(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077341
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両の収納構造
(51)【国際特許分類】
B62J 9/10 20200101AFI20240531BHJP
B62J 23/00 20060101ALI20240531BHJP
B62J 45/00 20200101ALI20240531BHJP
【FI】
B62J9/10
B62J23/00 A
B62J45/00
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189386
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津田 遥
(57)【要約】
【課題】収納量を増大し易い鞍乗り型車両の収納構造を提供することを目的とする
【解決手段】鞍乗り型車両の収納構造は、後方に開口する開口部(51)を有する収納部本体(50)と、開口部(51)を後方から開閉するリッド(40)と、を備え、リッド(40)に、携帯端末(P1、P2)を収納する端末収納部(45)を設けた鞍乗り型車両の収納構造において、端末収納部(45)は、リッド(40)が閉状態のときに、携帯端末(P1、P2)の下方に位置する底面部(45a)と、底面部(45a)の前部に位置する前壁部(45b)と、を有し、収納部本体(50)には、前壁部(45b)の前方に物品収納空間(S)を有する前方収納部(53)が設けられる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
後方に開口する開口部(51)を有する収納部本体(50)と、前記開口部(51)を後方から開閉するリッド(40)と、を備え、前記リッド(40)に、携帯端末(P1、P2)を収納する端末収納部(45)を設けた鞍乗り型車両の収納構造において、
前記端末収納部(45)は、前記リッド(40)が閉状態のときに、前記携帯端末(P1、P2)の下方に位置する底面部(45a)と、前記底面部(45a)の前部に位置する前壁部(45b)と、を有し、
前記収納部本体(50)には、前記前壁部(45b)の前方に物品収納空間(S)を有する前方収納部(53)が設けられる、
鞍乗り型車両の収納構造。
【請求項2】
前記リッド(40)が開状態の場合、前記リッド(40)の少なくとも上端(41a)が前記開口部(51)の後方に位置し、
前記前壁部(45b)の上縁(45b1)には、前記上縁(45b1)の一部が下方に向けて凹んだ凹部(45b2)が形成される、
請求項1に記載の鞍乗り型車両の収納構造。
【請求項3】
前記リッド(40)は、前記前壁部(45b)の後方に位置する後壁部(45c)と、前記後壁部(45c)から後方に延びる物品載置台(47)とを有する、
請求項1に記載の鞍乗り型車両の収納構造。
【請求項4】
前記底面部(45a)は、予め定めた第1サイズの携帯端末(P1)を載置可能な幅(LW1)を有する第1載置部(45a1)を備え、
前記底面部(45a)から上方かつ幅方向外側に延び、第2載置部として機能する段部(45a2)を備え、
前記段部(45a2)は前記第1サイズより大きい第2サイズの携帯端末(P2)を載置可能とする、
請求項1に記載の鞍乗り型車両の収納構造。
【請求項5】
前記段部(45a2)は、車幅方向内側に位置する内側段部(45a3)と車幅方向外側に位置する外側段部(45a4)とを備え、
前記内側段部(45a3)が前記外側段部(45a4)よりも下方に位置する、
請求項4に記載の鞍乗り型車両の収納構造。
【請求項6】
前記収納部本体(50)の車幅方向外側の側縁(55a)は、上方側が車幅方向内側に位置する方向に傾斜する、
請求項5に記載の鞍乗り型車両の収納構造。
【請求項7】
前記前方収納部(53)の下面(53a)は、前記端末収納部(45)の前記底面部(45a)よりも高い位置に形成され、かつウィンカバルブ(71)よりも上方に配置される、
請求項1に記載の鞍乗り型車両の収納構造。
【請求項8】
前記収納部本体(50)を覆う車体カバー(10)を備え、前記前方収納部(53)の内側側面(57)には、前記前方収納部(53)の内部に向けて膨出した膨出部(57a)が形成される、
請求項1に記載の鞍乗り型車両の収納構造。
【請求項9】
前記リッド(40)が開状態の場合、前記リッド(40)の少なくとも上端(41a)が前記開口部(51)の後方に位置し、
前記前壁部(45b)の上縁(45b1)には、前記上縁(45b1)の一部が下方に向けて凹んだ凹部(45b2)が形成され、
前記凹部(45b2)は、車両後面視で前記前方収納部(53)と前後方向に重なる位置に形成される、
請求項8に記載の鞍乗り型車両の収納構造。
【請求項10】
前記収納部本体(50)の上部には、充電用の充電口(59)が配置される、
請求項1に記載の鞍乗り型車両の収納構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗り型車両の収納構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リッドの閉状態において、携帯情報端末の液晶面を水平方向に載置できるブラケット部を備える車両の収納ボックス構造が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の車両の収納ボックス構造では、携帯情報端末をブラケット部に対して載置することにより、携帯情報端末以外の物品と、携帯情報端末またはブラケット部と、を収容するスペースを備えている。さらに物品を収容するスペースの確保や区分けには、改良の余地があった。
本発明は上述した事情を鑑みてなされたものであり、収納量を増大し易い鞍乗り型車両の収納構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
鞍乗り型車両の収納構造は、後方に開口する開口部を有する収納部本体と、前記開口部を後方から開閉するリッドと、を備え、前記リッドに、携帯端末を収納する端末収納部を設けた鞍乗り型車両の収納構造において、前記端末収納部は、前記リッドが閉状態のときに、前記携帯端末の下方に位置する底面部と、前記底面部の前部に位置する前壁部と、を有し、前記収納部本体には、前記前壁部の前方に物品収納空間を有する前方収納部が設けられる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、収納量を増大し易い鞍乗り型車両の収納構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態に係る鞍乗り型車両のフロントカバーの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LHは車体左方を示す。
【0009】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両1の斜視図であり、車体の前部を車体左前方側から見た鞍乗り型車両1を示す。鞍乗り型車両1は、いわゆるスクーター型の車両であり、乗員は足元のフロアに足を載せた状態でシートに着座する。
図1に示すように、鞍乗り型車両1の前部には、ヘッドパイプ62(
図7参照)を周囲から覆うフロントカバー(車体カバー)10が設けられる。フロントカバー10は、前方に面する樹脂製の前面カバー11と、後方に面する樹脂製の後面カバー13とを有する。後面カバー13の下端には、下方に延びるレッグシールド14が取り付けられる。レッグシールド14は樹脂製であり、乗員の脚を前方から覆って保護する。
【0010】
前面カバー11の前部には、左右一対のウィンカランプカバー12が前方に向けて配置されている。ウィンカランプカバー12は、透光性の樹脂等によって形成され、後述のウィンカバルブ71から出射される光を透過させる。また、
図1に示すように、前面カバー11の車体前方側には、前輪を上方から覆うフロントフェンダー15が配置されている。
【0011】
図2は、後面カバー13の斜視図であり、後方から視た後面カバー13の左側の一部を示す。また、
図2においては前面カバー11の描画を省略している。
【0012】
図2に示すように、フロントカバー10の内部には、様々な物品を収納可能な収納部30が設けられている。収納部30は、後方に開口する開口部51を有する収納部本体50と、収納部30の蓋であるリッド40と、を有する。
【0013】
収納部本体50は、フロントカバー10の内部に設けられた容器であり、その略全体をフロントカバー10に覆われている。収納部本体50は、後面カバー13に対して前方からねじで締結される。これにより、収納部本体50は、開口部51の略全体が、後面カバー13を前後に貫通する略台形状の開口である収納用開口13aと前後に重なる位置に固定される。
【0014】
図3は、収納部30の分解斜視図である。
図3に示すように、リッド40は、板状のリッド本体41と、ゴム製のパッキン42と、リッド側収納部材43と、によって構成されている。リッド本体41は、リッド40において最も後方側に位置する部材である。リッド40の閉状態において、リッド本体41は、収納用開口13aおよび開口部51を後方側から閉塞する。パッキン42は、リッド本体41の車幅方向両側および上側の縁に沿って配置されるゴム製の部材であり、リッド40の閉状態においてリッド本体41とリッド側収納部材43との間の隙間を埋める。リッド側収納部材43は、上方に開口する容器状の部材である。リッド側収納部材43の後端にはリッド本体41に前方から固定される平板状の固定部43aが形成される。
【0015】
図4は、収納部30の断面視図であり、リッド40が開状態のときにリッド40の回動軸に垂直な断面で切断した収納部30を示す。
図5は、収納部30の断面視図であり、リッド40が閉状態のときにリッド40の回動軸に垂直な断面で切断した収納部30を示す。
図4及び
図5に示すように、リッド側収納部材43の下端43bが、収納部本体50の下部に対して、概ね車幅方向を軸として回動可能に取り付けられることにより、リッド40は収納部本体50と連結される。閉状態のリッド40は、リッド本体41の上端41aが後方に移動する方向に回動することによって開口部51を開く。このため、リッド40が開状態のとき、リッド40の上端であるリッド本体41の上端41aは開口部51の後方に位置し、リッド40の上方を介して収納部本体50の内側にアクセス可能となる。また、開状態のリッド40は、リッド本体41の上端41aが前方に向けて移動する方向に回動することによって開口部51を閉じる。
【0016】
図4および
図5に示すように、リッド側収納部材43には、携帯端末P2を収納する端末収納部45と、端末収納部45の後端から固定部43aまで後方に延びる物品載置台47と、を有する。なお、
図2、
図4、および
図5においては、端末収納部45に第2サイズの携帯端末P2が収納される例を示しているが、端末収納部45には、後述する第1サイズの携帯端末P1が収納される場合がある。後述するように、第2サイズの携帯端末P2は、第1サイズの携帯端末P1よりもサイズが大きい。また、携帯端末P1、P2は共に、主にスマートフォンなどの略矩形の板状の端末である。
【0017】
物品載置台47は、リッド40が閉状態のときに略水平となる板状の部分である。物品載置台47には、任意の物品を載置可能である。以後、物品載置台47に載置される物品を物品G1と呼称する。なお、物品G1の品目に特に限りは無い。また、物品G1は一つの物品とは限らず、複数種類の品目の物品が混在していてもよい。
【0018】
端末収納部45はリッド側収納部材43の前部に位置し、下方に向けて凹む形状に形成されている。
図5に示すように、リッド側収納部材43は、それぞれリッド40が閉状態のときに、収納する携帯端末P1、P2の下方に位置する底面部45aと、携帯端末P1、P2の前部に位置する前壁部45bと、を有する。また、底面部45aと物品載置台47とは、リッド40が閉状態のときに携帯端末P1、P2の後方に位置する後壁部45cを介してつながっている。後壁部45cは、底面部45aから後方斜め上方に向けて延びる板状部分であり、前壁部45bの上縁45b1よりも高さが低い。
図4に示すように、リッド40の開状態において、携帯端末P1、P2は、端末収納部45のうち前壁部45bの上縁45b1と後壁部45cの上端との間の開口から出し入れされる。このため、後壁部45cが前壁部45bよりも低いことにより、端末収納部45の開口が広くなり、携帯端末P1、P2の出し入れがし易くなる。さらに、後壁部45cが前壁部45bよりも低いことにより、
図5に示すリッド40が閉状態における物品載置台47の高さが低くなり、物品載置台47に載置できる物品G1等の収納量が大きくなる。
【0019】
図4から
図5に示すように、収納部本体50は、前壁部45bよりも前方に位置する前方収納部53を有する。前方収納部53は、収納部本体50の前端部に位置し、端末収納部45の底面部45aの下端である後述の第1載置部45a1よりも高い位置において、略水平の下面53aを有している。前方収納部53は、下面53aに載置された物品を、下面53aの上方の空間である物品収納空間Sの内側に保持する。以後、前方収納部53に載置される物品を物品G2と呼称する。なお、物品G2の品目に特に限りは無い。また、物品G2は一つの物品とは限らず、複数種類の品目の物品が混在していてもよい。
図5に示すように、前方収納部53に収納された物品G2は、後方に位置する前壁部45bにより、後方に向けての移動を制限される。また、
図4および
図5に示すように、リッド40が閉状態のときに、端末収納部45は、前壁部45bと後壁部45cとの間に携帯端末P1,P2の長手方向が高さ方向に延びる状態で保持できる。
【0020】
特に、本実施の形態では、
図5に示すリッド40が閉状態のときに、前壁部45bは下面53aの後端に沿った位置にあり、前壁部45bの上縁45b1は下面53aよりも上方に位置する。このため、下面53aに載置された物品G2は、前壁部45bによって後方に向けての移動が効果的に抑制される。
【0021】
図6は、
図5のVI-VI断面における断面視図であり、収納部30の断面を示す。
図6には、端末収納部45に収納された状態における第1サイズの携帯端末P1および第2サイズの携帯端末P2の外形をそれぞれ示している。なお、
図6には携帯端末P1、P2の外形が両方とも描画されているが、携帯端末P1、P2は端末収納部45によって同時に収納されることは無く、どちらか一方のみが保持される。
【0022】
図6に示すように、端末収納部45は、車幅方向外側の側面45dと、車幅方向内側の側面45eと、を有する。また、
図4から
図6に示すように、底面部45aは、底面部45aの下端に位置する第1載置部45a1を有する。また、端末収納部45は、底面部45aから上方かつ幅方向外側(左右方向外側)に延びる段部45a2を有する。
【0023】
第1載置部45a1は、車幅方向を長手方向として形成された略水平な矩形状の面であり、予め定めた第1サイズの携帯端末P1を載置可能な幅LW1を有する。第1載置部45a1の車幅方向の幅LW1(
図6参照)、および、車両前後方向の幅LT1(
図5参照)は、それぞれ、第1サイズの携帯端末P1のうち、短手方向に沿った側面部P11を載置可能な大きさに設定される。具体的には、本実施の形態において、第1サイズの携帯端末P1は、対角6.7インチの画面サイズを有し、長手方向の幅が160.8mm、短手方向の幅が78.1mm、厚みが7.65mmである。すなわち、本実施の形態の第1載置部45a1において、幅LW1は78.1mmよりも大きく、幅LT1は7.65mmより1も大きく設定される。第1載置部45a1に載置された携帯端末P1は、長手方向が上下方向に沿う姿勢で端末収納部45に保持される。このため、端末収納部45に保持された携帯端末P1は、水平方向において大きなスペースを占有せず、収納部30内にコンパクトに収納される。また、長手方向が上下方向に沿う姿勢で端末収納部45に保持される携帯端末P1は、前方収納部53と物品載置台47との間を仕切るため、物品G1、G2の移動をそれぞれ抑制できる。第1載置部45a1には、短手方向の幅が78.1mm未満(例えば対角6.7インチ未満)の携帯端末も載置可能である。
【0024】
また、
図6に示すように、第1載置部45a1に載置された携帯端末P1のうち、車幅方向外側の上部の角P12は、収納部本体50のうち車幅方向外側の側面55の上部である側縁55aに沿う位置にある。側縁55aは、側面55のうち、リッド40側の端末収納部45の前壁部45bの上縁45b1の高さから上方に延びるにつれて車幅方向内側に傾斜した部分である。側縁55aは、上方側における車幅方向の寸法が小さいフロントカバー10の形状に沿って形成されている。このため、端末収納部45に収納された携帯端末P1は、第1載置部45a1、前壁部45b、後壁部45c、側面45d、45e、および、収納部本体50うち車幅方向外側の側面55の側縁55aにより、その移動が制限される。
【0025】
段部45a2は、第1載置部45a1よりも高い位置において、第1載置部45a1を前後方向および車幅方向両側から取り囲む略矩形状の面である。すなわち、段部45a2は、第1載置部45a1の上方において、幅方向外側(左右方向外側)において幅方向(車幅方向)に延び、第1載置部45a1の前後方向外側において前後方向に延びる。段部45a2は、第1載置部45a1よりも車幅方向内側に形成された内側段部45a3と、第1載置部45a1よりも車幅方向外側に形成された外側段部45a4と、第1載置部45a1よりも前後方向外側に形成された前後段部45a5と、を備える。また、段部45a2は、車幅方向内側が下方に位置する方向に傾斜した形状に形成される。すなわち、段部45a2は、車幅方向内側に位置する内側段部45a3が、車幅方向外側に位置する外側段部45a4よりも下方に位置する形状に形成される。段部45a2の車両前後方向の幅LT2(
図5参照)、および、傾斜した方向に沿った幅LW2(
図6参照)はそれぞれ、第2サイズの携帯端末P2のうち、短手方向に沿った側面部P21を載置可能な大きさに設定される。すなわち、段部45a2は、第1サイズよりも大きい第2サイズの携帯端末P2を載置可能とされる。具体的には、第2サイズの携帯端末P2は、対角7.2インチの画面サイズを有し、長手方向の幅が174.6mm、短手方向の幅が85.4mm、厚みが8.15mmである。また、段部45a2は、表面の略全体を厚み5mmのカバーに覆われた状態の第2サイズの携帯端末P2を載置可能である。すなわち、本実施の形態の段部45a2において、幅LW2は95.4mmよりも大きく幅LT2は18.15mmよりも大きく設定される。
【0026】
携帯端末P2は、側面部P21が段部45a2に載置されることによって保持されるため、端末収納部45に収納された携帯端末P2は、上方側が車幅方向内側に位置する方向を長手方向とする姿勢で保持される。このため、端末収納部45に保持された携帯端末P2は、水平方向において大きなスペースを占有せず、収納部30内にコンパクトに収納される。また、上下方向に沿う姿勢で端末収納部45に保持される携帯端末P2は、前方収納部53と物品載置台47との間を仕切るため、物品G1、G2の移動をそれぞれ抑制できる。
【0027】
また、
図6に示すように、端末収納部45の車幅方向内側の側面45eは、上方側が車幅方向内側に位置する方向に傾斜しており、段部45a2に対して略垂直に交わる。このため、段部45a2に載置された第2サイズの携帯端末P2は、側面45eに接した状態で保持される。
【0028】
また、段部45a2に載置された携帯端末P2のうち、車幅方向外側の上部の角P22は、第1載置部45a1に載置された携帯端末P1の角P12よりも車幅方向内側に位置する。このため、第1サイズの携帯端末P1よりも長手方向のサイズが大きい第2サイズの携帯端末P2の角P22は、傾斜した収納部本体50の側縁55aと干渉せず、収納部本体50の内側において側縁55aに沿って配置される。また、携帯端末P2の上方側の面は、収納部本体50の上面56に沿って配置される。そのため、段部45a2上のスペースには、短手方向の幅が78.1mmよりも大きい携帯端末(例えば対角6.7インチを超え、対角7.2インチ程度までの携帯端末)を載置可能である。
【0029】
図6に示すように、前壁部45bの上縁45b1には、上縁45b1の一部が下方に向けて凹んだ凹部45b2が形成されている。後述するように、凹部45b2は、前方収納部53と前後方向において重なる位置に形成されている(
図7、
図8参照)。
【0030】
図7は、フロントカバー10の断面視図であり、フロントカバー10を水平な断面で切断した場合の切断面を示す。
図7に示すように、フロントカバー10の内側の中央、すなわち、収納部本体50よりも車幅方向内側には、バッテリーボックス61、ヘッドパイプ62等の比較的大型の部品が配置されている。バッテリーボックス61は、鞍乗り型車両1の各部で使用するための電力を蓄電するバッテリーが格納される。また、フロントカバー10の内側には、スロットルワイヤーケーブル63、リアブレーキワイヤケーブル64、フロントブレーキホース65、シートオープナーケーブル66、電源ハーネス67、ウィンカハーネス68等の各種ハーネスやケーブルが収納されている。また、フロントカバー10の内側には、前面カバー11に沿う位置に、フロントウィンカ70が配置されている。フロントウィンカ70は、後述するウィンカバルブ71を発光させる装置であり、平面視において前方収納部53の近傍に位置している。
【0031】
図8は、前方収納部53を車両後方から視た斜視図であり、
図6と同様の断面における断面視図である。
図7および
図8に示すように、収納部本体50のうち、前方収納部53の車幅方向内側の内側側面57には、前方収納部53の内部に向けて膨出した形状である膨出部57aが形成される。これにより、前方収納部53および物品収納空間Sの車幅方向の寸法は、端末収納部45の車幅方向の寸法よりも小さくなり、その分だけフロントカバー10内における収納部30の外側の空間が広くなっている。特に、
図7に示すように、バッテリーボックス61、フロントブレーキホース65、および、シートオープナーケーブル66は、膨出部57aが形成されることによって確保された空間に配置されている。
【0032】
また、
図7及び
図8に示すように、凹部45b2が車幅方向において占める位置R1は、前方収納部53が車幅方向において占める位置R2と重なる。すなわち、凹部45b2は、車両後面視で前方収納部53と前後方向に重なる位置に形成されている。また、上述したように、凹部45b2が形成される前壁部45bの上縁45b1は、前方収納部53の下面53aよりも上方に位置している。このため、凹部45b2が形成されて上縁45b1が下方に凹んだ分だけ、リッド40が開状態において前方収納部53が後方に露出する面積が大きくなる。
【0033】
図9は、収納部本体50の斜視図であり、右前方から見た収納部本体50を示す。
図9に示すように、フロントウィンカ70には、光源となるウィンカバルブ71が取り付けられる。また、
図9に示すように、フロントウィンカ70に取り付けられた状態のウィンカバルブ71は、前方収納部53の下面53aよりも下方に位置する。換言すれば、前方収納部53の下面53aは、フロントウィンカ70に取り付けられたウィンカバルブ71の上方に位置している。このため、フロントウィンカ70に取り付けられた状態のウィンカバルブ71、および、フロントウィンカ70から脱着される際のウィンカバルブ71と収納部本体50とが干渉しにくくなる。
【0034】
図10は、
図5のX-X断面における断面視図である。
図10に示すように、収納部本体50の上部には、携帯端末P1、P2の充電用の充電口59が取り付けられている。本実施の形態において、充電口59は、USB(Universal Serial Bus)ポートであり、収納部本体50の内側に露出している。携帯端末P1、P2は、ケーブルCによって充電口59と接続されることにより、バッテリーからの電力の供給を受ける。また、携帯端末P1、P2は、ケーブルCによって充電口59と接続されることにより、鞍乗り型車両1との間で通信接続されてもよい。
【0035】
以上説明したように、本発明を適用した本実施の形態によれば、後方に開口する開口部51を有する収納部本体50と、開口部51を後方から開閉するリッド40と、を備え、リッド40に、携帯端末P1、P2を収納する端末収納部45を設けた鞍乗り型車両1の収納構造において、端末収納部45は、リッド40が閉状態のときに、携帯端末P1、P2の下方に位置する底面部45aと、底面部45aの前部に位置する前壁部45bと、を有し、収納部本体50には、前壁部45bの前方に物品収納空間Sを有する前方収納部53が設けられる。
この構成によれば、携帯端末P1、P2に加え、前方収納部53において物品G2を収納できる。したがって、収納量を増大し易い。また、前壁部45bにより、携帯端末P1、P2の前方への移動、及び前方収納部53内の物品G2の後方への移動を規制できる。したがって、収納量の増大に加え、収納された物品G2の移動抑制を実現し易くなる。特に、本実施の形態では、リッド40の閉状態において、前壁部45bの上縁45b1は、前方収納部53の下面53aよりも上方に位置する。従って、前方収納部53に収納される物品G2は、後方への移動をより効果的に抑制される。
【0036】
本実施の形態では、鞍乗り型車両1の収納構造において、リッド40が開状態の場合、リッド40の少なくとも上端41aが開口部51の後方に位置し、前壁部45bの上縁45b1には、上縁45b1の一部が下方に向けて凹んだ凹部45b2が形成される。
この構成によれば、下方に向けて凹んだ凹部45b2により、リッド40が開状態においてリッド40の上方を介して前方収納部53に物品G2を出し入れし易くなる。特に、本実施の形態では、リッド40の開状態において、前壁部45bの上縁45b1は、前方収納部53の下面53aよりも上方に位置する。従って、前方収納部53に収納される物品G2は、後方への移動を効果的に抑制しつつ、前方収納部53に対して、物品G2を出し入れし易くなる。
【0037】
本実施の形態では、リッド40は、前壁部45bの後方に位置する後壁部45cと、後壁部45cから後方に延びる物品載置台47とを有する。
この構成によれば、物品載置台47に対して物品G1を載置して収納できる。特に、本実施の形態では、後壁部45cの高さが前壁部45bの上縁45b1の高さよりも低いため、端末収納部45の開口が大きくなり、携帯端末P1、P2の出し入れがし易い。更に、本実施の形態では、後壁部45cの高さが前壁部45bの上縁45b1の高さよりも低いため、物品載置台47の高さが低くなり、物品載置台47に載置される物品G1の収納量が大きくなる。
【0038】
本実施の形態では、底面部45aは、予め定めた第1サイズの携帯端末P1を載置可能な幅LW1を有する第1載置部45a1を備え、底面部45aから上方かつ幅方向外側に延び、第2載置部として機能する段部45a2を備え、段部45a2は第1サイズより大きい第2サイズの携帯端末P2を載置可能とする。
この構成によれば、異なるサイズの携帯端末P1、P2を第1載置部45a1または段部45a2に載置して収容できる。特に、本実施の形態では、段部45a2は、第1載置部45a1の長手方向である車幅だけではなく、第1載置部45a1の短手方向である前後方向においても、第1載置部45a1の外側に延びている。このため、段部45a2は、厚みの大きい携帯端末P2について、車幅方向の略全域に渡って支えることができ、携帯端末P2を安定して保持できる。
【0039】
本実施の形態では、段部45a2は、車幅方向内側に位置する内側段部45a3と車幅方向外側に位置する外側段部45a4とを備え、内側段部45a3が外側段部45a4よりも下方に位置する。
この構成によれば、第2サイズの携帯端末P2は、上方が車幅方向内側に向けて傾斜する姿勢で保持され易くなる。従って、車幅方向外側にスペースが少ない場合であっても、第2サイズの携帯端末P2を収納し易くなる。
【0040】
本実施の形態では、収納部本体50の車幅方向外側の側縁55aは、上方側が車幅方向内側に位置する方向に傾斜する。
この構成によれば、収納部本体50の車幅方向外側のスペースが狭い場合であっても携帯端末P2を、傾けた状態で保持できる。また、本実施の形態のように収納部本体50がフロントカバー10の内側に配置される場合は、フロントカバー10の上部を車幅方向外側に膨出させずに収納部本体50を配置し易くなる。
【0041】
本実施の形態では、前方収納部53の下面53aは、端末収納部45の底面部45aの第1載置部45a1よりも高い位置に形成され、かつウィンカバルブ71よりも上方に配置される。
この構成によれば、前方収納部53がウィンカバルブ71よりも高く位置するため、ウィンカバルブ71のメンテナンス時のクリアランスが確保できる。
【0042】
本実施の形態では、収納部本体50を覆うフロントカバー10を備え、前方収納部53の内側側面57には、前方収納部53の内部に向けて膨出した膨出部が形成される。
この構成によれば、前方収納部53の内側側面57が内部に膨出しているためフロントカバー(ボディカバー)10内の部品配置スペースを確保できる。特に本実施の形態では、車幅方向内側の内側側面57に膨出部57aが形成されるため、バッテリーボックス61等の比較的大型の部品が配置され易い車両中央のスペースを確保し易い。
【0043】
本実施の形態では、リッド40が開状態の場合、リッド40の少なくとも上端41aが開口部51の後方に位置し、前壁部45bの上縁45b1には、上縁45b1の一部が下方に向けて凹んだ凹部45b2が形成され、凹部45b2は、車両後面視で前方収納部53と前後方向に重なる位置に形成される。
この構成によれば、凹部45b2によって物品収納空間Sにアクセスし易くなり、前方収納部53の物品収納空間Sに対して物品G2を出し入れし易くなる。
【0044】
本実施の形態では、収納部本体50の上部には、充電用の充電口59が配置される。
この構成によれば、充電口59が上部に位置するため収容された携帯端末P1、P2に対して充電し易く、リッド40よりも内部側のため充電口59が水に濡れにくい。特に、本実施の形態では、充電口59は後方側に向けて収納部本体50の内側に露出しているため、リッド40が開状態のときに充電口59と携帯端末P1、P2とをつなげやすい。
【0045】
[他の実施の形態]
上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
【0046】
上記実施の形態において、収納部30は車両左側に設けられていたが、これは一例である。収納部30は、車両中央に設けられていてもよく、車両右側に設けられていてもよい。
【0047】
上記実施の形態において挙げた携帯端末P1、P2の第1サイズおよび第2サイズは一例であり、対象とする携帯端末の機種や規格、携帯端末の装飾などによって任意に設定してもよい。
【0048】
上記実施の形態において、充電口59はUSBポートであったが、これは一例である。充電口59は、USBポート以外のコネクタでも良く、端子を有するケーブルであってもよい。また、充電口59は、端末収納部45に収納された携帯端末P1、P2に非接触充電、または無線通信するための装置であってもよい。
【0049】
上記実施の形態において、リッド側収納部材43の下端43bが、収納部本体50の下部に対して取り付けられることにより、リッド40が収納部本体50と連結されると説明したが、これは一例である。リッド40は、収納部本体50ではなく、例えば後面カバー13に回動可能に取り付けられる構成としてもよい。また、リッド40は、回動することによって開くものに限られず、例えば、後方に向けて引き出されることによって開く構成としてもよい。
【0050】
[上記実施の形態によりサポートされる構成]
上記実施の形態は、以下の構成をサポートする。
【0051】
(構成1)後方に開口する開口部を有する収納部本体と、前記開口部を後方から開閉するリッドと、を備え、前記リッドに、携帯端末を収納する端末収納部を設けた鞍乗り型車両の収納構造において、前記端末収納部は、前記リッドが閉状態のときに、前記携帯端末の下方に位置する底面部と、前記底面部の前部に位置する前壁部と、を有し、前記収納部本体には、前記前壁部の前方に物品収納空間を有する前方収納部が設けられる、鞍乗り型車両の収納構造。
この構成によれば、携帯端末に加え、前方収納部において物品を収納できる。したがって、収納量を増大し易い。また、前壁部により、携帯端末の前方への移動、及び前方収納部内の物品の後方への移動を規制できる。したがって、収納量の増大に加え、収納された物品の移動抑制を実現し易くなる。
【0052】
(構成2)前記リッドが開状態の場合、前記リッドの少なくとも上端が前記開口部の後方に位置し、前記前壁部の上縁には、前記上縁の一部が下方に向けて凹んだ凹部が形成される、構成1に記載の鞍乗り型車両の収納構造。
この構成によれば、下方に向けて凹んだ凹部により、リッドが開状態においてリッドの上方を介して前方収納部に物品を出し入れし易くなる。
【0053】
(構成3)前記リッドは、前記前壁部の後方に位置する後壁部と、前記後壁部から後方に延びる物品載置台とを有する、構成1または2に記載の鞍乗り型車両の収納構造。
この構成によれば、物品載置台に対して物品を載置して収納できる。
【0054】
(構成4)前記底面部は、予め定めた第1サイズの携帯端末を載置可能な幅を有する第1載置部を備え、前記底面部から上方かつ幅方向外側に延び、第2載置部として機能する段部を備え、前記段部は前記第1サイズより大きい第2サイズの携帯端末を載置可能とする、構成1から3のいずれかに記載の鞍乗り型車両の収納構造。
この構成によれば、異なるサイズの携帯端末を第1載置部または段部に載置して収容できる。
【0055】
(構成5) 前記段部は、車幅方向内側に位置する内側段部と車幅方向外側に位置する外側段部とを備え、前記内側段部が前記外側段部よりも下方に位置する、構成4に記載の鞍乗り型車両の収納構造。
この構成によれば、第2サイズの携帯端末は、上方が車幅方向内側に向けて傾斜する姿勢で保持され易くなる。従って、車幅方向外側にスペースが少ない場合であっても、第2サイズの携帯端末を収納し易くなる。
【0056】
(構成6)前記収納部本体の車幅方向外側の側縁は、上方側が車幅方向内側に位置する方向に傾斜する、構成5に記載の鞍乗り型車両の収納構造。
この構成によれば、収納部本体の車幅方向外側のスペースが狭い場合であっても携帯端末を、傾けた状態で保持できる。
【0057】
(構成7)前記前方収納部の下面は、前記端末収納部の前記底面部よりも高い位置に形成され、かつウィンカバルブよりも上方に配置される、構成1から6のいずれかに記載の鞍乗り型車両の収納構造。
この構成によれば、前方収納部がウィンカバルブよりも高く位置するため、ウィンカバルブのメンテナンス時のクリアランスが確保できる。
【0058】
(構成8)前記収納部本体を覆う車体カバーを備え、前記前方収納部の内側側面には、前記前方収納部の内部に向けて膨出した膨出部が形成される、構成1から7のいずれかに記載の鞍乗り型車両の収納構造。
この構成によれば、前方収納部の内側側面が内部に膨出しているため車体カバー(ボディカバー)内の部品配置スペースを確保できる。
【0059】
(構成9)前記リッドが開状態の場合、前記リッドの少なくとも上端が前記開口部の後方に位置し、前記前壁部の上縁には、前記上縁の一部が下方に向けて凹んだ凹部が形成され、前記凹部は、車両後面視で前記前方収納部と前後方向に重なる位置に形成される、構成1または8に記載の鞍乗り型車両の収納構造。
この構成によれば、凹部によって物品収納空間にアクセスし易くなり、前方収納部の物品収納空間に対して物品を出し入れし易くなる。
【0060】
(構成10)前記収納部本体の上部には、充電用の充電口が配置される、構成1から9のいずれかに記載の鞍乗り型車両の収納構造。
この構成によれば、充電口が上部に位置するため収容された携帯端末に対して充電し易く、リッドよりも内部側のため充電口が水に濡れにくい。
【符号の説明】
【0061】
1 鞍乗り型車両
10 フロントカバー(車体カバー)
30 収納部
40 リッド
45 端末収納部
45a 底面部
45a1 第1載置部
45a2 段部(第2載置部)
45a3 内側段部
45a4 外側段部
45b 前壁部
45b1 上縁
45b2 凹部
45c 後壁部
47 物品載置台
50 収納部本体
51 開口部
53 前方収納部
53a 下面
55a 側縁
57 内側側面
57a 膨出部
59 充電口
71 ウィンカバルブ
P1 携帯端末
P11 側面部
P2 携帯端末
P21 側面部
S 物品収納空間