によれば、アンテナは、ICチップが接続されるICチップ接続部を有するループ部を備えた簡素な構造とされているため、アンテナの形成工程において、製造不良が発生しにくい。
【0032】
本発明の別の態様の第1の態様は、インレイ基材に形成され、ICチップに接続されたアンテナと、前記アンテナの機能を補助するエレメントと、を備えたRFIDアンテナ構造の製造方法であって、前記アンテナを導電性材料によって形成し、前記エレメントを導電性インクにより形成する、RFIDアンテナ構造の製造方法である。
【0033】
本発明の別の態様の第1の態様によれば、プリンタによる印字工程において、エレメントを導電性インクにより形成できるため、エレメントの形状やサイズの変更が容易に行える。
【0034】
このため、RFIDアンテナ構造に設計変更が生じても、エレメントの形状を適宜変更し、印字により形成することで、RFIDアンテナ構造の調整が容易に行える。
【0035】
したがって、本発明の別の形態の第1の形態によれば、RFIDに対応したラベルやタグ等のRFID媒体において、アンテナの設計の自由度を高めることができる。
【0036】
本発明の別の態様の第2の態様は、文字及び/又は記号を含む情報内容と前記エレメントとが、印字工程において、前記導電性インクによって形成される、別の態様の第1の態様に記載のRFIDアンテナ構造の製造方法である。
【0037】
本発明の別の態様の第2の態様によれば、エレメントが情報内容の一部として形成されるため、インレイ基材の表面や、被着体における貼付面のデザイン性を損なうことがない。
【0038】
したがって、本発明の別の態様の第2の態様によれば、RFIDに対応したラベルやタグ等のRFID媒体において、アンテナの設計の自由度を高めることができる。
【0039】
本発明の別の態様の第3の態様は、前記導電性材料としてのアルミニウム箔を用いて前記インレイ基材に形成された前記アンテナに近接する位置に、導電性インクを熱転写することにより、前記エレメントを形成する、別の態様の第1又は第2の態様に記載のRFIDアンテナ構造の製造方法である。
【0040】
本発明の別の態様の第3の態様によれば、予め形成される基本構造としてのアンテナの構造をシンプルな形状に設定した場合であっても、印字により容易に形成することが可能なエレメントの形状によって、RFIDアンテナ構造としての機能を適宜調整可能である。
【0041】
したがって、本発明の別の形態の第3の形態によれば、RFIDに対応したラベルやタグ等のRFID媒体において、アンテナの設計の自由度を高めることができる。
【0042】
本発明の別の態様の第4の態様は、前記導電性インクが塗布されたインクリボンから前記インレイ基材に前記導電性インクを熱転写する、別の態様の第2又は第3の態様に記載のRFIDアンテナ構造の製造方法である。
【0043】
本発明の別の態様の第4の態様によれば、導電性インクが塗布されたインクリボンからインレイ基材に導電性インクを熱転写するため、インクリボンを使用可能なプリンタによって、エレメントを形成することができる。
【0044】
本発明の別の態様の第1の態様は、被着体に設けられたICチップ及びアンテナと、前記被着体の外側表面に形成され、導電性インクからなり前記アンテナの機能を補助するエレメントと、を有する、RFIDアンテナ構造である。
【0045】
本発明の別の態様の第1の態様によれば、ICチップ及びアンテナが設けられた被着体の外側表面に、導電性インクからなりアンテナの機能を補助するエレメントを備えることにより、アンテナ感度が高められる。また、エレメントが導電性インクにより形成されるため、エレメントの形状やサイズの変更が容易に行える。
【0046】
このため、被着体にエレメントを形成することにより、予め設けられたICチップ及びアンテナの感度を改良することができる。
【0047】
したがって、本発明の別の態様の第1の態様によれば、ICチップ及びアンテナが設けられた被着体において、アンテナの設計の自由度を高めることができる。
【0048】
本発明の別の態様の第2の形態は、前記ICチップ及び前記アンテナがインモールド成形により前記被着体と一体的に形成された、別の態様の第1の態様に記載のRFIDアンテナ構造である。
【0049】
本発明の別の態様の第2の態様によれば、ICチップ及びアンテナがインモールド成形により一体的に形成された被着体の外側表面に、導電性インクからなりアンテナの機能を補助するエレメントを備えることにより、アンテナ感度を高めることができる。
【0050】
したがって、本発明の別の態様の第2の態様によれば、ICチップ及びアンテナがインモールド成型により一体的に形成された被着体において、アンテナの設計の自由度を高めることができる。
【0051】
本発明の別の態様の第3の態様は、前記被着体に設けられた前記ICチップ及び前記アンテナに対応する位置に、前記エレメントが印字により形成された、別の態様の第1の態様又は第2の態様に記載のRFIDアンテナ構造である。
【0052】
本発明の別の態様の第3の態様によれば、ICチップ及びアンテナが設けられた被着体の外側表面に、印字により形成されたエレメントを備えることにより、被着体に設けられたICチップ及びアンテナのアンテナ感度を高めることができる。
【0053】
したがって、本発明の別の態様の第3の態様によれば、ICチップ及びアンテナが設けられた被着体において、アンテナの設計の自由度を高めることができる。
【0054】
本発明の別の態様の第4の態様は、前記エレメントが基材に形成されたラベルが、前記被着体に設けられた前記ICチップ及び前記アンテナに対応する位置に貼り付けられた、別の態様の第1の態様又は第2の態様に記載のRFIDアンテナ構造である。
【0055】
本発明の別の態様の第4の態様によれば、前記被着体に設けられた前記ICチップ及び前記アンテナに対応する位置に、前記エレメントが形成されたラベルが貼り付けられたことにより、被着体に設けられたICチップ及びアンテナのアンテナ感度を高めることができる。
【0056】
したがって、本発明の別の態様の第4の態様によれば、ICチップ及びアンテナが設けられた被着体において、アンテナの設計の自由度を高めることができる。
【0057】
本発明のさらに別の態様の第1の態様は、被着体に設けられているICチップ及びアンテナに対応する位置に、導電性インクからなり前記アンテナの機能を補助するエレメントを形成するRFIDアンテナ構造の製造方法である。
【0058】
本発明のさらに別の態様の第1の態様によれば、ICチップ及びアンテナが設けられた被着体の外側表面に、アンテナの機能を補助するエレメントが導電性インクにより形成されることにより、アンテナ感度が高められる。また、エレメントが導電性インクにより形成されるため、エレメントの形状やサイズの変更が容易に行える。
【0059】
このため、被着体にエレメントを形成することにより、予め設けられたICチップ及びアンテナの感度を改良することができる。
【0060】
したがって、本発明のさらに別の態様の第1の態様によれば、ICチップ及びアンテナが設けられた被着体において、アンテナの設計の自由度を高めることができる。
【0061】
本発明のさらに別の態様の第2の態様は、前記ICチップ及び前記アンテナは、インモールド成形により前記被着体と一体的に形成された、さらに別の態様の第1の態様に記載のRFIDアンテナ構造の製造方法である。
【0062】
本発明のさらに別の態様の第2の態様によれば、ICチップ及びアンテナがインモールド成形により一体的に形成された被着体の外側表面に、アンテナの機能を補助するエレメントが導電性インクにより形成されることにより、アンテナ感度を高めることができる。
【0063】
したがって、本発明のさらに別の態様の第2の態様によれば、ICチップ及びアンテナがインモールド成型により一体的に形成された被着体において、アンテナの設計の自由度を高めることができる。
【0064】
本発明のさらに別の態様の第3の態様は、前記被着体に設けられた前記ICチップ及び前記アンテナに対応する位置に、前記エレメントが印字により形成される、さらに別の態様の第1の態様又は第2の態様に記載のRFIDアンテナ構造の製造方法である。
【0065】
本発明のさらに別の態様の第3の態様によれば、ICチップ及びアンテナが設けられた被着体の外側表面に、エレメントが印字により形成されることにより、被着体に設けられたICチップ及びアンテナのアンテナ感度を高めることができる。
【0066】
したがって、本発明のさらに別の態様の第3の態様によれば、ICチップ及びアンテナが設けられた被着体において、アンテナの設計の自由度を高めることができる。
【0067】
本発明のさらに別の態様の第4の態様は、前記エレメントが基材に形成されたラベルを、前記被着体に設けられた前記ICチップ及び前記アンテナに対応する位置に貼り付ける、さらに別の態様の第1の態様又は第2の態様に記載のRFIDアンテナ構造の製造方法である。
【0068】
本発明のさらに別の態様の第4の態様によれば、前記被着体に設けられた前記ICチップ及び前記アンテナに対応する位置に、前記エレメントが形成されたラベルが貼り付けられることにより、被着体に設けられたICチップ及びアンテナのアンテナ感度を高めることができる。
【0069】
したがって、本発明の別の態様の第4の態様によれば、ICチップ及びアンテナが設けられた被着体において、アンテナの設計の自由度を高めることができる。
【0070】
[第一実施形態]
<RFIDラベル及びRFIDアンテナ構造>
図1は、本発明の第一実施形態に係るRFIDアンテナ構造を有するRFIDラベル1の表面を説明する外観図である。図2は、RFIDラベル1の裏面を説明する外観図である。また、図3は、図1のIII-III線における断面図である。
【0071】
本実施形態においては、図1図3に示されたX方向を「ラベル幅方向」と記す。また、X方向に交差するY方向を「ラベルピッチ方向」と記す。
【0072】
RFIDラベル1は、RFIDインレイ10を有する。RFIDインレイ10は、インレイ基材11と、インレイ基材11に形成されたアンテナ12と、アンテナ12に接続されたICチップ13とを備える。
【0073】
本実施形態において、RFIDインレイ10とは、アンテナ12に、RFID(Radio Frequency Identification)仕様のICチップ13が接合されたものである。
【0074】
RFIDラベル1において、アンテナ12及びICチップ13が配置された面には、粘着剤層14が積層されており、アンテナ12及びICチップ13は、粘着剤層14により覆われている(図2参照)。
【0075】
本実施形態において、インレイ基材11には、導電性インクからなりアンテナ12の機能を補助するブースターアンテナとしてのエレメント20が形成されている。導電性インクは、有色であり、一例としては、黒色である。印字に適用可能な種々のカラーであってもよい。
【0076】
RFIDラベル1において、アンテナ12と、エレメント20とは、RFIDアンテナ構造15を構成する。
【0077】
本実施形態において、インレイ基材11として適用可能な材料としては、上質紙、コート紙等の紙類、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンナフタレート等の樹脂フィルム単体又はこれら樹脂フィルムを複数積層してなる多層フィルムが挙げられる。
【0078】
インレイ基材11の厚さは、25μm以上300μm以下であることが好ましい。基材として紙類を用いる場合には、上記範囲のなかでも、50μm以上260μm以下とすることができ、通常、80μmとすることが好ましい。また、基材として樹脂フィルムを用いる場合には、上記範囲のなかでも、25μm以上200μm以下とすることができる。これらのなかから、用途に応じて、適宜選択可能である。
【0079】
アンテナ12は、ICチップ13が接続されるICチップ接続部42を有するループ部41を有する。
【0080】
本実施形態において、ループ部41は、矩形状に形成されている。ループ部41の一部は、切り欠かれており、切欠によってできた端部がループ内側に延ばされて、ICチップ接続部42を構成している(図2参照)。
【0081】
本実施形態においては、アンテナ12は、導電性材料が含まれた導電性シートにより形成されている。導電性材料は、通常、アンテナの形成に用いられる導電性材料であれば適用可能である。
【0082】
導電性材料の一例として、金属を使用することができる。金属のなかでは、好ましくは、銅、アルミニウムが挙げられる。製造コストを抑える観点から、導電性シートとしては、アルミニウム箔を用いることが好ましい。
【0083】
金属箔の厚さは、RFIDインレイ10の厚さ或いはRFIDラベル1を形成したときの全体の厚さ、及び製造コストの観点から3μm以上25μm以下であることが好ましい。さらに好ましくは、厚さ20μmである。
【0084】
アンテナ12は、所定形状のアルミニウム箔をインレイ基材11に貼り付けることによって形成することができる。或いは、アンテナ12は、アルミをインレイ基材11に蒸着することにより形成することができる。
【0085】
ICチップ接続部42には、一例として、異方導電性ペースト又は導電性フィルムを用いた焼付け接合等によりICチップ13が接合されている。
【0086】
本実施形態において、エレメント20は、インレイ基材11において、アンテナ12及びICチップ13が配置された面11Aの反対面(インレイ基材11の面11Bと記す)に、導電性インクを用いた印字により形成されている。本実施形態において、インレイ基材11の面11Bは、RFIDラベル1の表面を構成する。
【0087】
図1に示すように、エレメント20は、中央部31と、メアンダ部32,33と、キャパシタハット部34,35とを有し、X方向に延びるダイポールアンテナを構成している。
【0088】
中央部31は、インレイ基材11に形成されたアンテナ12のX方向における長さよりも大きく、アンテナ12の一部に沿った形状に形成されている。
【0089】
メアンダ部32,33は、中央部31のX方向における端部からX方向外側に向けて形成されている。メアンダ部32,33のそれぞれのアンテナ12のX方向外側の端部に、キャパシタハット部34,35が形成されている。
【0090】
キャパシタハット部34,35は、それぞれU字状に形成されており、メアンダ部32,33を覆うように形成されている。
【0091】
キャパシタハット部34,35は、U字底部34b,35bをX方向における外側に向け、U字の開口部34a,35aをX方向における内側に向けて形成されている。U字底部34b,35bには、それぞれメアンダ部32,33のX方向外側の端部が接続されている。
【0092】
中央部31のX方向における長さ、メアンダ部32,33の折曲げ段数や、曲げの曲率半径等は、エレメント20の補助アンテナとしてのアンテナ効率を考慮して設定することができる。
【0093】
本実施形態では、エレメント20は、UHF帯(300MHz~3GHz、特に860MHz~960MHz)に対応したパターンに設計されている。
【0094】
以上の構成を有するRFIDラベル1は、アンテナ12及びICチップ13が配置された面を被着体側に向けて被着体に貼り付けることができる。
【0095】
<作用効果>
本実施形態に係るRFIDラベル1は、インレイ基材11に形成され、ICチップ13に接続されたアンテナ12と、導電性インクからなりアンテナ12の機能を補助するエレメント20と、を備えるRFIDアンテナ構造15を備える。
【0096】
RFIDラベル1は、エレメント20を備えることにより、アンテナ12の機能が高められる。エレメント20は、導電性インクにより形成されるため、導電性インクを印字可能なプリンタによって、印字によりエレメント20の形状やサイズの変更が容易に行える。
【0097】
このため、RFIDラベル1のサイズやRFIDラベル1の用途等に応じて、RFIDアンテナ構造15に設計変更が必要となっても、基本構造としてのアンテナ12を備えたRFIDラベル1を用意しておきさえすれば、エレメント20の形状を適宜変更し、印字によりRFIDラベル1に形成することで、RFIDアンテナ構造15の調整が容易に行える。
【0098】
また、RFIDラベル1が貼り付けられる被着体が段ボール、ペットボトル、金属容器、ガラス容器(試験管)等であってもよく、これらの被着体に応じて、エレメント20の形状を適宜変更し、印字によりRFIDラベル1に形成することで、RFIDアンテナ構造15の調整が容易に行える。
【0099】
また、例えば、被着体において、RFIDラベル1を貼り付けることのできる貼付可能エリアが限定されていた場合でも、貼付可能エリアに応じてアンテナ感度の向上が得られるようなエレメント20の設計変更を容易に行うことができる。
【0100】
したがって、RFIDラベル1に要求されるRFIDアンテナ構造の設計の自由度を高めることができる。
【0101】
また、本実施形態において、エレメント20は、インレイ基材11に形成されているので、RFIDアンテナ構造15が適用されるRFIDインレイ10の構造を簡素化できる。
【0102】
また、本実施形態において、アンテナ12は、導電性材料が含まれた導電性シートによって形成されているため、金属蒸着にて基材上にアンテナを形成する形態に比べて、インレイ基材11として適用可能な材料の選択の自由度が高められる。
【0103】
また、本実施形態においては、基本構造としてのアンテナ12は、ICチップ13が接続されるICチップ接続部42を有するループ部41を備える。このため、本実施形態のように、アンテナ12を導電性シートから切り抜いて形成する場合において、切り抜き不良等の製造不良が発生しにくい。
【0104】
本実施形態によれば、基本構造であるアンテナ12をシンプルな形状に設定することができ、RFIDアンテナ構造15としての機能は、印字により容易に形成することが可能なエレメント20の形状によって調整可能である。したがって、RFIDラベル1に要求されるRFIDアンテナ構造の設計の自由度を高めることができる。
【0105】
<RFIDラベルの他の実施形態>
図4は、RFIDラベル2を説明する断面図である。図5は、RFIDラベル3を説明する断面図である。
【0106】
図4に示すように、RFIDラベル2は、アンテナ12及びICチップ13が配置され、粘着剤層14が積層された面11Aの反対側の面11Bに、接着剤層16を介して、表面基材17が積層されている。RFIDラベル2では、エレメント20が文字及び/又は記号を含む情報内容201(図8)等とともに、表面基材17に印字により形成されている。
【0107】
図5に示すように、RFIDラベル3は、アンテナ12及びICチップ13が配置された面11Aに接着剤層16を介して、表面基材17が積層されている。RFIDラベル3では、エレメント20が文字及び/又は記号を含む情報内容201(図8)等とともに、表面基材17に印字により形成されている。RFIDラベル3において、アンテナ12及びICチップ13が配置された面11Aの反対側の面11Bには、粘着剤層14が積層されている。
【0108】
RFIDラベル2及びRFIDラベル3によれば、インレイ基材11に表面基材17に応じた強度を付与することができる。また、インレイ基材11に形成されたアンテナ12及びICチップ13が表面基材17によって覆われた場合であっても、インレイ基材11を覆う表面基材17にエレメント20を形成することができる。
【0109】
したがって、RFIDラベル2またはRFIDラベル3によれば、RFIDアンテナ構造15の設計の自由度を高めることができる。
【0110】
<RFIDアンテナ構造の製造方法>
本実施形態に係るRFIDアンテナ構造の製造方法の一例として、図1に示すRFIDラベル1におけるRFIDアンテナ構造を製造する方法について説明する。
【0111】
図1に示すRFIDアンテナ構造15において、アンテナ12は、導電性材料としてのアルミニウム箔を用いて、インレイ基材11に予め形成されている。一方、エレメント20は、文字及び/又は記号を含む情報内容201(図8)等とともに、導電性インクによって印字工程においてインレイ基材11に形成される。
【0112】
図4に示すRFIDラベル2及び図5に示すRFIDラベル3の場合には、エレメント20は、導電性インクによって表面基材17に形成される。
【0113】
一例として、印字工程では、インレイ基材11に予め形成されたアンテナ12に近接する位置に、導電性インクを熱転写する。より具体的には、導電性インクが塗布されたインクリボンからインレイ基材11に導電性インクを熱転写することにより、エレメント20を形成することができる。
【0114】
したがって、本実施形態に係るRFIDアンテナ構造は、導電性インクによって印字可能なプリンタによって実現可能である。以下では、本実施形態に係るRFIDアンテナ構造を実現可能なプリンタについて説明する。
【0115】
(プリンタ)
図6は、RFIDアンテナ構造15を印字により形成するプリンタ100を説明する概略図である。
【0116】
プリンタ100は、導電性インクが塗布されたインクリボンRを熱して、インクリボンRから印字媒体に導電性インクを転写することで印字を行う熱転写プリンタである。
【0117】
図7は、図6に示すプリンタ100に適用するためのRFIDラベル1の形態を説明する概略図である。
【0118】
本実施形態では、印字媒体として、ラベル連続体が適用される。ラベル連続体(以下、連続体MLと記す)は、長尺状のセパレータBに複数のRFIDラベル1が所定間隔で貼り付けられている。セパレータBには、剥離処理が施されているため、セパレータBから剥離されたRFIDラベル1は、再び、被着体に貼り付けることができる。
【0119】
本実施形態では、連続体MLにおいて、長尺状のセパレータBに貼り付けられた各RFIDラベル1の寸法及びラベル同士の所定間隔は、全て同一である。図示されていないが、連続体MLは、巻回され、ロール状にて提供される。
【0120】
プリンタ100は、図6に示すように、印字機構110と、リボン供給軸120と、リボン巻取軸130と、媒体供給軸140と、プリンタ100の各部を制御する制御部としてのコントローラ150と、を備える。
【0121】
上記各構成は、本体部101に収容されて、本体部101に対して開閉可能に取り付けられたカバー102によって覆われている。
【0122】
印字機構110は、ヘッドユニット111と、プラテンローラ112とを備え、RFIDラベル1への印字と連続体ML及びインクリボンRの搬送を行う。
【0123】
ヘッドユニット111は、サーマルヘッド113の発熱素子を下面から露出させた状態でサーマルヘッド113を保持する。プラテンローラ112は、サーマルヘッド113の直下に配置され、サーマルヘッド113と共にRFIDラベル1に印字を行う印字部115を構成する。
【0124】
ヘッドユニット111は、支持軸114により図6の黒色の矢印の方向に揺動可能に支持される。ヘッドユニット111は、サーマルヘッド113がプラテンローラ112から離間するヘッドオープン位置と、サーマルヘッド113がプラテンローラ112に当接するヘッドクローズ位置と、に移動させることができる。図6には、ヘッドユニット111がヘッドクローズ位置にある状態が示されている。
【0125】
プラテンローラ112は、図示しないステッピングモータによって回転駆動されており、コントローラ150からの指示信号にしたがって、正回転又は逆回転の駆動が可能とされている。
【0126】
リボン供給軸120は、印字部115に供給されるインクリボンRをロール状に保持する。リボン供給軸120から印字部115に供給されたインクリボンRは、サーマルヘッド113とプラテンローラ112との間に挟持される。
【0127】
媒体供給軸140は、印字部115に供給される連続体MLをロール状に保持する。媒体供給軸140から印字部115に供給された連続体MLは、サーマルヘッド113とプラテンローラ112との間にインクリボンRと共に挟持される。
【0128】
ステッピングモータとのギアの連結によってリボン巻取軸130が回転すると、使用済のインクリボンRがリボン巻取軸130の外周に巻き取られる。なお、ヘッドユニット111がヘッドオープン位置にある状態では、リボン巻取軸130を回転させることで、インクリボンRのみを巻き取り方向に送ることができる。
【0129】
RFIDラベル1及びインクリボンRがサーマルヘッド113とプラテンローラ112との間に挟持された状態でサーマルヘッド113の発熱素子への通電が行われると、発熱素子の熱によってインクリボンRの導電性インクがRFIDラベル1に転写され、RFIDラベル1への印字が行われる。
【0130】
また、ステッピングモータ(図示せず)によってプラテンローラ112が正回転すると、連続体MLが下流側(白抜き矢印の方向)へと搬送される。
【0131】
コントローラ150は、マイクロプロセッサ、ROMやRAM等の記憶装置、入出力インタフェース、これらを接続するバス等で構成されており、制御プログラムに基づいて、連続体MLの搬送及びラベルへMの印字を制御する。
【0132】
また、図6には示されていないが、プリンタ100は、インターネット等のネットワークに接続するためのインタフェースや携帯電話通信網に接続するためのインタフェースを備えていてもよい。これらは、コントローラ150によって制御されている。
【0133】
上述した構成を備えることにより、プリンタ100は、媒体発行指示に基づいて、価格、バーコード、その他の商品情報、物品あるいはサービスに関する管理情報等の情報内容201、及びアンテナ12の機能を補助するエレメント20を印字媒体としてのRFIDラベル1に印字することができる。
【0134】
図8は、プリンタ100によって、RFIDラベル1にエレメント20及び情報内容201等が印字により形成されることを説明する模式図である。
【0135】
図8には、基本構造である、インレイ基材11にアンテナ12とICチップ13とを備えたRFIDインレイ10からなるRFIDラベル1に、プリンタ100によって、文字及び/又は記号を含む情報内容201と、バーコード202と、エレメント20とが印字される様子が示されている。
【0136】
なお、図8において印字されるラベルは、図4に示すRFIDラベル2又は図5に示すRFIDラベル3であってもよい。
【0137】
(作用効果)
本実施形態によれば、プリンタ100による印字工程において、エレメント20を導電性インクにより形成できるため、エレメント20の形状やサイズの変更が容易に行える。
【0138】
また、本実施形態においては、導電性インクが塗布されたインクリボンRからインレイ基材11に導電性インクを熱転写するため、インクリボンRを使用可能なプリンタ100であれば、適用可能である。
【0139】
このため、RFIDラベル1のサイズやRFIDラベル1の用途等に応じて、RFIDアンテナ構造15に設計変更が必要となっても、エレメント20の形状を適宜変更し、印字によりRFIDラベル1に形成することで、RFIDアンテナ構造15の調整が容易に行える。
【0140】
本実施形態によれば、導電性材料としてのアルミニウム箔を用いてインレイ基材11に予め形成されたアンテナ12に近接する位置に、導電性インクを熱転写することにより、エレメント20を形成する。このため、予め形成される基本構造としてのアンテナ12の構造をシンプルな形状に設定した場合であっても、RFIDアンテナ構造15としての機能は、印字により容易に形成することが可能なエレメント20の形状によって調整可能である。
【0141】
したがって、RFIDラベル1に要求されるRFIDアンテナ構造の設計の自由度を高めることができる。
【0142】
<エレメントの変形例>
エレメントの形状は、図1に示したもののほか、アンテナ12の機能を補助することのできる形状であれば、種々の変更が可能である。
【0143】
図9は、第一変形例であるエレメント21を説明する模式図である。
【0144】
図9には、基本構造である、インレイ基材11にアンテナ12とICチップ13とを備えたRFIDインレイ10からなるRFIDラベル1に、文字及び/又は記号を含む情報内容201と、バーコード202と、エレメント21とが印字された状態が示されている。
【0145】
例えば、通信距離を伸ばしたい場合には、基本構造に、X方向に長い横長のエレメント21を印字により追加することにより、RFIDラベル1のアンテナ感度を高めることができる。
【0146】
図10は、第二変形例であるエレメント22を説明する模式図である。
【0147】
図10には、RFIDラベル1に、文字及び/又は記号を含む情報内容201と、バーコード202と、エレメント22とが印字された状態が示されている。エレメント22は、液体が封入された容器に貼り付けられた際にブースト効果が得られる形状である。
【0148】
被着体が液体容器の場合には、アンテナ感度が低下することが知られている。これに対して、液体の容器に使用される場合に、基本構造に、液体に対応するブースト効果が得られる形状のエレメント22を印字により追加することにより、RFIDラベル1のアンテナ感度を高めることができる。
【0149】
RFIDラベル1の通信特性は、被着体の比誘電率の違いによって大きく異なる。したがって、被着体の比誘電率に応じたアンテナ形状を予め用意しておくことにより、被着体の比誘電率に応じて、最適なアンテナ形状を選択することができる。
【0150】
エレメントの形状は、いわゆる、ダイポールアンテナやループアンテナのようなアンテナ形状に限定されない。エレメントは、インレイ基材11に印字される文字及び/又は記号を含む情報内容の少なくとも一部として形成されていてもよい。
【0151】
図11は、第三変形例であるエレメント23を説明する模式図である。また、図12は、第四変形例であるエレメント24を説明する模式図である。
【0152】
図11に示す第三変形例では、エレメント23が、インレイ基材11に印字される文字及び/又は記号を含む情報内容203において、「表の枠」として形成されている。
【0153】
また、図12に示す第四変形例では、エレメント24が、印字される情報内容203のほかにラベルの表面を形成するデザインの一部として形成されている。
【0154】
なお、エレメント23は、補助アンテナとして機能すればよく、「表の枠」であること以外に、罫線、縁取り、下線、文字そのもの等とすることができる。
【0155】
これによれば、基本構造に、第三変形例及び第四変形例に示すエレメント23,24を印字により追加することにより、RFIDラベル1のアンテナ感度を高めることができるとともに、RFIDラベル1や被着体における貼付面のデザイン性を損なうことがない。
【0156】
図13は、第五変形例であるエレメント25を説明する模式図である。
【0157】
図13に示す第五変形例では、基本構造のRFIDラベル1におけるアンテナ12と重複する領域にエレメント25が印字により形成されていることにより、RFIDラベル1のアンテナ感度を高めることができる。
【0158】
変形例に示したように、エレメント21~25は、それぞれ、導電性インクによって印字により形成されるため、RFIDラベルのサイズや用途等に応じて、RFIDアンテナ構造15に設計変更が必要となった場合であっても、エレメントの形状の変更が容易に可能である。
【0159】
なお、図9から図13に示した変形例では、RFIDラベル1の代わりに、RFIDラベル2又はRFIDラベル3も適用可能である。
【0160】
[第二実施形態]
図14は、本発明の第二実施形態に係るRFIDアンテナ構造300を説明する模式図である。
【0161】
第二実施形態に係るRFIDアンテナ構造300は、被着体310に設けられたICチップ301及びアンテナ302と、被着体310の外側表面310Sに形成され、導電性インクからなり、アンテナ302の機能を補助するエレメント320と、を有する。
【0162】
RFIDアンテナ構造300においては、ICチップ301及びアンテナ302は、基材303上に形成されており、ラベル304として、被着体310に貼り付けられている。
【0163】
RFIDアンテナ構造300においては、図14の下段に示すように、被着体310にラベル304として設けられたICチップ301及びアンテナ302に対応する位置に、エレメント320が印字により形成される。
【0164】
エレメント320の印字には、被着体310の表面に、導電性インクを印字する方法及び装置が適用される。
【0165】
以上のように、RFIDアンテナ構造300によれば、ICチップ301及びアンテナ302がラベル304として貼り付けられた被着体310の外側表面310Sに、導電性インクからなりアンテナ302の機能を補助するエレメント320が印字により形成されることにより、ラベル304としてのアンテナ302の感度を、被着体310に貼り付けた後から改良することができる。
【0166】
また、エレメント320が導電性インクにより形成されるため、エレメント320の形状やサイズの変更も容易に行える。
【0167】
したがって、RFIDアンテナ構造300によれば、ICチップ301及びアンテナ302がラベル304として貼り付けられた被着体310において、アンテナ302の設計の自由度を高めることができる。
【0168】
図15は、本発明の第二実施形態の第一変形例に係るRFIDアンテナ構造400を説明する模式図である。
【0169】
RFIDアンテナ構造400は、被着体410に設けられたICチップ401及びアンテナ402と、被着体410の外側表面410Sに形成され、導電性インクからなり、アンテナ402の機能を補助するエレメント420と、を有する。
【0170】
RFIDアンテナ構造400においては、ICチップ401及びアンテナ402は、インモールド成形により被着体410と一体的に形成されている。
【0171】
RFIDアンテナ構造400においては、図15の下段に示すように、被着体410にインモールド成形により設けられたICチップ401及びアンテナ402に対応する位置に、エレメント420が印字により形成される。
【0172】
エレメント420の印字には、被着体410の表面に、導電性インクを印字する方法及び装置が適用される。
【0173】
以上のように、RFIDアンテナ構造400によれば、インモールド成形により、ICチップ401及びアンテナ402が設けられた被着体410の外側表面410Sに、導電性インクからなりアンテナ402の機能を補助するエレメント420が印字により形成されることにより、インモールド成形されたアンテナ402の感度を、成形後に改良することができる。
【0174】
また、エレメント420が導電性インクにより形成されるため、エレメント420の形状やサイズの変更も容易に行える。
【0175】
したがって、RFIDアンテナ構造400によれば、ICチップ401及びアンテナ402がインモールド成形により設けられた被着体410において、アンテナ402の設計の自由度を高めることができる。
【0176】
図16は、本発明の第二実施形態の第二変形例に係るRFIDアンテナ構造500を説明する模式図である。
【0177】
RFIDアンテナ構造500は、被着体510に設けられたICチップ501及びアンテナ502を備える。図16においては、ICチップ501及びアンテナ502は、基材503に形成され、ラベル504として、被着体510に貼り付けられている場合について示されている。
【0178】
RFIDアンテナ構造500においては、被着体510にラベル504として設けられたICチップ501及びアンテナ502に対応する位置に、エレメント520が基材521に形成されたエレメントラベル523として、ICチップ501及びアンテナ502に対応する位置に貼り付けられる。
【0179】
RFIDアンテナ構造500によれば、エレメント520がエレメントラベル523として被着体510に設けられたICチップ501及びアンテナ502に対応する位置に貼り付けられることにより、被着体510にラベル504として貼り付けられたICチップ501及びアンテナ502におけるアンテナ感度を、被着体510に貼り付けられた後から、高めることができる。
【0180】
したがって、RFIDアンテナ構造500によれば、ICチップ501及びアンテナ502が設けられた被着体510において、アンテナ502の設計の自由度を高めることができる。
【0181】
なお、上述の変形例において、ICチップ501及びアンテナ502がラベル504として貼り付けられている場合について説明したが、ICチップ及びアンテナは、被着体510にインモールド成形されていてもよい。
また、エレメント520は、基材521に形成されたエレメントラベル523として、ICチップ501及びアンテナ502に対応する位置に貼り付けられる代わりに、被着体510の外側表面510Sに、導電性インクからなりアンテナ502の機能を補助するエレメント520が印字により形成されてもよい。これにより、ラベル504として貼り付けられたアンテナ502の感度を、貼り付けた後に、改良することができる。
【0182】
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0183】
本実施形態においては、RFIDラベルの場合について説明したが、RFIDに対応したアンテナ及びICチップを備えたRFIDタグのようなRFID媒体であってもよい。
【0184】
図1に示すRFIDラベル1において、エレメント20は、インクリボンに塗布された導電性インクをRFIDラベル1に熱転写して形成される。このほか、導電性インクをインクジェットにより、RFIDラベル1の印字面に直接印字して形成することもできる。
【0185】
また、導電性インクは、透明であってもよい。透明導電性インクを使用することにより、RFIDラベル1のラベルデザインを損なうことなく、補助アンテナとしてのエレメント20をラベル表面に形成することができる。
【0186】
なお、透明導電性インクを適用する場合には、透明導電性インクによりエレメント20を形成する専用のプリンタを用意することが好ましい。あるいは、一つのプリンタに透明導電性インクを印字するための印字ユニットと、通常の情報印字のための印字ユニットとを併設することができる。
【0187】
また、本実施形態に係るプリンタ100は、アンテナ12を備えた基本構造のRFIDラベル1に、エレメント20を印字することなく、情報内容201及び/又はバーコード202のみを印字するモードが選択可能とされていてもよい。
【0188】
導電性インクをインクリボンにより熱転写するプリンタ100であれば、インクリボンを印字面に接近させる又は退避させるための、いわゆるリボンセーバ機構を用いることにより、上述した印字モード選択が可能ある。
【0189】
図1図9から図13に示したエレメント20~25等のエレメントを印字するための印字データは、プリンタ100のコントローラ150に含まれる記憶装置あるいは着脱可能な記憶装置に用意することができる。
【0190】
プリンタ100は、記憶された印字データから所定パターンのエレメントを選択して、印字によりRFIDラベル1に形成することができる。
【0191】
プリンタ100がインターネット等のネットワークに接続可能である場合には、エレメントを印字するための印字データをネットワークに接続されたサーバ等に用意することができる。プリンタ100は、ネットワークを介して、エレメントを印字するための印字データを取得する。
【0192】
これにより、様々なエレメントのパターンの設計及び更新がサーバ側で一括して実行可能になる。また、個別のプリンタ100への新たなエレメントの印字データの展開を、より迅速に実行することができる。
【0193】
図1図9から図13に示したエレメント20~25は、インレイ基材11(RFIDラベルの表面に相当するインレイ基材11の表面)に印字される。これに対して、インレイ基材のアンテナ12が形成される面11Aに形成されてもよい。
【0194】
本実施形態によれば、例えば、インレイ基材11にアンテナ12とICチップ13とが搭載されたRFIDインレイ10を有するRFIDラベル1において、仮に、検品時点において、ICチップ13あるいはアンテナ12にエラーが発見された場合であっても、エラーを含む基本構造のRFIDラベル1に対して、使用可能な通常レベルまでアンテナ感度を引き上げるような補助アンテナとしてのエレメント20を印字によりRFIDラベル1に形成することができる。
【0195】
これにより、これまで不良として廃棄されていたRFIDラベル1を使用することができる。
【符号の説明】
【0196】
1,2,3 RFIDラベル
4 ラベル前駆体
10 RFIDインレイ
11 インレイ基材
12 アンテナ
13 ICチップ
14 粘着剤層
15 RFIDアンテナ構造
20,21,22,23,24,25,26 エレメント
31 中央部
32,33 メアンダ部
34,35 キャパシタハット部
34a,35a 開口部
34b,35b U字底部
41 ループ部
42 ICチップ接続部
100 プリンタ
101 本体部
102 カバー
110 印字機構
111 ヘッドユニット
112 プラテンローラ
113 サーマルヘッド
114 支持軸
115 印字部
120 リボン供給軸
130 リボン巻取軸
140 媒体供給軸
150 コントローラ
201,203 情報内容
202 バーコード
300,400,500 RFIDアンテナ構造
301,401,501 ICチップ
302,402,502 アンテナ
303,503 基材
304,504 ラベル
310,410,510 被着体
310S,410S,510S 外側表面
320,420,520 エレメント
521 基材
523 エレメントラベル
B セパレータ
R インクリボン
ML 連続体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図16