IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 凸版印刷株式会社の特許一覧

特開2024-77397文化財展示システム、文化財展示方法、及びプログラム
<>
  • 特開-文化財展示システム、文化財展示方法、及びプログラム 図1
  • 特開-文化財展示システム、文化財展示方法、及びプログラム 図2
  • 特開-文化財展示システム、文化財展示方法、及びプログラム 図3
  • 特開-文化財展示システム、文化財展示方法、及びプログラム 図4
  • 特開-文化財展示システム、文化財展示方法、及びプログラム 図5
  • 特開-文化財展示システム、文化財展示方法、及びプログラム 図6
  • 特開-文化財展示システム、文化財展示方法、及びプログラム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077397
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】文化財展示システム、文化財展示方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/00 20110101AFI20240531BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20240531BHJP
   G06Q 30/0601 20230101ALI20240531BHJP
   G06F 3/0482 20130101ALI20240531BHJP
【FI】
G06T19/00 A
G06T1/00 200E
G06Q30/0601 340
G06F3/0482
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189476
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】荒木田 芽
(72)【発明者】
【氏名】二俣 宏歌
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 志津子
【テーマコード(参考)】
5B050
5E555
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5B050BA09
5B050BA12
5B050BA20
5B050CA07
5B050CA08
5B050EA19
5B050FA19
5E555AA11
5E555AA22
5E555AA23
5E555AA25
5E555AA27
5E555BA02
5E555BA04
5E555BB02
5E555BB04
5E555BC17
5E555BE17
5E555DB32
5E555DC13
5E555DC21
5E555DC85
5E555EA07
5E555FA00
5L030BB24
5L030BB66
5L049BB24
5L049BB66
(57)【要約】
【課題】仮想空間において鑑賞者にとって有用な態様で文化財の展示が行われるようにする。
【解決手段】文化財を仮想空間にて再現可能にオブジェクト化したものであり、キーワードとしてのタグが付された文化財オブジェクトを仮想空間に配置するオブジェクト配置部と、ユーザにより指定されたのと同じキーワードが対応付けられた文化財オブジェクトを抽出し、抽出した文化財オブジェクトを前記オブジェクト配置部により前記仮想空間にて配置させる文化財抽出部とを備えて文化財展示システムを構成する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
文化財を仮想空間にて再現可能にオブジェクト化したものであり、キーワードとしてのタグが付された文化財オブジェクトを仮想空間に配置するオブジェクト配置部と、
ユーザにより指定されたのと同じキーワードが対応付けられた文化財オブジェクトを抽出し、抽出した文化財オブジェクトを前記オブジェクト配置部により前記仮想空間にて配置させる文化財抽出部と
を備える文化財展示システム。
【請求項2】
前記オブジェクト配置部は、初期展示対象として指定されている複数の文化財オブジェクトを前記仮想空間にて配置させ、
前記文化財抽出部は、前記配置された前記初期展示対象の文化財オブジェクトのうちから、ユーザにより指定されたのと同じキーワードが対応付けられた文化財オブジェクトを抽出し、抽出された文化財オブジェクトを前記オブジェクト配置部により前記仮想空間にて配置させる
請求項1に記載の文化財展示システム。
【請求項3】
文化財オブジェクトが対応する文化財を解説する文化財解説情報に基づいて生成した語句を、前記文化財オブジェクトのキーワードとして対応付けるワード付与部をさらに備える
請求項1または2に記載の文化財展示システム。
【請求項4】
前記抽出された文化財オブジェクトが配置された仮想空間が、対応のテーマを指定したアバターに対応するユーザのユーザ端末にて表示されるようにする仮想空間提供部をさらに備える
請求項1または2に記載の文化財展示システム。
【請求項5】
前記抽出された文化財オブジェクトが配置された仮想空間が、当該仮想空間に存在している複数のアバターのそれぞれに対応するユーザのユーザ端末にて表示されるようにする仮想空間提供部をさらに備える
請求項1または2に記載の文化財展示システム。
【請求項6】
文化財展示システムにおける文化財展示方法であって、
オブジェクト配置部が、文化財を仮想空間にて再現可能にオブジェクト化したものであり、キーワードとしてのタグが付された文化財オブジェクトを仮想空間に配置するオブジェクト配置ステップと、
文化財抽出部が、ユーザにより指定されたのと同じキーワードが対応付けられた文化財オブジェクトを抽出し、抽出した文化財オブジェクトを前記オブジェクト配置部により前記仮想空間にて配置させる文化財抽出ステップと
を含む文化財展示方法。
【請求項7】
文化財展示システムにおけるコンピュータを、
文化財を仮想空間にて再現可能にオブジェクト化したものであり、キーワードとしてのタグが付された文化財オブジェクトを仮想空間に配置するオブジェクト配置部、
ユーザにより指定されたのと同じキーワードが対応付けられた文化財オブジェクトを抽出し、抽出した文化財オブジェクトを前記オブジェクト配置部により前記仮想空間にて配置させる文化財抽出部
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文化財展示システム、文化財展示方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
美術館、南海の孤島、宇宙空間、下町ギャラリーなどとして構築されたギャラリーに美術品のオブジェクトを配置してユーザに提示するようにされた技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-296587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば博物館等としての仮想空間において文化財を展示するにあたり、現実では実現が難しいのであるが、鑑賞者にとって有用な態様で展示が行われるようにすることが求められる。
【0005】
本発明は、仮想空間において鑑賞者にとって有用な態様で文化財の展示が行われるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決する本発明の一態様は、文化財を仮想空間にて再現可能にオブジェクト化したものであり、キーワードとしてのタグが付された文化財オブジェクトを仮想空間に配置するオブジェクト配置部と、ユーザにより指定されたのと同じキーワードが対応付けられた文化財オブジェクトを抽出し、抽出した文化財オブジェクトを前記オブジェクト配置部により前記仮想空間にて配置させる文化財抽出部とを備える文化財展示システムである。
【0007】
本発明の一態様は、文化財展示システムにおける文化財展示方法であって、オブジェクト配置部が、文化財を仮想空間にて再現可能にオブジェクト化したものであり、キーワードとしてのタグが付された文化財オブジェクトを仮想空間に配置するオブジェクト配置ステップと、文化財抽出部が、ユーザにより指定されたのと同じキーワードが対応付けられた文化財オブジェクトを抽出し、抽出した文化財オブジェクトを前記オブジェクト配置部により前記仮想空間にて配置させる文化財抽出ステップとを含む文化財展示方法である。
【0008】
本発明の一態様は、文化財展示システムにおけるコンピュータを、文化財を仮想空間にて再現可能にオブジェクト化したものであり、キーワードとしてのタグが付された文化財オブジェクトを仮想空間に配置するオブジェクト配置部、ユーザにより指定されたのと同じキーワードが対応付けられた文化財オブジェクトを抽出し、抽出した文化財オブジェクトを前記オブジェクト配置部により前記仮想空間にて配置させる文化財抽出部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、仮想空間において鑑賞者にとって有用な態様で文化財の展示が行われるようになるとの効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る文化財展示システムの構成例を示す図である。
図2】本実施形態に係る仮想空間における文化財(初期展示オブジェクト群)の展示の態様例を示す図である。
図3】本実施形態に係る仮想空間における文化財(キーワード対応オブジェクト群)の展示の態様例を示す図である。
図4】本実施形態に係る文化財展示装置の構成例を示す図である。
図5】本実施形態に係る文化財情報の構造例を示す図である。
図6】本実施形態に係るユーザ端末の構成例を示す図である。
図7】本実施形態に係る文化財展示装置が実行する処理手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
図1は、本実施形態の文化財展示システムの全体的な構成例を示している。本実施形態の文化財展示システムは、文化財展示装置100と1以上のユーザ端末200とを備える。文化財展示装置100とユーザ端末200とはネットワーク経由で接続される。
【0012】
文化財展示装置100は、文化財を再現したオブジェクトを配置した3次元の仮想空間(メタバース)を構築し、構築した仮想空間をユーザ端末200に表示させることで、仮想空間に存在するアバターに向けて文化財を展示する。文化財のオブジェクトが配置される仮想空間は、例えば、現実あるいは架空の博物館を再現したものであってもよいし、博物館以外の環境を再現したものであってよい。
【0013】
文化財展示装置100は、ネットワーク上に存在する単一のサーバ等の装置として設けられてもよいし、ネットワーク上において複数に分散されて各々が所定の機能を有するサーバ等の装置間で連携して処理を実行することにより実現されてもよい。
【0014】
ユーザ端末200は、文化財展示装置100が構築した仮想空間に存在させたアバターに対応するユーザが利用する端末である。ユーザは、ユーザ端末200を操作して、ユーザ端末200を文化財展示装置100にアクセスさせる。文化財展示装置100にアクセスしたユーザ端末200は、文化財展示装置100が構築した仮想空間を表示する。また、ユーザの操作に応じて、ユーザ端末200は、ユーザに対応するアバターを仮想空間に存在させ、仮想空間にて存在するアバターをユーザの分身として行動させることができる。
ユーザは、ユーザ端末200にて表示されている仮想空間において自己の分身であるアバターに向けて文化財が展示されている様子を観察することができる。これにより、ユーザ自身が、自己のアバターを通じて、仮想空間において展示される文化財を鑑賞することができる。
【0015】
ユーザ端末200は、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、ウェアラブルVR端末等であってよい。
【0016】
図2は、文化財展示装置100により構築された仮想空間VSにおける文化財の展示の態様例を示している。
同図の仮想空間VSは、例えば博物館におけるある一室の様子が示されている。同図の仮想空間VSにおいては、例えばユーザに対応するアバターAVTが存在している状態にある。同図において、仮想空間VSにおいて、1のユーザに対応するアバターAVTが1つ存在している状態が示されているが、例えばそれぞれが異なるユーザに対応する複数のアバターも存在していてよい。
【0017】
そのうえで、仮想空間VSにおいては、文化財自体を再現したオブジェクト(もしくは文化財を紹介するパネルや書物、映像、音声、音楽等としてのオブジェクトが含まれてもよい)が文化財オブジェクトOBJとして配列された初期展示オブジェクト群G1がアバターAVTに向けて設けられている。
同図の初期展示オブジェクト群G1は、文化財オブジェクトOBJが面状に配列された態様となっている。なお、初期展示オブジェクト群G1における文化財オブジェクトOBJの配置の態様は特に限定されるものではなく、例えばアバターAVTから見て、奥行きを有するように配置されてもよい。
【0018】
また、仮想空間VSにおいて初期展示オブジェクト群G1の手前側には4つのキーワードボタンBT(BT-1、BT-2、BT-3、BT-4)が配置されている。キーワードボタンBTは、例えば仮想空間VSにおいて浮遊しているような様子で所定位置に配置されていてよい。また、キーワードボタンBTは、例えば少なくとも1つのアバターAVTが仮想空間VSにおける所定の空間範囲に存在したことに応じて出現するようにされてもよい。
【0019】
キーワードボタンBTにはそれぞれ異なるキーワードが割り当てられている。1つのキーワードは、例えば仮想空間VSの初期展示オブジェクト群G1にて展示されている文化財の特徴、分類等に対応するようなものであってよい。仮想空間VSにおいて、キーワードボタンBTごとに対応するキーワードは、対応のキーワードボタンBTに対応付けて常時示されていてもよいし、アバターAVTがキーワードボタンBTに一定以上の距離に近づいたり触れたりすることに応じて出現するようにされてもよい。
なお、仮想空間VSにて配置されるキーワードボタンBTの数については特に限定されない。
【0020】
同図の仮想空間VSをユーザ端末200にて表示させて観察しているユーザは、ユーザ端末200を操作して、自分が興味のあるキーワードが対応するキーワードボタンBTを自己のアバターAVTに操作させる。なお、ユーザがアバターAVTに操作させることに代えて、ユーザ自身がユーザ端末200にて表示されているキーワードボタンBTを操作可能なようにされてもよい。
アバターAVTがキーワードボタンBTを操作したことに応じて、仮想空間VSにおいては、図3に示すように、新たにキーワード対応オブジェクト群G2が配置される。なお、同図においては、図2にて配置されていた初期展示オブジェクト群G1が消滅し、代わりにキーワード対応オブジェクト群G2が配置された態様を示している。しかしながら、例えば初期展示オブジェクト群G1は消滅せずに、初期展示オブジェクト群G1の手前側にキーワード対応オブジェクト群G2が出現するようにして配置されてもよい。
【0021】
キーワード対応オブジェクト群G2においては、初期展示オブジェクト群G1に含まれる文化財オブジェクトOBJのうちから、キーワードボタンBTの操作に対応して指定されたキーワードに該当するものとして抽出された文化財オブジェクトOBJが配置されている。
なお、キーワード対応オブジェクト群G2における文化財オブジェクトOBJの配置の態様については特に限定されないが、文化財オブジェクトOBJについて例えば列を成すようにして配置させることも1つの好ましい態様である。このように抽出された文化財オブジェクトOBJが並んで配置されることで、例えばユーザは、配置された文化財オブジェクトOBJとしての文化財を対比して、それぞれの違いや関係性を意識しながら鑑賞することができる。
【0022】
仮想空間VSにてキーワード対応オブジェクト群G2が出現する際には、所定の特殊効果が与えられてよい。例えば、キーワード対応オブジェクト群G2が最初はぼやけている状態から、徐々に明確となっていくようにキーワード対応オブジェクト群G2を出現させてよい。
あるいは、初期展示オブジェクト群G1に配置されている文化財オブジェクトのうちから、指定されたキーワードに該当する文化財オブジェクトが初期展示オブジェクト群G1から移動してキーワード対応オブジェクト群G2に集合するようにされてもよい。
【0023】
このようにキーワード対応オブジェクト群G2が仮想空間VSに出現することで、ユーザ端末200にて仮想空間VSを表示させているユーザは、自分がアバターAVTに指定させたキーワードに対応する文化財オブジェクトを鑑賞することができる。
【0024】
キーワード対応オブジェクト群G2は、ユーザがユーザ端末200を操作して、自分のアバターに所定の行動をさせることで消去されるようにしてよい。キーワード対応オブジェクト群G2が消去されると、図2に示したように仮想空間VSにて初期展示オブジェクト群G1が存在している状態に戻ってよい。
【0025】
また、キーワード対応オブジェクト群G2は、対応のキーワードボタンBTを操作したアバターAVTが対応するユーザのユーザ端末200にて表示されている仮想空間VSにて出現するようにされてもよい。
あるいは、キーワード対応オブジェクト群G2は、仮想空間VSに存在しているアバターAVTのそれぞれに対応するユーザのユーザ端末200にて表示されている仮想空間VSにて出現するようにされてもよい。この場合には、1のユーザが指定したキーワードに対応する文化財オブジェクトOBJの展示を複数のユーザ間で共有することが可能となる。このように展示の共有が行われることで、例えば複数のユーザ間でのチャット(テキストでも音声でもよい)等によるコミュニケーションも活発になり、複数のユーザが一体感を覚えながら鑑賞体験することが可能となる。
【0026】
例えば現実の博物館などでは、博物館の運営側で定めたテーマのもとで文化財を分類し、テーマに沿った部屋ごとに対応の文化財を陳列するようにされている。つまり、現実の博物館では、文化財の展示は、予め固定的に対応付けられたテーマのもとで行われる。この場合、博物館にて来訪者が文化財にて定められているのとは異なるテーマを示すキーワードを指定して、指定したキーワードに該当する文化財を集めて鑑賞することは難しい。また、実物の文化財は、保存の観点から、「年間の展示期間」「展示の照度」「展示の際の気温」「展示の際の湿度」等が極めて厳格に管理される。また、文化財の形状や大きさも多様であり、所蔵先の博物館も様々となる。このような理由から、現実空間としての博物館等では、文化財の展示に大きな制限がある。
本実施形態の仮想空間VSであれば、ユーザが自分のアバターAVTに複数のキーワードボタンBTのうちから選択したキーワードボタンBTを操作させることで、指定したキーワードに対応のテーマに該当する文化財をユーザが鑑賞することが可能になる。つまり、ユーザは、上記のような制約を受けることなく、例えばキーワード(テーマ)に沿った文化財を纏めて鑑賞したり、或る対象の文化財についてテーマを変えて異なる観点から鑑賞するといったように、自由かつ柔軟に文化財を鑑賞することが可能となる。
【0027】
図4は、文化財展示装置100の構成例を示している。同図に示される文化財展示装置100としての機能は、文化財展示装置100としてのハードウェアにおいて備えられるCPUがプログラムを実行することにより実現される。同図の文化財展示装置100は、通信部101、制御部102、及び記憶部103を備える。
【0028】
通信部101は、ネットワーク経由でユーザ端末200等と通信を行う。
【0029】
制御部102は、文化財展示装置100における各種の制御を実行する。制御部102は、仮想空間提供部121、アバター制御部122、オブジェクト配置部123、文化財抽出部124、及びワード付与部125を備える。
【0030】
仮想空間提供部121は、ユーザに仮想空間VSの環境を提供する。具体的に、仮想空間提供部121は、仮想空間VSを構築(生成)する。仮想空間提供部121は、文化財展示装置100にアクセスしているユーザ端末200にて構築した仮想空間VSが表示されるように制御する。
【0031】
アバター制御部122は仮想空間内に存在させたアバターAVTが行動できるように制御する。ここでのアバターの行動には、アバターAVTが移動すること、アバターAVTがジェスチャーなどにより身体部分を動かすこと、アバターAVTが発言することなどが含まれてよい。アバター制御部122は、文化財展示装置100にアクセスしているユーザ端末200にユーザが行った操作に応じてアバターAVTを行動させる。また、アバター制御部122は、ユーザ端末200に対する操作によらず、所定の条件に応じてアバターAVTを行動させてもよい。
【0032】
オブジェクト配置部123は、仮想空間提供部121により構築された仮想空間VSに文化財オブジェクトを配置する。オブジェクト配置部123は、文化財情報記憶部131が記憶する文化財情報に格納される文化財オブジェクトデータを利用して文化財オブジェクトを生成し、生成した文化財オブジェクトを仮想空間VSに配置する。
【0033】
文化財抽出部124は、文化財情報記憶部131が記憶する文化財情報から、仮想空間VSにおいてアバターAVTがキーワードボタンBTを操作したことにより指定したのと同じキーワードが対応付けられた文化財オブジェクトを抽出する。文化財抽出部124は、抽出した文化財オブジェクトをオブジェクト配置部123に渡す。オブジェクト配置部123は、渡された文化財オブジェクトによりキーワード対応オブジェクト群G2を形成する。オブジェクト配置部123は、形成したキーワード対応オブジェクト群G2を仮想空間VSに配置する。
【0034】
ワード付与部125は、文化財情報記憶部131が記憶する文化財情報ごとに対応する文化財にキーワードを対応付けるようにして付与する。
例えば仮想空間VSの運用者は、運用者端末を文化財展示装置100にアクセスさせ、文化財を指定してキーワードを入力する操作を行うようにされてよい。ワード付与部125は、入力されたキーワードを、指定された文化財に対応付けるタグの1つとして、指定された文化財の文化財情報に格納してよい。例えば、文化財に適切なキーワードを設定しようとした場合には、文化財に関する歴史的背景や技法等の専門性の高い知識が求められる。そこで、仮想空間VSの運用者は、例えば博物館の学芸員、研究者等の挙げた適切なキーワードをワード付与部125に入力することで、文化財ごとに適切なキーワードを付与することができる。このようにキーワードが付与されることで、ユーザは適切なキーワードのうちから選択して関心のある文化財を鑑賞できる。
【0035】
あるいは、ワード付与部125は、文化財情報記憶部131が記憶する文化財情報に格納される文化財解説情報を基にキーワードを生成し、生成したキーワードをタグの1つとして文化財情報に格納してよい。このようなワード付与部125の機能は、文化財解説情報とキーワードとを対応付けた教師データにより学習を実行させることによって実現されるようにしてよい。このように文化財解説情報を用いてワード付与部125がキーワードを付与することで、高い専門性が要求される文化財へのキーワードの付与を、簡便に実現することが可能になる。
【0036】
なお、ワード付与部125は、文化財に対して一階層の構造によりキーワードを付してもよい。また、ワード付与部125は、例えば或る大分類に対応するキーワードの配下に中分類、小分類に対応する複数のキーワードを設定するといったように、複数階層構造によりキーワードを付してもよい。
【0037】
記憶部103は、文化財展示装置100に対応する各種の情報を記憶する。記憶部103は、文化財情報記憶部131を備える。
【0038】
文化財情報記憶部131は、文化財情報を記憶する。文化財情報は、仮想空間VSにて配置される文化財オブジェクトOBJごとに対応する情報である。
図5は、文化財情報記憶部131が1つの文化財に対応して記憶する文化財情報の構造例を示している。同図の文化財情報は、文化財ID、文化財解説情報、文化財オブジェクトデータ、及びタグリストの領域を含む。なお、文化財情報には、さらに運用者等の文化財情報を変更可能な権限を有する者が任意に付加した情報も含まれてよい。
【0039】
文化財IDの領域は、対応の文化財を一意に示す文化財IDを格納する。
【0040】
文化財解説情報の領域は、対応の文化財を解説する解説文、写真、映像、音声、音楽等を含む文化財解説情報を格納する。
【0041】
文化財オブジェクトデータの領域は、対応の文化財としての物体のオブジェクトを再現するのに用いられる文化財オブジェクトデータを格納する。
【0042】
タグリストの領域は、対応の文化財に対応付けられる1以上のタグのリストを示すタグリストを格納する。タグリストにおけるタグには、1以上のキーワードとしてのタグが含まれてよい。
【0043】
図6は、ユーザ端末200の構成例を示している。同図に示されるユーザ端末200としての機能は、ユーザ端末200としてのハードウェアにおいて備えられるCPUがプログラムを実行することにより実現される。同図のユーザ端末200は、通信部201、ユーザインターフェース部202、制御部203、及び記憶部204を備える。
【0044】
通信部201は、ネットワーク経由で文化財展示装置100と通信可能に接続する。
ユーザインターフェース部202は、ユーザインターフェースを構成する部位である。具体的に、ユーザインターフェース部202は、ユーザの操作を受け付ける入力デバイスと、画像や音声を出力する表示部、音声出力部等を備える。また、入力デバイスには、音声入力に対応するものや、表示面部に対する操作が可能なタッチパネルなども含まれてよい。
制御部203は、ユーザ端末200における各種の制御を実行する。
記憶部204は、ユーザ端末200に対応する各種の情報を記憶する。
【0045】
図7のフローチャートを参照して、本実施形態の文化財展示装置100が実行する処理手順例について説明する。同図の処理は、文化財展示装置100にアクセスしているユーザ端末200にて、アバターAVTが存在している仮想空間VSが表示されているように仮想空間提供部121が制御している状態のもとで実行される。
【0046】
ステップS100:文化財展示装置100おいてオブジェクト配置部123は、仮想空間VSにて初期展示オブジェクト群G1を配置する。この際、オブジェクト配置部123は、文化財情報記憶部131に記憶される文化財情報のうちの所定の文化財情報に格納される文化財オブジェクトデータを利用して文化財オブジェクトを生成してよい。オブジェクト配置部123は、生成した文化財オブジェクトを所定の態様で初期展示オブジェクト群G1に配置してよい。
【0047】
ステップS102:また、アバター制御部122は、仮想空間VSにて存在しているアバターAVTについて、ユーザのユーザ端末200に対する操作に応じて所定の行動をとらせるように制御する。
【0048】
ステップS104:仮想空間VSにてアバターAVTが行動している状態において、文化財抽出部124は、仮想空間VSにて配置されているキーワードボタンBTのうちのいずれかがアバターAVTにより操作されたか否かを判定する。
【0049】
ステップS106:キーワードボタンBTが操作されると、文化財抽出部124は、操作されたキーワードボタンBTに対応付けられたキーワードを取得する。
【0050】
ステップS108:文化財抽出部124は、ステップS106により取得したキーワードに対応する文化財オブジェクトを抽出する。
具体的に、文化財抽出部124は、初期展示オブジェクト群G1に配置されている文化財オブジェクトが対応する文化財情報のうちから、ステップS106により取得されたキーワードをタグリストに含む文化財情報を、文化財情報記憶部131から取得する。文化財抽出部124は、取得した文化財情報のそれぞれが格納する文化財オブジェクトデータを取得する。このように文化財抽出部124が文化財オブジェクトデータを取得することにより、文化財オブジェクトが抽出されたことになる。
【0051】
ステップS110:文化財抽出部124は、ステップS108により取得した文化財オブジェクトデータをオブジェクト配置部123に渡す。オブジェクト配置部123は、渡された文化財オブジェクトデータのそれぞれに対応する文化財オブジェクトを生成する。オブジェクト配置部123は、生成した文化財オブジェクトを配置したキーワード対応オブジェクト群G2を形成する。オブジェクト配置部123は、形成したキーワード対応オブジェクト群G2を仮想空間VSにて新たに出現させるようにして配置する。
同図の説明にあたっては、キーワード対応オブジェクト群G2が出現している際には、初期展示オブジェクト群G1が仮想空間VSから消滅するようにされている場合を例に挙げる。このため、オブジェクト配置部123は、当該ステップS110にてキーワード対応オブジェクト群G2を仮想空間VSに配置させるにあたり、これまで配置されていた初期展示オブジェクト群G1を仮想空間VSから消滅させる。
【0052】
ステップS112:ステップS110にてキーワード対応オブジェクト群G2が仮想空間VSに配置された後において、オブジェクト配置部123は、キーワード対応オブジェクト群G2を消滅させるトリガ(消滅トリガ)が発生するのを待機している。
消滅トリガは、例えばユーザ端末200からの仮想空間VSに対する所定操作が行われたことであってよい。また、消滅トリガは、制限時間としての所定時間が経過したことであってもよい。
【0053】
ステップS114:消滅トリガが発生すると、オブジェクト配置部123は、キーワード対応オブジェクト群G2を消滅させ、ステップS100の処理に戻る。このような処理によって、仮想空間VSにおいては、キーワード対応オブジェクト群G2が消滅する代わりに、初期展示オブジェクト群G1が再び出現する。
【0054】
<変形例>
以下、本実施形態の変形例について説明する。
[第1変形例]
上記図7の処理手順例では、初期展示オブジェクト群G1にて配置されている文化財オブジェクトのうちから、キーワード対応オブジェクト群G2にて配置される文化財オブジェクトが抽出(選択)される。この場合、少なくとも、キーワードボタンBTのそれぞれに対応するタグが付された全ての文化財オブジェクトが初期展示オブジェクト群G1にて配置されていることが必要になる。
しかしながら、仮想空間VSの空間容量等の制限で、キーワードボタンBTのそれぞれに対応するタグが付された全ての文化財オブジェクトを初期展示オブジェクト群G1に配置できない場合がある。
このような場合に対応して、本変形例では、例えば仮想空間VSの空間容量の範囲内で文化財情報記憶部131から適当に文化財情報を選択し、選択した文化財情報に格納される文化財オブジェクトデータを用いて、初期展示オブジェクト群G1を形成してよい。
この場合、図7のステップS108において文化財抽出部124は、初期展示オブジェクト群G1に配置されているか否かにかかわらず、ステップS106により取得されたキーワードをタグリストに含む文化財情報に格納される文化財オブジェクトデータを、文化財情報記憶部131から取得してよい。
【0055】
[第2変形例]
仮想空間において、初期展示オブジェクト群G1が配置される部屋がキーワードボタンBTの数(指定可能なキーワードの数)に応じて個別に設けられてよい。この場合には、部屋ごとに対応のキーワードボタンBTが1つずつ配置されていてよい。この場合、或る部屋にて、アバターAVTがキーワードボタンBTを操作したことに応じて、対応のキーワードに該当する文化財の文化財オブジェクトによるキーワード対応オブジェクト群G2が出現するようにされてよい。
【0056】
[第3変形例]
例えば仮想空間VSにて、ユーザ端末200に対するユーザの操作に応じてキーワードを生成し、生成したキーワードに対応するキーワードボタンBTを配置することができるキーワード生成ツールが導入されてよい。
【0057】
なお、上述の文化財展示装置100またはユーザ端末200等の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述の文化財展示装置100またはユーザ端末200等としての処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部または外部に設けられた記録媒体も含まれる。配信サーバの記録媒体に記憶されるプログラムのコードは、端末装置で実行可能な形式のプログラムのコードと異なるものでもよい。すなわち、配信サーバからダウンロードされて端末装置で実行可能な形でインストールができるものであれば、配信サーバで記憶される形式は問わない。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に端末装置で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0058】
<付記>
(1)本実施形態の一態様は、文化財を仮想空間にて再現可能にオブジェクト化したものであり、キーワードとしてのタグが付された文化財オブジェクトを仮想空間に配置するオブジェクト配置部(123)と、ユーザにより指定されたのと同じキーワードが対応付けられた文化財オブジェクトを抽出し、抽出した文化財オブジェクト(例えば、キーワード対応オブジェクト群G2)を前記オブジェクト配置部により前記仮想空間にて配置させる文化財抽出部(124)とを備える文化財展示システムである。
【0059】
(2)本実施形態の一態様は、(1)に記載の文化財展示システムであって、前記オブジェクト配置部は、初期展示対象として指定されている複数の文化財オブジェクトを前記仮想空間にて配置させ、前記文化財抽出部は、前記配置された前記初期展示対象の文化財オブジェクトのうちから、アバターが指定したのと同じキーワードが対応付けられた文化財オブジェクトを抽出し、抽出された文化財オブジェクトを前記オブジェクト配置部により前記仮想空間にて配置させてよい。
【0060】
(3)本実施形態の一態様は、(1)または(2)に記載の文化財展示システムであって、文化財オブジェクトが対応する文化財を解説する文化財解説情報に基づいて生成した語句を、前記文化財オブジェクトのキーワードとして対応付けるワード付与部をさらに備えてよい。
【0061】
(4)本実施形態の一態様は、(1)から(3)のいずれか一項に記載の文化財展示システムであって、前記抽出された文化財オブジェクトが配置された仮想空間が、対応のテーマを指定したアバターに対応するユーザのユーザ端末にて表示されるようにする仮想空間提供部をさらに備えてよい。
【0062】
(5)本実施形態の一態様は、(1)から(3)のいずれか一項に記載の文化財展示システムであって、前記抽出された文化財オブジェクトが配置された仮想空間が、当該仮想空間に存在しているアバターのそれぞれに対応するユーザのユーザ端末にて表示されるようにする仮想空間提供部をさらに備えてよい。
【0063】
(6)本実施形態の一態様は、文化財展示システムにおける文化財展示方法であって、オブジェクト配置部が、文化財を仮想空間にて再現可能にオブジェクト化したものであり、キーワードとしてのタグが付された文化財オブジェクトを仮想空間に配置するオブジェクト配置ステップと、文化財抽出部が、ユーザにより指定されたのと同じキーワードが対応付けられた文化財オブジェクトを抽出し、抽出した文化財オブジェクトを前記オブジェクト配置部により前記仮想空間にて配置させる文化財抽出ステップとを含む文化財展示方法である。
【0064】
(7)本実施形態の一態様は、文化財展示システムにおけるコンピュータを、文化財を仮想空間にて再現可能にオブジェクト化したものであり、キーワードとしてのタグが付された文化財オブジェクトを仮想空間に配置するオブジェクト配置部、ユーザにより指定されたのと同じキーワードが対応付けられた文化財オブジェクトを抽出し、抽出した文化財オブジェクトを前記オブジェクト配置部により前記仮想空間にて配置させる文化財抽出部として機能させるためのプログラムである。
【符号の説明】
【0065】
100 文化財展示装置、101 通信部、102 制御部、103 記憶部、121 仮想空間提供部、122 アバター制御部、123 オブジェクト配置部、124 文化財抽出部、125 ワード付与部、131 文化財情報記憶部、200 ユーザ端末、201 通信部、202 ユーザインターフェース部、203 制御部、204 記憶部、AVT アバター、G1 初期展示オブジェクト群、G2 キーワード対応オブジェクト群、OBJ 文化財オブジェクト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7