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特開2024-77383特定個室の使用状況管理システムおよびその制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077383
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】特定個室の使用状況管理システムおよびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/02 20060101AFI20240531BHJP
   G08B 21/22 20060101ALI20240531BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20240531BHJP
   G09F 19/00 20060101ALI20240531BHJP
   A47K 17/00 20060101ALI20240531BHJP
   E03D 9/00 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
G08B21/02
G08B21/22
G08B25/04 K
G09F19/00 Z
A47K17/00
E03D9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189448
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】593008391
【氏名又は名称】東洋ライト工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149320
【弁理士】
【氏名又は名称】井川 浩文
(74)【代理人】
【識別番号】240000235
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人柴田・中川法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏明
(72)【発明者】
【氏名】馬 鈞
(72)【発明者】
【氏名】高木 乙彦
【テーマコード(参考)】
2D037
2D038
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
2D037EA00
2D037EB00
2D038KA02
5C086AA22
5C086BA04
5C086CA06
5C086DA14
5C086DA15
5C086FA17
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA09
5C087AA10
5C087AA19
5C087DD23
5C087DD24
5C087FF01
5C087FF04
5C087GG08
5C087GG35
5C087GG66
(57)【要約】
【課題】 無線によって個々の個室ごとに使用状態を管理しつつ、それらの情報を外部に掲示し得る管理システムを提供し、併せて管理情報の制御方法を提供する。
【解決手段】 制御装置100は、扉センサ200の情報に基づき扉状態を判定する扉状態判定部102と、人感センサ300の情報に基づき使用者の状態を判定する使用者判定部103と、特定個室の使用時間を計測するタイマ109と、使用中または空室を判定する使用状況判定部104と、判定結果を出力する出力部105,106とを備える。使用状況判定部は、扉状態判定部が扉の閉状態と判定したことを条件に、使用者判定部の判定結果を参照して使用中か否かを判定し、使用中と判定した時点から予め設定される時間を超過するとき、時間超過状態と判定する。出力部は、使用状況判定部による判定結果を第1の表示装置に出力するとともに、時間超過状態の判定結果を第2の表示装置に出力する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定個室における使用状況を管理するシステムであって、
前記特定個室の出入り口に設置される開閉扉の開閉状態を検知し、該検知情報を無線送信可能な扉センサと、
前記特定個室内に設置され、該特定個室内の人の存在を検知し、該検知情報を所定の時間的な間隔ごとに無線送信可能な人感センサと、
前記各センサから送信される各検知情報を受信する受信器と、
前記特定個室に設置され、前記受信器によって受信された前記各センサによる各検知情報に基づいて前記特定個室の使用中または空室中であるかの使用状態を判定し、判定結果を出力する制御装置と、
前記制御装置から出力される情報を外部に表示する第1の表示装置と、
前記制御状態から出力される情報を特定個室内に表示する第2の表示装置とを備え、
前記制御装置は、扉センサの情報に基づき扉状態を判定する扉状態判定部と、人感センサの情報に基づき使用者の状態を判定する使用者判定部と、前記特定個室の使用時間を計測するタイマと、使用中または空室を判定する使用状況判定部と、判定結果を出力する出力部とを備え、前記使用状況判定部は、前記扉状態判定部が扉の閉状態と判定したことを条件に、前記使用者判定部の判定結果を参照して使用中か否かを判定し、使用中と判定した時点から予め設定される時間を超過するとき、時間超過状態と判定するものであり、前記出力部は、前記使用状況判定部による判定結果を前記第1の表示装置に出力するとともに、時間超過状態の判定結果を前記第2の表示装置に出力するものである
ことを特徴とする特定個室の使用状況管理システム。
【請求項2】
さらに前記制御装置に対する作動の切替スイッチを備え、
前記制御装置は、前記切替スイッチによって、管理状態とメンテナンス状態との間で作動を切り替えるものであり、メンテナンス状態では、使用中であることを示す情報を前記第1の表示装置に出力するものである請求項1に記載の特定個室の使用状況管理システム。
【請求項3】
さらに、電気通信回線に接続され、前記使用状況判定部による判定結果を外部に送信するための中継器と、電気通信回線を介して送信される情報を取得する中央処理装置と、前記中央処理装置に接続可能な掲示装置とを備え、
前記制御装置は、前記中継器に出力するための第3の出力部を備えており、該第3の出力部は、前記使用状況判定部による判定結果を、前記受信部を介して前記中継器に出力するものであり、
前記中央処理装置は、他の特定個室の使用状況とともに前記掲示装置に掲示すべき情報を集約して処理するものである請求項2に記載の特定個室の使用状況管理システム。
【請求項4】
さらに前記特定個室内に設置される照明器具と、該照明器具に対する電源供給のONおよびOFFを作動する電源スイッチとを備え、
前記制御装置は、前記特定個室が使用中であることを判定するとき、前記表示装置に対する出力と同時に前記電源スイッチに対してONに作動する信号を出力し、空室中であることを判定するとき、前記表示装置に対する出力と同時に前記電源スイッチに対してOFFに作動する信号を出力するものである請求項3に記載の特定個室の使用状況管理システム。
【請求項5】
前記特定個室はトイレブースであり、前記第1の表示装置は、トイレブースの外部に設置された表示灯であり、前記第2の表示装置は、トイレブース内に設置された表示板であり、前記制御装置は、時間超過を判定するとき、前記トイレブース内の表示板に対して時間超過を覚知させる警報を表示するものである請求項1~4のいずれかに記載の特定個室の使用状況管理システム。
【請求項6】
前記特定個室はトイレブースであり、前記掲示装置は、トイレブースの配置を表示するデジタルサイネージであり、前記中央処理装置は、前記デジタルサイネージに表示されるトイレブースの配置場所ごとに使用中か否かを表示するものである請求項3または4に記載の特定個室の使用状況管理システム。
【請求項7】
前記特定個室はトイレブースであり、前記掲示装置は、管理者モニタであり、前記中央処理装置は、時間超過を判定するとき、前記管理者モニタに対して異常警告を表示するものである請求項3または4に記載の特定個室の使用状況管理システム。
【請求項8】
特定個室の出入り口に設置される開閉扉の開閉状態を検知する扉センサと、前記特定個室内に設置され、該特定個室内の人の存在を検知する人感センサと、前記各センサにより検知された情報を取得し、該検知情報に基づいて前記特定個室の使用中または空室中であるかの使用状態を判断し、判断結果を出力する制御装置と、前記制御装置から出力される情報を表示する表示装置とを備える特定個室の使用状況管理システムにおいて、前記制御装置による制御方法であって、
前記扉センサによって検知される開閉扉の開閉状態を取得し、閉状態である検知情報が入力されることを条件として、前記人感センサによって感知される情報を所定の間隔で取得し、人が存在している状態を示す検知情報が入力される期間中を前記特定個室の使用中と判断するものであり、前記扉センサによる開閉扉の開閉状態が開状態である検知情報が入力されること、または前記人感センサによる検知情報が人の存在を検知しない情報である場合に、前記特定個室が空室であると判断するものである
ことを特徴とする特定個室の使用状況管理システムにおける制御方法。
【請求項9】
前記人感センサによって感知される情報を所定の間隔で取得する始期は、前記扉センサによる閉状態を示す検知信号が入力された後、前記人感センサに検知情報が人の存在を示す情報である場合、該人感センサの初期入力時から予め設定された時間を通常使用時間とし、該通常使用時間を超過するとき、警報状態であると判定するものである請求項8に記載の特定個室の使用状況管理システムにおける制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレブースや会議室等の特定個室の使用状況を管理するための管理システムと、管理のための制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の管理システムは、特定個室に端末として、センサ類および表示灯を設置し、親機として制御装置を設けることにより、親機が端末の情報を処理しつつ端末の表示灯を操作するものであった(特許文献1参照)。他方、端末による管理としないものとして、個々の個室(トイレブース)において超過時間を管理する構成の警報装置があった(特許文献2参照)。この技術は、専ら病院や介護施設等における個別のトイレブースを管理するものであって、複数のトイレブースの空き情報を管理できるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-091513号公報
【特許文献2】特開2010-182169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前掲の特許文献1に開示される発明は、複数の個室の空き状況を管理するために特化したものであるが、個々の個室に対しては端末機のみを設置し、この端末機が多数配置され、個別に送信される情報を親機で処理するものであることから、親機によって多数の情報を管理するには処理量が多くなり、また情報の送受信の遅延なども生じ得ることが懸念されるところである。そのため、適度な数の個室の管理に限定されることが要求され得るものとなっていた。
【0005】
他方、前掲の特許文献2に開示される発明は、個々の個室(トイレブース)ごとに管理されるものであるが、専ら病院や介護施設における使用者の体調管理のために開発されたものであり、多数の個室を管理するビルや公共施設などにおいて、外部に空き情報を掲示することを目的としておらず、また、全てを有線で接続するため配線工事の必要があった。そのため、全てを無線によって送受信する場合には、各機器について送受信器を設置しなければならないため、システム全体が高額にならざるを得なかった。
【0006】
本発明は、上記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、無線によって個々の個室ごとの所望の情報を検知しつつ、各検知情報から使用状態を管理し、それらの情報を外部に掲示し得る管理システムを提供し、併せて管理情報の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、特定個室の使用状況管理システムに係る本発明は、前記特定個室の出入り口に設置される開閉扉の開閉状態を検知し、該検知情報を無線送信可能な扉センサと、前記特定個室内に設置され、該特定個室内の人の存在を検知し、該検知情報を所定の時間的な間隔ごとに無線送信可能な人感センサと、前記各センサから送信される各検知情報を受信する受信器と、前記特定個室に設置され、前記受信器によって受信された前記各センサによる各検知情報に基づいて前記特定個室の使用中または空室中であるかの使用状態を判定し、判定結果を出力する制御装置と、前記制御装置から出力される情報を外部に表示する第1の表示装置と、前記制御状態から出力される情報を特定個室内に表示する第2の表示装置とを備え、前記制御装置は、扉センサの情報に基づき扉状態を判定する扉状態判定部と、人感センサの情報に基づき使用者の状態を判定する使用者判定部と、前記特定個室の使用時間を計測するタイマと、使用中または空室を判定する使用状況判定部と、判定結果を出力する出力部とを備え、前記使用状況判定部は、前記扉状態判定部が扉の閉状態と判定したことを条件に、前記使用者判定部の判定結果を参照して使用中か否かを判定し、使用中と判定した時点から予め設定される時間を超過するとき、時間超過状態と判定するものであり、前記出力部は、前記使用状況判定部による判定結果を前記第1の表示装置に出力するとともに、時間超過状態の判定結果を前記第2の表示装置に出力するものである
ことを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、特定個室ごとに、扉センサによって、開閉扉の状態が検知されるとともに、検知情報が受信器に送信されて制御装置において取得され、また、人感センサによって、特定個室内の人の存在が検知されるとともに、検知情報が受信器に送信されて制御装置において取得され、制御装置が、当該特定個室についてのみ個別に使用中または空室中を判定することとなる。これらにより、制御装置は単一の特定個室に対して管理制御を行うことから、個々の制御装置に情報が集中することがない。また、各センサによる検知情報のみを無線送信によることにより、各種のデータ送信の送信遅延の原因は僅少となり得る。このとき、1個の受信器は、複数のセンサ情報を受信し得るものであり、個々のセンサがセンシングしている特定個室に対する複数の制御装置を受信器に接続することにより、1個の受信器が複数の特定個室にかかる情報の振り分けを可能にするものである。受信器と制御装置との間が有線であれば制御装置ごとに受信器を備える必要がなくなり、安価なシステムとなり得る。また、制御装置による判定結果は、外部(第1の表示装置)と室内(第2の表示装置)に出力されることから、使用者本人に対する警報と、他の利用者に対する使用状況の報知が可能となる。このときの出力についても有線とすることにより、表示装置ごとに受信器を備える必要がなくなり、安価なシステムを構築できる。
【0009】
上記構成の発明において、さらに前記制御装置に対する作動の切替スイッチを備え、前記制御装置は、前記切替スイッチによって、管理状態とメンテナンス状態との間で作動を切り替えるものであり、メンテナンス状態では、使用中であることを示す情報を前記第1の表示装置に出力するように構成することができる。
【0010】
上記構成によれば、多数の特定個室を管理する場合、特に公共スペースに設置される特定個室を関する場合には、定期的に、または故障時に、当該個室を清掃し、または修繕する必要があるものの、使用中となるべき所定の条件に合致しない場合は、使用できない状況でありながら空室(使用可)を意味する表示がなされることがあり得たが、これら清掃または修繕に際しては、使用中(使用不可)を表示させることが可能となる。
【0011】
また、上記構成の発明において、さらに、電気通信回線に接続され、前記使用状況判定部による判定結果を外部に送信するための中継器と、電気通信回線を介して送信される情報を取得する中央処理装置と、前記中央処理装置に接続可能な掲示手段とを備え、前記制御装置は、前記中継器に出力するための第3の出力部を備えており、該第3の出力部は、前記使用状況判定部による判定結果を、前記受信部を介して前記中継器に出力するものであり、前記中央処理装置は、他の特定個室の使用状況とともに前記掲示装置に掲示すべき情報を集約して処理するように構成してもよい。
【0012】
上記構成によれば、制御装置(使用状況判定部)によって判定された結果は、電気通信回線を介して外部に送信可能となり、中央処理装置において複数の特定個室における使用状況を集約することができる。また、掲示装置は、有線・無線により、または電気通信回線を介して中央処理装置と接続可能であるから、複数の特定個室の状況が集約されたものを掲示装置に掲示することができる。このとき、個々の特定個室の使用状況は、あくまでも個々の制御装置によって制御されるものであるから、特定個室の管理に対する制御を中央処理装置が行うことはなく、大量のデータ処理および送信遅延のおそれもないものとなる。すなわち、中央処理装置は個々の情報を集約し、掲示可能な状態に加工するために機能するものである。
【0013】
上記構成の発明において、さらに前記特定個室内に設置される照明器具と、該照明器具に対する電源供給のONおよびOFFを作動する電源スイッチとを備え、前記制御装置は、前記特定個室が使用中であることを判定するとき、前記表示装置に対する出力と同時に前記電源スイッチに対してONに作動する信号を出力し、空室中であることを判定するとき、前記表示装置に対する出力と同時に前記電源スイッチに対してOFFに作動する信号を出力するように構成してもよい。
【0014】
このような構成の場合には、照明器具の適宜消灯を可能とし省エネルギに資することとなるうえ、特定個室内に滞在する使用者において、制御装置が使用中を検知していることを確認することができ、外部(第1の表示装置)に使用中を示す表示がされていることを個室内に居ながら判断することができる。
【0015】
なお、上記各構成の発明においては、前記特定個室をトイレブースとすることができ、この場合、前記第1の表示装置は、トイレブースの外部に設置された表示灯であり、前記第2の表示装置は、トイレブース内に設置された表示板であり、前記制御装置は、時間超過を判定するとき、前記トイレブース内の表示板に対して時間超過を覚知させる警報を表示するものとして構成することができる。
【0016】
上記のような構成によれば、トイレブースに特化した管理システムを提供することができるものであり、制御装置による表示装置に対する出力を、外部(第1の表示装置)のための出力と、室内(第2の表示装置)のための出力とを区分し、使用者への警告と、外部への報知を同時に行うことが可能となる。公共施設における突発的な体調不良の発見や、介護施設等における要介護者に対する保護に資するものとなる。
【0017】
また、中央処理装置を備える構成の上記発明において、前記特定個室はトイレブースであり、前記掲示装置は、トイレブースの配置を表示するデジタルサイネージであり、前記中央処理装置は、前記デジタルサイネージに表示されるトイレブースの配置場所ごとに使用中か否かを表示するものとして構成してもよい。
【0018】
上記構成の場合には、公共施設などの不特定多数の利用者が空き状況を確認し、当該場所へ円滑に移動するための案内図として使用することができる。なお、トイレブースの設置場所が複数存在する場合には、掲示装置に掲示される内容を設置場所ごととし、各場所における使用率(全数に対する使用数の割合)を指標とした混雑状況を演算し、併せて掲示することにより、設置場所の使用頻度を平準化させるように誘導することも可能となる。
【0019】
さらに、中央処理装置を備える構成の上記発明において、前記特定個室はトイレブースであり、前記掲示装置は、管理者モニタであり、前記中央処理装置は、時間超過を判定するとき、前記管理者モニタに対して異常警告を表示するように構成してもよい。
【0020】
上記構成によれば、管理者モニタに対して時間超過の特定個室を容易に検出し得ることとなるため、管理システムを利用して管理する管理者において、使用中の利用者の突発的な体調不良を早期に発見し得ることとなる。
【0021】
他方、使用状況管理ステムにおける制御方法に係る本発明は、特定個室の出入り口に設置される開閉扉の開閉状態を検知する扉センサと、前記特定個室内に設置され、該特定個室内の人の存在を検知する人感センサと、前記各センサにより検知された情報を取得し、該検知情報に基づいて前記特定個室の使用中または空室中であるかの使用状態を判断し、判断結果を出力する制御装置と、前記制御装置から出力される情報を表示する表示装置とを備える特定個室の使用状況管理システムにおいて、前記制御装置による制御方法であって、前記扉センサによって検知される開閉扉の開閉状態を取得し、閉状態である検知情報が入力されることを条件として、前記人感センサによって感知される情報を所定の間隔で取得し、人が存在している状態を示す検知情報が入力される期間中を前記特定個室の使用中と判断するものであり、前記扉センサによる開閉扉の開閉状態が開状態である検知情報が入力されること、または前記人感センサによる検知情報が人の存在を検知しない情報である場合に、前記特定個室が空室であると判断するものであることを特徴とする。
【0022】
上記構成によれば、扉センサの情報と人感センサの情報とを参照し、扉センサの情報によって開閉扉が閉状態であることを条件に、人感センサが人を検知するときに使用中と判断することから、人感センサの検知のみでは使用中と判定せず、人が個室に入ったものの使用を断念したときは空室状態となり、正確な判断を可能とするものである。また、扉センサによる閉状態を検知した場合であっても、人が入室していない状態は、何らかの作用によって扉が閉まっただけであり、この場合も使用していない状況を判断し得ることとなる。なお、扉の開閉検知には、施錠の有無を条件としないことにより、施錠忘れであっても使用中を判断し得るものである。また、開閉動作を確認することなく、人感センサの検知情報と一体で処理されることから、空室時に常に開状態となる扉、常に閉状態となる扉のいずれの場合であってもでも使用状態を正確に判断することができる。
【0023】
上記構成の発明において、前記人感センサによって感知される情報を所定の間隔で取得する始期は、前記扉センサによる閉状態を示す検知信号が入力された後、前記人感センサに検知情報が人の存在を示す情報である場合、該人感センサの初期入力時から予め設定された時間を通常使用時間とし、該通常使用時間を超過するとき、警報状態であると判定するものとすることができる。
【0024】
上記構成の場合には、扉センサによる開閉扉の閉状態に加えて、人感センサによる人の検知によって使用開始となることを利用し、当該状態から所定時間の経過によって、その時間の超過を警報状態と認定することが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
特定個室の使用状況管理システムに係る本発明によれば、情報収集のためのセンサは無線送信可能なセンサを使用しており、複数の特定個室に設置されるセンサの検知情報を受信部が受信し、個々の特定個室ごとに設置される制御装置に振り分けることにより、個々の制御装置において、特定個室ごとに管理情報が取得され、特定個室を単位として管理情報の処理を完結させることができる。また、個々の特定個室ごとに管理される情報を出力することにより、適宜個室の内外の表示装置に生じさせることができ、これらの個別の情報を集約することにより一括して掲示装置に掲示することも可能となる。また、使用中および空室中の情報が集約されることから、当該特定個室の空き情報(混雑情報)を算出し、適宜な方法で表示させることも可能となる。
【0026】
他方、制御方法に係る本発明によれば、特定個室ごとに、無線送信される扉情報と人情報に基づいて使用中または空室中を判定することができるものであり、情報の集中を回避しつつ確実に使用状況を判断することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】特定個室の使用状況管理システムに係る本発明による管理場所を例示する説明図である。
図2】制御装置の詳細を示すブロック図である。
図3】中央処理装置の接続状態を示す説明図である。
図4】第1の表示装置として使用する場合の表示灯を例示する説明図である。
図5】制御装置による制御方法を示す説明図である。
図6】時間超過時における制御装置による制御方法を示す説明図である。
図7】PCモニタに表示される管理画面の一例を示す説明図である。
図8】管理用のプラットフォーム画面の一例を示す説明図である。
図9】(a)はスマートフォンによる閲覧画面、(b)はデジタルサイネージによる掲示画面の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。使用状況管理システムに係る本発明は、多数の特定個室における個々の使用状況を管理するためのものであり、特定個室としては、公共施設に設置される洗面所のトイレブースや、図書館の自習室、または建物内に常設される会議室などが想定される。これらの特定個室は、その入室および退室を管理者が直接立ち会って管理するようなものではないことから、その使用状況を遠隔で管理するために、本発明の使用状況管理システムが利用されるものである。上記のように、管理者が入退室に立ち会って管理しない特定個室であれば、その用途は限定されず、上記例示以外の個室についても適用可能である。なお、ここでは、最もニーズが高いことが想定されるトイレブース(特に公共施設の洗面所)を例示しつつ実施形態を説明するものとする。
【0029】
<管理システムの概要>
例えば、高速道路に設置されるバーキングエリアやサービスエリア、駅構内や劇場などの公共施設等における洗面所(管理エリア)Aには、概ね図1に示すように、複数(図は5個を例示)の個室(トイレブース)1,2,・・・,5が整列して設けられるものである。管理エリアAの内部には、トイレブース1~5のほかに、出入り口Eからトイレブース1~5までに待機スペースSが設けられ、適度な壁面を利用して複数(図は4個)の洗面ボウルB1~B4およびカランK1~K4が設けられる構成となっている。
【0030】
使用状況管理システムに係る発明の実施形態としては、図1に示しているように、個々のトイレブース1~5ごとに、使用中か空室かを判定し、その結果を表示するものであり、そのために、個々のブースごとに、扉センサ11,21,・・・,51、人感センサ12,22,・・・,52、制御装置13,23,・・・,53、第1の表示装置14,24,・・・,54および第2の表示装置15,25,・・・,55が設けられる。なお、人感センサ12~52に連動して点灯する室内照明器具16,26,・・・,56も設けられている。また、管理エリアAには、複数の個室1~5に設置されるセンサ11~51,12~52から無線送信される検知情報を受信するための受信器RCと、この受信器RCに接続される中継器(ルーター)RTが設置されている。
【0031】
扉センサ11~51は、トイレブース1~5の入り口に設置されている開閉扉17,27,・・・,57が開閉する際に閉めた状態(なお、図は第2番目の開閉扉27のみ閉まった状態を示している)において、自由端側端縁を固定(施錠)可能とする固定部に設けられ、開閉扉17~57の自由端が固定部に当接したことを検知できるように設けられている。一般的なマグネットセンサを使用することができ、感知部分を両者の対向端面に埋め込む構成としてもよい。この扉センサに11~51には無線出力機能を有したものが使用される。なお、本実施形態における開閉扉17~57は、空室時に常に開状態となる扉を代表例として示すが、空室時に閉状態となる扉に使用することもできる。
【0032】
人感センサ12~52は、アクティブセンサやパッシブセンサなど人の存在を検知できれば種類を問わないが、検知情報を無線出力できるものが使用される。このとき、無線により出力する時間的な間隔は、人を感知しない状態において1,000分間隔(約16時間間隔)とし、人を感知した場合に、瞬時に送信を開始し、その後は5秒間隔で送信するように設定するものとする。電源の省力化と、処理すべき情報量の低減を目的としたものである。
【0033】
制御装置13~53は、受信器RCが受信した各センサ11~51,12~52から無線出力される検知情報を、当該受信器RCを介して取得し、取得した検知情報を処理し、使用中であるか、または空室中であるかを判定するものである。判定結果は、第1の表示装置14~54と第2の表示装置15~55に有線で出力されるものであり、また、受信器RCにも出力でき、受信器RCが入力した情報は、有線接続される中継器(ルーター)RTを介して外部に送信できるようになっている。
【0034】
第1の表示装置14~54は、トイレブース1~5の外部に設置した表示灯を想定している。表示灯には「使用中」の表示板が点灯するようなものである。他方、第2の表示装置15~55は、トイレブース1~5の内部壁面において、利用者が認識しやすい場所に設置され、専ら利用者に注意喚起すべき内容を表示するためのものである。特に、長時間(超過時間)の利用の場合に報知するために使用される。超過時間の使用に際しては第1の表示装置14~54の表示灯を点滅させて、外部に報知させる構成としてもよい。
【0035】
<制御装置>
制御装置13~53は、個々のトイレブース1~5ごとに設置され、個々のトイレブース1~5ごとに検知されるセンサ情報は受信器RCを経由して入力される。また、個々のトイレブース1~5ごとに判定結果に基づく出力情報を出力するものである。受信器RCは、複数のセンサ類から送信される情報を一括して受信できるものであり、個々のトイレブース1~5ごとに区別した状態でセンサ情報を受信し、当該トイレブース1~5の制御装置13~53に振り分けるものである。受信回線および出力端子の総数は、受信器RCの性能によって異なるが、概ね20個以下であることから、10以下の個室(トレブース)を管理するように振り分ける(本実施形態では7つの個室を前提とする)こととしている。なお、図1は個室の数が5つである場合を例示しているため、単一の受信器RCによって処理させているが、7つを超える数の個室を管理する場合は2個の受信器に割り振って処理させることとなる。この場合においても中継器(ルーター)RTは複数の入力ポートを有しているため、単一の中継器(ルーター)RTを設置しておけばよいものである。なお、受信器RCの機能を除けば、制御装置13~53の基本的構成は全て同じものであることから、以下において、単一の制御装置の構成について詳述する。
【0036】
制御装置および周辺機器の詳細を図2のブロック図として示す。この図2に示されるように、代表的な制御装置100は、入力部101を備え、扉センサ200、人感センサ300、さらに必要であれば他のセンサ(例えば、COセンサや温度センサなど)400から無線送信される信号を、受信器500を介して取得できるようになっている。なお、入力部101は、一般的には、制御装置100に対する入力端子が使用され、受信部500の情報が有線で伝送されるため、配線が当該端子に結線されるものである。また、受信器500は個々のセンサごとに区分されて入力されるため、当該区分に応じて振り分けられる配線がそれぞれの入力端子に結線される。
【0037】
入力されたセンサ情報は、扉情報判定部102により、扉が閉状態か開状態かの判定がなされ、また使用者判定部103により、室内に人が存在するか否かが判定される。この両判定結果は使用状況判定部104に送られ、条件成就により「使用中」と判定され、条件が満たされていない場合は「空室中」と判定される。さらに、その判定結果は、出力部105,106から外部(第1の表示装置600、第2の表示装置700)に有線により伝送されるものである。また、使用状況判定部104の判定結果情報は、第3の出力部107を経由して受信器500にも出力可能であり、受信器500をルーター(中継器)800に接続することによりネットワークに接続させることができる。さらに、使用状況判定部104の判定結果情報は、記憶部108に記憶されるものとしており、また、使用状況判定部104は、タイマ109の時間情報を取得可能となっており、使用状況の時間経過を適宜確認できるものである。
【0038】
前記のとおり、使用状況判定部104の判定結果情報は、受信器500に入力され、この受信器500がルーター500を介してネットワークに接続可能となっており、送信される管理情報を管理エリアの外部に提供可能としている。この場合、図3に示すように、さらにネットワークを介して中央処理装置900に接続可能とし、中央処理装置900で加工されるデータを各種の端末1000によって閲覧可能な状態とすることができる。端末1000としては、PC1001やスマートフォン1002などがあり、PC1001は、専ら管理者による管理のための多数の管理中の特定個室を閲覧できるようにしたものが想定され、スマートフォン1002は、個室利用者が空き状況を確認するための便宜に閲覧することが想定される。また、他の端末としてデジタルサイネージ(掲示装置)1003において表示(掲示)させるために、中央処理装置900によって加工された情報を、設置される場所に応じて必要な情報を表示(掲示)させるようにすることができる。
【0039】
<第1の表示装置>
ところで、前述のトイレブース1~5に設置される第1の表示装置14~54は、表示灯であり、「使用中」であることを表示するためのものであり、「使用中」の場合に表示板を点灯させるものとしていた。
【0040】
そこで、この表示灯の詳細を説明する。図4は、その一例を示すものである。この表示灯6(第1の表示装置14~54)は、断面コ字状に形成された基部61と、この基部61に一部を挿入可能にしてなる板状の表示板62とで構成されるものである。表示灯62には、基部61に挿入される領域の一部が切り欠かれた切欠領域7を形成しており、この切欠領域7に発光基板63が装着されている。発光基板63は、長尺な板状としており、その両端が切欠領域7の端縁部に形成される係入溝71,72に係入されることで保持可能となっている。また、発光基板63を表基板62に装着したとき、基部61の側に位置する表面には制御装置13~53に接続される端子64が装着され、裏面には、複数のLED65,66,67・・・が設けられ、制御装置13~53のON・OFFの信号を端子64から入力されることにおり、LED65,66,・・・の点灯状況が操作され、表示板62に向かって所定の色による光を照射可能(点灯および点滅可能)となっている。表示板62は、透明なプラスチック(例えばアクリル)製であり、少なくとも片方平面はブラスト加工(レーザエッチング)されることで照射光を前面に拡散させるものとしており、また、いずれか一方の表面に表示すべき文字(図は「使用中」の文字)が刻印されている。なお、表示板62の切欠領域7の両側に係止用の貫通孔73,74が穿設され、基部61の貫通孔とともに締着手段75,76,77,78によって締着させることで一体化させるものであり、このとき、前記切欠領域7の全体が基部61の内側に位置し、発光基板63を基部61の内部に配置させた状態とすることができる。また、基部61の一方端部には、壁面等との固定用としてブラケット部68,69が設けられ、基部61を壁面に対して直交方向(またはブラケット部の角度により任意な方向)へ向けて突設できるものとなっている。
【0041】
上記のような表示灯6によれば、発光基板63に設けられるLED65,66,67・・・の光が表示板62に近接した位置から照射でき、また、表示板62を保持する保持手段等に遮られることなく照射できることとなり、表示板62の発光を容易に目視し得ることとなる。また、発光基板63のLEDは、単色でもよいが、多色のLEDを用いることにより、色分けして表示させることもできる。さらに、コントローラ64によって、発光状態として、点灯のほか、点滅させることも可能であり、通常の使用時には、点灯させており、異常を報知する際に点滅させるなどの使用方法があり得る。
【0042】
<制御方法>
特定個室(トイレブース等)の使用状況管理システムに係る実施形態の構成は上記のとおりであるから、上記構成における各構成要素を使用し、使用状況を管理するための制御方法について説明する。管理のための制御は前述の制御装置100(13~53)によって行われるものである。
【0043】
図5および図6に制御の流れを示している。まず、図5に示すように、制御の開始に際しては、初期設定としてメンテナンススイッチがON(メンテナンス中を示す)の状態となっており(S101)、この状態において、表示装置(第1の表示装置)には「満」(満室のことであり「使用中」を意味する。以下同様)が出力され(S102)、使用不可であることが表示されるものである。そこで、手動によって、メンテナンススイッチをOFF(メンテナンス終了を示す)に切り替えることにより(S103)、表示装置には「空」(空いていることであり「空室中」を意味する。以下同様)が出力され(S104)、本来的な管理制御が開始される。
【0044】
管理制御が開始されると、第1に、扉センサによる検知情報を取得する(S105)。開閉扉が「閉」でなければ使用状態でないからである。従って、扉センサの検知情報を判断し(S106)、「閉状態」でない(すなわち「開状態」)の場合は、表示装置に対しては「空」の出力が維持され(S107)、扉センサの検知情報が「閉状態」となるまでループする。なお、後述するが、使用中から復帰する場合には、扉センサの検知情報が「開状態」から「閉状態」に変化するため、表示装置に対する出力は「満」から「空」に変更するように出力(S107)されることとなる。
【0045】
扉センサの検知情報が「閉状態」を検知した場合には、引き続き人感センサによる検知情報を取得する(S108)。上記構成の管理ステムでは扉の施錠の状態を管理しないことから、単に扉が閉状態となったとしても使用されているとは断定できないからである。従って、従って、取得された人感センサの検知情報を判断し(S109)、人の存在を検出しないときは、やはり「空」の出力が維持される(S110)。これに対し、人の存在が検出されるときには、使用中であることが確定するため、表示装置に「満」を出力し(S111)、当該特定個室(トイレブース)が使用中であることを外部に報知する。
【0046】
特定個室(トイレブース)が使用中となった場合には、次の制御に移行する。すなわち、図6に示すように、使用時間を計測して、時間超過を管理するのである。まず、使用中となった時点で、タイマによる測定が開始される(S201)。使用開始時を「0」として経過するタイマの情報を所得し(S202)、累積使用時間が計測される。時間計測中においても適宜扉センサの検知情報が取得され(S203)、開閉扉の状態が判断される(S204)。時間計測中に開閉扉が開放される(扉センサの検知情報が「開状態」を検出する)場合には、タイマをリセットするとともに(S205)、表示装置に「空」出力し(S206)、通常の「空室中」の状態としての管理に復帰する。
【0047】
扉センサの検知情報が「開状態」とならない場合には、当初の使用開始からの使用時間が累積され、その累積時間が予め定めた所定時間の範囲内か、超過しているかが判断される(S207)。所定時間は、特定個室の用途によって適宜変更可能であるが、トイレブースの場合には、20分程度が想定される。累積時間が所定時間の範囲内である場合には、タイマ情報の取得(S202)に戻って監視状態が繰り返される。
【0048】
タイマによる累積時間が所定範囲を超過する場合には、時間超過状態として判定し(S208)、異常事態としての出力形態に移行する。すなわち、第1の表示装置(外部設置)には警報情報を出力する(S209)。警報情報とは、例えば、第1の表示装置が表示灯である場合には点滅させるような方法があり、文字情報として「使用中」などを表示するものである場合には「異常状態警戒中」などの文字情報を表示させるような方法がある。警報情報の出力とは、これらを表示させるための信号を出力するのである。また、同時に第2の表示装置に時間超過を知らせる情報を出力する(S210)。第2の表示装置は、特定個室内に設置されるものであるため、使用者に時間超過であることを報知するような情報を出力するのである。一般的には、時間超過である旨の表示と、体調不良の場合の緊急連絡方法などを紹介する情報の表示があり得る。なお、個室の内外にスピーカを設置する場合には、スピーカから上記両表示装置に表示させるべき内容を音声により出力させてもよい(S211)。出力させる音声は、予め設定した文字列を音声合成によって音声化したものを出力することとなる。
【0049】
上記の時間超過状態が継続している間は、各種の報知(出力)が継続され、音声出力の場合は、同一内容が繰り返し出力され、扉センサの検知情報が「開状態」となるまで継続される。従って、時間超過状態と判定され(S208)、各種出力(S209~S211)が実行された直後から、扉センサの検知情報を取得し(S212)、開閉扉が「開状態」に変更されるか否かが判断される(S213)。開閉扉が「開状態」に変更されない限り、上記の警報は継続され、「開状態」に変更されたとき、第1の表示装置には「空」が出力され(S214)、第2の表示装置の時間超過情報の出力は解除され(S215)、スピーカを設置している場合はその出力も解除される(S216)。これにより、異常状態の制御形態を終了し、通常の管理制御に移行するものとなる。そのため、タイマをリセットするとともに(S205)、表示装置に「空」出力し(S206)、通常の「空室中」の状態としての管理に復帰する。
【0050】
上記のような制御方法によって特定個室の使用状況を管理するため、特定個室(トイレブース)が使用中となるためには、開閉扉が「閉状態」であることを条件として、人感センサによる個室内の人の存在を確認した場合に限定されることとなる。また、「使用中」から「空室」に復帰する場合は、扉センサによる開閉扉の状態が「開状態」となることを条件としている。これは、人感センサが人の動きを感知してセンシングするものである場合、利用者が個室内において意識を失った状態となっているときは、人感センサが人を検知しないこととなるため、その誤作動を排除するためである。
【0051】
なお、時間超過における制御にあっては、所定時間を僅かでも超過したときも、大幅に超過している場合であっても、同じ状態が出力されるものであるが、異常状態の継続時間によっては、緊急状態として、さらに他の警報・報知のための表示装置への出力を付加してもよい。
【0052】
<管理画面>
前述(図3)の制御装置100によって制御され、出力される情報を、ルーター500を介してネットワークに接続し、端末から管理状態を閲覧する場合には、前述のとおりPC1001、スマートフォン1002またはデジタルサイネージ1003とすることができるものであった。この場合、特に、PC1001によって管理状態を閲覧する際には、接続認証を受けた管理者において、閲覧が許容され、また編集や設定を行うことができるものとすることができる。
【0053】
ここで、PC1001を使用する場合の管理画面の一例を示す。図7はPC1001のモニタに表示される状態を例示したものである。画面には、個々の管理エリアごとにウィジェットが設けられ、管理エリアごとに空き状況を確認できるように表示するものとしている。画面を切り替えることにより、図8に示すような管理用のプラットフォーム画面を表示させることができものとしている。管理者用の情報は、中央処理装置内に記憶されており、PCを操作して、中央処理装置に記憶されている情報を修正することにより編集が可能となる。前記ウィジェットに表示される個々の管理エリアは、「グループ1」~「グループ4」が同一となるものを一括したものであり、編集に際しては、プラットフォーム画面の「編集/削除」タブによって、個々の情報を修正または削除できるものとしている。編集後の情報は、上記管理画面(図7)に切り替えることにより、ウィジェットにより確認できる。なお、管理者が閲覧する管理画面には、時間超過を示す「警告」表示をポップアップ画面として表示できるようにしてもよい。
【0054】
<閲覧画面>
他方、スマートフォン1002で閲覧する場合には、図9(a)に示すような画面構成とすることができる。表示させるべき情報は、中央処理装置に記憶される情報のうち、スマートフォン用に編集された内容であり、表示画面は、特定のURLによって閲覧とするものである。URLに特定される表示画面の操作(検索機能)により、表示させる内容を限定(例えば、現在位置の紳士用トイレなど)させるように構成してもよく、検索結果をスクロールすることで、条件に合致する情報を多数確認できるようにしてもよい。特定URLは、例えばQRコード(登録商標)使用し、スマートフォン1002で読み取り可能とすることにより、使用者の利便性は向上し得るものとなる。なお、管理者にあっては、前記PC1001と同様にスマートフォン1002によって管理設定画面を表示させ、管理状況の変更を可能としていてもよい。
【0055】
<掲示画面>
また、デジタルサイネージを使用して、公共施設における洗面所の空き情報を掲示する場合には図9(b)に示すような画面構成とすることができる。図9(b)は一般的なトイレブースの配置図に「空き」(空室中)および「満」(使用中)を示す文字が、トイレブースごとに表示され、現在位置からどの方角に移動した何番目のトイレブースが使用可能であるかが容易に把握できるように示すものとしている。
【0056】
なお、洗面スペースが、複数設けられている場合には、掲示板の誘導情報とともに、全体画面中において、複数のスペースにおける使用率(空き数)などを表示させるような構成としてもよい。
【0057】
<まとめ>
特定個室の使用状況管理システムに係る実施形態は、上記のような構成であるから、扉センサおよび人感センサは、いずれも無線送信され、受信器を介して制御装置に入力されるものであり、また、制御装置は、個々の特定個室(トイレブース)ごとに制御するように構成されている。従って、個々の制御装置は、特定個室(トイレブース)ごとに情報を取得しつつ、特定個室(トイレブース)を単位として制御を完結させることとなる。また、制御された情報は、個々の特定個室(トイレブース)ごとに出力されることになるから、非常時(異常状態)を検出した場合の表示装置への表示も個々の特定個室(トイレブース)ごとに関係させることができる。なお、個々の特定個室(トイレブース)の管理情報は、中央処理装置に送信することで集約することが可能となり、大量のデータを処理することなく、集約される情報を適宜な形式で掲示装置に掲示することができる。
【0058】
なお、上記に示した実施形態は、本発明の一例を示すものであり、本発明が、これらの実施形態に制限される趣旨ではない。従って、各構成要素を適宜変更し、または他の構成要素を追加するように構成してもよい。
【0059】
例えば、前述の第1の表示装置6(図4参照)は、光の照射によって表示板を点灯させるものであるが、この第1の表示装置6は、デジタルモニタとして、モニタ画面上に「使用中」なども文字構成を表示させるものであってもよい。また、各種の表示画面または掲示画面については、表示・非表示の項目を選択し、または表示位置を変更し、適宜な形式としてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1,2,3,4,5 特定個室(トイレブース)
6 表示灯(第1の表示装置)
7 表示板の切欠領域
11,21,31,41,51 扉センサ
12,22,32,42,52 人感センサ
13,23,33,43,53 制御装置
14,24,34,44,54 第1の表示装置
15,25,35,45,55 第2の表示装置
16,26,36,46,56 室内照明器具
17,27,37,47,57 開閉扉
61 基部
62 表示板
63 発光基板
64 コントローラ
65,66,67 LED
68,69 ブラケット部
71,72 係入溝
73,74 貫通孔
75,76,77,78 締着部材
100 制御装置
101 入力部
102 扉状態判定部
103 使用者判定部
104 使用状況判定部
105 第1の出力部
106 第2の出力部
107 第3の出力部
108 記憶部
109 タイマ
200 扉センサ
300 人感センサ
400 他のセンサ
500 受信器
600 第1の表示装置
700 第2の表示装置
800 ルーター(中継器)
900 中央処理装置
1000 端末
1001 PC
1002 スマートフォン
1003 デジタルサイネージ
A 管理エリア
B1,B2,B3,B4 洗面ボウル
K1,K2,K3,K4 カラン
E 出入り口
RC 受信器
RT 中継器(ルーター)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9