(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077375
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】景品箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/42 20060101AFI20240531BHJP
【FI】
B65D5/42 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189438
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100117400
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 政徳
(74)【代理人】
【識別番号】100161746
【弁理士】
【氏名又は名称】地代 信幸
(74)【代理人】
【識別番号】100166796
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 雅至
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 明人
(72)【発明者】
【氏名】八尋 史恭
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA05
3E060BB01
3E060BC04
3E060DA30
3E060EA13
(57)【要約】
【課題】景品の収納固定が簡単で商品への添付時の作業費を抑制でき、材料に要するコストも抑制できる景品箱を提供する。
【解決手段】正面板1の一側に側面板2及び背面板3が順次連設され、他側に側面板4及び訴求板5が順次連設され、正面板1、一対の側面板2,4及び背面板3が景品収納部6の周壁を形成し、背面板3が景品収納部6から側方へ延長され、その延長部3aに訴求板5が貼り合わされた景品箱において、正面板1及び背面板3の下端にそれぞれ連設された前底板9a及び後底板9bが景品収納部6の内側上方へ折り込まれて、前底板9a及び後底板9bの先端寄りの部分同士が突き合わされ、景品収納部6に収納された景品Gを前底板9a及び後底板9bの先端で受け止めるものとする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面板(1)の一側に側面板(2)及び背面板(3)が順次連設され、他側に側面板(4)及び訴求板(5)が順次連設され、前記正面板(1)、前記一対の側面板(2,4)及び前記背面板(3)が景品収納部(6)の周壁を形成し、前記背面板(3)が前記景品収納部(6)から側方へ延長され、その延長部(3a)に前記訴求板(5)が貼り合わされた景品箱において、
前記正面板(1)及び前記背面板(3)の下端にそれぞれ連設された前底板(9a)及び後底板(9b)が前記景品収納部(6)の内側上方へ折り込まれて、前記前底板(9a)及び前記後底板(9b)の先端寄りの部分同士が突き合わされ、前記景品収納部(6)に収納された景品(G)を前記前底板(9a)及び前記後底板(9b)の先端で受け止めることを特徴とする景品箱。
【請求項2】
前記前底板(9a)及び前記後底板(9b)の前端中央部には、景品(G)の下部外周が嵌合する受止縁(9c)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の景品箱。
【請求項3】
前記背面板(3)には、前記景品収納部(6)を形成する部分を切り込んで、景品(G)を引っ掛けるフック片(10)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の景品箱。
【請求項4】
前記背面板(3)の上端には、ヒンジとなる折目線(11)を介して貼着片(12)が連設され、前記貼着片(12)を前記折目線(11)に沿って折り返し、商品に貼り付けることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の景品箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、商品に添付して購買意欲を高めるための景品箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、
図7に示すように、6本の飲料缶Cを集合包装するマルチパック包装体Pに、缶詰食品の缶である景品Gを添付するための景品箱B
2が記載されている。
【0003】
この景品箱B
2は、板紙等を材料とするものであり、
図8に示すように、正面板51の一側に側面板52及び背面板53が順次連設され、他側に側面板54及び訴求板55が順次連設され、正面板51、一対の側面板52,54及び背面板53が景品収納部56の周壁を形成し、景品収納部56から側方へ延長された背面板53の延長部53aに訴求板55が貼り合わされて保形されている。
【0004】
また、側面板52,54の上端及び下端にそれぞれ折曲片57が連設され、正面板51の上端及び下端にそれぞれ蓋板58及び底板59が連設され、蓋板58及び底板59の先端にそれぞれ差込片58a,59aが連設されたものとなっている。
【0005】
このような景品箱B
2に景品Gを収納する際には、
図9に示すような景品保持パッド60を使用する。そして、景品保持パッド60の保持板61の両側に連設された内側板62を後方へ折り曲げ、保持板61に穿設された保持穴63に景品Gを嵌め込んで、
図8に示すように、景品箱B
2の景品収納部56に挿入する。
【0006】
次に、底面側の一対の折曲片57を内側へ折り曲げ、底板59を閉じて、差込片59aを背面板53と折曲片57の間に差し込む。また、天面側の一対の折曲片57を内側へ折り曲げ、蓋板58を閉じて、差込片58aを背面板53と折曲片57の間に差し込む。
【0007】
その後、このように封緘した景品箱B
2を、
図7に示すように、背面板53の背面に貼り付けた両面粘着テープによりマルチパック包装体Pの側面に貼り付ける。
【0008】
このほか、景品保持パッド60を使用することなく、
図10に示すように、背面板53の下端から延長した景品支持パッド64を上向き凸状に折り曲げ、景品支持パッド64の上面に景品Gを載せて支持する景品箱B
3も考えられている。この景品箱B
3もまた、底面及び天面の封緘構造は、景品箱B
2と同様となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、
図8に示す景品箱B
2では、別体の景品保持パッド60の製造に大きな面積の材料を要するほか、マルチパック包装体Pへの添付に際し、景品保持パッド60への景品Gの嵌め込みや景品保持パッド60の挿入等に手間がかかるという問題がある。
【0011】
また、
図10に示す景品箱B
3でも、景品Gを収納する際、景品支持パッド64の折り曲げに手間がかかるという問題があるほか、ブランクの状態では、景品支持パッド64の部分が底板よりも長く突出するので、材料を効率よく利用できないという問題もある。
【0012】
そこで、この発明は、景品の収納固定が簡単で商品への添付時の作業費を抑制でき、材料に要するコストも抑制できる景品箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記のような課題を解決するため、この発明は、正面板の一側に側面板及び背面板が順次連設され、他側に側面板及び訴求板が順次連設され、前記正面板、前記一対の側面板及び前記背面板が景品収納部の周壁を形成し、前記背面板が前記景品収納部から側方へ延長され、その延長部に前記訴求板が貼り合わされた景品箱において、
前記正面板及び前記背面板の下端にそれぞれ連設された前底板及び後底板が前記景品収納部の内側上方へ折り込まれて、前記前底板及び前記後底板の先端寄りの部分同士が突き合わされ、前記景品収納部に収納された景品を前記前底板及び前記後底板の先端で受け止めるものとしたのである。
【0014】
また、前記前底板及び前記後底板の前端中央部には、景品の下部外周が嵌合する受止縁が形成されているものとし、景品の左右方向の移動を阻止して、景品が箱内でがたつかないように保持されるものとしたのである。
【0015】
また、前記背面板には、前記景品収納部を形成する部分を切り込んで、景品を引っ掛けるフック片が設けられているものとし、景品の底面側への落下が確実に防止されるようにしたのである。
【0016】
さらに、前記背面板の上端には、ヒンジとなる折目線を介して貼着片が連設され、前記貼着片を前記折目線に沿って折り返し、商品に貼り付けるものとし、折目線を軸とする揺動に伴い、商品に印刷された品質表示等の情報を読み取れるようにしたのである。
【発明の効果】
【0017】
この発明に係る景品箱は、景品収納部の底面側から景品を挿入する際、前底板及び後底板を景品収納部の内側上方へ折り込むだけで、前底板及び後底板の先端寄りの部分同士が突き合わされ、景品が前底板及び後底板の先端で受け止められるので、景品の収納固定が簡単で、商品への添付時の作業費を抑制できる。
【0018】
また、別体の景品保持パッドを使用せず、ブランクの状態で長く突出した景品支持パッドを設ける必要もないので、材料に要するコストも抑制できる。
【0019】
このため、景品及びその包装用の箱に要するコストを商品の価格に反映させることができず、箱の材料や景品の収納作業にあまりコストをかけられないという厳しい条件に適合した特性を有するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】この発明の実施形態に係る景品箱の商品への添付状態を示す斜視図
【
図4】同上の立体化した景品収納部への景品収納過程を示す斜視図
【
図7】特許文献1に記載の景品箱の商品への添付状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0021】
(概要)
図1に示すように、この景品箱B
1は、6本の飲料缶Cを集合包装するマルチパック包装体Pに、缶詰食品の缶である景品Gを添付するためのものである。ここでは、6本の飲料缶Cと、そのパッケージであるマルチパック包装体Pを商品とする。
【0022】
(ブランク)
図2に示す景品箱B
1のブランクは、板紙を材料とするものであり、表面に商品をPRする印刷が施されている。このブランクでは、正面板1の一側に側面板2及び背面板3が順次連設され、他側に側面板4及び訴求板5が順次連設されている。また、背面板3に側面板2の反対方向へ延びる延長部3aが設けられ、正面板1、一対の側面板2,4及び背面板3の延長部3aを除く部分が景品収納部6の周壁を形成するものとされている。
【0023】
正面板1と側面板2の境界に入れられた折目線6aは、ブランクからの製造時に折畳状態とするためのものであり、側面板4と訴求板5の境界に入れられた折目線6bは、景品収納部6の他の部分の折目線とは異なり、表面が窪む方向の谷折りを可能とするため、押罫と切目とが交互に断続するものとされている。
【0024】
正面板1は、背面板3よりも高さが低くなっており、側面板2,4の上端は、正面板1側から背面板3側へかけて上方へ傾斜している。側面板2,4の傾斜した上端には、折曲片7が連設され、正面板1の上端には、蓋板8及び差込片8aが順次連設されている。
【0025】
蓋板8と差込片8aの境界には、両端部に折曲片7の凸部7aと噛み合う切込8bが入れられ、中央部にロック用のスリット8cが入れられている。
【0026】
正面板1の下端及び背面板3の景品収納部6を形成する部分には、前底板9a及び後底板9bがそれぞれ連設され、前底板9a及び後底板9bの先端中央部には、景品Gの下部外周を受け止める湾入弧状の受止縁9cが形成されている。
【0027】
背面板3における景品収納部6を形成する部分の中央部には、景品Gを引っ掛けるフック片10が円形状の切込の内側に設けられ、フック片10は、上端の折目線をヒンジとして折り曲げられるものとされている。
【0028】
背面板3の上端には、折目線11を介して貼着片12が連設され、貼着片12の裏面には、目印の切込に沿って商品への取付用の両面粘着テープ13が貼り着けられている。両面粘着テープ13の表面は、初期状態では剥離紙で覆われている。
【0029】
背面板3と貼着片12の境界部には、背面板3の景品収納部6を形成する部分から貼着片12へ至る切込により、ロック片14が設けられている。ロック片14は、根元と中間部で横向きに延びる折目線をヒンジとして屈伸するものとされている。
【0030】
(ブランクからの製造工程)
上記ブランクは、製造に際し、
図3に示すように、折目線6aを軸として折り重ね、背面板3の延長部3aに訴求板5を貼り合わせて、偏平な折畳状態とする。このような折畳状態としておくと、多数枚積み重ねて保管しておいても、嵩張ることがない。
【0031】
(景品の収納)
図4に示すように、このように製造した景品箱B
1に景品Gを収納する際には、折目線6aに沿った折曲部を直角に戻すと共に、折目線6bに沿って谷折りする。これにより、正面板1、一対の側面板2,4及び背面板3の延長部3aを除く部分が四角筒状の周壁を形成し、景品収納部6が立体化される。
【0032】
次に、前底板9a及び後底板9bの少なくともいずれか一方を景品収納部6の内側へ折り込む。
図4では、後底板9bのみを折り込んでいる。また、フック片10を景品収納部6の内側へ折り込んでおく。
【0033】
そして、景品箱B1を横倒しにした状態で、景品Gの巻締部側を背面板3側へ向けて、景品Gを景品収納部6の底面となる開口から挿入する。このとき、後底板9b及びフック片10を景品Gで背面板3の内面に押し付けるようにして、景品Gを挿入方向の先端側がフック片10を少し通り過ぎる位置まで進行させる。
【0034】
その後、
図5及び
図6に示すように、景品箱B
1を直立させると共に、前底板9aを景品収納部6の内側上方へ折り込むと、前底板9a及び後底板9bの先端寄りの部分同士が突き合わされ、前底板9a及び後底板9bの下方への揺動が阻止される。
【0035】
この状態においては、景品収納部6に収納された景品Gが前底板9a及び後底板9bの受止縁9cに嵌合し、受止縁9cで下方から受け止められるように支持される。また、景品箱B1の直立に伴い、景品Gは僅かに下降し、巻締部の内周にフック片10の先端が引っ掛かって、フック片10によっても、景品Gが景品収納部6の底面側へ落下しないように受け止められる。
【0036】
最後に、天面側の一対の折曲片7を内側へ折り曲げ、蓋板8を閉じて、差込片8aを背面板3と折曲片7の間に差し込み、折曲片7の凸部7aと差込片8aの根元の切込8bとを係合させ、ロック片14を屈曲させてスリット8cに差し込むと、天面側が強固に封緘され、底面側から景品Gを抜き取ることもできないので、景品Gの盗難が防止される。
【0037】
また、景品収納部6の内部において、景品Gは、底面側の前底板9a及び後底板9bと天面側の蓋板8とで挟まれて上下方向の移動が阻止され、受止縁9cへの嵌合により左右方向の移動が阻止されるので、がたつかないようにしっかりと保持される。
【0038】
(商品への添付)
景品Gを収納した景品箱B
1は、貼着片12を折目線11に沿って後方へ折り返し、両面粘着テープ13の剥離紙を剥がして、
図1に示すように、マルチパック包装体Pの側面に両面粘着テープ13で貼り付ける。
【0039】
このように景品箱B1をマルチパック包装体Pに添付すると、景品収納部6に収納された景品Gが買い得感を消費者に与えると共に、正面板1及び訴求板5だけでなく、傾斜した蓋板8の印刷により、商品の購買意欲を高めることができる。
【0040】
また、折目線11をヒンジとして、景品箱B1の景品収納部6を訴求板5及び背面板3の延長部3aと共に揺動させることができるので、マルチパック包装体Pの側面に印刷された品質表示や商品管理用のバーコードの読み取りができなくなることはなく、マルチパック包装体Pのいずれの側面にも取り付けることができる。
【0041】
(特有の効果)
上記のような景品箱B1は、景品収納部6の底面側から景品Gを挿入する際、前底板9a及び後底板9bを景品収納部6の内側上方へ折り込むだけで、前底板9a及び後底板9bの先端寄りの部分同士が突き合わされ、景品Gが受止縁9cで受け止められるので、景品Gの収納固定が簡単で、マルチパック包装体Pへの添付時の作業費を抑制できる。
【0042】
また、別体の景品保持パッドを使用せず、ブランクの状態で長く突出した景品支持パッドを設ける必要もないので、材料に要するコストも抑制できる。
【0043】
このため、景品及びその包装用の箱に要するコストを商品の価格に反映させることができず、箱の材料や景品の収納作業にあまりコストをかけられないという厳しい条件に適合した特性を有するものとなる。
【0044】
(その他)
なお、上記実施形態では、景品箱B1として、飲料缶Cを集合包装するマルチパック包装体Pに、缶詰食品の缶である景品Gを添付するものを例示したが、前底板9aと後底板9bの突合により景品保持機能と箱の底組機能とを兼用する景品箱は、適宜形状を変更して、他の景品を収納することもでき、他の商品に添付することもできる。
【符号の説明】
【0045】
1 正面板
2 側面板
3 背面板
3a 延長部
4 側面板
5 訴求板
6 景品収納部
6a,6b 折目線
7 折曲片
7a 凸部
8 蓋板
8a 差込片
8b 切込
8c スリット
9a 前底板
9b 後底板
9c 受止縁
10 フック片
11 折目線
12 貼着片
13 両面粘着テープ
14 ロック片
B1 景品箱
C 飲料缶
G 景品
P マルチパック包装体