(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077323
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】電圧調整装置
(51)【国際特許分類】
H02J 3/26 20060101AFI20240531BHJP
H02J 3/14 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
H02J3/26
H02J3/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189357
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】平野 南洋
(72)【発明者】
【氏名】白土 紀明
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066AA05
5G066DA03
5G066GA02
(57)【要約】
【課題】装置の大型化を回避するために2相分の調整変圧器を用いつつ、3相の不平衡の抑制効果が得られる電圧調整装置を提供する。
【解決手段】電圧調整装置は、3相の交流電圧を配電する配電線それぞれに直列に接続された2次巻線と、2次巻線に対応する1次巻線とを有する直列変圧器、タップ付き2次巻線を有する調整変圧器、前記調整変圧器のタップを、前記2次巻線それぞれについて切り換える2相分のスイッチを有するタップ切換器、並びに、前記タップ切換器を制御する制御部、を備え、前記制御部は、前記調整変圧器の2次巻線それぞれの複数のタップの組み合わせのうち、前記配電線における出力側の3相の交流電圧それぞれと目標電圧値との偏差に基づく指標値が最小となるタップの組み合わせを決定し、決定した組み合わせとなるように前記タップ切換器を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3相の交流電圧を配電する配電線それぞれに直列に接続された2次巻線と、前記2次巻線に対応する1次巻線とを有する直列変圧器、
前記配電線のうちの第1配電線及び第2配電線の間、前記第2配電線及び第3配電線の間に並列接続された2つの1次巻線と、前記2つの1次巻線それぞれに対応するタップ付き2次巻線とを有する調整変圧器、
前記直列変圧器の1次巻線及び前記調整変圧器の2次巻線の間に設けられており、前記調整変圧器のタップを、前記2次巻線それぞれについて切り換える2相分のスイッチを有するタップ切換器、並びに、
前記タップ切換器を制御する制御部、
を備え、
前記制御部は、前記調整変圧器の2次巻線それぞれの複数のタップの組み合わせのうち、前記配電線における出力側の3相の交流電圧それぞれと目標電圧値との偏差に基づく指標値が最小となるタップの組み合わせを決定し、決定した組み合わせとなるように前記タップ切換器を制御する
電圧調整装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記配電線の入力側における電圧値と、出力側における目標電圧値との差分に応じて選択すべきタップを記憶した記憶部を更に備え、
前記制御部は、
第1配電線及び第2配電線の線間電圧値と、前記第2配電線及び第3配電線の線間電圧値とを検出し、
検出した線間電圧値それぞれについて、前記記憶部を参照して2相分個別にタップを仮決定し、
仮決定したタップの組合せとした場合の出力側の3相の交流電圧それぞれと、目標電圧値との偏差に基づく指標値を算出し、
他のタップの組み合わせについて算出された前記指標値と比較して最小となるタップの組み合わせを決定する
請求項1に記載の電圧調整装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記指標値を下記式により算出する
請求項1又は2に記載の電圧調整装置。
【数1】
σ:指標値
ΔVuv:目標電圧値と第1配電線及び第2配電線間の交流電圧の実効値との偏差
ΔVvw:目標電圧値と第2配電線及び第3配電線間の交流電圧の実効値との偏差
ΔVwu:目標電圧値と第3配電線及び第1配電線間の交流電圧の実効値との偏差
【請求項4】
前記直列変圧器の1次巻線はデルタ結線されている
請求項1に記載の電圧調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
配電系統の系統電圧を設定された範囲に保つことが必要である。配電系統の電圧が変動する要因は基本的に、需要家の負荷変動である。それ以外の要因として、太陽光発電等による分散型電源の発電状況による変動がある。これらの変動を抑えて設定された範囲に保つために、タップを切り換える電圧調整装置(SVR:Step Voltage Regulator)や、無効電力調整によって系統電圧を調整する機器(SVC:Static Var Compensator)が用いられている。SVRについては、サイリスタを用いてタップ切り換えの即応性を高めたサイリスタ式自動電圧調整器(TVR:Thyristor type step Voltage Regulator )も使用されている。
【0003】
特許文献1,2には、3相の交流電圧を配電する配電線に、3相分の2次巻線を直列に接続した直列変圧器と、配電線に並列に接続されたタップ付きの調整変圧器とを備え、2次側の電圧を目標電圧に調整する電圧調整装置が開示されている。このような電圧調整装置では、直列変圧器の1次巻線と、調整変圧器の2次巻線の各タップとの間に設けられて調整変圧器のタップを切り換えるタップ切換器を用い、制御装置が調整変圧器から直列変圧器に印加される電圧を調整して配電線の電圧を調整する。
【0004】
特許文献1の電圧調整装置では、直列変圧器の1次巻線がY(スター)結線して構成され、調整変圧器の2次側をV結線として、制御部は2相分のタップを制御する。
【0005】
特許文献2の電圧調整装置では、直列変圧器の1次巻線がΔ(デルタ)結線して構成され、調整変圧器の2次巻線をY結線として、制御部は3相分のタップを制御し、配電線の3相の電圧の不平衡を調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-085715号公報
【特許文献2】特開2019-080430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されているように、2相分のタップ切換器を一括制御することによって、特許文献2のように3相分のタップ切換器及び調整変圧器を用いるよりも、コスト削減及びコンパクト化を達成することができる。しかしながら、3相分のタップ切換器及び調整変圧器を用いる特許文献2の構成のような不平衡の抑制効果は得られない。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、装置の大型化を回避するために2相分の調整変圧器を用いつつ、3相の不平衡の抑制効果が得られる電圧調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一実施形態の電圧調整装置は、3相の交流電圧を配電する配電線それぞれに直列に接続された2次巻線と、前記2次巻線に対応する1次巻線とを有する直列変圧器、
前記配電線のうちの第1配電線及び第2配電線の間、前記第2配電線及び第3配電線の間に並列接続された2つの1次巻線と、前記2つの1次巻線それぞれに対応するタップ付き2次巻線とを有する調整変圧器、前記直列変圧器の1次巻線及び前記調整変圧器の2次巻線の間に設けられており、前記調整変圧器のタップを、前記2次巻線それぞれについて切り換える2相分のスイッチを有するタップ切換器、並びに、前記タップ切換器を制御する制御部、を備え、前記制御部は、前記調整変圧器の2次巻線それぞれの複数のタップの組み合わせのうち、前記配電線における出力側の3相の交流電圧それぞれと目標電圧値との偏差に基づく指標値が最小となるタップの組み合わせを決定し、決定した組み合わせとなるように前記タップ切換器を制御する。
【0010】
本開示の電圧調整装置では、3相の交流電圧全体として目標電圧値との偏差を小さくするようにタップが選択される。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、3相の交流電圧をそれぞれ個別に変圧できる構成とせずに装置の大型を防ぎつつ、電圧不平衡を改善させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態の電圧調整装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】電圧調整装置における2次側電圧と調整電圧とのベクトル関係のイメージ図である。
【
図5】制御部による制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。以下の実施の形態では、本開示の電圧調整装置について説明する。
【0014】
図1は、本実施形態の電圧調整装置1の構成を示すブロック図である。電圧調整装置1は、3つの配電線1u,1v,1wに接続されている。配電線1u,1v,1wは、電源から負荷(いずれも不図示)へU相、V相、W相の交流電圧を配電する配電線である。以下、1次側の各相の電圧をU1,V1,W1とし、2次側の各相の電圧をU2,V2,W2として説明する。
【0015】
電圧調整装置1は、直列変圧器2と、調整変圧器3と、タップ切換器4と、制御部5とを含み、配電線1u,1v,1wに配電される交流電圧を、2次側にて目標電圧となるように調整する装置である。配電線1u,1v,1wの1次側及び2次側には、電圧検出器101,102が設けられており、配電線1u,1v,1wの各相の線間電圧を検出する。電圧検出器101,102は、制御部5に接続されている。電圧検出器102のみが備えられていてもよい。
【0016】
直列変圧器2は、配電線1u,1v,1wそれぞれに直列に接続される2次巻線212,222,232と、2次巻線212,222,232それぞれに対応する1次巻線211,221,231とを含む。1次巻線211,221,231はそれぞれ、一端及び他端が、隣り合う1次巻線211,221,231と接続された「Δ結線」で構成されている。配電線1uの2次巻線212と対応する1次巻線211と、配電線1vの2次巻線222と対応する1次巻線221との間の接点をN1とする。同様にして、配電線1vの2次巻線222と対応する1次巻線221と、配電線1wの2次巻線232と対応する1次巻線231との間の接点をN2とする。1次巻線231と、1次巻線221との間の接点をN3とする。接点N1は中性点に接続されており、接点N2,N3は、タップ切換器4のスイッチ群に接続されている。直列変圧器2は「Δ-Y結線」で構成されている。なお、本開示の電圧調整装置1について直列変圧器2における1次巻線211,221,231の結線は、Δ結線に限定しない。
【0017】
調整変圧器3は、配電線1uと配電線1vとの間に並列に接続される1次巻線311と、配電線1vと配電線1wとの間に並列に接続される1次巻線321とを含む。2つの1次巻線311及び1次巻線321は、配電線1vに共通に接続された「V結線」で構成されている。調整変圧器3は、1次巻線311及び1次巻線321にそれぞれ対応する2次巻線312及び2次巻線322を含む。
【0018】
調整変圧器3の2次巻線312は、一端及び他端から引き出された接点と、2次巻線312を特定の比率に分ける箇所から引き出された接点とを有する。接点は一部ヒューズFを介してタップ切換器4に接続されている。2次巻線322は同様に、一端及び他端から引き出された接点と、特定の比率に分ける箇所から引き出された接点とを有する。接点は一部ヒューズFを介してタップ切換器4に接続されている。つまり、調整変圧器3の2次巻線312,322は、一端及び他端と、2次巻線を特定の比率に分ける箇所とを含む3つ以上の箇所から引き出された接点を介して、巻線のうちの使用する部分(タップ)を選択可能なタップ付き巻線である。各接点は、タップ切換器4を介して直列変圧器2の一次側の1次巻線間の接点N1~N3と接続されている。なお特定の比率に分ける箇所は、
図1に示すような1つに限らず、2つ以上存在してもよい。
図1に示す例では、2次巻線312,322には、2/3の箇所から引き出された接点が設けられており、2次巻線312,322はそれぞれ、1倍、1/3倍、2/3倍の3パターンのタップを選択可能である。
【0019】
タップ切換器4は、調整変圧器3の2次巻線312,322のタップを切り替えるための6つのスイッチ(サイリスタ)を2相分有する。タップ切換器4は具体的には、2次巻線312側のスイッチThA1,ThB1,ThC1,Th11,Th21,Th31と、2次巻線322側のスイッチThA2,ThB2,ThC2,Th12,Th22,Th32とを有する。
【0020】
調整変圧器3の2次巻線312の一端は、ヒューズFを介してスイッチThA1及びスイッチTh11の一端に接続されている。調整変圧器3の2次巻線312の他端は、ヒューズFを介さずにスイッチThC1及びスイッチTh31の一端に接続されている。調整変圧器3の2次巻線312の、巻線を特定の比率(2/3)に分ける箇所から引き出された接点は、ヒューズFを介してスイッチThB1及びスイッチTh21の一端に接続されている。
【0021】
同様にして2次巻線322の一端は、ヒューズFを介してスイッチThA2及びスイッチTh12の一端に接続されている。調整変圧器3の2次巻線322の他端は、ヒューズFを介さずにスイッチThC2及びスイッチTh32の一端に接続されている。調整変圧器3の2次巻線322の、巻線を特定の比率(2/3)に分ける箇所から引き出された接点は、ヒューズFを介してスイッチThB2及びスイッチTh22の一端に接続されている。
【0022】
スイッチThA1,ThB1,ThC1の他端は共通して、直列変圧器2の接点N1と共に中性点に接続されている。調整変圧器3の2次巻線312に一端が接続されたスイッチTh11,Th21,Th31の他端は共通して、直列変圧器2の接点N3に接続されている。調整変圧器3の2次巻線322に一端が接続されたスイッチTh12,Th22,Th32の他端は共通して、直列変圧器2の接点N2に接続されている。
【0023】
調整変圧器3は、配電線1u,1v,1wとの接続もタップ切換器4との接続も、「V結線」であり、「V-V結線」で構成されている。
【0024】
タップ切換器4のスイッチThA1,ThB1,ThC1の他端と、Th11,Th21,Th31の他端との間には、限流抵抗器R1及び切換スイッチThS1の直列回路と、電磁接触器MC1とが並列に接続されている。切換スイッチThS1は、スイッチThA1,ThB1,ThC1,Th11,Th21,Th31によってタップを切り換える過程で、限流抵抗器R1を介してタップ間を橋渡ししておくために、タップ間への限流抵抗器R1の接続及び切り離しを行なうためのものである。電磁接触器MC1は、スイッチThA1,ThB1,ThC1,Th11,Th21,Th31,ThS1によってタップを切り換える運用が停止されている間に、直列変圧器2の1次側を解放状態にしないようにするためのものである。2次巻線322側のスイッチについても同様に、限流抵抗器R2及び切換スイッチThS2の直列回路と、電磁接触器MC2とが並列に接続されている。
【0025】
タップ切換器4のスイッチThA1,ThB1,ThC1,Th11,Th21,Th31,ThS1、及び電磁接触器MC1と、スイッチThA2,ThB2,ThC2,Th12,Th22,Th32,ThS2、及び電磁接触器MC1は、制御部5から制御可能である。タップ切換器4は、直接切換式であっても、間接切換式であってもよい。
【0026】
制御部5は、論理回路、FPGA(Field Programmable Gate Array )等を用いて構成される。制御部5は、予め記憶された制御プログラムに基づいて、調整変圧器3のスイッチThA1,ThB1,ThC1,Th11,Th21,Th31,ThS1,ThA2,ThB2,ThC2,Th12,Th22,Th32,ThS2に対する制御信号を出力する。制御部5は、これらの制御信号によって、上述の3つのタップとスイッチ(点弧サイリスタ)の組合せにより、2相それぞれについて、第1タップから第7タップの調整電圧が可能である。例えば、
図2中、ハッチング及び太線で示すように、タップ切換器4のスイッチTh11及びスイッチThB1を点弧させ、スイッチTh12及びスイッチThB2を点弧させることによって、2次巻線312,322をいずれも一部(2/3倍)を使用しつつ、正負を反転し、-2/3倍(
図4参照、第2タップ)とすることができる。
【0027】
電圧調整装置1による電圧を調整するための制御の詳細について説明する。
図2は、電圧調整装置1における2次側電圧と調整電圧とのベクトル関係のイメージ図である。
図2中、上部に、電圧調整装置1における直列変圧器2及び調整変圧器3の結線関係を示す。
図2中、下部に、各結線関係に対応する電圧変換のベクトルのイメージを示す。
【0028】
図2中の左側に、電圧調整装置1の1次側に位置する直列変圧器2の2次巻線212,222,232のY(スター)結線を示し、右側へ順に、直列変圧器2の1次巻線211,221,231のΔ結線、調整変圧器3の2次巻線312,322のV結線、1次巻線311,321のV結線を示す。直列変圧器2の1次巻線211,221,231のΔ結線、調整変圧器3の2次巻線312,322のV結線は、いずれの接点間が接続されるかが、タップ切換器4によって、図中の矢符に示すように切り換えられる。このように、本実施形態の電圧調整装置1は、調整変圧器3への入力電圧(2次側)から見てV-V-Δ-Y結線により構成される。
【0029】
図2の上部に示すように、調整変圧器3はV-V結線であって、位相の変位はない。直列変圧器2では、Δ-Y結線により、移動変位は30°である。調整変圧器3への入力電圧(2次側電圧)に対して、直列変圧器2の出力電圧(1次側電圧)の位相は、+30°または-30°変位する。直列変圧器2の1次巻線211,221,231がΔ結線により構成されていることから、Y結線とする構成と比べて、励磁電流の第3高調波成分はΔ結線に流れ、2次巻線212,222,232の中性点電位の振動と、零相電圧V0の発生とを抑制できる。
【0030】
図2の下部に示すように、調整変圧器3の1次巻線311,321における電位U2、V2、W2間の交流電圧は、ベクトルVvu1 ,Vwv1 で表される。ベクトルVvu1 ,Vwv1 それぞれの大きさは、線間電圧の大きさに対応する。ベクトルVvu1 とベクトルVwv1 とがなす角度は、2つの交流電圧の位相差(30°)を示す。
【0031】
これに対し、調整変圧器3の2次巻線312,322における交流電圧は、ベクトルVvu2 ,Vwv2 で表される。
図2中、選択されたタップのV2寄りの電位をv2、W2寄りの電位をw2、U2寄りの電位をu2で示す。ベクトルVvu2 ,Vwv2 それぞれの大きさは、線間電圧の大きさに対応する。上述したように、調整変圧器3の1次巻線311,321と2次巻線312,322とは、V―V結線である。2次巻線312,322から出力される2つの交流電圧は、1次巻線311,321の交流電圧に対し、選択されたタップに対応する巻数比が乗じられるようにして変圧される。
図2に示すように、位相差は生じず、ベクトルVvu2 とベクトルVwv2 とがなす角度は変わらない。ただし、2相に対し、個別にタップを選択できるため、
図2に示すように、ベクトルVvu2 及びベクトルVwv2 それぞれの大きさは、個別に変更できる。
【0032】
上述したように、直列変圧器2の1次巻線211,221,231は、Δ結線であるしたがって、ベクトルVvu2 とベクトルVwv2 に対応する2つの交流電圧が3つの1次巻線211,221,231それぞれにそのまま印加される。1次巻線211,221,231に印加される3つの交流電圧は、ベクトルVsr,Vts,Vrtで表される。1次巻線231に印加される交流電圧Vrtは、タップ切換器4のスイッチTh11,Th21,Th31のいずれかと、スイッチTh21,Th22,Th32のいずれかとの間の電圧との差に等しい。ベクトルVsr,Vts,Vrtそれぞれの大きさは、1次巻線211,221,231に印加される交流電圧の実効値である。
【0033】
上述したように、直列変圧器2の2次巻線212,222,232は、Y結線である。1次巻線211,221,231がΔ結線であるから、Δ-Y結線により、1次巻線211,221,231におけるベクトルVsr,Vts,Vrtがそれぞれ、変圧(巻数比に応じて変換)された後、相電圧ΔV,ΔW,ΔUへと変換される。相電圧ΔU,ΔV,ΔWは、1次電圧U1,V1,W1へと重畳される。ここで、相電圧ΔU,ΔV,ΔWのベクトルを結ぶ三角形は、ベクトルVsr,Vts,Vrtで結ばれる三角形と相似形にもなっていない。このように、タップ切換によって調整した2相の線間電圧(Vvu2 ,Vwv2 )は、直列変圧器2から出力される調整電圧に位相差を生じさせる。したがって、2相(UV間、VW間)の調整電圧のみならず、直接的に調整の対象となっていないWU間を含む3相全ての調整電圧に直接的に影響を及ぼす。
【0034】
このように、調整変圧器3は2相分を制御する構成であるにもかかわらず、非調整相に対しても多少制御が可能である。また、本実施形態の電圧調整装置1では、この直列変圧器2のΔ-Y結線により、励磁電流による第3高調波がΔ結線内を還流するため、中性点が振動せず、3相3脚鉄心とする必要がない点で有利である。直列変圧器2は、Δ-Y結線に限定するものではなく、Δ-Y結線としない場合は、後述するように位相差の影響を考慮した変圧比の設定は必要とは限らない。
【0035】
本実施形態の電圧調整装置1は、V-V-Δ-Y結線により構成されるため、位相差を生じないV-V-Y-Y結線の場合(先行技術における特許文献1)や、3相全てについてタップ制御を行なう場合(従来技術の特許文献2)と比して、変圧比の設計が重要である。特に直列変圧器2のΔ-Y結線により、直列変圧器2から出力される調整電圧に位相差が生じるためである。
【0036】
そのため、本実施形態の電圧調整装置1では、直列変圧器2の2次巻線電圧の大きさΔEと、2次側の線間電圧の大きさV2 との関係(K=ΔE/V2 )が、式(1)、(2)を満たすように設定してある。ΔEは、具体的には、直列変圧器2の2次巻線212,222,232の両端間の交流電圧のベクトルΔEu,ΔEv,ΔEwの大きさである。V2 は、具体的には、2次側の線間電圧Vuv1 ,Vvw1 ,Vwu1 の大きさ(調整変圧器3の1次側線間電圧)である。K1は、昇圧時の変圧比(第1比率K1)であり、K2は、降圧時の変圧比(第2比率K2)である。
【0037】
【0038】
以下、ΔE、V2 及び変圧比の範囲の式(1)、(2)について説明する。
【0039】
図3は、線間電圧の上昇及び低下の説明図である。配電線1u,1v,1wの1次側それぞれの交流電圧は、ベクトルEu1,Ev1,Ew1で表されている。配電線1u,1v,1wの2次側それぞれの交流電圧は、ベクトルEu2,Ev2,Ew2で表されている。直列変圧器2の2次巻線212,222,232の両端間の交流電圧は、ベクトルΔEu,ΔEv,ΔEwで表される。
【0040】
線間電圧を上昇させる場合、ベクトルEu2はベクトルEu1,ΔEuの和で表される。同様に、ベクトルEv2は、ベクトルEv1,ΔEvの和で表される。ベクトルEw2は、ベクトルEw1,ΔEwの和で表される。2つのベクトルEu2,Ev2の終点間の距離は、配電線1u,1vの2次側の線間電圧Vuvを示す。ベクトルの終点は矢印の先端である。2つのベクトルEv2,Ew2の終点間の距離は、配電線1v,1wの2次側の線間電圧出力側の線間電圧Vvwを示す。2つのベクトルEw2,Eu2の終点間の距離は、配電線1w,1uの2次側の線間電圧Vwuを示す。
【0041】
配電線1u,1v,1wの交流電圧は3相平衡電圧である。また、ベクトルΔEu,ΔEv,ΔEwの大きさは共通している。このため、ベクトルEu1,Eu2,ΔEuによって形成される三角形は、ベクトルEv1,Ev2,ΔEvによって形成される三角形と同じであり、ベクトルEv1,Ev2,ΔEvによって形成される三角形と同じである。
【0042】
前述したように、直列変圧器2に関して、1次巻線211,221,231はデルタ結線されており、2次巻線212,222,232の結線はY結線である。このため、ベクトルEu2,ΔEuがなす角度、ベクトルEv2,ΔEvがなす角度、及び、ベクトルEw2,ΔEwがなす角度は30度である。
【0043】
以下では、ベクトルEu1,Ev1,Ew1の大きさをE1 で表す。ベクトルEu2,Ev2,Ew2の大きさをE2で表す。ベクトルΔEu,ΔEv,ΔEwの大きさがΔEである。入力側の線間電圧Vuv,Vvw,Vwuの大きさをV1 で表す。出力側の線間電圧Vuv,Vvw,Vwuの大きさがV2 である。
【0044】
線間電圧を上昇させる場合、余弦定理により、下記の(3)式が成り立つ。
E1
2 =E2
2 +ΔE2 -2・E2 ・ΔE・cos30°…(3)
「・」は積を示す。ΔE=K・V2 が成り立つ。(2)式において、ΔEにK・V2 を代入することによって、下記の(4)式が得られる。
E1
2 =E2
2 +(K・V2 )2 -E2 ・K・V2 ・√3…(4)
【0045】
前述したように、配電線1u,1v,1wの交流電圧は3相平衡電圧である。このため、E1 =V1 /√3及びE2 =V2 /√3が成り立つ。これらの式を用いて、(4)式のE1 及びE2 を削除することによって、下記の(5)式が得られる。
3・K2 ・V2
2 -3・K・V2
2 +V2
2-V1
2 =0…(5)
【0046】
(5)式は、Kに関する2次方程式である。解の公式を用いることによって、Kは下記の(6)式で表される。
【0047】
【0048】
通常、V2 はΔEよりも十分に大きい。このため、Kが0.5を超えることはない。このため、(6)式の中でKが0.5以上となる解を削除する。これにより、Kは(7)式で表される。
【0049】
【0050】
出力側の線間電圧が2次定格電圧に調整される1次タップ電圧の最小値をVmin で表し、2次定格電圧をVc で表した場合、第1比率K1は、下記の(8)式で表される。
【0051】
【0052】
入力側及び出力側の線間電圧の変圧比(=V1 /V2 )に関してr(%)のズレが許容される場合(変圧誤差の許容比率r)、変圧比は、(1-(r/100))・V1 /V2 以上であり、且つ、(1+(r/100))・V1 /V2 以下である値であればよい。従って、入力側及び出力側の線間電圧の変圧比(=V1 /V2 )に関してr(%)のズレが許容される場合、第1比率K1は、上述の式(1)式を満たす。
【0053】
線間電圧を低下させる場合、
図3の下側に示すように、ベクトルEu2はベクトルEu1からベクトルΔEuを引くことによって得られる。同様に、ベクトルEv2は、ベクトルEv1からベクトルΔEvを引くことによって得られる。ベクトルEw2は、ベクトルEw1からベクトルΔEwを引くことによって得られる。この場合においても、3つの線間電圧Vuv,Vvw,Vwuの大きさは一致している。
【0054】
ベクトルEu1,Eu2,ΔEuによって形成される三角形は、ベクトルEv1,Ev2,ΔEvによって形成される三角形と同じであり、ベクトルEv1,Ev2,ΔEvによって形成される三角形と同じである。ベクトルEu2,ΔEuがなす角度、ベクトルEv2,ΔEvがなす角度、及び、ベクトルEw2,ΔEwがなす角度は30度である。
【0055】
線間電圧を低下させる場合、余弦定理により、下記の(9)式が成り立つ。
E1
2 =E2
2 +ΔE2 -2・E2 ・ΔE・cos150°…(9)
ΔE=K・V2 が成り立つので、(9)式において、ΔEにK・V2 を代入することによって、下記の(10)式が得られる。
E1
2 =E2
2 +(K・V2 )2 +E2 ・K・V2 ・√3…(10)
【0056】
前述したように、E1 =V1 /√3及びE2=V2 /√3が成り立つ。これらの式を用いて(10)式のE1 及びE2 を削除することによって、下記の(11)式が得られる。
3・K2 ・V2
2 +3・K・V2
2 +V2
2 -V1
2 =0…(11)
【0057】
(11)式は、Kに関する2次方程式である。解の公式を用いることによって、Kは下記の(12)式で表される。
【0058】
【0059】
Kは比率であるため、負の値ではない。このため、(12)式の中でKが負の値となる解を削除する。これにより、Kは(13)式で表される。
【0060】
【0061】
出力側の線間電圧が2次定格電圧に調整される1次タップ電圧の最大値をVmax で表し、2次定格電圧をVc で表した場合、第2比率K2は、下記の(14)式で表される。
【0062】
【0063】
入力側及び出力側の線間電圧の変圧比(=V2 /V1 )に関してr(%)のズレが許容される場合、第2比率K2は、上述の式(2)を満たす。
【0064】
電圧調整装置1では、第2比率K2が(2)式を満たすようにΔE及びV2 が設計されている。このため、1次タップ電圧が最大値である場合において、誤差が小さい正確な電圧調整が実現される。前述したように、変圧誤差の許容比率rは例えば0.4である。
【0065】
第1比率K1が式(1)を満たし、且つ、第2比率K2が式(2)式を満たす場合においては、1次タップ電圧が最小値及び最大値とは異なる値であっても、入力側及び出力側の線間電圧の変圧比に関するズレはr(%)以下である。
【0066】
昇圧時、例えば、1次タップ電圧の最小値Vmin を6300Vとし、2次定格電圧Vc を6600Vとし、変圧誤差の許容比率rが0.4(%)である場合、式(1)にこれらの数値を代入し、0.0280≦K1≦0.00331を満たすように、ΔE及びV2 が設計される。第1比率K1が0.03055である場合、ベクトルEu1,Eu2がなす角度、ベクトルEv1,Ev2がなす角度、及び、ベクトルEw1,Ew2がなす角度は、約1.6度であり、十分に小さい。
【0067】
また降圧時、例えば、1次タップ電圧の最大値Vmax を6900Vとし、2次定格電圧Vc を6600Vとし、変圧誤差の許容比率rが0.4(%)である場合、式(2)にこれらの数値を代入し、0.0273≦K2≦0.00328を満たすように、ΔE及びV2 が設計される。第2比率K2が0.03086である場合、ベクトルEu1,Eu2がなす角度、ベクトルEv1,Ev2がなす角度、及び、ベクトルEw1,Ew2がなす角度は、約1.4度であり、十分に小さい。
【0068】
上述のように構成され、設定される電圧調整装置1では、制御部15が、複数のタップのうちのいずれかを選ぶと、どれほど昇圧し、あるいは降圧するかが算出可能である。上述の変圧比K1,K2の設定に基づく巻き数等の設定により、変圧比の誤差や位相の変動を小さくしつつ、2相分の調整によって3相全てを調整し、不平衡の抑制が可能となる。
【0069】
図4は、タップごとの電圧特性を示す図表である。
図4の例では、2次定格電圧を6600Vとし、1次タップ電圧の最大値V
max を6900Vとし、1次タップ電圧の最小値V
min を6300Vとし、更に、
図1に示した構成で、タップ数が「7」である場合の電圧特性を示す。
【0070】
図4の設定例では、調整変圧器3の変圧比を10分の1として設定し、変圧比Kを0.0030とするように各要素を選定している。
図4の例では、2次側の定格電圧を6600Vとしているので、±660V(±1倍)、±440V(±2/3倍)、±220V(±1/3倍)、及び±0倍、のうちのいずれかを選択できる。第1タップ(-1倍)では、1次側の電圧が高くなっている場合に大きく降圧させることができ、第4タップ(0倍)ではそのまま素通し、第7タップ(+1倍)では1次側の電圧が低下している場合に大きく昇圧させることができる。
【0071】
「実際の1次タップ電圧」は、変圧比Kを0.0030として設計した場合における二次電圧が定格電圧6600Vの場合の1次電圧を表している。変圧比の誤差は、「(実際の1次タップ電圧-定格1次タップ電圧)/定格2次電圧」で表される。
図4に示すように、いずれのタップを選択した場合であっても、r=0.4%に対して十分な裕度を有している。ΔEは、直列変圧器2の2次巻線212,222,232それぞれにおける電位大きさである。変圧による位相変位は小さいことが望ましいが、計算上、
図4に示すように、いずれのタップを選択した場合であっても2°以内となり充分に小さい。
【0072】
上述のように構成された電圧調整装置1の制御部5は、更に、
図4に示すような昇圧又は降圧とタップとの関係を示すテーブルを記憶しておき、このテーブルに基づいて、2次側の電圧が目標電圧(基準電圧、ここでは6600V)となるように、2相分のタップを選択してタップ切換器4を制御する。以下に示す処理によって、電圧調整装置1は、2相分のタップ切換器4を用いたコンパクトな構成としても、3相分全体としての電圧を、不均衡を抑えるように調整できる。
図5は、制御部5による制御処理の一例を示すフローチャートである。
【0073】
制御部5は、電圧検出器101から、配電線1u,1v,1wの1次側の線間電圧Vuv,Vvw,Vwuを取得する(ステップS1)。制御部5は、取得した1次側の線間電圧Vuv,Vvw,Vwuのうち、制御対象となる2相分の線間電圧Vuv,Vvwと目標電圧との差異から、配電線1u,1v間、及び配電線1v,1w間の2相それぞれについて、タップを仮決定する(ステップS2)。制御部5は例えば、線間電圧Vuvが6300Vに最も近い場合、目標電圧6600Vまで昇圧させるため、配電線1u,1v間のタップを第7タップとする。このとき、例えば、線間電圧Vvwが6400Vに最も近い場合、目標電圧6600Vまで昇圧させるため、配電線1v,1w間のタップを第6タップとする。
【0074】
制御部5は、仮決定したタップとした場合の調整後の各相の2次側の線間電圧Vuv2,Vvw2,Vwu2を算出する(ステップS3)。制御部5は、ステップS3で算出したVuv2,Vvw2,Vwu2それぞれについて、目標電圧との偏差ΔVuv,ΔVvw,ΔVwuを算出する(ステップS4)。
【0075】
制御部5は、ステップS4で算出した偏差ΔVuv,ΔVvw,ΔVwuに基づく3相の基準電圧からの標準偏差σを、以下の式(15)に基づき算出する(ステップS5)。
【0076】
【0077】
制御部5は、ステップS2で仮決定したタップに対し、隣のタップを選択した場合の調整後の各相の2次側の電圧線間電圧Vuv2,Vvw2,Vwu2を、複数のパターンそれぞれについて算出する(ステップS6)。制御部5は同様にして、ステップS6で算出したVuv2,Vvw2,Vwu2それぞれについて、目標電圧との偏差ΔVuv,ΔVvw,ΔVwu、及び標準偏差σを算出する(ステップS7)。
【0078】
制御部5は、ステップS5及びステップS7で算出した標準偏差σのうち、最小の標準偏差となるタップのパターンを、最適なタップとして決定する(ステップS8)。制御部5は、決定したタップへ切り換えさせる制御信号をタップ切換器4へ出力し(ステップS9)、処理を終了する。
【0079】
テーブルを参照して組み合わせを決定することにより、処理をできるだけ簡易化しつつ、不均衡を抑制することができる。
【0080】
図5に示した処理手順は、位相差を生じないV-V-Y-Y結線で構成される電圧調整装置においても適用可能である。V-V-Y-Y結線で構成される電圧調整装置においては、
図2-3に示した位相変動や変圧誤差を考慮する必要がなく、
図4に示したような、V-V-Y-Y結線におけるタップの選択に応じた電圧調整のテーブルを用いればよい。この場合も制御部は同様にして、電圧線間電圧からタップを仮決定し、切り換え対象のタップのいくつかの組み合わせについて式(15)の標準偏差σを算出し、最小の標準偏差σとなるタップの組み合わせを決定する。
【0081】
図6は、制御内容の概要図である。
図6Aは、本実施形態に示したように、2相分のタップを個別に選択して制御した場合の各相の電圧の調整例を示す。
図6Bは、比較例として、3相全体ではなく調整対象の2相分のタップについてそれぞれ電圧を目標電圧となるように選択して制御した場合の各相の電圧の調整例を示す。一点鎖線で示す目標電圧に対し、破線で調整前の各相の電圧値の高さを示し、実線により調整後の各相の電圧値の高さを示す。
【0082】
調整前の2次側の配電線1u,1v,1w間の線間電圧Vuv2,Vvw2,Vwu2はそれぞれ、6500V、6300V、6700Vである。本実施形態の電圧調整装置1では、調整後の線間電圧Vuv2,Vvw2,Vwu2はそれぞれ例えば、6476V、6612V、6678Vとすることができる。比較例では、調整後の線間電圧Vuv2,Vvw2,Vwu2はそれぞれ例えば、6500V、6497V、6801Vである。
【0083】
比較例では、調整対象の調整対象の配電線1u,1v間の線間電圧及び配電線1v,1w間の線間電圧は、揃って目標電圧に近づけることができているが、非調整対象の配電線1w,1u間の線間電圧は、調整前よりも更に、目標電圧から遠ざかっている。このように、3相分ではなく2相分のタップを調整する構成では、調整対象の配電線1w,1u間の線間電圧が、調整対象の配電線1u,1v間の線間電圧及び配電線1v,1w間の線間電圧の中間にない場合に、非調整対象の線間電圧を更に目標電圧から遠ざけてしまうケースが起こり得る。
【0084】
これに対し、本実施形態の電圧調整装置1では、上述したように、非調整対象の配電線1w,1u間の線間電圧も調整可能である。また、制御部5が、標準偏差σが最小となるようにタップを決定する。このため、本実施形態の電圧調整装置1では、非調整対象の配電線1w,1u間の線間電圧についても調整可能である。調整対象の線間電圧を目標値へより近づける効果が、比較例よりも低いことがあったとしても、
図6に示すように、電圧不平衡についてはより改善させることができる。
【0085】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0086】
特許請求の範囲に記載されている複数の請求項に関して、引用形式に関わらず、相互に組み合わせることが可能である。特許請求の範囲では、複数の請求項に従属する多項従属請求項が記載されている。特許請求の範囲では、多項従属請求項に従属する多項従属請求項は記載されていないが、多項従属請求項に従属する多項従属請求項を記載してもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 電圧調整装置
1u,1v,1w 配電線
101,102 電圧検出器
2 直列変圧器
211,221,231 1次巻線
212,222,232 2次巻線
3 調整変圧器
311,321 1次巻線
312,322 2次巻線
4 タップ切換器
ThA1,ThB1,ThC1,Th11,Th21,Th31,ThA2,ThB2,ThC2,Th12,Th22,Th32 スイッチ
5 制御部