(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077347
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】薄膜トランジスタ基板
(51)【国際特許分類】
H01L 29/786 20060101AFI20240531BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20240531BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20240531BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240531BHJP
H10K 50/00 20230101ALI20240531BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240531BHJP
H10K 59/12 20230101ALI20240531BHJP
【FI】
H01L29/78 618B
H01L29/78 617N
H01L29/78 613Z
H01L27/088 331E
H01L27/088 E
H01L27/06 102A
G09F9/30 338
G09F9/30 365
H10K50/00
H10K59/10
H10K59/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189394
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】521515757
【氏名又は名称】厦門天馬顕示科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】竹知 和重
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
5F048
5F110
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
【課題】薄膜トランジスタ回路に酸化物半導体TFTを効果的に組み込む。
【解決手段】第1酸化物半導体膜は、第1低抵抗領域、第2低抵抗領域、及びゲート電極と重なる第1薄膜トランジスタのチャネル領域を含む。第1低抵抗領域及び第2低抵抗領域は、それぞれ、第1薄膜トランジスタのソース/ドレイン領域を含む。第2酸化物半導体膜は、第3低抵抗領域、第4低抵抗領域、及び第2薄膜トランジスタのチャネル領域を含む。第3低抵抗領域及び第4低抵抗領域は、それぞれ、第2薄膜トランジスタのソース/ドレイン領域を含む。第1低抵抗領域の第1薄膜トランジスタのソース/ドレイン領域から延びる領域の一部は、第2薄膜トランジスタのチャネル領域と重なるボトムゲート電極を構成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜トランジスタ基板であって、
第1酸化物半導体膜と、
前記第1酸化物半導体膜と、前記第1酸化物半導体膜より上に位置する、第2酸化物半導体膜と、
第2酸化物半導体膜より下で、前記第1酸化物半導体膜を覆う第1絶縁膜と、
第1薄膜トランジスタのゲート電極と、
を含み、
前記の第1酸化物半導体膜は、第1低抵抗領域、第2低抵抗領域、及び、前記第1低抵抗領域と前記第2低抵抗領域の間の、前記ゲート電極と重なる第1薄膜トランジスタのチャネル領域、を含み、
前記第1低抵抗領域及び前記第2低抵抗領域は、それぞれ、前記第1薄膜トランジスタのソース/ドレイン領域を含み、
前記第2酸化物半導体膜は、第3低抵抗領域、第4低抵抗領域、及び、前記第3低抵抗領域と前記第4低抵抗領域の間の、第2薄膜トランジスタのチャネル領域、を含み、
前記第3低抵抗領域及び前記第4低抵抗領域は、それぞれ、前記第2薄膜トランジスタのソース/ドレイン領域を含み、
前記第1低抵抗領域の前記第1薄膜トランジスタのソース/ドレイン領域から延びる領域の一部は、前記第2薄膜トランジスタのチャネル領域と重なるボトムゲート電極を構成する、
薄膜トランジスタ基板。
【請求項2】
請求項1に記載の薄膜トランジスタ基板であって、
前記第1絶縁膜より上に位置する第2絶縁膜をさらに含み、
前記第1薄膜トランジスタの前記ゲート電極は、トップゲート電極であり、
前記第2絶縁膜は、前記トップゲート電極を覆い、
前記第1絶縁膜の一部は、前記トップゲート電極と前記第1薄膜トランジスタのチャネル領域の間の存在し、前記第1絶縁膜の他の一部は前記ボトムゲート電極と前記第2薄膜トランジスタのチャネル領域との間に存在し、
前記第2絶縁膜の一部は、前記ボトムゲート電極と前記第2薄膜トランジスタのチャネル領域との間に存在する、薄膜トランジスタ基板。
【請求項3】
請求項2に記載の薄膜トランジスタ基板であって、
前記第1低抵抗領域の前記第1薄膜トランジスタのソース/ドレイン領域から延びる前記領域の他の一部は、前記第1絶縁膜及び前記第2絶縁膜を含む多重絶縁膜を挟んで、前記第3低抵抗領域の一部と重なり、第1容量素子を構成する、
薄膜トランジスタ基板。
【請求項4】
請求項3に記載の薄膜トランジスタ基板であって、
前記第2薄膜トランジスタのトップゲート電極を含む導体膜をさらに含み、
前記導体膜は、前記第3低抵抗領域と接続され、
前記第1低抵抗領域の一部と前記導体膜の一部とが絶縁膜を挟んで重なり、前記第1容量素子と並列な第2容量素子を構成する、
薄膜トランジスタ基板。
【請求項5】
請求項1に記載の薄膜トランジスタ基板であって、
前記第1薄膜トランジスタは、スイッチトランジスタであり、
前記第2薄膜トランジスタは、制御信号に応じてチャネル領域の電流量を調整するトランジスタである、
薄膜トランジスタ基板。
【請求項6】
請求項5に記載の薄膜トランジスタ基板であって、
前記第2薄膜トランジスタのチャネル領域の移動度は、前記第1薄膜トランジスタのチャネル領域の移動度より小さい、
薄膜トランジスタ基板。
【請求項7】
請求項1に記載の薄膜トランジスタ基板であって、
前記第1酸化物半導体膜と前記第2酸化物半導体膜とは、材料又は組成比が異なる、
薄膜トランジスタ基板。
【請求項8】
請求項1に記載の薄膜トランジスタ基板であって、
前記第2薄膜トランジスタのトップゲート電極をさらに含む、
薄膜トランジスタ基板。
【請求項9】
請求項1に記載の薄膜トランジスタ基板であって、
前記第1薄膜トランジスタのチャネル幅は、前記第2薄膜トランジスタのチャネル幅より大きい、
薄膜トランジスタ基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薄膜トランジスタ基板に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルやOLED(Organic Light-Emitting Diode)表示装置等の表示装置及びその他の装置において、IGZO(Indium-Galium-Zinc-Oxide)などの酸化物半導体薄膜トランジスタ(TFT)が利用されている。酸化物半導体TFTは、リーク電流が少ないため、装置の消費電力を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願第2021/0013245号
【特許文献2】米国特許出願第2011/0049507号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
酸化物半導体TFTは、一般に、低温ポリシリコンTFTと比較して移動度が低い。そのため、より高い移動度の酸化物半導体TFTの開発が進められている。しかし、高移動度の酸化物半導体TFTは、低移動度の酸化物TFTと比較して信頼性が低い、という報告例もある。したがって、薄膜トランジスタ回路に対する様々な要求に応じて、異なる特性の酸化物半導体膜を含む酸化物半導体TFTを、適切に同一基板上に構成することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様の薄膜トランジスタ基板は、第1酸化物半導体膜と、前記第1酸化物半導体膜と特性が異なり、前記第1酸化物半導体膜より上に位置する、第2酸化物半導体膜と、第2酸化物半導体膜より下で、前記第1酸化物半導体膜を覆う第1絶縁膜と、第1薄膜トランジスタのゲート電極とを含む。前記の第1酸化物半導体膜は、第1低抵抗領域、第2低抵抗領域、及び、前記第1低抵抗領域と前記第2低抵抗領域の間の、前記ゲート電極と重なる第1薄膜トランジスタのチャネル領域、を含む。前記第1低抵抗領域及び前記第2低抵抗領域は、それぞれ、前記第1薄膜トランジスタのソース/ドレイン領域を含む。前記第2酸化物半導体膜は、第3低抵抗領域、第4低抵抗領域、及び、前記第3低抵抗領域と前記第4低抵抗領域の間の、第2薄膜トランジスタのチャネル領域、を含む。前記第3低抵抗領域及び前記第4低抵抗領域は、それぞれ、前記第2薄膜トランジスタのソース/ドレイン領域を含む。前記第1低抵抗領域の前記第1薄膜トランジスタのソース/ドレイン領域から延びる領域の一部は、前記第2薄膜トランジスタのチャネル領域と重なるボトムゲート電極を構成する。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一態様によれば、薄膜トランジスタ回路に酸化物半導体TFTを効果的に組み込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本明細書の一実施形態に係る、OLED表示装置の構成例を示す。
【
図2】TFT基板の画素回路又は周辺回路に組み込むことができる、酸化物半導体TFTの断面構造例を模式的に示す。
【
図3A】低温ポリシリコン層と2層の絶縁膜の積層構造における界面の様子を模式的に示す。
【
図3B】酸化物半導体層と、2層の絶縁膜の積層構造における界面の様子を模式的に示す。
【
図4】OLED表示装置の画素回路の構成例を示す。
【
図5】
図3に示す画素回路に組み込むことができる、酸化物半導体TFTの断面構造例を模式的に示す。
【
図6A】
図5に示されるいくつかの構成要素を示す平面図である。
【
図6B】
図5に示されるいくつかの構成要素を示す平面図である。
【
図7】
図4に示す画素回路に組み込むことができる、酸化物半導体TFTの断面構造の他例を模式的に示す。
【
図8】
図7に示されるいくつかの構成要素を示す平面図である。
【
図9】酸化物半導体TFTの断面構造の他例を模式的に示す。
【
図10】酸化物半導体TFTの断面構造の他例を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。本実施形態は本発明を実現するための一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではないことに注意すべきである。各図において共通の構成については同一の参照符号が付されている。説明をわかりやすくするため、図示した物の寸法、形状については、誇張して記載している場合もある。
【0009】
[概観]
以下において、本開示の、酸化物半導体薄膜トランジスタを含むの薄膜トランジスタ基板(TFT基板)の構成について説明する。本明細書の一実施形態のTFT基板は様々な装置に適用することができ、例えば、センサ装置や表示装置に適用することができる。
【0010】
消費電力の低減、回路サイズの縮小、信頼性の改善等、様々な要求が存在する。このような様々な要求を満たすため、本開示の一態様は、異なる特性の酸化物半導体領域を含む酸化物半導体TFTを、同一基板上に構成する。異なる特性の酸化物半導体TFTは、例えば、異なる元素組成の酸化物半導体領域を含む。異なる元素組成は、構成元素の種類が異なる又は同一元素種類の組成比が異なる。
【0011】
本明細書の一実施形態において、第1の種類の酸化物半導体TFTの酸化物半導体領域は、第1絶縁層上に接して存在し、第2の種類の酸化物半導体TFTの酸化物半導体領域は、第1絶縁層と異なる第2絶縁層上に接して存在する。この構成によって、多くの酸化物半導体材料から、TFT基板上で使用する酸化物半導体材料を選択することができる。
【0012】
例えば、酸化物半導体TFTは、低リーク電流、低い温度依存性を持つ。回路サイズを小さくするためには、例えば、移動度が大きい酸化物半導体材料を使用することが考えられる。しかし、酸化物半導体材料は、一般に、移動度が大きいと、信頼性が低下する。酸化物TFTの信頼性を高めるためには、バンドギャップが大きい又は移動度が小さい酸化物半導体材料を使用することが考えられる。
【0013】
酸化物半導体TFTで重要視される特性は、回路内でのそのTFTの機能に応じて変化する。例えば、スイッチとして使用される酸化物半導体TFTを移動度が大きい酸化物半導材料を使用して構成し、アナログ的に電流を変化させる酸化物半導体TFTを移動度が小さい酸化物半導体材料を使用して構成することができる。例えば、自発光素子の発光を制御す回路において、アナログ的に電流を変化させるTFTは、自発光素子への駆動電流の供給量を、スイッチTFTを介して与えられたデータ信号(制御信号)に応じて調整する。
【0014】
本明細書の一実施形態は、酸化物半導体TFTのソース/ドレイン領域を含む、酸化物半導体膜の低抵抗領域の一部を、他の回路素子の電極として使用する。本明細書の一実施形態は、酸化物半導体膜の低抵抗領域の一部を、酸化物半導体TFTのソース/ドレイン領域として使用し、他の一部を他の酸化物半導体TFTのゲート電極として使用する。
【0015】
酸化物半導体TFTの酸化物半導体領域は、ソース/ドレイン領域及びそれらの間のチャネル領域を含む。ソース/ドレイン領域は、それぞれ、面内方向でチャネル領域と接触している。チャネル領域の抵抗は、ソース/ドレイン領域の抵抗より低い。ソース/ドレイン領域は、ソース領域とドレイン領域の総称である。ソース/ドレイン領域は、チャネル領域を流されるキャリアの方向によって、ソース領域又はドレイン領域となり得る。ソース/ドレイン領域が二つのTFTに共有されている構成において、そのソース/ドレイン領域は、一方のTFTのソース領域であり、他方のTFTのドレイン領域であり得る。
【0016】
本明細書の一実施形態において、酸化物半導体膜の低抵抗領域は、一つの酸化物半導体TFTのソース/ドレイン領域を含み、さらにそこから延びて、他の酸化物半導体TFTのボトムゲート電極を含む。ボトムゲート電極は、酸化物半導体TFTの酸化物半導体領域の下側、つまり、より基板に近い位置にあるゲート電極である。これにより、異なる酸化物半導体TFTのソース/ドレイン電極とボトムゲート電極とを接続するコンタクトホールが不要とできる。
【0017】
[表示装置構成]
図1は、本明細書の一実施形態に係る、OLED(Organic Light-Emitting Diode)表示装置1の構成例を示す。OLED表示装置1は、OLED素子及びTFTが形成されるTFT基板10と、OLED素子を封止する封止基板20と、TFT基板と封止基板とを接合する接合部(ガラスフリットシール部)30を含んで構成されている。TFT基板10と封止基板20との間には、例えば、乾燥窒素が封入されており、接合部により封止されている。封止基板20及び接合部30は封止構造部の一つであり、他の例として、封止構造部は、例えば薄膜封止構造(TFE:Thin Film Encapsulation)を有してもよい。
【0018】
TFT基板10の表示領域25の外側の周囲に、走査ドライバ31、32、保護回路33、ドライバIC34、デマルチプレクサ36が配置されている。走査ドライバ31、32、保護回路33は、TFT基板に形成された周辺回路である。周辺回路内の各種回路の数は、設計に依存して変化し得る。
【0019】
例えば、走査ドライバ31はTFT基板10の走査線を駆動し、走査ドライバ32は、制御線を駆動して、各画素の発光期間を制御したり、各画素に基準電位を与えたりする。保護回路33は、画素回路内の素子の静電気による破損を防ぐ。ドライバIC34は、走査ドライバ31、32に電源及びタイミング信号(制御信号)を与える。さらに、ドライバIC34は、デマルチプレクサ36に、電源及びデータ信号を与える。デマルチプレクサ36は、ドライバIC34からのデータ信号の出力先データ線を、走査期間内にd回切り替えることで、ドライバIC34の出力ピン数のd倍のデータ線を駆動する。
【0020】
[TFT基板の構成]
図2は、TFT基板10の画素回路又は周辺回路に組み込むことができる、酸化物半導体TFTの断面構造例を模式的に示す。同様の酸化物半導体TFTは、液晶表示装置又は他の装置の薄膜トランジスタ回路に組み込むことができる。
【0021】
図2は、第1酸化物半導体TFT170と第2酸化物半導体TFT130の断面構造例を模式的に示す。例えば、第2酸化物半導体TFT130は、OLED素子への駆動電流量を調整する駆動TFTであり、第1酸化物半導体TFT170は、駆動TFT130のゲート電極にデータ信号(ゲート信号)を伝送するスイッチTFTである。
【0022】
樹脂又はガラスで形成された可撓性又は不撓性の絶縁基板113上に、第1酸化物半導体TFT170及び第2酸化物半導体TFT130が形成されている。以下において、接触して積層されている二つの層(界面を形成する二つの層)において、絶縁基板113により近い層が下側の層であり、絶縁基板113からより遠い層が上側の層である。
【0023】
第1酸化物半導体TFT170の酸化物半導体膜(第1酸化物半導体膜)173と、第2酸化物半導体TFT130の酸化物半導体膜(第2酸化物半導体膜)133とは、異なる特性を有している。本例において、第2酸化物半導体膜133の移動度は、第1酸化物半導体膜173の移動度より小さい。また、第1酸化物半導体膜173のバンドギャップは、第2酸化物半導体膜133のバンドギャップより小さい。
【0024】
第1酸化物半導体膜173に適用可能な酸化物半導体材料は、例えば、ITZO、IGZTO、In-Zn-Ti-O、In-W-Z-Oを含む。第2酸化物半導体膜133に適用可能な酸化物半導体材料は、例えば、IGZO、GaZnO、IGOを含む。第1酸化物半導体膜173と第2酸化物半導体膜133とは、同一の元素種類で構成される、例えばIGZOであり、元素組成比が異なっていてもよい。
【0025】
第1酸化物半導体TFT170の酸化物半導体膜(第1酸化物半導体膜)173は、第1絶縁膜115上に接触して形成されている。第2酸化物半導体TFT130の酸化物半導体膜(第2酸化物半導体膜)133は、第2絶縁膜119上に接触して形成されている。第2絶縁膜119は、第1絶縁膜115より上層に位置する。第1酸化物半導体膜173は、第2酸化物半導体膜133より下層に位置する。
【0026】
図2の構成例において、第1酸化物半導体膜173の全部は、第1絶縁膜115上に接触して形成されている。また、第2酸化物半導体膜133の全部は、第2絶縁膜119上に接触して形成されている。
【0027】
第1絶縁膜115と第2絶縁膜119との間の位置に、絶縁膜117が存在している。絶縁膜117は、酸化物半導体膜173及び第1絶縁膜115の上に接触して形成されている。絶縁膜117は、酸化物半導体膜173の少なくとも一部を覆い、第1絶縁膜115の少なくとも一部を覆う。第2絶縁膜119の一部は、絶縁膜117上に接触して形成されている。
【0028】
第1酸化物半導体TFT170は、第1酸化物半導体膜173の酸化物半導体領域と、第1酸化物半導体膜133より上層のトップゲート電極171と、積層方向においてトップゲート電極171と第1酸化物半導体膜173との間に存在するゲート絶縁膜を含む。ゲート絶縁膜は、絶縁膜117の一部である。ゲート絶縁膜は、トップゲート電極171の下面及び酸化物半導体膜173の上面それぞれに接触して挟まれている。トップゲート電極171は、第2絶縁膜119に覆われている。第2絶縁膜119の一部は、トップゲート電極171上に接触して形成されている。
【0029】
第1酸化物半導体膜173は、第1酸化物半導体TFT170の酸化物半導体領域を含む。酸化物半導体領域は、二つのソース/ドレイン領域174、176と、ソース/ドレイン領域174、176の間のチャネル領域172とを含む。ソース/ドレイン領域174、176はそれぞれ異なる低抵抗領域に含まれ、チャネル領域172は高抵抗領域に含まれる。チャネル領域172は、積層方向において、ゲート絶縁膜を挟んで、トップゲート電極171に覆われている。ソース/ドレイン電極177は、絶縁膜122、121、119及び117を貫通して、ソース/ドレイン領域176の上面と接触するコンタクト部181を含む。
【0030】
第1酸化物半導体膜173の低抵抗領域175は、ソース/ドレイン領域174からチャネル領域172の反対側に延びており、その一部は、第2酸化物半導体TFT130のボトムゲート電極150を構成する。このように、第1酸化物半導体膜173の低抵抗領域175の一部が、第2酸化物半導体TFT130のボトムゲート電極を構成することで、コンタクトホールを削減することができる。
【0031】
第2酸化物半導体TFT130は、第2酸化物半導体膜133の酸化物半導体領域と、第2酸化物半導体膜133より上層のトップゲート電極131と、積層方向においてトップゲート電極131と第2酸化物半導体膜133との間に存在するゲート絶縁膜を含む。ゲート絶縁膜は、絶縁膜121の一部である。ゲート絶縁膜は、トップゲート電極131の下面及び酸化物半導体膜133の上面それぞれに接触して挟まれている。
【0032】
絶縁膜121は、第2絶縁膜119より上層に位置し、絶縁膜122は、絶縁膜121より上層に位置する。第2絶縁膜119と絶縁膜122との間の位置に、絶縁膜121が存在している。絶縁膜121は、酸化物半導体膜133及び第2絶縁膜119の上に接触して形成されている。絶縁膜121は、酸化物半導体膜133の少なくとも一部を覆い、第2絶縁膜119の少なくとも一部を覆う。絶縁膜121の一部は、第2絶縁膜119上に接触して形成されている。トップゲート電極131は、絶縁膜122に覆われている。絶縁膜122の一部は、トップゲート電極131上に接触して形成されている。絶縁膜122の一部は、絶縁膜121上に接触して形成されている。
【0033】
ソース/ドレイン電極135は、絶縁膜122及び121を貫通してソース/ドレイン領域134の上面に接触するコンタクト部138を含む。ソース/ドレイン電極137は、絶縁膜122及び121を貫通してソース/ドレイン領域136の上面に接触するコンタクト部139を含む。
【0034】
第2酸化物半導体膜133は、第2酸化物半導体TFT130の酸化物半導体領域を含む。酸化物半導体領域は、二つのソース/ドレイン領域134、136と、ソース/ドレイン領域134、136の間のチャネル領域132とを含む。ソース/ドレイン領域134、136はそれぞれ異なる低抵抗領域含まれ、チャネル領域132は高抵抗領域に含まれる。チャネル領域132は、積層方向において、ゲート絶縁膜を挟んで、トップゲート電極131に覆われている。
【0035】
上述のように、低抵抗領域175の第1酸化物半導体TFTのソース/ドレイン領域174から延びる領域の一部は、第2酸化物半導体TFTのチャネル領域132と重なるボトムゲート電極150を構成する。ボトムゲート電極150は、低抵抗領域175に含まれ、積層された絶縁膜117及び119の一部を挟んで、チャネル領域132と対向している。積層された絶縁膜117及び119の一部が、ボトムゲート電極150のゲート絶縁膜である。これにより、第2酸化物半導体TFTのId-Vgs特性の傾きを緩やかにできる。
【0036】
絶縁基板113は、例えば、ガラス又は可撓性若しくは不撓性の樹脂で構成され得る。樹脂の例はポリイミドである。第1絶縁膜115は、例えば、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸化物(SiOx)、又はこれらの多重層で形成することができる。
【0037】
酸化物半導体膜173は、例えば、ITZO、IGZTO、In-Zn-Ti-O、又はIn-W-Z-Oで構成され得る。低抵抗領域は、例えば、酸化物半導体膜の当該領域に、トップゲート電極171をマスクとして(自己整合)、絶縁膜117を介して不純物イオン(例えばボロンイオン)を注入することで形成することができる。これにより、ΔLを小さくすることができ、TFTの小型化に有利である。なお、低抵抗領域は、当該領域をHeプラズマにさらして形成することもできる。
【0038】
一部が第1酸化物半導体TFT170のゲート絶縁膜を構成する絶縁膜117は、例えば、シリコン窒化物、シリコン酸化物、又はこれらの多重層で形成することができる。トップゲート電極171の材料は任意であり、例えば、Mo、W、Nb、Al、Ta、Cr、Ti等の単層又は積層或いはこれらの合金が使用される。トップゲート電極171を覆う第2絶縁膜119は、例えば、シリコン窒化物、シリコン酸化物、又はこれらの多重層で形成することができる。
【0039】
第2絶縁膜119上に接触して存在する酸化物半導体膜133は、例えば、IGZO、GaZnO、IGOで構成され得る。低抵抗領域は、例えば、酸化物半導体膜の当該領域に、トップゲート電極131をマスクとして(自己整合)、絶縁膜121を介して不純物イオン(例えばボロンイオン)を注入することで形成することができる。これにより、ΔLを小さくすることができ、TFTの小型化に有利である。なお、低抵抗領域は、当該領域をHeプラズマにさらして形成することもできる。
【0040】
一部が第2酸化物半導体TFT130のゲート絶縁膜を構成する絶縁膜121は、例えば、シリコン窒化物、シリコン酸化物、又はこれらの多重層で形成することができる。トップゲート電極131の材料は任意であり、例えば、Mo、W、Nb、Al、Ta、Cr、Ti等の単層又は積層或いはこれらの合金が使用される。トップゲート電極131を覆う絶縁膜122は、例えば、シリコン窒化物、シリコン酸化物、又はこれらの多重層で形成することができる。
【0041】
ソース/ドレイン電極135、137、177は、例えば、同一材料で同時形成することができる。ソース/ドレイン電極135、137、177は、例えば、Ti/Al/TiやMo/Al/Mo等の積層構造を有することができる。ソース/ドレイン電極135、137、177は、単層構造を有してもよく、上記金属材料と異なる金属材料で構成されてもよい。
【0042】
図2に示す構成例では、第1酸化物半導体TFT170のソース/ドレイン領域を含む低抵抗領域が延伸して、その一部が第2酸化物半導体TFT130のボトムゲート電極を構成する。酸化物半導体膜の低抵抗領域は、ポリシリコン膜と比較して平坦かつ粒界が少ないので、第2酸化物半導体TFT130のより良好な特性を得ることができる。
【0043】
図3A、
図3Bは、
図2の破線矩形38で囲まれた部分を模式的に拡大した図である。
図3Aは、低温ポリシリコン(LTPS)層と2層の絶縁膜の積層構造における界面の様子を模式的に示す。
図3Bは、酸化物半導体層と、2層の絶縁膜の積層構造における界面の様子を模式的に示す。
【0044】
図3Aに示すように、低温ポリシリコンの表面は顕著な凹凸を示し、その形状を反映して、その上の積層絶縁膜も凹凸を示す。また、低抵抗ポリシリコンの粒界には高密度のHやC等の不純物が局在する。そのため、第1酸化物半導体TFT170を、低温ポリシリコンTFTに入れ替えると、第2酸化物半導体TFT130のチャネル界面の凹凸や不純物の影響が顕著になり、特性を低下させ得る。
【0045】
一方、
図3Bに示すように、酸化物半導体の表面はは平坦であり、その形状を反映してその上の積層絶縁膜も平坦である。さらに、酸化物半導体には粒界が実質的に存在せず、不純物の局在もない。したがって、第2酸化物半導体TFT130の特性を低下させることを避けることができる。
【0046】
第2酸化物半導体のボトムゲート絶縁膜が、第1酸化物半導体TFT170のトップゲート電極を挟む上下層の絶縁膜117、119を含むことで、第2酸化物半導体TFT130のId-Vgs特性を緩やかなものとすることができる。一方、第1酸化物半導体TFT170のゲート絶縁膜は絶縁膜117の一部で構成されているので、高い駆動性能を得ることができる。また、酸化物半導体を使用することで、第1酸化物半導体TFT170の短チャネル化(例えば2μm以下)が実現可能である。
【0047】
なお、
図2に示す構成例において、第1酸化物半導体TFT170のトップゲート電極171に代えて又は加えて、ボトムゲート電極が存在してもよい。トップゲート電極171が省略される場合、絶縁膜119又は117が省略されてもよい。第2酸化物半導体TFT130トップゲート電極131は、省略されてもよい。
【0048】
[画素回路内のTFT基板の構成]
図4は、OLED表示装置1の画素回路の構成例を示す。画素回路は、OLED素子E1のアノード電極に供給する電流を制御する。画素回路は、駆動トランジスタT1と、選択トランジスタT2と、制御トランジスタT3と、保持容量C1とを含む。画素回路は、OLED素子E1の発光を制御する。
図4の例において、トランジスタT1からT3は、nチャネル型の酸化物半導体TFTである。
【0049】
選択トランジスタT2は画素を選択するスイッチである。選択トランジスタT2のゲート端子には、走査信号S1が入力される。一方のソース/ドレイン端子は、データ線15に接続されている。他方のソース/ドレイン端子は、駆動トランジスタT1の第1ゲート端子に接続されている。駆動トランジスタT1の第2ゲート端子は、そのソース端子に接続されている。
【0050】
駆動トランジスタT1はOLED素子E1の駆動用のトランジスタである。駆動トランジスタT1の第1ゲート端子は選択トランジスタT2のソース/ドレイン端子に接続されている。駆動トランジスタT1のドレイン端子は電源線18(Vdd)に接続されている。ソース端子は、第2ゲート端子及び制御トランジスタT3のソース/ドレイン端子に接続されている。駆動トランジスタT1の第1ゲート端子とソース端子との間に保持容量C1が形成されている。
【0051】
選択トランジスタT2がオン状態にされると、データ電圧は、データ線15から、保持容量C1に格納される。保持容量C1は、格納された電圧を、1フレーム期間を通じて保持する。保持電圧によって、駆動トランジスタT1のコンダクタンスがアナログ的に変化し、駆動トランジスタT1は、発光階調に対応した順バイアス電流をOLED素子E1に供給する。
【0052】
制御トランジスタT3は、基準電圧Vrefを与える基準電圧供給線11とOLED素子E1のアノードとの電気的接続を制御する。制御トランジスタT3のゲート端子に制御信号S2が供給されることにより、この制御が行われる。制御トランジスタT3は、様々な目的で使用することができる。制御トランジスタT3は、例えば、OLED素子E1間のリーク電流によるクロストークを抑制するために、一旦、OLED素子E1のアノード電極を黒信号レベル以下の十分低い電圧にリセットする目的で使用しても良い。
【0053】
他にも、制御トランジスタT3は、駆動トランジスタT1の特性を測定する目的で使用してもよい。例えば、駆動トランジスタT1を飽和領域、制御トランジスタT3を線形領域で動作するようにバイアス条件を選んで、電源線18から基準電圧供給線11に流れる電流を測定すれば、駆動トランジスタT1の電圧・電流変換特性を正確に測定することができる。副画素間の駆動トランジスタT1の電圧・電流変換特性の違いを補償するデータ信号を外部回路で生成すれば、均一性の高い表示画像を実現できる。
【0054】
一方、駆動トランジスタT1をオフ状態にして制御トランジスタT3をリニア領域で動作させ、OLED素子E1を発光させる電圧を基準電圧供給線11から印加すれば、OLED素子E1の電圧・電流特性を正確に測定することができる。例えば、長時間の使用によってOLED素子E1が劣化した場合にも、その劣化量を補償するデータ信号を外部回路で生成すれば、長寿命化を実現できる。なお、
図4は画素回路の一例を示すに過ぎず、他の任意構成の画素回路に本願の特徴を適用することができる。
【0055】
図6は、
図4に示す画素回路に組み込むことができる、酸化物半導体TFTの断面構造例を模式的に示す。
図6は、
図4のトランジスタT1、T2及び保持容量C1のデバイス構造を模式的に示す断面図である。第1酸化物半導体TFT170は、トランジスタT2に対応し、第2酸化物半導体TFT130は、トランジスタT1に対応する。また、第2酸化物半導体TFT130のボトムゲート電極150は、トランジスタT1の第1ゲート端子に対応し、トップゲート電極131は、第2ゲート端子に対応する。
【0056】
以下において、
図6を参照して、
図4が示す構成要素と異なる構成要素を主に説明する。ソース/ドレイン電極135、137、177、絶縁膜122上に、平坦化膜161が存在する。平坦化膜161は、アクリルやポリイミドなど、平坦性に優れた塗布型の有機膜で構成され得る。平坦化膜161上に接触して、アノード電極163が存在する。
【0057】
アノード電極163は、平坦化膜161を貫通するコンタクト部165を介して第2酸化物半導体TFT130のソース/ドレイン電極135(ソース端子)と接続されている。アノード電極163は、ITOと、反射率の高いアルミニウムや銀のような金属材料との積層膜が用いることが出来る。
【0058】
アノード電極163上には、画素定義層167が形成されている。画素定義層167には、アクリルやポリイミドなどの有機膜を用いることができる。画素定義層167の開口内でアノード電極163の一部が露出し、この上に、不図示の多重層有機膜及びカソード電極が積層される。有機膜は、供給された電流により発光する。画素それぞれのカソード電極は、一つの導電膜の一部であり、共通のカソード電源電位が供給される。カソード電極は、例えば、ITOで形成できる。
【0059】
上側の酸化物半導体膜133において、ソース/ドレイン領域134を含む低抵抗領域141の少なくとも一部は、絶縁膜119及び117を介して、下側の酸化物半導体膜173の低抵抗領域175の少なくとも一部と対向している。この領域において、保持容量C1の少なくとも一部が構成される。
【0060】
図6Aは、
図5に示されるいくつかの構成要素を示す平面図である。
図5に示す構成例において、第2酸化物半導体TFT130のトップゲート電極131は、ソース/ドレイン電極135と接続されていない。トップゲート電極131は、ソース/ドレイン電極135を迂回した経路を介して、所定の電位が与えられる。
【0061】
導体膜307の一部が第1酸化物半導体TFT170のトップゲート電極171を構成している。トップゲート電極171は、導体膜307において、酸化物半導体膜173のチャネル領域(高抵抗領域、
図6Aで不図示)と重なる部分である。
【0062】
ボトムゲート電極150は、酸化物半導体膜173の低抵抗領域175において、上層の酸化物半導体膜133のチャネル領域と対向する領域である。
図6で符号により指示していないが、第2酸化物半導体TFT130のトップゲート電極131は、導体膜303における平面視においてボトムゲート電極150と重なる領域であり得る。
【0063】
下側酸化物半導体膜173の低抵抗領域175の一部は、上側酸化物半導体膜133の低抵抗領域141と平面視において重なっている。この領域に、保持容量C1の一部が構成される。このように、下側酸化物半導体膜173の低抵抗領域175を保持容量の電極として構成することで、回路面積を小さくすることができる。
【0064】
図6Aの構成例において、低抵抗領域175及び低抵抗領域141は、
図6Aの横方向に延びる帯状を有する。低抵抗領域175及び低抵抗領域141は、導体膜303、307と交差する方向に延びている。低抵抗領域175と低抵抗領域141とが平面視に重なる領域において、低抵抗領域175の幅Wは、低抵抗領域141の幅より小さい。また、当該領域において、低抵抗領域175の幅Wを画定する端は、平面視において低抵抗領域141に覆われている。幅は、
図6Aにおける縦方向の長さである。
【0065】
図6Bは、
図5に示されるいくつかの構成要素を示す平面図である。
図6Aの構成例と比較して、第1酸化物半導体TFT170のチャネル幅は、第2酸化物半導体TFT130のチャネル幅より大きい。酸化物半導体膜173及び低抵抗領域175の幅Wが大きい。低抵抗領域175と低抵抗領域141とが平面視に重なる領域において、低抵抗領域175の幅Wは、低抵抗領域141の幅より大きい。また、当該領域において、低抵抗領域141の幅を画定する端は、平面視において低抵抗領域175と重なっている。そのため、低抵抗領域175と低抵抗領域141が平面視において重なる領域が増加し、保持容量C1の面積をより大きくすることが可能となっている。
【0066】
図7は、
図4に示す画素回路に組み込むことができる、酸化物半導体TFTの断面構造の他例を模式的に示す。
図5に示す構成例との差異を主に説明する。本構成例において、第2酸化物半導体TFT130のトップゲート電極131は、ソース/ドレイン電極135と接続されている。
図7に示す構成例において、ソース/ドレイン電極135は、絶縁膜122を貫通してトップゲート電極131の上面と接触するコンタクト部145を介して、トップゲート電極131に接続されている。このため、ソース/ドレイン電極135とトップゲート電極131とは、同電位となる。
【0067】
図8は、
図7に示されるいくつかの構成要素を示す平面図である。
図6に示す構成例との相違を主に説明する。
図7を参照して説明したように、第2酸化物半導体TFT130のソース/ドレイン電極135は、コンタクト部145を介して、トップゲート電極131に接続される。ここでは、コンタクト部145は、トップゲート電極131を含む導体膜303の上面に接触し、コンタクト位置は、トップゲート電極131の上面からは外れている。トップゲート電極131は、導体膜300において、第2酸化物半導体TFT130のチャネル領域(高抵抗領域)と重なる領域である。
【0068】
本構成例において、二つの酸化物半導体膜133、173の対向する低抵抗領域で構成される容量の他に、保持容量C1を構成する容量が存在する。具体的には、容量C1Aは、酸化物半導体膜173の低抵抗領域175の一部を下部電極とし、酸化物半導体膜133の低抵抗領域141の一部を上部電極とする、容量である。これら電極の間に絶縁膜117、119が存在する。
【0069】
容量C1B、C1Cは、それぞれ、酸化物半導体膜173の低抵抗領域175の一部を下部電極とし、トップゲート電極131を含む導体膜303の一部を上部電極とする、容量である。これら電極の間に、絶縁膜117、119及び121が存在する。容量C1A、C1B、C1Cは、平面視において重なることなく分離されており、回路において並列である。
【0070】
図8に示す構成例において、酸化物半導体膜173の導体膜303と重なる領域は、導体膜303に沿って延びている。例えば、酸化物半導体膜173の導体膜303と重なる領域の、チャネル幅方向(
図8の縦方向)のサイズは、酸化物半導体膜173のコンタクト部138における同方向のサイズより大きい。これにより、容量C1B、C1Cの大きさを増加させることができる。例えば、導体膜303と低抵抗領域175とが複数の絶縁膜を介して対向する総面積は、第2酸化物半導体TFT130チャネル領域の面積より大きい。
【0071】
[他の構成例]
以下において、第2酸化物半導体TFTの他の構成例を説明する。
図9は、酸化物半導体TFTの断面構造の他例を模式的に示す。以下においては、
図2に示す構成例との差異を主に説明する。二つの構成例において、第1酸化物半導体TFT170の構成は共通である。なお、
図2の構成例と比較して、絶縁膜122が省略されているため、ソース/ドレイン電極177の上端部は、絶縁膜121の上面に接触して存在している。
【0072】
上側の第2酸化物半導体TFT330は、トップゲート電極を含まず、ボトムゲート電極のみを含むボトムゲート型TFTである。また、第2酸化物半導体TFT330は、ESL(Etch-Stop-Layer)型のTFTである。
【0073】
第2酸化物半導体TFT330は、第2絶縁膜119上で接触して存在する第2酸化物半導体膜333の酸化物半導体領域を含む。第2酸化物半導体膜333の酸化物半導体領域は、ソース/ドレイン領域334、336、及びそれらの間のチャネル領域332を含む。チャネル領域332の端面は、面内方向で、ソース/ドレイン領域334、336の端面と接触している。
【0074】
ソース/ドレイン電極335は、絶縁膜121を貫通してソース/ドレイン領域134の上面に接触するコンタクト部338を含む。ソース/ドレイン電極337は、絶縁膜121を貫通してソース/ドレイン領域336の上面に接触するコンタクト部339を含む。チャネル領域332は、絶縁膜121に覆われている。そのため、ソース/ドレイン電極335、337の形成の絶縁膜121のエッチングにおいて、チャネル領域332がエッチャントに晒されるのを防ぐことができる。第1酸化物半導体TFT170及び第2酸化物半導体TFT330は、平坦化膜161で覆われている。
【0075】
図10は、酸化物半導体TFTの断面構造の他例を模式的に示す。以下においては、
図2に示す構成例との差異を主に説明する。二つの構成例において、第1酸化物半導体TFT170の構成は共通である。なお、
図2の構成例と比較して、絶縁膜121、122が省略されているため、ソース/ドレイン電極177の上端部は、絶縁膜119の上面に接触して存在している。
【0076】
上側の第2酸化物半導体TFT430は、トップゲート電極を含まず、ボトムゲート電極のみを含むボトムゲート型TFTである。また、第2酸化物半導体TFT330は、BCE(Back-Channel-Etch)型のTFTである。
【0077】
第2酸化物半導体TFT430は、第2絶縁膜119上で接触して存在する第2酸化物半導体膜433の酸化物半導体領域を含む。第2酸化物半導体膜433の酸化物半導体領域は、ソース/ドレイン領域434、436、及びそれらの間のチャネル領域432を含む。チャネル領域432の端面は、面内方向で、ソース/ドレイン領域434、436の端面と接触している。
【0078】
ソース/ドレイン電極435は、絶縁膜を介することなく、ソース/ドレイン領域434の上面及び側面と接触して存在する。ソース/ドレイン電極435の一部は、絶縁膜119の上面上に接触して存在する。また、ソース/ドレイン電極437は、絶縁膜を介することなく、ソース/ドレイン領域436の上面及び側面と接触して存在する。ソース/ドレイン電極437の一部は、絶縁膜119の上面上に接触して存在する。平坦化膜161は、ソース/ドレイン電極435、437に加え、チャネル領域432に接触し、これらを覆う。
【0079】
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示が上記の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、上記の実施形態の各要素を、本開示の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 OLED表示装置、10 TFT基板、11 基準電圧供給線、15 データ線、18 電源線、20 封止基板、25 表示領域、30 接合部、31、32 走査ドライバ、33 保護回路、34 ドライバIC、36 デマルチプレクサ、113 絶縁基板、115、117、119、219、315、 絶縁膜、131、171 ゲート電極、132、172 ゲート絶縁膜、133、173 酸化物半導体膜、135、137、177 ソース/ドレイン電極、132、172 チャネル領域、134、136、174、176 ソース/ドレイン領域、C1 保持容量、C1A、C1B、C1C 容量、E1 OLED素子、T1~T3 トランジスタ、130、170 酸化物半導体TFT