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特開2024-7733火力発電システム、情報処理装置、プログラム、及び、火力発電システムの制御方法
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  • 特開-火力発電システム、情報処理装置、プログラム、及び、火力発電システムの制御方法 図1
  • 特開-火力発電システム、情報処理装置、プログラム、及び、火力発電システムの制御方法 図2
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  • 特開-火力発電システム、情報処理装置、プログラム、及び、火力発電システムの制御方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007733
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】火力発電システム、情報処理装置、プログラム、及び、火力発電システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   F02C 3/28 20060101AFI20240112BHJP
   F02C 7/22 20060101ALI20240112BHJP
   C10J 3/46 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
F02C3/28
F02C7/22 B
F02C7/22 D
C10J3/46 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109014
(22)【出願日】2022-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】519338980
【氏名又は名称】大崎クールジェン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000217686
【氏名又は名称】電源開発株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】新垣 洪介
(72)【発明者】
【氏名】湯沢 直史
(72)【発明者】
【氏名】石崎 勇吾
(72)【発明者】
【氏名】手塚 純一
(57)【要約】
【課題】石炭ガスを燃料とするガスタービン発電装置を有し、調整電源として機能する火力発電システムを提供すること。
【解決手段】火力発電システム100は、石炭ガス化炉2にてガス化された石炭ガスを一酸化炭素シフト反応装置3、二酸化炭素吸収装置4に順次導入し、次にガスタービン発電機6に導入して発電し、石炭ガス化炉2から一酸化炭素シフト反応装置3を経ないバイパス配管13と、二酸化炭素吸収装置4の出口に設けられる分岐配管15に接続され石炭ガスの一部を貯留可能な石炭ガスホルダ5と、情報処理装置1と、を有し、情報処理装置1は、ガスタービン発電機6に要求される発電量が増加する場合、石炭ガス化炉2の稼働を引き上げ、石炭ガス化炉2からの石炭ガスの流量の増加率が所定以上の場合、バイパス配管流量制御弁14を開き、石炭ガスホルダ5に貯留されている石炭ガスをガスタービン発電機6に走流する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
石炭ガス化炉にて石炭をガス化した石炭ガスを一酸化炭素シフト反応装置に導入し、次に二酸化炭素吸収装置に導入し、次にガスタービン発電機に導入して発電する火力発電システムであって、
前記石炭ガス化炉から前記一酸化炭素シフト反応装置を経ずに前記二酸化炭素吸収装置に前記石炭ガスを導入するバイパス配管と、
前記バイパス配管の流量を制御するバイパス配管流量制御弁と、
前記二酸化炭素吸収装置と前記ガスタービン発電機とを接続する流路に設けられる分岐配管と、
前記分岐配管に接続され、前記石炭ガスの一部を貯留可能な石炭ガスホルダと、
前記分岐配管に設けられ、前記分岐配管における前記石炭ガスの流動方向と流量とを制御する分岐配管流動制御弁と、
情報処理装置と、
を有し、
前記情報処理装置は、
石炭ガス化炉制御手段とバイパス配管流量制御手段と、分岐配管流動制御手段とを有し、
前記ガスタービン発電機に要求される発電量が増加する場合、前記石炭ガス化炉制御手段は、前記石炭ガス化炉の稼働を引き上げ、
前記石炭ガス化炉からの前記石炭ガスの流量の増加率が所定以上の場合、前記バイパス配管流量制御手段は、前記バイパス配管流量制御弁を開き、
前記分岐配管流動制御手段は、前記分岐配管流動制御弁を制御して前記石炭ガスホルダに貯留されている前記石炭ガスを前記ガスタービン発電機に走流する、
火力発電システム。
【請求項2】
前記バイパス配管流量制御手段は、前記一酸化炭素シフト反応装置の温度上昇率を所定値以下に制御する、
請求項1に記載の火力発電システム。
【請求項3】
前記ガスタービン発電機の前記発電量が一定状態にある状況において、
前記石炭ガス化炉制御手段は前記石炭ガス化炉の稼働を一定とし、前記バイパス配管流量制御手段は、前記バイパス配管流量制御弁を閉め、前記分岐配管流動制御手段は前記分岐配管流動制御弁を制御して前記石炭ガスの一部を前記石炭ガスホルダに貯留する、
請求項1又は請求項2に記載の火力発電システム。
【請求項4】
前記ガスタービン発電機の前記発電量を低減させる状況において、
前記石炭ガス化炉制御手段は、前記石炭ガス化炉の稼働を低減させ、前記バイパス配管流量制御手段は前記バイパス配管流量制御弁を制御して前記バイパス配管における前記石炭ガスの流量を低減させ、且つ、前記分岐配管流動制御手段は、前記分岐配管流動制御弁を制御して前記石炭ガスホルダから前記ガスタービン発電機に走流される前記石炭ガスを低減せしめるか、或いは、前記二酸化炭素吸収装置から排出される前記石炭ガスの一部を前記石炭ガスホルダに貯留せしめる、
請求項1又は請求項2に記載の火力発電システム。

【請求項5】
石炭ガス化炉にて石炭をガス化した石炭ガスを一酸化炭素シフト反応装置に導入し、次に二酸化炭素吸収装置に導入し、次にガスタービン発電機に導入して発電し、
前記石炭ガス化炉から前記一酸化炭素シフト反応装置を経ずに前記二酸化炭素吸収装置に前記石炭ガスを導入するバイパス配管と、
前記バイパス配管の流量を制御するバイパス配管流量制御弁と、
前記二酸化炭素吸収装置と前記ガスタービン発電機とを接続する流路に設けられる分岐配管と、
前記分岐配管に接続され、前記石炭ガスの一部を貯留可能な石炭ガスホルダと、
前記分岐配管に設けられ、前記分岐配管における前記石炭ガスの流動方向と流量とを制御する分岐配管制御弁と、
を有する火力発電システムを制御する情報処理装置であって、
石炭ガス化炉制御手段とバイパス配管流量制御手段と、分岐配管流動制御手段とを有し、
前記ガスタービン発電機に要求される発電量が増加する場合、前記石炭ガス化炉制御手段は、前記石炭ガス化炉の稼働を引き上げ、
前記石炭ガス化炉からの前記石炭ガスの流量の増加率が所定以上の場合、前記バイパス配管流量制御手段は、前記バイパス配管流量制御弁を開き、
前記分岐配管流動制御手段は、前記分岐配管制御弁を制御して前記石炭ガスホルダに貯留されている前記石炭ガスを前記ガスタービン発電機に走流する、
情報処理装置。
【請求項6】
石炭ガス化炉にて石炭をガス化した石炭ガスを一酸化炭素シフト反応装置に導入し、次に二酸化炭素吸収装置に導入し、次にガスタービン発電機に導入して発電し、
前記石炭ガス化炉から前記一酸化炭素シフト反応装置を経ずに前記二酸化炭素吸収装置に前記石炭ガスを導入するバイパス配管と、
前記バイパス配管の流量を制御するバイパス配管流量制御弁と、
前記二酸化炭素吸収装置と前記ガスタービン発電機とを接続する流路に設けられる分岐配管と、
前記分岐配管に接続され、前記石炭ガスの一部を貯留可能な石炭ガスホルダと、
前記分岐配管に設けられ、前記分岐配管における前記石炭ガスの流動方向と流量とを制御する分岐配管制御弁と、
を有する火力発電システムを制御するステップをコンピュータに実行させるプログラムであって、
石炭ガス化炉制御機能とバイパス配管流量制御機能と、分岐配管流動制御機能とを有し、
前記ガスタービン発電機に要求される発電量が増加する場合、前記石炭ガス化炉制御機能は、前記石炭ガス化炉の稼働を引き上げ、
前記石炭ガス化炉からの前記石炭ガスの流量の増加率が所定以上の場合、前記バイパス配管流量制御機能は、前記バイパス配管流量制御弁を開き、
前記分岐配管流動制御機能は、前記分岐配管制御弁を制御して前記石炭ガスホルダに貯留されている前記石炭ガスを前記ガスタービン発電機に走流する、
プログラム。
【請求項7】
石炭ガス化炉にて石炭をガス化した石炭ガスを一酸化炭素シフト反応装置に導入し、次に二酸化炭素吸収装置に導入し、次にガスタービン発電機に導入して発電し、
前記石炭ガス化炉から前記一酸化炭素シフト反応装置を経ずに前記二酸化炭素吸収装置に前記石炭ガスを導入するバイパス配管と、
前記バイパス配管の流量を制御するバイパス配管流量制御弁と、
前記二酸化炭素吸収装置と前記ガスタービン発電機とを接続する流路に設けられる分岐配管と、
前記分岐配管に接続され、前記石炭ガスの一部を貯留可能な石炭ガスホルダと、
前記分岐配管に設けられ、前記分岐配管における前記石炭ガスの流動方向と流量とを制御する分岐配管制御弁と、
を有する火力発電システムを制御する方法であって、
石炭ガス化炉制御ステップとバイパス配管流量制御ステップと、分岐配管流動制御ステップとを有し、
前記ガスタービン発電機に要求される発電量が増加する場合、前記石炭ガス化炉制御ステップは、前記石炭ガス化炉の稼働を引き上げ、
前記石炭ガス化炉からの前記石炭ガスの流量の増加率が所定以上の場合、前記バイパス配管流量制御ステップは、前記バイパス配管流量制御弁を開き、
前記分岐配管流動制御ステップは、前記分岐配管制御弁を制御して前記石炭ガスホルダに貯留されている前記石炭ガスを前記ガスタービン発電機に走流する、
火力発電システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火力発電システム、情報処理装置、プログラム、及び、火力発電システムの制御方法、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、石炭ガス化炉にて石炭をガス化した石炭ガスを一酸化炭素シフト反応装置に導入し、次に二酸化炭素吸収装置に導入し、次にガスタービン発電機に導入して発電する火力発電システムの実証試験が行われている。この種の技術が記載されるものとして特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-77485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
石炭ガス化炉の負荷変化率は~16%/minと高い負荷調整力があり、調整電源として活用できる見込みである。一方、一酸化炭素シフト反応装置の負荷変化率は1%/min程度までしか確認できていない。
【0005】
二酸化炭素分離回収設備の負荷変化率で制約となるのは一酸化炭素シフト反応器に充填された触媒の温度変化である。石炭ガス化炉からの導入ガス量が増減すると、それに応じて一酸化炭素シフト反応器の線速が変化し、触媒層の反応によって生じる温度分布が変化する。触媒は急激な温度変化により劣化する可能性があり、導入ガス量の変化レートに制約が存在する。
【0006】
よって、石炭ガス化炉から生成する石炭ガス化ガスを全量一酸化炭素シフト反応装置及び二酸化炭素吸収装置で処理する火力発電システムではガスタービン発電機負荷変化率は1%/minが上限となり、調整電源として機能することは難しい。
【0007】
本発明は、石炭ガスを燃料とするガスタービン発電装置を有し、調整電源として機能する火力発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)火力発電システムは、石炭ガス化炉にて石炭をガス化した石炭ガスを一酸化炭素シフト反応装置に導入し、次に二酸化炭素吸収装置に導入し、次にガスタービン発電機に導入して発電する火力発電システムであって、石炭ガス化炉から一酸化炭素シフト反応装置を経ずに二酸化炭素吸収装置に石炭ガスを導入するバイパス配管と、バイパス配管の流量を制御するバイパス配管流量制御弁と、二酸化炭素吸収装置とガスタービン発電機とを接続する流路に設けられる分岐配管と、分岐配管に接続され、石炭ガスの一部を貯留可能な石炭ガスホルダと、分岐配管に設けられ、分岐配管における石炭ガスの流動方向と流量とを制御する分岐配管流動制御弁と、情報処理装置と、を有し、情報処理装置は、石炭ガス化炉制御手段とバイパス配管流量制御手段と、分岐配管流動制御手段とを有し、ガスタービン発電機に要求される発電量が増加する場合、石炭ガス化炉制御手段は、石炭ガス化炉の稼働を引き上げ、石炭ガス化炉からの石炭ガスの流量の増加率が所定以上の場合、バイパス配管流量制御手段は、バイパス配管流量制御弁を開き、分岐配管流動制御手段は、分岐配管制御弁を制御して石炭ガスホルダに貯留されている石炭ガスをガスタービン発電機に走流する。
【0009】
(1)の発明によれば、石炭ガスを燃料とするガスタービン発電装置を有し、調整電源として機能する火力発電システムが提供される。
【0010】
(2)(1)の火力発電システムにおいて、バイパス配管流量制御手段は、一酸化炭素シフト反応装置の温度上昇率を所定値以下に制御する。
【0011】
(2)の発明によれば、一酸化炭素シフト反応装置で適用される触媒の劣化が抑えられる。
【0012】
(3)(1)又は(2)の火力発電システムは、ガスタービン発電機の発電量が一定状態にある状況において、石炭ガス化炉制御手段は石炭ガス化炉の稼働を一定とし、バイパス配管流量制御手段は、バイパス配管流量制御弁を閉め、分岐配管流動制御手段は分岐配管制御弁を制御して石炭ガスの一部を石炭ガスホルダに貯留する。
【0013】
(3)の発明によれば、水素含有率の高い石炭ガスが貯留され、水素含有率の高い石炭ガスは必要な時にガスタービン発電機による発電に活用することができる。
【0014】
(4)(1)又は(2)の火力発電システムは、ガスタービン発電機の発電量を低減させる状況において、石炭ガス化炉制御手段は、石炭ガス化炉の稼働を低減させ、バイパス配管流量制御手段はバイパス配管流量制御弁を制御してバイパス配管における石炭ガスの流量を低減させ、且つ、分岐配管流動制御手段は、分岐配管制御弁を制御して石炭ガスホルダからガスタービン発電機に走流される石炭ガスを低減せしめるか、或いは、二酸化炭素吸収装置から排出される石炭ガスの一部を石炭ガスホルダに貯留せしめる。
【0015】
(4)の発明によれば、ガスタービン発電機の発電量が低減される状況にあっても、二酸化炭素の排出の抑えられる火力発電システムが提供される。
【0016】
(5)情報処理装置は、石炭ガス化炉にて石炭をガス化した石炭ガスを一酸化炭素シフト反応装置に導入し、次に二酸化炭素吸収装置に導入し、次にガスタービン発電機に導入して発電し、石炭ガス化炉から一酸化炭素シフト反応装置を経ずに二酸化炭素吸収装置に石炭ガスを導入するバイパス配管と、バイパス配管の流量を制御するバイパス配管流量制御弁と、二酸化炭素吸収装置とガスタービン発電機とを接続する流路に設けられる分岐配管と、分岐配管に接続され、石炭ガスの一部を貯留可能な石炭ガスホルダと、分岐配管に設けられ、分岐配管における石炭ガスの流動方向と流量とを制御する分岐配管制御弁と、
を有する火力発電システムを制御する情報処理装置であって、石炭ガス化炉制御手段とバイパス配管流量制御手段と、分岐配管流動制御手段とを有し、ガスタービンに要求される発電量が増加する場合、石炭ガス化炉制御手段は、石炭ガス化炉の稼働を引き上げ、
石炭ガス化炉からの石炭ガスの流量の増加率が所定以上の場合、バイパス配管流量制御手段は、バイパス配管流量制御弁を開き、分岐配管流動制御手段は、分岐配管制御弁を制御して石炭ガスホルダに貯留されている石炭ガスをガスタービン発電機に走流する。
【0017】
(5)の発明によれば、石炭ガスを燃料とするガスタービン発電装置を有し、調整電源として機能する火力発電システムを実現する情報処理装置が提供される。
【0018】
(6)コンピュータプログラムは、石炭ガス化炉にて石炭をガス化した石炭ガスを一酸化炭素シフト反応装置に導入し、次に二酸化炭素吸収装置に導入し、次にガスタービン発電機に導入して発電し、石炭ガス化炉から一酸化炭素シフト反応装置を経ずに二酸化炭素吸収装置に石炭ガスを導入するバイパス配管と、バイパス配管の流量を制御するバイパス配管流量制御弁と、二酸化炭素吸収装置とガスタービン発電機とを接続する流路に設けられる分岐配管と、分岐配管に接続され、石炭ガスの一部を貯留可能な石炭ガスホルダと、分岐配管に設けられ、分岐配管における石炭ガスの流動方向と流量とを制御する分岐配管制御弁と、を有する火力発電システムを制御するステップをコンピュータに実行させるプログラムであって、石炭ガス化炉制御機能とバイパス配管流量制御機能と、分岐配管流動制御機能とを有し、ガスタービンに要求される発電量が増加する場合、石炭ガス化炉制御機能は、石炭ガス化炉の稼働を引き上げ、石炭ガス化炉からの石炭ガスの流量の増加率が所定以上の場合、バイパス配管流量制御機能は、バイパス配管流量制御弁を開き、分岐配管流動制御機能は、分岐配管制御弁を制御して石炭ガスホルダに貯留されている石炭ガスをガスタービン発電機に走流する。
【0019】
(6)の発明によれば、石炭ガスを燃料とするガスタービン発電装置を有し、調整電源として機能する火力発電システムを制御するステップをコンピュータに実行させるプログラムが提供される。
【0020】
(7)火力発電システムの制御方法は、石炭ガス化炉にて石炭をガス化した石炭ガスを一酸化炭素シフト反応装置に導入し、次に二酸化炭素吸収装置に導入し、次にガスタービン発電機に導入して発電し、石炭ガス化炉から一酸化炭素シフト反応装置を経ずに二酸化炭素吸収装置に石炭ガスを導入するバイパス配管と、バイパス配管の流量を制御するバイパス配管流量制御弁と、二酸化炭素吸収装置とガスタービン発電機とを接続する流路に設けられる分岐配管と、分岐配管に接続され、石炭ガスの一部を貯留可能な石炭ガスホルダと、分岐配管に設けられ、分岐配管における石炭ガスの流動方向と流量とを制御する分岐配管制御弁と、を有する火力発電システムを制御する方法であって、石炭ガス化炉制御ステップとバイパス配管流量制御ステップと、分岐配管流動制御ステップとを有し、ガスタービンに要求される発電量が増加する場合、石炭ガス化炉制御ステップは、石炭ガス化炉の稼働を引き上げ、石炭ガス化炉からの石炭ガスの流量の増加率が所定以上の場合、バイパス配管流量制御ステップは、バイパス配管流量制御弁を開き、分岐配管流動制御ステップは、分岐配管制御弁を制御して石炭ガスホルダに貯留されている石炭ガスをガスタービン発電機に走流する。
【0021】
(7)の発明によれば、石炭ガスを燃料とするガスタービン発電装置を有し、調整電源として機能する火力発電システムを制御する方法が提供される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、石炭ガスを燃料とするガスタービン発電装置を有し、調整電源として機能する火力発電システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係るガスタービン発電機の概要を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る情報処理装置の機能的構成を示すブロック図である。
図4】本発明の実施形態に係るガスタービン発電機の発電量が増加状態にある火力発電システムの概要を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態に係る火力発電システム100、情報処理装置1、プログラム、及び、火力発電システム100の制御方法について図面を参照しながら説明する。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付す。
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係る火力発電システム100の概要を示す図である。火力発電システム100は、情報処理装置1と、石炭ガス化炉2と、一酸化炭素シフト反応装置3と二酸化炭素吸収装置4とガスタービン発電機6と発熱回収発電機7と石炭ガスホルダ5とを有する。石炭ガス化炉2から第1配管8、一酸化炭素シフト反応装置3、第2配管9を経由する流路には、バイパス配管13が設けられ、バイパス配管流量制御弁14がバイパス配管13に設けられている。情報処理装置1は、詳細は後述するが、石炭ガス化炉2、バイパス配管流動制御弁14等と通信可能に設定されており、石炭ガス化炉2、バイパス配管流動制御弁14等を制御する。
【0026】
二酸化炭素吸収装置4の出口には第3配管10が接続され、ガスタービン発電機6に接続されている。第3配管10には、分岐配管15が設けられ、分岐配管15は、石炭ガスホルダ5に接続される。分岐配管15には、分岐配管流動制御弁16が設けられる。分岐配管流動制御弁16は、例えば開閉可能な調節弁と圧縮機とを並列に有する。開閉可能な調整弁により石炭ガスホルダ5からの石炭ガスの流動が制御され、圧縮機により石炭ガスホルダ5への石炭ガスの流動が制御される。ガスタービン発電機6から出る排気ガスは、第4配管11を通して発熱回収発電機7に送られる。発熱回収発電機7から排出される水蒸気は水蒸気配管12を通して一酸化炭素シフト反応装置3に送られる。
【0027】
石炭ガス化炉2にて石炭はガス化され、石炭ガスとなる。石炭ガスは第1配管8を通して一酸化炭素シフト反応装置3に送られる。後述する発熱回収発電機7で発生する水蒸気が水蒸気配管12を通して一酸化炭素シフト反応装置3に導入される。石炭ガス化炉2で発生した一酸化炭素は一酸化炭素シフト反応装置3において水蒸気と反応して二酸化炭素と水素とが発生する。この反応を式(1)に示す。

CO+HO → CO+H (式1)

当該反応は、触媒により促進される。
【0028】
次に石炭ガスは第2配管9を通して、二酸化炭素吸収装置4に送られる。二酸化炭素吸収装置4においては、例えば、アミン等のアルカリ溶液を用いる化学吸収法、或いは、エーテル等を用いる物理吸収法が例えば使用される。そして、地球温暖化対策の観点から、二酸化炭素は回収されて別途有効に利用される。
【0029】
二酸化炭素が吸収された石炭ガスは、第3配管10を通してガスタービン発電機6に送られる。ガスタービン発電機6は、石炭ガスを内部で燃焼させ回転運動を得る内燃機関である。ガスタービン発電機6の廃棄ガスは高温であり、水を水蒸気に換える。発熱回収発電機7においては、この水蒸気の圧力によりタービンを回し発電が行われる。この水蒸気は、水蒸気配管12を通して、一酸化炭素シフト反応装置3に送られ、上記式(1)の反応における水の供給源となる。
【0030】
以上のように、本実施形態に係る火力発電システム100は、ガスタービン発電機6と発熱回収発電機7とを有する、複合発電システムである。
【0031】
情報処理装置1は、本実施形態に係る火力発電システム100を制御する。図2は情報処理装置1のハードウェア構成を示す。図2に示すように、情報処理装置1は、制御部20と、入出力部26と、通信手段27と、記憶部28と、を備える。制御部20は、プロセッサ21と、ROM(Read Only Memory)22と、RAM(Random Access Memory)23と、バス24と、入出力インタフェース25とを有する。情報処理装置1は、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な汎用のパーソナルコンピュータであってもよいし、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。
【0032】
プロセッサ21は、各種演算及び処理を行う。プロセッサ21は、例えば、CPU(central processing unit)、MPU(micro processing unit)、SoC(system on a chip)、DSP(digital signal processor)、GPU(graphics processing unit)、ASIC(application specific integrated circuit)、PLD(programmable logic device)又はFPGA(field-programmable gate array)等である。或いは、プロセッサ21は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。また、プロセッサ21は、これらにハードウェアアクセラレーター等を組み合わせたものであってもよい。
【0033】
プロセッサ21、ROM22及びRAM23は、バス24を介して相互に接続されている。プロセッサ21は、ROM22に記録されているプログラム又はRAM23にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。プログラムの一部又は全部は、プロセッサ21の回路内に組み込まれていてもよい。
【0034】
バス24は入出力インタフェース25にも接続される。入出力インタフェース25には、入出力部26と、通信手段27と、記憶部28と、が接続されている。
【0035】
入出力部26は、有線又は無線により電気的に入出力インタフェース25に接続される。入出力部26は例えばキーボード及びマウス等の入力部と画像を表示するディスプレイ及び音声を拡声するスピーカ等の出力部とによって構成される。なお、入出力部26はタッチパネルのように表示機能と入力機能が一体的な構成であってもよい。
【0036】
通信手段27は、プロセッサ21が、本発明の実施形態に係る石炭ガス化炉2、一酸化炭素シフト反応装置3、バイパス配管流量制御弁14、分岐配管流動制御弁16、更には、例えば図示されないインターネット等のネットワークを介して他の装置との間で通信を行うための装置である。記憶部28は、火力発電システム100全体を制御するプログラム、一酸化炭素シフト反応装置3の温度、ガスタービン発電機6の発電量、バイパス配管流量制御弁14の開放度合い、分岐配管流動制御弁16の状態等を記憶する例えばハードディスクドライブ(HDD)、半導体ドライブ(SSD)等の記憶装置である。
【0037】
図2に関して示したハードウェア構成は、あくまで一例であり、特にこの構成に限定されるわけではない。シングルプロセッサ、マルチプロセッサ及びマルチコアプロセッサ等の各種処理装置単体によって構成されるものの他、これら各種処理装置と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)及びFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の処理回路とが組み合わせられたものを、プロセッサとしての機能的構成を実現するものとして採用してもよい。情報処理装置1が記憶部28を有するのではなく、記憶部28が別途設けられる構成が採用されてもよい。
【0038】
図3は、本実施形態に係る情報処理装置1の機能的構成を示すブロック図である。図3に示す各機能は、図2に示す情報処理装置1の有するプロセッサ21等により実現される。
【0039】
石炭ガス化炉制御手段201は石炭ガス化炉2を制御する。バイパス配管流量制御手段202は、バイパス配管13に設けられるバイパス配管流量制御弁14を制御し、バイパス配管13を流動する石炭ガスの流量を制御する。分岐配管流動制御手段203は、分岐配管15に設けられる分岐配管流動制御弁16を制御し、分岐配管15を流れる石炭ガスの流動を制御する。ガスタービン発電機制御部204は、ガスタービン発電機6を制御する。発熱回収発電機制御部205は、発熱回収発電機7を制御する。
【0040】
以下、図1から図4を参照しつつ、情報処理装置1の有する各機能的構成が、負荷或いは発電量の増減の要求に対応してどのように機能するかについて説明する。図1は、ガスタービン発電機6の発電量に増加要求がない時の火力発電システム100の概要を示す。図4は、ガスタービン発電機6の発電量に増加要求がある時の火力発電システム100の概要を示す。
【0041】
ガスタービン発電機6の発電量に増加要求がない時にどのように火力発電システム100が制御されるかについて説明する。
【0042】
最初に負荷或いは火力発電システム100の発電量が一定に保たれる場合について説明する。
【0043】
情報処理装置1の管理手段206は、ガスタービン発電機6の発電量を一定状態に保つ指示を通信手段27あるいは入出力部26を通して受け付ける。石炭ガス化炉制御手段201は、石炭ガス化炉2の稼働を一定とする指示を石炭ガス化炉2に通信手段27を通して送る。同様に、以下の、制御部20の指令は、例えば通信手段27を通して送られる。バイパス配管流量制御手段202は、バイパス配管流量制御弁14を閉める。これにより石炭ガス化炉2から送出される石炭ガスの全量が一酸化炭素シフト反応装置3に導入される。そして、石炭ガスは、第2配管9を通して二酸化炭素吸収装置4に送られ、二酸化炭素が除去される。二酸化炭素吸収装置4から排出された石炭ガスは、第3配管10を経てガスタービン発電機6に導入される。
【0044】
第3配管10は分岐配管15に接続されている。分岐配管流動制御手段203は分岐配管制御弁を制御して、二酸化炭素吸収装置4から送出される石炭ガスの一部を石炭ガスホルダ5に貯留する。この石炭ガスホルダ5に貯留される石炭ガスは、全量が一酸化炭素シフト反応装置3を経由している。式1に示す反応を経ていることから、水素の含有率が高い。
【0045】
次に負荷或いは火力発電システム100の発電量が増加される場合について主に図4を参照して説明する。
【0046】
情報処理装置1の管理手段206は、ガスタービン発電機6の発電量を増加させる指示を通信手段27あるいは入出力部26を通して受け付ける。石炭ガス化炉制御手段201は、石炭ガス化炉2の稼働を引き上げる指示を石炭ガス化炉2に通信手段27を通して送る。同様に、以下の、制御部20の指令は、例えば通信手段27を通して送られる。
【0047】
石炭ガス化炉2からの石炭ガスの流量が増加する場合、一酸化炭素シフト反応装置3における式(1)に示す反応も増加する。この反応は発熱を伴うため、一酸化炭素シフト反応装置3の中の温度が上昇する。ところで、式(1)の反応には触媒が用いられている。この触媒は、温度上昇率が一定以上になると劣化する。この触媒の劣化を防ぐため、バイパス配管流量制御手段202は、石炭ガス化炉2からの石炭ガスの流量の増加率が所定以上の場合、即ち一酸化炭素シフト反応装置3の温度上昇率が所定値以上となる可能性がある場合、バイパス配管流量制御弁14を開く。所定値は、例えば、毎分2度Cの上昇である。
【0048】
管理手段206が受けるガスタービン発電機6の発電量を増加させる指示を受けて、石炭ガス化炉制御手段201が石炭ガス化炉2の稼働を引き上げた場合においても、その一部がバイパス配管13に送られる。そして、一酸化炭素シフト反応装置3に導入される石炭ガスの増加は抑えられ得る。結果、一酸化炭素シフト反応装置3が有する触媒の劣化が抑えられ得る。
【0049】
石炭ガス化炉2から送出される石炭ガスの一部は一酸化炭素シフト反応装置3に導入されず、バイパス配管13を流動する。そして、石炭ガスは、第2配管9を通して二酸化炭素吸収装置4に送られ、二酸化炭素が除去される。二酸化炭素吸収装置4から排出された石炭ガスは、第3配管10を経てガスタービン発電機6に導入される。
【0050】
一酸化炭素シフト反応装置3を経由せず、バイパス配管13を経由した石炭ガスは、式(1)に表される反応を経ておらず、一酸化炭素を相対的に高く含有する。この一酸化炭素がガスタービン発電機6にて燃焼されて二酸化炭素となる。このため、ガスタービン発電機6から排出される排気中の二酸化炭素の含有率が高くなり得る。本実施形態では、石炭ガスホルダ5に貯留されている、水素含有量の相対的に高い石炭ガスの活用により、ガスタービン発電機6から排出される排気中の二酸化炭素の含有率の上昇が抑えられる。
【0051】
より詳細な説明がなされる。第3配管10は分岐配管15に接続されている。分岐配管流動制御手段203は分岐配管流動制御弁16を制御して石炭ガスホルダ5に貯留される石炭ガスをガスタービン発電機6に向けて送出する。石炭ガスホルダ5の中の石炭ガスの圧力が第3配管10の中の石炭ガスの圧力に比して低い可能性が考慮され、分岐配管流動制御弁16はポンプ機能を有してもよい。この石炭ガスホルダ5に貯留される石炭ガスは、水素の含有率が高い。このため、ガスタービン発電機6に送られる石炭ガスにおける二酸化炭素の含有率の増加は低く抑えられる。増負荷時においても、通常運転時の二酸化炭素回収率90%程度からの大幅な低下が抑制され得る。
【0052】
ガスタービン発電機制御部204は、ガスタービン発電機6の発電量を増加させるようにガスタービン発電機6を制御する。発熱回収発電機制御部205は、発熱回収発電機7の発電量を増加させるように発熱回収発電機7を制御する。
【0053】
例えば、ガスタービン発電機6の発電量を毎分16%向上させる場合について説明する。石炭ガス化炉2の稼働を毎分16%向上させることは可能である。しかしながら、この場合には、一酸化炭素シフト反応装置3の温度上昇が例えば毎分5度Cを超えて、触媒が劣化してしまう。この温度上昇への対応が律速となると、ガスタービン発電機6の発電量を向上させることが出来ない。本実施形態では、バイパス配管13を通る石炭ガスをガスタービン発電機6に送ることで、一酸化炭素シフト反応装置3の温度上昇が抑えられる。石炭ガス化炉2の稼働を毎分16%向上させ、ガスタービン発電機6の発電量を毎分16%向上させることが出来る。
【0054】
しかしながら、このままであると、ガスタービン発電機6で一酸化炭素が燃焼することとなり、二酸化炭素の排出量が増えてしまう。本実施形態では、石炭ガスホルダ5に貯留されている水素含有率の高い石炭ガスが併せてガスタービン発電機6で燃焼する。この水素含有率の高い石炭ガスは燃焼しても水が増えるのみで二酸化炭素の排出が抑えられる。このことから、ガスタービン発電機6の発電量を毎分16%向上させる場合には、例えば、一酸化炭素シフト反応装置3を経由する石炭ガスによる発電量の向上が1%、バイパス配管13を経由した石炭ガスによる発電量の向上が7%、石炭ガスホルダ5に貯留されていた水素含有率の高い石炭ガスによる発電量の向上が8%、のように発電量の向上に寄与する石炭ガスの割合を制御することが出来る。この例ではバイパス配管13を経由した石炭ガスによる発電量の向上は7%に抑えられ、一酸化炭素のガスタービン発電機6への流量が抑えられ、二酸化炭素の発生量が抑えられる。更に、水素ガス含有率の高い石炭ガスが燃焼に使われるため、二酸化炭素の排出量が抑えられる。
【0055】
本実施形態にかかる火力発電システムにおいては、発電量を向上させることに対応可能で、且つ、二酸化炭素の排出が抑えられる。
【0056】
次に負荷或いは火力発電システム100の発電量が低減される場合、即ち減負荷プロセスについて図1を参照して説明する。
【0057】
情報処理装置1の管理手段206は、ガスタービン発電機6の発電量を低減させる指示を通信手段27あるいは入出力部26を通して受け付ける。石炭ガス化炉制御手段201は、石炭ガス化炉2の稼働を低減させる。バイパス配管流量制御手段202はバイパス配管流量制御弁14を制御してバイパス配管13における石炭ガスの流量を低減させる。一方、同時に、分岐配管流動制御手段203は、分岐配管流動制御弁16を制御して石炭ガスホルダ5からガスタービン発電機6に走流される石炭ガスを低減せしめるか、或いは、二酸化炭素吸収装置4から排出される石炭ガスの一部を石炭ガスホルダ5に貯留せしめる。バイパス配管流量制御手段202がバイパス配管流量制御弁14を閉じる、即ち、バイパス配管流量制御手段202がバイパス配管流量制御弁14を制御してバイパス配管13における石炭ガスの流量を無くする場合には、二酸化炭素吸収装置4から排出される石炭ガスの一部を石炭ガスホルダ5に貯留せしめる。
【0058】
火力発電システム100は、一定出力運転時の二酸化炭素回収率90%程度を保持しながら、負荷変化に追従できる。
【0059】
図5のフローチャートを参照して、火力発電システム100の制御の流れを説明する。
【0060】
火力発電システム100に対する制御処理がスタートすると(ステップSTART)、
情報処理装置1の管理手段206は、発電量受付処理として発電量を受け付ける(ステップS101)。現在の発電量と比較して発電量を引き上げる場合には、石炭ガス化炉稼働引き上げ処理として、石炭ガス化炉制御手段201は、石炭ガス化炉2の稼働を引き上げる(ステップS11)。次に、バイパス配管開放処理として、バイパス配管流量制御手段202は、バイパス配管流量制御弁14を開放する(ステップS12)。これと同じくして、分岐配管流動制御手段203は、石炭ガスホルダガス放出処理(ステップS13)として、分岐配管15に設けられる分岐配管制御弁のガス放出用弁を開き、石炭ガスホルダ5に貯留されている石炭ガスをガスタービン発電機6に導入する。
【0061】
現在の発電量と比較して発電量を維持する場合、或いは発電量が一定状態にある場合(ステップS01:維持)には、石炭ガス化炉稼働維持処理として、石炭ガス化炉制御手段201は、石炭ガス化炉2の稼働を維持する(ステップS21)。次に、バイパス配管閉塞処理として、バイパス配管流量制御手段202は、バイパス配管流量制御弁14を閉塞する(ステップS22)。これと同じくして、分岐配管流動制御手段203は、石炭ガスホルダガス貯留処理(ステップS23)として、分岐配管15に設けられる分岐配管制御弁のガス貯留用弁を開き、二酸化炭素吸収装置4から出流した石炭ガスを石炭ガスホルダ5に貯留する。
【0062】
現在の発電量と比較して発電量を低減する場合(ステップS01:低減)には、石炭ガス化炉稼働低減処理として、石炭ガス化炉制御手段201は、石炭ガス化炉2の稼働を低減する(ステップS31)。次に、バイパス配管閉塞処理として、バイパス配管流量制御手段202は、バイパス配管流量制御弁14を閉塞する(ステップS32)。これと同じくして、分岐配管流動制御手段203は、石炭ガスホルダガス流動変更処理(ステップS13)として、分岐配管15に設けられる分岐配管15に設けられる分岐配管制御弁のガス放出用弁が開いている場合には、ガス放出用弁を閉じ、分岐配管15に設けられる分岐配管制御弁のガス貯留用弁を開き、二酸化炭素吸収装置4から出流した石炭ガスを石炭ガスホルダ5に貯留する(ステップS33)。処理が継続される場合には、ステップS01に戻る(ステップS02:Yes)。処理が継続されない場合には、処理を終了する(ステップEND)。
【0063】
以上の説明においては、主に、火力発電システム100について説明した。火力発電システム100が有する情報処理装置1は独立して使用することが可能である。また、情報処理装置1の機能をコンピュータに実行させるプログラムが行っているのと同様のステップに則った火力発電システム100の制御方法を使用することが可能である。
【0064】
本開示は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上記した実施形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。即ち、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0065】
1 情報処理装置
2 石炭ガス化炉
3 一酸化炭素シフト反応装置
4 二酸化炭素吸収装置
5 石炭ガスホルダ
6 ガスタービン発電機
7 発熱回収発電機
13 バイパス配管
14 バイパス配管流量制御弁
15 分岐配管
16 分岐配管流動制御弁
100 火力発電システム
201 石炭ガス化炉制御手段
202 バイパス配管流量制御手段
203 分岐配管流動制御手段
204 ガスタービン発電機制御部
205 発熱回収発電機制御部

図1
図2
図3
図4
図5