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特開2024-77408文化財展示システム、文化財展示方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077408
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】文化財展示システム、文化財展示方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/00 20110101AFI20240531BHJP
   G06F 3/04815 20220101ALI20240531BHJP
【FI】
G06T19/00 300A
G06F3/04815
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189491
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】荒木田 芽
(72)【発明者】
【氏名】二俣 宏歌
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 志津子
【テーマコード(参考)】
5B050
5E555
【Fターム(参考)】
5B050BA09
5B050BA11
5B050BA12
5B050BA13
5B050BA20
5B050CA07
5B050CA08
5B050EA07
5B050EA19
5E555AA27
5E555AA76
5E555BA02
5E555BA05
5E555BA06
5E555BB02
5E555BB05
5E555BB06
5E555BC04
5E555BE17
5E555CA12
5E555CB12
5E555CB31
5E555CC05
5E555DB32
5E555DB53
5E555DC19
5E555DC30
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】仮想空間において鑑賞者にとって有用な態様で文化財の展示が行われるようにする。
【解決手段】文化財を仮想空間にて再現可能にオブジェクト化した文化財オブジェクトを仮想空間に配置するオブジェクト配置部と、前記文化財オブジェクトが配置された仮想空間において所定の効果を付与する効果付与部とを備えて文化財展示システムを構成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
文化財を仮想空間にて再現可能にオブジェクト化した文化財オブジェクトを仮想空間に配置するオブジェクト配置部と、
前記文化財オブジェクトが配置された仮想空間において所定の効果を付与する効果付与部と
を備える文化財展示システム。
【請求項2】
前記効果付与部は、等身大に対応するサイズのアバターを縮小させて文化財オブジェクトの内部に存在させるように効果を付与する
請求項1に記載の文化財展示システム。
【請求項3】
前記効果付与部は、前記仮想空間におけるアバターの行動に応じて音が発せられるように効果を付与する
請求項1または2に記載の文化財展示システム。
【請求項4】
前記効果付与部は、前記仮想空間における風景を変化させるように効果を付与する
請求項1または2に記載の文化財展示システム。
【請求項5】
文化財展示システムにおける文化財展示方法であって、
オブジェクト配置部が、文化財を仮想空間にて再現可能にオブジェクト化した文化財オブジェクトを仮想空間に配置するオブジェクト配置ステップと、
効果付与部が、前記文化財オブジェクトが配置された仮想空間において所定の効果を付与する効果付与ステップと
を含む文化財展示方法。
【請求項6】
文化財展示システムにおけるコンピュータを、
文化財を仮想空間にて再現可能にオブジェクト化した文化財オブジェクトを仮想空間に配置するオブジェクト配置部、
前記文化財オブジェクトが配置された仮想空間において所定の効果を付与する効果付与部
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文化財展示システム、文化財展示方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
美術館、南海の孤島、宇宙空間、下町ギャラリーなどとして構築されたギャラリーに美術品のオブジェクトを配置してユーザに提示するようにされた技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-296587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば博物館等としての仮想空間において文化財を展示するにあたり、現実では実現が難しいのであるが、鑑賞者にとって文化財に対する理解が深まるようにされた有用な態様で展示が行われるようにすることが求められる。
【0005】
本発明は、仮想空間において鑑賞者にとって有用な態様で文化財の展示が行われるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決する本発明の一態様は、文化財を仮想空間にて再現可能にオブジェクト化した文化財オブジェクトを仮想空間に配置するオブジェクト配置部と、前記文化財オブジェクトが配置された仮想空間において所定の効果を付与する効果付与部とを備える文化財展示システムである。
【0007】
本発明の一態様は、文化財展示システムにおける文化財展示方法であって、オブジェクト配置部が、文化財を仮想空間にて再現可能にオブジェクト化した文化財オブジェクトを仮想空間に配置するオブジェクト配置ステップと、効果付与部が、前記文化財オブジェクトが配置された仮想空間において所定の効果を付与する効果付与ステップとを含む文化財展示方法である。
【0008】
本発明の一態様は、文化財展示システムにおけるコンピュータを、文化財を仮想空間にて再現可能にオブジェクト化した文化財オブジェクトを仮想空間に配置するオブジェクト配置部、前記文化財オブジェクトが配置された仮想空間において所定の効果を付与する効果付与部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、仮想空間において鑑賞者にとって有用な態様で文化財の展示が行われるようになるとの効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る文化財展示システムの構成例を示す図である。
図2】本実施形態に係る仮想空間における文化財の展示の態様例を示す図である。
図3】本実施形態に係る仮想空間における文化財の展示の態様例を示す図である。
図4】本実施形態に係る文化財展示装置の構成例を示す図である。
図5】本実施形態に係るオブジェクトデータの構造例を示す図である。
図6】本実施形態に係る付与効果情報の構造例を示す図である。
図7】本実施形態に係るユーザ端末の構成例を示す図である。
図8】本実施形態に係る文化財展示装置が実行する処理手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
図1は、本実施形態の文化財展示システムの全体的な構成例を示している。本実施形態の文化財展示システムは、文化財展示装置100と1以上のユーザ端末200とを備える。文化財展示装置100とユーザ端末200とはネットワーク経由で接続される。
【0012】
文化財展示装置100は、文化財を再現したオブジェクトを配置した3次元の仮想空間(メタバース)を構築し、構築した仮想空間をユーザ端末200に表示させることで、仮想空間に存在するアバターに向けて文化財を展示する。文化財のオブジェクトが配置される仮想空間は、例えば、現実あるいは架空の博物館を再現したものであってもよいし、博物館以外の環境を再現したものであってよい。
【0013】
文化財展示装置100は、ネットワーク上に存在する単一のサーバ等の装置として設けられてもよいし、ネットワーク上において複数に分散されて各々が所定の機能を有するサーバ等の装置間で連携して処理を実行することにより実現されてもよい。
【0014】
ユーザ端末200は、文化財展示装置100が構築した仮想空間に存在させたアバターに対応するユーザが利用する端末である。ユーザは、ユーザ端末200を操作して、ユーザ端末200を文化財展示装置100にアクセスさせる。文化財展示装置100にアクセスしたユーザ端末200は、文化財展示装置100が構築した仮想空間を表示する。また、ユーザの操作に応じて、ユーザ端末200は、ユーザに対応するアバターを仮想空間に存在させ、仮想空間にて存在するアバターをユーザの分身として行動させることができる。
ユーザは、ユーザ端末200にて表示されている仮想空間において自己の分身であるアバターに向けて文化財が展示されている様子を観察することができる。これにより、ユーザ自身が、自己のアバターを通じて、仮想空間において展示される文化財を鑑賞することができる。
【0015】
ユーザ端末200は、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、ウェアラブルVR端末等であってよい。
【0016】
図2は、文化財展示装置100により構築された仮想空間VSにおける文化財の展示の態様例を示している。
同図の仮想空間VSにおいては、メインの鑑賞対象の文化財のオブジェクトとして、工芸品としての箱BXが配置されている。箱BXが対応する実際の文化財は、例えば硯箱とされ、人が手に持って使用できる程度の大きさのものである。
一方、仮想空間VSにおける箱BXは、アバターAVTのサイズと比較して分かるように、アバターAVTよりも大きなサイズとなっている。つまり、仮想空間VSにける箱BXは、アバターAVTのサイズを等身大として捉えた場合には、巨大化された状態で配置されている。
【0017】
箱BXの表側の面には、意匠として草花の植わった土地に橋が渡された様子の絵が描かれている。仮想空間VSにおいて箱BXが置かれた周囲は、箱BXに描かれている様子を模すようにして、3次元的に展開した環境となっている。つまり、仮想空間VSにおいて箱BXが置かれた周囲では、箱BXに描かれているのと同じ草花PLが植わっており、箱BXに描かれているのと同じ橋BRが架けられている。このように、仮想空間VSにおいては、箱BX、草花PL、橋BR等のオブジェクトが配置されている。
このような仮想空間VSにおいては、例えば風が吹くことにより草花PL等の草木が揺れたり、風や水の音が鳴ったりするようにして風景の環境において変化が生じるように効果が与えられてよい。このような風景の環境において付与する変化として他には、例えば、四季の変化、一日における朝昼夜の変化、天候の変化、太陽光等の光の変化、雲の動きなどを挙げることができる。
実物の文化財は、保存の観点から展示に際しての照度、温度、湿度などについて極めて厳格に管理される必要があることから、例えば屋外の環境で鑑賞するようなことは非常に難しい。これに対して、本実施形態のもとでは、例えば屋外を模した仮想空間VSにて文化財を配置し、上記のように風景の環境を多様に変化させることもできる。この場合、ユーザは、屋外のような環境にて周囲の風景の条件を多様に変化させたときの文化財の様子を鑑賞することができる。これにより、例えばかつて文化財が実際に使用されていたときの様子を再現して風景の中で文化財を鑑賞することも可能となる。このような文化財の鑑賞が可能となることで、ユーザは、文化財への理解をさらに深めることができる。
【0018】
アバターAVTが同図の仮想空間VSに入場した際、アバターはスタートエリアSTにて存在するようにされる。橋BRのたもとはスタートエリアSTに架けられている。
アバターAVTは、対応のユーザのユーザ端末200に対する操作に応じて、スタートエリアSTから出発して橋BRを渡りながら仮想空間VS内を移動できる。例えばユーザが、橋BRの上にてアバターAVTの視点を箱BXに向けさせ、アバターAVTの視点から仮想空間VSをユーザ端末200にて表示させることにより、等身大よりも大きな箱BXの外側を観察することができる。
【0019】
現実の箱BXの文化財に施されている橋の意匠は、金属が材料として用いられている。このことに応じて、仮想空間VSにおいてオブジェクトとして配置されている橋BRも金属による材質の物として存在する。そこで、アバターAVTが橋BRの上を移動する際には、アバターAVTが歩行(あるいは走行)に応じて橋BRを踏むことに応じて金属音による足音が鳴るようにされる。このように金属音による足音が聞こえることで、アバターAVTを操作するユーザは、文化財としての現実の箱BXに描かれている橋が金属製であることを感覚的に認識できる。
【0020】
橋BR上には、5つの文字オブジェクトLOBが配置されている。5つの文字オブジェクトLOBのそれぞれには、例えば箱BXとしての文化財に由来する和歌の5つの句ごとの頭の一文字が示されている。
アバターAVTは、ユーザの操作に応じて、橋BRの上に配置される文字オブジェクトLOBの位置に赴いて文字オブジェクトLOBを収集することができる。文字オブジェクトLOBの全てがアバターAVTにより収集されると、仮想空間VSにおいて対応の和歌が所定の態様で出現する。この際、和歌としての句に加えて、和歌の詠み人、詠まれた背景などの解説が表示されてもよい。
このような効果が付与されることで、アバターAVTを操作するユーザは、箱BXとしての文化財に関連する和歌を鑑賞することができる。
【0021】
また、橋BRにおいて箱BXに近い位置には、移動地点P1が設定されている。移動地点P1に位置したアバターAVTは、巨大化された箱BXの蓋の上に設定された移動地点P2に移動することができる。移動地点P2に移動したアバターAVTは、箱BXの蓋の上を自由に移動できる。
また、箱BXの蓋の上の所定位置には移動地点P3が配置されている。移動地点P3に位置したアバターAVTは、箱BXの内部の底面に設けられた移動地点P4に移動することができる。移動地点P4にまで移動すると、アバターAVTは、箱BXの内部に入場できたことになる。
【0022】
なお、アバターAVTが箱BXの内部に存在している状態は、相対的に、仮想空間VSにおける箱BXが実物のサイズを再現しているものとした場合には、等身大に対応するサイズのアバターAVTを縮小させていると捉えることができる。
【0023】
図3は、仮想空間VSにおける箱BXの内部の様子を示している。実物の箱BXの内側の面には模様が描かれており、仮想空間VSにおける箱BXの内側の各面にも同様の模様が描かれている。これにより、ユーザは、アバターAVTの視点位置により箱BXの内側の面の意匠を観察することができる。
【0024】
また、仮想空間VSにおける箱BXの内部では、映像効果として、徐々に箱BXの面が透過していくことで、外側の面に描かれている意匠が透過して見えるようにされる。このように箱BXの内部にて内側の面の意匠に加えて外側の面の意匠も鑑賞できるようにされることで、例えばユーザが箱BXの外側の意匠と内側の意匠との世界観の関係性を認識することができる。
【0025】
上記のような映像変化に際して、例えば内側の面の意匠のみが見える状態から、内側の面の意匠と外側の面の意匠とが重なるようにして見える状態に遷移し、さらに、外側の面の意匠のみが見える状態に遷移してもよい。また、外側の面の意匠のみが見える状態から内側の面の意匠と外側の面の意匠とが重なるようにして見える状態に戻り、さらに内側の面の意匠のみが見える状態に戻るようにされてもよい。
【0026】
このような映像変化は、周期的に行われてよい。あるいは、このような映像変化は、箱BXの内部に存在しているアバターAVTに対応するユーザによる映像変化を指示する操作に応じて行われてよい。あるいは、このような映像変化は、箱BXの内部の所定位置にアバターAVTが存在した状態となったことに応じて行われてよい。
【0027】
説明を図2に戻す。箱BXの内部のアバターAVTを箱BXの外に出す場合、ユーザは、アバターAVTを移動地点P4に位置させる。アバターAVTは、移動地点P4に位置したことに応じて移動地点P3に移動する。このようにして、アバターAVTは、箱BXの蓋の上に移動するようにして箱BXの外に出ることができる。
また、箱BXの蓋の上のアバターAVTを橋BRに戻す場合、ユーザは、アバターAVTを移動地点P2に位置させる。アバターAVTは、移動地点P2に位置したことに応じて移動地点P1に移動する。このようにして、アバターAVTは、橋BRに移動することができる。
なお、アバターAVTは、移動地点P1から、順に移動地点P2、P3、P4を辿る経路(往路)と、移動地点P4から順に移動地点P3、P2、P1を辿る逆の経路(復路)とを移動可能とされたうえで、経路における一部に対応する移動地点間で任意に往復可能とされてよい。具体的に、例えばアバターAVTは、移動地点P2と移動地点P3との間であるとか、移動地点P3を挟んだ移動地点P2と移動地点P4との間であるとかを行き来することができる。
【0028】
図4は、文化財展示装置100の構成例を示している。同図に示される文化財展示装置100としての機能は、文化財展示装置100としてのハードウェアにおいて備えられるCPUがプログラムを実行することにより実現される。同図の文化財展示装置100は、通信部101、制御部102、及び記憶部103を備える。
【0029】
通信部101は、ネットワーク経由でユーザ端末200等と通信を行う。
【0030】
制御部102は、文化財展示装置100における各種の制御を実行する。制御部102は、仮想空間提供部121、アバター制御部122、オブジェクト配置部123、及び効果付与部124を備える。
【0031】
仮想空間提供部121は、ユーザに仮想空間VSの環境を提供する。具体的に、仮想空間提供部121は、仮想空間VSを構築(生成)する。仮想空間提供部121は、文化財展示装置100にアクセスしているユーザ端末200にて構築した仮想空間VSが表示されるように制御する。
【0032】
アバター制御部122は、仮想空間内に存在させたアバターAVTが行動できるように制御する。ここでのアバターの行動には、アバターAVTが移動すること、アバターAVTがジェスチャーなどにより身体部分を動かすこと、アバターAVTが発言することなどが含まれてよい。アバター制御部122は、文化財展示装置100にアクセスしているユーザ端末200にユーザが行った操作に応じてアバターAVTを行動させる。また、アバター制御部122は、ユーザ端末200に対する操作によらず、所定の条件に応じてアバターAVTを行動させてもよい。
【0033】
オブジェクト配置部123は、仮想空間提供部121により構築された仮想空間VSにオブジェクトを配置する。オブジェクト配置部123は、オブジェクトデータ記憶部131が記憶するオブジェクトデータに格納されるオブジェクトデータを利用してオブジェクトを生成し、生成したオブジェクトを仮想空間VSに配置する。
【0034】
効果付与部124は、仮想空間提供部121が構築した仮想空間VSにて所定の効果が与えられるように制御する。
図2図3の説明との対応では、効果付与部124は、橋BRをアバターAVTが歩行して足で橋BRを踏むごとに、金属音による足音が発せられるように制御する。
また、効果付与部124は、文字オブジェクトLOBが全て収集されたことに応じて、対応の和歌の映像のコンテンツを仮想空間VSに出現させるように制御する。
また、効果付与部124は、仮想空間VSにおいて吹く風が表現されるように、草花PLを揺らしたり、風や水の音が発せられるように制御する。
また、効果付与部124は、箱BXの内側にて外側の面の意匠が視認できるように、箱BXの内側の面を透過させるように制御する。
【0035】
記憶部103は、文化財展示装置100に対応する各種の情報を記憶する。記憶部103は、オブジェクトデータ記憶部131、及び効果付与情報記憶部132を備える。
【0036】
オブジェクトデータ記憶部131は、仮想空間VSに配置するオブジェクトデータを記憶する。
図5は、オブジェクトデータ記憶部131が1つのオブジェクトに対応して記憶するオブジェクトデータの構造例を示している。同図に示されるように、1つのオブジェクトに対応するオブジェクトデータは、対応のオブジェクトを一意に示すオブジェクトIDと対応付けられた構造を有する。
【0037】
効果付与情報記憶部132は、仮想空間VSにおいて付与すべき効果事象ごとに応じて効果付与部124が効果付与の制御に用いる効果付与情報を記憶する。
図6は、1の効果事象に対応する効果付与情報の一例を示している。同図の効果付与情報は、効果事象ID、効果付与スクリプト、及び効果データの領域を含む。
効果事象IDの領域は、対応の効果事象を示す効果事象IDを格納する。
効果付与スクリプトの領域は、対応の効果事象を仮想空間VSにて生じさせるために効果付与部124が実行するスクリプトを格納する。
【0038】
効果データの領域は、効果付与部124が対応の効果事象を生じさせるにあたって利用するデータ(効果データ)が存在する場合に、当該効果データを格納する。効果データは、例えば映像、オーディオ、テキスト等であってよい。
具体的に、アバターAVTが橋BRを歩行して足で橋BRを踏むことに応じて金属音による足音を発生させる効果事象の場合には、金属音による足音のオーディオデータが効果データとして格納される。
【0039】
図7は、ユーザ端末200の構成例を示している。同図に示されるユーザ端末200としての機能は、ユーザ端末200としてのハードウェアにおいて備えられるCPUがプログラムを実行することにより実現される。同図のユーザ端末200は、通信部201、ユーザインターフェース部202、制御部203、及び記憶部204を備える。
【0040】
通信部201は、ネットワーク経由で文化財展示装置100と通信可能に接続する。
ユーザインターフェース部202は、ユーザインターフェースを構成する部位である。具体的に、ユーザインターフェース部202は、ユーザの操作を受け付ける入力デバイスと、画像や音声を出力する表示部、音声出力部等を備える。また、入力デバイスには、音声入力に対応するものや、表示面部に対する操作が可能なタッチパネルなども含まれてよい。
制御部203は、ユーザ端末200における各種の制御を実行する。
記憶部204は、ユーザ端末200に対応する各種の情報を記憶する。
【0041】
図8のフローチャートを参照して、本実施形態の文化財展示装置100が実行する処理手順例について説明する。同図の処理は、文化財展示装置100にアクセスしているユーザ端末200にて、アバターAVTが存在している仮想空間VSが表示されているように仮想空間提供部121が制御している状態のもとで実行される。
また、同図の処理は、ユーザの操作により仮想空間VSにて行動する1のアバターを対象として実行される。
【0042】
ステップS100:文化財展示装置100の効果付与部124は、仮想空間VSにおいて対象のアバターAVTが橋BRの上を移動している状態にあるか否かを判定する。
【0043】
ステップS102:アバターAVTが橋BRの上を移動している状態にあると判定した場合、効果付与部124は、アバターAVTの歩行(または走行)に応じて金属音による足音を発生させる。
この際、効果付与部124は、効果付与情報記憶部132が記憶する効果付与情報のうち、足音の効果事象に対応する効果付与情報が格納する効果スクリプトに従って、例えばアバターAVTの足が橋BRを踏むタイミングに同期させて、同じ効果付与情報が効果データとして格納する足音のオーディオデータを再生させてよい。
【0044】
なお、効果付与部124は、対象のアバターAVT以外の他のユーザのアバターAVTが橋BRの上を移動しているときにも、他のユーザのアバターAVTの歩行(または走行)に対応して足音を出力させてよい。この場合、対象のアバターAVTのユーザのユーザ端末200にて出力されている仮想空間VSでは、自分のアバターAVTが橋BRの上を移動していなくとも、橋BRの上を移動している他のユーザのアバターAVTの足音が聞こえるようにして周囲の気配なども感じさせることができる。
【0045】
ステップS104:ステップS102の処理の後、あるいはステップS100にて対象のアバターAVTが橋BRの上を移動していないと判定された場合、効果付与部124は、対象のアバターAVTが1つの文字オブジェクトLOBを獲得したか否かを判定する。
【0046】
ステップS106:対象のアバターAVTが1つの文字オブジェクトLOBを獲得した場合、効果付与部124は、さらに今回の文字オブジェクトLOBの獲得により全ての文字オブジェクトLOBの収集が完了したか否かを判定する。
【0047】
ステップS108:全ての文字オブジェクトLOBの収集が完了した場合、効果付与部124は、和歌のコンテンツを仮想空間VSに出現させるように制御する。
この際、効果付与部124は、和歌のコンテンツ出現としての効果事象に対応する効果付与情報の効果スクリプトに従って、同じ効果付与情報が効果データとして格納する和歌のコンテンツデータにより生成した和歌のコンテンツを仮想空間VSにて再生する。
【0048】
ステップS110:ステップS108の処理の後、あるいはステップS104にて文字オブジェクトを獲得していないと判定された場合、あるいはステップS106にて全ての文字オブジェクトLOBの収集が完了していないと判定した場合、アバター制御部122は、対象のアバターAVTが移動地点(P1~P4)のいずれかに位置しているか否かを判定する。
【0049】
ステップS112:対象のアバターAVTが移動地点に位置している場合、アバター制御部122は、対象のアバターAVTが位置している移動地点に対する移動先となる移動地点に、対象のアバターAVTを移動させる。
【0050】
ステップS114:ステップS112の処理の後、あるいはステップS110にて対象のアバターAVTが移動地点に位置していないと判定した場合、効果付与部124は、対象のアバターAVTが箱内に存在しているか否かを判定する。
対象のアバターAVTが箱BXの内部に存在していない場合には、ステップS100に処理が戻される。
【0051】
ステップS116:ステップS114にて対象のアバターAVTが箱BXの内部に存在していると判定された場合、効果付与部124は、箱BXの外側の面の意匠が内部から観察できるように、箱BXの面を透過させるように変化させる制御を行う。
【0052】
なお、同図の処理のもとで実行される足音の発生、和歌のコンテンツの再生、箱BXの面の透過等の効果の付与は、アバターAVTの行動内容の判定に応じて実行されるものとなっている。つまり、アバターAVTの行動に応じて追随的に効果が付与されるようにされている。
しかしながら、仮想空間VSにおいて付与される効果のうちには、アバターAVTが所定のボタンを操作したり、特定のジェスチャーを意識的に行ったりするなど、アバターAVT自身が能動的に効果付与の指示を行うようにされてよい。このようにアバターAVTによる効果付与の指示は、対応のユーザのユーザ端末200に対する操作に応じて行うようにされてもよいし、例えば仮想空間VSにおいて所定の条件が満たされたことに応じて、ユーザの操作によることなく、アバターAVTが自発的に行うようにされてもよい。
【0053】
なお、上述の文化財展示装置100またはユーザ端末200等の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述の文化財展示装置100またはユーザ端末200等としての処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部または外部に設けられた記録媒体も含まれる。配信サーバの記録媒体に記憶されるプログラムのコードは、端末装置で実行可能な形式のプログラムのコードと異なるものでもよい。すなわち、配信サーバからダウンロードされて端末装置で実行可能な形でインストールができるものであれば、配信サーバで記憶される形式は問わない。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に端末装置で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0054】
<付記>
(1)本実施形態の一態様は、文化財を仮想空間にて再現可能にオブジェクト化した文化財オブジェクトを仮想空間に配置するオブジェクト配置部と、前記文化財オブジェクトが配置された仮想空間において所定の効果を付与する効果付与部とを備える文化財展示システムである。
【0055】
(2)本実施形態の一態様は、(1)に記載の文化財展示システムであって、前記効果付与部は、文化財オブジェクト等身大のアバターを縮小させて文化財オブジェクトの内部に存在させるように効果を付与してよい。
【0056】
(3)本実施形態の一態様は、(1)または(2)に記載の文化財展示システムであって、前記効果付与部は、前記仮想空間におけるアバターの行動に応じて音が発せられるように効果を付与してよい。
【0057】
(4)本実施形態の一態様は、(1)から(3)のいずれか1つに記載の文化財展示システムであって、前記効果付与部は、前記仮想空間における風景を変化させるように効果を付与してよい。
【0058】
(5)本実施形態の一態様は、文化財展示システムにおける文化財展示方法であって、オブジェクト配置部が、文化財を仮想空間にて再現可能にオブジェクト化した文化財オブジェクトを仮想空間に配置するオブジェクト配置ステップと、効果付与部が、前記文化財オブジェクトが配置された仮想空間において所定の効果を付与する効果付与ステップとを含む文化財展示方法である。
【0059】
(6)本実施形態の一態様は、文化財展示システムにおけるコンピュータを、文化財を仮想空間にて再現可能にオブジェクト化した文化財オブジェクトを仮想空間に配置するオブジェクト配置部、前記文化財オブジェクトが配置された仮想空間において所定の効果を付与する効果付与部として機能させるためのプログラムである。
【符号の説明】
【0060】
100 文化財展示装置、101 通信部、102 制御部、103 記憶部、121 仮想空間提供部、122 アバター制御部、123 オブジェクト配置部、124 効果付与部、131 オブジェクトデータ記憶部、132 効果付与情報記憶部、200 ユーザ端末、201 通信部、202 ユーザインターフェース部、203 制御部、204 記憶部、AVT アバター、BR 橋、BX 箱、LOB 文字オブジェクト、P1 移動地点、P2 移動地点、P3 移動地点、P4 移動地点、PL 草花
図1
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図7
図8