(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077365
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】縫製装置
(51)【国際特許分類】
D05B 39/00 20060101AFI20240531BHJP
D05B 35/00 20060101ALI20240531BHJP
D05B 29/06 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
D05B39/00
D05B35/00 Z
D05B29/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189423
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003399
【氏名又は名称】JUKI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】射越 悠
【テーマコード(参考)】
3B150
【Fターム(参考)】
3B150CE23
3B150CE24
3B150DE04
3B150EA01
3B150EA13
3B150QA06
(57)【要約】
【課題】様々な生地に様々な縫い目を効率良く形成すること。
【解決手段】縫製装置は、生地を支持する上面を有する天板と、第1ロボットマニピュレータと、第2ロボットマニピュレータと、第1ロボットマニピュレータに装着され、生地を送る送り作業を実施する送りアセンブリと、第2ロボットマニピュレータに装着され、生地に縫い目を付ける縫い作業を実施するミシンアセンブリと、を備える。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生地を支持する上面を有する天板と、
第1ロボットマニピュレータと、
第2ロボットマニピュレータと、
前記第1ロボットマニピュレータに装着され、前記生地を送る送り作業を実施する送りアセンブリと、
前記第2ロボットマニピュレータに装着され、前記生地に縫い目を付ける縫い作業を実施するミシンアセンブリと、を備える、
縫製装置。
【請求項2】
前記送りアセンブリは、前記生地を上方から押さえる押さえと、前記生地を送るベルトと、を有する、
請求項1に記載の縫製装置。
【請求項3】
前記ベルトは、前記押さえに支持され、前記生地に接触した状態で移動する、
請求項2に記載の縫製装置。
【請求項4】
前記ベルトは、無端ベルトであり、前記ベルトの一部が前記押さえと前記生地との間に配置された状態で回転する、
請求項3に記載の縫製装置。
【請求項5】
前記押さえは、第1押さえと、前記第1押さえに隣接する第2押さえと、を含み、
前記ベルトは、前記第1押さえに支持される第1ベルトと、前記第2押さえに支持される第2ベルトと、を含む、
請求項2に記載の縫製装置。
【請求項6】
前記第1ベルトと前記第2ベルトとは、同じ速度で移動する、
請求項5に記載の縫製装置。
【請求項7】
前記第1ベルトと前記第2ベルトとは、異なる速度で移動する、
請求項5に記載の縫製装置。
【請求項8】
前記ミシンアセンブリは、ミシン針を保持する針棒と、前記ミシン針に上糸を供給する天秤と、前記針棒及び前記天秤を往復移動させるミシンモータと、を有し、
前記針棒に保持された前記ミシン針は、前記第1押さえと前記第2押さえとの間隙を通過して前記生地に刺さる、
請求項5に記載の縫製装置。
【請求項9】
前記ミシンアセンブリは、ミシン針を保持する針棒と、前記ミシン針に上糸を供給する天秤と、前記針棒及び前記天秤を往復移動させるミシンモータと、を有する、
請求項1に記載の縫製装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、縫製装置に関する。
【背景技術】
【0002】
縫製装置に係る技術分野において、特許文献1に開示されているような、ロボットアームに支持されるミシンが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
様々な生地に様々な縫い目を効率良く形成できる技術が要望される。
【0005】
本明細書で開示する技術は、様々な生地に様々な縫い目を効率良く形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、縫製装置を開示する。縫製装置は、生地を支持する上面を有する天板と、第1ロボットマニピュレータと、第2ロボットマニピュレータと、第1ロボットマニピュレータに装着され、生地を送る送り作業を実施する送りアセンブリと、第2ロボットマニピュレータに装着され、生地に縫い目を付ける縫い作業を実施するミシンアセンブリと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本明細書で開示する技術によれば、様々な生地に様々な縫い目が効率良く形成される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る縫製装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る縫製装置を示す平面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る第1ロボットマニピュレータの先端部に装着された折りアセンブリを示す斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る第2ロボットマニピュレータの先端部に装着された送りアセンブリを示す斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る第3ロボットマニピュレータの先端部に装着されたミシンアセンブリを示す斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る縫製装置の制御装置を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る送りアセンブリを示す斜視図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るミシンアセンブリを示す斜視図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る送りアセンブリとミシンアセンブリとの関係を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る生地の縫製方法を模式的に示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る生地の縫製方法を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。実施形態においては、左、右、前、後、上、及び下の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、縫製装置1の中心を基準とした相対位置又は方向を示す。
【0010】
[縫製装置]
図1は、実施形態に係る縫製装置1を示す斜視図である。
図2は、実施形態に係る縫製装置1を示す平面図である。
図1及び
図2に示すように、縫製装置1は、架台2と、天板3と、ロボットマニピュレータ4と、折りアセンブリ5と、送りアセンブリ6と、ミシンアセンブリ7とを備える。
【0011】
架台2は、天板3及びロボットマニピュレータ4のそれぞれを支持する。天板3は、生地100を支持する上面を有する。ロボットマニピュレータ4の基端部は、天板3の周囲の架台2に固定される。折りアセンブリ5、送りアセンブリ6、及びミシンアセンブリ7のそれぞれは、ロボットマニピュレータ4の先端部に着脱される。折りアセンブリ5、送りアセンブリ6、及びミシンアセンブリ7のそれぞれは、ロボットマニピュレータ4の先端部に装着された状態で、生地100について所定の作業を実施可能である。
【0012】
ロボットマニピュレータ4は、多関節ロボットを含む。実施形態において、ロボットマニピュレータ4は、垂直多関節ロボットである。なお、ロボットマニピュレータ4は、水平多関節ロボットでもよい。ロボットマニピュレータ4は、ベース部材と、旋回部材と、第1アームと、第2アームと、第3アームと、旋回アクチュエータと、第1回動アクチュエータと、第2回動アクチュエータと、第3回動アクチュエータとを有する。ベース部材は、架台2に固定される。旋回部材は、ベース部材に旋回可能に支持される。旋回部材は、上下方向に延びる旋回軸を中心に旋回可能にベース部材に支持される。第1アームは、旋回部材に回動可能に連結される。第1アームは、第1回動軸を中心に回動可能に旋回部材に連結される。第1回動軸は、旋回軸に平行な軸と直交する。第2アームは、第1アームの先端部に回動可能に連結される。第2アームは、第2回動軸を中心に回動可能に第1アームに連結される。第2回動軸は、第1回動軸に平行である。第3アームは、第2アームの先端部に回動可能に連結される。第3アームは、第3回動軸を中心に回動可能に第2アームに連結される。第3回動軸は、第2回動軸に平行である。折りアセンブリ5、送りアセンブリ6、及びミシンアセンブリ7のいずれか一つのアセンブリが、第3アームの先端部に装着される。旋回アクチュエータは、旋回部材を旋回させる動力を発生する。第1回動アクチュエータは、第1アームを回動させる動力を発生する。第2回動アクチュエータは、第2アームを回動させる動力を発生する。第3回動アクチュエータは、第3アームを回動させる動力を発生する。
【0013】
ロボットマニピュレータ4は、複数設けられる。実施形態において、ロボットマニピュレータ4は、3台設けられる。ロボットマニピュレータ4は、第1ロボットマニピュレータ4Aと、第2ロボットマニピュレータ4Bと、第3ロボットマニピュレータ4Cとを含む。第1ロボットマニピュレータ4Aの構造と、第2ロボットマニピュレータ4Bの構造と、第3ロボットマニピュレータ4Cの構造とは、実質的に等しい。
【0014】
折りアセンブリ5は、第1ロボットマニピュレータ4Aの先端部、第2ロボットマニピュレータ4Bの先端部、及び第3ロボットマニピュレータ4Cの先端部のそれぞれに着脱可能である。送りアセンブリ6は、第1ロボットマニピュレータ4Aの先端部、第2ロボットマニピュレータ4Bの先端部、及び第3ロボットマニピュレータ4Cの先端部のそれぞれに着脱可能である。ミシンアセンブリ7は、第1ロボットマニピュレータ4Aの先端部、第2ロボットマニピュレータ4Bの先端部、及び第3ロボットマニピュレータ4Cの先端部のそれぞれに着脱可能である。
【0015】
折りアセンブリ5は、生地100に折り目を付ける折り作業を実施する。送りアセンブリ6は、生地100に縫い目を付けるときに生地100を送る送り作業を実施する。ミシンアセンブリ7は、生地100に縫い目を付ける縫い作業を実施する。
【0016】
天板3の上面の周囲の架台2に、支持台8、吊り下げ部材9、及び吊り下げ部材10が固定される。折りアセンブリ5は、ロボットマニピュレータ4に装着されないとき、支持台8に支持される。送りアセンブリ6は、ロボットマニピュレータ4に装着されないとき、吊り下げ部材9に吊り下げられる。ミシンアセンブリ7は、ロボットマニピュレータ4に装着されないとき、吊り下げ部材10に吊り下げられる。
【0017】
天板3は、針板11を含む。針板11は、天板3の中央部に固定される。針板11に開口12が設けられる。針板11の直下に釜が配置される。釜にボビンケースが収容される。ボビンケースは、下糸が巻かれたボビンを保持する。釜は、下糸を供給する。天板3の下方に釜ガイド機構13が配置される。釜は、釜ガイド機構13にガイドされながら、針板11の直下の縫製位置と、架台2よりも前側の交換位置との間を移動可能である。釜は、釜移動用アクチュエータが発生する動力により、釜ガイド機構13にガイドされながら縫製位置と交換位置との間を移動することができる。例えばボビンを交換する場合、釜が交換位置に移動される。
【0018】
[折りアセンブリ]
図3は、実施形態に係る第1ロボットマニピュレータ4Aの先端部に装着された折りアセンブリ5を示す斜視図である。
図3に示すように、折りアセンブリ5は、第1ロボットマニピュレータ4Aの先端部に装着される。折りアセンブリ5は、第1ロボットマニピュレータ4Aの先端部に連結されるジョイント部5Aを有する。折りアセンブリ5は、ジョイント部5Aを介して第1ロボットマニピュレータ4Aの先端部に装着される。なお、折りアセンブリ5は、第2ロボットマニピュレータ4Bの先端部に装着されてもよいし、第3ロボットマニピュレータ4Cの先端部に装着されてもよい。
【0019】
折りアセンブリ5は、生地100を上方から挟むことにより生地100に折り目を付ける。折りアセンブリ5は、第1ハンド5Dと、第1ハンド5Dとの間で生地100を挟む第2ハンド5Eと、を有する。
【0020】
第1ロボットマニピュレータ4Aの先端部にカメラ14が取り付けられる。カメラ14は、生地100を撮影可能である。カメラ14は、天板3に支持された生地100を上方から撮影する。カメラ14は、本体部14Aと、第1レンズ14Lと、第2レンズ14Rとを有する。本体部14Aは、第1レンズ14L及び第2レンズ14Rを介して入射する光を受光するイメージセンサを含む。イメージセンサは、CCD(Couple Charged Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを含む。本体部14Aは、連結部材15を介して第1ロボットマニピュレータ4Aの先端部に固定される。第1レンズ14L及び第2レンズ14Rのそれぞれは、本体部14Aの下部に配置される。第2レンズ14Rは、第1レンズ14Lの隣に配置される。カメラ14が第1レンズ14Lと第2レンズ14Rとを有するので、カメラ14の撮影範囲が大きくなる。なお、第1レンズ14Lと第2レンズ14Rとを含むカメラ14が、ステレオカメラでもよい。
【0021】
[送りアセンブリ]
図4は、実施形態に係る第2ロボットマニピュレータ4Bの先端部に装着された送りアセンブリ6を示す斜視図である。
図7は、実施形態に係る送りアセンブリ6を示す斜視図である。
図4に示す例において、送りアセンブリ6は、第2ロボットマニピュレータ4Bの先端部に装着される。なお、送りアセンブリ6は、第1ロボットマニピュレータ4Aの先端部に装着されてもよいし、第3ロボットマニピュレータ4Cの先端部に装着されてもよい。
【0022】
送りアセンブリ6は、ジョイント部6Aと、ボディ部6Bと、ブラケット6Cと、プーリ6Dと、第1ベルト6Lと、第2ベルト6Rと、第1押さえ61と、第2押さえ62とを有する。
【0023】
ジョイント部6Aは、ロボットマニピュレータ4の先端部に連結される。送りアセンブリ6は、ジョイント部6Aを介してロボットマニピュレータ4の先端部に装着される。ジョイント部6Aは、ボディ部6Bの側部に配置される。ボディ部6Bは、ブラケット6Cを支持する。
【0024】
第1押さえ61及び第2押さえ62のそれぞれは、生地100を上方から押さえる。第1押さえ61及び第2押さえ62のそれぞれは、ブラケット6Cの下端部に固定される。第1押さえ61の形状及び大きさと、第2押さえ62の形状及び大きさとは、実質的に等しい。第1押さえ61と第2押さえ62とは、隣接する。第2押さえ62は、第1押さえ61の隣に配置される。第1押さえ61の下面と第2押さえ62の下面とは、同じ高さに配置される。
【0025】
第1ベルト6Lは、第1押さえ61に支持される。第2ベルト6Rは、第2押さえ62に支持される。第2押さえ62は、第1押さえ61に隣接する。第1ベルト6L及び第2ベルト6Rのそれぞれは、生地100を送る。第1ベルト6L及び第2ベルト6Rのそれぞれは、生地100に接触した状態で移動することにより、生地100を送る。第1ベルト6L及び第2ベルト6Rのそれぞれは、リング状である。第1ベルト6L及び第2ベルト6Rのそれぞれは、無端ベルトである。
【0026】
第1ベルト6Lの一部は、第1押さえ61と生地100との間に配置される。第2ベルト6Rの一部は、第2押さえ62と生地100との間に配置される。第1ベルト6L及び第2ベルト6Rのそれぞれは、不図示の送りモータにより回転する。送りモータは、ボディ部6Bの内部に配置される。第1ベルト6Lの一部及び第2ベルト6Rの一部は、ボディ部6Bの内部を通過する。プーリ6Dは、第1ベルト6Lの一部及び第2ベルト6Rの一部を支持する。
【0027】
第1ベルト6Lは、第1ベルト6Lの一部が第1押さえ61と生地100との間に配置された状態で回転する。第2ベルト6Rは、第2ベルト6Rの一部が第2押さえ62と生地100との間に配置された状態で回転する。第1押さえ61は、第1ベルト6Lを生地100に押し付ける。第2押さえ62は、第2ベルト6Rを生地100に押し付ける。生地100に押し付けられた第1ベルト6L及び第2ベルト6Rの少なくとも一方が回転することにより、生地100が送られる。
【0028】
[ミシンアセンブリ]
図5は、実施形態に係る第3ロボットマニピュレータ4Cの先端部に装着されたミシンアセンブリ7を示す斜視図である。
図8は、実施形態に係るミシンアセンブリ7を示す斜視図である。
図5に示す例において、ミシンアセンブリ7は、第3ロボットマニピュレータ4Cの先端部に装着される。なお、ミシンアセンブリ7は、第1ロボットマニピュレータ4Aの先端部に装着されてもよいし、第2ロボットマニピュレータ4Bの先端部に装着されてもよい。
【0029】
ミシンアセンブリ7は、ジョイント部7Aと、フレーム部7Bと、ミシンモータ7Cと、天秤7Dと、針棒7Eと、ミシン針7Fと、中押さえ7Gとを有する。
【0030】
ジョイント部7Aは、ロボットマニピュレータ4の先端部に連結される。ミシンアセンブリ7は、ジョイント部7Aを介してロボットマニピュレータ4の先端部に装着される。ジョイント部7Aは、フレーム部7Bの上部に配置される。ミシンモータ7Cは、フレーム部7Bに支持される。天秤7D及び針棒7Eのそれぞれは、フレーム部7Bに移動可能に支持される。
【0031】
針棒7Eは、ミシン針7Fを保持する。天秤7Dは、ミシン針7Fに上糸を供給する。ミシンモータ7Cは、針棒7E及び天秤7Dを上下方向に往復移動させる動力を発生する。ミシンモータ7Cで発生した動力は、動力伝達機構を介して針棒7E及び天秤7Dのそれぞれに伝達される。針棒7Eと天秤7Dと釜とは連動する。ミシンモータ7Cで発生した動力が針棒7Eに伝達されることにより、針棒7E及び針棒7Eに保持されているミシン針7Fは、上下方向に往復移動する。ミシンモータ7Cで発生した動力が天秤7Dに伝達されることにより、天秤7Dは、針棒7Eに連動して上下方向に往復移動する。釜は、針棒7E及び天秤7Dに連動して回転する。ミシン針7Fは、針板11の開口12を通過可能である。釜は、針板11の直下に配置される。釜は、下糸を供給することにより、ミシン針7Fと協働して、生地100に縫い目を形成する。
【0032】
中押さえ7Gは、フレーム部7Bに固定されるロッド部7Gaと、ロッド部7Gaの下端部に配置される中押さえ足7Gbとを有する。中押さえ7Gは、中押さえ7Gbが第1押さえ61と第2押さえ62との間に配置された状態で、生地100の浮き上がりを抑制する。針棒7Eは、中押さえ7Gの中押さえ足7Gbよりも上方に配置される。上下方向に往復移動するミシン針7Fは、中押さえ7Gの中押さえ足7Gbの内側を通過することができる。
【0033】
[制御装置]
図6は、実施形態に係る縫製装置1の制御装置16を示すブロック図である。制御装置16は、ロボットマニピュレータ4、ロボットマニピュレータ4に装着された折りアセンブリ5、ロボットマニピュレータ4に装着された送りアセンブリ6、及びロボットマニピュレータ4に装着されたミシンアセンブリ7を制御する。制御装置16は、コンピュータシステムを含む。制御装置16は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサと、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のようなメモリと、信号及びデータを入出力可能な入出力回路を含む入出力インターフェースとを有する。
【0034】
制御装置16は、画像データ取得部16Aと、画像処理部16Bと、ロボット制御部16Cと、折りアセンブリ制御部16Dと、送りアセンブリ制御部16Eと、ミシンアセンブリ制御部16Fとを有する。
【0035】
画像データ取得部16Aは、カメラ14により撮影された生地100の画像データを取得する。画像処理部16Bは、画像データ取得部16Aにより取得された生地100の画像データに基づいて、生地100の位置を算出する。実施形態において、画像処理部16Bは、カメラ14により取得された生地100の画像データに基づいて、折り目を付ける生地100の目標部位を算出する。画像処理部16Bは、生地100の端部の画像データに基づいて、生地100の目標部位の位置を算出してもよい。生地100に位置合わせ用のマークが設けられている場合、画像処理部16Bは、マークの画像データに基づいて、生地100の目標部位の位置を算出してもよい。生地100に柄(模様)が設けられている場合、画像処理部16Bは、柄(模様)の画像データに基づいて、生地100の目標部位の位置を算出してもよい。
【0036】
ロボット制御部16Cは、ロボットマニピュレータ4を制御する。生地100に折り目を付ける場合、ロボット制御部16Cは、画像処理部16Bにより算出された折り目を付ける生地100の目標部位と折りアセンブリ5とが対向するように、第1ロボットマニピュレータ4Aを制御する。
【0037】
ロボットマニピュレータ4の先端部に折りアセンブリ5を装着する場合、ロボット制御部16Cは、ロボットマニピュレータ4の先端部が支持台8に支持されている折りアセンブリ5に接近するように、ロボットマニピュレータ4を制御する。支持台8に支持されている折りアセンブリ5のジョイント部5Aとロボットマニピュレータ4の先端部とが連結されることにより、折りアセンブリ5がロボットマニピュレータ4に装着される。ロボットマニピュレータ4の先端部から折りアセンブリ5を外す場合、ロボット制御部16Cは、ロボットマニピュレータ4の先端部に装着されている折りアセンブリ5が支持台8に接近するように、ロボットマニピュレータ4を制御する。折りアセンブリ5が支持台8に支持された後、ロボットマニピュレータ4の先端部と折りアセンブリ5のジョイント部5Aとの連結が解除される。
【0038】
ロボットマニピュレータ4の先端部に送りアセンブリ6を装着する場合、ロボット制御部16Cは、ロボットマニピュレータ4の先端部が吊り下げ部材9に吊り下げられている送りアセンブリ6に接近するように、ロボットマニピュレータ4を制御する。吊り下げ部材9に吊り下げられている送りアセンブリ6のジョイント部6Aとロボットマニピュレータ4の先端部とが連結されることにより、送りアセンブリ6がロボットマニピュレータ4に装着される。ロボットマニピュレータ4の先端部から送りアセンブリ6を外す場合、ロボット制御部16Cは、ロボットマニピュレータ4の先端部に装着されている送りアセンブリ6が吊り下げ部材9に接近するように、ロボットマニピュレータ4を制御する。送りアセンブリ6が吊り下げ部材9に吊り下げられた後、ロボットマニピュレータ4の先端部と送りアセンブリ6のジョイント部6Aとの連結が解除される。
【0039】
ロボットマニピュレータ4の先端部にミシンアセンブリ7を装着する場合、ロボット制御部16Cは、ロボットマニピュレータ4の先端部が吊り下げ部材10に吊り下げられているミシンアセンブリ7に接近するように、ロボットマニピュレータ4を制御する。吊り下げ部材10に吊り下げられているミシンアセンブリ7のジョイント部7Aとロボットマニピュレータ4の先端部とが連結されることにより、ミシンアセンブリ7がロボットマニピュレータ4に装着される。ロボットマニピュレータ4の先端部からミシンアセンブリ7を外す場合、ロボット制御部16Cは、ロボットマニピュレータ4の先端部に装着されているミシンアセンブリ7が吊り下げ部材10に接近するように、ロボットマニピュレータ4を制御する。ミシンアセンブリ7が吊り下げ部材10に吊り下げられた後、ロボットマニピュレータ4の先端部とミシンアセンブリ7のジョイント部7Aとの連結が解除される。
【0040】
折りアセンブリ制御部16Dは、折りアセンブリ5を制御する。折りアセンブリ制御部16Dは、生地100の目標部位と折りアセンブリ5とが対向した後、折りアセンブリ5が生地100の目標部位を挟むように、折りアセンブリ5を制御する。送りアセンブリ制御部16Eは、送りアセンブリ6を制御する。ミシンアセンブリ制御部16Fは、ミシンアセンブリ7を制御する。
【0041】
[送りアセンブリとミシンアセンブリとの関係]
図9は、実施形態に係る送りアセンブリ6とミシンアセンブリ7との関係を示す斜視図である。生地100に縫い目を形成する場合、ロボット制御部16Cは、第3ロボットマニピュレータ4Cに装着されたミシンアセンブリ7が針板11の直上に配置されるように第3ロボットマニピュレータ4Cを制御する。生地100に縫い目を形成する場合、ロボット制御部16Cは、ミシン針7Fが針板11の開口12を通過するように、ミシンアセンブリ7を針板11の直上に配置する。生地100に縫い目を形成する場合、ロボット制御部16Cは、第2ロボットマニピュレータ4Bに装着された送りアセンブリ6がミシンアセンブリ7の近傍に配置されるように第2ロボットマニピュレータ4Bを制御する。生地100に縫い目を形成する場合、ロボット制御部16Cは、第1押さえ61及び第2押さえ62が生地100を上方から押さえるように、第2ロボットマニピュレータ4Bを制御する。
【0042】
図9に示すように、ロボット制御部16Cは、中押さえ7Gの中押さえ足7Gbが第1押さえ61と第2押さえ62との間に配置されるように、第2ロボットマニピュレータ4B及び第3ロボットマニピュレータ4Cのそれぞれを制御する。
【0043】
第1ベルト6Lの一部は、第1押さえ61と生地100との間に配置される。第2ベルト6Rの一部は、第2押さえ62と生地100との間に配置される。第1押さえ61は、第1ベルト6Lを生地100に押し付ける。第2押さえ62は、第2ベルト6Rを生地100に押し付ける。中押さえ7Gは、第1押さえ61と第2押さえ62との間に配置された状態で、生地100の浮き上がりを抑制する。
【0044】
送りアセンブリ制御部16Eは、生地100に押し付けられた第1ベルト6L及び第2ベルト6Rの少なくとも一方が回転するように、送りモータを制御する。ミシンアセンブリ制御部16Fは、針棒7Eが上下方向に往復移動するように、ミシンモータ7Cを制御する。針棒7Eに保持されたミシン針7Fは、第1押さえ61と第2押さえ62との間隙を通過して生地100に刺さる。
【0045】
生地100が送りアセンブリ6により送られながらミシンアセンブリ7の針棒7Eが上下方向に往復移動することにより、針棒7Eに保持されているミシン針7Fと釜との協働により、生地100に縫い目が形成される。
【0046】
[縫製方法]
図10及び
図11のそれぞれは、実施形態に係る生地100の縫製方法を模式的に示す図である。実施形態において、送りアセンブリ6の送りモータは、第1ベルト6Lを回転させる第1送りモータと、第2ベルト6Rを回転させる第2送りモータとを有する。送りアセンブリ制御部16Eは、生地100に接触した第1ベルト6Lと第2ベルト6Rとが同じ速度で移動するように、第1送りモータ及び第2送りモータを制御することができる。すなわち、送りアセンブリ制御部16Eは、第1ベルト6Lと第2ベルト6Rとが同じ速度で回転するように、第1送りモータ及び第2送りモータを制御することができる。また、送りアセンブリ制御部16Eは、生地100に接触した第1ベルト6Lと第2ベルト6Rとが異なる速度で移動するように、第1送りモータ及び第2送りモータを制御することができる。すなわち、送りアセンブリ制御部16Eは、第1ベルト6Lと第2ベルト6Rとが異なる速度で回転するように、第1送りモータ及び第2送りモータを制御することができる。
【0047】
第1押さえ61は、第1ベルト6Lを生地100に押し付ける。第2押さえ62は、第2ベルト6Rを生地100に押し付ける。第1ベルト6Lは、第1ベルト6Lの一部が第1押さえ61と生地100との間に配置された状態で回転することができる。第2ベルト6Rは、第2ベルト6Rの一部が第2押さえ62と生地100との間に配置された状態で回転することができる。
【0048】
図10は、第1ベルト6Lと第2ベルト6Rとが同じ速度で回転している状態を示す。生地100に押し付けられた第1ベルト6Lと第2ベルト6Rとが同じ速度で回転することにより、生地100は、所定方向に直線状に送られる。生地100が所定方向に直線状に送られながらミシンアセンブリ7の針棒7Eが上下方向に往復移動することにより、生地100に直線状の縫い目が形成される。すなわち、第1ベルト6Lと第2ベルト6Rとが同じ速度で回転することにより、生地100が直線縫いされる。
【0049】
図11は、第1ベルト6Lと第2ベルト6Rとが異なる速度で回転している状態を示す。例えば生地100に押し付けられた第2ベルト6Rが回転し、第1ベルト6Lが停止又は第2ベルト6Rよりも低い速度で回転することにより、生地100は、回転するように送られる。生地100が回転するように送られながらミシンアセンブリ7の針棒7Eが上下方向に往復移動することにより、生地100に曲線状(円弧状、円形状)の縫い目が形成される。すなわち、第1ベルト6Lと第2ベルト6Rとが異なる速度で回転することにより、生地100がカーブ縫いされる。
【0050】
[効果]
以上説明したように、実施形態において、縫製装置1は、生地100を支持する上面を有する天板3と、複数のロボットマニピュレータ4と、第1のロボットマニピュレータ4に装着され、生地100を送る送り作業を実施する送りアセンブリ6と、第2のロボットマニピュレータ4に装着され、生地100に縫い目を付ける縫い作業を実施するミシンアセンブリ7と、を備える。
【0051】
送りアセンブリ6とミシンアセンブリ7とが別々のロボットマニピュレータに装着されるので、様々な生地100に様々な縫い目が効率良く形成される。例えば、制御装置16は、生地100の厚さに合わせて送りアセンブリ6が最適な高さに配置されるように、第1のロボットマニピュレータ4を制御することができる。また、制御装置16は、縫い目の目標形状に合わせてミシンアセンブリ7が最適な位置に配置されるように、第2のロボットマニピュレータ4を制御することができる。また、送りアセンブリ6は、第1ベルト6L及び第2ベルト6Rを生地100の任意の位置に接触させて、生地100を送ることができる。制御装置16は、生地100に対する送りアセンブリ6とミシンアセンブリ7との相対位置を任意に調整した状態で、様々な生地100に様々な縫い目を効率良く形成することができる。また、送りアセンブリ6とミシンアセンブリ7とが別々のロボットマニピュレータ4に装着されるので、1つのロボットマニピュレータ4に掛かるアセンブリの重量が軽減される。
【0052】
送りアセンブリ6は、生地100を上方から押さえる第1押さえ61及び第2押さえ62と、生地100を送る第1ベルト6L及び第2ベルト6Rと、を有する。これにより、生地100は、第1押さえ61及び第2押さえ62に押さえられた状態で第1ベルト6L及び第2ベルト6Rにより送られる。
【0053】
第1ベルト6Lは、第1押さえ61に支持され、生地100に接触した状態で移動する。第2ベルト6Rは、第2押さえ62に支持され、生地100に接触した状態で移動する。これにより、生地100は、第1押さえ61及び第2押さえ62に押さえられた状態で第1ベルト6L及び第2ベルト6Rにより送られる。
【0054】
第1ベルト6L及び第2ベルト6Rのそれぞれは、無端ベルトである。第1ベルト6Lの一部が第1押さえ61と生地100との間に配置された状態で回転する。第2ベルト6Rの一部が第2押さえ62と生地100との間に配置された状態で回転する。これにより、生地100が送られる。
【0055】
第1ベルト6Lと第2ベルト6Rとが同じ速度で移動することにより、
図10を参照して説明したように、生地100が直線縫いされる。
【0056】
第1ベルト6Lと第2ベルト6Rとが異なる速度で移動することにより、
図11を参照して説明したように、生地100がカーブ縫いされる。
【0057】
ミシンアセンブリ7は、ミシン針7Fを保持する針棒7Eと、ミシン針7Fに上糸を供給する天秤7Dと、針棒7E及び天秤7Dを往復移動させるミシンモータ7Cと、を有する。針棒7Eに保持されたミシン針7Fは、第1押さえ61と第2押さえ62との間隙を通過して生地100に刺さる。これにより、生地100に縫い目が付けられる。
【0058】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、生地100を上方から押さえる押さえは、第1押さえ61と、第1押さえ61に隣接する第2押さえ62と、を含むことした。また、生地100を送るベルトは、第1押さえ61に支持される第1ベルト6Lと、第2押さえ62に支持される第2ベルト6Rと、を含むこととした。生地100を上方から押さえる押さえは、1つでもよい。生地100を送るベルトは、1つでもよい。
【0059】
上述の実施形態においては、
図3を参照して説明したように、カメラ14は、折りアセンブリ5が装着される第1ロボットマニピュレータ4Aの先端部に取り付けられる。カメラ14は、送りアセンブリ6が装着される第2ロボットマニピュレータ4Bの先端部に取り付けられてもよい。カメラ14は、ミシンアセンブリ7が装着される第3ロボットマニピュレータ4Cの先端部に取り付けられてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1…縫製装置、2…架台、3…天板、4…ロボットマニピュレータ、4A…第1ロボットマニピュレータ、4B…第2ロボットマニピュレータ、4C…第3ロボットマニピュレータ、5…折りアセンブリ、5A…ジョイント部、5D…第1ハンド、5E…第2ハンド、6…送りアセンブリ、6A…ジョイント部、6B…ボディ部、6C…ブラケット、6D…プーリ、6L…第1ベルト、6R…第2ベルト、61…第1押さえ、62…第2押さえ、7…ミシンアセンブリ、7A…ジョイント部、7B…フレーム部、7C…ミシンモータ、7D…天秤、7E…針棒、7F…ミシン針、7G…中押さえ、7Ga…ロッド部、7Gb…中押さえ足、8…支持台、9…吊り下げ部材、10…吊り下げ部材、11…針板、12…開口、13…釜ガイド機構、14…カメラ、14A…本体部、14L…第1レンズ、14R…第2レンズ、15…連結部材、16…制御装置、16A…画像データ取得部、16B…画像処理部、16C…ロボット制御部、16D…折りアセンブリ制御部、16E…送りアセンブリ制御部、16F…ミシンアセンブリ制御部、100…生地。