(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077403
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】気密試験装置
(51)【国際特許分類】
G01M 3/22 20060101AFI20240531BHJP
G01M 3/20 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
G01M3/22
G01M3/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189484
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】秋山 尚久
(72)【発明者】
【氏名】小原 勝
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067AA12
2G067BB02
2G067BB03
2G067BB25
2G067BB34
2G067CC13
2G067DD17
(57)【要約】
【課題】管に対する気密試験の精度を向上する。
【解決手段】気密試験装置(1)は、管(T1)の両端に当接し、当該両端を管(T1)の軸方向に押圧することで、管(T1)を所定の位置で固定する管固定部(10,10A)と、管(T1)の端部を被覆する被覆治具(20,20A)とを備え、被覆治具(20,20A)には、被覆治具(20,20A)の内部にエアーが注入されるエアー注入口(21A,21B)が形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管の両端に当接し、当該両端を前記管の軸方向に押圧することで、前記管を所定の位置で固定する管固定部と、
前記管の端部を被覆する被覆治具とを備え、
前記被覆治具には、当該被覆治具の内部にエアーが注入されるエアー注入口が形成されていることを特徴とする気密試験装置。
【請求項2】
前記被覆治具には、前記管が挿通される挿通孔が形成されており、
前記管と前記挿通孔との間をシールし、前記管を挿通可能な環状のシール部材をさらに備え、
前記シール部材には、前記シール部材の内部と外部との間をエアーが通過するエアー通過口が形成され、
前記シール部材は、前記エアー通過口を通過するエアーによって前記シール部材の内部の圧力が制御されることにより、前記管の径方向に伸縮することを特徴とする請求項1に記載の気密試験装置。
【請求項3】
前記エアー通過口は、前記シール部材の周方向に沿って複数形成されていることを特徴とする請求項2に記載の気密試験装置。
【請求項4】
前記管固定部を前記管の前記両端に押圧させるシリンダをさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の気密試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気密試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、管を所定の位置で固定するための管固定部と、管を覆うためのフードと、を備える気密試験装置が開示されている。当該気密試験装置では、管固定部がパッキンを介して管の端部に当接することにより、管の気密性を向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の気密試験装置では、気密試験の繰り返しによるパッキンのへたりの影響により、検知用ガスが管の端部から管の内部に入り込む場合がある。よって、当該気密試験装置には、管に対する気密試験の精度を向上する点で改善の余地がある。本発明の一態様は、管に対する気密試験の精度を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る気密試験装置は、管の両端に当接し、当該両端を前記管の軸方向に押圧することで、前記管を所定の位置で固定する管固定部と、前記管の端部を被覆する被覆治具とを備え、前記被覆治具には、当該被覆治具の内部にエアーが注入されるエアー注入口が形成されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様によれば、管に対する気密試験の精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る気密試験装置の全体構成を示す模式図である。
【
図2】
図1に示す気密試験装置が備える被覆治具付近を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示す気密試験装置が備えるシール部材の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<気密試験装置1の構成>
図1は、本発明の実施形態1に係る気密試験装置1の全体構成を示す模式図である。
図2は、
図1に示す気密試験装置1が備える被覆治具20付近を示す斜視図である。
図1において、ガス注入器50から管T1に向かう方向をZ軸方向、管T1の延伸方向をX軸方向、X軸方向及びZ軸方向の両方に直交する方向をY軸方向とする。
【0009】
X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は互いに直交する方向である。Z軸正方向は上方向であり、Z軸負方向は下方向である。ここで説明したX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の定義は、
図1以外の他の図においても適用されるものとする。
図2は、真空ポンプ11P、検知部12及びフード40を省略している。
【0010】
気密試験装置1は、管T1の気密性を試験する気密試験を行うための装置である。管T1としては、例えばダクタイル鋳鉄管が挙げられる。また、管T1は必ずしもダクタイル鋳鉄管に限定されるものではなく、鋼管等の金属製の管であってもよい。
図1に示すように、気密試験装置1は、管固定部10,10Aと、真空ポンプ11Pと、検知部12と、バルブV1,V2と、被覆治具20,20Aと、シール部材30,30Aと、を備える。また、気密試験装置1は、フード40と、ガス注入器50と、台座60と、支持ローラ61と、シリンダ70と、を備える。
【0011】
<管固定部10,10A及びシリンダ70の構成>
管固定部10,10Aは、管T1の両端に当接し、当該両端を管T1の軸方向に押圧することで、管T1を所定の位置で固定する。管T1の軸方向はX軸方向である。管固定部10は固定端11を有し、管固定部10Aは押圧端11Aを有する。固定端11は、気密試験装置1において一定の位置に固定されている。
【0012】
管T1の一端には、他の管T1の挿し口を挿入可能な受口が形成され、管T1の他端には、他の管T1の受口に挿入可能な挿し口が形成されている。固定端11には管T1の受口側の端部T2が当接する。なお、挿し口及び受口が形成された管T1は一例であり、管T1は、必ずしも挿し口及び受口が形成されているものに限定されない。
【0013】
押圧端11Aは、シリンダ70のロッド71に接続されている。ロッド71がX軸方向に移動することにより、押圧端11Aは、固定端11に対してX軸方向に移動する。押圧端11Aには管T1の挿し口側の端部T3が当接する。
【0014】
シリンダ70は、ロッド71及び筒状体72を有する。ロッド71はX軸方向に延伸しており、筒状体72はロッド71を収容可能なものである。シリンダ70は、管固定部10,10Aを管T1の両端に押圧させる。具体的には、シリンダ70は、ロッド71をX軸正方向に移動させることにより、固定端11を管T1の端部T2に押圧させるとともに、押圧端11Aを管T1の端部T3に押圧させる。これにより、管T1は固定端11と押圧端11Aとの間に挟持された状態で所定の位置に固定される。
【0015】
シリンダ70は、例えば、筒状体72の内部に注入される流体の流体圧によってロッド71をX軸方向に移動させる流体圧シリンダである。当該流体圧シリンダとしては、例えば油圧シリンダが挙げられる。また、シリンダ70は、電動でロッド71をX軸方向に移動させる電動シリンダであってもよい。
【0016】
シリンダ70が管固定部10,10Aを管T1の両端に押圧させるため、管固定部10,10Aを管T1の両端に強力に押圧させることができる。よって、管T1と管固定部10,10Aとの間の気密性を十分に担保することができ、気密試験の精度を向上することができる。
【0017】
固定端11は、パッキンP1を介して管T1の端部T2に当接し、押圧端11Aは、パッキンP2を介して管T1の端部T3に当接する。このため、管T1の気密性を試験する場合に用いる検知用ガスが、固定端11と管T1との間から管T1の内部に入り込むことを防ぐとともに、押圧端11Aと管T1との間から管T1の内部に入り込むことを防ぐことができる。検知用ガスは、大気中における存在比率が極めて小さいガスであり、検知用ガスの具体例として、He(ヘリウム)またはAr(アルゴン)が挙げられる。
【0018】
また、固定端11には、管T1に対向する面から当該面の逆側の面まで貫通する貫通孔16が形成されている。固定端11に管T1が当接している場合、貫通孔16は管T1の内部と連通する。なお、固定端11に管T1の端部T3が当接するとともに、押圧端11Aに管T1の端部T2が当接してもよい。
【0019】
<真空ポンプ11P及び検知部12の構成>
真空ポンプ11Pは、管T1の内部を真空にするポンプである。真空ポンプ11Pには配管14が接続されており、配管14にはバルブV1が設けられている。配管14は、別の配管13に接続されている。配管13の一部は貫通孔16の内部に配置されている。バルブV1が開いている場合、真空ポンプ11Pは、配管13及び配管14を介して管T1の内部と連通する。
【0020】
検知部12は、管T1の内部において検知用ガスを検知するものである。検知部12としては、例えば、気体の成分を分析する分析器が挙げられる。検知部12には配管15が接続されており、配管15にはバルブV2が設けられている。配管15は配管13に接続されている。つまり、配管14及び配管15は、配管13に合流している。バルブV2が開いている場合、検知部12は、配管13及び配管15を介して管T1の内部と連通する。
【0021】
<被覆治具20,20Aの構成>
被覆治具20は、管固定部10,10Aで固定された管T1の端部T2を被覆するものであり、被覆治具20Aは、管固定部10,10Aで固定された管T1の端部T3を被覆するものである。
図2に示すように、被覆治具20の側面25には、被覆治具20の内部にエアーが注入されるエアー注入口21A,21B,21C,21Dが形成されている。
【0022】
被覆治具20の内部とは、被覆治具20、管T1及び管固定部10により規定される空間である。また、被覆治具20には、被覆治具20の内部からエアーを排出する図示しないエアー排出口がさらに形成されている。これにより、被覆治具20の内部の検知用ガスの濃度を下げることができる。
【0023】
エアー注入口21A~21Dにはそれぞれ、チューブ22A,22B,22C,22Dが接続されている。エアー注入口21A~21D及びチューブ22A~22Dを介して、被覆治具20の内部にエアーが注入される。被覆治具20Aは、管T1の端部T3を被覆する点を除いて、被覆治具20と同様の構成を有する。このため、以下の説明では、被覆治具20についてのみ説明し、被覆治具20Aについての説明を省略する。
【0024】
被覆治具20は管T1の端部T2を被覆するため、被覆治具20の形状は環状である。被覆治具20をX軸方向に垂直な平面で切断した場合の被覆治具20の断面形状は円形となる。なお、被覆治具20の断面形状は矩形であってもよい。また、被覆治具20は、少なくとも2つの部分被覆治具を組み合わせることで構成されてもよい。当該部分被覆治具は、管T1の周方向において互いに異なる範囲を被覆する。それぞれの上記部分被覆治具が被覆する範囲は互いに接している。
【0025】
被覆治具20は、X軸方向に垂直な前面24と、前面24の外周端部からX軸正方向に延伸する側面25と、を有する。側面25は管固定部10に固定され、側面25におけるX軸負方向側の端部は前面24に接続されている。前面24には、管T1が挿通される挿通孔23が形成されている。
【0026】
<シール部材30,30Aの構成>
図3は、
図1に示す気密試験装置1が備えるシール部材30の構成を示す図である。
図3の符号101の図は、シール部材30の構成を示す正面図であり、
図3の符号102の図は、
図3の符号101の点線L1でのシール部材30の断面構成を示す断面図である。
図3の符号102の図には、気密試験装置1においてシール部材30の近傍に位置する他の部材も併せて示している。
【0027】
被覆治具20Aに設けられるシール部材30Aは、シール部材30と同様の構成を有する。このため、以下の説明では、シール部材30についてのみ説明し、シール部材30Aについての説明を省略する。
【0028】
図1及び
図2に示すように、シール部材30は、挿通孔23に設けられ、管T1と挿通孔23との間をシールする。
図3の符号101に示すように、シール部材30の形状は管T1を挿通可能な環状である。
図3の符号102に示すように、シール部材30は、固定部31及び伸縮部32を備える。
【0029】
固定部31は、シール部材30の内部の圧力によらず、略一定の形状を維持する部位である。固定部31の材料は、例えばステンレスで形成されてよいが、これに限定されない。固定部31は、シール部材30の外周側に位置する。固定部31は、シール部材30の周方向に垂直な断面において、シール部材30の外周側に凸な略U字形状を有する。
【0030】
伸縮部32は、シール部材30の内部の圧力に応じて伸縮する部位である。伸縮部32は、例えばNBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)等のゴムであるが、これに限定されず、シリコン等の樹脂材料であってもよい。伸縮部32は、シール部材30の内周側に位置する。伸縮部32は、シール部材30の周方向に垂直な断面において、シール部材30の内周側に凸な略U字形状を有する。
【0031】
シール部材30には、シール部材30の内部と外部との間をエアーが通過するエアー通過口33が形成されている。シール部材30は、エアー通過口33を通過するエアーによってシール部材30の内部の圧力が制御されることにより、管T1の径方向に伸縮する。具体的には、エアー通過口33をシール部材30の外部から内部へエアーが通過する、すなわちエアー通過口33を介してシール部材30の内部にエアーが注入されることで、シール部材30の内部の圧力が上昇する。また、エアー通過口33をシール部材30の内部から外部へエアーが通過する、すなわちエアー通過口33を介してシール部材30の内部からエアーが吸引されることで、シール部材30の内部の圧力が下降する。
【0032】
シール部材30の内部の圧力が上昇すると、シール部材30が環状形状の内側に向かって膨張し、挿通孔23と管T1との間がシール部材30によりシールされる。その結果、検知用ガスが管T1の中央付近から被覆治具20の内部へ流入すること、および、当該検知用ガスが管T1の端部T2から管T1の内部へ流入することを防ぐことができる。したがって、気密試験の精度を向上させることができる。
【0033】
また、シール部材30が環状形状の内側に向かって膨張した状態では、被覆治具20の内部のエアーが外部へ漏れ出すことも防ぐことができる。すなわち、被覆治具20の内部から漏れ出したエアーによって被覆治具20の近傍の検知用ガスが吹き飛ばされることを防ぐことができる。このため、被覆治具20の近傍についても管T1の試験範囲とすることができる。したがって、気密試験装置1を用いた気密試験における、管T1の未試験範囲を小さくすることができる。
【0034】
一方、シール部材30の内部の圧力が下降すると、シール部材30が環状形状の外側に向かって収縮することで、シール部材30から管T1への圧力が小さくなる。この状態では、シール部材30が環状形状の内側に向かって膨張した状態と比較してシール部材30と管T1との間の摩擦力が小さくなるか、またはシール部材30と管T1とが非接触となるため、管T1を被覆治具20から挿脱する場合に必要な力を低減できる。したがって、気密試験装置1からの管T1の取り外しが容易になる。さらに、シール部材30と管T1との摩擦に起因する、シール部材30のへたりを低減できる。
【0035】
図3の符号101に示すように、エアー通過口33は、シール部材30の周方向に沿って複数形成されていてよい。これにより、伸縮部32が厚みのあるゴムで形成されている場合であっても、エアー通過口33が単一である場合と比較して、シール部材30を均等に伸縮させることができる。
【0036】
図3の符号101に示す例では、エアー通過口33は、シール部材30の周方向に沿って等間隔に8個形成されている。ただし、エアー通過口33の数及び間隔は、
図3の符号101に示した例に限定されない。エアー通過口33の数が多ければ、シール部材30をより均等に伸縮させることができる。
【0037】
また、エアー通過口33は、シール部材30の径方向における外側に形成されている。すなわち、エアー通過口33は、固定部31に形成されている。このため、シール部材30の内部の圧力の変化によって伸縮部32が伸縮しても、エアーが安定してエアー通過口33を通過できる。
【0038】
シール部材30は、被覆治具20の内部に配置されている。また、上述したとおり、被覆治具20の内部にはエアー注入口21A~21Dからエアーが注入されている。
【0039】
このため、通常は、エアーによって被覆治具20の内部からシール部材30が押される力は、検知用ガスによって管T1の中央付近からシール部材30が押される力よりも大きくなる。よって、被覆治具20の内部に配置されているシール部材30に対しては、被覆治具20から離隔させる方向の力よりも、被覆治具20に向かう方向の力の方が大きくなる。したがって、管T1と挿通孔23との間の気密性をより向上させることができる。
【0040】
気密試験装置1は、エアー制御機構(不図示)をさらに備える。エアー制御機構は、エアー通過口33にエアーを通過させるタイミングと、被覆治具20の内部にエアーが注入されるタイミングと、を別々に制御可能である。
【0041】
エアー通過口33を通過するエアーは、シール部材30を伸縮させるために用いられる。一方、被覆治具20の内部に注入されるエアーは、被覆治具20の内部の圧力を上昇させるために用いられる。よって、エアー通過口33を通過するエアーが用いられる目的と、被覆治具20の内部に注入されるエアーが用いられる目的と、は互いに異なる。エアー通過口33にエアーを通過させるタイミングと、被覆治具20の内部にエアーを注入するタイミングと、をエアー制御機構により別々に制御することにより、気密試験の作業性を向上することができる。
【0042】
図1においては、気密試験装置1は、シール部材30を1つのみ備える。しかし、気密試験装置1は、シール部材30を複数備えていてもよい。その場合、複数のシール部材30は、管T1の軸方向に沿って配置されてよい。これにより、シール部材30が膨張した状態において、検知用ガスが管T1の中央付近から被覆治具20の内部へ流入すること、及び、被覆治具20の内部のエアーが被覆治具20の外部へ漏れ出すことを、より確実に防ぐことができる。
【0043】
<フード40及びガス注入器50の構成>
図1に示すように、フード40は、管固定部10,10Aに固定された管T1を覆うものである。フード40は、図示しない複数のチェーンによって吊り下げられている。ガス注入器50は、フード40が管T1を覆った状態で、フード40と管T1の外面との間の空間に検知用ガスを注入する。
【0044】
ガス注入器50は、フード40と管T1の外面との間の空間に検知用ガスを注入するためのガス注入管51を有する。フード40が管T1を覆った状態で、ガス注入管51の開口端は、フード40の下端よりも高い位置に配置されているとともに、管T1の外面に接触しない位置に配置されている。ただし、ガス注入管51の開口端の位置はこれに限られない。
【0045】
<台座60及び支持ローラ61の構成>
複数の台座60にはそれぞれ、支持ローラ61が設けられている。支持ローラ61は管T1を支持する。支持ローラ61に支持された管T1は、支持ローラ61の回転により、X軸方向に移動可能である。
【0046】
シリンダ70がロッド71をX軸正方向に移動させるとともに、支持ローラ61がY軸正方向に対して右回転する場合を考える。この場合、管T1と支持ローラ61との間に生じる摩擦力により、管T1を被覆治具20の内部に挿入し、管T1の端部T2を固定端11に押圧させることができる。また、シリンダ70がロッド71をX軸負方向に移動させるとともに、支持ローラ61がY軸正方向に対して左回転する場合、管T1と支持ローラ61との間に生じる摩擦力により、管T1を被覆治具20から引き抜くことができる。
【0047】
支持ローラ61は、管T1の外径または気密試験の進行に応じて、Z軸方向に移動可能であってもよい。この場合、台座60における支持ローラ61の載置面が図示しないモータにより昇降される。
【0048】
本実施形態において、管T1の端部T2を被覆する被覆治具20に形成されているエアー注入口21A~21Dから被覆治具20の内部にエアーが注入されることで、被覆治具20の内部の圧力が上昇する。このため、気密試験に用いる検知用ガスが被覆治具20の内部へ流入しにくくなる。これにより、管T1の端部T2の周辺に存在する検知用ガスが管T1の端部T2から管T1の内部へ流入しにくくなる。したがって、気密試験の精度を向上することができる。
【0049】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1 気密試験装置
10、10A 管固定部
20、20A 被覆治具
21A~21D エアー注入口
23 挿通孔
30、30A シール部材
33 エアー通過口
70 シリンダ
T1 管
T2、T3 端部