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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077339
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】ギアド圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/46 20060101AFI20240531BHJP
【FI】
F04D29/46 J
F04D29/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189383
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】310010564
【氏名又は名称】三菱重工コンプレッサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】宮田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】山田 英樹
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB27
3H130AB47
3H130AB65
3H130AB69
3H130AC30
3H130BA22A
3H130BA73A
3H130BA73G
3H130BA87A
3H130BA87G
3H130BA90A
3H130BA90G
3H130CA05
3H130CA21
3H130CA27
3H130EA06A
3H130EA06G
3H130EA07A
3H130EA07G
(57)【要約】
【課題】ケーシングの変形を抑える。
【解決手段】ギアド圧縮機は、回転軸と、回転軸を周方向に回転駆動させるギアを収容したギアハウジングと、ギアハウジングから軸方向に突出した回転軸の端部に固定され、軸線を中心とする円盤状に形成されたインペラと、ギアハウジングに固定され、インペラが内部に収容されるとともに、インペラで圧縮された流体が供給される吐出空間を内部に形成するケーシングと、ギアハウジング及びケーシングの少なくとも一方に、インペラに対して鉛直方向の下方で固定され、ケーシングの軸方向におけるギアハウジングへ近づく変位を規制する規制部材と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線の延びる軸方向に前記軸線を中心として延びる回転軸と、
前記回転軸を前記軸線回りの周方向に回転駆動させるギアを収容したギアハウジングと、
前記ギアハウジングから前記軸方向に突出した前記回転軸の端部に固定され、前記軸線を中心とする円盤状に形成されたインペラと、
前記ギアハウジングに固定され、前記インペラが内部に収容されるとともに、前記インペラで圧縮された流体が供給される吐出空間を内部に形成するケーシングと、
前記ギアハウジング及び前記ケーシングの少なくとも一方に、前記インペラに対して鉛直方向の下方で固定され、前記ケーシングの前記軸方向における前記ギアハウジングへ近づく変位を規制する規制部材と、を備えるギアド圧縮機。
【請求項2】
前記ケーシングは、前記インペラを収容するケーシング本体と、前記ケーシング本体に対して前記軸線を中心とする径方向の外側に接続されて前記吐出空間が内部に形成されている吐出スクロールとを有し、
前記吐出スクロールと前記ギアハウジングとは、空間が形成されるように、前記軸方向に離れて配置され、
前記規制部材は、前記吐出スクロールと前記ギアハウジングとの間の前記空間に配置されている請求項1に記載のギアド圧縮機。
【請求項3】
前記規制部材は、
前記ギアハウジング及び前記吐出スクロールの一方に固定された第一部材と、
前記ギアハウジング及び前記吐出スクロールの他方に固定された第二部材と、を備え、
前記第一部材は、前記軸方向において前記第二部材を向く第一面を有し、
前記第二部材は、前記軸方向において前記第一面と対向する第二面を有し、
前記第一面と前記第二面との間隙は、前記第一部材及び前記第二部材において前記軸方向で最も狭くされている請求項2に記載のギアド圧縮機。
【請求項4】
前記ギアハウジングは、
前記軸線に対して前記鉛直方向の下方に配置された下部ギアハウジングと、
前記下部ギアハウジングに対して前記鉛直方向の上方に配置され、前記下部ギアハウジングとともに、前記ギアを覆う上部ギアハウジングと、を備え、
前記規制部材は、前記軸方向から見た際に、前記下部ギアハウジングと重なる位置に配置されている請求項1又は2に記載のギアド圧縮機。
【請求項5】
前記下部ギアハウジングは、前記上部ギアハウジングに対し、高い剛性を有している請求項4に記載のギアド圧縮機。
【請求項6】
前記規制部材は、前記軸方向から見た際に、前記吐出スクロールにおける前記径方向の外側の外周端部と重なる位置に配置されている請求項2又は3に記載のギアド圧縮機。
【請求項7】
前記第一部材は、前記第一部材に対する前記第二部材の前記周方向の少なくとも一方への相対変位を規制する周方向規制部を有する請求項3に記載のギアド圧縮機。
【請求項8】
前記第一部材は、
前記ギアハウジング及び前記吐出スクロールの一方に固定された第一ベース部と、
前記周方向に間隔をあけて配置され、前記第一ベース部から前記第二部材に向かって前記軸方向に突出する一対の前記周方向規制部と、を備え、
前記第二部材は、
前記ギアハウジング及び前記吐出スクロールの他方に固定された第二ベース部と、
前記第二ベース部から前記軸方向で前記第一部材に向かって突出し、一対の前記周方向規制部の間に配置された第二突起部と、を備え、
前記第一面は、前記第一ベース部に形成され、
前記第二面は、前記第二突起部に形成されている請求項7に記載のギアド圧縮機。
【請求項9】
一対の前記周方向規制部同士の前記周方向における間隔は、前記軸方向において前記第一ベース部に近づくにしたがって縮小し、
前記第二突起部の前記周方向における幅寸法は、前記軸方向において前記第二ベース部から離れるにしたがって縮小している請求項8に記載のギアド圧縮機。
【請求項10】
前記第一面は、前記径方向の内側から外側に向かって、前記軸方向において前記第二部材から離れるように傾斜し、
前記第二面は、前記径方向の内側から外側に向かって、前記軸方向において前記第一部材から近づくように傾斜し、前記第一面と平行に形成されている請求項3に記載のギアド圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ギアド圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
流体を圧縮して圧縮流体を生成するための装置として遠心圧縮機が知られている。遠心圧縮機の一種として、複数の歯車を介して複数のインペラで段階的に流体を圧縮するギアド圧縮機が知られている。例えば、特許文献1には、回転軸に固定された回転可能なインペラと、インペラを収容する収容空間を有するケーシングと、を備えたギアド圧縮機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-168759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ギアド圧縮機の性能向上のため、インペラを大径化すると、インペラから吐出される流体の増加に伴い、吐出先の空間を大きくする必要がある。そのため、ケーシングの一部であって、吐出先の空間を内部に形成する吐出スクロールも大きくなる。それに伴い、吐出スクロールの自重が大きくなる。吐出スクロールの自重が大きくなることで、ケーシングにおいて、インペラを収容しているケーシング本体と、吐出スクロールとを接続している部分が変形する可能性がある。特に、回転軸に対して鉛直方向の下方では、吐出スクロールの自重の影響が大きく、吐出スクロールが軸方向に倒れこむように変形する可能性がある。吐出スクロールに変形が生じることで、ケーシングの形状が変化し、インペラとケーシングとのクリアランスも変化してしまう。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、ケーシングの変形を抑えることができるギアド圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係るギアド圧縮機は、軸線の延びる軸方向に前記軸線を中心として延びる回転軸と、前記回転軸を前記軸線回りの周方向に回転駆動させるギアを収容したギアハウジングと、前記ギアハウジングから前記軸方向に突出した前記回転軸の端部に固定され、前記軸線を中心とする円盤状に形成されたインペラと、前記ギアハウジングに固定され、前記インペラが内部に収容されるとともに、前記インペラで圧縮された流体が供給される吐出空間を内部に形成するケーシングと、前記ギアハウジング及び前記ケーシングの少なくとも一方に、前記インペラに対して鉛直方向の下方で固定され、前記ケーシングの前記軸方向における前記ギアハウジングへ近づく変位を規制する規制部材と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示のギアド圧縮機によれば、ケーシングの変形を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態に係るギアド圧縮機の概略構成を示す上記ギアド圧縮機の軸線に沿った断面図である。
図2図1のギアド圧縮機に備えた規制部材を、周方向から見た図である。
図3図2の制部材を径方向の内側から見た図である。
図4図2の規制部材を、ギアハウジングとケーシングとの間にセットする状態を示す図である。
図5】本開示の実施形態の第一変形例に係るギアド圧縮機に備えた規制部材を、径方向の内側から見た図である。
図6】本開示の実施形態の第二変形例に係るギアド圧縮機に備えた規制部材を、周方向から見た図である。
図7図6の規制部材を、径方向の内側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本開示によるギアド圧縮機を実施するための形態を説明する。しかし、本開示はこれらの実施形態のみに限定されるものではない。
【0010】
(ギアド圧縮機の構成)
図1に示すように、本実施形態に係る回転機械としてのギアド圧縮機1は、ロータ3と、増速伝達部11と、ギアハウジング2と、ケーシング5と、規制部材7Aと、を主に備えている。
【0011】
(ロータの構成)
ロータ3は、ギアハウジング2に対して、軸線Oを中心として回転可能とされている。ロータ3は、回転軸30と、インペラ40と、を備えている。
【0012】
回転軸30は、軸線Oの延びる軸方向Daに軸線Oを中心として延びている。図1に示すように、回転軸30は、一対のラジアル軸受(軸受)12により軸線O周りに回転自在にギアハウジング2やケーシング5に支持されている。一対のラジアル軸受12は、軸方向Daに間隔をあけて配置されている。一対のラジアル軸受12は、後述するピニオンギア15に対して軸方向Daの両側に離間した位置に配置されている。
【0013】
回転軸30は、増速伝達部11を介して外部のモータ等の駆動源(図示無し)に接続されている。増速伝達部11は、ギアハウジング2に収容されている。増速伝達部11は、ピニオンギア(ギア)15と、大径ギア(ギア)16と、を備えている。ピニオンギア15は、一対のラジアル軸受12の間かつ、ギアハウジング2の内部で回転軸30に固定されている。大径ギア16は、ギアハウジング2の内部で、ピニオンギア15に噛み合っている。大径ギア16は、駆動源によって回転駆動される。大径ギア16は、ピニオンギア15よりも外径寸法が大きく設定されている。したがって、ピニオンギア15が固定された回転軸30の回転数は、大径ギア16の回転数よりも大きくなる。つまり、増速伝達部11は、外部の駆動源による大径ギア16の回転数を、ピニオンギア15を介して増速させて回転軸30に伝達する。
【0014】
インペラ40は、回転軸30の軸方向Daにおける両側の端部にそれぞれ配置されている。各インペラ40は、本実施形態において、ディスク41とブレード42とを備えた、いわゆるオープンドインペラである。なお、インペラ40は、カバーを備えたクローズドインペラであってもよい。
【0015】
ディスク41は、円盤状で、回転軸30に固定されている。ディスク41は、軸方向Daの第一側Da1を向く第一ディスク面41aと、軸方向Daで第一ディスク面41aと反対側を向く第二ディスク面41bと、を有している。第二ディスク面41bは、インペラ40における背面である。ここで、ギアド圧縮機1は、本実施形態において、回転軸30の軸方向Daにおける両端部にインペラ40を一つずつ備えている。各インペラ40は、軸方向Daにおいて、背面であるディスク41の第二ディスク面41bをピニオンギア15に向け、第一ディスク面41aをピニオンギア15とは反対側の回転軸30の端部に向けて配置されている。つまり、回転軸30の第一端に設けられた第一段インペラ40Aと、回転軸30の第二端に設けられた第二段インペラ40Bとでは、背面が互いに向かい合うようにディスク41の向きが軸方向Daで反対向きに配置されている。
【0016】
以下の説明では、各インペラ40において、ディスク41の第一ディスク面41a側を軸方向Daの第一側Da1とし、第二ディスク面41b側を軸方向Daの第二側Da2とする。つまり、インペラ40に対して回転軸30の端部が位置する側が軸方向Daの第一側Da1である。また、インペラ40に対してギアハウジング2が配置されている側が軸方向Daの第二側Da2である。すなわち、第一段インペラ40Aと、第二段インペラ40Bとでは、軸方向Daの第一側Da1と軸方向Daの第二側Da2とが、互いに反対向きとされている。
【0017】
ブレード42は、第一ディスク面41aから後述するケーシング5の吸込口512aに向かうように延びている。ブレード42は、軸線O周りの周方向Dcに間隔を隔てて複数配置されている。
【0018】
各インペラ40には、ディスク41とブレード42とによって、インペラ流路45が形成されている。インペラ流路45は、流入口45iと、流出口45oと、を有している。流入口45iは、インペラ40において径方向Drの内側Driで、軸方向Daの第一側Da1に向くように開口している。ここで、径方向Drとは、軸線Oを中心とする放射方向である。流出口45oは、インペラ40において径方向Drの外側Droで、径方向Drの外側Droに向かって開口している。作動流体は、インペラ流路45の流入口45iから流出口45oに向かって流れる間に圧縮される。作動流体は、インペラ40に対し、径方向Drの内側Driかつ軸方向Daの第一側Da1から、径方向Drの外側Droかつ軸方向Daの第二側Da2に向かって流れる。
【0019】
(ギアハウジングの構成)
ギアハウジング2は、ロータ3の一部を覆うように形成されている。回転軸30の軸方向Daの両端部は、ギアハウジング2から軸方向Daの両側に突出している。回転軸30の軸方向Daにおける両側の端部にそれぞれ配置されたインペラ40は、ギアハウジング2から軸方向Daの両側に突出した位置に配置されている。ギアハウジング2は、金属製で、ラジアル軸受12、ピニオンギア15、及び大径ギア16を収容している。ギアハウジング2は、基礎の設置面F上に固定されている。
【0020】
ギアハウジング2は、軸線Oを通過する仮想水平面を分割面として、鉛直方向Dvの上下に分割可能とされている。ギアハウジング2は、下部ギアハウジング21と、上部ギアハウジング22と、を有している。
【0021】
下部ギアハウジング21は、設置面Fに移動不能な状態で固定されている。下部ギアハウジング21は、軸線Oに対して鉛直方向Dvの下方Dvdに配置されている。下部ギアハウジング21は、上部ギアハウジング22に対し、高い剛性を有している。例えば、下部ギアハウジング21は、上部ギアハウジング22に比べて変形しづらい材料や構造で形成されている。本実施形態の下部ギアハウジング21は、下部ギアハウジング本体23と、軸受支持部24と、下部ケーシング支持部27と、を有している。
【0022】
下部ギアハウジング本体23は、鉛直方向Dvの上方Dvuに向かって開口し、下方Dvdに窪む開口部21aを有している。大径ギア16と、ピニオンギア15の下部と、一対のラジアル軸受12との下部は、開口部21aの内側に収められている。つまり、下部ギアハウジング本体23は、大径ギア16、ピニオンギア15の下部、及び一対のラジアル軸受12を、鉛直方向Dvの下方Dvdから覆っている。本実施形態の下部ギアハウジング本体23は、一対の側壁部231と、周壁部232と、を有している。一対の側壁部231は、軸方向Daに所定の間隔を隔てて互いに平行に配置されている。一対の側壁部231は、大径ギア16を軸方向Daから挟み込むように、大径ギア16に対して軸方向Daに離れて配置されている。
【0023】
周壁部232は、大径ギア16、及びピニオンギア15の下部を、軸線Oを中心とした径方向Drの外側Droから覆うように形成されている。周壁部232は、一対の側壁部231同士を、軸方向Daを繋いでいる。周壁部232は、軸線Oを中心とした周方向Dcに延びている。周壁部232は、軸方向Daから見た際に、例えば、板状に形成されている。
【0024】
軸受支持部24は、ラジアル軸受12を鉛直方向Dvの下方Dvdから支持している。軸受支持部24は、側壁部231から鉛直方向Dvの上方Dvuに延びている。つまり、軸受支持部24は、下部ギアハウジング本体23と一体に形成されている。軸受支持部24は、一対の軸受支持部24a及び24bを有している。一対の軸受支持部24a及び24bは、一対のラジアル軸受12をそれぞれ支持している。一対の軸受支持部24a及び24bは、軸方向Daに間隔をあけて配置されている。
【0025】
下部ケーシング支持部27は、ケーシング5に固定されている。下部ケーシング支持部27は、軸受支持部24と一体に形成されている。下部ケーシング支持部27は、軸受支持部24に対して軸方向Daの第一側Da1に接続されている。本実施形態の下部ケーシング支持部27は、一対の下部ケーシング支持部27a及び27bを有している。一対の下部ケーシング支持部27a及び27bは、軸方向Daに間隔を隔てて互いに平行に配置されている。一対の下部ケーシング支持部27a及び27bは、断面L字状をなして軸受支持部24から延びている。一対の下部ケーシング支持部27a及び27bの各々には、回転軸30が挿通される軸挿通孔27hが形成されている。軸挿通孔27hは、一対の下部ケーシング支持部27a及び27bの各々を軸方向Daに貫通して形成されている。
【0026】
上部ギアハウジング22は、下部ギアハウジング21とともに、大径ギア16、ピニオンギア15の下部、及び一対のラジアル軸受12を覆っている。上部ギアハウジング22は、軸線Oに対して鉛直方向Dvの上方Dvuに配置されている。上部ギアハウジング22は、下部ギアハウジング21上に、ボルト(図示無し)等により固定されている。つまり、上部ギアハウジング22は、下部ギアハウジング21に対して鉛直方向Dvの上方Dvuに配置された状態で、下部ギアハウジング21に着脱可能とされている。本実施形態の上部ギアハウジング22は、上部カバー28と、上部ギアハウジング本体29と、を有している。
【0027】
上部カバー28は、上方に窪む凹部28aを有している。ピニオンギア15の上部は、凹部28aの内側に収められている。本実施形態の上部カバー28は、軸線Oを中心とした周方向Dcに延びており、軸方向Daから見た際に、例えば、半円弧状に形成されている。
【0028】
上部カバー28の上部には、上部開口28bが形成されている。上部ギアハウジング本体29は、上部カバー28の上部開口28bを塞ぐように配置されている。上部ギアハウジング本体29は、ピニオンギア15の上部を、軸線Oを中心とした径方向Drの外側Droから覆うように形成されている。上部ギアハウジング本体29は、上部カバー28に対し、ボルト(図示無し)等によって、着脱可能とされている。
【0029】
(ケーシングの構成)
ケーシング5は、ギアハウジング2に対して軸方向Daの両外側にそれぞれ配置されている。ケーシング5は、第一段インペラ40Aが収容された第一段ケーシング5Aと、第二段インペラ40Bが収容された第二段ケーシング5Bと、を有している。
【0030】
各ケーシング5は、ギアハウジング2に固定されている。各ケーシング5は、インペラ40が内部に収容されるとともに、インペラ40で圧縮された作動流体(流体、例えば、空気)が供給される吐出空間を内部に形成している。本実施形態の各ケーシング5は、ケーシング本体51と、吐出スクロール52と、を有している。
【0031】
ケーシング本体51は、内部にインペラ40を収容している。ケーシング本体51は、ケーシング基部511と、ノズル部512と、を有している。
【0032】
ケーシング基部511の内部には、インペラ40が収容可能な空間が形成されている。ケーシング基部511は、ギアハウジング2の下部ケーシング支持部27に、ボルト(図示せず)等を介して固定されている。ケーシング基部511の中央部には、回転軸30が挿通されるケーシング軸挿通孔511hが形成されている。
【0033】
ノズル部512の内部には、インペラ40に供給する作動流体の流通する空間である吸込口512aが形成されている。ケーシング基部511から軸方向Daに延びている。ノズル部512は、ケーシング基部511に対して、軸方向Daの第一側Da1に配置されている。ノズル部512は、ケーシング基部511から軸方向Daに延びている。ノズル部512は、軸線Oを中心とした筒状に形成されている。ノズル部512は、軸方向Daの第一側Da1から第二側Da2に向かって、軸線Oを中心とした径寸法(軸方向Daから見た際の流路断面)が漸次減少するよう形成されている。ノズル部512において、軸方向Daの第一側Da1の端部には、径方向Drの外側Droに拡径するフランジ部513が形成されている。このフランジ部513には、作動流体をケーシング5内に送り込む配管90が、ボルト(図示せず)等を介して接続されている。これにより、ノズル部512には、配管90から作動流体が流入する。インペラ40が軸線O周りの周方向Dcに回転することで、吸込口512aを通して、ケーシング5の外部から内部に作動流体が吸い込まれる。
【0034】
吐出スクロール52は、ケーシング本体51に対して径方向Drの外側Droに接続されている。吐出スクロール52は、下部ケーシング支持部27よりも、径方向Drの外側Droに広がるように形成されている。吐出スクロール52は、周方向Dcに延びている。また、第一段インペラ40Aが収容された第一段ケーシング5Aの吐出スクロール52は、第二段インペラ40Bが収容された第二段ケーシング5Bの吐出スクロール52よりも、大径(径方向Drに大きく)に形成されている。本実施形態の吐出スクロール52の内部には、排気流路525と、吐出空間52sとが形成されている。
【0035】
排気流路525は、インペラ40で圧縮された作動流体を吐出空間52sに流出させる。排気流路525は、インペラ流路45の流出口45oに対して、径方向Drの外側Droに形成されている。排気流路525は、周方向Dcから見た際に、径方向Drに延びる流路である。
【0036】
吐出空間52sは、排気流路525を流通してきた作動流体を外部に流出させる。つまり、吐出空間52sには、インペラ40で圧縮された流体が供給される。吐出空間52sは、排気流路525に対して、径方向Drの外側Droで連通している。吐出空間52sは、周方向Dcに連続する渦巻き状に形成されている。吐出空間52sは、その断面積が、ケーシング5の外部と繋がった吐出口(図示せず)に向かって漸次縮小するよう形成されている。作動流体は、吐出空間52sに沿って周方向Dc周りに旋回する間に、さらに圧縮された後、吐出口から吐出される。
【0037】
このような吐出スクロール52と、ギアハウジング2とは、軸方向Daに間隔を隔てて配置されている。より具体的には、本実施形態において、吐出スクロール52と下部ギアハウジング本体23や、吐出スクロール52と上部ギアハウジング本体29は、鉛直方向Dvの位置が重なりつつ、軸方向Daに離れて配置されている。つまり、吐出スクロール52と、下部ギアハウジング本体23とは、空間Sが形成されるように、軸方向Daに離れて配置されている。
【0038】
(規制部材の構成)
規制部材7Aは、ケーシング5の軸方向Daにおけるギアハウジング2へ近づく変位を規制する。規制部材7Aは、吐出スクロール52とギアハウジング2との間の空間Sに配置されている。本実施形態では、規制部材7Aは、第一段インペラ40Aが収容された第一段ケーシング5Aの吐出スクロール52と、ギアハウジング2との間の空間Sに配置されている。したがって、規制部材7Aは、第一段ケーシング5Aの吐出スクロール52の軸方向Daの第二側Da2へ近づくようなギアハウジング2の変位を規制する。
【0039】
規制部材7Aは、ギアハウジング2及びケーシング5の少なくとも一方に、インペラ40に対して鉛直方向Dvの下方で固定されている。本実施形態では、規制部材7Aは、軸方向Daから見た際に、下部ギアハウジング21と重なる位置に配置されている。特に、本実施形態の規制部材7Aは、軸方向Daから見た際に、吐出スクロール52における径方向Drの外側Droの外周端部52eを形成する壁部と重なる位置に配置されている。また、規制部材7Aは、ギアド圧縮機1において、一つのみが配置されている。
【0040】
図2及び図3に示すように、規制部材7Aは、ギアハウジング2及びケーシング5の一方に固定された第一部材70Aと、ギアハウジング2及びケーシング5の他方に固定された第二部材80Aと、を備えている。
【0041】
第一部材70Aは、下部ギアハウジング21に固定されている。本実施形態の第一部材70Aは、下部ギアハウジング本体23に固定されている。より具体的には、第一部材70Aは、第一段インペラ40Aに近い側壁部231に固定されている。本実施形態の第一部材70Aは、第一ベース部71Aと、一対の周方向規制部72Aと、を備えている。
【0042】
第一ベース部71Aは、側壁部231において、軸方向Daの第一側Da1を向く外面に、ボルト(図示せず)等によって隙間がない状態で固定されている。第一ベース部71Aは、軸方向Daと直交する仮想面に沿って広がる板状に形成されている。第一ベース部71Aは、鉛直方向Dvから見た際に、軸方向Daの第一側Da1に突出した凸状をなすように、周方向Dcの中央付近が厚く形成されている。
【0043】
図3に示すように、周方向規制部72Aは、第一部材70Aに対する第二部材80Aの周方向Dcの少なくとも一方への相対変位を規制する。本実施形態では、一対の周方向規制部72Aによって、第一部材70Aに対する第二部材80Aの周方向Dcの両側への相対変位が規制されている。一対の周方向規制部72Aは、周方向Dcに所定の間隔をあけて配置されている。一対の周方向規制部72Aは、第一ベース部71Aから第二部材80Aに向かって、軸方向Daの第一側Da1に突出している。周方向規制部72Aの各々は、鉛直方向Dvから見た際に、第一ベース部71Aにおける周方向Dcの中央付近から、断面矩形状に延びている。一対の周方向規制部72Aの各々は、径方向Dr延びている。これにより、周方向Dcにおける一対の周方向規制部72A同士の間には、鉛直方向Dvから見た際に、軸方向Da窪む溝72mが形成されている。溝72mは、一対の周方向規制部72A同士の間で、径方向Drの連通するように形成されている。
【0044】
また、一対の周方向規制部72Aは、それぞれ、第一貫通孔72hを有している。各第一貫通孔72hは、周方向規制部72Aを周方向Dcに貫通している。
【0045】
また、第一部材70Aは、軸方向Daにおいて第二部材80Aを向く第一面71fを有している。本実施形態の第一面71fは、第一ベース部71Aに形成されている。より具体的には、第一面71fは、鉛直方向Dvから見た際に、溝72mの底面を形成する平面である。つまり、第一面71fは、一対の周方向規制部72A同士の間で、軸方向Daの第一側Da1を向く平面である。
【0046】
第二部材80Aは、吐出スクロール52に固定されている。第二部材80Aは、第一部材70Aに対して、径方向Drの位置が重なるように配置されている。さらに、本実施形態の第二部材80Aは、第一部材70Aに対して、軸方向Daの位置が一部重なるように配置されている。第二部材80Aは、第二ベース部81Aと、第二突起部82Aと、を備えている。
【0047】
第二ベース部81Aは、吐出スクロール52において、軸方向Daの第二側Da2を向く外面に、ボルト(図示せず)等によって隙間がない状態で固定されている。第二ベース部81Aは、軸方向Daと直交する仮想面に沿って広がる板状に形成されている。
【0048】
第二突起部82Aは、第二ベース部81Aから第一部材70Aに向かって、軸方向Daの第二側Da2に突出している。第二突起部82Aは、鉛直方向Dvから見た際に、第二ベース部81Bにおける周方向Dcの中央付近から、断面矩形状に延びている。第二突起部82Aは、径方向Drに延びている。第二突起部82Aは、周方向Dcにおいて、一対の周方向規制部72Aの間に配置されている。ここで、図2に示すように、軸方向Daにおける第二突起部82Aの長さL2は、軸方向Daにおける一対の周方向規制部72Aの長さL1(溝72mの深さ)よりも大きい。
【0049】
また、第二部材80Aは、軸方向Daにおいて第一部材70Aを向く第二面82fを有している。本実施形態の第二面82fは、第二突起部82Aにおける軸方向Daの第二側Da2の先端部に形成されている。つまり、第二面82fは、第二突起部82Aにおいて、軸方向Daの第二側Da2を向く平面である。第二面82fは、軸方向Daにおいて、第一面71fと対向している。
【0050】
ここで、ギアド圧縮機1が作動していない状態であるときに、第一面71fと第二面82fとは、軸方向Daに定められた間隙Zを隔てている。第一面71fと第二面82fとの間隙Zは、第一部材70A及び第二部材80Aにおいて軸方向Daで最も狭くされている。
【0051】
また、第二突起部82Aにおける周方向Dcの厚さD1は、一対の周方向規制部72Aにおける周方向Dcの間隔D2よりも小さく形成されている。さらに、周方向Dcにおける一対の周方向規制部72Aと第二突起部82Aとの間隔は、軸方向Daにおける第一面71fと第二面82fとの間隙Zよりも大きく形成されている。ギアド圧縮機1が作動していない状態であるときに、第二突起部82Aは、一対の周方向規制部72Aの双方に対し、周方向Dcに所定の隙間を隔てるよう形成されている。
【0052】
また、第二突起部82Aは、第二貫通孔82hを有している。第二貫通孔82hは、第二突起部82Aを周方向Dcに貫通している。図4に示すように、一対の周方向規制部72Aの第一貫通孔72hは、第一面71fと第二面82fとを近接させた状態(第一面71fと第二面82fとを接触させた状態)で、第二突起部82Aの第二貫通孔82hに連通するよう形成されている。
【0053】
(規制部材の組み付け手順)
次に、上記したような規制部材7Aのギアハウジング2及びケーシング5への取り付け方法について説明する。第一に、ギアハウジング2及びケーシング5への取り付ける前に、規制部材7Aは、図4に示すように、第一部材70Aと第二部材80Aとを予め組みつけておく。具体的には、ボルト201及びナット202によって第一部材70Aと第二部材80Aとは仮止めしておく。仮止め時には、第二突起部82Aの第二貫通孔82hと、一対の周方向規制部72Aの第一貫通孔72hとにボルト201を挿通した状態で、ボルトの先端部にナット202が締結される。
【0054】
次いで、ボルト201及びナット202により固定された(仮止めされた)第一部材70A及び第二部材80Aを、ギアハウジング2とケーシング5との間に挿入する。そして、第一ベース部71Aが、例えば、ボルト(図示せず)により、側壁部231に固定される。
【0055】
第一ベース部71Aを側壁部231に固定した後、ボルト201及びナット202が取り外される。その後、第二部材80Aの第二ベース部81Aとケーシング5との間に、シム(図示せず)を挟み込むことによって、第一面71fと第二面82fとの間隙Zを、予め設定した数値範囲内となるように調整する。間隙Zの調整が完了した後、第二ベース部81Aが、例えば、ボルト(図示せず)によってケーシング5に固定される。
【0056】
このようにして、間隙Zの調整された第一部材70A及び第二部材80Aがギアハウジング2及びケーシング5に対して取り付けられる。
【0057】
(作用効果)
上記構成のギアド圧縮機1では、ギアハウジング2及びケーシング5は、インペラ40に対して鉛直方向Dvの下方で固定された規制部材7Aを備えている。図1に示すように、このような規制部材7Aを備えたギアド圧縮機1において、ケーシング5の自重F1、配管90から作用する力F2等によって、吐出スクロール52が軸方向Daの第二側Da2へ倒れこむように変形することがある。このような変形が生じた場合、吐出スクロール52の下端部が、軸方向Daでギアハウジング2へ近づくように変位する。ここで、第一段インペラ40Aを収容した第一段ケーシング5Aは、第二段ケーシング5Bよりも大径である。インペラ40を大径化すると、それに伴ってケーシング5の自重F1が大きくなる。その結果、自重F1によってケーシング5に作用する鉛直方向Dvの下方Dvdへの変位量も大きくなる。つまり、第一段ケーシング5Aでの吐出スクロール52の変形量も大きくなる。また、作動流体が高温である場合、配管90が軸方向Daに熱伸びすることで、配管90からケーシング5に軸方向Daへ作用する力F2も大きくなる。
【0058】
これに対し、吐出スクロール52の下端部が、軸方向Daでギアハウジング2へ近づくように変位すると、規制部材7Aの第一面71fと第二面82fとが突き当たる。そのため、ケーシング5において、インペラ40に対して鉛直方向Dvの下方Dvdの領域を形成する吐出スクロール52の軸方向Daの第二側Da2への変位が、規制部材7Aによって、規制される。つまり、ケーシング5が軸方向Daの第二側Da2に向かってギアハウジング2へ近づくことが規制できる。これにより、インペラ40に対して鉛直方向Dvの下方Dvdの領域でケーシング5が軸方向Daに倒れ込むようにギアハウジング2に向かって変形することが抑えられる。したがって、規制部材7Aによって、ケーシング5の変形を抑えることができる。
【0059】
また、ケーシング5の吐出スクロール52は、インペラ40を収容するケーシング本体51に対して径方向Drの外側Droに接続されている。さらに、吐出スクロール52とギアハウジング2とは、軸方向Daに離れて配置され、間に空間Sに形成されている。そのため、ケーシング本体51に比べて、ケーシング5において、インペラ40に対して鉛直方向Dvの下方Dvdの領域を形成する吐出スクロール52の方が、軸方向Daに変位しやすくなってしまう。これに対し、規制部材7Aは、軸方向Daに離れて配置された吐出スクロール52とギアハウジング2との間の空間Sに配置されている。これにより、吐出スクロール52の自重の影響により、吐出スクロール52が軸方向Daに倒れこむように変形することを、規制部材7Aにより有効に抑えることができる。さらに、吐出スクロール52の変位が抑えられることで、ケーシング本体51と吐出スクロール52との接続部分に変形も抑えることができる。
【0060】
また、ギアハウジング2に固定された第一部材70Aの第一面71fと、吐出スクロール52に固定された第二部材80Aの第二面82fとが、軸方向Daで最も狭くされている。そのため、ケーシング5の軸方向Daにおけるギアハウジング2へ近づく変位が生じた場合、第一面71fと第二面82fとが一番初めに接触する。これにより、第一面71fと第二面82fとによって、ケーシング5の軸方向Daにおけるギアハウジング2へ近づく変位を高い精度で規制することができる。さらに、第一面71fと第二面82fとの間隙Zを調整することで、ケーシング5の軸方向Daにおけるギアハウジング2へ近づく変位量を容易に調整することができる。
【0061】
また、規制部材7Aは、軸方向Daから見た際に、下部ギアハウジング21と重なる位置に配置されている。これにより、ケーシング5の軸方向Daにおけるギアハウジング2へ近づく変位を規制部材7Aで規制する際、ケーシング5の変位によって規制部材7Aを介してギアハウジング2に作用する力は、下部ギアハウジング21で支持される。ケーシング5の自重F1より変位は、鉛直方向Dvの下方Dvdほど大きくなる。そのため、ケーシング5の自重F1より変位を下部ギアハウジング21で支持することで、ケーシング5の軸方向Daにおけるギアハウジング2へ近づく変位を、効果的に抑制することができる。
【0062】
また、下部ギアハウジング21は、上部ギアハウジング22に対し、高い剛性を有している。ギアハウジング2を構成する下部ギアハウジング21は、ラジアル軸受12、ピニオンギア15、大径ギア16、上部ギアハウジング22等の荷重を支持する。このため、ラジアル軸受12及びピニオンギア15、大径ギア16を覆うだけの上部ギアハウジング22に比較し、高剛性に形成されている。したがって、ケーシング5の変位に伴ってギアハウジング2へ作用する力を、下部ギアハウジング21で安定して受けることができる。これにより、ケーシング5の軸方向Daにおけるギアハウジング2へ近づく変位を、規制部材7Aにより、安定して規制することができる。
【0063】
また、規制部材7Aは、軸方向Daから見た際に、吐出スクロール52における径方向Drの外側Droの外周端部52eを形成する領域と重なる位置に配置されている。そのため、ケーシング5において自重F1よる変位量が最も大きい外周端部52eを形成する領域を規制部材7Aで支持できる。したがって、ケーシング5の変位を、規制部材7Aにより、最も有効に規制することができる。
【0064】
また、第一部材70Aが周方向規制部72Aを有する。そのため、周方向規制部72Aによって、第一部材70Aに対する第二部材80Aの周方向Dcへの相対変位を規制することができる。したがって、吐出スクロール52の周方向Dcへの変位が、周方向規制部72Aによって規制できる。これにより、特に、配管90から作用する力F2によるケーシング5の周方向Dcへの変位を抑えることができる。
【0065】
また、第一部材70Aの一対の周方向規制部72Aの間に、第二部材80Aの第二突起部82Aが配置されている。そのため、周方向Dcにおいて、第二突起部82Aが一対の周方向規制部72Aに挟まれた状態となる。これによりの各々に突き当たることで、第一部材70Aに対する第二部材80Aの周方向Dcの両側への相対変位を規制することができる。
【0066】
さらに、周方向Dcにおいて一対の周方向規制部72Aに挟まれた第二突起部82Aに、第二面82fが形成されている。そのため、第一ベース部71Aに形成された第一面71fと第二面82fとが、一対の周方向規制部72Aの間に配置されることとなる。その結果、周方向Dcの変位が抑制された状態で、第一面71fと第二面82fとの位置関係を維持することができる。したがって、ケーシング5にギアハウジング2へ近づくような軸方向Daの変位が生じた場合に、第一面71fと第二面82fとを高い精度で接触させることができる。これにより、ケーシング5の軸方向Daにおけるギアハウジング2へ近づく変位を安定的に規制することができる。
【0067】
このようにして、間隙Zの調整された第一部材70A及び第二部材80Aを組み合わせ、ボルト201及びナット202によって仮止めした後に、ギアハウジング2及びケーシング5に第一部材70A及び第二部材80Aが固定されている。そのため、あらかじめ定めた位置に規制部材7Aを、ギアハウジング2とケーシング5との間に容易かつ安定的に取り付けることができる。
【0068】
(実施形態の第一変形例)
なお、上記実施形態において、ギアド圧縮機1は、規制部材7Aを備えていたが、規制部材の形状は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、図5に示すように、本実施形態の第一変形例におけるギアド圧縮機1は、規制部材7Bを備えている。規制部材7Bは、第一部材70B及び第二部材80Bの形状が、規制部材7Aと異なっている。
【0069】
第一部材70Bは、第一ベース部71Bと、一対の周方向規制部72Bと、を備えている。第一ベース部71Bは、第一実施形態の第一ベース部71Aと同様の形状で、側壁部231に固定されている。
【0070】
一対の周方向規制部72Bは、周方向Dcに所定の間隔をあけて配置されている。一対の周方向規制部72Bは、第一ベース部71Bから第二部材80Bに向かって、軸方向Daの第一側Da1に突出している。
【0071】
一対の周方向規制部72B同士の周方向Dcにおける間隔W11(溝72mの周方向Dcにおける寸法)は、軸方向Daにおいて第一ベース部71Bに近づくにしたがって縮小している。一対の周方向規制部72Bの各々において、周方向Dcで第二突起部82Bに対向する面は、鉛直方向Dvから見た際に、周方向Dcで第二突起部82Bから離れるように窪む凹曲面72wとされている。
【0072】
第二部材80Bは、第二ベース部81Bと、第二突起部82Bと、を備えている。第二ベース部81Bは、第一実施形態の第二ベース部81Aと同様の形状で、吐出スクロール52に固定されている。
【0073】
第二突起部82Bは、第二ベース部81Bから第一部材70Bに向かって、軸方向Daの第二側Da2に突出している。第二突起部82Bは、周方向Dcにおいて、一対の周方向規制部72Bの間に配置されている。ここで、第二突起部82Bの周方向Dcにおける幅寸法G11は、軸方向Daにおいて第二ベース部81Bから離れるにしたがって縮小している。第二突起部82Bにおいて、周方向Dcで凹曲面72wに対向する面は、径方向Drから見た際に、周方向Dcで一対の周方向規制部72Bに近づくように突出する凸曲面82wにより形成されている。
【0074】
このような構成の規制部材7Bを備えたギアド圧縮機1によれば、一対の周方向規制部72B同士の周方向Dcにおける間隔W11が、軸方向Daにおいて第一ベース部71Bに近づくにしたがって縮小している。これに対応するように、第二突起部82Bの周方向Dcにおける幅寸法G11が、軸方向Daにおいて第二ベース部81Bから離れるにしたがって縮小している。これにより、一対の周方向規制部72Bに対して、第二突起部82Bが軸方向Daで第一ベース部71Bに近づく方向に変位すると、一対の周方向規制部72Bの凹曲面72wと、第二突起部82Bの凸曲面82wとが面接触する。その結果、ケーシング5の軸方向Daにおけるギアハウジング2へ近づく変位が規制される。つまり、このような構成によっても、規制部材7Bにより、ケーシング5の軸方向Daの変位と周方向Dcの変位とを規制することができる。さらに、配管90から作用する力F2によってケーシング5に対して周方向Dcの変位が生じた場合にも、その周方向Dcの変位を抑制することができる。
【0075】
なお、周方向規制部72Bにおいて、周方向Dcで第二突起部82Bに対向する面は、凹曲面72wであることに限定されるものではない。周方向規制部72Bにおいて、周方向Dcで第二突起部82Bに対向する面は、鉛直方向Dvから見た際に直線状をなす傾斜面であってもよい。その際、第二突起部82Bでも、凸曲面82wに代わって、傾斜面が形成される。
【0076】
(実施形態の第二変形例)
また、図6及び図7に示すように、本実施形態の第二変形例におけるギアド圧縮機1は、規制部材7Cを備えている。規制部材7Cは、第一部材70C及び第二部材80Cの形状が、規制部材7A及び規制部材7Bと異なっている。
【0077】
規制部材7Cは、第一部材70Cと、第二部材80Cと、を備えている。第一部材70Cと、第二部材80Cとは、軸方向Daで互いに向き合って配置されている。
【0078】
第一部材70Cは、下部ギアハウジング本体23に、ボルト(図示せず)等によって固定されている。第一部材70Cは、第一ベース部71Cと、第一突出部72Cと、を備えている。
【0079】
第一ベース部71Cは、側壁部231において、軸方向Daの第一側Da1を向く外面に、ボルト(図示せず)等によって隙間がない状態で固定されている。第一ベース部71Cは、軸方向Daと直交する仮想面に沿って広がる板状に形成されている。
【0080】
第一突出部72Cは、第一ベース部71Cから第二部材80Cに向かって、軸方向Daの第一側Da1に突出している。第一突出部72Cは、鉛直方向Dvから見た際に、第一ベース部71Cにおける周方向Dcの中央付近から軸方向Daに延びている。第一突出部72Cは、鉛直方向Dvにおいて、下方Dvdに向かうほど第一ベース部71Cからの突出量が小さくなるように延びている。
【0081】
第一部材70Cは、第一面72gを有している。第一面72gは、径方向Drの内側Driから外側Droに向かって、軸方向Daにおいて第二部材80Cから離れるように傾斜している。本実施形態の第一面72gは、第一突出部72Cにおける軸方向Daの第一側Da1の先端部に形成されている。つまり、第一面72gは、第一突出部72Cにおいて、軸方向Daの第一側Da1を向く傾斜した平面である。第一面72gは、鉛直方向Dvの下方Dvdに向かうにしたがって、軸方向Daにおいて第一ベース部71Cに近づくように傾斜している。
【0082】
第二部材80Cは、ケーシング5に、ボルト(図示せず)等によって固定されている。第二部材80Cは、第二ベース部81Cと、第二突起部82Cと、を備えている。
【0083】
第二ベース部81Cは、吐出スクロール52において、軸方向Daの第二側Da2を向く外面に、ボルト(図示せず)等によって隙間がない状態で固定されている。第二ベース部81Cは、軸方向Daと直交する仮想面に沿って広がる板状に形成されている。
【0084】
第二突起部82Cは、第二ベース部81Cから第一部材70Cに向かって、軸方向Daの第二側Da2に突出している。第二突起部82Cは、鉛直方向Dvから見た際に、第二ベース部81Cにおける周方向Dcの中央付近から、軸方向Daに延びている。第二突起部82Cは、鉛直方向Dvにおいて、下方Dvdに向かうほど第二ベース部81Cからの突出量が大きくなるように延びている。
【0085】
また、第二部材80Cは、第二面82gを有している。第二面82gは、径方向Drの内側Driから外側Droに向かって、軸方向Daにおいて第一部材70Cから近づくように傾斜し、第一面72gと平行に形成されている。本実施形態の第二面82gは、第二突起部82Cにおける軸方向Daの第一側Da1の先端部に形成されている。つまり、第二突起部82Cは、第二突起部82Cにおいて、軸方向Daの第二側Da2を向く傾斜した平面である。第二面82gは、鉛直方向Dvの下方Dvdに向かうにしたがって、軸方向Daにおいて第二ベース部81Cから離れるように傾斜している。
【0086】
吐出スクロール52の自重F1の影響により、吐出スクロール52が軸方向Daに倒れこむように変形した場合、吐出スクロール52は、軸方向Daにおいてギアハウジング2へ近づくだけでなく、径方向Drの内側Driから外側Droに向かっても変位する可能性がある。これに対し、第二変形例の規制部材7Cでは、第一面72gが、径方向Drの内側Driから外側Droに向かって、軸方向Daにおいて第二部材80Cから離れるように傾斜している。加えて、第二面82gが、径方向Drの内側Driから外側Droに向かって、軸方向Daにおいて第一部材70Cから近づくように傾斜している。これにより、吐出スクロール52に径方向Drの変位が生じても、第一面72g及び第二面82gを面接触させることができる。したがって、吐出スクロール52の変形を、より安定的に抑えることができる。
【0087】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0088】
なお、上記実施形態では、ギアド圧縮機1の態様として、いわゆる一軸二段の構成を例に説明を行った。しかしながら、ギアド圧縮機1の態様はこれに限定されず、設計や仕様に応じて二軸四段や、それ以上の軸数、段数を備えていてもよい。
【0089】
また、規制部材7A~7Cは、本実施形態のようにギアハウジング2及びケーシング5の両方にそれぞれ部材が固定されていることに限定されるものではない。規制部材7A~7Cは、ケーシング5の軸方向Daにおけるギアハウジング2へ近づく変位を規制することができれば、ギアハウジング2及びケーシング5の一方のみに部材が固定され、他方に対して軸方向Daに隙間が形成されるよう配置されていてもよい。
【0090】
また、規制部材7A~7Cでは、第一部材70A~70Cがギアハウジング2に固定されていることに限定されるものではなく、第一部材70A~70Cがケーシング5に固定されていてもよい。つまり、第二部材80A~80Cもケーシング5に固定されていることに限定されるものではなく、第二部材80A~80Cがギアハウジング2に固定されていてもよい。
【0091】
規制部材7A~7Cは、ギアド圧縮機1において、一つのみが配置されていることに限定されるものではない。規制部材7A~7Cは、ギアド圧縮機1に複数配置されていてもよい。したがって、規制部材7A~7Cは、大径である第一段ケーシング5Aにのみ配置されることに限定されず、第一段ケーシング5Aよりも小径の第二段ケーシング5B等にも同様に配置されていてもよい。
【0092】
また、規制部材7A~7Cの形状は、上述した形状に限定されるものではない。例えば、規制部材7A及び7Bは、周方向規制部72A及び72Bが一つのみ配置された構造であってもよい。また、実施形態及び変形例における規制部材7A~7Cの形状は、各種、組み合わされていてもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、規制部材7Aにより、ケーシング5の軸方向Daの変位と周方向Dcの変位とを規制するようにしたが、ケーシング5の軸方向Daの変位を規制する規制部材と、ケーシング5の周方向Dcへの変位を規制する規制部材とを、別々に部材として設けるようにしてもよい。
【0094】
<付記>
実施形態に記載のギアド圧縮機1は、例えば以下のように把握される。
【0095】
(1)第1の態様に係るギアド圧縮機1は、軸線Oの延びる軸方向Daに前記軸線Oを中心として延びる回転軸30と、前記回転軸30を前記軸線O回りの周方向Dcに回転駆動させるギア15、16を収容したギアハウジング2と、前記ギアハウジング2から前記軸方向Daに突出した前記回転軸30の端部に固定され、前記軸線Oを中心とする円盤状に形成されたインペラ40と、前記ギアハウジング2に固定され、前記インペラ40が内部に収容されるとともに、前記インペラ40で圧縮された流体が供給される吐出空間52sを内部に形成するケーシング5と、前記ギアハウジング2及び前記ケーシング5の少なくとも一方に、前記インペラ40に対して鉛直方向Dvの下方で固定され、前記ケーシング5の前記軸方向Daにおける前記ギアハウジング2へ近づく変位を規制する規制部材7A~7Cと、を備える。
【0096】
これにより、ケーシング5において、インペラ40に対して鉛直方向Dvの下方Dvdの領域の軸方向Daでのギアハウジング2へ近づく変位が規制される。そのため、インペラ40に対して鉛直方向Dvの下方Dvdの領域でケーシング5が軸方向Daに倒れ込むようにギアハウジング2に向かって変形することが抑えられる。したがって、規制部材7Aによって、ケーシング5の変形を抑えることができる。
【0097】
(2)第2の態様に係るギアド圧縮機1は、(1)のギアド圧縮機1であって、前記ケーシング5は、前記インペラ40を収容するケーシング本体51と、前記ケーシング本体51に対して前記軸線Oを中心とする径方向Drの外側Droに接続されて前記吐出空間52sが内部に形成されている吐出スクロール52とを有し、前記吐出スクロール52と前記ギアハウジング2とは、空間Sが形成されるように、前記軸方向Daに離れて配置され、前記規制部材7A~7Cは、前記吐出スクロール52と前記ギアハウジング2との間の前記空間Sに配置されている。
【0098】
これにより、吐出スクロール52の自重の影響により、吐出スクロール52が軸方向Daに倒れこむように変形することを、規制部材7Aにより有効に抑えることができる。さらに、吐出スクロール52の変位が抑えられることで、ケーシング本体51と吐出スクロール52との接続部分に変形も抑えることができる。
【0099】
(3)第3の態様に係るギアド圧縮機1は、(2)のギアド圧縮機1であって、前記規制部材7Aは、前記ギアハウジング2及び前記吐出スクロール52の一方に固定された第一部材70A、70Cと、前記ギアハウジング2及び前記吐出スクロール52の他方に固定された第二部材80A、80Cと、を備え、前記第一部材70A、70Cは、前記軸方向Daにおいて前記第二部材80A、80Cを向く第一面71f、72gを有し、前記第二部材80A、80Cは、前記軸方向Daにおいて前記第一面71f、72gと対向する第二面82f、82gを有し、前記第一面71f、72gと前記第二面82f、82gとの間隙Zは、前記第一部材70A、70C及び前記第二部材80A、80Cにおいて前記軸方向Daで最も狭くされている。
【0100】
これにより、ケーシング5の軸方向Daにおけるギアハウジング2へ近づく変位が生じた場合、第一面71fと第二面82fとが一番初めに接触する。これにより、第一面71fと第二面82fとによって、ケーシング5の軸方向Daにおけるギアハウジング2へ近づく変位を高い精度で規制することができる。さらに、第一面71fと第二面82fとの間隙Zを調整することで、ケーシング5の軸方向Daにおけるギアハウジング2へ近づく変位量を容易に調整することができる。
【0101】
(4)第4の態様に係るギアド圧縮機1は、(1)から(3)の何れか一つのギアド圧縮機1であって、前記ギアハウジング2は、前記軸線Oに対して前記鉛直方向Dvの下方に配置された下部ギアハウジング21と、前記下部ギアハウジング21に対して前記鉛直方向Dvの上方に配置され、前記下部ギアハウジング21とともに、前記ギア15、16を覆う上部ギアハウジング22と、を備え、前記規制部材7A~7Cは、前記軸方向Daから見た際に、前記下部ギアハウジング21と重なる位置に配置されている。
【0102】
これにより、ケーシング5の軸方向Daにおけるギアハウジング2へ近づく変位を規制部材7Aで規制する際、ケーシング5の変位によって規制部材7Aを介してギアハウジング2に作用する力は、下部ギアハウジング21で支持される。ケーシング5の自重F1より変位は、鉛直方向Dvの下方Dvdほど大きくなる。そのため、ケーシング5の自重F1より変位を下部ギアハウジング21で支持することで、ケーシング5の軸方向Daにおけるギアハウジング2へ近づく変位を、効果的に抑制することができる。
【0103】
(5)第5の態様に係るギアド圧縮機1は、(4)のギアド圧縮機1であって、前記下部ギアハウジング21は、前記上部ギアハウジング22に対し、高い剛性を有している。
【0104】
これにより、ケーシング5の変位に伴ってギアハウジング2へ作用する力を、下部ギアハウジング21で安定して受けることができる。これにより、ケーシング5の軸方向Daにおけるギアハウジング2へ近づく変位を、規制部材7Aにより、安定して規制することができる。
【0105】
(6)第6の態様に係るギアド圧縮機1は、(1)から(5)の何れか一つのギアド圧縮機1であって、前記規制部材7A~7Cは、前記軸方向Daから見た際に、前記吐出スクロール52における前記径方向Drの外側Droの外周端部52eと重なる位置に配置されている。
【0106】
これにより、ケーシング5において自重F1よる変位量が最も大きい外周端部52eを形成する領域を規制部材7Aで支持できる。したがって、ケーシング5の変位を、規制部材7Aにより、最も有効に規制することができる。
【0107】
(7)第7の態様に係るギアド圧縮機1は、(3)のギアド圧縮機1であって、前記第一部材70Aは、前記第一部材70Aに対する前記第二部材80Aの前記周方向Dcの少なくとも一方への相対変位を規制する周方向規制部72Aを有する。
【0108】
これにより、第一部材70Aに対する第二部材80Aの周方向Dcへの相対変位を規制することができる。したがって、ケーシング5の周方向Dcへの変位が、周方向規制部72Aによって規制できる。
【0109】
(8)第8の態様に係るギアド圧縮機1は、(7)のギアド圧縮機1であって、前記第一部材70Aは、前記ギアハウジング2及び前記吐出スクロール52の一方に固定された第一ベース部71Aと、前記周方向Dcに間隔をあけて配置され、前記第一ベース部71Aから前記第二部材80Aに向かって前記軸方向Daに突出する一対の前記周方向規制部72Aと、を備え、前記第二部材80Aは、前記ギアハウジング2及び前記吐出スクロール52の他方に固定された第二ベース部81Aと、前記第二ベース部81Aから前記軸方向Daで前記第一部材70Aに向かって突出し、一対の前記周方向規制部72Aの間に配置された第二突起部82Aと、を備え、前記第一面71fは、前記第一ベース部71Aに形成され、前記第二面82fは、前記第二突起部82Aに形成されている。
【0110】
これにより、周方向Dcにおいて、第二突起部82Aが一対の周方向規制部72Aに挟まれた状態となる。これによりの各々に突き当たることで、第一部材70Aに対する第二部材80Aの周方向Dcの両側への相対変位を規制することができる。さらに、周方向Dcにおいて一対の周方向規制部72Aに挟まれた第二突起部82Aに、第二面82fが形成されている。そのため、第一ベース部71Aに形成された第一面71fと第二面82fとが、一対の周方向規制部72Aの間に配置されることとなる。その結果、周方向Dcの変位が抑制された状態で、第一面71fと第二面82fとの位置関係を維持することができる。したがって、ケーシング5にギアハウジング2へ近づくような軸方向Daの変位が生じた場合に、第一面71fと第二面82fとを高い精度で接触させることができる。これにより、ケーシング5の軸方向Daにおけるギアハウジング2へ近づく変位を安定的に規制することができる。
【0111】
(9)第9の態様に係るギアド圧縮機1は、(8)のギアド圧縮機1であって、一対の前記周方向規制部72B同士の前記周方向Dcにおける間隔W11は、前記軸方向Daにおいて前記第一ベース部71Bに近づくにしたがって縮小し、前記第二突起部82Bの前記周方向Dcにおける幅寸法G11は、前記軸方向Daにおいて前記第二ベース部81Bから離れるにしたがって縮小している。
【0112】
これにより、一対の周方向規制部72Bに対して、第二突起部82Bが軸方向Daで第一ベース部71Bに近づく方向に変位すると、一対の周方向規制部72Bと、第二突起部82Bとが面接触する。その結果、ケーシング5の軸方向Daにおけるギアハウジング2へ近づく変位が規制される。つまり、このような構成によっても、規制部材7Bにより、ケーシング5の軸方向Daの変位と周方向Dcの変位とを規制することができる。
【0113】
(10)第10の態様に係るギアド圧縮機1は、(3)のギアド圧縮機1であって、前記第一面72gは、前記径方向Drの内側Driから外側Droに向かって、前記軸方向Daにおいて前記第二部材80Cから離れるように傾斜し、前記第二面82gは、前記径方向Drの内側Driから外側Droに向かって、前記軸方向Daにおいて前記第一部材70Cから近づくように傾斜し、前記第一面72gと平行に形成されている。
【0114】
これにより、ケーシング5に径方向Drの変位が生じても、第一面72g及び第二面82gを面接触させることができる。したがって、ケーシング5の変形を、より安定的に抑えることができる。
【符号の説明】
【0115】
1…ギアド圧縮機
2…ギアハウジング
3…ロータ
5…ケーシング
5A…第一段ケーシング
5B…第二段ケーシング
7A~7C…規制部材
11…増速伝達部
12…ラジアル軸受(軸受)
15…ピニオンギア(ギア)
16…大径ギア(ギア)
21…下部ギアハウジング
21a…開口部
22…上部ギアハウジング
23…下部ギアハウジング本体
231…側壁部
232…周壁部
24、24a、24b…軸受支持部
27、27a、27b…下部ケーシング支持部
27h…軸挿通孔
28…上部カバー
28a…凹部
28b…上部開口
29…上部ギアハウジング本体
30…回転軸
40…インペラ
40A…第一段インペラ
40B…第二段インペラ
41…ディスク
41a…第一ディスク面
41b…第二ディスク面
42…ブレード
45…インペラ流路
45i…流入口
45o…流出口
51…ケーシング本体
511…ケーシング基部
511h…ケーシング軸挿通孔
512…ノズル部
512a…吸込口
513…フランジ部
52…吐出スクロール
52e…外周端部
52s…吐出空間
525…排気流路
70A~70C…第一部材
71A、71B…第一ベース部
72A、72B…周方向規制部
71f、72g…第一面
72h…第一貫通孔
72m…溝
72w…凹曲面(面)
80A、80B、80C…第二部材
81A、81B…第二ベース部
82A、82B…第二突起部
82f、82g…第二面
82h…第二貫通孔
82w…凸曲面(面)
90…配管
201…ボルト
202…ナット
D1…厚さ
D2…間隔
Da…軸方向
Da1…第一側
Da2…第二側
Dc…周方向
Dr…径方向
Dri…内側
Dro…外側
Dv…鉛直方向
F…設置面
O…軸線
S…空間
G11…幅寸法
Z…間隙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7