(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077340
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】建設機械の操作装置、及び建設機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/20 20060101AFI20240531BHJP
【FI】
E02F9/20 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189384
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】石田 悠朗
(72)【発明者】
【氏名】星野 崇
(72)【発明者】
【氏名】臼井 道太郎
(72)【発明者】
【氏名】塚原 真一郎
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003BA01
2D003BA04
2D003CA02
2D003DA04
2D003DB03
2D003DB04
2D003DC02
(57)【要約】
【課題】建設機械の状況を操作者に伝達する。
【解決手段】建設機械の操作装置は、当該建設機械を動作させるために方向を入力可能な操作部を備え、操作部によって第1の方向が入力された場合に、操作部を操作している操作者に対して、第1の方向に対応する第2の方向を呈示させるように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
当該建設機械を動作させるために方向を入力可能な操作部を備え、
前記操作部によって第1の方向が入力された場合に、前記操作部を操作している操作者に対して、前記第1の方向に対応する第2の方向を呈示させるように構成されている、
建設機械の操作装置。
【請求項2】
前記操作部は、
前記操作者の部位を接触させるための操舵部材と、凸状球面と、を有する可動部と、
前記可動部の前記凸状球面を、互いに直交する2軸の方向に回転可能に支持する支持部と、
前記可動部の前記凸状球面を、少なくとも前記2軸の各々に回転駆動させることが可能な駆動部と、を備え、
前記操作部によって前記第1の方向が入力された場合に、前記駆動部が前記凸状球面を回転駆動させることで、前記第1の方向に対応する前記第2の方向を呈示させるように構成されている、
請求項1に記載の建設機械の操作装置。
【請求項3】
前記操舵部材は、押下可能な押下部材を有し、
前記可動部は、前記押下部材に接続されている信号線を通すための筒形状の空洞部を有し、
前記支持部は、前記空洞部の一端である開口部を覆わないような形状で形成される、
請求項2に記載の建設機械の操作装置。
【請求項4】
前記操作部を振動させる振動機構をさらに備え、
前記操作部によって前記第1の方向が入力された場合に、基準値に関して振幅方向に非対称となる波形で、前記振動機構を振動させて、前記第2の方向を呈示する疑似力覚振動を生じさせるように構成されている、
請求項1に記載の建設機械の操作装置。
【請求項5】
前記振動機構は、前記操作部が入力可能な方向に応じて複数設けられ、
前記操作部が入力可能な複数の方向のうちいずれか一つである前記第1の方向が入力された場合に、前記振動機構を振動させて、前記第2の方向の力を表した前記疑似力覚振動を生じさせるように構成されている、
請求項4に記載の建設機械の操作装置。
【請求項6】
前記建設機械で生じている負荷を示した負荷情報を取得する負荷情報取得部をさらに備え、
前記負荷情報取得部により取得された前記負荷情報に基づいて、前記振動機構の振動度合いを変更するように構成されている、
請求項4に記載の建設機械の操作装置。
【請求項7】
前記建設機械の状態を示した状態情報を取得する状態情報取得部をさらに備え、
前記状態情報取得部により取得された前記状態情報に基づいた振動を、前記第1の方向が入力された場合に前記振動機構が生じさせる振動に重畳するように構成されている、
請求項4に記載の建設機械の操作装置。
【請求項8】
前記操作部によって入力された前記第1の方向に対応する操作信号は、無線通信ネットワークを介して前記建設機械に送信されるように構成されている、
請求項1に記載の建設機械の操作装置。
【請求項9】
前記建設機械が所定の動作を行うために、前記操作部により入力された第3の方向を含んだ操作手順を示した操作手順情報を設定する設定部をさらに備え、
前記操作部によって前記第1の方向が入力された場合に、入力された前記第1の方向が、前記操作手順情報で現在の操作手順として示されている前記第3の方向と比べて、異なる場合に、前記操作者に対して、前記第2の方向を呈示させるように構成されている、
請求項1乃至8のいずれか一つに記載の建設機械の操作装置。
【請求項10】
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回自在の搭載される上部旋回体と、
前記上部旋回体に取り付けられるアタッチメントと、
前記アタッチメントを含む当該建設機械を動作させるために方向を入力可能な操作部と、を備え、
前記操作部によって第1の方向が入力された場合に、前記操作部を操作している操作者に対して、前記第1の方向に対応する第2の方向を呈示させるように構成されている、
建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の操作装置、及び建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の建設機械では、操作者が作業を行うための操作装置が設けられている。当該操作装置としては、例えば、複数の自由度を有する操作レバーが設けられている。当該操作レバーは、例えば、操作者からの操作に応じて、油圧駆動系の制御を行う。
【0003】
ところで、近年、様々な建設機械の操作装置が提案されている。操作装置としては、例えば、操作装置から出力される操作信号に基づいて油圧駆動系を制御する場合に、油圧駆動系で生じている負圧負荷を操作者に伝達するために、油圧駆動系で生じている油圧負荷に応じて振動装置を振動させる技術が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、振動装置による振動を用いて操作者に対して現在生じている状況の伝達を行う場合、振動に対応する状況が生じていることを操作者に認識させることができるが、どのような操作をすべきか認識できない場合がある。このため、操作装置が、操作者に状況を伝達する場合には、状況に応じた方向を呈示するのが好ましい。
【0006】
上述に鑑み、建設機械の操作装置が、方向の呈示を可能とすることで、建設機械に対して行われた操作に対応する状況を操作者に伝達する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る建設機械の操作装置は、当該建設機械を動作させるために方向を入力可能な操作部を備え、操作部によって第1の方向が入力された場合に、操作部を操作している操作者に対して、第1の方向に対応する第2の方向を呈示させるように構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、入力された第1の方向に対応する第2の方向を呈示させて、建設機械に対して行われた操作に対応する状況を伝達することで、安全性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るショベル(掘削機)を示す側面図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係るショベルの駆動系の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る操作装置に設けられたレバーの外観を例示した図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る操作装置に設けられたレバーの断面を示した図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係るコントローラにおける、ショベルの一連の作業を行う時の処理を示したフローチャートである。
【
図6】
図6は、第2の実施形態に係る操作装置に設けられたレバーの概略構成を例示した図である。
【
図7】
図7は、第2の実施形態に係る操作装置のレバーに対して疑似力覚振動を生じさせる振動を行うための振動信号の波形を例示した図である。
【
図8】
図8は、レバーの操作が行われた場合に生じさせる疑似力覚の方向を例示した図である。
【
図9】
図9は、第2の実施形態の変形例1に係る操作装置に設けられたレバーの概略構成を例示した図である。
【
図10】
図10は、第2の実施形態の変形例2に係る操作装置に設けられたレバーの概略構成を例示した図である。
【
図11】
図11は、第2の実施形態の変形例2に係る着脱部材の構成を例示した図である。
【
図12】
図12は、第3の実施形態に係るショベルに搭載される電気系の構成例を示す図である。
【
図13】
図13は、第3の実施形態に係る施工支援システムの構成例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において同一の又は対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略することがある。
【0011】
図1は、実施形態に係る建設機械としてのショベル100を示している。ショベル100の下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が旋回可能に搭載されている。上部旋回体3にはブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはエンドアタッチメントとしてのバケット6が取り付けられている。
【0012】
ブーム4、アーム5、及びバケット6は、アタッチメントの一例である掘削アタッチメントを構成している。ブーム4はブームシリンダ7により駆動され、アーム5はアームシリンダ8により駆動され、バケット6はバケットシリンダ9により駆動される。
【0013】
ブーム4にはブーム角度センサS1が取り付けられ、アーム5にはアーム角度センサS2が取り付けられ、バケットリンクにはバケット角度センサS3が取り付けられている。上部旋回体3には、旋回角速度センサS4が取り付けられている。
【0014】
ブーム角度センサS1は、姿勢検出センサの1つであり、ブーム4の回動角度を検出するように構成されている。本実施形態では、ブーム角度センサS1は、ブームシリンダ7のストローク量を検出するストロークセンサであり、ブームシリンダ7のストローク量に基づいて上部旋回体3とブーム4とを連結するブームフートピン回りのブーム4の回動角度を導き出す。
【0015】
アーム角度センサS2は、姿勢検出センサの1つであり、アーム5の回動角度を検出するように構成されている。本実施形態では、アーム角度センサS2は、アームシリンダ8のストローク量を検出するストロークセンサであり、アームシリンダ8のストローク量に基づいてブーム4とアーム5とを連結する連結ピン回りのアーム5の回動角度を導き出す。
【0016】
バケット角度センサS3は、姿勢検出センサの1つであり、バケット6の回動角度を検出するように構成されている。本実施形態では、バケット角度センサS3は、バケットシリンダ9のストローク量を検出するストロークセンサであり、バケットシリンダ9のストローク量に基づいてアーム5とバケット6とを連結する連結ピン回りのバケット6の回動角度を導き出す。
【0017】
なお、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3のそれぞれは、ロータリエンコーダ、加速度センサ、ポテンショメータ(可変抵抗器)、傾斜センサ、又は、慣性計測装置等であってもよい。慣性計測装置は、例えば、加速度センサとジャイロセンサとの組み合わせで構成されていてもよい。
【0018】
旋回角速度センサS4は、上部旋回体3の旋回角速度を検出するように構成されている。本実施形態では、旋回角速度センサS4は、ジャイロセンサである。旋回角速度センサS4は、旋回角速度に基づいて旋回角度を算出するように構成されていてもよい。旋回角速度センサS4は、ロータリエンコーダ等の他のセンサで構成されていてもよい。
【0019】
上部旋回体3には、運転室としてのキャビン10、エンジン11、測位装置18、集音装置A1、撮像装置C1、及び通信装置T1等が搭載されている。また、キャビン10内には、コントローラ30が搭載されている。また、キャビン10内には、運転席及び操作装置等が設置されている。
【0020】
エンジン11は、ショベル100の駆動源である。本実施形態では、エンジン11は、ディーゼルエンジンである。エンジン11の出力軸は、メインポンプ14及びパイロットポンプ15のそれぞれの入力軸に連結されている。
【0021】
測位装置18は、ショベル100の位置を測定するように構成されている。本実施形態では、測位装置18は、GNSSコンパスであり、上部旋回体3の位置及び向きを測定できるように構成されている。
【0022】
集音装置A1は、ショベル100の周囲で発生する音を集めるように構成されている。本実施形態では、集音装置A1は、上部旋回体3に取り付けられたマイクである。
【0023】
撮像装置C1は、ショベル100の周囲を撮像するように構成されている。本実施形態では、撮像装置C1は、上部旋回体3の上面後端に取り付けられた後カメラC1B、キャビン10の上面前端に取り付けられた前カメラC1F、上部旋回体3の上面左端に取り付けられた左カメラC1L、及び、上部旋回体3の上面右端に取り付けられた右カメラC1Rを含む。撮像装置C1は、キャビン10内の所定位置に設置された全天球カメラであってもよい。所定位置は、例えば、キャビン10内に設置された運転席に着座する操作者の目の位置に対応する位置である。
【0024】
通信装置T1は、ショベル100の外部にある機器との通信を制御するように構成されている。本実施形態では、通信装置T1は、無線通信網を介し、通信装置T1とショベル100の外部にある機器との間の無線通信を制御するように構成されている。通信装置T1は、例えば、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)等の移動体通信規格に対応する移動体通信モジュールや衛星通信網に接続するための衛星通信モジュール等を含む。
【0025】
コントローラ30は、各種演算を実行する演算装置である。コントローラ30は、例えば、キャビン10内に設けられ、ショベル100の駆動制御を行う。コントローラ30は、その機能が任意のハードウェア、ソフトウェア、或いは、その組み合わせにより実現されてよい。例えば、コントローラ30は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等のメモリ装置、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性の補助記憶装置、及び各種入出力用のインターフェース装置等を含むマイクロコンピュータを中心に構成される。コントローラ30は、例えば、不揮発性の補助記憶装置にインストールされる各種プログラムをCPU上で実行することにより各種機能を実現する。
【0026】
図2は、
図1のショベル100の駆動系の構成例を示すブロック図である。
図2において、機械的動力伝達ラインは二重線、作動油ラインは太実線、パイロットラインは破線、電気制御ラインは点線でそれぞれ示されている。
【0027】
ショベル100の駆動系は、エンジン11、レギュレータ13、メインポンプ14、パイロットポンプ15、コントロールバルブユニット17、コントローラ30、及び電磁弁ユニット45等で構成されている。エンジン11は、エンジンコントロールユニット74により駆動制御される。
【0028】
メインポンプ14は、作動油ライン16を介して作動油をコントロールバルブユニット17に供給する。本実施形態では、メインポンプ14は、斜板式可変容量型油圧ポンプである。
【0029】
レギュレータ13は、メインポンプ14の吐出量を制御するように構成されている。本実施形態では、レギュレータ13は、メインポンプ14の吐出圧又はコントローラ30からの制御信号等に応じてメインポンプ14の斜板傾転角を調節するように構成されている。メインポンプ14は、レギュレータ13により1回転当たり吐出量(押し退け容積)が制御される。
【0030】
コントロールバルブユニット17は、メインポンプ14から受け入れた作動油を1又は複数の油圧アクチュエータに選択的に供給できるように構成されている。本実施形態では、コントロールバルブユニット17は、複数の油圧アクチュエータに対応する複数の制御弁を含む。そして、コントロールバルブユニット17は、1又は複数の油圧アクチュエータに対し、メインポンプ14から吐出される作動油を選択的に供給できるように構成されている。油圧アクチュエータは、例えば、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、左側走行用油圧モータ1L、右側走行用油圧モータ1R、及び旋回用油圧モータ2Aを含む。
【0031】
コントロールバルブユニット17内の各制御弁171~176が制御されることにより、操作装置26に対する操作内容に応じた、各種油圧アクチュエータの動作を実現する。
【0032】
本実施形態では、パイロットポンプ15と各制御弁171~176のパイロットポートとの間には、コントローラ30からの電気信号に応じて動作する電磁弁ユニット45が配置されている。
【0033】
<操作系>
本実施形態に係るショベル100の操作系は、パイロットポンプ15と、操作装置26と、電磁弁ユニット45とを含む。
【0034】
パイロットポンプ15は、パイロットライン25を介して各種油圧制御機器(例えば、電磁弁ユニット45)に作動油を供給するように構成されている。これにより、電磁弁ユニット45は、コントローラ30の制御下で、操作装置26の操作内容(例えば、操作量や操作方向)に応じたパイロット圧をコントロールバルブユニット17に供給できる。
【0035】
このため、コントローラ30及び電磁弁ユニット45は、オペレータの操作装置26に対する操作内容に応じた被駆動要素(油圧アクチュエータ)の動作を実現できる。また、電磁弁ユニット45は、コントローラ30の制御下で、遠隔操作として通信装置T1が受信した操作信号で指定される遠隔内容に応じたパイロット圧をコントロールバルブユニット17に供給できる。パイロットポンプ15は、例えば、固定容量式油圧ポンプであり、上述の如く、ポンプ用電動機12により駆動される。
【0036】
電磁弁ユニット45は、パイロットポンプ15とコントロールバルブユニット17内の各制御弁のパイロットポートとを繋ぐ各パイロットライン25に配置された複数の電磁弁を含んでいる。
【0037】
操作装置26を用いた手動操作が行われた場合に、コントローラ30は、その操作量(例えば、レバー操作量)に対応する電気信号によって、電磁弁ユニット45における、複数の電磁弁の各々を制御してパイロット圧を増減させることで、操作装置26に対する操作内容に合わせて、各制御弁171~176を動作させる。
【0038】
つまり、本実施形態では、コントローラ30が、操作装置26の操作量に対応する電気信号によって、電磁弁ユニット45の複数の電磁弁のそれぞれの開口面積を個別に制御することで、各制御弁171~176のパイロットポートに作用するパイロット圧を制御することができる。そのため、コントローラ30は、各油圧アクチュエータに流入する作動油の流量、及び、各油圧アクチュエータから流出する作動油の流量を制御することができ、ひいては、各油圧アクチュエータの動きを制御できる。
【0039】
操作装置26(操作部の一例)は、ショベル100(建設機械の一例)を動作させるために方向を入力可能な装置である。例えば、操作装置26は、キャビン10の操縦席のオペレータから手の届く範囲に設けられ、オペレータがそれぞれの被駆動要素(即ち、下部走行体1の左右のクローラ、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等)の操作を行うために用いられる。換言すれば、操作装置26は、オペレータがそれぞれの被駆動要素を駆動する油圧アクチュエータ(例えば、走行油圧モータ1R,1L、旋回油圧モータ2M、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等)や電動アクチュエータの操作を行うために用いられる。
【0040】
操作内容検出装置29は、操作装置26を用いた操作者の操作内容を検出する装置である。本実施形態では、操作内容検出装置29は、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26としてのレバー又はペダルの操作方向及び操作量を検出し、検出した値を示した電気信号(以下、操作信号と称する)を、コントローラ30に対して出力する。本実施形態は、操作内容検出装置29として、後述するギアセンサ29a、29bを備える例について説明するが、操作量の検知手法を制限するものではなく、ポテンショメータ、又は圧力センサなどの他のセンサの出力を用いて操作量を導き出してもよい。
【0041】
操作内容検出装置29から出力される操作信号は、信号線28を介して、コントローラ30に取り込まれる。これにより、コントローラ30は、電磁弁ユニット45を制御し、操作装置26の操作内容、又は通信装置T1が受信した操作信号による操作内容等に合わせて、ショベル100の被駆動要素(アクチュエータ)の動作を制御できる。なお、操作装置26は、操作内容に応じたパイロット圧を出力する油圧パイロット式であってもよい。この場合、操作内容に応じたパイロット圧は、コントロールバルブユニット17に供給される。
【0042】
操作装置26には、複数のアクチュエータ127a、127bが格納されている。アクチュエータ127a、127bは、コントローラ30からの制御信号に従って、操作装置26のレバーに対して負荷を付与する。次に操作装置26の具体的な構成について説明する。
【0043】
図3は、本実施形態に係る操作装置26の外観を例示した図である。
図3に示される操作装置26は、操作者の操作に応じて回転する可動部126aを備えている。可動部126aは、凸状球面126bと、操作者の手(部位の一例)が接触させるためのグリップ(操舵部材の一例)126cと、操作者が押下するための押下部材126dと、を有する。
【0044】
本実施形態においては、押下部材126dが、グリップ126cの上方向(Z軸正方向)端部に設けられている例について説明するが、押下部材126dが設けられる位置は、操作者が押下可能な位置であればよい。
【0045】
本実施形態に係る操作装置26のグリップ126cは、X軸方向及びY軸方向の2軸方向に傾倒可能である。
【0046】
操作装置26において、凸状球面126bよりもZ軸負方向側に設けられた構成について説明する。まず、操作装置26のZ軸負方向側には、第1アクチュエータ127b、内側ピニオンギア122a、第2アクチュエータ127a、及び外側ピニオンギア121aが設けられている。
【0047】
まず、第1アクチュエータ127b、及び内側ピニオンギア122aについて説明する。
【0048】
第1アクチュエータ127bは、内側ピニオンギア122aの回転駆動を行うことができる。内側ピニオンギア122aは、凸状球面126bと噛み合うように接している。このため、第1アクチュエータ127bが内側ピニオンギア122aを回転駆動させることで、凸状球面126bを、内側ピニオンギア122aの回転方向301aに従って負荷を与えることができる。
【0049】
次に、第2アクチュエータ127a、及び外側ピニオンギア121aについて説明する。外側ピニオンギア121aは、内側ピニオンギア122aを回転方向301bに回動可能に構成されている。外側ピニオンギア121aが内側ピニオンギア122aを回動可能にする構成は、周知の構成を問わず、どのような構成でもよい。
【0050】
第2アクチュエータ127aは、外側ピニオンギア121aの回転駆動を行うことができる。このため、第2アクチュエータ127aが外側ピニオンギア121aを回転駆動させることで、内側ピニオンギア122aを、外側ピニオンギア121aの回転方向301bに従って、換言すればZ軸方向を中心として回動させることができる。
【0051】
図3で示される例では、内側ピニオンギア122aの回転軸1301の方向がX軸方向として示されているが、第2アクチュエータ127aが、外側ピニオンギア121aと共に内側ピニオンギア122aを回転させることで、例えば、内側ピニオンギア122aの回転軸1301の方向をY軸方向に切り替えることができる。このように内側ピニオンギア122aを回転させることで、凸状球面126bに対して負荷を与えるための回転軸1301の方向を、X軸方向及びY軸方向のうち少なくとも一つ以上を含む方向に切り替えることができる。
【0052】
また、内側ピニオンギア122aと、凸状球面126bとの噛み合いによっては、第2アクチュエータ127aが外側ピニオンギア121aを回転駆動させることで、内側ピニオンギア122aと共に凸状球面126bに対して、Z軸方向を中心とした回転方向301bに負荷を与えることができる。
【0053】
このように、第1アクチュエータ127b、及び第2アクチュエータ127aを用いて、内側ピニオンギア122a、及び外側ピニオンギア121aを制御することで、凸状球面126bに対して、複数の軸方向(例えば、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向)を回転軸として負荷を与えることができる。したがって、グリップ126cを握っている操作者に対して、複数の操作方向に対して負荷を呈示できる。
【0054】
操作装置26において、凸状球面126bよりもX軸負方向側に設けられた構成について説明する。まず、操作装置26のX軸負方向側には、第3アクチュエータ127d、内側ピニオンギア122b、第4アクチュエータ127c、及び外側ピニオンギア121bが設けられている。
【0055】
まず、第3アクチュエータ127d、及び内側ピニオンギア122bについて説明する。
【0056】
第3アクチュエータ127dは、内側ピニオンギア122bの回転駆動を行うことができる。内側ピニオンギア122bは、凸状球面126bと噛み合うように接している。このため、第3アクチュエータ127dが内側ピニオンギア122bを回転駆動させることで、凸状球面126bを、内側ピニオンギア122bの回転方向302aに従って負荷を与えることができる。
【0057】
次に、第4アクチュエータ127c、及び外側ピニオンギア121bについて説明する。外側ピニオンギア121bは、内側ピニオンギア122bを回転方向302bに回動可能に構成されている。外側ピニオンギア121bが内側ピニオンギア122bを回動可能にする構成は、周知の構成を問わず、どのような構成でもよい。
【0058】
第4アクチュエータ127cは、外側ピニオンギア121bの回転駆動を行うことができる。このため、第4アクチュエータ127cが外側ピニオンギア121bを回転駆動させることで、内側ピニオンギア122bを、外側ピニオンギア121bの回転方向302bに従って、換言すれば、X軸方向を中心として回転させることができる。
【0059】
図3で示される例では、内側ピニオンギア122bの回転軸1302の方向がY軸方向として示されているが、第4アクチュエータ127cが、外側ピニオンギア121bと共に内側ピニオンギア122bを回転させることで、例えば、内側ピニオンギア122bの回転軸1302の方向をZ軸方向に切り替えることができる。このように内側ピニオンギア122bを回転させることで、凸状球面126bに対して負荷を与えるための回転軸1302の方向を、Y軸方向及びZ軸方向のうち少なくとも一つ以上を含む方向に切り替えることができる。
【0060】
また、内側ピニオンギア122bと、凸状球面126bとの噛み合いによっては、第4アクチュエータ127cが外側ピニオンギア121bを回転駆動させることで、内側ピニオンギア122bと共に凸状球面126bに対して、X軸方向を中心とした回転方向302bに負荷を与えることができる。
【0061】
このように、第3アクチュエータ127d、及び第4アクチュエータ127cを用いて、内側ピニオンギア122b、及び外側ピニオンギア121bを制御することで、凸状球面126bに対して、複数の軸方向(例えば、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向)を回転軸として負荷を与えることができる。したがって、グリップ126cを握っている操作者に対して、複数の操作方向に対して負荷を呈示できる。
【0062】
このように、アクチュエータ127a~127dは、可動部126aの凸状球面126bを、直交する3軸(X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向)の各々を中心として、回転駆動させる。これにより、グリップ126cは、凸状球面126bと接続されている。このため、グリップ126cを保持している操作者に対して、直交している3軸(X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向)の各々を中心とした回転方向に負荷を呈示できる。
【0063】
例えば、操作者の操作によってグリップ126cがX軸方向及びY軸方向のうち少なくとも一つ以上に傾けられた際に、グリップ126cと接続されている凸状球面126bも傾けられた方向に回転する。
【0064】
ギアセンサ29a及びギアセンサ29bは、凸状球面126bの回転量を検出する。ギアセンサ29aは、グリップ126cがY軸方向に傾けられた場合に、凸状球面126bのY軸方向の歯の移動を検出可能な位置に設けられている。ギアセンサ29bは、グリップ126cがX軸方向に傾けられた場合に、凸状球面126bのX軸方向の歯の移動を検出可能な位置に設けられている。したがって、ギアセンサ29aは、凸状球面126bの表面に設けられた歯に基づいてY軸方向の回転量を検出し、ギアセンサ29bは、凸状球面126bの表面に設けられた歯に基づいてX軸方向の回転量を検出する。ギアセンサ29aは、検出した凸状球面126bの回転量を、Y軸方向に行われた操作量を示した電気信号として、コントローラ30に出力する。また、ギアセンサ29bは、検出した凸状球面126bの回転量を、X軸方向に行われた操作量を示した電気信号として、コントローラ30に出力する。なお、本実施形態は、操作者からの操作量を検知する手法として、ギアセンサ29a、29bを用いる例について説明する。しかしながら、本実施形態は、操作量の検知手法の一態様を例示したものであって、周知の手法を問わず、どのような態様で操作量の検知を行ってもよい。
【0065】
図4は、本実施形態に係る操作装置26の断面を示した図である。
図4に示されるように、操作装置26の可動部126aの凸状球面126bを外面から支持するように、凸状球面126bの形状に対応するような凹状の内壁面を有する支持部123が設けられている。
【0066】
凸状球面126bは、支持部123に対してX,Y平面における任意の方向に滑動自在(回転可能)に収容される。凸状球面126bが支持部123に滑動自在に収容する手法は、周知の手法を問わず、任意の手法を用いてよい。
【0067】
また、操作装置26には、押下部材126dに接続されている(図示しない)信号線を通すための筒形状の空洞部126eが設けられている。
【0068】
支持部123は、内側ピニオンギア122a、122bが凸状球面126bに接触する領域、グリップ126cが操作に従って移動可能な領域が覆われないように開口した形状を有している。同様に、支持部123は、開口部126fの近傍の領域が、覆われないように開口部123aを有する形状で形成される。
【0069】
従って、空洞部126eを通る信号線は、空洞部126eの一端の開口部126fから、支持部123の開口部123aを介して、コントローラ30に接続される。これにより、押下部材126dが押下されているか否かを示した電気信号が、コントローラ30に入力される。本実施形態では、操作装置26が上述した構成を備えることで、操作者に対してX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の各々を回転軸として負荷を容易に与えることができると共に、グリップ126cに設けられた押下部材126dに対して行われた操作をコントローラ30に伝えることができる。これにより、操作性の向上を図ることができる。
【0070】
次に、本実施形態に係る凸状球面126bと、内側ピニオンギア122a及び内側ピニオンギア122bと、の関係の例について説明する。
【0071】
例えば、内側ピニオンギア122a及び内側ピニオンギア122bは、鞍状歯車として形成され、複数種類の歯を備えてもよい。例えば、内側ピニオンギア122a及び内側ピニオンギア122bの側面には、所定の点を中心として円で閉じている歯が形成され、円で閉じた歯の周囲に湾曲した歯が形成され、その他の領域に湾曲していない歯(例えば平歯)が形成されてもよい。
【0072】
凸状球面126bは、例えば、球状歯車として形成されている。具体的には、凸状球面126bは、表面の所定の位置を極点として、当該極点を中心として、円を描くように歯が設けられてもよい(例えば、凸状球面126bを地球に見立てた場合、北極及び南極に対応する極点を中心として、緯度に相当する円の形状になるように歯が設けられてもよい)。
【0073】
本実施形態では、凸状球面126bの極点と、内側ピニオンギア122a及び内側ピニオンギア122bの所定の点と、が対応関係を有するように設けられてもよい。例えば、凸状球面126bの極点近傍の歯と、内側ピニオンギア122a及び内側ピニオンギア122bの所定の点を中心とした歯と、が噛みあうように形成されてもよい。凸状球面126bの極点近傍から離れるにしたがって形状が変化する歯と、内側ピニオンギア122a、122bの所定の点を中心として形成された歯と、が噛みあうように、例えば、凸状球面126bの円周の長さと、内側ピニオンギア122a及び内側ピニオンギア122bの各々の円周の長さと、の比が、2:1になるように形成されてもよい。
【0074】
本実施形態に係る凸状球面126bの表面には、内側ピニオンギア122aと噛み合うための第1の極点を中心とした歯と、内側ピニオンギア122bと噛み合うための第2の極点を中心とした歯と、が組み合わさって形成されてもよい。これにより、凸状球面126bは、内側ピニオンギア122a及び内側ピニオンギア122bの各々に対応して回転可能となる。
【0075】
上述した構成が設けられた場合、本実施形態に示される内側ピニオンギア122a及び内側ピニオンギア122bは、凸状球面126bと噛み合っている歯によっては、固定される回転方向が変化する。
【0076】
図4に示されるように、内側ピニオンギア122aの回転軸1301がX軸方向の場合について説明する。例えば、内側ピニオンギア122aが、円で閉じている歯で、凸状球面126bと噛み合っている場合、Z軸を中心として自由に回転可能となる。例えば、湾曲した歯で、凸状球面126bと噛み合っている場合、Z軸及びY軸の各々を中心として自由に回転可能となる。例えば、湾曲していない歯で凸状球面126bと噛み合っている場合、Y軸を中心として自由に回転可能となる。
【0077】
図4に示されるように、内側ピニオンギア122bの回転軸1302がY軸方向の場合について説明する。例えば、内側ピニオンギア122bが、円で閉じている歯で、凸状球面126bと噛み合っている場合、X軸を中心として自由に回転可能となる。例えば、湾曲した歯で、凸状球面126bと噛み合っている場合、Z軸及びX軸の各々を中心として自由に回転可能となる。例えば、湾曲していない歯で凸状球面126bと噛み合っている場合、Z軸を中心として自由に回転可能となる。
【0078】
このように、内側ピニオンギア122aと凸状球面126bとの間で回転可能な方向と、内側ピニオンギア122bと凸状球面126bとの間での噛みあいで自由に回転可能な方向が一致する場合に、当該方向に負荷を付与するのが難しくなる。そこで、本実施形態では、内側ピニオンギア122bの円で閉じている歯で、凸状球面126bと噛み合う範囲を考慮して、凸状球面126bに接続されているグリップ126cの可動範囲(例えば、±20~30°)を制限する。これにより、回転可能な方向が生じた場合の影響を抑制できる。
【0079】
操作装置26は、例えば、複数のレバーを含む。第1のレバー(例えばグリップ126cに相当する)は、例えば、前後方向及び左右方向の操作に応じて、アーム5(アームシリンダ8)及び上部旋回体3(旋回動作)のそれぞれに関する操作を受け付け可能に構成されてよい。第2のレバーは、例えば、前後方向及び左右方向の操作に応じて、ブーム4(ブームシリンダ7)及びバケット6(バケットシリンダ9)のそれぞれに関する操作を受け付け可能に構成されてよい。第3のレバーは、例えば、下部走行体1(クローラ)の操作を受け付け可能に構成されてよい。
【0080】
図2に戻り、ショベル100は、遠隔操作によって動作を行ってもよい。遠隔操作の場合、コントローラ30は、通信装置T1を通じて受信する操作信号に従って、電磁弁ユニット45に含まれる、複数の電磁弁を制御することにより、遠隔操作に用いられている操作装置に対する操作内容に応じた、各種油圧アクチュエータの動作を実現する。
【0081】
<ショベルのコントローラの機能ブロック>
コントローラ30は、その操作量(例えば、レバー操作量)に対応する電気信号によって、複数の電磁弁の各々を制御して、パイロット圧を増減させることで、操作装置26に対する操作内容に合わせて、各制御弁171~176を動作させることができる。また、本実施形態においては、複数の電磁弁の各々で増減したパイロット圧を検知する(図示しない)圧力検知センサが設けられてもよい。この場合、コントローラ30は、圧力検知センサによる検知結果として、パイロット圧を検知できる。
【0082】
このようにして、コントローラ30は、操作装置26からの操作信号、又は遠隔操作による操作信号に応じて、ブーム4の上げ下げ、アーム5の開閉、バケット6の開閉、上部旋回体3の旋回、及び下部走行体1の走行等を実現できる。
【0083】
本実施形態に係るコントローラ30は、アクチュエータ127a、127bに対して制御信号を出力することで、操作装置26のレバーに対して力を加える機能、いわゆるフォースフィードバック機能を有する。これにより、例えば、コントローラ30は、操作装置26のレバーを所定の方向(第1の方向の例)に傾ける操作を受け付けた場合に、当該所定の方向の反対方向(第2の方向の例)に力を加えることができる。
【0084】
本実施形態のフォースフィードバック機能は、コントローラ30によるアクチュエータ127a、127bの制御を、操作者に対して適切な操作方向を呈示する機能として用いる。
【0085】
例えば、未熟な操作者は、未熟な操作又は非効率な操作を行う傾向にある。そこで、本実施形態においては、施工用に予め定められた設計図情報に基づいて操作者に対して適切な操作を促す。設計図情報には、施工対象に関する施工後の形状が表されている。そこで、本実施形態では、施工対象が、設計図情報で示された形状になるためのショベル100の動作計画が設定される。動作計画には、施工するためのショベル100のアタッチメント及び上部旋回体3の移動軌跡が含まれている。そして、本実施形態に係るコントローラ30が、当該移動軌跡に従ってショベル100の各構成(例えば、アタッチメント及び上部旋回体3のうちいずれか一つ以上)を動作させるための操作手順(操作の軌跡)を設定する。そして、操作者が操作を行う際に、当該操作が、登録された操作手順の操作とずれが大きい場合に、コントローラ30は、設定された操作手順の操作になるように操作装置26のレバー(グリップ126cを含む)に設定された操作方向を呈示する力を付与する。
【0086】
コントローラ30は、操作装置26によって所定の方向(第1の方向の一例)が入力された場合に、登録された操作手順の操作になるように、操作装置26を操作している操作者に対して、所定の方向と反対方向(第1の方向に対応する第2の方向の一例)を呈示する。コントローラ30は、所定の方向と反対方向への力の呈示を行うために、アクチュエータ127a、127bの制御を行う。なお、本実施形態においては、所定の方向と反対方向を呈示する例について説明するが、反対方向に制限するものではなく、例えば、移動軌跡に従ってアタッチメント及び上部旋回体3を動作させるための操作方向に対する力(負荷)を呈示してもよい。さらには、グリップ126cを中心として回転する方向への力を呈示してもよい。つまり、本実施形態に係るコントローラ30は、操作者に適切な操作を学習させるために、操作者に入力された方向に対応した方向を呈示できればよい。これにより、操作者は適した操作を学習できる。
【0087】
コントローラ30内の各機能ブロックについて説明する。コントローラ30内の各機能ブロックは概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。各機能ブロックの全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。各機能ブロックにて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUにて実行されるプログラムにより実現される。または各機能ブロックをワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。本実施形態にかかるコントローラ30で実行されるプログラムは、不揮発性の補助記憶装置に格納する手法に制限するものではなく、配布可能な記憶部媒体に格納してもよいし、通信回線を介して送受信されてもよい。
【0088】
本実施形態に係るコントローラ30は、機能ブロックとして、取得部30aと、信号出力部30bと、設定部30cと、判定部30dと、呈示部30eと、を備える。また、コントローラ30は、不揮発性の補助記憶装置に、操作手順記憶部30fを設けている。
【0089】
操作手順記憶部30fは、上述した動作計画に含まれている移動軌跡に従ってショベル100の各構成(例えば、アタッチメント及び上部旋回体3のうちいずれか一つ以上)を動作させるための操作手順を示した操作手順情報を記憶する。操作手順情報としては、例えば、所定の作業現場において、動作計画に従って、掘削、旋回、掘削した土砂の積み込みなど、繰り返して行われる一連の操作に関する情報とする。一連の操作に関する情報としては、各工程において、操作装置26のレバーを傾けている量、及び傾けている時間を含んでいる。これにより、工程毎に操作装置26に対して行われる操作量を特定できる。
【0090】
取得部30aは、ショベル100内の各種構成の信号を取得する。例えば、取得部30aは、操作内容検出装置29からの操作信号を取得する。これにより、コントローラ30は、操作装置26を用いた操作者の操作内容を認識できる。例えば、取得部30aは、操作装置26に設けられたレバーが傾いた方向(操作者に入力された方向)及び傾いた量を認識できる。
【0091】
また、取得部30aは、通信装置T1を介して、外部装置からの通信情報を取得する。例えば、取得部30aは、遠隔操作による操作信号を取得する。さらに、取得部30aは、各種センサ(例えば、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、バケット角度センサS3、及び旋回角速度センサS4)からの検出結果を取得する。さらに、取得部30aは、集音装置A1により検出された音声情報、及び撮像装置C1による撮像情報を取得する。
【0092】
信号出力部30bは、取得した操作信号による操作内容に対応する動作を行うための制御信号を出力する。例えば、信号出力部30bは、操作内容に対応する動作のために、電磁弁ユニット45に含まれる電磁弁を制御する制御信号を生成し、当該制御信号を電磁弁ユニット45に出力する。
【0093】
設定部30cは、ショベル100が一連の動作(所定の動作の一例)を行うために、操作装置26のレバーを傾けた1つ以上の方向を含んだ操作手順を示した操作手順情報を設定する。例えば、設定部30cは、取得部30aが取得した設計図情報に基づいて、一連の作業を行うための操作手順を示した操作手順情報を、操作手順記憶部30fに登録することで、設定を行う。
【0094】
操作手順情報の設定手法としてはどのような手法を用いてもよい。例えば、設定部30cが、設計図情報で示された形状に施工対象が形成されるように、ショベル100のアタッチメント及び上部旋回体3の少なくとも一つ以上の移動軌跡を含む動作計画を生成し、当該動作計画で示された移動軌跡に従ってアタッチメント及び上部旋回体3のうち少なくとも一つ以上を動作させるための一連の操作を示した操作手順を、操作手順情報として、操作手順記憶部30fに設定登録してもよい。
【0095】
さらには、設定部30cが、通信装置T1を介して、外部装置から受信したパラメータ(例えば旋回角等)群で示された操作手順を、操作手順情報として、操作手順記憶部30fに設定登録してもよい。これにより、操作手順情報を参照することで、一連の作業を行う際に、時系列に応じて入力される方向(レバーの傾き方向)、及び当該方向として入力される量(レバーの傾き量)を特定できる。
【0096】
判定部30dは、取得部30aが取得した信号等に基づいて、各種判定を行う。例えば、判定部30dは、一連の繰り返し作業が行われている間に、操作装置26に所定の方向が入力された場合(レバーが傾けられた場合)に、操作装置26に入力された方向(第1の方向の一例)の情報(レバーが傾いた方向、及び傾き量)が、操作手順情報として設定されている操作手順で示された方向(第3の方向の一例)の情報と比べて、所定の閾値以上異なるか否かを判定する。なお、所定の閾値は、具体的な作業、設計図情報で示された形状を形成する際に求められる精度などの実施態様に応じて定められる値として説明を省略する。
【0097】
つまり、判定部30dは、入力された操作が、動作計画で示された移動軌跡に従って動作させるための操作と比べて所定の閾値以上ずれているか否かを判定する。なお、本実施形態では、動作計画で示された移動軌跡に従って動作させるための操作を予め設定する手法に制限するものではなく、設計図情報と実際に行われた操作との組み合わせの入力に従って、設計図情報に対応する操作手順を機械学習した学習モデルを用いて判定を行ってもよい。
【0098】
呈示部30eは、判定部30dによって、操作装置26に所定の方向(第1の方向の一例)が入力された場合に、入力された所定の方向の情報が、操作手順情報に示された操作方向(第3の方向の一例)の情報と比べて、所定の閾値より異なると判定部30dによって判定された場合に、操作装置26を操作している操作者に対して、入力された所定の方向の反対方向(第2の方向の一例)を呈示させる。
【0099】
本実施形態に係る呈示部30eは、方向を呈示する手法として、操作装置26のレバー(グリップ126cを含む)に対して、レバー(グリップ126cを含む)が傾いた所定の方向と反対方向に力を付与するように、アクチュエータ127a、127bを制御する。
【0100】
例えば、旋回操作時に、ショベル100の適切な旋回角になったタイミングで操作装置26のレバー(グリップ126cを含む)に反力が付与される。これにより、操作者は旋回を終了させる適切なタイミングを認識できる。
【0101】
<ショベルにおける操作手順>
本実施形態においては、上述した構成を備えることで、操作者に対して適切な操作を学習することができる。次に、本実施形態に係るコントローラ30における一連の作業時の処理について説明する。
【0102】
図5は、本実施形態に係るコントローラ30における、ショベル100の一連の作業を行う時の処理を示したフローチャートである。
図5に示される処理の前に、操作手順記憶部30fには、予め当該一連の作業を行うための操作手順情報が設定登録されている。
【0103】
取得部30aは、一連の作業時に、操作内容検出装置29から操作装置26により入力された所定の方向を示した操作信号を取得する(S401)。
【0104】
そして、判定部30dは、取得した操作信号で示された所定の方向の情報が、操作手順記憶部30fに登録されている操作手順情報で示された、現在の操作手順に対応する方向の情報と、所定の閾値以上異なるか否かを判定する(S402)。入力された所定の方向の情報と、現在の操作手順に対応する方向の情報と、の違いが所定の閾値内と判定された場合(S402:NO)、S404の処理に移動する。
【0105】
一方、判定部30dによって、入力された方向の情報と、現在の操作手順に対応する方向の情報と、の違いが所定の閾値以上と判定された場合(S402:YES)、呈示部30eは、入力された方向と反対方向に反力を呈示させる制御信号を、アクチュエータ127a~127dに出力する(S403)。
【0106】
その後、判定部30dは、操作手順情報で示された、一連の作業の操作手順が全て終了したか否かを判定する(S404)。一連の作業の操作手順が全て終了していないと判定した場合(S404:NO)、再びS401から処理を行う。
【0107】
一方、判定部30dは、操作手順情報で示された、一連の作業の操作手順が全て終了したと判定した場合(S404:YES)、一連の作業における判定等の処理を終了する。
【0108】
本実施形態においては上述した処理手順で処理を行うことで、予め設定された一連の作業の操作手順情報に基づいて、入力された方向と方向を呈示することで、操作者は設計図情報で示された形状を形成する際に求められる操作を認識した上で、作業を行うことができる。操作者が設計図情報で示された動作計画に基づいた操作手順と異なっているか否かを認識した上で、操作を行うことで、作業効率の向上を実現できる。
【0109】
本実施形態では、操作装置26として上述した構成を備える場合について説明した。当該操作装置26においては、可動部126aの凸状球面126bに対して、アクチュエータ127a、127bからの駆動力を伝達させることで、グリップ126cが設けられた可動部126aに対して力によるフォースフィードバックを容易に行うことができる。
【0110】
つまり、従来の建設機械を操作するためのジョイスティックにおいては、回転軸に回転型のアクチュエータを接続して、当該アクチュエータを駆動させることで、操作者に力を呈示する等の手法が用いられる等の傾向にあった。当該手法では、アクチュエータを配置するために大型化、複雑になる傾向にあった。これに対して、本実施形態の操作装置26においては、凸状球面126bに対して駆動力を伝達可能な構成を備えることで、力によるフォースフィードバック可能な構造を省スペースで実現できる。
【0111】
本実施形態においては、コントローラ30と操作装置26とが別構成となっている場合について説明した。しかしながら、コントローラ30のうち、操作装置26に関する制御を行うための構成を、操作装置26に格納してもよい。さらには、コントローラ30と、操作装置26と、の組み合わせを装置としてもよい。以降の実施形態についても同様とする。
【0112】
本実施形態においては、上述した構成の操作装置26を用いることで、操作者に対して規範となる操作の軌道を呈示できる。これにより、操作者は、設計図情報で示された動作計画に基づいた操作手順を考慮して、操作を行うことで、作業効率の向上を実現できる。さらには、設計図情報で示された動作計画に基づいた操作手順が提示されるので、操作者は消費燃料に対して仕事量が最適になる操作などを直観的に学習できる。
【0113】
(第2の実施形態)
上述した実施形態においては、アクチュエータ127a、127bを駆動させた実際の(駆動)力で、入力された方向と反対方向に負荷を呈示する例について説明した。しかしながら、上述した実施形態は、入力された方向と反対方向を呈示するために、実際の力を付与する手法に制限するものではない。そこで本実施形態においては、疑似力覚で、方向を呈示する例について説明する。
【0114】
本実施形態に係る操作装置26Aについて説明する。
図6は、本実施形態に係る操作装置26Aに設けられたレバー260Aの概略構成を例示した図である。
図6(A)はレバー260Aの正面からの外観を示した図であり、
図6(B)はレバー260Aの側面からの外観を示した図である。レバー260Aには、操作者が握るためにグリップ261Aと、グリップ261Aを下方から支持する支持部材263Aと、が設けられている。グリップ261Aには、操作者が押下するための(図示しない)ボタンが設けられてもよい。
【0115】
図6(A)、(B)に示されるように、レバー260Aは、軸受262Aから上方向(Z軸正方向)にグリップ261Aが設けられている。さらには、グリップ261Aは、軸受262Aを基準に、水平面(XY座標平面)方向に傾倒可能に設けられている。
【0116】
具体的には、グリップ261Aは、軸受262Aを基準に、右方向(Y軸負方向)501R、及び左方向(Y軸正方向)501L方向に傾倒可能である。また、グリップ261Aは、軸受262Aを基準に、前方向(Y軸正方向)501F、及び後方向(Y軸負方向)501B方向に傾倒可能である。このように、本実施形態に係るグリップ261Aは、直交する2軸方向に傾倒可能である。
【0117】
本実施形態に係るレバー260Aは、上述したように直交する2軸(複数の軸の例)方向に入力可能とする。
【0118】
レバー260Aには、(図示しない)操作内容検出装置29Aが設けられている。これにより、操作内容検出装置29Aは、レバー260Aに対する前後方向の操作内容(例えば、操作方向及び操作量)を検出すると共に、レバー260Aに対する左右方向の操作内容(例えば、操作方向及び操作量)を検出する。
【0119】
具体的には、操作内容検出装置29Aは、例えば、レバー260Aの傾斜角度を検出する傾斜センサ、又は、操作レバーの揺動軸回りの揺動角度を検出する角度センサ等である。操作内容検出装置29Aは、圧力センサ、電流センサ、電圧センサ、又は距離センサ等の他のセンサで構成されていてもよい。
【0120】
レバー260Aには、傾倒(入力)可能な方向に対応して複数の振動機構が設けられている。例えば、本実施形態に係るレバー260Aには、レバー260Aを前後方向(X軸方向)に振動させる第1の振動機構27Aaと、レバー260Aを左右方向(Y軸方向)に振動させる第2の振動機構27Ab、を備える。このように、第1の振動機構27Aa及び第2の振動機構27Abは、動作方向が直交するように配置されている。
【0121】
図6に示されるように、第1の振動機構27Aa及び第2の振動機構27Abは、グリップ261Aの上方向(Z軸正方向)の端部側に設けられている。
【0122】
本実施形態は、第1の振動機構27Aa及び第2の振動機構27Abを、
図6に示したような、グリップ261Aの上方向(Z軸正方向)の端部側に配置する手法に制限するものではなく、実施態様に応じて適切な位置に設けてよい。例えば、第1の振動機構27Aa及び第2の振動機構27Abが比較的大きい場合、当該グリップ261Aの径が太くなりすぎないように配置することが好ましい。これにより、グリップ261Aを操作者の手で握りやすいような形状にできる。
【0123】
第1の振動機構27Aa、及び第2の振動機構27Abは、コントローラ30の呈示部30eからの振動信号に従って振動制御が行われる。
【0124】
図6に示される第1の振動機構27Aa、及び第2の振動機構27Abは、振り子(重り)271Aa、271Abの重心が回転軸からずれている(偏心している)。したがって、コントローラ30が、第1の振動機構27Aa及び第2の振動機構27Abの各々について振り子の重心の位相に応じて回転速度を制御することで所望の方向にのみ力を生じさせることができる。
【0125】
本実施形態においては、第1の振動機構27Aa、及び第2の振動機構27Abとしては、偏心型のDCモータ(回転モータ)を用いることが考えられるが、当該偏心型の回転モータに制限するものではなく、ボイスコイルモータを適用してもよいし、ソレノイドコイルなどの直進型の振動子を適用してもよい。また、本実施形態では、第1の振動機構27Aa、及び第2の振動機構27Abのうち一方のみ動作させる手法に制限するものではない。例えば、第1の振動機構27Aa、及び第2の振動機構27Abとして、偏心型の回転モータを用いる場合、第1の振動機構27Aa及び第2の振動機構27Abの動作を組み合わせて、所望の方向以外の力を打ち消すように制御を行ってもよい。
【0126】
このように、第1の振動機構27Aa、及び第2の振動機構27Abは振動可能な機構を有していればよい。
【0127】
本実施形態に係る第1の振動機構27Aa、及び第2の振動機構27Abは、振動方向に沿った方向の疑似力覚を呈示させる。つまり、本実施形態は、振動方向に沿った方向の疑似力覚で、操作者に入力された方向に対応する方向への反力を呈示できる。
【0128】
<疑似力覚を生じさせる振動の説明>
図7は、第2の実施形態に係る操作装置26Aのレバー260Aに対して疑似力覚振動を生じさせる振動を行うための振動信号の波形を例示した図である。
図7(A)に示される例では、横軸を時間とし、縦軸を電圧とする。
図7(A)では、鋸波が生じる例とする。
【0129】
図7(A)に示される振動信号では、時刻t1~時刻t2の間において、縦軸の"0"(基準値)に関して、負方向への変位が1回生じた後、正方向への変位が3回生じている。換言すれば、
図7(A)に示される振動信号は、正方向と負方向の変位が3:1で発生する鋸波となる。
【0130】
呈示部30eは、
図7(A)に示されるように、振動信号の振幅方向において、正方向への変位の数と、負方向への変位の数とを異ならせた特定パターンの波形を所定周期で繰り返す振動信号を生成する。当該振動信号に従って振動している物体に操作者の部位が接触した場合に、操作者に対して、振動の方向に引っ張られるような力を感じさせることができる。
【0131】
また、本実施形態は、
図7(A)に示されるような、振動信号で3:1の鋸波を発生させる例に制限するものではない。
【0132】
例えば、
図7(B)に示されるような、3:1の正弦波を振動信号として用いてもよい。さらには、
図7(C)に示されるような、3:1の三角波を振動信号として用いてもよい。さらには、
図7(D)に示されるような、3:1の矩形波を振動信号として用いてもよい。
【0133】
なお、本実施形態においては、正と負の振動数が3:1で振動を発生させる例について説明したが、3:1に制限するものではなく、2:1又は4:1など、操作者に対して疑似力覚を生じさせる振動であればよい。つまり、本実施形態に係る呈示部30eは、
図7(A)に示される縦軸の基準値"0"に関して、非対称となる波形で振動させるための振動信号を生成し、第1の振動機構27Aa、及び第2の振動機構27Abの少なくとも一つ以上に出力すればよい。
【0134】
図8は、レバー260Aの操作が行われた場合に生じさせる疑似力覚の方向を例示した図である。
図8に示される例では、レバー260Aが右方向7001に傾ける操作が行われた場合とする。例えば、レバー260Aの左右方向が、上部旋回体3の旋回に対応する場合、呈示部30eは、一連の作業において上部旋回体3の旋回が完了したと判定された段階で、左方向7002への反力を感じるような疑似力覚を生じさせる振動信号を生成し、当該振動信号をレバー260Aの第2の振動機構27Abに出力する。これにより、操作者は、旋回動作を終了すべきであることを認識できる。
【0135】
操作装置26Aにおいては、ショベル100を動作させるために、複数のレバー260Aが設けられている。例えば、操作装置26Aとして右レバーと左レバーとが設けられてもよい。
【0136】
本実施形態では、操作装置26Aにおいて、第1の振動機構27Aa、及び第2の振動機構27Abを有するレバー260Aは、疑似力覚によって操作者に入力された方向に対応する方向への反力を呈示できる。つまり、アクチュエータを配置するために大型化、複雑になる傾向にあったが、本実施形態の操作装置26Aにおいては、上述した構成を備えることで、省スペース化を実現できると共に、疑似力覚によって所定の方向を呈示するフォースフィードバックを容易に実現できる。
【0137】
本実施形態においては、操作装置26Aのレバー260Aの機構部分に干渉しない領域に、第1の振動機構27Aa、及び第2の振動機構27Abを設けられるので、簡易な構成で、操作者に対して任意の方向に引っ張られるような疑似力覚を呈示できる。また操作装置26Aのレバー260Aの機構部分を複雑化することを抑制できるので、堅牢性を確保できるとともに、コスト削減を実現できる。
【0138】
(第2の実施形態の変形例1)
上述した実施形態は、グリップ261Aの上方端部に、第1の振動機構27Aaと、第2の振動機構27Abとを設けた例について説明した。しかしながら、第2の実施形態で示したように、振動機構をグリップ261Aの上方端部に設ける手法に制限するものではない。そこで、第2の実施形態の変形例1では、振動機構を別の位置に設けた例について説明する。
【0139】
図9は、本変形例に係る操作装置26Bに設けられたレバー260Bの概略構成を例示した図である。
図9(A)はレバー260Bの正面からの外観を示した図であり、
図9(B)はレバー260Bの側面からの外観を示した図である。なお、上述した実施形態と同様の構成については同一の符号の割り当て説明を省略する。
【0140】
レバー260Bには、操作者が握るためにグリップ261Bが設けられている。グリップ261Bには、操作者が押下するための(図示しない)ボタンが設けられてもよい。
【0141】
図9(A)、(B)に示されるように、レバー260Bは、軸受262Aから上方向(Z軸正方向)にグリップ261Bが設けられている。さらには、グリップ261Bは、軸受262Aを基準に、水平面(XY座標平面)方向に傾倒可能に設けられている。
【0142】
本変形例では、グリップ261Bを前後方向(X軸方向)に振動させる第1の振動機構27Baと、グリップ261Bを左右方向(Y軸方向)に振動させる第2の振動機構27Bb、を備える。このように、第1の振動機構27Aa及び第2の振動機構27Abは、動作方向が直交するように配置されている。
【0143】
図9に示されるように、第1の振動機構27Ba及び第2の振動機構27Bbは、Z軸方向において、グリップ261Bの中央近傍に設けられている。上述した実施形態と同様に、第1の振動機構27Ba、及び第2の振動機構27Bbは、振り子(重り)271Aa、271Abの重心が回転軸からずれている(偏心している)。
【0144】
本変形例に係る第1の振動機構27Ba、及び第2の振動機構27Bbは、上述した実施形態と同様に、振動方向に沿った方向の疑似力覚を呈示させる。
【0145】
本実施形態においては、第1の振動機構27Ba及び第2の振動機構27Bbが、グリップ261Bの中央近傍に設けられたことで、グリップ261Bを操作者が握った際に、第1の振動機構27Ba及び第2の振動機構27Bbを包み込む状態になるので、疑似力覚で表された所望の力をより正確に、誤差が少なく操縦者に掲示することができる。また、軸受262Aから、第1の振動機構27Ba及び第2の振動機構27Bbの各々までの距離も、第2の実施形態と比べて短い。このため、第1の振動機構27Ba及び第2の振動機構27Bbが重い場合でも、第2の実施形態と比べて、第1の振動機構27Ba及び第2の振動機構27Bbによる慣性力を小さくできるので、操作性を向上させることができる。
【0146】
なお、第2の実施形態及び変形例は、振動機構の配置例の示したものであって、振動機構の配置を制限するものではない。振動機構は、レバーの軸受262Aと比べて、グリップ側(Z軸正方向側)に設けられていればよい。振動機構は、例えば、グリップの下に設けられた支持部材263Aの内部に設けられてもよい。
【0147】
(第2の実施形態の変形例2)
上述した実施形態においては、操作装置26Aに、第1の振動機構27Aa、及び第2の振動機構27Abを内蔵する場合について説明した。第1の振動機構27Aa、及び第2の振動機構27Abは、操作装置26の機構部分に干渉させる必要がない。換言すれば、操作装置26Aに、第1の振動機構27Aa、及び第2の振動機構27Abを内蔵する必要はない。
【0148】
そこで、本変形例では、第1の振動機構27Aa、及び第2の振動機構27Abを内蔵した着脱部材を、操作装置26Aのレバーに対して着脱可能にした例について説明する。
【0149】
図10は、本変形例に係る操作装置26Cに設けられたレバー260Cの概略構成を例示した図である。
図10(A)はレバー260Cの正面からの外観を示した図であり、
図10(B)はレバー260Cの側面からの外観を示した図である。なお、上述した実施形態と同様の構成については同一の符号の割り当て説明を省略する。
【0150】
レバー260Cには、操作者が握るためにグリップ261Cが設けられている。グリップ261Cには、操作者が押下するための(図示しない)ボタンが設けられてもよい。さらに、本変形例に係るレバー260Cは、支持部材263Aの下に、着脱部材264Cを装着可能に構成されている。
【0151】
図11は、第2の実施形態の変形例2に係る着脱部材264Cの構成を例示した図である。
図11に示されるように、着脱部材264C内に、前後方向(X軸方向)に振動させる第1の振動機構27Caと、左右方向(Y軸方向)に振動させる第2の振動機構27Cb、を備える。このように、第1の振動機構27Ca及び第2の振動機構27Cbは、動作方向が直交するように配置されている。
【0152】
図11に示される着脱部材264Cは、必要に応じてレバー260Cに装着することができる。例えば、着脱部材264Cの内壁面2641Cには、レバー260Cに接続するための端子が設けられている。着脱部材264Cがレバー260Cに装着された場合に、当該端子を介して、第1の振動機構27Ca及び第2の振動機構27Cbを振動させるための信号が入力される。
【0153】
図10に示されるように、本変形例に係るレバー260Cに、着脱部材264Cを装着することで、第1の振動機構27Ca、及び第2の振動機構27Cbが、上述した実施形態と同様に、振動方向に沿った方向の疑似力覚を呈示させることができる。
【0154】
例えば、操作者が未熟な場合に、レバー260Cに着脱部材264Cを装着する。これにより、操作者は、上述した実施形態と同様に、設計図情報で示された形状を形成する際に求められる操作を学習できる。また、学習が不要な場合には、着脱部材264Cを取り外すことができるので、レバー260Cを軽量化できるので、操作性の向上を実現できる。
【0155】
(第3の実施形態)
上述した実施形態では、操作者が、設計図情報で示された形状を形成する際に求められる操作を学習するために、入力された方向に対応する方向の力又は疑似力覚を呈示する場合について説明した。しかしながら、上述した実施形態は、入力された方向に対応する方向の力又は疑似力覚の呈示を、設計図情報で示された形状を形成する際に求められる操作を学習する場合に制限するものではない。そこで、第3の実施形態においては、遠隔操作を行っている操作者に対して、ショベル100の動作に対応する負荷を呈示する場合について説明する。なお、本実施形態においては、第2の実施形態の操作装置26Aを遠隔操作に用いることで、疑似力覚で方向を呈示する例について説明するが、第1の実施形態の操作装置26を用いて力によって方向を呈示してもよい。
【0156】
<ショベルの電気系の構成例>
図12は、ショベル100に搭載される電気系の構成例を示す図である。エンジン11は、エンジンコントロールユニット74に接続されている。エンジンコントロールユニット74からは、エンジン11の状態を示す各種データがコントローラ300に送信される。コントローラ300は、エンジン11の状態を示す各種データを、コントローラ300内部の不揮発性の補助記憶装置に蓄積できるように構成されている。
【0157】
バッテリ70は、ショベル100に搭載されている各種電気負荷に電力を供給するように構成されている。オルタネータ11a(発電機)、スタータ11b、コントローラ300、及び電装品72等は、バッテリ70に蓄えられた電力で動作するように構成されている。スタータ11bは、バッテリ70に蓄えられた電力で駆動され、エンジン11を始動させるように構成されている。また、バッテリ70は、オルタネータ11aが発電した電力で充電されるように構成されている。
【0158】
水温センサ11cは、エンジン冷却水の温度に関するデータをコントローラ300に送信する。レギュレータ13は、斜板傾転角に関するデータをコントローラ300に送信する。吐出圧センサ14bは、メインポンプ14の吐出圧に関するデータをコントローラ300に送信する。測位装置18は、ショベル100の位置に関するデータをコントローラ300に送信する。
【0159】
メインポンプ14が吸入する作動油が貯蔵された作動油タンクとメインポンプ14との間の管路14-1には、油温センサ14cが設けられている。油温センサ14cは、管路14-1を流れる作動油の温度に関するデータをコントローラ300に送信する。
【0160】
尿素水タンク21に設けられた尿素水残量センサ21aは、尿素水の残量に関するデータをコントローラ300に送信する。燃料タンク22に設けられた燃料残量センサ22aは、燃料の残量に関するデータをコントローラ300に送信する。
【0161】
通信装置T1は、無線通信を介し、遠隔操作室RCに設置された通信装置T2との間で情報を送受信するように構成されている。本実施形態では、通信装置T1と通信装置T2とは、第5世代移動通信回線(5G回線)、LTE回線、又は衛星回線等を介して情報を送受信するように構成されている。
【0162】
<遠隔操作室の電気系の構成例>
遠隔操作室RCには、遠隔コントローラ40、音出力装置A2、室内撮像装置C2、表示装置D1、及び通信装置T2等が設置されている。また、遠隔操作室RCには、ショベル100を遠隔操作する操作者OPが座る運転席DSが設置されている。
【0163】
遠隔コントローラ40は、各種演算を実行する演算装置である。本実施形態では、遠隔コントローラ40は、コントローラ300と同様、CPU及びメモリを含むマイクロコンピュータで構成されている。そして、遠隔コントローラ40の各種機能は、CPUがメモリに格納されたプログラムを実行することで実現される。
【0164】
音出力装置A2は、音を出力するように構成されている。本実施形態では、音出力装置A2は、スピーカであり、ショベル100に取り付けられている集音装置A1が集めた音を再生するように構成されている。
【0165】
室内撮像装置C2は、遠隔操作室RC内を撮像するように構成されている。本実施形態では、室内撮像装置C2は、遠隔操作室RCの内部に設置されたカメラであり、運転席DSに着座する操作者OPを撮像するように構成されている。
【0166】
通信装置T2は、ショベル100に取り付けられた通信装置T1との無線通信を制御するように構成されている。
【0167】
本実施形態では、運転席DSは、通常のショベルのキャビン内に設置される運転席と同様の構造を有する。具体的には、運転席DSの左側には左コンソールボックスが配置され、運転席DSの右側には右コンソールボックスが配置されている。運転席には、上述した実施形態で示した操作装置26Aが設けられている。操作装置26Aとして、コンソールボックスの上面前端に左操作レバーが配置され、右コンソールボックスの上面前端には右操作レバーが配置されている。また、運転席DSの前方には、走行レバー及び走行ペダルが配置されている。更に、右コンソールボックスの上面中央部には、エンジン回転数調整ダイヤル75が配置されている。
【0168】
エンジン回転数調整ダイヤル75は、エンジン11の回転数を調整するためのダイヤルであり、例えばエンジン回転数を4段階で切り換えできるように構成されている。
【0169】
具体的には、エンジン回転数調整ダイヤル75はSPモード、Hモード、Aモード、及びアイドリングモードの4段階でエンジン回転数の切り換えができるように構成されている。エンジン回転数調整ダイヤル75は、エンジン回転数の設定に関するデータをコントローラ300に送信する。
【0170】
SPモードは、操作者OPが作業量を優先させたい場合に選択される回転数モードであり、最も高いエンジン回転数を利用する。Hモードは、操作者OPが作業量と燃費を両立させたい場合に選択される回転数モードであり、二番目に高いエンジン回転数を利用する。Aモードは、操作者OPが燃費を優先させながら低騒音でショベルを稼働させたい場合に選択される回転数モードであり、三番目に高いエンジン回転数を利用する。アイドリングモードは、操作者OPがエンジンをアイドリング状態にしたい場合に選択される回転数モードであり、最も低いエンジン回転数を利用する。そして、エンジン11は、エンジン回転数調整ダイヤル75を介して選択された回転数モードのエンジン回転数で一定に回転数制御される。
【0171】
操作装置26Aには、操作装置26Aの操作内容を検出するための操作内容検出装置29Aが設置されている。操作内容検出装置29Aは、検出した操作装置26Aの操作内容に関する情報を遠隔コントローラ40に対して出力する。遠隔コントローラ40は、受信した情報に基づいて操作信号を生成し、生成した操作信号をショベル100に向けて送信する。操作内容検出装置29Aは、操作信号を生成するように構成されていてもよい。この場合、操作内容検出装置29Aは、遠隔コントローラ40を経由せずに、操作信号を通信装置T2に出力してもよい。
【0172】
表示装置D1は、撮像装置C1が撮像した画像に基づいて、ショベル100の周囲の状況に関する情報を表示するように構成されている。本実施形態では、表示装置D1は、縦3段、横3列の9つのモニタで構成されるマルチディスプレイであり、ショベル100の前方、左方、及び右方の空間の様子を表示できるように構成されている。各モニタは、液晶モニタ又は有機ELモニタ等である。但し、表示装置D1は、1又は複数の曲面モニタで構成されていてもよく、プロジェクタで構成されていてもよい。
【0173】
表示装置D1は、操作者OPが着用可能な表示装置であってもよい。例えば、表示装置D1は、ヘッドマウントディスプレイであり、無線通信によって、遠隔コントローラ40との間で情報を送受信できるように構成されていてもよい。ヘッドマウントディスプレイは、遠隔コントローラ40に有線接続されていてもよい。ヘッドマウントディスプレイは、透過型ヘッドマウントディスプレイであってもよく、非透過型ヘッドマウントディスプレイであってもよい。ヘッドマウントディスプレイは、片眼型ヘッドマウントディスプレイであってもよく、両眼型ヘッドマウントディスプレイであってもよい。
【0174】
表示装置D1は、遠隔操作室RCにいる操作者OPがショベル100の周囲を視認できるようにする画像を表示するように構成されている。すなわち、表示装置D1は、操作者が遠隔操作室RCにいるにもかかわらず、あたかもショベル100のキャビン10内にいるかのように、ショベル100の周囲の状況を確認することができるように、画像を表示する。
【0175】
次に、
図13を参照し、ショベル100の施工支援システムSYSの構成例について説明する。
図13は、施工支援システムSYSの構成例を示す機能ブロック図である。
【0176】
図13に示す例では、施工支援システムSYSは、ショベル100と、ショベル100に関する遠隔操作室RCとで構成されている。
【0177】
ショベル100は、測位装置18、コントローラ300、電磁弁ユニット45、集音装置A1、撮像装置C1、圧力検知センサS5、及び通信装置T1を備えている。
【0178】
圧力検知センサS5は、制御弁171~176を動作させるために、電磁弁ユニット45に含まれる電磁弁の各々で増減したパイロット圧を検知し、検知結果をコントローラ300に出力する。
【0179】
パイロット圧は、操作者の操作に応じて増減した圧力である。このため、当該検知結果に応じた疑似反力を、遠隔操作室RCの操作装置26Aに生じさせることで、操作者にショベル100の油圧駆動系で生じている負荷を伝達できる。
【0180】
<ショベルのコントローラの機能ブロック>
ショベル100に搭載されているコントローラ300は、上述した実施形態のコントローラ30と同様にショベル100を制御する機能と共に、遠隔操作を行うための機能を有する。そこで、コントローラ300が遠隔操作を行うために有する機能について説明する。コントローラ300は、例えば、(図示しない)CPUが不揮発性記憶媒体に格納されているプログラムを読み込むことで、ショベル100の遠隔操作を行うために有する機能構成を実現する。
【0181】
コントローラ300は、例えば、
図13に示すように、機能ブロックとして、画像生成部300aと、ショベル状態特定部300bと、及びアクチュエータ駆動部300cと、圧力情報生成部300dと、状態情報生成部300eと、を有する。
【0182】
画像生成部300aは、表示装置D1で表示される画像を含む周囲画像を生成するように構成されている。周囲画像は、表示装置D1での表示の際に利用される画像である。典型的には、周囲画像は、仮にキャビン10内に操作者がいたならば操作者が見ることができたショベル100の周囲の様子を表す画像である。本実施形態では、周囲画像は、撮像装置C1が撮像した画像に基づいて生成される。具体的には、画像生成部300aは、後カメラC1B、前カメラC1F、左カメラC1L、及び右カメラC1Rのそれぞれが撮像した画像に基づき、周囲画像としての仮想視点画像を生成する。但し、画像生成部300aは、後カメラC1B、前カメラC1F、左カメラC1L、及び右カメラC1Rの少なくとも1つが撮像した画像に基づき、周囲画像としての仮想視点画像を生成してもよい。仮想視点画像の仮想視点は、仮にキャビン10内の運転席に操作者が着座していたときの操作者の目の位置に対応する仮想操作者視点である。但し、仮想操作者視点は、キャビン10の外にあってもよい。
【0183】
本実施形態では、仮想操作者視点の座標は、遠隔操作室RCの運転席DSに操作者OPが着座したときの操作者OPの目の位置である操作者視点に基づいて導き出される。なお、操作者視点の座標は、予め設定された固定値でよい。
【0184】
ショベル状態特定部300bは、ショベル100の状態を特定するように構成されている。本実施形態では、ショベル100の状態は、ショベル100の位置と向きを含む。ショベル状態特定部300bは、測位装置18の出力に基づいてショベルの位置及び向きを特定する。
【0185】
アクチュエータ駆動部300cは、ショベル100に搭載されているアクチュエータを駆動するように構成されている。本実施形態では、アクチュエータ駆動部300cは、遠隔コントローラ40から送信されてくる操作信号に基づき、電磁弁ユニット45に含まれる複数の電磁弁のそれぞれに対する作動信号を生成して出力する。
【0186】
作動信号を受けた各電磁弁は、コントロールバルブユニット17における対応する制御弁171~176のパイロットポートに作用するパイロット圧を増減させる。その結果、各制御弁に対応する油圧アクチュエータは、制御弁のストローク量に応じた速度で動作する。
【0187】
圧力情報生成部300dは、圧力検知センサS5によって、電磁弁ユニット45の複数の電磁弁の各々で増減したパイロット圧の検知結果に基づいて、操作装置が油圧パイロット式の場合に当該操作装置26Aの操作レバーの移動方向の各々に対応する動作で生じているパイロット圧(負荷の一例)を算出し、操作装置26Aのレバーの移動方向の各々に対応するパイロット圧を示した圧力情報(負荷情報の一例)を生成して、通信装置T1に出力する。
【0188】
状態情報生成部300eは、ショベル100に設けられた各種センサの検知結果に基づいて、遠隔操作室RCに存在する操作者に伝達すべき、ショベル100の状態を示した状態情報を生成する。状態情報としては、例えばショベル100が所定の閾値以上傾いている旨を示す情報が含まれてもよい。
【0189】
<遠隔操作室>
遠隔操作室RCは、操作装置26A、操作内容検出装置29A、遠隔コントローラ40、音出力装置A2、室内撮像装置C2、表示装置D1、及び通信装置T2を備えている。
【0190】
遠隔操作室RCに設置されている遠隔コントローラ40が有する機能について説明する。遠隔コントローラ40は、例えば、(図示しない)CPUが不揮発性記憶媒体に格納されているプログラムを読み込むことで、遠隔操作室RC内の各構成を制御する。
【0191】
<遠隔コントローラの機能ブロック>
遠隔コントローラ40は、機能ブロックとして、画像処理部40aと、圧力情報取得部40bと、状態情報取得部40cと、呈示部40dと、操作信号出力部40eと、を有する。
【0192】
画像処理部40aは、ショベル100から送信されるショベル100の周囲画像と、操作者を案内するための画像と、を合成し、合成画像を表示装置D1に出力する。
【0193】
画像処理部40aは、ショベル100から送信されるショベル100の周囲画像と、操作者を案内するための画像と、を合成し、合成画像を表示装置D1に出力する。
【0194】
操作信号出力部40eは、操作信号を生成するように構成されている。本実施形態では、操作信号出力部40eは、操作内容検出装置29Aの出力に基づいて操作信号を生成し、出力する。
【0195】
操作信号出力部40eにより出力された操作信号は、通信装置T2によって、無線通信ネットワークを介して、ショベル100に送信されるように構成されている。これによりショベル100の油圧駆動系が動作する。そして、当該動作に従って、ショベル100の圧力情報生成部300dによって生成された圧力情報が、遠隔操作室RCに送信される。
【0196】
圧力情報取得部40b(負荷情報取得部の一例)は、通信装置T2を介して、ショベル100から、操作装置26Aによって入力された方向に対応する動作で生じているパイロット圧(負荷の一例)を示した圧力情報を取得する。圧力情報取得部40bは、取得した圧力情報に基づいて、操作装置26Aのレバー260Aについて、前後方向及び左右方向の各々に対応する、パイロット圧を抽出し、方向毎のパイロット圧を、呈示部40dに出力する。
【0197】
状態情報取得部40cは、通信装置T2を介して、ショベル100から、ショベル100の状態を示した状態情報を取得する。状態情報取得部40cは、取得した状態情報を、呈示部40dに出力する。
【0198】
呈示部40dは、方向毎のパイロット圧と、状態情報と、に基づいて、第1の振動機構27Aa、及び第2の振動機構27Abの各々を振動させる振動信号を生成し、第1の振動機構27Aa、及び第2の振動機構27Abの各々に出力する。
【0199】
本実施形態に係る呈示部40dは、操作装置26Aのレバー260Aが入力可能な複数の方向のうち、いずれか一方向以上が入力された場合に、入力された一方向以上の各々に対応する反力を表した疑似力覚振動を生じさせる振動を示した振動信号を生成する。
【0200】
例えば、
図8に示されるように、レバー260Aの左右方向が、バケット6の掘削、解放に対応する場合、バケット6による掘削のためにレバー260Aが右方向7001に傾けられた際、呈示部40dは、バケット6を動作させる制御弁174に関するパイロット圧に対応する反力として、左方向7002に引っ張られるような疑似力覚を生じさせる振動信号を生成し、当該振動信号をレバー260Aの第2の振動機構27Abに出力する。これにより、操作者は、バケット6で生じている負荷を認識できる。
【0201】
また、呈示部40dは、バケット6を動作させる制御弁174に関するパイロット圧の大きさに応じて、3:1で発生する鋸波の振幅(振動度合い)を変更する。これにより、操作者は、バケット6に生じている負荷の大きさを認識できる。これにより、操作者は負荷の大きさを考慮した操作ができるので、安全性を向上させることができる。
【0202】
なお、本実施形態で生じさせる疑似力覚による反力は、バケット6の負荷に制限するものではなく、操作装置26で操作された方向に対応した、ショベル100の動作で生じている負荷であればよい。例えば、アーム5で生じている負荷、上部旋回体3の右旋回又は左旋回による負荷、又はブーム4で生じている負荷であってもよい。
【0203】
また、呈示部40dは、状態情報取得部40cが取得した状態情報に基づいた振動を、疑似力覚を生じさせる振動に重畳してもよい。
【0204】
状態情報取得部40cが取得した状態情報に基づいた振動は、例えば、正の振幅と、負の振幅と、が交互に生じているパターンの波形を所定周期で繰り返している。
【0205】
当該振動を生じさせるための状態情報としては、ショベル100が所定の閾値以上傾いている旨を示す情報が含まれている場合とする。つまり、呈示部40dは、状態情報取得部40cが取得した状態情報に、ショベル100が所定の閾値以上傾いている旨を示す情報が含まれている場合に、状態情報に基づいた振動を生じさせる。なお、本実施形態は、状態情報の一例を示したものであって、状態情報を、ショベル100が所定の閾値以上傾いている旨に制限するものではない。つまり、状態情報は、ショベル100の現在の状況を表した情報が含まれていればよい。そして、呈示部40dは、操作者に、ショベル100の現在の状況を伝達するための振動を生じさせるための振動信号を生成する。
【0206】
呈示部40dは、状態情報取得部40cが取得した状態情報に基づいた振動と、疑似力覚を生じさせる振動と、を同時期に呈示する場合に、重畳する振動の振幅の割合を、所定の条件に応じて異ならせてもよい。例えば、レバー260Aの傾いた角度に応じて、重畳する割合を変化させてもよい。
【0207】
本実施形態では呈示部40dが、状態情報取得部40cが取得した状態情報に基づいた振動を、疑似力覚を生じさせる振動に重畳する例について説明した。しかしながら、本実施形態では、状態情報に基づいた振動を、疑似力覚を生じさせる振動に重畳する例に制限するものではなく、呈示部40dが、状態情報取得部40cが取得した状態情報に基づいた振動のみを提示してもよい。このように、本実施形態に係る呈示部40dは、呈示する振動を、疑似力覚を生じさせる振動と、状態情報に基づいた振動と、疑似力覚を生じさせる振動と状態情報に基づいた振動との組み合わせと、から、必要に応じて切り替えてもよい。なお、振動の呈示は、遠隔操作を行う場合に制限するものではなく、ショベル100のキャビン10内で操作を行う場合に操作装置26に対して行ってもよい。
【0208】
これにより、状態情報取得部40cが取得した状態情報に基づいた振動と、疑似力覚を生じさせる振動と、が操作者に対して同時期に呈示されるので、操作者に対して複数の情報(例えば、入力した操作に対応する動作でショベル100に生じている負荷、及びショベル100が所定の閾値以上傾いていること)を認識させることができる。これにより操作者は複数の情報を認識できるので、当該認識に対応する操作を行うことができる。これにより安全性向上させることができる。
【0209】
上述のような構成により、施工支援システムSYSは、遠隔操作室RCにいる操作者OPが、遠隔地にあるショベル100を遠隔操作できる。その際に、施工支援システムSYSは、ショベル100に取り付けられた撮像装置C1が撮像した画像に基づいて生成される周囲画像を操作者OPがリアルタイムに視認できるようにする。具体的には、施工支援システムSYSは、表示装置D1としてのマルチディスプレイに、主に撮像装置C1が撮像した画像に基づいて生成された周囲画像の一部を表示させることができる。
【0210】
施工支援システムSYSは、ショベル100で行われている動作に対応する反力を示した、操作装置26Aに疑似力覚振動を生じさせる。これにより、操作者は、ショベル100で行われている動作に対応する負荷を認識できる。
【0211】
本実施形態では、操作装置26Aによって入力された方向に対応する操作信号は、無線通信網を介してショベル100に送信されるので、遠隔操作室RCからショベル100の遠隔操作を実現できる。遠隔操作の際に入力された方向に対応する方向の疑似力覚を呈示することで、遠隔操作時において操作者に現在の状況を認識させることが容易になる。これにより安全性を向上させることができる。
【0212】
本実施形態においては、操作装置26に疑似力覚振動を生じさせることで、ショベル100で生じている負荷を認識できると共に、振動によって動作させるショベル100の様々な情報を提供できる。例えば、提供できる情報としては、ショベル100又は周囲環境に対して影響を与える操作になる可能性がある場合、遠隔操作時では周囲の状況を視覚よって直感的に操縦者が知覚することは難しいことがある。このため、本実施形態では、操作者に注意喚起するための振動の付与を可能としている。これにより、安全性の向上を実現できる。
【0213】
<作用>
上述した実施形態及び変形例においては、ショベル100を操作している操作者に対して、入力された方向に対応する方向に力又は疑似力覚を呈示できる。つまり、操作者に対して、入力された方向に対応するように、方向を呈示できるので、ショベル100の状況をより詳細に操作者に伝達できる。これにより、操作者は、ショベル100の現在の状況に応じた操作が可能となるので、安全性を向上させることができる。
【0214】
上述した実施形態においては、建設機械としてショベルに適用した例について説明したが、建設機械をショベルに制限するものではなく、操作者が操作可能な建設機械であればよい。
【0215】
以上、建設機械の一例としてショベルを用いた場合の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、および組み合わせが可能である。それらについても当然に本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0216】
100 ショベル
1 下部走行体
1L 左側走行用油圧モータ
1R 右側走行用油圧モータ
2 旋回機構
2A 旋回用油圧モータ
3 上部旋回体
4 ブーム
5 アーム
6 バケット
7 ブームシリンダ
8 アームシリンダ
9 バケットシリンダ
10 キャビン
11 エンジン
25 パイロットライン
26、26A 操作装置
260A、260B、260C レバー
261A、261B、261C グリップ
262A 軸受
263A 支持部材
264C 着脱部材
27Aa、27Ba、27Ca 第1の振動機構
27Ab、27Bb、27Cb 第2の振動機構
28 信号線
29、29A 操作内容検出装置
29a、29b ギアセンサ
30、300 コントローラ
30a 取得部
30b 信号出力部
30c 設定部
30d 判定部
30e 呈示部
300a 画像生成部
300b ショベル状態特定部
300c アクチュエータ駆動部
300d 圧力情報生成部
300e 状態情報生成部
40 遠隔コントローラ
40a 画像処理部
40b 圧力情報取得部
40c 状態情報取得部
40d 呈示部
40e 操作信号出力部
121a、121b 外側ピニオンギア
122a、122b 内側ピニオンギア
123 支持部
126a 可動部
126b 凸状球面
126c グリップ
126d 押下部材
127a、127b、127c、127d アクチュエータ